シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

4 / 113
投稿頻度については色々と悩んでいますが、とりあえずいい感じの所までは毎日投稿にしたいと思います
ある程度書き溜めしているので、ストックが無くなってきたら更新頻度が落ちると思います


暴徒と赤帽子狩り

 今日は土曜日、明日は日曜日。つまり徹夜してもいいのだ。ライオットブラッド・バックドラフトをキメて徹夜の準備はバッチリだ。

 

「ギャギャギャギャギャッ!!」

 

「いいね、良い感じに追い詰めると勝手に増えてくれる」

 

 赤い帽子のゴブリンが仲間を呼ぶのを見守る。

 ただのゴブリンでは無いようで、武器も強くなってるしAIも賢くなって行動パターンも増えている。フェイントまでしてくるし仲間を呼んで袋叩きにもしてくる。

 逆に言えば新しい武器を試すのに最適な強さの相手が探さなくても向こうからやって来てくれるということでもある。

 

 仲間が駆け付けてまた数が五匹に戻った赤帽子ゴブリン共を相手に貪食蛇の刺剣を構える。

 あ、仲間を呼んだゴブリンが毒のダメージで死んで四匹になった。

 

 突撃して来る四匹の赤帽子が振り回す斧を最低限の動きで回避し、空振りによる隙を生みだす。重要なのは当たるという確信を持たせたうえでギリギリで回避することだ。

 こいつらのAIの出来が良すぎるせいで、当たると思っていた攻撃が空振ると驚いて大きな隙ができるのだ。

 

 四匹全員の動きを常に把握し、攻撃しても後隙を狙われないタイミングまで避け続け、チャンスが来たら貪食蛇の刺剣でちょこっと突っつく。

 

「軽く突っついて毒にしたら後は逃げ回ってれば勝手に死んでくれる。稼ぐのに丁度いいなこれは」

 

 勿論毒にして逃げ回って死ぬのを待っているだけでは時間がかかって効率が悪いしスキル習得的にもよろしくないだろう。

 というわけで全員毒状態にしたら武器を交換する。

 

「出番だグレーブレード」

 

 うーんあまりにもシンプルな名前だ。これを更に進化させたらかっこいい名前になってくれるのかな?

 

 集団戦の基本は囲まれないことだが、こいつら賢いし俺のステータスがスタミナ以外低すぎるのでどれだけ動こうが簡単に囲まれてしまう。

 しかしそこは野生動物……野生動物と言っていいのかこいつら?まあいいや、連携はできるが完璧ではない。というかこんな序盤に完璧な連携ができる敵がいたら夜しかプレイできないプレイヤーが泣く。

 

 一匹が跳びかかれば周りもそれに合わせて少し遅れて跳びかかってくる。その僅かなズレが突破口となる。

 「スライドステップ」を発動して、ゴブリンとゴブリンの間をするりと抜ければ四匹のゴブリン同士がぶつかり合いそうになってたたらを踏み、俺への注意が逸れる。

 

 「スライドステップ」の効果時間はまだ続いている、バックステップでゴブリンへと接近し、「ループスラッシュ」をゴブリンの後頭部に叩き込む。

 「ループスラッシュ」は高速回転しながら相手を剣で攻撃する、簡単に言えば回転斬りのスキルなのだが、スタミナがそのまま回転時間となるスキルであり、しかも任意で止まることもできる。

 

 故にスタミナに振りまくった俺はこのスキルでかなり長時間回転することを可能としており、相手がザコ敵一体なら弱点に当てればそのままハメ殺しも可能とする現在のメイン火力だ。

 だが当然体を大きく回転させるこのスキルは隙も大きく、考え無しに使えば直ぐに回転を中断しなければならなくなり、その強みを活かせない。だから俺は何が起ころうと回転を止めない。回転しながら回避をすればいいだけの話だ。

 

 昔プレイしたゲームの中になぜか格ゲーなのに芸術点が存在していてそれが勝ち負けに影響するという謎のゲームがあったのだが、このゲームの操作キャラは全員剣を武器としており、芸術点やバフ、ゲージなどの為に剣で舞いながら戦うことになる。

 その中にずっとクルクル回り続けることを要求されるキャラが居たせいでこんな変な戦い方に慣れてしまったのだ。ゲロ吐きそうになりながらも頑張って練習した成果がまさかこんなところで出てくるとは。

 因みにそのゲームは過疎りつつあったのだが、シャンフロが流行りだしてから暫くして剣聖を体験できるとか急に話題になってちょっと人が増えた。まあ俺がその剣聖を体験できるキャラで暴れてたら調整が入って賛否両論あったりしたのだが、それは今は関係のない話だ。

 

「くーるくーる……あー、やっぱり目が疲れるわこれ……」

 

 視界が高速で回り続ける中、複数のゴブリンの動きにも対応するのは難しい。ならば一気に攻めて数を減らせばいい。

 最初に後頭部を攻撃したゴブリンを集中的に狙い、回転の勢いを利用してその他のゴブリンの斧を弾く。スタミナがどんどん削れていくが、まだまだ余裕がある。

 

 遂にHPが尽きたゴブリンの体がポリゴンとなって消滅するのを確認して、次のゴブリンに狙いを変更する。

 高速で回転する俺に仲間を一人殺されたからか、ゴブリンたちが後退る。こうなると回転したままだと距離を詰めるのが難しいので回転を止める。

 

 止まってしまったことでリキャストタイムが発生し、暫くの間「ループスラッシュ」は使えない。ここからは沼鉄の鈍直剣で行くとしよう。

 

 この武器はグレーブレードと比べると重い。

 質量とは動かしづらさだ。振るのは遅くなるが、一度勢いがついたそれは逆に止めづらくなる。

 

 ゴブリンの斧の側面に沼鉄の鈍直剣を叩きつければ、斧の軌道が大きく横にずれて虚空を叩く。

 勢いを殺さないように武器を振るい続け、他二匹のゴブリンの斧を弾き、大きな衝撃によって生じた隙を逃さず頭部に横から鉄鞭を叩き込む。どれだけ強かろうが相手は小さなゴブリンであり、頭部への強い衝撃で勢い良く吹っ飛んでいった。

 

 仲間を庇おうと立ちふさがる二匹のゴブリンの攻撃を先程習得した「クイックスピン」と「仕切り直し」を利用して回避しつつその頭上を飛び越える。

 「クイックスピン」は瞬間的に反転が可能なスキルであり、後方へ大きく跳ぶ仕切り直しを前方移動に利用することを可能とする。

 

 着地地点は吹っ飛んだゴブリンの真上。着地する勢いを乗せて鉄鞭を振り下ろし、スイカ割りならぬゴブリン割りを成功させて、ゴブリンがまた一匹消滅した。

 

「残り二匹」

 

 どうやら残り二匹になっても諦めるつもりは無いようで、俺のことを挟もうと二匹は左右に別れた。

 

 はいここで「咆哮」。よっしゃ両方怯んだ、死ね!

 

 既に毒がゴブリンのHPをだいぶ削っていたようで、頭部に一発鉄鞭を叩き込めばそのままポリゴンとなって消滅した。

 

「あと一匹、おかわり頼むよ」

 

 毒でこいつもピンチのはずだ。またギリギリまで弱らせて仲間を呼ぶのを待とう。

 

「グギャギャアッ!?」

 

「あれ、逃げた」

 

 もしかして呼べる仲間の数に限度があったのだろうか。まあいいや、逃げられたけどそのうち毒で死ぬだろうし、追いかけずにドロップアイテムを回収するか。

 あたり一面に転がるゴブリンたちの赤い帽子と斧を拾ってインベントリに入れていく。

 

「あいつらレッドキャップって言うのか」

 

 うわ、真っ赤な目玉が落ちてる怖。『レッドキャップゴブリンの炎眼』か、何に使うんだこれ。

 結構倒したのに一個しか見つからないということはレアドロップなのかなこれ。

 

 まだインベントリには余裕があるし武器の耐久も問題無し。さあ徹夜だ徹夜だいえーい!

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

————————————

PN:ぶんぶん丸

LV:24

JOB:傭兵(片手剣)

80マーニ

HP(体力):10

MP(魔力):1

STM (スタミナ):185

STR(筋力):10

DEX(器用):10

AGI(敏捷):10

TEC(技量):10

VIT(耐久力):10(70)

LUC(幸運):10

スキル

・無尽連斬

・ループスラッシュLv.5

・スパイラルエッジ

・スタンストライク

・ナックルラッシュ

・ジャストパリィ

・カウンタースロー

・スケートフット

・クイックスピン

・威嚇の咆哮

・リフレッシュブレスLv.1

・アージェントチャージLv.1

・ハイエンデュランスLv.2

・仕切り直しLv.4

・ベストステップ

・オフロードLv.4

 

装備

右:グレーブレード

左:無し

頭:歓喜の炎眼犬面(VIT+20)

胴:赤帽子の服(VIT+18)

腰:赤帽子のベルト(VIT+16)

足:赤帽子の晒(VIT+16)

アクセサリー:無し

————————————

 

 

 スタミナだけレベル99の前衛プレイヤー並みになってしまった。

 

 スキルも良い感じのが揃ってきたので特技剪定所に寄って一部のスキルを合体させてみた。これで更にスタミナをガンガン使って戦闘することができるだろう。

 

 防具も防具屋にレッドキャップゴブリンの素材を持ち込んで軽くて強いものを作ってもらったのだが、なんとなく歓喜の犬面を強化できないか聞いてみたら可能とのことで預けてみたらレッドキャップの充血した眼球を素材に強化されてしまい、目が真っ赤な犬面になってしまった。あと頭の上にレッドキャップっぽい帽子が被せられている。

 ふざけているようで性能は意外と真面目であり、レッドキャップ防具の一部と認識されているのか一式装備ボーナスで攻撃時にHPを吸収する効果が発動している。

 

 さて、現在は日曜の昼間な訳だが、このままボスに挑むには色々と不安が多い。

 次のボスは防具屋のおねーさん曰く泥堀り……沼堀りだっけ?泥堀りだっけ?そんな名前のボスは辺り一面の沼の中から襲い掛かってくるのだという。

 つまり遠距離攻撃ができない俺は沼の中で戦闘することを求められる。そのための「オフロード」であるが、現時点での効果時間は40秒である。恐らく全然時間が足りない。

 

 これがパーティなら他のプレイヤーと交代でスキルを使ってヘイト管理してリキャストタイムを稼げるし、魔法使いならオフロードの魔法バージョンを定期的にかけ直したりと対処法が存在するのだろうが、俺にはそれができない。

 

「詰んだか?」

 

 いやパーティを組めばいいだけの話なのだが、人見知りコミュ障としてはそれは最後の手段にしたい。

 勿論他のステータスに振ることは絶対にしない。となれば更にレベル上げを行い、一人で攻略可能となるまで鍛える必要がある。

 

「レベル上げとは言っても効率悪くなってきたんだよなぁ」

 

 できれば時間に余裕がある今日のうちに一気にレベルを上げたい。平日の仕事終わりの疲れた体でひたすらレベル上げはそんなにしたくないのだ。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「まあ結局のところ地道に戦ってレベル上げするしかないよな」

 

 昼から夕方までレベル上げして、武器を修理して再び夜までレベル上げ。

 華々しい勝利の花の裏には泥臭い地道な苦労の積み重ねがあるものだ。

 

 しかし夜は出現するモンスターが強いからかソロのプレイヤーを殆ど見かけなくなるな。というかMMOなんだから一人でやる意味なんて素材や経験値の独占くらいしかメリットが無いし、二人なら二倍近い効率で稼げると考えるとソロのメリットなんて特に無いな。

 

「ゲームの腕だけひたすら磨くよりも、友達を作る努力もした方が結果的に効率が良くなる。リアルでも極振りはよろしくないということか……でも俺は極振りを諦めないぞ。このままレベル99まで極振りで突っ走ってスタミナ500越えで走り回ってやるからな……!」

 

 俺は今までプレイしてきたキャラビルドができるゲームはほぼ全て極振りや極端な装備で攻略してきた。どれだけ効率が悪いと言われようが無駄と言われようが、それでも極端に振り切ったものに憧れたのだ。

 まあ流石にそもそも勝負が成り立たないレベルだとちょっとは妥協するが。ネフホロとか限界まで軽い機体を作ってみたが、ブースターすら取っ払ったら引き撃ち相手にどうしようもなくてやむを得ず最低限一般的な軽量機体の引き撃ちに追い付けるだけのブースターは残したりもした。

 

「シャンフロの一番の問題点は動作が快適すぎて他のゲームに行くと動作に違和感を覚えてしまうことだな……ん?」

 

 遠くから犬っぽい遠吠えが聞こえる。

 まだこのエリアで犬っぽいモンスターは見かけていない。もしかしたらまだ見たことのないレアモンスターかも!?

 

 犬のモンスター……いや、敵として出てくるなら定番なのは狼のモンスターかな?集団で襲ってくるタイプか一匹狼か、この真っ赤な犬面の目で確かめてみるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ユニークモンスター「夜襲のリュカオーン」に遭遇しました』

 

「なんて?」

 

 正解は一匹狼でした。




歓喜の犬面、アニメで一瞬だけ映っていたアイテムですが、ここからだいぶ強化されます
モンスターのレア素材を使用することで、そのモンスターの素材を利用した頭装備と同じ効果を持つようになり、一式装備の一部として扱うことができます。オシャレ要素で深い意味はありませんが、NPCからの第一印象が「犬の人」になります
このオリ主は原作主人公ほどいろんなゲームをプレイしている訳ではありませんが、一つ一つのゲームを結構やり込みます。クソゲーは基本的に一人ではプレイしません
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。