シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
「ふえええええサンラクサァァン!!」
「うべぁ!!」
謎の忍者に気を取られていたサンラクの背中に白いふわふわが激突する。
「何だ!新手か!?って……エムル!?」
「ようやく会えましたわ!遠かったですわ!」
今回はエムルちゃんを留守番させていたそうだが、なぜかここまで来てしまったらしい。
そして更にもう一匹、小さな影が……
「いやいや、ようやく追いついたでござるな」
これも……ヴォーパルバニーなのか?なんというか、エムルとだいぶ雰囲気違うな……エムルが人形のようなマスコット感があるのに対して、こっちは鎧兜を身に着けて……なんというか、どこかの地方のゆるキャラ感がある。戦国時代と兎で有名な地域を探したらこういうのいそうだ。名前はシークルゥというらしい。
エムル……シークルゥ……そしてビィねーちゃんとやら……もしかして名前でアルファベット制覇していたり?
いや今はそんなこと考えている場合じゃない。リュカオーンの相手をしなければ。
「おい待てそっち行くな!俺の相手をしろ!」
ダメだ。リュカオーンが速くてサイガ-0を狙うのを止められない……!
「危ない!」
リュカオーンの前脚がサイガ-0に叩きつけられるが、再び丸太と入れ替わって回避に成功する。
あれが忍術とやらか。中々便利そうだが、あれ魔法職なんだっけ?
「
「了解です!!任されました!!」
なんか知らんがあれは味方らしい?まあ
エムルちゃんの【マジックチェーン】がリュカオーンの後ろ脚に巻き付く。
リュカオーンはそれを一瞬で振り払ってしまうが、動きが一瞬鈍った。
「スキル……「縷々閃舞」!」
「「如意自在」ッ!」
二人掛かりでリュカオーンの後脚を斬りつける……しかしそれでもヘイトは奪えず、サイガ-0へと真っ直ぐ走って行ってしまう。
謎の助っ人忍者秋津茜の協力もあり、サイガ-0の「カタストロフィ」がヒット。更に攻撃後の後隙を狙う分身攻撃も変わり身の術によって回避する。回避系魔法とかあるならMP全振り純魔プレイも中々楽しそうだな。パーティ組まないとめちゃくちゃ辛いだろうけど。
「すみません油断しました……!!」
「あれが分身攻撃ですか。集中攻撃されると避けるのは難しいですね……あっ」
あっ?
「それにしてもあの変わり身技は助かる!「ウツロウミカガミ」を使ってもそもそも俺にヘイトが無い今引き付けるのは難しいからな!」
「あのっ!それなんですが!【空蝉】を使うには「変わり身丸太」というアイテムが必要でして……その丸太がもう無くなってしまいました!!」
「なにぃ!?」
「夜の帝王と戦う準備などしてないでござるからな」
そりゃそうか。俺だって準備してないわ。
リュカオーンはその辺の丁度良いサイズ(リュカオーン基準)の残骸を咥えて、秋津茜に投擲する。先に潰した方が良いと判断されたか。
「茜殿……!!」
シークルゥが刀を構え、その残骸を空中でバラバラに切り裂いて秋津茜を助けた。
シークルゥは刀で戦うのね。戦力として頼りになりそうだ。
「【マナ・シェイカー】!」
エムルちゃんが放った何らかの魔法の弾がリュカオーンの背中をかする。しかし、かすっただけにしては損傷が大きい。
「ぶんぶん丸氏が言ってたのはそういうことか!【マナ・シェイカー】は物理的な対象には破壊力を持たないが……「魔力で肉体を構成する」モンスター……例えば幽霊みたいな「非物質系」の相手に対し高い効果を発揮する魔法だ。そして……それがお前の正体だ。夜襲のリュカオーン!!」
どうやらエムルちゃんはリュカオーンに対して有効打となる魔法を習得しているようだ。
エムルちゃんの魔法を危険と判断したのかヘイトがエムルとそれを肩に乗せているサンラクに移り、サイガ-0がフリーになる。
「俺も仕事をしないとな……!」
走り回るリュカオーンを追いかけてヘイトを取るのは困難だ。なら遠距離から攻撃させて貰おう。
「我が血を大地に捧ぐ……【
この魔法も少し特殊で、出血するダメージを受けていることを発動条件とし、短い詠唱の後、スタミナを消費して地面に巨大な血の魔法陣を描く。
消費するスタミナに応じてより大きな魔法陣を描くことが可能で、その魔法陣を利用して別の魔法をより強力にして発動することが可能になる。ただし、消費したスタミナに応じて一時的にスタミナ回復速度が大幅に低下することになる。
「スタミナ2000消費ィ……!【怨嗟の言霊】あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
サンラクを巻き込まないように「ソニックカノン」を放ち、リュカオーンの脇腹に呪いの砲弾を叩き込む。
リュカオーンの巨体が浮き上がり、吹き飛んで建築物の残骸に衝突する。
「あっはははは!!今のは軽いジャブだ、もっとでかいのぶちかましてやるぞリュカオーン!!」
おっと、本来の目的はサイガ-0の切り札発動のサポートだ。いかんな、今日は攻略の手伝いの予定だったから酒は飲んでいないのだが、空気で少し酔っているようだ。
「はああああ!!」
「援護します、「
サイガ-0の「カタストロフィ」がリュカオーンに炸裂する。えー、残り何回だっけ?
その直後に「
このスキル、発生が早いし威力もあるので非常に使いやすい。今までの音のスキルと違って息のスキルだからか、怯ませる効果は低いが、その分威力が高い。
「これで……!!残り一回……!!」
サンラクが放った水晶弾とエムルちゃんが放った【マジックチェーン】がリュカオーンに隙を作り出す。良い連携しているなぁ。
「隙ありです……!!」
最後の一回の「アポカリプス」が放たれる。しかしその瞬間リュカオーンが飛び退いた。今のは当たったのか?
「避けられた!?」
「いえ……ヒット判定は出ています。条件……達成です!!」
かすりヒットでもよかったんだそれ。
さあ、ここからサイガ-0は詠唱に入る。その間は無防備になるので俺達がサイガ-0を守り抜かなければならない。
その時、ふと視界が暗くなり、まさかと思い空を見上げると、再び雲が月を覆い隠そうとしていた。
朱雀の姿が見当たらない。燃料切れか?なんにせよ最悪のタイミングだ。「
「詠唱を続けて下さい、サイガ-0さん。透明分身は私達にお任せを!!」
何か秘策でもあるのか、秋津茜がそう答えてシークルゥと一緒にサイガ-0の警護に回る。
なら俺はその反対側を警護するとしよう。
耳を澄ましてリュカオーンの分身攻撃に備える。どこだ、どこから来る……!
ズズズと何か重い物を引きずるような音が聞こえた。しかし、正確な位置までハッキリと掴めない。
秋津茜もその音を聞き取れたようで、何やら手を動かして……あれは、印を結んでいるのか?
「すぅぅぅぅぅっ……【竜威吹】!!わぁぁぁぁっ!!!!」
秋津茜が大声とともに繰り出したのは眩い輝きを放つ赤熱する黄金の息吹……簡単に言うと口からビームを放っている。何それ忍術なの???
眩い輝きを放つビームが光源となり、奇襲を仕掛けようとしていたリュカオーンの姿が闇の中から浮かび上がる。
「光源として不足なし!刮目せよ!夜の帝王!!我が【タケノミカヅチ】を……!!」
シークルゥが刀を地面に突き立てると、目の前の地面から無数の竹が一斉に生えて成長し、リュカオーンとサイガ-0の間に小規模な竹林の障壁が出来上がる。
リュカオーンの攻撃を竹で防げるのか少し心配だったが、竹が全部圧し折られながらも攻撃を防ぎきることには成功し、分身が消滅する。
分身は対処できた。後は本体……駆けるリュカオーンと詠唱がまだ終わらないサイガ-0の間に立つサンラクがガントレットで地面を叩く。
「いくぞっ!!
サンラクが先程発射して地面に突き刺さっていた水晶が急速に成長し、リュカオーンの左前脚に激突してバランスを崩す。
「エムル!右前脚だ!」
「はいな!【マナ・シェイカー】!」
今度はバランスを崩した体を支えていた右前脚にクリーンヒットし、大きな損傷を与える。
「良いぞ!!ダメージが入った!!」
「直撃ですわぁ!」
「さぁ頼むぜ、最後の一仕事だ。朱雀!!ブチかませ!!」
どうやらこの時のために温存していたらしい朱雀が猛スピードで飛翔し、リュカオーンの背後からすれ違いざまに右前脚を切り裂いた。
切断とまではいかなかったが、リュカオーンに深い傷を与え、転倒させることに成功する。
……朱雀が明らかに墜落としか思えない挙動で地面に激突して滑って行く。本当に燃料切れギリギリだったらしい。
サンラクがエムルを肩から降ろし、リュカオーンに向かって走り出す。
右手に装備したガントレットから明らかに普通のスキルのエフェクトではない激しい光が迸る。
「月を避けるなら俺が叩きつけてやるよ!!お前との戦闘中に溜めに溜め込んだ月光の魔力を全ブッパだ……!!」
リュカオーンは大きく口を開けてそれを迎え撃とうとして──凄まじい大爆発によって両者ともに吹き飛ばされる。
「サンラクもあんな切り札を持っていたのか……」
あの武器が持っている固有の技だろうか?サンラクも腕の良い鍛冶師と出会えたようだ……ところで爆発に巻き込まれてサンラクが勢い良く飛んでいったのだが、あれ墜落死しない?
「お、ナイスキャッチ」
反動で吹っ飛んでいったサンラクはエムル、シークルゥ、秋津茜にキャッチされ、墜落死は避けられたようだ。
一方リュカオーンは凄まじい衝撃によって顎が砕かれているが、まだ立っている。うーんしぶとい。
「じゃあ俺も切り札を使わせてもらおう。切り札なんて何個あってもいいからな」
シャンフロにおけるスタミナがどういうものなのかというのが重要
血液中に溶け込んで全身に流れる魔力の量だと考えれば、スキルや魔法次第でMPの代わりにスタミナを使うことも可能な訳です
ただし当然魔力を消費した分だけ血液の性能が低下します。一時的に息切れしやすくなったり体温が低下したりと、スタミナで支払うのには大きなデメリットがあります
ただMPを温存できるので、殆どの魔法の性能が魔法を使った後の残りMPに依存する仕様を考えれば悪い選択肢ではありません