シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

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シャンフロ20巻がもうすぐ出そうですが、クターニッド編完結まで入ってなさそうな気がする……その場合はクターニッド戦の途中からなろうの原作版をなぞって続きを書くことにします
それはそれとして20巻楽しみ


暴徒と深海の王

「あ、アラバさん。アラバさんもアレにケンカを売るつもりですか?」

 

「そんなことするわけないだろう!?というか君はアレにケンカを売るつもりなのか!?」

 

 屋根の上を飛んで移動していると、空中を泳いでいるアラバと遭遇した。アラバも人魚みたいに空中を泳げるのか。

 

「ところであれなんて生き物なのか知ってますか?」

 

「まさか知らずに挑もうとしているのか……?あれは深海の王、「アトランティクス・レプノルカ」だ!」

 

 へー。アーコリウム・ハーミットといい、深海の奴らってなんかかっこいい名前している奴多いな。

 

「アーコリウム・ハーミットよりも強いんですかアレ?」

 

「……ああ。相性の関係でその二匹が戦えば海の森が勝つことが多いが、単純な強さなら深海の王の方が上だ。アーコリウム・ハーミットに勝てたからといってアトランティクス・レプノルカにも勝てるとは限らないぞ!」

 

 見た感じ属性攻撃使いそうだもんなあのシャチ。属性ガンメタでヤドカリには負けるのね。

 

 しかし俺がヤドカリに勝てたのは不意打ちで取り巻きを全滅させられたからというのが大きい。

 あのシャチは多分一匹の圧倒的スペックで勝負するタイプだろう。これは何度かリスポーンすることになるかもしれないな……

 

「しかし、なんであのシャチはずっとあの場所でキョロキョロしているんでしょうかね?」

 

「言われてみれば……」

 

「あ、動いた」

 

 シャチが地面に向かっていったと思えば、そこから何かが飛び上がるのが見えた。誰かと戦っている?あれは……

 

「サンラクさんだアレ」

 

「うぉおおお!?」

 

 アラバがシャチの夜食になりかけていたサンラクの救出に向かっていった。さっきの音はサンラクと戦っていた時の音だったのかな?

 

 間一髪で無事にサンラクを救出したアラバがサンラクを担ぎながらその場を離れようとするが、当然シャチがその後を追いかける。

 

「それじゃあ不意打ちででかいの一発、いや、二発入れさせてもらおうか」

 

 晶尾鞭(クリスタル・ケイン)を装備し、スキルを一斉に起動。スタミナを増やして更に空を泳ぐシャチに向かって高速で落ちる。

 ここがルルイアスじゃなければ「壊力無双」をフルパワーで叩き込んでやるところだが、今回はこれで勘弁してやろう。

 

「「遠当て」!!」

 

 スタミナをほぼ全て消費して繰り出した「遠当て」がシャチの腹部に超至近距離で炸裂し、シャチの体がくの字に折れ曲がる。

 

 スタミナを任意の量消費して、消費した量に応じて威力だけでなく射程も伸びるという変わった格闘スキルだが、その発動条件の緩さから「キング・シザーズ」と組み合わせると武器からエフェクトを飛ばすことも可能になる。この場合ダメージに武器の倍率も乗ることになるので素手と比べて火力が跳ね上がる。

 

「これで終わりじゃないぞ。これが俺の新スキル……!!」

 

 更に上に落ちて体を思いっきり捻り、灼毒馬釘(ソーマ=スタング)(スペリオル)を起動。全身の関節を高速回転させ、その全ての回転を足先まで伝達。シャチの腹部へ反動度外視のローリングソバットを繰り出す──!!

 

「くたばれ!!「鬼足炎炎」!!!」

 

 漆黒の炎のエフェクトを纏う右脚が限界まで加速され、叩きつけられるのと同時に激しい爆発が起きる。

 俺の右脚が反動で粉々に砕け散り、シャチの巨体がひっくり返る。

 

 それはスタミナを消費していればしているほどにダメージにボーナスが入る足技を強化する格闘補助スキル。その倍率は凄まじく、スタミナが尽きかけている状態で繰り出せば「壊力無双」には劣るがかなりのダメージを叩き出せる。しかも武器の耐久を気にしなくても良いし、手足なんていくらでも生えてくるので灼毒馬釘をフルパワーで使える。

 

「まあこれだけで倒せるほど甘くはないよな」

 

 シャチのヘイトがこちらに切り替わったのか、もう半回転して俺のことを睨みつける。あの、全然効いてなくない?

 

 水晶の鰭に蒼い稲妻が宿る……うん、雷属性だよなあれ。これは死んだか?

 いやまだだ。この状況からでも助かるスキルが存在する。

 

 「ヘルメスブート」で空中を蹴れるようにして回避スキルを次々と起動。片足で空中連続ジャンプを繰り返し、兎に角距離を離す!

 

「海の中で雷はダメだろお前ー!!?」

 

 背後から迫る青い光から全力で逃げ回る。今まで使い辛いと思っていた縦方向への回避速度を強化する「回避術【登猿】」がめっちゃ大活躍している。空中ジャンプとこんなに相性良いんだなコレ。

 

「ぶんぶん丸氏ー!!」

 

 サンラクの声がする方を見れば、何か話したいことがあるのか手招きをしているのが見えた。

 スキルの効果時間も限られているので急いでサンラクとアラバの元へ向かう。

 

 建物の間を縫うように泳ぐアラバに追い付き、少し後ろを振り返ってシャチの様子を確認する。

 後ろからシャチが建物を薙ぎ倒しながら追いかけて来ているが、流石に建物に激突する度にスピードが落ちているし、遮蔽物が稲妻を防いでくれる。これで少し余裕ができた。

 

「サンラクさん、ご無事で何よりです」

 

「脚が取れたように見えたのだが……気のせいか?」

 

 脚が取れたくらいなら数秒で生え変わる。HP10がしかないから両腕両脚が捥げようがシステム的にはHPの最大値が3か4くらい減るだけだからな。

 

「ぶんぶん丸氏、あれ普通に殴って勝てるか?」

 

「何回も死ぬ覚悟で特攻して行けるかどうか……って感じですね」

 

 リスポーンポイントが近いし、このゲームの敵は簡単に回復はしないので、ゾンビアタックで倒せない相手は恐らく殆ど存在しない。

 まあかっこいい戦い方ではないのだが……サンラクの表情からして何か作戦があるようだ。

 

 サンラク曰く、あのシャチは離れると極大レーザーを撃って来るらしいのだが、それがあの封将がいる塔に命中した場合、鏡が光を反射するように跳ね返ってしまうのだという。

 だから角度を調整して塔の真正面からレーザーが当たるようにすれば、シャチにレーザーが跳ね返って直撃して倒せるのではないか……とのこと。

 

「無謀だ……!!荒ぶる深海の王相手にそんな器用なことができると思っているのか!?」

 

「それが本当なら不可能ではなさそうですけど、どうやって調整するんですか?」

 

 あのシャチがレーザーを放つタイミングを理解し、塔の真正面で塔に向かってレーザーを撃たせる必要がある。

 

「作戦がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて」

 

 あのシャチは闘争心の塊。一度狙いを定めた相手を集中狙いするらしい。

 つまりアラバよりも俺とサンラクの方がヘイトを集めやすい。

 

 作戦内容はこうだ。俺は一人、サンラクはアラバと二人で移動し、シャチのヘイトをコントロールして位置を調整。

 シャチを塔の真正面かつ五十メートルほど離れた位置に移動させたら俺が塔に張り付き、サンラクはインベントリアを利用して消える。シャチのヘイトが俺に向いたら離れた位置の俺に向けてレーザーで攻撃するはずなので気合で避けて塔でレーザーを跳ね返す……

 

「なんか衝動的にあのシャチをぶん殴ったせいで話が面倒なことになっているような気がする……」

 

 まあ多分気のせいだろう。アラバが食べられてしまうか焼き魚になってしまう前に位置調整を終わらせなければ。

 

「もうちょいこっち!」

 

「ちょっと近すぎる!もう少し向こう!」

 

「アラバ、もっと高度上げてくれ!」

 

「む、無茶が過ぎるぞ……!」

 

「ああ止めて!放電は止めて!!」

 

 近すぎればレーザーを使ってこないし、直ぐに着弾するから回避の隙も無くなる。遠すぎれば僅かなズレで跳ね返ったレーザーが外れてしまう。

 位置調整を慎重に行い……その時はやってきた。

 

「ここだ!【ウツロウミカガミ】!」

 

 幻影とともにサンラクのヘイトだけがその場に残され、シャチがその幻影を狙っている間にサンラクはアラバと退避し、インベントリアで一時的にこの世界から消える。やっぱりズルくないかあのアクセサリー。

 俺はその間に塔に向かって飛び、外壁に着地。高さをシャチと合わせて、立ち位置を微調整する。

 

「あいつの知能次第では二回目のチャンスは無いかもしれんからな……」

 

 自分にレーザーが跳ね返ってくる可能性に気がつかれたらもう塔に向けてレーザーを撃ってくれなくなる可能性が高い。あれが哺乳類なのかは知らんが、シャチモチーフなら知能が高い可能性は十分にある。

 

 サンラクの幻影が消えたのか、シャチがキョロキョロと周囲を見回す。命懸けで折角位置調整したのだ。そこを動かれる前にヘイトをこちらに向けさせないと。

 

「こっちだシャチ野郎!!!」

 

 スキル「超振動咆」を発動。音の砲撃がシャチの横面に命中し、視線がこちらに突き刺さる。

 このスキルは咆哮スキルとブレススキルの中間といった性能のスキルで、怯みとダメージの両方に優れたスキルだ。「獣王咆哮(ビースト・ロア)」に範囲で劣るが、威力と射程でこちらが勝る。

 

「レーザー来いレーザー来い……」

 

 そもそもここでレーザーが来なかったら意味がない。高度なAIが搭載されているとは言え、流石にそこはゲームのモンスターだ。この状況ならこの技を使うといったパターンが存在しているはず……!

 

「……来た!」

 

 シャチが蒼い稲妻を纏い、頭部の蒼い炎の勢いが弱まる。それがレーザー攻撃の合図……!

 

 発射されてから回避しないとレーザーの軌道がズレる。限界まで意識を集中させ、発射されたその瞬間にスキルを使わなければならない。

 回避が早すぎてもダメだし遅すぎてもダメだ。レーザー攻撃の余波だけでもサンラクは死にかけたという。その余波が雷属性だとすると俺なら余裕で即死する。

 

 つまりビビったら負けだ。ライオットブラッド・バックドラフトを飲んでおいて良かった。カフェインを燃料とし、まるで脳が燃え滾るかのような感覚と共に意識が研ぎ澄まされてゆく。

 

「ライオットブラッドよ、俺に勇気を──!」

 

 極限まで高まる集中力によってシャチの僅かな動きの変化や口元にチャージされている稲妻の輝きの変化までハッキリと判別できる。

 輝きが最高潮に達するその瞬間、「瞬刻視界(モーメントサイト)」と「時律変速(トランスミッション)」を同時に発動する。

 

 俺の時間だけが加速し、周囲の時間を置き去りにする。

 懐かしい感覚だ。火に包まれた孤島で「γのガンマン」を殺すために合法堕ち寸前までライオットブラッドを服用したあの時の感覚を思い出す。

 そうだ、アイツと比べたらこの程度なんら恐ろしい相手ではない。アイツなら姿も見せずにこちらのことを穴だらけにしてくる。姿が丸見え、発射タイミングも丸わかりのこいつを恐れる理由がどこにある?

 

 「──今だ!!」

 

 蒼い閃光がルルイアスを更に蒼く染めたその瞬間、予め起動しておいた灼毒馬釘(ソーマ=スタング)(スペリオル)で両脚を粉砕するギリギリの速度で稼働させ、スキルで全力で加速しながら飛び上がる。

 塔の外壁を蹴って上へ向かって落ちながら走り続ける。「フルスロットル・レーシング」と「ヘルメスブート」の組み合わせで足場が無くなっても空中を足場に駆けて加速し続ける。

 

「当たってくれよ……!」

 

 背後でバリバリと稲妻が炸裂する音が鳴り響く。振り向いて確認している場合じゃないので足を止めずに走り続ける。

 

「おっと危ない」

 

 上に向かって走り過ぎて危うく海底に激突しそうになったので急カーブ。ルルイアスを覆う球状の反転空間に沿うように走り続ける。

 どうやらレーザーの余波の範囲外に出れたようで、ちょっと背中を押されたような感覚だけで済んだ。

 

「結果は……」

 

 上を見上げ……いや、今上下逆になって走っているから下か?いや、この空間が上下逆だから……めんどくせぇ!

 それは置いといて見上げてみれば、ダメージエフェクトを撒き散らしながらルルイアスに落下していくシャチの姿が見えた。

 

 作戦は成功……だが、奴はまだ死んでいない。

 

「それならトドメはこの手で刺してやるよ!!」




アトランティクス・レプノルカいいよね

そのうちやってみたい掲示板回。でもツチノコさんとか珍鳥みたいな主人公の良い感じのあだ名が思い浮かばない。「名前を言ってはいけないあの人」でいいかな。NPCに主人公について聞き込みをしようとすると大体こんな反応をされます

特に関係のない話なんですけど、最近モンハンが話題ですよね。というわけで俺もモンハン始めました
反射神経ヨボヨボでゲージ管理もできないのでギルドスタイルで大剣を振り回しています
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