シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
アンデッドタツノオトシゴは"
機敏なタツノオトシゴが先にこちらの動きを止めて、力強い"
「一人で倒すことが想定されていない……」
初めから二匹セットのそういうモンスターとして設計されているモンスターなら理不尽にならないように分かりやすい隙があったり、片方が動いている時はもう片方が大人しくなったり、分断する方法があったりするものだが……こいつら近寄ると一緒に下がりながらお互いの隙をカバーするように範囲攻撃してきやがる。クソゲーでは?
「どうする……?振動耐性マイナスのせいでむりやり突っ切ることも困難。体が持たない……」
逃げるので精一杯だ。タツノオトシゴの音による振動ダメージを受け続けると死んでしまう。走り続けるしかない。
「そうだ、一旦隠れてスタミナを最大まで回復させて硬直を解除しよう。攻撃スキルで短期決戦を狙う……!」
その為にもなんとかして隙を作りたいのだが、どうするか……自由に異空間に逃げられるインベントリアってマジでヤバいアクセサリーだったんだな……
「何か良い方法は……」
ちらりとスキルを確認する。
蘇生効果を持つスキル「
このスキルは特殊で、戦闘開始と同時に強制的に二十四時間のリキャストタイムに入る。そこから何かしらの条件でリキャストタイムが短縮されてゆくのだ。
その条件はまだ判明していないが、現在のリキャストタイムは残り七時間……このスキルにはまだ頼れない。
「そうだ、このスキルなら……!」
今まで戦闘終了時にばかり使っていたが、シャンフロの仕様を思い出してそれが戦闘中にも役立つスキルだと気が付く。
"
「ぐおおおおっ!?た、耐えたぞ!!」
鋏から放たれる衝撃波を至近距離で浴びたが、HPの減少が1で止まり、直ぐに回復する。
「
シャンフロの仕様で幸運が100以上のプレイヤーは一度だけ確定で即死を免れることができる。多段ヒットやスリップダメージには弱いのだが、この衝撃波は単発ヒットかつ、スリップダメージを上回る回復が常に行われていることによって俺は死なずに済んだのだ。
"
「よお」
「ギィイ!!?」
"
直ぐに泳いで距離を離されてしまったので攻撃できた回数は少なかったが、黒死の
更に連鎖して猛毒、火傷、凍傷、麻痺も発症し、"
「そのままスリップダメージでくたばってくれ!」
アンデッドタツノオトシゴの意識が"
建築物の中に逃げ込み、奴らに気づかれないように息を潜めてスタミナが回復するのを待つ。
何回か衝撃波によって周囲の建築物が吹き飛ばされたが、それでも忍び続けたことで俺のことを見失ったのか、今ではガラガラと骨の音だけが響いている。
いいぞ、スタミナが戻ってきた。この調子ならもう直ぐ……!?
「なんじゃありゃ……!?」
アンデッドタツノオトシゴのスカスカのお腹の骨の隙間から詰め込まれていた無数の骨が飛び出す。
それを建物の陰に隠れながらよく見てみれば大小様々な海洋生物の骨のようで、放出されたそれらが空中でくっつき合い、まるで生きているかのように空中で泳ぎだす。
「ガラガラ……」
「ガチガチガチ……」
「ブォー……ブォー……」
「賑やかな奴らだ……」
色々な海洋生物の骨が雑に繋げられたようなアンバランスな骨キメラは泳ぐのがあまり上手ではないようだが、数が凄まじく多い。それぞれがまるで楽器を奏でているかのような音を発しながら索敵を行っている。
だがしかし、スタミナ回復スキルの重ね掛けでこちらのスタミナはもう殆ど回復している。ルルイアスでは補充出来ないから貴重なスタミナ回復アイテムもフル投入だ。
「三……二……一……今!!」
骨キメラに発見されそうになる直前でスタミナが完全回復し、硬直状態が解除。
MPが無くなるので水晶ガードが使えなくなるが、それでもスキルを使いたいので
その場から勢い良く飛び上がり、骨キメラの群れを飛び越えて奴らよりも高い位置に移動する。
衝撃波で迎撃されるよりも早くスキルを一斉に起動。影に包まれて巨大化、更にそこからスキルで巨大化、落下方向変更、落下速度上昇──!!
「ちゃんとスキルとして習得済みだ!!「
それは落下エネルギーを威力に変換する攻撃スキル……つまり速くて重いほどに威力が大きく向上する!!
「ぶち抜けぇえええええええええ!!!!!」
斜め下へと落下しながら放つその飛び蹴りは、落下エネルギーの分だけ派手になるエフェクトと合わさり、まるで漆黒の槍のようになって奴らへと迫る。迎撃しようとしていた奴らが今から回避しようとしても間に合わない。
これが通常のアーコリウム・ハーミットなら貝殻に隠れて凌ぐことができたのだろうが、こいつがそれをすれば相方のアンデッドタツノオトシゴにこれがクリーンヒットすることになる。
「ギギギィ!!」
「ブォオオオッ!!?」
なんとアンデッドタツノオトシゴが"
ズドォオオオオン!!!
「先にタツノオトシゴの方をやっておきたいんだがな……」
大きくノックバックした"
影で補強した上でなお俺の脚が圧し折れるほどの威力の全力の蹴りを受け止めた巨大な右の鋏には大きなヒビが入り、もう少しで破壊できそうだ。
「ブオオオオオオオオ!!!!!」
「お前が怒るのか。仲いいんだな」
タツノオトシゴの怒りの咆哮は骨キメラへの攻撃指令でもあったようで、即座に無数の骨に包囲される。
だがスキルの効果時間はまだ続いている。
「沢山聴かせてもらったからな。今度はこっちが聴かせてやるよ……俺の咆哮をなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
「
「まだまだぁ!!」
続いて「超振動咆」を放ち、二匹纏めて怯ませながら距離を詰める。
「防げるもんなら防いでみな!」
黒死の抱擁を逆手に握り、使ったことが無いのに習得してしまった短剣のスキルの「死角の隠し刃」を発動。
このスキルは相手の不意を突いて短剣を命中させた場合、威力が大幅に上昇して確定でクリティカルになる効果に加えて、武器が持つ効果やアイテムや魔法で武器に付与した追加効果の付与確立や蓄積量などを大幅に向上させる。
黒死の抱擁は短剣並みの軽さであるためこのスキルが発動可能であり、しかも基本的に刃は物質をすり抜けるので防ぐことができないという理不尽性能を持つ。
ここで重要なのは物質をすり抜けられるということ。つまりガードできると思って構えてしまった相手に対して正面からガードをすり抜けて不意を突くことが可能なのだ。
目の前に迫る巨大な刃を前にしてガードしないという判断は困難だ。"
「クターニッド戦に取っておきたかったが、そうも言ってられんな。食らいやがれ!!「
柄から黄金の光の奔流が溢れ出し、黒死の抱擁の刃が物理的な破壊現象を引き起こすほどの勢いで発射される。
"
ルルイアスの反転空間の外へと押し出され、更に遠くへと押し流されていった奴らがそのまま帰ってこないことを祈りつつ、戻ってきた時のために備える。
「頼むぞヴィンセント……ヨハンナは大人しくしていてくれ……」
黄金の水晶が成長してヴィンセントが完全な姿になったのを確認して構え直す。
インベントリ内で荒ぶるヨハンナの呪いで物凄いスリップダメージを受けている今、リジェネでの回復がかなりギリギリなので、音の振動でHPをゴリゴリ削ってくるアンデッドタツノオトシゴを急いで黙らせないといけない。
「ブオオオオッ!!!」
「ギギギィ……!」
「そのまま逃げればいいものを……」
再び反転空間内に戻ってきたら2匹はかなりボロボロになっていた。
特に"
アンデッドタツノオトシゴも腹の骨が砕けて、中に詰まっていた骨がボロボロと零れ落ちている……ん?なんかあいつの腹の中に棒状の骨じゃない物体が入っている……?あれが弱点だったりしないだろうか?
「逃げないのなら、お望み通りぶっ殺してやるよ!!」
正直撃退だと素材勿体無いなって思ってたんだよね!
気が付けばこの小説の評価の投票者数が49人になっていました
もう少しで目標の50人ということでこれからも気合を入れて執筆していきたいと思います
これだけデカくて強くても、ただの二つ名モンスターである以上ドロップアイテムは通常個体と変わらないというね
しかしギルドやNPCからのクエストでの討伐でなら得られるものは多い。今回の場合、アラバからの好感度はかなり上がるし、アラバ経由で魚人族全体の好感度もそれなりに上がる。初対面で敵対するかしないかギリギリのレベルから多少警戒されるレベルまで印象が良くなるぞ!主人公の信頼値とカルマ値が極端すぎるのが悪い
まあ通常ドロップと感謝以外の報酬もあるんですけどね
それはこいつらがここまで巨大化した原因であり、主人公とこいつらを引き合わせた元凶……