シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

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後もう少しで評価者50人だなーと思ってちょっと催促したら突然70人に増えてちょっとビビってます
おかげさまで評価ゲージが全部染まりました。本当にありがとうございました!

記念にちょっと設定ゲロるか


暴徒と伴奏

 "独勝(アリア)"は放っておいてもスリップダメージで死ぬだろうが、あの衝撃波攻撃は厄介なので早めに潰しておきたい。

 

「その鋏をぶっ壊せばもう何もできないだろ?」

 

 「ガッツガード」と「パンクラチオン」の組み合わせで全身にガード判定を纏わせたまま前進。そしてダメージをスタミナで受ける。

 スタミナが凄い勢いで削られているが、3000もあるスタミナを一瞬で削り切ることは不可能。しかもスタミナ関係のスキルやアイテムもフル活用で効果時間中は余程の事が無ければ物理ダメージで死ぬことは無い。

 

 「フリッカー」の回避連打で姿を消しながら接近すれば、認識阻害効果によって敵の攻撃が若干ズレた位置に着弾する。

 回避スキルの加速はAGI依存であり、AGIがゴミカスな俺は大した速度が出せないのだが、「フリッカー」の強みはこの攪乱性能だ。足りていないスピードは灼毒馬釘(ソーマ=スタング)(スペリオル)で補う。

 

「砕け散れ!!」

 

 「豪猪針(ヤマアラシ)」を発動し、"独勝(アリア)"にヴィンセントを何度も突き刺す。

 その度に黄金の粒子が飛び散り、ヴィンセントに振動が蓄積してゆく。

 

 "独勝(アリア)"は右の鋏で防ごうとするが、「豪猪針(ヤマアラシ)」は装甲貫通効果を持つスキルだ。完全に貫通はしないが、それでも表面に浅く刺さり、そこにエフェクトを残してスリップダメージを与え続ける。

 しかもエフェクトと一緒に黄金の粒子もその場に残り、振動ダメージを発生し続ける。

 

 破壊属性を持つヴィンセントの連撃によってボロボロと崩れ落ちてゆく"独勝(アリア)"の鋏だったが、最後の力を振り絞るかのようにゆっくりと鋏が開かれる。

 

「ブオオオ!!」

 

「ギ、ギギ……ッ!!」

 

「何だ……!?」

 

 タツノオトシゴが尻尾を伸ばして"独勝(アリア)"の腕に巻き付けて動きを止めるが、"独勝(アリア)"はそれを振り解く。

 ここに来て突然の仲間割れ……いや、相方を心配しているのか?

 

 鋏が閉じられ、閃光が辺りを包み込む。

 だがまだ「ガッツガード」と「パンクラチオン」の効果は続いている。衝撃波で大きく吹き飛ばされてスタミナが殆ど吹き飛んだがなんとか耐えられたし、黒死の(まじな)い釘で引き上げられた耐性が硬直を防いでくれた。

 

「最期は自滅か。そりゃお前がいくら頑丈でも至近距離でそんなにバンバン爆発させていたら耐えられないよな」

 

 "独勝(アリア)"の右の鋏は完全に砕けて、力なく倒れ伏している。もう奴のHPは残り僅かだろう。

 

 スタミナ回復とリキャストタイム稼ぎも兼ねて"独勝(アリア)"がスリップダメージで死亡するのを待つ。

 タツノオトシゴも俺に攻撃するのを止めて、"独勝(アリア)"のことを心配するかのようにその顔を見つめている。

 

「そのまま戦意喪失して逃げてくれれば楽なんだがな……」

 

 巨大な"独勝(アリア)"という重りが無くなったあいつはそれはそれで厄介そうだ。あのサイズを抱えたまま変な姿勢で高速移動できることを考えると、一匹だけになったらもっと素早くなると予測できる。

 正直ルルイアス上空をを泳ぎ回りながら衝撃波を撒き散らしたりされるとかなり厄介だ。だからここで決めてしまった方が確実……!

 

 スタミナがそこそこ回復したのを確認してヴィンセントを構え……!?

 

「……」

 

「ギ……ギギギ、ギィ……!」

 

「……!」

 

「ギギ……!」

 

 タツノオトシゴが尻尾を伸ばし、"独勝(アリア)"の首に巻き付けて──

 

 ベキッ!!!

 

「な!?と、トドメを刺した……!?」

 

 力が抜け、ズシンと倒れ伏した"独勝(アリア)"の体がポリゴンへと変化し、爆散する。

 その直後、システムによって戦闘終了を告げるメッセージとレベルアップを告げるメッセージが出現する。

 

「戦闘終了……戦意喪失か……?」

 

 輝く雪のように降り注ぐポリゴンの中、"独勝(アリア)"のドロップアイテムを見つめているタツノオトシゴ。

 気が付けば戦闘中ずっとガラガラと鳴り響いていた奴の骨の音も止んでおり、静寂が訪れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そんな静寂の中、ピシリと何かが割れるような音が響いた。

 

「……おい、まさか……」

 

 タツノオトシゴがプルプルと震えだし、全身の骨に次々とヒビが入る。奴の腹の中で何かが……あの棒状の何かが光を放っている。

 まるで内側から風船が膨らんでいるかのように一つ一つの骨がヒビを広げながら歪に膨れ上がる。

 

「そ、そのまま死ぬんだよな?まさか──」

 

 ボロボロと古くなった骨が剥がれ落ち、中から新しくなったより巨大な骨が出現する。

 更に足元の"独勝(アリア)"のドロップアイテムが宙に浮かび、砕けていた腹の部分を塞ぐかのように張り付き、更に余りのパーツが変形してまるで鎧のようにタツノオトシゴに纏わりつく──

 

「──第二形態じゃないよなぁ!!!?」

 

「──ブオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」

 

 元々巨大だったのに更に一回り大きくなり、"独勝(アリア)"に巻き付けていた尻尾を伸ばし、甲殻によって補強された鰭を広げたタツノオトシゴはまるで鎧を着た骨の龍のような姿をしていた。シードラゴンとはよく言ったものだ……あれ?タツノオトシゴはシーホースだっけ?今はそんなことを考えている場合では無い。

 

 なんかもう明らかにボス級のクソヤバいオーラを発している……というか歌う瘴骨魔(ハミング・リッチ)みたいに実際に瘴気を撒き散らしているのか周囲の景色が暗くなっている。

 

【殺害宣言を受けました!】

 

「なんて?」

 

 ちらりとステータスを確認する。

 特殊状態「殺害宣告」……要するにお前をぶっ殺すという宣告らしい。あいつ……「スーマラン・シュヴァラゴン・スケルトン"伴葬(レクイエム)"」のヘイトがずっと俺に向かい続けるそうだ。

 

「お前も二つ名持ちなのか?まあいい。さっさと終わらせてやる……!」

 

「ブオオオオオ!!!」

 

 "伴葬(レクイエム)"が咆哮を上げた直後、腹の穴を塞いでいた装甲が剥がれ、そこから何かが飛び出してくる。

 

「さっきの骨キメラ……とは違うようだな」

 

 先程の歪な骨キメラとは違う。何かしらの生物の……いや、恐らくアーコリウム・ハーミット"独勝(アリア)"の甲殻を鎧のように身に纏った小型のタツノオトシゴの軍隊だ。

 小型とは言っても本体があの大きさなので、一匹一匹が頭から尻尾の先まで三メートル以上はあるんじゃないだろうか。それが十匹も整列している。

 

 "伴葬(レクイエム)"が尻尾を振るい、それを合図に軍隊が並んで突撃して来る。

 更に本体は吻から目に見える黒い音波を発し、更に長い尻尾を鞭のように振るう。

 

「ああもう!今だけ「呪界啓示(カース・ビジョン)」帰って来てくれないかな……!」

 

 戦闘が一瞬だが終了したため、スキルのリキャストタイムが全てリセットされている。それは良いのだが、「心呪律動(フリダヤターラ)」までリセットされてしまい、また二十四時間のリキャストタイムに入ってしまった。何なんだこのスキル。ノーデメリット蘇生は強いんだけどさ……

 

 スキルで思考と時間を加速させて、ルルイアスの建築物の間を跳ね回る。

 これだけの数相手に動きを予測されたら終わりだ。不規則に動き続けて一匹ずつ減らすしかない。

 

 タツノオトシゴの軍隊は尻尾の先端に張り付けられた甲殻を槍のように突き出しながら突進したり、尻尾を振り回したり、吻から音波を放ったりと動きは単調だが、それなりに速いしデカいし数が多い。

 しかも真っ直ぐ後ろを追ってくるだけの単調なAIではなく、ある程度散らばって移動先を限定してくる。

 

「邪魔!!」

 

 「正義の断頭(ボワ・ド・ジュスティス)」を発動してすれ違いざまにタツノオトシゴの首に叩き込むと、割とすんなり首が取れた。

 ポリゴンになって消滅したのを確認し、残りの九匹を始末しに──

 

 ズバァンッ!!!

 

「あっぶな!!?」

 

 "伴葬(レクイエム)"の尻尾の先端が体を捻った俺の直ぐ側の地面を叩き割り、衝撃波で吹き飛ばされる。加速していた思考でギリギリ反応できたが、あの尻尾の先端は音速を超えているんじゃないか?

 

 吹き飛ばされた俺を挟み込むかのように迫る軍隊を空中を蹴って包囲から抜け出す。

 

「クソッ!スキルのリキャストタイムが長すぎる……!急いで数を減らさなきゃこのままじゃどこかで詰みになる……!」

 

 このゲームは強力なスキルほどリキャストタイムが長くなる傾向がある。ここまで様々なスキルを習得して、ステータス不足を補うためにより強く進化させてきたが、ここにきてそれが逆に俺を追い詰めているのだ。

 

「やっぱりスキルはこまめに合体させて圧縮しておかないとダメだな……!」

 

 スキルを強く育ててから合体させるとより強いスキルになるらしいのでスキルの合体は後回しにしていたのだが、さっさと合体させて似たようなスキルを沢山習得してリキャストタイムを補う方が確実だったか。

 今更後悔してももう遅いが、ここはポジティブに考えよう。俺が習得しているスキルはどれもリキャストタイムが長い分、一つ一つに状況をひっくり返せるような力があるのだと。

 

「「壊身の一撃」!!」

 

 タツノオトシゴの頭を装甲ごと叩き割る。この武器なら耐久消費は気にしなくてもいい。

 

「「遠当て」!!」

 

 スタミナを消費して煌めく粒子を斬撃に乗せて放ち、遠距離から首を断ち切る。これで残り七匹。

 

「ブオオオオオオオオッ!!!!!」

 

「うおおおおおおおッ!!?」

 

 "伴葬(レクイエム)"が尻尾を横に振るい、ルルイアスの建築物を纏めて薙ぎ払い広範囲を更地に変えてしまう。

 俺が壁を蹴って移動するからそれを邪魔するためにやったのだろうが、規模がデカすぎる。早く何とかしないとNPC達が巻き込まれる!

 

「まだまだぁ!!」

 

 空中で落ちる方向を変更して黒い音波を回避。空中を複雑な軌道で落ちながら軍隊の中心へ敢えて突っ込み、「獣王咆哮(ビースト・ロア)」で怯ませながらその内の一匹にヴィンセントを突き立て、灼毒馬釘の出力を上げて強引にぶった切る。

 

「出し惜しみは無し!「元素嚢(エレメンタル・ブラダー)」あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 

 ここでは貴重な蠍素材を噛み砕いて飲み込み、煌めく大地のエネルギーをブレスとして放つ。

 タツノオトシゴが二匹光に呑み込まれるが、それを回避した残りの四匹が接近して来る。

 

 「元素嚢(エレメンタル・ブラダー)」を中断、「如意自在」を発動し、更に灼毒馬釘で腕を強引に加速させる!

 制御に失敗したら腕が千切れ飛ぶが、やらなきゃ俺が死ぬだけだ。

 

 エフェクトを纏ってリーチが伸びたヴィンセントを振り回し、槍のように突き出された尻尾を切り落とす。怯んだその一瞬で接近して、一匹細切れにする。

 

 細切れにされた仲間ごと俺を攻撃しようと構えている残り三匹を「多津一声(ラストワード)」で怯ませて動きを止める。

 このスキルは大声で怯ませるだけでなく、確率で魔法の詠唱や咆哮などを中断させて暫く発動不可にする効果も備わっている。音波攻撃を止められた奴らが混乱している隙に纏めて切断する。

 

 これで奴の部下は全滅。残るは"伴葬(レクイエム)"のみだ!




スーマラン・シュヴァラゴン・スケルトン"伴葬(レクイエム)"
深海三強に打ち勝つ程の強さ、莫大な量の経験値、アーコリウム・ハーミットにずっと育てられてきた特別な環境、そして■■■■■■が持つ「価値」を高める力……あまりにも特殊な条件が揃いすぎていたことに目を付けたクターニッドサーバーが進化させていいか申請してみたらベヒーモスサーバーから許可がでちゃったことで誕生した超特殊な個体。後で気が付いたりっちゃんはキレた
"独勝(アリア)"のドロップ素材を進化の際に取り込んでおり、全身が鎧で覆われているため耐久力と攻撃力が共に大きく上昇している他、常に瘴気を放出しており、生半可な呪い対策では余裕で貫通される
今回主人公は十匹の子タツノオトシゴと戦闘になったが、進化前の時点で骨を消費しすぎていたため規模が小さくなっており、もしも骨が十分確保できている状態なら同時に百を超える大軍団と戦闘することになっていた。

要するに"緋色の傷(スカーレッド)"と同じ後天的レアモンスター。あっちはどんどん成長するけどこっちはもう成長しない代わりに軍隊の規模が増える
倒し損ねると「墓参り」にルルイアスに定期的にやって来るようになるのでクターニッド攻略の難易度が爆上がりする


世界観を維持しつつオリジナルのモンスターを考えるの難しいけど楽しい
アニメのシャンフロ見てたら色々とアイデア湧いてくる……全身黒色の金蠍とか

それはそれとして、投票者数50……70人記念でこの前ゲロったあれらの補足設定をここで出しちゃおうか!(ネタバレ注意)




















真なる(The Truth)竜種(Dragon):EXNo.Ⅳ『Phantom(ファントム)
基となる恐怖:未解明、原因不明の苦痛や死
呪い(■■■)を用いて戦う、見ているこっちが不安になるほどの細すぎる体を持つ竜
真っ白な仮面以外は完全に真っ黒という異質な姿をしている
簡単に思いつく様々な対策が逆に事態を悪化させることになる凶悪な能力を持ち、仮に通常のエリアで戦闘となった場合、最悪シャンフロが「ゲームオーバー」になりかねないほどの被害を発生させる

「おーい!!降りてこい卑怯者ー!!」


真なる(The Truth)竜種(Dragon):EXNo.Ⅴ『Heavyweather(ヘヴィウェザー)
基となる恐怖:災害による途絶や孤立
引力を用いて戦う、全身が金属質な装甲で覆われた竜
装甲の隙間からは暗く蒼い炎が噴き出している
名前の通り「重い天気」こそがこの竜の武器であり、集団相手にめっぽう強く、仮に通常のエリアで戦闘となった場合、降り注ぐ「雲」により広範囲の地形が変わるレベルの被害を発生させる

「重い天気ってそういう意味ではないと思うのだが……」


真なる(The Truth)竜種(Dragon):EXNo.Ⅵ『ᛒᚱᛁᛟᚾᚫᚳ(■■■■■■)
基となる恐怖:恐怖を滅する輝きへの恐怖
黄金に輝ける竜
人の恐怖は尽きること無く、恐怖を滅したとて、それが次なる恐怖の対象となるだけ……




















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