シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
「追加があるなら早く出してくれよ、あんまり時間がないんだ」
「ブオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
後方からの支援が中心だった"
その巨体からは想像できないほどの機敏さで一瞬で背後に回り込まれる。
「おっととと、危ねっ!?」
背後からの音波攻撃に意識を向けた瞬間、後頭部目掛けて尻尾が振るわれるのを体を捻って回避する。
長い体をフル活用しやがって、俺の目は前に二つしかついていないんだぞ。前後から同時に攻撃するんじゃない。
「多分破壊属性付きだろうな、直撃を食らえば終わりだ」
強いモンスターの強い攻撃には大体破壊属性がついている。あの巨体だと接触するだけで体がバラバラになって死ぬ可能性もある。
長期戦は事故の元、それにNPCのこともある。リキャストタイムを調整しつつ、必殺の一撃を奴に叩き込んでやる必要がある。
「ブオオオオオッ!!!」
「予想通り、めちゃくちゃ速い……!」
ログイン前にライオットブラッド・トゥナイトを飲んでいたおかげでギリギリ集中力を維持できているが、このままではいつ事故るかわかったもんじゃない。
「生半可な攻撃じゃ怯んでくれないか……!!」
遠距離から攻撃できるスキルを次々と繰り出してはいるのだが、速すぎて中々直撃しないし、当たっても怯まない。
「遠当て」なら怯むかもしれないが、スタミナを一気に消費して外すとマズい。どうする……!?
「なっ、しまっ……!!?」
"
跳び上がって回避しようとした所を逃さす"
「うぐおッ!!?」
咄嗟にヴィンセントを盾にして「ガッツガード」で受けるが、あまりの威力に吹き飛ばされ、スタミナが全て消し飛び、掠った右脚が捥げた。
「これは……流石に死んだか?」
俺は何度死んでも蘇るが、その度に大きなタイムロスが発生するのでここまで死なないように頑張ってきた。しかし流石にもう限界だったようだ。
「
「でも折角死ぬなら、せめて全力の一発を──」
「【タケノミカヅチ】!!」
「うおっ!?何だ!?」
"
竹を生やすという謎の技を使える存在を俺は一人……一匹?しか知らない。
「シークルゥさん!?呪いは!?」
「理由はわからぬが呪いの範囲が狭まっているようでござるな。ぶんぶん丸殿が置いて行ったこのお札があれば暫くは呪いに耐えられそうでござる。それよりあれはなんでござるか!?」
吹っ飛ばされながら下の方へ視線を向ければ、シークルゥとその傍に立つアラバの姿がそこにあった。二人だけこっちに来たのか?
「えっと……"
「よくわからないが、大変なことになっているのはわかった!」
竹を圧し折り、再び"
短い時間ではあったが、右脚を再生させるだけの時間は稼げた。
「あのモンスターは何だ……!?」
「アラバ殿も知らないのでござるか?」
「えっと、スーマラン・シュヴァラゴン・スケルトンってモンスターらしいです」
「あれが!?……言われてみれば確かにそれらしい部分もあるが、あれほどまでに大きい個体は初めて見たぞ……!?」
どうやら通常の個体よりも遥かに大きい個体らしい。となると進化前の時点で既に通常個体よりもデカかったのか?
「何か弱点は?」
「弱点……骨になる前のスーマラン・シュヴァラゴンならブレスの前に水を吸い込むタイミングで口に魔法を打ち込めば大きなダメージを与えられるのだが……」
なるほどね……試してみる価値はありそうだ。
「ブオオオオオ!!!」
「尻尾攻撃が来る!」
「アラバ殿!」
「ああ!」
尻尾での薙ぎ払いを最低限のジャンプで躱す。
シークルゥは空中を泳げるアラバに捕まって一緒に回避したようだ。
"
「ブオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
「ぬぉおおっ!!?」
「ぐぅッ!?なんという音圧……!」
"
そういえばさっきまでずっとうるさかったガラガラと骨がぶつかり合う音が奴が進化してから殆どしていない……あれか、奴が腹の中に入れていた大量の骨が無くなったからか。
圧縮してあの十匹の部下に作り替えたからだろうか?その部下も全滅したことで奴の腹の中には先端が発光している謎の棒状の物体だけが浮かんでいる。本当に何なんだあれ?
「さて、後は正直運だな……」
スキルのリキャストタイムと奴の行動パターンが上手く噛み合えばなんとかなる、噛み合わなければ俺は死ぬ。
"
この中でも衝撃波攻撃の直前に特に大きく息を吸い込む動作を見せるのでこのタイミングで攻撃を仕掛けたいが、この時距離が離れすぎているとダメだ。しかし近づきすぎたら突進が避けられなくなる。
「もう少し持ってくれよ……!」
ヴィンセントとヨハンナが再合体するまでの残り時間が近づいてきている。急がなければ。
「ヘルメスブート」で空中を駆け、「
「そう何度も同じ技を食らうか!」
甲殻発射攻撃も至近距離で突然使われたあの時はギリギリの回避だったが、適切な距離を保っていれば当たらないし、その後の突進も空中を蹴って回避する。
「見切ったでござる!【タケノミカヅチ】!!」
「ブオオオッ!!?」
再びシークルゥの【タケノミカヅチ】が放たれ、"
身動きが取れなくなった"
「そこだ!」
重力を操作して"
重力に引かれて落ちていった爆薬がそのあまりの吸引力によって次々と吻から奴の体内へと吸い込まれてゆく。奴が巨大であるが故に途中で詰まることも無く、爆薬がどんどん吸い込まれてゆく。
「そのスカスカの体でも内側からの攻撃は効くのかな?」
"
ズドォオオオオオオオオンッ!!!!!
「オォオッ!!!?」
「うおっ!?ちょっとやり過ぎたか……」
"
あまりの爆発の威力に離れていた俺もアラバもシークルゥも爆風で飛んで行く。アラバが空中を泳げなかったら今の結構ヤバかったな……勿体なくて爆発の威力の検証をしていなかった。
「や……やったか!?」
「いや、まだでござる!奴の背骨は繋がっているでござる!」
「普通なら致命傷なんだが、そこはアンデッドか……!」
だがしかし、確実に大きなダメージが入っている。
奴が大きく怯んだ今がチャンスだ!
「畳みかける!!」
「墓守呪業【
一気に距離を詰め、その首にヴィンセントを連続で叩き込む!
「オラオラオラァ!!その首切り落としてやるよぉ!!!」
「ッ……!!」
ヴィンセントで殴る度に響鳴カウンターが乗り、振動数の増加と共に威力がどんどん上がってゆく。
首を執拗に叩き続け、更に限界まで増やした質量で踏みつけたことでどんどん高度が落ちてゆき、遂に"
「シークルゥさんもう一回!」
「あい任された!」
地面から交差するように生えた竹によって"
こっちも準備万端だ。一気に決める!
「残りのスタミナ、スキルを全部乗せてぇ──!」
あらゆるスキルエフェクトが重なり合い、漆黒と黄金のエフェクトがヴィンセントを包み込み、更にヴィンセントから剥がれ落ちた煌めく粒子までもがエフェクトによって周囲の空間を漆黒と黄金で染め上げる──
「──ゼロ距離「遠当て」!!!」
ヴィンセントを"
クリティカル率上昇と自滅への保険として発動していた「
「ロスタイム」で体を動かし、スタミナが0になったことで最大倍率となった「鬼足炎炎」を発動。重力の方向を調整、落下速度上昇、その他諸々あらゆる手段で落下速度を引き上げる!
一度戦闘終了からのレベルアップを挟んだことで「
「──これで終わりだ!!「
対象として定めた相手と自分との間に引力を発生させるスキルの効果により、暴れる"
更にこの引力はお互いの体が重ければ重いほどに強くなる性質があり、全身が骨とは言えかなりの巨体を持つ"
引力で更に加速する俺を漆黒のエフェクトが包み込む。加速する程にエフェクトは派手さを増し、ルルイアスの海底の空を漆黒が覆い尽くす──
「潰れろぉおおおおおおッ!!!!!」
「ッ……!」
足が"
"
まだ小さかった頃のアリア「サイズ合わなくなってきたし、どこかに丁度良い貝殻ないかなー」
群れから逸れてしまったレクイエム「やっべアーコリウム・ハーミットじゃん……貝に擬態してやり過ごそ……」
アリア「お、イカしてる貝あるじゃん引っ越そ」
レクイエム「!?」
アリア「この貝生きてるじゃん!そうだ、こいつを育てたら自分の成長に合わせて大きくなってくれる便利な家になるんじゃね?」
レクイエム「なんかご飯くれるし強くしてくれるからこのままでもいいか……」
そして始まる二匹のドタバタ珍道中……
レクイエムが既に死んでいるアンデッドなのにここまで巨大に成長できた理由の一つがアリアが自分のリソースを集中して注ぎまくったからだったりする
実はレクイエムにはアリアによって二属性シャチへの対策が重点的に施されているので、炎属性耐性と雷属性耐性がめちゃくちゃ高い。それらの属性で挑むと何の役にも立たない上に、アリアの素材の効果で耐性が更新され続けているので同じ属性攻撃には二回目以降耐性がつくという魔法使いに優しくない仕様が搭載されている