シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

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暴徒と大怪獣バトル

 これだけ暴れているとヘイトをかなり集めるようで、津波の如く魚人ゾンビが押し寄せてくるが、接近する前に爆散するので勝負にもならない。

 たま混ざっているボス魚人ゾンビはある程度は耐えるが、黒死の抱擁(ノリ・エイ・タンゲレ)で数回切ればそのまま死ぬ。

 

 サンラク達の方にも魚人ゾンビが迫っているが、あの数なら負けることはないだろう。しかしスチューデが隠れる場所がないのが不安だ。

 

「ん?なんだあの黒いの?」

 

 その時、エリア中央の大穴から黒い液体のようなものが飛び出し、それが魚人ゾンビに命中するのが見えた。

 黒い液体が魚人ゾンビに巻き付くと、なんと魚人ゾンビが黒い液体へと変化してしまい、丸ごと穴の中へと引き込まれてしまった。

 

 ここに来て突然の即死技連打とかは止めてもらいたいのだが……見た所プレイヤーではなく魚人ゾンビを狙っている?

 自分で出した魚人ゾンビをわざわざ呑み込んで減らしてしまう理由は……これくらいなら俺でもわかる!

 

「肉と骨と血……最終形態は受肉するのかな?」

 

 恐らくあのポエム……妄想だのなんだのはこれまでのクターニッドの姿の変化を表しているのだろう。

 今の状態は恐らく血肉を求める「仮想」形態であり、最終形態が「想像」だと思われる。

 要するに……ここでクターニッドが沢山食べる程最終形態のクターニッドがより強くなる可能性が高い!

 

「じゃあこれ以上食わせてやんねー!!!腹ペコのまま「想像」とやらになってみろやオラァアアアアアア!!!!!」

 

 「超振動咆」を発動したまま回転し、周囲の魚人ゾンビを薙ぎ払う。

 どうやらポリゴンになって爆散した魚人ゾンビは液体化が不可能らしい。ならばあいつが食べようとしている魚人ゾンビを先に殺し続ければいい。

 

「そこだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 

「うわぁああ!!?」

 

「ごめんなさぁぁぁぁぁい!!!!!」

 

 ボス魚人ゾンビに黒い液体が迫っているのをゾンビの方を吹き飛ばすことで回避させ、そのまま接近して黒死の抱擁(ノリ・エイ・タンゲレ)で切り裂いて爆散させる。

 近くにいたモルドがちょっと咆哮に巻き込まれかけたが、一度咆哮を止めるとリキャストタイムに入ってしまうので許してほしい。

 

 地上付近で薙ぎ払うとサンラク達を巻き込みそうになるな……そうだ、それなら空中から薙ぎ払えばいい。

 

 スキルで高く飛び上がり、空気を足場にして空中に立つ。

 上から見下ろせばどの魚人ゾンビが食われそうになっているのか直ぐにわかる。後はそれを優先してぶっ飛ばせばいい。

 

「頼りになるけど、あれ本当に同じプレイヤーなの!?」

 

「ぶんぶん丸氏、スタミナにしかステータス振ってないらしいからなぁ……」

 

「あれスタミナがどうこうという話なのか?」

 

 極端なステ振りが色々と噛み合って実戦レベルとなった時の喜びは一度味わえば病みつきになるものだ。

 どんなゲームで遊ぶ時もテンプレビルドから外れたくなる衝動に襲われ続けることになるけどね!

 

 完全に俺だけ別ゲーをやっている気分になっていたところで、空中に巨大な魔法陣が出現する。

 あれだけデカいということは、そこから出てくる奴もきっとデカいのだろう……ちょっと心当たりがあるんだが、まさか……

 

「ぷぅえええぇ!?おっきいのが沢山ですわ!」

 

「バカな……!!アトランティクス・レプノルカだと……!」

 

 魔法陣から光と共に現れたのは、超巨大二属性シャチことアトランティクス・レプノルカと、超巨大空母アンコウことスレーギヴン・キャリアングラー……そして長さだけならこの中で一番長いアルクトゥス・レガレクス……この三匹だ。ヤドカリは不在らしい。

 

 一匹だけでもヤバいのにそれが同時に三匹……なるほど、これを時間内に倒しきれなければ最終形態の難易度大幅アップということか。

 

「バカなんじゃねぇのぉおおおお!!?」

 

 空中に立っていたせいで俺は今、こいつらの目の前にいる。つまり三匹のヘイトが真っ先に向かうのは俺ということになる。

 蒼い稲妻が迸り、魚人ゾンビが次々とホーミングミサイルの如く飛び交い、激流ブレスが空を切り裂く中、必死に逃げ回る。こうなっては攻撃どころではない。

 

「任せて下さい……!!」

 

 サイガ-0が跳び上がり、超巨大リュウグウノツカイの後頭部をハンマーでぶん殴ってブレスを中断させる。

 

「アルクトゥス・レガレクスの倒し方は分かっています……!!」

 

 鰓を攻撃されたことで地面に墜落したリュウグウノツカイにサンラク達の攻撃が集中する。

 なら俺がすべきことは、この残り二匹の横槍がサンラク達に入らないようにすること!

 

「アンコウ!お前が盾になれ!」

 

 シャチの放電をアンコウの背中に回って盾にすることで防ぐ。

 真っ向から二匹を同時に削っていくのは無理だ。同士討ち……いや、こいつらが仲間同士なのかは知らんが、攻撃を誘導して削り合ってもらおう。

 

 チラッと下を確認してみれば、次々と黒い液体がリュウグウノツカイに群がっているところだった。時間の猶予はそんなにないらしい。

 

 スタミナ切れで墜落するので「遠当て」のようなスタミナ消費が激しいスキルは使えない。どうすれば……そうだ!

 

「当たれ!「ブルズアイ・スロー」!!」

 

 灼毒馬釘(ソーマ=スタング)(スペリオル)をフルパワーで起動し、金晶弩針剣(ゴールディ・ショット)を投擲する。

 スキルの補正で空中で軌道が修正され、レイピアが吸い込まれるかのようにリュウグウノツカイの鰓に突き刺さる。

 

「それごとぶっ叩いてください!!」

 

「はい!!」

 

 サイガ-0が振り下ろしたハンマーがレイピアの柄頭を叩き、更に深く押し込まれたことでリュウグウノツカイの体がビクンと跳ね、その直後にポリゴンとなって爆散した。

 どうやら間に合ったようだ……さて、残るはこいつらだが……

 

「よっ、ほっ、はっ!」

 

 纏わりつく俺を振り落とそうとグルグル回転しながらゾンビ魚雷を発射しまくるアンコウ。

 弾の補充のためにどんどん魚人ゾンビを取り込んでいるので、結果的に地上が掃除されてクターニッドに食われる前に魚人ゾンビが消えているのはありがたい。

 

 アンコウを盾にし続けて隠れていたからか、シャチのヘイトが地上のサンラク達に向かったらしく、地上に向けて放電を繰り返している。

 これでは同士討ちにならない。誘導する必要がありそうだ。

 

「俺はこっちだぞ!!」

 

 アンコウのゾンビ魚雷発射に合わせて跳び上がり、今度はシャチを盾にしてゾンビミサイルを防ぐ。

 これでシャチのヘイトがアンコウに向かってくれればよかったのだが、まだダメージが足りないのかそれとも俺が攻撃を誘導していることに気が付いているのか、俺に向けて稲妻が放たれる。

 

「俺を狙うならまたあいつを盾にしてやるよ!」

 

 急いでシャチから距離を取り、背後から迫る稲妻を振り切り、ゾンビ魚雷の雨を駆け抜ける。

 あのシャチは距離が離れている相手にはレーザーを使う。それをアンコウにぶつけてやる!

 

「来た!」

 

 シャチの蒼い炎の勢いが弱まり、口元に電気がチャージされてゆく。

 アンコウにアレを確実に命中させるいい方法がある。以前サンラクと一緒にアンコウを討伐したあの時、魚雷の脅威から確実に逃げられる場所を探していた時にサンラクが発見した安置……!

 

「そのデカい口の中!そこが安置だ!」

 

 噛まれないように口が開いた瞬間に加速して飛び込む……うわクッサ!?サンラクは腐った寿司の臭いと言っていたが、こんな臭さ再現しなくてもいいだろ!?

 

 アンコウの口の中に飛び込んだ直後、一瞬蒼い光が口内に差し込んだかと思えば次の瞬間、凄まじい衝撃と共にアンコウが揺れる。

 アンコウがこのレーザーを耐えられるのは知っている。シャチとアンコウとヤドカリの激闘をこの目でしっかりと見てきたからな。問題は俺が耐えられるかだ。

 

 「うおぉおお!?」

 

 ナイフをアンコウの口内に突き立て、必死に張り付き続ける。

 凄く揺れるしぬめっとしているしで物凄く気持ち悪い……しかも灼毒馬釘(ソーマ=スタング)(スペリオル)の効果でこいつの口内が焼けている臭いまでしてくる。精神的にめちゃくちゃダメージを受けている……

 

 暫くして揺れが収まったので、歯の隙間から外を確認する……

 

「よし、狙い通り」

 

 ゾンビ魚雷が次々とシャチに向けて発射されている。ヘイトが移ってくれたようだ。

 そしてそれに反撃するかのようにシャチの放電がアンコウを襲う。ここまで来ればもう口内に隠れ続ける必要はないだろう。そろりと歯の隙間から外に出て、地上に着地する。

 

「ただいま」

 

「ナイスだぶんぶん丸氏!さあ、大怪獣バトルの始まりだ……!!」

 

 超巨大なモンスター同士が激しくぶつかり合う。

 まるで怪獣映画のようなワンシーンを、自分の体まで震えるような空気の振動を、この圧倒的クオリティで楽しめる、良い時代になったものだ。ポップコーンってシャンフロにあるのかな?

 

「どっちが勝つんですかね?」

 

「確かシャチの方が基本的に強いはずです。ここでは弾数も限られていますし」

 

「ぶんぶん丸さん、これさっきの剣です」

 

「あ、どうも」

 

 サイガ-0からさっきぶん投げたレイピアを受け取る。

 うーん、無茶な使い方をしたからか耐久値がギリギリだ。最終形態がどんな勝負になるかはわからないが、こいつの出番はここまでかな。

 

 再び空を見上げると、シャチが結晶化した鰭をアンコウの口に突っ込んで直接電撃を浴びせていた。

 アンコウの恐るべき耐久力でも流石にあれは耐えられないようで、アンコウの頭の上の提灯が割れる。

 

「シャチが勝ちました!」

 

「いえ、まだわかりません。あのアンコウには最期の切り札がありますから」

 

 その瞬間、アンコウの頭部から猛烈な勢いで発射されたのは割れたアンコウの提灯の破片。

 至近距離で回避もできず、全弾シャチに命中。そのあまりの威力にシャチがダウンし、炎の勢いが弱まった状態で地上に墜落する。

 

 アンコウはその一撃を最期にポリゴンとなって爆散した。最後まで残ったのは弱り切ったシャチが一匹だけ。

 

「全員!!攻撃チャンスだ!!レプノルカに総攻撃を仕掛けろーー!!」

 

 全員で一斉にシャチに攻撃を仕掛けるが、それと同時に黒い液体が次々とシャチに迫る。

 アレにシャチの全身が包まれる前にトドメを刺す!




ティ○レックス亜種の咆哮歩きみたいなめっちゃきもい挙動でザコを殲滅して回る主人公
傍から見るとどっちがモンスターだよと言いたくなる光景。その上首と口から血を噴き出している

クターニッド編が終わったらちょっと長めに投稿をお休みします
書き溜めをかなり消費してしまったのでその補充と、先の展開をあんまり考えていないので年末年始で原作を読み返しながら設定を固めて執筆を頑張りたいと思います

ポイントポイントで書きたいシーンは多いのだけれど、そこに至るまでがぼんやりしている……特に征服人形周りはだいぶ設定がうろ覚えだがらしっかり復習しないと
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