シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
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PN:ぶんぶん丸
LV:45
JOB:傭兵(片手剣)
19,400マーニ
HP(体力):10
MP(魔力):1
STM (スタミナ):310
STR(筋力):10
DEX(器用):10
AGI(敏捷):10
TEC(技量):10
VIT(耐久力):10(1250)
LUC(幸運):10
スキル
・無尽連斬
・ピアッシングアーマー・エメンタール
・ドリルピアッサー
・フィニッシュスマッシュ
・バレットフィスト
・パリングプロテクト
・合気Lv.1
・フリードリフティング
・回避術Lv.1
・三艘跳び
・劈く咆哮
・リフレッシュブレスLv.6
・アージェントチャージLv.8
・ハイエンデュランスLv.8
・アイドルリダクションLv.1
・リブートLv.1
・リスタートLv.1
・残心Lv.1
・エクストリームランニング
・剣を拳に拳を剣にLv.6
装備
右:貪食蛇の毒呑牙剣
左:無し
頭:歓喜の女帝犬面(VIT+350)
胴:女帝蜂の胴衣(VIT+350)
腰:女帝蜂の腰帯(VIT+300)
足:女帝蜂の細袴(VIT+250)
アクセサリー:豊穣と節制の円環
アクセサリー:女帝蜂の梵天飾り
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なんかVITがインフレしていないか?まあ肉体と防具のVITは別だから素肌の部分への攻撃とか内部へ響く衝撃とか貫通する手段は沢山ある訳だが。
あくまで掠った時のダメージを抑える程度に思っておいた方がいいだろう。
防具屋で動きに支障が出る程の量のエンパイアビーの素材で防具を作ってみたのだが、犬面も預けてみたらやっぱりレアっぽいクイーンの素材を使って強化された。犬の覆面に蜂の触覚が生えている姿は中々にシュールだ。蜂の毛も強化に使ったからか強化前よりもモフモフになっており、どことなくいつもより嬉しそうな顔をしているように見える。
そしてやはりセット効果も発動しており、毒の付与に補正がかかるらしい。
他にもずっと何もつけていないのも勿体ないと思ってアクセサリーも用意してみた。豊穣と節制の円環は中に回復ポーションを入れておくことでダメージを受けている時に入れておいたポーションを少しずつ自動的に使用してくれるという特殊なリジェネとも言える回復効果を持つアクセサリーだ。俺のHPがゴミカスなので安物のポーションでも20秒も経たずに全回復する最強アクセサリーみたいなことになっている。まあ一発攻撃が直撃すれば即死するのだが。
女帝蜂の梵天飾りはインベントリ内に入っている食料やポーションを取り出さずに飲み食いすることを可能にする。また、食料が持つバフが強化される効果も持っている。
そして武器も集めた素材で強くしてもらったので、その性能を確かめるために現在俺は再び千紫万紅の樹海窟に訪れている。
「おのれ絶対に許さんぞあの蟷螂め……見つけ次第八つ裂きにしてやるからな……!」
豊穣と節制の円環を作るための素材を集めていた時に、大きくて綺麗な花があると思って近づいてみたらそれは擬態していた蟷螂だったようで、鎌で掴まれて即死した。不意打ちされるとどうしようもなく即死するのは何とかしないといけないな……
「蜂はもう相手にしたくない、蟷螂は見つからない、蝶は脆くて性能を確かめるのに向かない、となるとここのボスかあのでかいカブトクワガタか……」
時々樹液を舐めているところを見かけるあのでかいカブトムシのようなクワガタムシのような生き物、あいつがドリルのように回転して木々を薙ぎ倒しながら飛翔し、プレイヤーやモンスターをまとめて跳ね飛ばして瞬殺しているのを見たことがある。重装備のタンクらしきプレイヤーもその背後に居た魔法使いもその奥に居たエンパイアビーとそれを捕食している蟷螂も全部まとめてポリゴンになって爆散していた。恐らく喧嘩売っちゃダメなやつだろう。ここのボスはアレより強かったりするのだろうか?
「まあ挑んでみればわかることか」
確かここのボスの名前はクラウンスパイダー……つまりは蜘蛛だ。
俺の目の前にあるとてつもない大きさの大木には大きなうろがあり中に入れるようになっている。そしてあちこちに蜘蛛の巣がかかっており、どう考えてもこの中に入れば蜘蛛に襲われますよと言わんばかりだ。この先がボスエリアの可能性が高い。
「中は広いな、そしてそれ以上に高い……」
この木、中身スッカスカだけど折れたりしないんだろうか?なんて上を見ながら考えていたら、頭上の暗闇から巨大な岩が落ちて来るのが見えた。
なんで岩が落ちて来るのかは置いといて走って避ける。落ちてきた岩をよく見れば蜘蛛の糸が巻き付いている。
「つまりボスは上に居て、上から物を落として攻撃してくるということか」
さてどうしようか。俺に下から攻撃する手段は無いので、都合よく降りてきてくれるのを待つか、こちらから上に行く必要があるわけだ。
降りてこないとすると登る方法があるはずだと思い、周囲を見渡してみる。樹洞内部の窪みが螺旋階段のように上へと続いてはいるが、あくまで階段っぽくなっているだけで階段ではない。これを登るのは初期ステータスではキツイものがあるが、そこはスキルでなんとかする。
「トレイルランニング」から進化した「エクストリームランニング」を起動し、別ゲーで練習したことがある壁走りをしてみると、明らかに物理法則を無視してそうな挙動で樹洞内部をぐるぐると駆け上がることができた。
不安定な足場でも平地のように動けるスキルが進化しただけあって、ほぼ垂直の壁だろうが走ることが可能になるらしい。ただ無理な姿勢を維持し続けるのはそれだけでスタミナを激しく消費するため、なるべく安定した足場を選んで登っていく。
「まあ登ってくるのを黙って見ているだけな訳がないよな」
上から丸太や大岩、糸でグルグル巻きにされた何かが次々と俺目掛けて落ちてくる。
同時発動でどうなるのかはわからないが「フリードリフティング」を起動して回避を試みる。
「うおぉおおおおっ!?」
進化したことで回避モーションが「フリースケーティング」よりも更に速く、更に滑る特殊モーションに変化した「フリードリフティング」と「エクストリームランニング」の合わせ技によって壁面の凹凸を無視しながら爆速で滑り上がる不思議な体験をしながら落下物を避ける。
これでもAGIに振っていないのだから、AGIに振ってる軽戦士ならこれ以上のとんでもないスピードが出ると思うのだが制御できるのだろうか?
落下物を避けながら上へと上がっていくと、大きな蜘蛛の巣から垂れ下がる一本の糸の先に巨大な蜘蛛がぶら下がっているのが見えてきた。
「ああ、クラウンってそういう意味なのね」
蜘蛛の腹には道化師の顔のように見える模様があり、それが名前の由来なのだろう。しかしそれがなんだと言うのだ。夜中に急に出てきて驚かすとかでもなければそんな顔のように見える模様なんてものは戦闘では何の役にも立ちはしないのだ。でも暗闇からこいつが急に出てきたら俺はそのまま気絶して強制ログアウトさせられると思う。
「よっと……流石に綱渡りしながら戦ったことは無いな……」
壁を蹴って蜘蛛の巣の上に飛び乗ると、それに合わせてクラウンスパイダーも巣に上がってきた。
今は「エクストリームランニング」の効果で揺れる蜘蛛の巣の上でも姿勢が安定しているが、これはスタミナが切れたら落ちそうだな。スタミナを全消費してしまう「フィニッシュスマッシュ」はここでは使えないだろう。
「それじゃあお前で新武器を試してみるとするか」
貪食蛇の刺剣を集めた毒の素材で進化させた『貪食蛇の毒呑牙剣』を構える。エンパイアビーの針を素材に突っ込みまくったせいなのか、剣身が円錐形になって刃が無くなってしまったが、切先はこれまでよりも更に鋭い。
斬ることができなくなってしまった代わりに剣身が更に細くなって貫通力がかなり増しているらしく、それでいて耐久力は進化前から維持されているそうだ。
そしてこの武器はこれまでの通常の毒に加えて更に壊毒を相手に蓄積させることが可能になり、壊毒に汚染されるとその部位が壊れて弱点になるのだという。ボスに効くのかはわからないがとても強力な毒らしい。
それだけではない、この剣の表面をよく見れば細かい溝が幾つも走っている。
「ここに毒を垂らせば……」
瓶の中の緑色の錬成毒を剣身に垂らすと、即座に溝を通って錬成毒が剣の根元から先端にまで行き渡り、剣身が緑色に染まる。
「毒を呑んでそれを武器にする。貪食の大蛇らしい良い武器になったな」
これが貪食蛇の毒呑牙剣の持つ特殊効果、毒の追加だ。
勿論普通に武器に毒を塗るよりも少量で長時間にわたり大きな効果を出すことができるようになっている。
同じ高さにまで来たことにより落下物による攻撃を行えなくなったクラウンスパイダーは前脚を振り回して攻撃して来るが、素早いだけで特に厄介な動きではない。糸の上を低い姿勢で滑って攻撃を潜り抜ける。
「穴あきチーズになりな!」
スキル秘伝書を読んで習得した「ピアッシングアーマー」がエンパイアビーとの激闘を繰り広げたことで即進化した「ピアッシングアーマー・エメンタール」をクラウンスパイダーの腹の道化師の横顔に叩き込む。
装甲貫通効果を持つ刺突攻撃は進化したことで一発当たりの威力は下がったが、スタミナを消費し続けている間は高速の連続突きを可能とする。貪食蛇の刺剣は進化して刃が無くなってしまって「無尽連斬」との相性が悪くなってしまったが、代わりにこのスキルとの相性が良くなった。
毒と錬成毒が入ったのか、クラウンスパイダーがふらふらし始めた。更に追撃を加えるべくクラウンスパイダーの正面に立つ。
「お次はこいつだ」
レイピアをインベントリに入れて、代わりに取り出したのは沼鉄の鈍直剣を火山の鉱石で進化させた『
この煤けて罅割れているという凄く不安になる見た目をしている刃の無い直剣の形をした鉄鞭は、こんな見た目なだけあってちょっと耐久値は下がっている。しかしこいつには強力な特殊効果が備わっているのだ。
クラウンスパイダーが振り下ろした前脚を「パリングプロテクト」で弾き、無防備な顔面に鉄鞭を叩きつけると同時に鉄鞭の罅から炎が噴き出してクラウンスパイダーの顔面を焼いた。
これこそがこいつの特殊能力であり、クリティカルを出すことで眠っていた火山の熱が目を覚まし、一時的にクリティカル率が下がる代わりに炎属性を得るのだ。初めから普通に炎属性の武器じゃ駄目なんだろうか?と鍛冶屋のおっさんに聞きたかったが、いい仕事した感出しているおっさんに俺はお礼しか言えなかった。
弱点にクリティカルを叩き込まれた上に顔を燃やされたクラウンスパイダーが足を踏み外して巣から転落したが、それであっさり終わるということは無く、クラウンスパイダーは空中で糸を発射して巣に張り付けて戻って来ようとする。
「なるほど、糸を発射する攻撃とかもしてきそうだな……ところでこれ切れるのかな?」
火を噴きだして赤熱する鉄鞭をクラウンスパイダーが発射した糸に当ててみると、かなりあっさりと溶断できてしまった。糸を失ったクラウンスパイダーはそのまま落下して地面に激しく激突した。
「上下が逆転してしまったな。つまり今度はこっちが物を落とす番というわけだ」
辺りを見回せば、クラウンスパイダーがここまで持ち上げてきたのであろう岩や丸太が糸で吊り下げられている。これを利用させてもらうとしようか。
「急に別ゲーが始まってしまった」
糸を駆使して登ってくるクラウンスパイダーに岩を落としてぶつけたり、糸を焼き切って再び地面に叩きつけるのを繰り返す。
ボス攻略がこれでいいのかと思いながらも手加減せずに続けていると、そのままあっさりとクラウンスパイダーは死んでしまった。これは誰でも思いつきそうな戦い方ではあるのだが、これを正攻法と呼んでもいいのだろうか……?
「いいのかこれで……新武器とか新スキルとかもっと試してみたかったんだが……」
かと言って戻ってあのカブトクワガタと戦うのも面倒だし、俺はこのまま先に進むことにした。
ヴォーパル魂低そうな戦い方する主人公。なおソロでスタミナ全振りを貫く姿勢がヴォーパル魂的にプラス判定なので若干プラスな模様