シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
え、代わりに土曜日に出勤?なんで???
◇
レベルを下げるために次に覚える呪業スキルは何にしようかと考えていた時に、ふとある疑問が思い浮かんだ。
『これ進化した呪業スキルってその進化前をまた覚えることはできるんですか?』
『試してみれば?でも呪業スキルは
『……一億マーニで?』
『返品は半額で受け付けるよ』
◆
「「墓守呪業【
影が俺の体を包み込み、巨人の姿へと変化する。
これは俺がいつも使っている【
進化後と比較すると他のスキルや魔法と同時発動ができないという大きな弱点が存在しているが……
「どっっっ……せいっ!!」
『ぬうっ!?』
巨体に合わせてルインヴァルを更に太く、長くしてフルパワーでジークヴルムに叩きつける。
ジークヴルムは穂に触れないように腕でルインヴァルを受け止めようとするが、その質量に押されて大きく仰け反る。
「うらぁっ!!」
『ほう、人の身で我の一撃を弾くか!』
大地を抉るように斜め下から振るわれた尻尾を蹴り上げて軌道を逸らす。いやー強い強い。
このスキル、他のスキルや魔法と組み合わせられないという弱点が気にならないほどに強い。この通りユニークモンスターが相手でも殴り合いが可能となるほどに硬くて強いパワードスーツを身に纏えるスキルなんだからそりゃこのくらいの縛りがなくちゃダメだわ。
というかなんの制限も無く巨大化して攻撃を防げる【
因みに【
「スキルは使えなくても……舞うことはできる!」
アタランテさんとの修行の日々はただ流派スキルを覚えるためだけのものではない。
ルインヴァルをぶんぶん振り回したりつんつん突っついたりするだけの戦い方は優雅ではない……なんかこう言うとふざけているようだが、単調な戦い方は相手に直ぐ対応されてしまうのでよろしくない。だから戦いの中で舞うのだ。
俺は「鳥の型」を習得しているので舞う動きに合わせて黒い鳥の羽根が舞い散り、これが地味に相手の動きを阻害したりする。ジークヴルムが相手では誤差だろうが。
それだけではなく、羽ばたくような動きなら翼のようなエフェクトが腕に発生してちょっと飛べるし、蹴るような動きなら猛禽類の
「うおおおっしゃあああ!!」
『ガ……ッ!?』
ジークヴルムの腹に趾の爪を突き刺して掴み、肉を抉り取ろうとしたが硬すぎたので断念。そのまま腹を駆け登って顎を蹴り上げる。
スキル無しでもこういったことが可能であるため、他のスキルが封じられる【
狙ったわけでは無いのだが、こういう予期せぬシナジーが見つかった時は心が躍る。
「ファントム!ソイツの顔面の急所狙いで!」
『猪口才な!』
そしてファントムなのだが、アイツ俺のMPを勝手に使って飛んでいることがあるのでもしかしたらと思ったら、俺の魔法が封じられている状態でもオート操作なら可能ということが判明した。正確にはオート操作というよりもファントムの意思で動いていると言うべきか。
ファントムにはジークヴルムの顔の周囲でうろちょろしてもらい、隙があれば目玉などの急所を狙ってもらう。これだけで相当鬱陶しいだろう。
またあのブレスを撃たれたらヤバいので、兎に角接近して殴る、舞う、蹴るを絶え間なく行い続ける。
こちとらスタミナ全振りだ。スタミナ回復の隙など無いし、回復の猶予を与えもしない。しかし……
「効いている気がしないんだが……!?」
『我の肉体は生半可な攻撃では傷をつけることもできぬ。その体力、どこまで持つかな?』
「お前が死ぬまで!!」
『その意気や良し!それでこそ英傑よ!』
別に英傑になったつもりはないのだが、このドラゴン英傑が大好きなのか?普通に考えてドラゴンは英傑にぶっ倒される側なのにな。
あ、ヤバい【
「「深淵呪業【
【
発動と同時に俺の影が巨大な八本の触腕へと変化し、ジークヴルムに向かって伸びてゆく。
そしてジークヴルムの影に接触した触腕が足の先からどんどん上へと這い上がってゆく。
「これに触れたらもう逃れられなうわ力強い」
『ぬう……!』
ジークヴルムの体の表面をタコ足の影が這い、巻き付いてゆく。
徐々に動きが鈍っていって最終的に動けなくなるはずなのだが、ジークヴルムの動きが全然止まらない。どんなパワーしているんだ……だがこのスキルの効果はこれで終わりではない。
「こっちに……来い!」
『言われなくとも!』
「うわぁホントに来た!?」
影の触腕は平面的だが、しっかりとジークヴルムを締め上げて、どんどん俺との距離が縮まってゆく。
締め上げて、引き寄せる。更にバフがかかっているならそれをひっくり返す……それがこのスキルの効果だ。余程の体格差が無ければこれで殆どの相手を引き寄せられる……今回は向こうからやって来てくれているのだが。
そして……今の俺の影は蛸になっている。つまりそれを纏えば──
「「墓守呪業【
『……!』
影が俺の体に纏わりつき、巨大化してゆく。
ジークヴルムを縛る影も立体的になって質量を宿し、その締め上げる力を更に強める。首を締めればブレスは吐けないだろう?
『その姿は……!』
「知り合い?見た目が似ているだけだけれどね……!」
傍から見れば巨大なタコが陸地でドラゴンを締め上げているという何が何だかよくわからない光景だろうが、こっちは必死なのだ。
勿論締め上げて終わりではない。別種の呪業スキルは重複しない……!
更に追加でスキルを発動すれば、影で出来たタコの頭(正確には胴)が膨らんでゆき、その輪郭がゴツゴツとした鱗を持つものへと変形してゆく。
角が生え、牙が生え、腕が生え、爪が生え、翼が生え……最終的に俺の姿は上半身がドラゴン、下半身がタコの異形の化け物になった。元から頭が燃えている化け物だけどさ。
『おお……!我が姿さえも模倣するか!!』
「真似事の真似事だけどね」
そういえばなんか最初にこのスキルを使った時よりも体がデカくなっているような気がするんだよな。
目に見えない熟練度的なものがあるのか、何かのステータスを参照しているのか。
引き寄せたジークヴルムの目の前でブレスをチャージする。
本物には遠く及ばないだろうが、見せてあげようじゃないか。恐らく現在のシャンフロで最も威力のある開拓者のブレスの頂点を!
「「天覇呪業【
先ほどの本物と比べてしまうと小規模だが、プレイヤーが個人で扱える技としては規格外な黄金のブレスをジークヴルムの頭部に向けて解き放つ。
自分の技が自分に効くはずがないみたいなこと言われたらどうしようかと思っていたが、そんなことはないようでダメージエフェクトが確かに発生しているのが見える。だが……
『グ、ガアッ……!!フ、ハハハハハ!!素晴らしい!!人間が我の息吹をここまで再現して見せるか!!』
しかし大ダメージと言うほどでも無さそうな反応だ。おもちゃの水鉄砲じゃないんだぞ、もうちょっとくらい苦しむ素振りを見せてくれ。
ああヤバい、ブレスを喰らいながら力尽くで触腕を引っぺがそうとしているぞコイツ。
これ以上は抑えきれないと判断してブレスと拘束を中断。【
「蛸に殴られた経験はある?」
八本の触腕と二本の腕をバラバラに、そして隙が生じないように振るい、ジークヴルムを文字通りタコ殴りにする。
格闘戦には自信があるようだが、腕の数で負けている相手はどうかな?
腕の数で負けている相手に殴り合いをしようとしたって、一発殴っている間にその何倍も殴られることになるわけだ。手数(物理)こそ正義よ!
触腕は鞭のようにしなり、動きの予測が難しく、それでいて強力な一撃を叩き込める素晴らしいパーツだ。
タコとかイカとか触手とかが主人公のゲームなんてこれまでに結構な数発売されてきた上に、その中にはモーションアシストの実装を投げ捨てて操作の難しさを前面に押し出したタイプの苦行ゲーもそれなりにあったりする。
俺はそういったゲームで触手のような自由度の高いパーツを同時に複数本操作する技術を磨いてきたのだ。そういったゲームのRTAの世界記録だって何本も持っている。
まあそのせいで動画のコメント欄で『VRマシンを使えるタコ』だの『前世は触手』だのなんだの失礼なこと言われていたりするのだが……ちゃんと人間だわ。
ジークヴルムの五本ある角を掴んで頭を揺さぶり、引き寄せるのと同時に顔面にストレートを叩き込んでやる……お?今ちょっと角がグラついたな?
ユニークモンスターに部位破壊ドロップがあるのかは分からないが、折角なら一本圧し折って持ち帰りたいよね!
……あれ?なんか急にジークヴルムの左側の角二本光り出して──
『──その力を封じられても、御主は我に立ち向かえるのか?見せて貰おう!!「
「ちょっ」
眩い光に照らされ、俺を包んでいた影が霧散してしまう。
それだけじゃない、全てのスキルのエフェクトが……!?
『数多の呪いを統べし英傑よ、この
「ざっけんなお前ー!!?」
スキル封じは反則だろお前ー!?
変なゲームのRTAばっかりしている主人公
ネフホロのメインストーリーRTAとかもやっている。まず装甲を捨てます
「墓守呪業【
簡単に言えば飛べない代わりに凄く硬い戦術機合体みたいなもの。逆に言うと戦術機が解禁される頃にはちょっと物足りない性能になってくるが、防具やアクセサリーの縛りが無いのでどちらを使うのかはお好みで
これと比較すると【
戦術機と合体したままスキルをバンバン使うウェザエモンをお手本にしたらそりゃこうなるよね
「深淵呪業【
影に触れたら縛られて引っ張られる。抵抗するのにかなりのSTRを要求される上にバフでどうにかしようとするとデバフへと反転される
バフが重要な対人戦で特に猛威を振るうスキル。同じレベルの相手なら接触した時点でほぼ詰み
飛んでいる相手が苦手……かと思いきや着地狩り性能が非常に高いので別に苦手でもない
【