シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
今主人公がレベルキャップを解放する所まで書いているんですけど、一気にスキルが変わる上に連結スキルまで出てくるせいで頭が爆発しそうです
◇
「これ映ってるかなぁ……?」
「かぐやちゃん。無関係の人無許可で長時間映すのあまり良くないんじゃ……」
「それは分かってるけど……あの戦闘に割り込んで配信してもいいですかなんて聞きに行けないし……それにこんな見どころ満載な勝負映さないわけにはいかないでしょ!あと一応ネーム表示無し設定にしてるから」
「炎上しなければいいんだけどね……」
「竹藪燃えちゃう……」
「登録者三千人くらいだしそんな燃えんでしょ」
「それはそれで悲しいよあたし……」
◆
ジークヴルムがただシンプルに強いだけのモンスターだったのなら、これまでに誰も倒せていないだなんてことはありえないだろう。数の暴力でゾンビアタックしてもどうにもならないようなギミックがあると考えた方が自然と言える。
ユニークモンスターには何かしらの非常に厄介なギミックがあるのはこれまでの経験でわかっていたが、まさかスキル封じとはな……
このままではいつミスってスッ転んでもおかしくないし、ブレスを吐かれたら止める術が無い。
『逃げ回るだけでは何も事態は好転せぬぞ!』
「やべっ!?」
ジークヴルムがその場で回転し、大地を尻尾で薙ぎ払う。
咄嗟に跳び上がって羽ばたき、何とか高さを稼いで回避するが、スキル無しのこの翼だけじゃ空中を自在に飛び回れない。
距離を詰めるジークヴルムの目に向けてファントムを飛ばして回避行動をとらせ……そうだ!
「ファントム!俺を運べるか!?」
インベントリから追加で二本飛び出したファントムが俺の脇の下に潜り込み、鍔を引っ掛けて俺を引っ張り上げる……え?重い?俺も羽ばたくから頑張ってくれ!
振るわれたジークヴルムの剛腕を潜り抜け、そこから一気に上昇して高度を稼ぐ。
あいつも飛べるだろうし、ブレスで撃ち落としてくるかもしれない。しかしそれらはどれも一瞬で出来ることではない。
「我が血を大地に捧ぐ……【
一瞬の隙があればそれで十分。俺の魔法は発動までが速い!
ファントムの刃を指先で撫で、僅かなダメージを受けつつその手を伸ばせば、黒い雫のようなエフェクトが俺の指先から滴り落る。
それが地面に触れたその瞬間に地面が黒く染め上げられ、巨大な黒い魔法陣が描かれる。そうか、血が黒くなっているからこれの色も変わるのか。細かいな。
台地が急に黒く染まったことに気を取られたジークヴルムの動きが僅かに止まり、視線が俺から外れる。
もう一つの魔法もそれだけの隙があれば余裕で発動可能だ。だってこの魔法の発動条件は全力で叫ぶこと、ただそれだけなのだから。
「すぅー……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
『グヌゥ……!?』
急降下しながら【怨嗟の言霊】を発動したことで兇相の冥王犬面の特殊効果も起動する。
各部位にチャージしていた魔力が頭部に集められ、咆哮に合わせてそれが漆黒のオーラを纏う蒼雷のブレスとして発射される。
あのスキル封じがいつまで続くのかは分からないが、怯ませたら解除の可能性もある。
そして、あの光っている二本の角……あの角がこの能力の源なら、あれを集中狙いするのが良さそうだ。
ファントムを同時に五本飛ばすのはMP消費が激しい。三本はインベントリに戻し、残り二本に捕まって飛び続ける。
蒼雷ブレス一発分のMPを結晶にチャージするのにも時間がかかる。どこまで粘れるか……
『人が竜と共に空を駆けるか!それもまた良し!』
「またブレスか……!」
舞っているという判定を維持するために曲芸じみた挙動で空を飛び回る俺を撃ち落とさんと再びジークヴルムがブレスをチャージする。
結晶のMPチャージはまだ終わっていないが、俺のMP自体は常に最大を維持している。
勝てる勝負かはわからんが、また稼げばいい。贅沢に行かせて貰おう。
「マジックスクロール……【
空中に出現した巨大な魔法陣。それを突き破るように中心から赤熱した巨岩が姿を現し──
ズドォオオオオン!!!
『……!』
ブレスをチャージしていたジークヴルムの横顔に猛スピードで着弾し、爆裂する。
流石にこれが直撃してなおチャージを続行することはできなかったのか、口元に集まっていたエネルギーが霧散してゆく。
「今の一発で二千万マーニだぞ。蠍を狩れば直ぐだが、換金も楽じゃないんだからな」
この一戦で一体何億マーニが消し飛ぶことになるのやら。ラメリンさんにまたマジックスクロールを用意してもらわないと。
「【
上空に出現した巨大な魔法陣から広範囲に火の雨が降り注ぐ。
幸い密度はそこまで高くはない。ジークヴルムの巨体ではこれを避けられないが、俺は回避できる。
『角に浴び続けるのもあまり良くないか……』
ジークヴルムが翼を広げると、今度は左右の角が一本ずつ光り出す。
その大きな翼に複雑な光の模様が描かれ、その直後、ジークヴルムの全身が眩く輝き──
パリンッ!!
「ちょ、どうしたファントム……まさか!?」
『我が龍体輝きし時、マナの具現その悉くが砕け散ると知れ!!』
「魔法もダメなのかよー!!?」
天と地の二つの魔法陣が飴細工のように砕け散り、ファントムが突然推進力を失う。
スキル封じに続いて魔法封じも……いや、角の発光パターンが変化しているということは……
「【
地面に映る俺の影が落下する俺を受け止め、包み込んで巨大化してゆく。
思った通りだ、スキル封じが解除されている!だがまた直ぐにスキル封じに切り替えられてしまう可能性が高い。だからこの一瞬で大ダメージを与える!
『今度は人馬一体と言ったところか。墓守の御仁の駆る機馬を彷彿とさせる……』
「残念ながら馬とウェザエモンが合体した姿は見れていないんだよね。合体させないように頑張ってくれていた人がいたからさ」
「墓守呪業【
戦闘スタイルを大きく変化させなければならないが、馬の脚なだけあってスピードはピカイチだ。それに進化前と比べて魔法は使えないままだがスキルは使用可能となっている。ただし他の呪業スキルとの同時発動はできない。
キング・シザーズを発動し、
ここからジークヴルム相手にクリティカルを八回狙って発動している余裕は無いので……
「切腹!!」
『!?』
影の中にいる俺の本体に向けて全力で脇差を突き刺す。全力でやらないとクリティカルにならないからな。
何度も抜き差しし、その度に噴き出す炎が激しさを増してゆく。
燃え盛る搗炎は影にまで引火し、俺の全身が暗く蒼く燃え上がる。
表面が燃えているだけなので熱くはないが、燃え続けたらどうなるのかわからないので、速攻で活かせてもらおう。
「待たせたなジークヴルム……墓守のウェザエモンの意思を勝手に受け継いだ抜刀術を見るがいい!」
『面白い!今を生きる人間が、神代の英傑を超えた証を……我に示せ!!』
ジークヴルム、それらしいロールプレイをすると結構乗ってくれるんだな。
翼を羽ばたかせて飛び上がったジークヴルムが空中での宙返りを経て加速する。
圧倒的な質量の暴力。正面からあれを受ければこの影の装甲であっても容易く貫かれるだろう。
だが向こうから猛スピードで突撃してくれているのだ。その速度、利用しない手はない。
搗星を左手に持った鞘に納め、思考を限界まで加速させる。
ジークヴルムの移動経路を予測。頭の中でシミュレーションを重ねる。
不安定要素の排除のために兎に角速度を限界まで高める。
ここは
スタミナバフも全部盛りだ。どうせ封じられるんだから今使ってしまおう。
速度と火力とスタミナを限界まで高めつつ、更に抜刀から命中までの極僅かな時間に発動する必要があるスキルのシミュレーションも行う……ああ忙しい。動いていないのに忙しい。
カフェインを燃やせ、アルコールを燃やせ……この後の代表戦に備えて蓄えておいたエネルギーまでも注ぎ込む──
「我、龍をも断つ……なんてな──」
『ジャジ──』
今
「──流星雨」
ジークヴルムの角が発光パターンを変化させようとして、今まで光っていた角の光が僅かに弱まり、新たな角が二本僅かに光り出したのが見えたその瞬間、抜刀と同時に駆ける。
スタミナが全て消費されたその瞬間、「血肉の対価」を発動。消費しているステータスの分だけ消費しないステータスへボーナスが掛かる特殊なバフスキルだ。ただしステータスの上昇量が高いと効果時間も短くなる。
ギリギリで発動が間に合い、更に加速。すれ違うようにジークヴルムの発光しかけている左の角を斬る。喉を斬る。左肩を斬る。左翼を斬る。左腕を斬る。脇腹を斬る。左脚を斬る。尻尾を斬る──
黄金の領域が展開されるよりも早く、ジークヴルムの体の左側からほぼ同時にクリティカルヒットとダメージと暗く蒼い炎のエフェクトが噴き出し──
「──もっと刃渡り長くしてもらってもよかったかな」
『ガッ……!?』
ジークヴルムが空中で姿勢を崩し、激しく地面に激突する。
うーん、角は折れなかったか……スキルの使用を前提として刀のサイズを大きめにしてもらっていればもしかしたら……と言ったところか。
今からこれを大きくしてと言っても無理があるかな?薙刀とかにならできそうだけれども……
『……ク、ククククク……クハハハハ!!!』
高笑いしながらジークヴルムが立ち上がる。
蠍程度のモンスターなら一、二発で砕け散る一撃なのだが……まあ、普通に立ってくるよな。
『見事!我にも知覚できぬほどの神速の抜刀!!正しく墓守の御仁の御業!!』
「この刀ありきの技だけどね……」
今のでスタミナを完全に使い切っちゃったので何とか会話で時間を稼ぐ……
「ウェザエモンの鎧の一部で作ってもらった刀だ……正確には本物は全部朽ち果てちゃったから、これは偉業が形になったものとかそういったややこしい概念的な何からしいのだが……お前のその角も圧し折って武器にしてやろうか?それだけ硬いならきっと良い武器になる」
『クハハハハ!!我が角を欲するか、英傑よ!我が角は我が能力の制御機関!そう容易く折れるとは思わぬことだ!!』
ああ、会話終わっちゃったよ。
会話ってどうやって引き延ばせばいいの?角折るよりも難しくない……?
配信されていることに気づかず結構喋っちゃっている主人公
【
どこからか何かを呼び出す門魔法。実は性質としては【
味方を短距離転移させるようなサポート重視のものから全てを焼き払うマップ兵器まで揃っている
「墓守呪業【
進化後の【
ファントム・ルインヴァル「「ちっさw」」
搗星「……」