シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

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暴徒と骸骨

 やっぱり骸骨船長を倒さないとダメなのかもしれないと考えて海上へ飛び上がる。

 奴はどこに行った?どいつもこいつもボロボロの服の骸骨だからこうも多いとよくわからん。

 

 スキルの効果時間も限られている。このままブレスで全部薙ぎ払ってしまおう。

 高さを船の甲板辺りに調整して……

 

「死ねぇええええええ!!!」

 

 ブレスを放ちながらその場で一回転。

 黄金の熱線が甲板ごと骸骨共を焼き払い、マストを焼き切る中、高く飛び上がってそれを回避する骸骨が一人。

 

「見つけた!」

 

 骸骨船長が飛び移ろうとした船を先にブレスで破壊する。

 しかしそれは想定内だったのか再び空中に足場を作って方向転換し、新しく空から降って来た船に乗り込もうとする。

 

「もう逃がさんぞ!ルインヴァル!」

 

 最大サイズで出現させたルインヴァルに「因果律逆転(レインボースリング)」で必中効果を付与して投擲。

 胴体よりも圧倒的に太い槍で貫かれた骸骨船長が砕け散るが、バラバラになった骨がまた空中で集まって元に戻ろうとする。

 

「ファントム!」

 

 繋がろうとした首が飛来したファントムによって撥ね飛ばされ、絶え間なく斬り刻み続けることで再生を妨害し続ける。

 よく見れば骸骨船長が復活しようとするたびに右腕に巻き付いている金色のロープが光っている。アレが殺しても復活し続けるタネなのだろうか?

 

 重力に引かれて落下する骸骨船長の右腕をキャッチ。

 ロープを引っ張ってみるが取れない。腕の骨を粉砕してむりやり奪おうとしてもダメだ。このロープを中心として復活しようとしているようだ。

 

「……うん?」

 

 周囲の船をよく見ると、突然ばたりと倒れて消滅する骸骨が目に入る。

 あちこちで次々と突然の死を迎える骸骨をよく見てみれば、その首に巻き付くように一瞬金色のロープが出現しているのが見えた。

 

「なるほど、身代わり能力ね」

 

 こいつが死ぬと他の骸骨が一人犠牲になる代わりに即復活する……そういうギミックなのだろう。

 ん?だとするとこいつを先に倒すのは不可能なのか?無視して雑魚を先に殲滅するのが正解?しかしそれにしては雑魚の数が多すぎる。

 

 他に何かギミックがある?それともシンプルに数が馬鹿みたいに多いだけ?それとも……

 

「……わからん!ファントム!コイツを殺し続けておいて!」

 

 適当な船の上に骸骨船長の腕を放り投げ、それをファントムで串刺しにする。

 その状態でも再生しようとする骸骨船長をファントムが寄ってたかってズタズタにし続ける。ちょっと可哀そうだけど無限に復活する方が悪い。

 

 あのロープが復活の鍵だとして、無制限に何度でも蘇れるチートアイテムだとは思えない。

 人の命が代償だとしても、それでも無限復活は流石にぶっ壊れすぎる。恐らく回数制限か何かしらの条件がある筈だ。

 

 というわけでファントムにはリスキルを続けてもらい、俺は一旦そこら辺の骸骨共を殲滅することにする。

 復活するのに他の骸骨を犠牲にする必要があるのなら、補充が来る前に一匹残らず全滅させておいてその状態で骸骨船長も殺せば復活できない可能性がある。

 

「おっと、時間切れか」

 

 【魔勁修羅(マヘーシュヴァラ)】の効果時間が切れて元の姿に戻ってしまう。

 安全を確保するためにもドンドン消費されるMPを補充するためにも急いで骸骨共を殲滅しなければ……よし、ちょっと勿体ないけどまたコレを使わせてもらおう。

 

「【召喚門・火雨(サモンゲート・ソドム)】!」

 

 上空に出現した巨大な魔法陣から火の雨が降り注ぐ。

 今は雨で船が濡れているので簡単に火事にはならないだろうが、骸骨共を火葬するには十分な火力だろう。

 

「えーっと、他にもなんかいい感じに範囲攻撃できるやつ……」

 

 一つ使ったらもう一千万も二千万もそんなに変わらないだろう。きっと新大陸でも良い感じの稼ぎポイントが見つかるだろうから誤差だよそのくらい!

 

 水の魔法が消火に使われている分攻撃の密度が薄くなっているな。やはり攻撃こそ最大の防御……お、これとか良さそう。

 

「【召喚門・海魔(サモンゲート・クラーケン)】!」

 

 海の中で何かがぼんやりと光を放ち、それはゆらりと浮上して来る。

 巨大なタコのような触腕、鋭い棘を持つ細長い尾、大きな丸い口と無数の牙を持つなんかニョロニョロとした生物……苦手な人が見たら発狂しそうな海産物の大群が船にへばり付き、よじ登り、グラグラと船を揺らす。

 

 やがてそれらは甲板の上にまで辿り着き、火の雨の対処で精一杯な骸骨共を次々と捕まえては海の中へと引きずり込んでいく……うーんSANチェック。

 無数のタコやヒトデみたいなのが張り付いて取り返しがつかないほどに傾いた船から転げ落ちてゆく骸骨共。その先に待つのは大きな口を開けた鯨のような生物だったり海面を埋め尽くすほどの無数のクラゲだったり……使える場所が限定的な分相当えげつないぞこれ。流石は二千五百万マーニのマジックスクロール……

 

「俺も頑張らなきゃ……なぁああああああああああああああ!!!」

 

 【英雄律(ヒロイック・ルール)】で丁度空から降って来た船を置き熱線で破壊。

 魔法の範囲外の船や運よくあまり魔法の影響を受けていない船を狙ってその甲板を焼き払う。

 

 骸骨船長をリスキルし続けている影響が出ているのかは分からないが、新しい船が降って来るペースが落ちてきている。これなら本当に全滅を狙えるんじゃないか?

 

「明日は仕事なんだよ!!お前等さっさと成仏しやがれぇええええええ!!!」

 

 薙ぎ払い、焼き払い、海に沈める。

 相性差で比較的楽な単純作業と化してはいるが、それでも中々大きな変化がなく、いつ終わるのか分からない戦闘が続く。

 

 破壊して、破壊して、破壊して……船の残骸で辺り一帯の海面が埋め尽くされた頃、遂に大きな異変が訪れる。

 

「……んお?」

 

 海の藻屑となりかけていた船の残骸が突然宙に浮かび始め、ゆっくりと空へ登ってゆく。

 残っていたまだ動く船も骸骨共を乗せたまま浮かび始める。

 

「! リスキルしていた船長が……!」

 

 ファントムに粉微塵にされていた骸骨船長の腕に巻き付いていたロープが黄金の輝きを放ち、天へと引っ張り上げられるように登ってゆく。

 それに伴い原形を留めていないくらいボロボロになっていた外国船長も再生しながら天へと昇ってゆく……これで終わりなのか?

 

『ァ……ァア……』

 

「うわ喋った」

 

 右腕と頭部が再生した骸骨船長が口を開く。イベントシーンか?

 

『サム、ぃ……クルしイ……たす、ケ、ケ、ケケケケケケケケ……!』

 

 あ、これは少なくとももう一波乱あるやつだ。

 

 骸骨船長の右腕の黄金のロープが四方八方へと伸び、他のまだ生きている(?)骸骨共の首に次々と巻きついてゆく。

 そのまま骸骨共が引っ張られ、骸骨船長と激突して、くっついて、またくっついて、くっついてくっついて……

 

『オオオオオオオオオ!!!!!』

 

 無数の骸骨が黄金のロープで強引に繋げられて一つの巨大な骨の塊となり、そこから徐々に変形していって、最終的に左腕と下半身の無い巨大な骸骨の姿となって咆哮する。

 

 なんと言うか……本当はホラーシーンなんだろうけど、深海で似たようなもの先に見ているんだよなこっちは。だから怖いというよりもまたかよって感情の方が大きい。

 

 とりあえず宙に浮かぶ船の残骸に着地……どうやら不安定ではあるが足場として使えるようだ。

 あの巨大骸骨も浮いているし、ここからは空中戦かな?

 

「まずは様子みぃいいいいいいっ!!?」

 

 巨大骸骨が腕を振るったその瞬間、嵐の勢いが強まり足場にしていた残骸ごと流される。

 今のは攻撃ではないのか、追撃は無い。しかし物凄い吸引力で周囲の瓦礫が奴の腕へと纏わりつき、黄金のロープがそれを補強してゆく、

 

「ユニークモンスターでもない奴がやっていい攻撃範囲じゃないだろそれは!?」

 

『オオオオオオオオオ!!!』

 

 元から巨大なのに残骸を纏って更に巨大化した腕が乱雑に振るわれる。

 狙いが甘いし計算された相手を追い詰めるような動きでもない。けれどただただシンプルに攻撃範囲が凄まじく広い。

 

 ウェザエモンの入道雲をもっと凶悪化させたような技を通常攻撃感覚で振り回すんじゃないよ全く……いや、これに近いことを人間の身でやっているウェザエモンがヤバいのか?

 

「デカくても材料が骨と木材なら大して丈夫じゃないだろ!「バリスティック・ピアス」!!」

 

 ルインヴァルから放たれた螺旋のエフェクトが巨腕の中心を捉え、深く抉る。

 ダメージエフェクトが見えたので中の骨の腕にまで届いたとは思うのだが……っ!?

 

「うおっ……ぶねぇ!?」

 

 ダメージエフェクトに混ざってキラリと黄金の光が見えた瞬間、嫌な予感がして距離を取ったのが功を奏した。

 奴の右腕から発射された黄金のロープが丁度さっきまで俺の首があった空間を貫いたのだ。

 

「下手に後隙が大きい行動をするとカウンターでやられるなこりゃ……」

 

 試しにファントムを三本発射し、奴の腕や顔、肋骨などを次々と攻撃してみる。

 

「ふむ、カウンターは右腕に攻撃した場合のみ。ファントムに攻撃させてもカウンターは俺の首に向かって飛んでくる。与えたダメージは暫くすると新しい骸骨を補充して回復。くっつけられている骸骨はまだ生きている判定。と……」

 

下手に攻撃をするとカウンターが飛んでくるが、攻撃しないと骸骨を補充されてダメージを回復されてしまう。そういう相手のようだ。

 

 これは雑にファントムでラッシュを仕掛けるとカウンターが物凄い数飛んでくることになるな……

 しかしあのよく見ると腕や脚をジタバタさせている黄金のロープで縛られている骸骨共一体一体が個別のモンスターとして生きている判定なのは朗報だ。これならダメージを与えながら回復が出来る。

 

 幸いにもあの腕は小回りが利かない。攻撃の後隙を狙えば腕で防がれることはないだろう。

 精密さを重視してファントム五本をマニュアル操作で飛ばして巨大骸骨の頭部を狙う。

 

 大きくなっても耐性は特に変わらないようで、ファントムが奥までサクサクと突き刺さって内側から闇が弾ける。

 そのダメージを回復しようと時々天へ向かって黄金のロープが伸びてゆき、骸骨を何体か縛り上げて戻って来ているのだが、あの雲の上で骸骨共がスタンバイしているのだろうか?

 

 謎は多いがちょこまかと飛び回るファントムに巨大骸骨は翻弄されており、無闇矢鱈に腕を振り回し続けている。

 俺はそれを安全圏から眺めつつファントムの操作に集中する。どうやらそんなに優れたAIでは無いようだ。

 

 このまま楽に終わればいいんだけど……

 

『オォオォォ……ワレハアラシノ……チガう、オレサまハ……ホロビ、ヌ……オワラ、せてク……レ……!』

 

 あ、また喋った。HPが半分切ったらイベントが入って形態変化は昔からよくあるパターンだが、ちゃんとダメージは入っていたのかな?

 

『オオオオオオオオオッ!!!!!』

 

「おっととと……更に風が強くなってきた……!」

 

 奴の腕に纏わりついていた残骸がバラバラと崩れ、風で飛ばされてゆく。

 奴が腕を天高く掲げると、空を覆い尽くす真っ黒な雷雲が渦を巻きながらその腕目掛けて降りて来る。

 

 船の残骸が奴を中心として空中で激しく回転し、残骸同士が激しくぶつかり合って砕け散る最悪の環境の中、飛んでくる残骸に気を付けながら空中で舞い踊り、翼を広げて風に乗って滑空しながらそれを見つめる。

 

 降りてきた渦巻く雷雲が奴の腕に纏わりつき、徐々にその全身へと広がってゆく。

 ファントムがあまりの強風によって制御を失い、どこかへとすっ飛んで行った。

 

『オオオ……ヨコせ、ヨコセ、寄コセ……!キサまのそノ輝キヲ……!!』

 

 骨だけの体に雷雲の肉を手に入れた奴のその全身から眩い稲妻が迸る。

 これは……流石にちょっとヤバそう!




主人公のレベル150のステータスとスキルを考えていたらそれだけで一週間かかってしまった
ぶっちゃけスキルを増やし過ぎた気がする……


骸骨船長第一形態
船員に指示を出しながら魔法と剣技を使い分けて戦う。死亡しても船員を一体犠牲にして即座に復活する
船員は何度でも船ごと復活するが復活にはタイムラグがあり、船長が死ぬ度に船員の復活までにかかる時間が延びる。船員の数を一定数以下にした状態で船長を死亡させると第二形態へ

骸骨船長第二形態
残った船員をくっつけて巨大骸骨に変身。残っていた船が浮かび上がるので一応空中の足場として使用可能だが、嵐が更に強まり足場としてあまりにも不安定なのでこれを足場にして空中戦を仕掛けるのは非推奨……というか普通は自分の船に乗った状態で戦うことが想定されている
船を掴んで投げる、壊れた船の残骸を腕に纏わせて振り回すといった非常に豪快な攻撃を繰り出すようになるが、AIのレベルが低いのである程度のスピードが出せる船で引き撃ちを徹底すれば割と簡単に対処できる
HPを一定値以上削ると最終形態へ。実は時間経過で勝手にダメージを受けているのだが、同時に骨をどこかから補充しているので放置ではなかなか次の形態に進まない

???最終形態
雷雲を纏いし巨人の姿。荒れ狂う暴風の前に矮小なる人は成す術などなく、迸る稲妻を見切れるはずもない
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