シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
お試しでスキルを連結してみることにしたが、ある程度強力な連結スキルを習得するには強いイメージ……即ち手本になるものを見る必要があるのだとか。
まあ手本に関してはモンスターの行動でもいいらしいので、ジークヴルムや"
「とりあえず七連結で」
「とりあえずで七億出せるんだ……まいどありー。それじゃあ店の奥に入って待ってて」
店の奥に存在するスキルの合成に使う魔法陣の上に立つ。
しかし連結の時はこれだけでなく、色々と準備が必要なようだ。
俺と魔法陣を囲むように台座が配置され、その上にゴブレットが置かれてゆく。
「はい、これ持って」
「……ナイフ?」
赤と白の二重螺旋の柄が特徴的なナイフを持たされる。何に使うのこれ?
「それじゃあ始めるよ。魔法陣から出ないで、全てを受け入れて」
「はい……?」
なんかちょっと嫌な予感がしてきたぞ。
急にバトルが始まったりしないよね?
「──それでは開拓者よ、繋ぎ紡ぐ技を想起せよ」
儀式が始まったようだ。
えーっと、習得したばかりのスキルだからな……
「……崩壊滅超振動咆哮砲、
……あれ?なんか体が勝手に──
「うぐぇ!?」
右手が勝手に動き、左腕にナイフが突き立てられた。
「──悉くを壊し尽くす絶叫」
流れ出た黒い血がゴブレットの中へと吸い込まれ、満たされる。
「──恐れられし王の咆哮」
一つ、また一つと血で満たされてゆく。
「──有り得ざる幻獣の喚声」
あの、これ大丈夫なの? 致死量越えてない?
「──哀れなる獣の悲鳴」
あ、ちょっと立ち眩みが……
「──押し潰され、尚も止まぬ振動」
これ本当に大丈夫? 死なない?
「──風を断つ風の刃」
普通の人間なら間違いなく失血死しているよコレ。もう七杯分出ているよコレ。
「──焼き払う聖鳥の息」
七つのゴブレットに満たされた血が溢れ出し、床を黒く染め上げる。
「──底の底の果て、遠き空をも孕むもの。無垢なる慈悲に語り乞う、捧ぐは対価、価値の輝き」
意思を持っているかのように蠢く血が混じり合い、魔法陣の中へ、そして俺の脚へ……
「───繋げ、紡げ、混ざる事なく重なり合って、別離の定めを受け入れて尚結び束ねよ」
ちょ、血が俺の体を登ってきているんだが!?
の、呑まれる……!?
「───七つ輝き、重なり光るは唯一つの光。【
あっあっあっ……あ? 血が左腕の刺し傷から俺の中へと還ってゆく……もうこれポリゴンで誤魔化せる範囲超えているだろ……
儀式が終わり、ナイフを引き抜くと即座に傷口が塞がった。そういう特殊なナイフらしい。事前に説明してほしかったかな……
……
…………
………………
で、完成した連結スキルなのだが……試しに水晶巣崖で使ってみたところ──
「うわぁ……」
正直使ってみた俺でさえもドン引きするレベルというか……
「凸凹だった水晶の大地が綺麗に均されちゃったよ……」
まあ多分直ぐに蠍がなんやかんやしてまた凸凹に戻るのだろうが……綺麗サッパリ蠍の群れごと水晶巣崖が吹っ飛んだ。
……ドロップアイテムが少なすぎる。素材ごと消し飛んでるぞコレ。
咆哮系とブレス系のスキルを全部同時に使えたら最強じゃね?と軽いノリで混ぜてみた結果がコレだ。
見た目はブレスっぽく口から青いビームが出ているように見えるが実際は少し違うようで、スキルの説明の通りなら俺の声を聞いたマナ粒子とやらがその空間を「青空」に改変するというものらしい……つまり青いビームを発射しているわけでは無く、声が通った跡の空間が青色にされてビームのように見えているそうだ。
威力は見ての通りとんでもないが、その強力さの代償として俺の周囲の空間も声に反応して若干青くなる……つまり俺も巻き込まれて自傷ダメージを受けることになる。
スキルを使ってスタミナでダメージを肩代わりしないと死ぬ。装備の耐久値消費もヤバい。味方がいたら絶対に巻き込む。その上スキルなのにMPも消費する。そして発動前にかなり長い溜めが入る。使い辛いわ!!
そんな問題だらけの過剰すぎる威力を持つスキルの名は「
……これより上があるのだろうか? レベル150になったらまた再連結して確かめてみようかな。
「しかしリキャストタイムがなぁ……」
めちゃくちゃ長いというわけではないのだが、俺のメインの攻撃手段であるスキル七つをこれに使ってしまっている訳で、全然小回りが利かない。外した時のリスクが大きいというのは深刻な問題だ。
連結は合成と違ってスキルのリソースを効率良く圧縮するものではない。連結に使っちゃったからと言って代わりのスキルを用意しようとすると新しくスキルを覚えたり進化させたりする容量が足りなくなってしまう。
となると他のスキルを合成して圧縮して容量に余裕を作って……うーん考えなきゃいけないことがいっぱいだ。
まあ暫くはこのまま連結させておくか。必要になったら分解すればいい。
それにしても攻撃系でこの有様なら、機動力系の七連結とか人間に制御できるものじゃなさそうなんだが……誰かやってみてくれない?
……
…………
………………
さて、スキルの合成、連結を色々と試して、一通り用事も済ませたので新大陸に再び来た訳だが……
「鉱石が見つかりそうな場所……火山か砂漠か?」
青の金剛石商会からの鉱石採掘依頼は期限がかなり長めに設定されている。往復だけで普通なら二週間かかるからな。
時間には余裕があるのでのんびりとやっていこう。
「移動は全然のんびりじゃないけど……!」
「
「
「
この三つの連結スキルを同時に発動すると……
「ぁぁぁぁああああああああああああぁぁぁぁ!!!?」
弾丸の如き速度で樹海の上空をカッ飛んでゆく。
速い、速過ぎる。三つに分割したのにそれでもまともに制御できない。
飛び立って直ぐなのに既に樹海の半分は超えて砂漠が見えてきている。
しかもこれらのスキルはなぜか高い所に行けば行くほど効果が強力になるという通常のスキルとは逆の仕様が存在している。
斜め上に向けて飛んだせいでどんどん加速してゆく。このままだと雲を突き抜けるんだが?
慌てて高度を下げようとした結果、物理法則をガン無視した鋭角ターンで地面に叩きつけられて死んだ。
「じゃじゃ馬ってレベルじゃねぇぞ……」
これはもっと練習が必要だな……少なくとも新大陸での移動手段としては優秀だし。
練習は後で誰にも見られない場所でやるとして、今は新しいエリアに行くことを優先しよう。
死ぬたびに性別反転するのも面倒だな……直ぐに飛び立つし今回は男のままでもいいか。
停泊している船の甲板へ。周囲に人がいないことを確認して……
「やるか、七連結……!」
「
新大陸の探索を空から行うのなら莫大な量のスタミナが必要になるだろうからな。検証も兼ねてスタミナ系スキルを一纏めにしてみた。
「
「「
発動と同時にHPが九割吹き飛び、全身からどす黒いエフェクトが勢い良く噴き出して周囲の空間へと拡散。一瞬にして俺の周囲数十メートルの空間が暗くなった。
このスキルの発動中、スタミナに絶大な補正がかかり、消費量を遥かに上回るスタミナリジェネも付与され、仮にスタミナ切れを起こしても十秒も掛からずに俺のスタミナが全回復するという規格外のスキルとなっている。また、水中などの呼吸ができない場所や状況でもスタミナの回復が可能となる。
人に向かって試していないので正確な仕様は把握しきれていないが、俺を中心として広がるこの暗い空間内に入り込んだ敵はレベルとスタミナ回復速度が低下するデバフがかかるそうだ。
説明の通りなら味方は巻き込まれないはず……ただ巻き込まないためにはパーティメンバーに入れる必要があるのかどうかとか、まだまだ検証が必要だな。
強力さの代償として発動時にHPの九割を失い、十秒毎に最大HPの割合でHPが減少する上に、自分を対象とする回復アイテムと回復魔法の効果が大幅に減衰してしまう。
そしてこのスキルの発動終了後からリキャストタイムが終了するまでの間、スタミナが最大値の十分の一以上に回復しなくなる。最大値自体は変化しないようだ。
凄まじいデメリットだが、俺の場合元々回復はアクセサリー頼りだし、スタミナは十分の一になっても900以上あるからな。これだけあれば時間稼ぎなら十分できる。
「これ目立つしさっさと行くか」
「万里一夜」と「回避術【獣王無尽】」と「鞍馬天秘伝」と「
この暗い空間は常に俺が中心となるので、俺が空気を踏んで跳ねる度にこれも一緒に動く。なので周りから見るとなんかデカくて黒いのがピョンピョン跳ねて動いているように見えるらしい。
嫌でも注目されてしまうので、急いで駆け抜けてしまおう。
連結スキルの仕様がぶっちゃけよくわかっていないのでこの辺りはフィーリングです
「
連結ランク6
ブレスっぽい見た目だけど実は咆哮系の攻撃スキル。前方の広範囲のマナ粒子に命令を送り、現実改変を引き起こして範囲内を「青空」に変えてしまう限りなく魔法に近いスキル
大音量と現実改変による二種類のダメージが発生しており、改変部分はあらゆる耐性や耐久力などを貫通する。軽減する手段はレベルの数値のみとなっている
その攻撃範囲の広さによる当てやすさの代償として、長い溜め時間や自傷などのデメリットも併せ持つ。隙をカバーしてくれる味方を容赦なく巻き込む問題児
連結ランク7になるとここから更に威力が跳ね上がるがリキャストタイムがクソ長くなるので使い勝手が悪い
「
連結ランク6
臨界速のスタミナ版と言えばその時点でヤバさが伝わると思う
世界観的には多量のマナを含む自分の血液を周囲に撒き散らして現実を塗り替え、範囲内を自分の呼吸器の一部として扱うというもの。魔法っぽい見た目だけれど実はスキルの肉体改変の適用範囲に強引に世界を巻き込んでいるという扱い
つまり肺をバカでかくして強引にスタミナとスタミナ回復速度を増やしている。その代償として体が大きくなった分回復効果が落ちるという仕組み。無茶すぎる肉体改変なので当然反動も凄まじい
範囲内に入り込んだ相手は酸素とマナ粒子が薄い空間で苦しむことになる。ゲームバランスの都合上デバフの効果量はあまり高くはなく、世界観を尊重したおまけ程度のものなのだが、主人公の桁外れなスタミナのせいでおまけにしては凶悪なデバフとなっている
特にファントムの即死効果が同レベル以上の相手にも有効になるのが凶悪度が高い
連結ランク7になるとシンプルにスタミナバフの倍率が桁外れになる
とあるスキルと組み合わせるとスタミナ全消費系攻撃スキルで晴天大征ごっこができる