リゲインファンタジア〜ある魔王と勇者達〜 作:sorasumi
「……いただきます。」
どうも。魔王ちゃんやで。
今は一人寂しく朝食中でござんす。
ホントの名前は別にあるんだけど、魔界の魔王城で暮らしてる以上、魔王ちゃんと名乗っておきましょう。
人間界に侵略?んなこたしない。
けどまあ、遊びに行く事はあるんだよね。
ほいじゃあ、いっちょ行ってみっかー!
はいやって来ました、人間界は王都でございます。
どうやって来たかって?俺ちゃんは空間魔法というとっても便利な魔法が使えるのです。
これで何処へだってひとっ飛び。流石に人に見られちゃ不味いがね。
「ここからは歩くか。」
王都は変わった格好の人も多いから、魔王ちゃんがてくてく其処らを歩いていたって誰も気にしない。
そうして辿り着きましたのは。
「本屋さんじゃん。でかいなー。」
入ってみーましょ。
俺ちゃんは大体の文字は読めるので、魔導書でも学術書でも何でもござれなのだが、向かったのはもっと子供向けの、薄めの本が並ぶコーナー。
「うお、これ懐かしい……」
手に取ったのは、一冊の絵本。
知っている。微かにだが、挿絵を憶えている。
ただ、ストーリーが、どんなだったか。
確かめようとペラペラと捲った所で肩を叩かれる。
「お客さん、立ち読みはご勘弁。」
「あぁん、すみません。買います買います。これ一冊でおいくら?」
軽く店主に媚びを売り、お買い上げ。
俺ちゃん魔王の例に漏れずお金はあるから、ケチな事はしませんわ。
それよりも。
「お客さん……そうか、お客さん、か。」
いいかもしれないな、それ。
一つ暇つぶしのアイデアを思い付いた俺ちゃんは、絵本を片手に魔界に帰ります。
帰りました。そうしてやる事といったら、お手紙を書くのです。わざとめちゃくちゃ読みにくい字で書いてやるわ。
『国王様へ
今度おたく侵略させて貰いますわよ。
イヤなら勇者ちゃんを送ってきなさいな。
魔王ちゃんより』
ええやろこれで。
まあこれをポストに入れとくだけではイタズラ手紙と判断される可能性が高いので、俺ちゃんお得意の空間魔法で国王様の枕元に直接置いときましょう。
王都の方にも空間魔法を使える人が居る筈なので、これで俺ちゃんの元に勇者ちゃんというお客さんが来るって寸法よ。
「いやー楽しみ楽しみ。どんな勇者ちゃんと会えるかな〜。」
ソファベッド仕様の玉座にふんぞり返りながら、呑気に構える俺ちゃん。
しかし俺ちゃんはこの時知らなかったのです。
この一枚の手紙がやがて、俺ちゃんの運命を大きく変えてしまう事を……