機動戦士ガンダムSEED DUEL 作:デュエル好きの名無し
「つくづく君は、落とし物に縁があるようだな」
とは脱出ポッドを回収して来たキラに対する、ナタルさんの皮肉だ。
まあ本気で言ってる訳ではないのは分かる。あの表情は、慣れ……?
ちなみにだが、ユニウスセブンのあれ以外に水は見つからなかった。
偵察型ジンとの遭遇を
「んじゃ、開けますぜ」
ポッドを操作していたマードックさんの言葉に、周囲のクルー達に緊張が走った。
私とキラを庇うように立つムウさんでさえも例外ではなく、他のクルー達と違って銃こそ持っていないが、その表情は真剣そのもの。
やっぱりムウさんもプロの軍人なんだなと思う。
「ありがとう、ご苦労さまです」
そして開かれたポッド出て来たピンクの髪が特徴的な美少女。
名をラクス・クライン。この世界の大元の物語、"機動戦士ガンダムSEED”、その続編や映画である"Destiny”・"FREEDOM”において、主人公キラ・ヤマトの隣に立つメインヒロインだ。
そんな彼女はクルー達になんちゃって敬礼をしていたのだが、銃を向けられていることに気付いたのか、不思議そうな表情を浮かべた。
「あら?」
「ハァ…――ここは地球連合軍の新造戦艦アークエンジェルの中だよ。お嬢さん」
首を傾げたラクスにムウさんが片手を上げながら声をかけた。
「あらあら…まあ、ここはザフトの艦ではないのですね」
「真逆だな。ま、後ろから追っかけて来てる連中はザフトだけど」
「この艦、追われていますの?」
「え、あ……」
「……大尉」
「あ、ちょッ!?ごめんて!」
突如目の前で始まったコントを眺めていると、頭の上に何かが乗ってきた。
「ハロ?」
『ハロ!ハロハロ!』
手を伸ばし回収すると、それはピンクちゃんと呼ばれるラクスのハロだった。
真ん丸でちっちゃな見た目が可愛いが……侮ってはいけない、実はこう見えて電子戦ほぼ最強格のスーパーロボットである。
というかC.E.って一部の人達電子戦に強すぎない?
「イブ、それ……」
「ん、そこの人と一緒に出てきた」
『テヤンデイ!』
ちなみに今の手の中のハロに興味津々な少年は最強の片割れである。
「ピンクちゃんに気に入られたのですね」
「え」
「うわ!?」
不意に聞こえてきた声に振り向けば、そこにいるのはラクス・クライン。
マリューさん達は溜め息吐きながらどこか達観してるし、諦めたのかな。
クルー達に連れられて、部屋に送られるラクスを見送ったあと、格納庫の一角に納められた弾薬類――いや、正確には
比較的新しいザフト艦から回収に成功したその武装は、私の乗機であるデュエルにとって馴染み深いものだ。
「どうだ?使えそうか?」
「システムとは接続できた。でも弾数には限りがある」
「そっちは同口径のを加工するとかで何とかするさ」
「お願い」
「おう」
マードックさんを含む数人が黒光りするその武装に取り付き、私はデュエルのコクピットの中でコンソールを操作していた。
今しがたメインシステムと
正史において、ザフトが新型レールライフルとして開発していた試作品を、彼が強奪したデュエルに改修として追加された”アサルトシュラウド"の兵装の一つとして装備された武装であり……私によって彼が命を落としたこの世界では、日の目を見ずに眠り続けるとばかり思っていた代物。
この世界でも強奪したGから得られたビーム兵器のデータによって、お蔵入り――かと思えば何の因果か、こうしてデュエルの下へとやって来た訳だ。
……どこか運命のようなものを感じてしまう。
ただ…シヴァが手に入ったからか、どうせならアサルトシュラウド全体が欲しいという欲望が渦巻いてしまう。
そもそもデュエルの代名詞みたいなとこもあるアサルトシュラウドだって、元々はジン等第1世代モビルスーツ用の性能強化パッケージをデュエル用に再設計した代物な以上、仮にアサルトシュラウドそのものが手に入ったとしても意味ないし。
でも素デュエルと比べたら戦闘能力は格段に上がるし……チラッとハンガーに固定されたデュエルを流し見て、改めてシヴァに視線を戻す。
「……マードックさん、これって手持ち武装なんだよね?」
「ん?ああ、そうだな。どうした急に?」
「これ、肩とかに繋げられない?」
「肩だぁ?そりゃまたなんで」
「白兵戦闘時にマニピュレーターを使わないで撃てる火器は有用。実際ブリッツとの戦闘ではイーゲルシュテルンが活躍したから」
なんだかんだで鍔迫り合いとかになると普通に両手塞がるし、手持ちよりも固定装備の方向で行きたい。
「なるほどな…けど、全体的にバランス悪くなるぞ?」
「その時はその時、アップデートかける」
シヴァはサイズも割と大きいこともあってそこそこの重さがある。
まあ宇宙空間なら無重力だからOSの調整さえ済ませれば、あとはほぼあってないようなものだけど、地球降下後が問題かな……
こうして駆動ジョイントを取り付けたアタッチメントの設置や配線の接続などシヴァの固定作業に従事していたのだが、今し方操作していたタブレットからメールの着信音が鳴った。
このタブレットは整備用のものであり、本来なら私的利用など言語道断なのだが、マードックさんやマリューさんが快く差し出してくれた為、有難く使わせて貰っている。
先程の通知はこのタブレットに新しくインストールしたメールアプリのものであり、誰かからメールが送りてきたことを示していた。
「一体誰が……キラ?」
一方プラント。発進の時を今か今かと待っているヴェサリウスの格納庫では、一人の少年が落ち着かない様子で愛機を眺めていた。
「落ち着けアスラン」
「……ミゲル」
その背後から声をかける青年――ミゲル・アイマンに少年ことアスラン・ザラは振り向く。
「婚約者が行方不明だって聞いたらそりゃ不安にもなるよな。ま、落ち着けよ。焦ってもどうにもなんないだろ?」
「けど」
「きっとみつけられるさ、心配するな」
「そう、だな」
ミゲルの言葉に少し冷静さを取り戻したアスランは握り締めていた拳を開き、一つ頷いた。
そして、不意に頭に浮かんだ疑問を口にする。
「そういえば、ミゲルはどうしてここに?」
「ん?ああ、愛機にちょっと用があってな」
「愛機というと、やはりアレか」
「おう、せっかく改修が終わって手元に戻って来たんだ。慣熟訓練しとくに越したことないだろ?」
ミゲル送った視線の先では、他の機体とは違い目立つオレンジ色に塗装されたジンが屹立しており、そのジンは他のジンにはない大型のメインスラスターを背部に装備していた。
「"ジンハイマニューバ”。こいつさえあれば、あのストライクも、デュエルってやつも落としてやれるさ」
ジンハイマニューバ、MMI-M729エンジンというミーティアのプロトタイプを搭載したジンの近代化改修型であり、後のゲイツが量産された後も求めるパイロットが後を絶たない程の名機である。
正史とは異なり、デュエルまでもがアークエンジェルの戦力となっていることから、単なるオーバーホールメンテナンスの予定だったミゲル専用ジンをベースに急遽改修が施され――という経緯を辿り完成した機体だ。
「確かにお前らの乗るGの性能には及ばないけどよ、俺だってエースって言われてるんだ。やられっぱなしは癪だからな」
「……ミゲル、聞いてくれないか」
「ん?どうした」
「実はな、あのストライクのパイロットのことなんだが」
ミゲルの好戦的な表情に、アスランは思わず言葉を漏らしてしまった。
今すぐに止めようと口に力を込めるも、己の口はまるで意志を持ったかのようにペラペラと言葉を紡ぎ続ける。
そして、二人の会話はやがて核心へと至る。
「俺の幼馴染なんだ……」
今作のシヴァは試験的に導入されていたほぼ最初期に近い試作品の為、原作の物と比べると性能が少し低いです。