機動戦士ガンダムSEED DUEL   作:デュエル好きの名無し

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ep.07

「う……」

 

目を開けば、複数のモニターに囲まれた狭い空間が目に入る。

ここは……?

 

「デュエルの、コクピット」

 

そうか、私はあの時……

 

端末を操作し、レーダーを起動させようとするも、うんともすんとも言わない。

……センサー類も含めて故障してしまっているらしい。

 

メイン・サブカメラ両方からの映像は生きている。

モニターに映る景色に集中し、敵がいないか注意深く見つめる。

なにせあの場にはジンがまだ1機いたんだ。それがまだ近くにいたら……

 

「せめて重斬刀を回収できてれば……」

 

バッテリーは既に空。

ビーム兵器は一切使用できないし、フェイズシフトすら展開できない。

 

今使えるのはイーゲルシュテルンに、グレネード。後は徒手格闘くらいか。

非常時用に、ストライクのアーマーシュナイダー追加できないか相談するべきかな……

 

脳内に灰色となったストライクが、ナイフを構えて突撃する映像が映し出された直後、ちょうど頭に描いていた機体がデブリの影から姿を現した。

 

『こちらX105ストライク、X102デュエルを発見しました』

 

近付いてくるトリコロールカラーの機体を見ていると、不意にモニターが暗転し、それまで動作していた機器類がまとめて停止した。

 

「え」

 

スイッチを一度オフにしてからオンに切り替えたり、レバーを弄ってみるも反応がない。

メンテナンス用キーボードを引っ張り出すも、結果は変わらず。操縦桿とペダルもまた同じ。

 

「もしかして」

 

完全にバッテリー切れ?

状況的にはそうとしか思えないけど……でもバッテリーには常に気を使ってた筈。

 

なんで……あ。

 

「そういえば、吸い出された時にあちこちぶつかった気がする」

 

なるほど、確かにあれだけガンガン当たりまくってればバッテリーも吹き飛ぶか。

1人うんうんと頷いていると、鈍い音共に衝撃が走る。

 

「これは…キラ」

 

さっき通信も繋がってたし、恐らくストライクに回収されたのだろう。

反応する間もなく電池切れになったし、キラも焦ってるんじゃないかな?

 

非常灯すら点かない暗闇の中で、暫く揺られていると、外からハッチが開かれた。

ハッチ開く分はあるんだと漠然と思っていると、怒鳴り声を上げながらマードックさんが入り込んで来た。

 

「おい!無事か!?」

 

声に応じて顔を上げれば、険しい表情を浮かべていたマードックさんの雰囲気が緩む。

 

「ふう、全くヒヤヒヤしたぞ。おーい、嬢ちゃんは無事だ!」

 

開かれたハッチからコクピットの外に出る。

よく見ると、デュエルの機体各所にパワーケーブルが接続されている。

どうやら外部電源と接続してハッチを開けたらしい。

 

ヘルメットを胸元に抱え、じっと作業が行われているデュエルを見つめながら考え事をしていると、マードックさんから声をかけられた。

 

「見てるだけなら手伝ってくれ!手が足りないんだ!」

 

「ん」

 

格納庫の床を蹴ってデュエルへ向かう。

 

「何すればいい?」

 

「どうにも配線がショートしちまってるらしいからな、まずはそこだ」

 

「わかった」

 

こうして整備員の人達と共同でデュエルの整備を行った訳だが、まあ酷かった。

 

流石のフェイズシフト装甲といえども、内部へのダメージまでは防ぎきれない上に、あんなことまで起きてしまったとはいえ、これは……

 

「どんなぶつけ方したらこうなるんだ?」

 

「うわ、これもう交換じゃねぇか」

 

「比較的損傷の少ないストライクとは雲泥の差だな」

 

とは整備員達の声。

申し訳ないけど、気絶してたから何も覚えてない。

 

交換した部品については、装甲や外部の機構自体は問題ないようなので、内部機器の修理を終えれば予備パーツとして保管するつもりらしい。

 

回収できた予備パーツ類だって無限にある訳でもないし、その判断に間違いはないと思う。

 

各種データの表示されたタブレットから目を離し、再びデュエルの整備作業に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わりアークエンジェルブリッジ。

そこではマリューやナタルを始めとした士官達による話し合いが行われていた。

議題は今後についてであり、皆真剣な目で意見を出し合う。

 

「やはり、このまま*1アルテミスに向かうべきかと」

 

「アルテミス、ねぇ?」

 

ナタルの切り出した言葉にムウは難色を示すように顔を歪ませる。

 

「早急な補給が必要な以上、どこかの基地に入港する必要があります。この付近に存在する中で該当するのはアルテミスのみです」

 

「やはり、そうよね……」

マリューもムウと同様に悩ましげな表情を浮かべており、ナタルの意見に理屈では正しいと同意しつつも、どこか受け入れがたく思っているようだった。

 

その理由は……

 

「たださ、相手さん受け入れてくれる訳?この艦認識コードないんでしょ?」

 

「……」

 

そう。ザフトの襲撃とG兵器の強奪という憂き目に遭い、急遽出港することになってしまったとはいえ、アークエンジェルはまだ公式に発表もされていない新造艦。

 

当然ながら軍の認識コードなどは与えられておらず、連合軍側の基地からすれば、今のアークエンジェルは所謂不明艦に分類される。

 

「しかしこのまま月基地に向かう訳にも行きません」

 

そんな2人の様子を見つつも、ナタルは気丈に述べる。

 

「搬入できた物資にも限りがあります。このままでは月基地に到達する前に物資切れを起こす可能性が高いです」

 

「だよなぁ」

 

それはムウやマリューとて分かっていた。

何度も言うが、現在のアークエンジェルの状況は予定外にも程があり、積み込まれた物資は十分とは言えない。

従って、必然的にどこかで補給する必要があった。

 

「……。デコイ用意、発射と共に航路修正!本艦はこれよりアルテミスに向かう!」

 

マリューの指示が飛び、途端に慌ただしくなる艦橋。

索敵担当のジャッキー・トノムラ伍長が周囲に展開している2隻のザフト艦の位置情報を報告し、マリューが操舵者のノイマンに更なる指示を飛ばす。

 

同時にナタルから火器管制担当のダリダ・ローラハ・チャンドラII世伍長にも管制システムのチェックが命じられ、チャンドラがオールグリーンの報告を上げる。

 

続々と声が上がるブリッジの騒々しさは暫く止むことは無かったが、トノムラのある報告に場の空気が変わる。

 

「転進するザフト艦あり!艦特定……ナスカ級です!」

 

「転進…どっちに向かってる?」

 

「本艦と同方向です!」

 

「何?」

 

「気付かれたの?」

 

「距離はまだかなりありますが……」

 

ブリッジの誰もが首を傾げる中、ただ1人相手の思惑を悟ったムウが焦り混じりの声を漏らす。

 

「チィ!クルーゼの奴、こっちの頭を抑える気だ!」

 

「な!?」

 

「そんな!?っ、目標が本艦を追い抜きました!」

 

ナタルとトノムラが驚愕の声を上げる中、マリューはトノムラに向けて叫ぶ。

 

「もう1隻、ローラシア級がいる筈よ!探して!」

 

「待ってください――本艦の後方300に進行する熱源を確認!」

 

「加えて挟み撃ちってか!?クルーゼの野郎…!おい、データと宙域図を出してくれ!今すぐだ!」

 

「何か策が?」

 

「それを今から考えるんだよ!ここで捕まる訳にゃ行かんでしょ!」

 


 

第一種戦闘配備が発令され、脱いだ筈のパイロットスーツにもう一度袖を通すことになった。

 

「……それ、大丈夫なのか?」

 

そうムウさんが差した指先には、未だに整備員をその身に侍らせたデュエルが屹立している。

まあこんな光景見たら心配にもなるよね。

 

「問題ない。もう殆ど見た目だけだから」

 

「殆どっておま!?」

 

「戦闘には支障はないよ」

 

「そうは言ってもなぁ……」

 

頭を搔くムウさんの顔には心配という感情が滲んでいる。

これから出撃だというのに、僚機の状態が不完全と考えたら当たり前だけど。

 

「イブ、ムウさん」

 

「キラ」

 

「あ、坊主か。聞いてくれよ、嬢ちゃんが――ん?なんかやる気十分って感じ?」

 

「はい。……守りたいものが増えました」

 

強い意志を感じさせるキラの言葉に、ムウさんには何か感じるものがあったようだ。

一気に表情を引き締め、私とキラに向けて頷いた。

 

「よし。それでは、作戦を説明する」

*1
地球連合加盟国の1つ、ユーラシア連邦が保有する軍事要塞であり、全方位光波防御帯「アルテミスの傘」と言う防御システムを有し、展開する事で鉄壁の要塞と為っている。の、だが……




ジャック・オー・ランタン様、複数話に渡る誤字報告ありがとうございますm(*_ _)m
10/7秋うなぎ様、誤字報告ありがとうございますm(*_ _)m
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