機動戦士ガンダムSEED DUEL   作:デュエル好きの名無し

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ep.09

無事にアルテミス要塞へ入港したアークエンジェル。

しかし、彼らを待っていたのは銃口を向けるユーラシア連邦の軍人達だった。

 

雪崩こんで来た者達は瞬く間にブリッジを占拠。

マリューさんやナタルさん、そしてムウさんは別室に、私達は他のクルー達と共に食堂に集められた。

 

「あの、ユーラシアって味方なんじゃ……」

 

サイがノイマンさんに小声で質問する。

その表情は困惑に彩られていて、状況が全く理解できていない様子だ。

まあ味方の基地に逃げ込んだかと思えばこれだし、無理もないけど。

 

「認識コードが無いからな……」

 

「認識コード?」

 

「分かりやすく言うなら、学籍番号みたいなものだよ」

 

ノイマンさんはそこで言葉を切り、今も尚銃を構えているユーラシアの軍人に視線を送った。

 

「本当の目的は、また別らしいがな」

 

「ですね……」

 

マードックさんとノイマンさんの会話に、イマイチ理解できていない様子のトール達。

……一応話しておいた方がいいかな?

 

「ユーラシア連邦と大西洋連邦は別に仲間って訳でもない」

 

「え、そうなのか?」

 

「一つの強大な敵を倒す為に一時的に手を組む。どっちかと言うとあれに近い」

 

「あ、なるほどな。嫌々手を組んでるってことか」

 

サイは手をポンと叩いた。

サイの言葉を聞いた2人も納得したらしく、うんうんと頷いている。

 

「ってことは……えーと、羊にソースかけてライオンの前にお出ししたみたいな状況ってことか?」

 

「トール……」

 

「例えとしては正解」

 

欲しくて欲しくて堪らないデータが詰まった新造艦と新型機動兵器なんて、ユーラシアからしたらご馳走以外の何物でもないし。

 

「私はこの宇宙要塞アルテミスの司令官をしている。ジェラード・ガルシアという者だ。単刀直入に聞こう。この艦に積まれているモビルスーツのパイロット、及び技術者はどこかね?」

 

銃を構えた軍人に睨まれないように大人しくしていると、ハゲ頭の士官が副官や護衛を引き連れ、如何にも偉そうな態度で入って来た。

 

「モビルスーツのパイロットと技術者だ!とっとと言え!」

 

「フラガ大尉ですよ。艦長達は言わなかったので?」

 

隣に立つ副官が威嚇するように怒鳴り声を上げるが、ノイマンさんは何処吹く風。平然と嘘をついた。

……ただ、仮にムウさんだとしても1人で2機は無理だよ。

 

「くだらない冗談だな。ゼロ式が先程の戦闘に参加していたのはこちらでも観測している。ガンバレルをああも巧みに扱えるのは彼しかおるまい。……それに、だ。仮に彼がパイロットだとしたら、もう1機はどう説明するのかね?ンン?」

 

あ、同じこと言ってる。

悔しげな表情を浮かべるノイマンさんを煽るように、めちゃくちゃムカつく顔を浮かべるガルシア。

 

キラが名乗り出ようとするも、バレないように意識したマードックさんに押さえられており、必然的に食堂は沈黙に包まれることになった。

 

「……まさか女性がパイロットだったとはな。まあ艦長も副長も女性なら、こういうこともあるかもな!」

 

そう腕を掴まれ、無理やり立たせられるミリアリア――ではなく私。

 

「イブ!?」

 

「おい、やめろよ!」

 

「その子は!?」

 

まさか正解を引き当てるとは……もしやこの男案外有能だったりするのか?

皆が声を荒らげる中、私は呑気にガルシアの顔を見つめていた。

 

「っ、…!」

 

「?」

 

ボーッと見つめ続けていると、何故か腕が離された。

加えて後退りまでしている。……私何もしてないんだけど、だからそんな目で見ないで。

 

まるで化け物でも見るかのような視線を不快に思っていると、ガルシアは一度咳払いし、改めて食堂のクルー達を――私からは全力で目を逸らしながら――舐めるように見回した。

 

「あ、おい坊主!」

 

「やめてください!ストライクのパイロットは僕ですよ!」

 

そして、その視線が改めてミリアリアに向けられたのを察したのか、マードックさんの制止を振り切ってキラが立ち上がった。

 

「坊主、友達を守ろうとする心意気は買うがね。あれば貴様のような子供ごときに操れる代物じゃないのだよ!」

 

「なら、ストライクのOSのロックを解除すれば納得しますか!?」

 

「貴様まだ言うかッ!」

 

「……」

 

「ぅぐっ!?チッ…!」

 

キラの言葉に怒りを抱いたガルシアが拳を構えるも、私が動く素振りを見せればすぐさま収めた。

……何やら過剰に反応されてる気がする。

 

「ちょっとやめて、嘘じゃないわ!だってその子――

 

「フレイ、やめろ!」

 

――離して!その子、コーディネーターだもの!そこの子だってそうよ!」

 

止めようとしたサイの腕を強引に振り払い、力の限り叫んだフレイ。

そして、その叫びを聞き一斉に銃口を私に向けるユーラシアの軍人達。……なんで私だけ?失礼な。

 

「馬鹿野郎!何言ってんだ!」

 

「何よ!本当のことじゃない!」

 

「お前、何考えてんだよ!?」

 

「なんで私が責められてるのよ!何も悪いことなんてしてないでしょ!?」

 

マードックさんとトールから怒鳴られるも、フレイは自分に非があると認めようとしない。

自己主張ができるのはいい事だけど、周りくらいは見て欲しいものだな……

 

「ほ、ほう。コーディネーターか。そうかそうか、なるほ――ひっ!」

 

「き、貴様!」

 

だからなんでこんな警戒されてる訳?私まだ何もしてないんだけど。

 

「……貴様がパイロットだということは信じよう。貴様だけ付いてこい!いいか、そこの小娘を絶対に連れてくるなよ!」

 

ガルシアはキラや副官達を引き連れて格納庫へと向かい、キラをコクピットシートに座らせ、ストライクのOSのロック解除作業を始めさせた。

 

その隣ではユーラシア連邦の技術者達によって、先の戦闘で左腕を失ったデュエルの修復作業が進められていた。

修復作業といっても、保管されていた予備パーツに交換するだけだけど。

 

それに、コクピットに入り込んだ技術者達の表情を見るにOSのロックも進んでいない様子。

銃を持った軍人達はストライクのキラにかかりきりだし、これならすぐにでも奪還できそう。

 

「ん、ちょろい」

 

足元に倒れ伏すユーラシア連邦の軍人達を適当な物陰に隠し、タイミングを測る。

恐らくはもう少しでブリッツが襲撃してくるから、その前にはデュエルに辿り着いておきたい。

 

軍人や技術者達の視線の先を見ながら、気配を消してデュエルへと近付く。

バレた時のことは考えない。その時はその時として暴れ回るだけだ。

 

「っ」

 

……予想よりも早かった!

慌てて駆け出し、周りの者達をなぎ倒しながらデュエルのコクピットに入り込む。

 

「小娘!?何故ここに!?」

 

「ふん!」

 

「貴様!?」

 

『攻撃されてるんでしょ!こんなことしてる場合ですか!』

 

「クソぉ!」

 

コクピットから技術者を蹴り出し、そのまま歩き出したストライクに続けてOSのロックを解除したデュエルを歩ませる。

 

『イブ、なんで……』

 

「こうした方が早い」

 

『でも、危ないじゃないか』

 

「今はあと」

 

『っ、分かった』

 

通信を閉じ、一度ストライクと別れる。

キラは複雑化させたロックの解除に少しの時間を要する為、先に私が出撃することになった。

 

機器を操作し、アームによって運ばれて来たデュエル用ビームライフルとシールドを保持させ、コネクタとの接続状態をチェック。

 

『無事だったか、嬢ちゃん!』

 

「マードックさん、出るから開けて」

 

『分かった!死ぬんじゃねぇぞ!』

 

格納庫のコントロールを取り戻したマードックさんによって、ハッチが開かれる。

 

「イブ、デュエル発進する」

 

カタパルトから射出され、アルテミス港内へと飛び出したデュエル。

そのメインカメラには、アークエンジェルへ一直線に向かってくる黒い機体の姿が映っていた。

 

「ブリッツ。早い」

 

「あいつ…!今日こそ!」

 

因縁の相手(デュエル)を視認し、即座にビームライフルを放つブリッツ。

デュエルは銃口の向きから大凡の狙いを予測、軽々とシールドで受け止め、ブリッツに向けてスラスターを吹かす。

 

「鬱陶しい」

 

しかし、あの時の戦闘の様子が脳内で再生され、距離を取ることを優先したブリッツには追い付けず、反動で隙を晒したところにランサーダートが放たれる。

 

「まだだ!」

 

サーベルを振るいランサーダートを斬り裂くデュエルと、爆発により生じる爆煙に紛れさせ、グレイプニールを射出するブリッツ。

 

爆煙を突き破り向かって来るグレイプニールを躱し、ワイヤーを掴み出力にものを言わせ引き寄せる。

 

「え、うわぁぁぁ!?」

 

急に引っ張られたことで体勢を崩したブリッツを右足で蹴り飛ばし、更に体勢を崩させる。

 

「そこ」

 

「はぁ!」

 

サーベルを振り下ろすも、軌道上にトリケロスが割り込み防がれる。

気にせずあの時のようにイーゲルシュテルンを発射しようとしたが、唐突にブリッツが視界から姿を消す。

 

「アンカーを!」

 

アンカーの巻き取り機能を利用し、急速に移動したブリッツが、再びトリケロスのビームライフルの銃口をこちらに向ける。

 

「やはり、あなたは厄介な敵ですね」

 

「できれば鹵獲したいけど……」

 

通信を繋げていない為、どちらも相手の発言を知ることはない。

だが、

 

「でも、僕にだって負けられない理由がある!」

 

「死なせたくない!」

 

――互いが抱く闘志は、相手に伝わる。

 

デュエルがビームライフル下部に備え付けられたグレネードを発射、ビームライフルで撃ち抜くことでブリッツの視界を遮る。

 

「くっ」

 

目前に広がる煙により相手の思惑を悟ったブリッツは、すぐさまビームサーベルを出力し、爆煙を切り裂こうとする。

 

「な!?」

 

「引っかかった」

 

が、その刃はデュエルの構えたシールドによって受け止められ、動揺するブリッツ目掛けて、下方からのサーベルの斬撃が振り上げられる。

 

「トリケロスが!」

 

本体から切り離され宙を浮かぶブリッツの右腕。

これによりブリッツはトリケロスに集約されていた武装類の全てを失い、残るは左腕のグレイプニールのみとなった。

 

「あとは……っ!?」

 

左腕も奪う算段を立てていると、激しい衝撃にアルテミスが揺れた。

 

『イブ!戻って!アークエンジェルが発進するわ!』

 

「……了解」

 

ミリアリアからの指示に従い反転、アークエンジェルへと迎えば、今し方バスターを振り切ったらしいストライクと合流できた。

 

『イブ!よかった、出るよ!』

 

「分かった。着艦する」

 

ストライクと共にアークエンジェルに着艦し、私達は連鎖的に爆発を続けるアルテミスから脱出した。




タグの曇らせに関してですが、よくよく考えたらSEEDの物語そのものが曇らせみたいなものなので消すことにしましたm(*_ _)m

※みやとも様、ジャック・オー・ランタン様誤字脱字のご指摘ありがとうございます┏○ペコッ
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