透き通るような世界観に乱入する邪悪魔術師のお話   作:ストライダー信長

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ちょっと長くなってしまった。反省も後悔もない。


第2話 トリックスター見参!!大魔導咽び泣く!!

 

 

「ふむ………諸君、そんなに怖い顔をしてどうかしたのかね?」

「誰のせいよ………誰の………ッ!」

「怖がらせてしまったか、黒髪の猫乙女よ」

「………もういいわよ………」

 

 何故だか威圧するように私を囲む学徒たちを見渡して、溜息をつく。

 ………というか、喉が渇いてきた。

 ローブから、【黄金の蜂蜜酒】を取り出して、

 

「”ちょっと、ガルちゃん?それなに?”」

「なに、只の蜂蜜酒(ミード)だ。諸君も如何かな?」

「何言ってんの!?未成年飲酒とかダメに決まってるでしょ!?」

「未成年………?私が?」

「えっ………ちょっと待って、ガル、アンタ今、何歳なの?」

「何歳………か」

 

 えぇと………私、何歳だったっけ?

 銀の門の試練を超えてヨグ・ソトースに謁見したのが………確か、2000年前か。

 それで、その1000年ほど前に《姫》と出会ったから………

 

「ふむ、ざっと6000歳だな」

「「「「「6000歳!?!?」」」」」

「”えっと………冗談、ではないっぽいね”」

「数百年も生きてこなかった落ちこぼれが、虚勢を張るために鯖を読むことはあるがな。なに、そのような手合いは遅かれ早かれ探索者(クアエシトール)に滅ぼされるのがオチだ」

「クアエシ………?」

「クアエシトール。探索者ともいうな。余計な事に首を突っ込んできては全てを破壊し、絶望して死に、或いは一切合切を台無しにする悪魔のような奴らだ。………さて、雑談に花を咲かせるのもよいが、1つ、頼みがある」

「っ、な、なに?」

「水をくれ。喉が渇いた」

「あっはい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷっはーーーーっ!!!」

「”………随分と、いい飲みっぷりだね”」

「危うく魔術師の干物になるところだったからな」

「ねぇ、アンタ、魔術師なんでしょ?魔法で水とか出せないの?」

「出来る事は出来るが………宗教上の都合でな。私が信奉する神の名はアトゥ。苦痛と傷を喰らう大樹の神だ。ゆえに、その信徒たる私は自らの手で苦痛を取り除いてはならんのだ。本来なら渇き果てて死んでいたところを、そこの恐ろしい乙女に救われた形になるな」

「………あっ、恐ろしい乙女っておじさんの事?言っとくけど、君を助けたのはシロコちゃんだからね?」

「むっ、そうか。感謝しよう、白狼の乙女よ。おかげで命拾いした」

「ん。困ったときはお互い様」

「そうか。そう言ってもらえるとありがたい」

 

 耳をピコピコさせる白髪の少女に、頭を下げ。

 

「それで諸君、私に何か聞きたいことがあるのでは?」

「うへっ………それじゃ、単刀直入に聞くけどさ、君は何ができるの?」

 

 気だるげな皮を剥ぎ取ったような目で、恐ろしい乙女が私を見ていた。

 ふむ、私に何ができるか、か。

 

「色々、だな。単純に敵を殺し、拷問し、捕縛する魔法。偉大なる神々や人知の及ばぬ者どもの一端を行使する大規模魔術。或いはそのほかの、細々とした補助的な魔術。沢山だ」

「へぇ、結構器用なんだ」

 

 

「………じゃあ、さ」

 

 

 

「死んじゃった人を生き返らせるような魔術も、あったりするのかな?」

「っ!?」

「ホシノ先輩、それは………」

 

 

 刺し貫くような、僅かな期待と妄執を籠めた、濁った眼。

 大方、取り戻したい故人がいるのだろうが、

 

「で、どうなの?あるの?」

「ある、が、使うわけにはいかんな」

「………理由は?」

「まず、この魔術は習得が酷く困難だ。ある邪神を崇める教団にしか伝わっていなくてな、私自身、覚えるためになんども死にかけた。さらに言えば、この魔術は蘇生させる死者の全身が揃っていなければ意味をなさない。一部が喰らわれていたりすれば、出来上がるのは人ともバケモノともつかぬ異形だけだ」

「………そう」

「次に、この魔術はとても大変なのだ。まず、蘇生させる死体を一口大にカットして銅の鍋で一日コトコト煮込んでから『本質の塩』を抽出する」

「そこだけ聞くとお料理みたいですね☆」

「………ともかく、本質の塩を基軸にして再生させるのだが、この煮込む作業が辛い。本当に辛い。はっきり言って私はもう2度とやりたくない」

 

 アレは、アレは本当に辛かった。

 すごく辛かった。

 ココロがきゅってなった。

 

 臭いのはまだいいし、死体を弄るのも慣れていたから気にならなかったが、リズムを間違えたら煮込み直しとか聞いてない。

 ほかの信者どもも、なんで「あー仕方ないねもう一回やりなおそっか」くらいのノリで作業してるんだ!?

 あのクソみたいな時間のせいで、実質1週間は休まずコトコトする羽目になったんだぞ!?

 ホントッ、ホントっ、あんんんのニャルラトホテプのクソボケアホカスゴミクソマヌケ狂信者どもが………っ!!!*1

 

「………なんか、魔術師って結構大変なのね」

「あぁ、大変だった。………話が逸れたな。死者蘇生を使わない3つ目の理由だが、あの魔術は、厳密に言えば死者蘇生ではない」

「………?」

「えっと、死者蘇生なのに死者蘇生じゃないってことですか?」

「そういう事だ、赤縁メガネの乙女よ」

「なんか私だけ呼び名が変!?」

「あの魔術は、人間の持つ『本質』を塩として結晶化し、それを基に肉体と魂と記憶を再構築する。要するに、死者を生き返らせるのではなく、()()()()()()()()()()()()()()()を構築する魔術なのだ。確かに、寸分たがわず生前と同じ姿で、同じ声で話しかけてくるだろうが、アレは紛い物だよ。紛れもなく、な」

「………えっ?待って、話を聞く限りだと、すっごく大変な魔術を使って死んだ人の偽物を作ってるって事でいいの?」

「その通りだ、黒髪の猫乙女よ。よく気付いたな?」

「誰が猫乙女よってそうじゃなくて!!えっ、なに?なんでそんなことしてるわけ?」

「金儲けだ」

「………え?」

「あいつら、死んだ魔術師を墓から叩き起して、ヘソクリやら隠れ家やらを吐かせてソレを搔き集めてるんだよ。紛い物だろうが何だろうが、記憶を搾取するだけなら問題ないからな。むろん、蘇った魔術師も抵抗するが、拷問して無理矢理吐かせて、絞るだけ絞った後はポイだ」

「えぇ………」

「………なんか、想像していた魔術師とだいぶ違いますね」

「それはそうだろう、豊穣の乙女よ。私たちは悪い魔術師だからな」

「………そっか。ダメなんだ。ゴメンね?ガルちゃん。変な事聞いちゃって」

「構わん。何でも聞いてくれと言ったのは私だしな」

「じゃ、じゃあさ!砂漠化を何とかしたりは出来ないの?」

「ふむ………出来るだろうが*2、やらない方が良いだろうな。私が制御を誤った場合、辺り一帯が人間の生存できぬ辺獄になる」*3

「却下で!!」

「そうしてくれ、黒髪の猫乙女よ」

「そうだ、ガルちゃん。ガルちゃんさ、行く当てとかあるの?」

「行く当てか。………特にする事もないし、流浪するつもりだが」

「じゃあさ、ウチにおいでよ。人いなくて困ってるし、ガルちゃんがいれば、借金返済も少しは楽になるかなって」

「………良いだろう、了承した。好きな様にこき使ってくれ」

「………随分あっさり決めたわね?」

「なに、青春とやらに興味があってな」

 

 アレは………確か、ニャルラトホテプの玩具にされた学徒だったか。

 ムーンビーストに全身を弄られたまま、譫言のように「青春を………青春を………」*4と呟いていたのを見て、少しだけ興味が湧いたのを覚えている。

 ちょうどよい機会だ、存分に満喫することにしよう。

 

 

「ところでさ、ガルちゃん」

「なんだ?」

「おじさんの事、恐ろしい乙女って言ったのはどういうことなのかな?」

「アッ」

 

 ………すぅ~~っ、

 

「待て!待ってくれ!おそろっ、ゲフンゲフン!!桃色の髪の乙女よ!!私の発言が貴女の逆鱗に触れたのは理解した!!次からはしない!2度としない!!我が《姫》と大樹アトゥに誓う!!そうだついでにジェヴォーダンの魂も賭ける!!!だからどうかっ、どうかその指弾きだけはっ」

「えい」

「マ˝-------ッッ!?!?」*5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、大将、やってる?」

「おっ、アビドスの皆と………そっちの子は、編入生かい?」

 

 

 連れてこられたラーメン屋のドアを潜ると、2足歩行する犬が厨房にいた。

 ………いや、

 

「蛸藤ガルという。よろしく頼む、食屍鬼(グール)の店主よ」

「………ぐーる?」

「違うのか?」

「いや、他所じゃ俺達みたいなのをそういうのかもしれんが………」

「ふむ。《小さき毛皮持つ友人よ、汝との出会い、巡り合わせに感謝を》

「………?なんだい、そりゃ」

「あぁ、失礼。つい、故郷の言葉が出てしまった。何分、こちらに来て浅いものでな」

「そうか。ま、こんな辺鄙な土地だが、これでもわざわざここまでラーメンを食べに来てくれる人もいるくらいなんだ。期待してくれよ?」

「なるほど。それは楽しみだ」

「そっちに座っててくれ!すぐに注文取るからよ」

 

 案内されるがまま、おとなしくテーブル席に腰かけ、

 

「………ねぇ、さっきのなに?」

「グールの言語で挨拶してみた。彼らは礼節を重んじるからな、ああやって声を掛ければまず無視される事はない。だが、店主殿はグールではないようだな。いわゆる犬人(ワードッグ)という種族か。彼らが人と共存するとは、この街は素晴らしいな」

「………何でもいいけどさ、問題起さないでよ?」

「私を誰だと思っている、おそろ」

「ん~?」

「んんっ!!………ホシノっ、先輩よ*6。これでも浮世に潜むのには慣れている。伊達に生き延びていないのでな」

「そっか~。それなら安心かな?」

「あぁ。下手をやって【セイラムの魔女裁判】で焼かれた同胞が山ほどいる」

「………そっか」

「?どうした?今のは笑うところだろう?」

「笑えないわよ………」

「”なるほど………これが魔法使いジョーク………”」

「その通りだ、先生よ。やはり蒙を拓く立場の人間は物分かりが良いな」

「”でも、人前でやっちゃダメだよ?”」

「わかっているとも。ここにいる皆を信頼しているだけだ」

「………なんか、ちょっと重くない?」

「そうでもないさ、セリカ」

「………なんか、腹立つ」

 

 真横から睨まれつつ、コップの水を飲み干して、

 

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「それじゃ、豚骨ラーメンで」

「ん、チャーシュー麵トッピングチャーシュー」

「塩ラーメン1つ、お願いします」

「それじゃあ、私は味噌ラーメンで」

「”私は醬油ラーメンチャーシュー抜きで。………ガルちゃんはどうする?”」

「ふむ、私か」

 

 豚骨ラーメンは………確か、豚の骨をブツ切りにして出汁を取ったものだったか。

 塩はそのままで、醬油と味噌は………

 

「………あぁ、思い出した。あの、大豆に親兄弟を殺された人間が、一族郎党の復讐のために考案した調味料か」

「何でそうなるの!?」

「いや、冷静に考えてみろ。煮て潰して塩を擦り込んだ挙句に潰して汁を絞るなど、魔術師でも偶にしかやらんぞ」*7

「………それは、そうかもだけど」

「だが、そうだな。私は醤油ラーメンを頼む。大盛でな」

「”………一応、私の奢りなんだけどな”」

「そうか、すまない事をしたな先生。後でサイメイギの涙のワインをプレゼントしよう。気に入らない相手に飲ませてやれ」

「”しないよ!?”」

「ご注文、以上でよろしかったでしょうかー?」

「はい、お願いします」

 

 ペコリと頭を下げたやる気なさげな少女が、トコトコと厨房へ走っていく。

 フリフリと揺れる尻尾を見送って、

 

「”しかし………まさかの魔法使いが入校するとはね。これは、借金返済も案外簡単に片付いちゃうかもね?”」

「あまり期待しないでくれ、先生。魔術など、ロクでもないものだ。頼るべきではないよ」

「そっすねー。魔術師が何言ってんだって感じですけど」

「でも、上手く使えば便利な物なんでしょ?」

「そういう風に勘違いしたバカを破滅させんのがいっちゃんおもろいよね」

「そうだな………わかりやす所で言えば、触れた物を黄金に変える魔法などがあるな」

「ミダス王の手ですね分かります」

「………すまない、みんな。ちょっとだけ迷惑かける」

「?ガルちゃん、どうかし」

「我が神よ、何用でございましょうか?」

「ようやく気付いた?鈍いね、ガルちん」

 

 

 

 ─────その瞬間、世界が、文字通り()()()()

 

 何もかもが停止した真っ白な世界が裂け、無数の縄を編んだような混沌が顕現する。

 

 それは、冒涜だった。

 この宇宙に存在する全てを、そこにあるだけで穢し、冒涜していた。

 

 それは、恐怖だった。

 今この瞬間、3次元世界自体が、それを感じ取り、恐怖に慄いた。

 

 それは、絶望だった。

 跪いて首を垂れる私の脳髄を、どす黒い、恐怖すら隔絶した純粋な絶望が支配する。

 

 熾火のように燃える三眼が、私を見据え。

 

「………お久しぶりです。我が神アトゥ………いえ、ニャルラトホテプ、偉大なる神々の代行者。謁見の機を設けていただき光栄に存じます」

「別にいいよ、もっとフランクで。あっ、そうだ、ゾス星系吹っ飛ばした時の話する?」

「………」

「………なんて、ね。今日来たのは、君がそろそろ僕に会いたがっている気がしてね」

「やはり、貴方でしたか。私をここに放り込んだのは」

「その通り。いつも通りの暇潰しでね」

「………一応、縛りを聞かせてもらっても?」

「もちろん!!今回の縛りじゃ、君からいくつかの物を奪わせてもらったよ!!今のところ僕に言えるのはそれだけだね。せいぜい、コレじゃないアレでもないって青いタヌキ型ロボットみたいにならないようにね?」

「………」

「期限は不定、シナリオクリアの条件はまだ教えたげない。あっ、この都市から脱出するのは禁止ね?やろうとしたらニャルビームで粛☆清しちゃうゾ?」

「はい。………門の創造は、やはり使えませんか」

「この都市の中だけなら使えるんじゃないかな?でも出ようとすると~?」

「貴方がお迎えに来ると」

「イグザクトリー!!あっ、君のお姫様との繋がりは断ってないからねん。いつでもどこでもなっさけなく泣きつきなよ」

「ありがとうございます、我が神よ。………1つ質問なのですが、今の私は、もしや探索者(クアエシトール)なのでしょうか?」

「そだよ。せいぜい足搔いて頑張ってみなよ、今まで君が擂り潰してきた、幾千幾万の探索者と同じように、ね。そんじゃ、ばはは~い☆」

 

 

 原初の魔王より生まれし邪悪の王子、最も雄大なる外なる神の1柱、ナイアラルトホテプがフレンドリーに手を振って去っていく。

 

 静止した世界に、色が付き。

 

 

「────ました?」

「いいや、何も」

「………大丈夫?アンタ、顔色悪いわよ?」

「なに、ちょっとバビロンの君主に八つ裂かれた事を思い出してな」

「ちょっとじゃないわよそれ!?」

「不老不死の妙薬を採取するのに必要な犠牲だったのだ。私は悪くない」

「えぇ………」

「ほい、お待たせさん!!」

 

 トテトテ歩いてきた大将が、テーブルの上にラーメンのドンブリを置いていく。

 割り箸をパキッと割って、

 

「………」

 

 ………私のラーメンの中に、ミニサイズのニャルラトホテプがいた。

 ご丁寧にナルトの浮き輪とサングラスまでして、バカンス中とでも言わんばかりにくつろぐ、ニャルラトホテプが。

 みんなが発狂していない辺り、認識阻害もしっかりしてるのだろう。

 クソが。

 

「ガルちゃん?どうかした?」

「いいや、なんでもないさ」

 

 ミニラトホテプを箸で摘まんで、キャーキャー騒ぐのを口に放り込んだ。

 ………あっ、

 

「美味しい………」

「でしょ!?ここのラーメンほんっっと~に美味しいのよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~~ううう あんまりだ…H E E E E Y Y Y Y あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!おおおおおおれェェェェェのォォォォォ 、コォォレクションンがァァァァァ~~~!!」

 

 

 あんまりだっ、あんまりだっ、あんまりだぁっ!!!

 

 確かに!!ボッシュートしたとは言われたさ!!

 

 私自身覚悟もしてた!!

 

 でも!!

 

 これは!!

 

 これはぁっ!!!

 

 

「ねぇよぉ………こりゃねぇよぉ~~流石にひどすぎるよォ、こんなのって………こんなのってぇええぇぇ~~~~~~っ!!!!」

 

 

 水神クタアド(第2版)

 深海の神秘(原本からの直写し)

 エイボンの書(イスの偉大なる種族による原本の写しの写し)

 エデンの蛇の牙毒が半分。

 ネクロノミコンフランス語訳(焚書を逃れた希少品)

 ハイパーボリアの図書館からパクってきた前人類史の歴史書

 古のものの遺したショゴスの製造法を記した石板。

 ウボ=サスラの肉片。

 始めて殺したガグの右腕。

 ウマルの根っこ*8を三分の一。

 ミ=ゴから貰った電気銃。

 お気に入りの枕。

 バルサイの偃月刀の製法書。

 賢者の石の作成法を記した書物。

 お気に入りのパジャマ。

 食屍鬼教典儀の写し。

 黄金の蜂蜜酒を半ダース。

 クルーシュチャ方程式を途中まで計算した大学ノート。

 木星の猫がくれた抜け毛。

 お気に入りの毛布。

 

 

 全部ッ、全部ッ!!持っていかれたァッッ!!!

 

 あんまりだぁっ、酷いっ、酷すぎるッ!!!

 

 一体全体私が何したって言うんだ神様っ!!!!*9

 

 

「………ねぇ、その、なにがあったの?」

「ばぁあああああぁあぁぁっあっあっあっああぁああぁああああっっっ!!!!!持っていかれたァっ、いろんなコレクションをっ、だぐざんっ、もっでがれだぁっ!!!」

「”えぇと………具体的には、何を盗られたの?”」

「ぐすっ………お気に入りのパジャマ………」

「”………他には?”」

「枕と毛布。………あと魔導書とか禁じられた智慧が記された本とか人類史から抹消された文書とかたくさん」

「”えっ”」

「そんなもん持つんじゃないわよ!?ぽいっしなさい!!」

「………本当に捨てていいんだな?」

「やっぱ無し今の無し捨てないで嫌な予感がするわ!!!」

「………まぁ実際、魔導書の類に関しては問題無いんだよな。内容はもう全部頭に入ってるし」

「うわっ、急に冷静になった」

「あっ、そうなの?」

「ただなぁ………入手手段が1つに限られる希少な薬草とか、毒薬とか、素材とかが持ってかれた。あとお気に入りの日用品。魔導書にしても、ほとんどが入手不可能な稀覯本の類のものだし」

「”それは………辛いね”」

「………慰めは要らんよ、先生。惨めな私を笑ってくれ」

「”………私も、似たような経験があるんだ。プラモを布教用と観賞用と保存用にとって置いたら纏めてゴミに出された”」

「………それは、辛いな」

「”………辛かったよ、とても”」

「………すまない、先生。迷惑をかけた」

「”気にしないで良いよ。私は先生だからね”」

「………ありがとう、先生。少しだけ楽になったよ」

 

 虚勢を張りつつ、立ち上がって、

 

「………それに、一番大切な物は盗られなかったからさ」

 

 私の心臓に一番近い部分、素肌に触れる位置につけていたネックレスを取り出す。

 

 暗褐色を帯びた金細工と、その中央に据えられた、不規則にカットされた赤い宝石が、砂漠の日差しを反射して神秘的な輝きを放つ。

 トクン、トクン、と、緩やかに鼓動するソレを、優しく愛撫し。

 

 

「それ、なに?魔法の道具とか?」

「いいや、コレは《姫》………私の妻の、心臓だ」

「………はぁっ!?」

 

 

 

 

 

*1
ニャルラトホテプの信者とか99%まで限界マゾヒストのド変態だからね、仕方ないね♡

*2
大地母神シュブ・二グラス「呼んだ?」

*3
黒い子山羊パ~ラダイス

*4
俺TUEEEEE君とムンビでバトルさせたら壊れちゃった。byニャル

*5
大魔導士ガルガンチュア、末期の悲鳴を上げる

*6
ちゃんと名前で呼ぶように躾けられる大魔導士

*7
つまりたまにする

*8
不老不死の妙薬

*9
魔術師やってたからじゃんね☆





筆者の手持ちの魔導書が少なくて済まない。でもクトゥルフって作者によって設定まるで違うし別にいいよね!!
それはそうとして、ガルちゃんはだいぶやばい魔術師です。
TRPG的に言うと討伐を前提に造られていないキャラです。
まぁフィリピン爆竹ばら撒けば死ぬとは思いますが。

そして《姫》………いったいどこのゾス3神の妹枠なんだ………



魔術説明

ヨグ・ソトースの拳

低燃費で出の速い攻撃魔術。
クッソ便利な初期技だが、術者の技量によって威力が大きく変動する。
ドラゴンボールの気弾みたいなもん。

多くの魔術師たちは最初にこれを学び、だが、その難易度の低さゆえにコレを嘲笑する。
誰にでも行使できる魔術に、何故外なる神々の副王の名が与えられたのか、その意味を考える事もなく。

彼は偏在する。

彼は私であり、貴女であり、貴方であり、それであり、此処である。

その意味を真に理解してなお、この魔術を嘲笑する者はいないだろう。
此れは正真正銘、邪神の一撃、文字通り、遍く存在するヨグ・ソトースの拳そのものなのだから。

欲しいssあったら投票してくだちぃ

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