その力は何の為に   作:カニ漁船

20 / 88
U.A.F.も順調。


クラシック戦に向けて

「ホッコータルマエと!」

「ソノンエルフィーの!」

「「U.A.F.講座~!」」

 

 カメラを回す僕と都留岐さん。タルマエとソノンエルフィーさんのコラボ動画で使う開幕の挨拶を撮っている。

 

「みなさんこんにちは!北の湖から飛んできた、紙の翼の渡り鳥!苫小牧ロコドル、ホッコータルマエだべ!そして」

「はいッ!ワクワクアスリート系ウマチューバー、ソノンエルフィーですッ!今日もタルマエさんとU.A.F.について説明していきますよ~ッ!」

「まずは簡単なおさらいからいくべ!U.A.F.というのは……」

 

 コラボの内容は着々と準備が進んでいるU.A.F.について。U.A.F.とは何か?どういった目的があるのか?参加資格はどうなっているのか?どんな競技があるのか?を視聴者に分かりやすく伝えることを目的としている。それにしても、もう手慣れたものだね。

 

「……と、いうわけでッ!ウマ娘アスリートフェスティバルの開催準備は着々と進んでいますッ!今日はソニックフェンシングについてご説明しましょうッ!さぁ、タルマエさん!」

「はい!したっけ、体育館に移動だべさ!」

 

 一度撮影を止め体育館へ移動。その後はソノンエルフィーさん達がソニックフェンシングを実践し、カメラに映像を収める。

 

「……それでは、今回はソニックフェンシングでした!」

「U.A.F.の動画もかなりの本数になってきましたねッ!興味を持っていただけてると嬉しいですッ!」

「「また次回もよろしくお願いします!」」

 

 ……といったところで動画を撮り終わった。

 

「良い感じだったよ、2人とも」

「後は編集してウマチューブにアップするだけね」

 

 動画を撮り終わった。では、この後はなにをするのか?勿論動画の編集ではなく。

 

「ではミーティアのみなさんッ!今日も気合を入れてトレーニングをしましょうッ!ソニックフェンシング実践編ですッ!」

 

 ソノンエルフィーさん達の協力の下でトレーニングである。余談だけど、このU.A.F.の動画はどれも50万再生を超えている。

 

 

 

「そうだ、高村トレーナー。ジェンティルドンナさんのシンザン記念おめでとうございます」

 

 トレーニングを見守っている中、都留岐さんが微笑みながら先日開催されたレースについて触れてきた。シンザン記念か。

 

「ありがとうございます。本番のティアラ戦に向けて、弾みをつけることができました」

「クラシック戦も近づいてきてますね。個人的にですが、応援しています」

 

 ジェンティルの次走である桜花賞、タルマエの次走である皐月賞。2つのクラシック戦を控えている。それにしても、タルマエから皐月賞の出走を打診された時はとても驚いたな。

 

(芝のレースでも大丈夫ですか、とは言われていたけど……クラシック戦に出走か)

 

 正直な話、タルマエの芝適性はすでにB。本番までには問題なく出走できる状態にまでは仕上がっているだろう。なので特に問題はない。

 

「それにしても……タルマエさんは皐月賞に出走なんですね。ダートのジュニア級王者が芝のクラシックに出走なんて、前代未聞ですよ?」

 

 不思議そうな表情の都留岐さん。まぁ、はい。その通りなんですけども。当たり前だけど他の人達からも驚かれたし、やっぱコイツやらかした、みたいな目でも見られた……それはなんか違くない?

 

「どうしてタルマエさんの次走を皐月賞にしようと思ったのですか?少し、気になったもので」

 

 皐月賞にした理由。それは単純なものだ。

 

「タルマエ自身が出走したいと望んだから。なら、僕はその道を整備して走らせてあげるだけです。理由なんてそれぐらいですよ」

「……それで結果を出してきたのですから、高村トレーナーは凄いですよね」

「頑張っていますので」

 

 後はタルマエが勝てるようにしないと。相手はゴールドシップ、態勢は万全にしておく必要がある。元々こちらが不利な状況だからね。用意は入念にしておく必要がある。

 

(現状ステータスは五分。タルマエがちょっと上ぐらいだけど、ホープフルの負けからゴールドシップの陣営はさらにトレーニングを積むはずだ)

「ちなみにですが、クラシック三冠全てに挑戦するご予定ですか?」

「……タルマエとの相談次第ですね。彼女が出走を望まなければ、たとえ三冠がかかっていても出走はしません」

「ふふ、やっぱりウマ娘第一なんですね」

 

 そりゃあ勿論。無理して出走させるのも申し訳ないし。

 

「ジェンティルさーん!ソニックフェンシングの的、壊さないでくださいねー!」

「安心なさいな。ちゃんと力はセーブして差し上げますわ」

「本当ですかー?私、信じてますからねー!お願いしますよー!」

 

 今日もトレーニングは順調だ。クラシック戦線に向けて、頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 事の始まりは【月刊トゥインクル】が発行した新年増刊号の記事。チーム・ミーティアの2人、ジェンティルドンナとホッコータルマエのインタビューが載せられていた記事だが……驚くべきことが書かれていた。

 

【ホッコータルマエの次走は皐月賞!?チーム・ミーティアのトレーナー、高村聖が明かすその真意とは!】

 

 全日本ジュニア優駿を制し、その強さから次世代のダートウマ娘として紹介されていたホッコータルマエの皐月賞出走。この発表に世間は大いに沸いた。

 言うまでもなく、皐月賞は芝のレースだ。クラシック三冠の初戦であり、かなりの権威があるレース。対してホッコータルマエは今までダートしか走ったことがない。圧倒的不利は間違いない。

 

「ホッコータルマエの次走は皐月賞!?マジで言ってんの!?」

「え?タルマエちゃんが皐月賞に!?」

 

 ダートを主戦にするウマ娘が芝のレースに出走する。誰もが無謀だと思う……

 

「いや、でもトレーナーが……」

「うん。ぶっちゃけトレーナーがトレーナーだし……」

「やりかねないとは思った」

 

 わけではなかった。何ならやってもおかしくないとさえ思われていた。その理由は、ひとえにトレーナーが高村聖だからである。

 

「バクシンオーで三冠獲ったトレーナーさんでしょ?じゃあやるでしょ」

「あ~ホッコータルマエってバクシンオーのトレーナーさんだもんな。まぁやりかねんな」

「アイツならやる。絶対にやる。確実にやる」

 

 世間からの信頼度もばっちりだ。アイツならやりかねない、ダートウマ娘が皐月賞を走っても不思議ではないと思われる。まぁ適性外のレースでことごとく勝利を掴み取ったサクラバクシンオーを担当しているトレーナーなので当然ともいえるだろう。

 

「てかドリームトロフィーでバクシンオーがダート走ってたしな」

「あ~アレな。ウインディちゃんの死んだ目は今でも鮮明に思い出せるよ」

「なんでダート走ってんですかねぇあの学級委員長は……」

 

 世間からは割とあっさり受け入れられていた。

 

 

 だが、()()()()()()()()()()()()()

 

「おいおいおい!なんでタルマエが皐月賞出走すんだよ!?おかしいだろ!」

「お、落ち着けシップ!冷静になれ!」

「んだよあのトレーナーはよぉ!ゴルシちゃんになんか恨みでもあんのかよ!?ゴルシちゃん保護法で訴えんぞ!」

 

 とりわけ取り乱したのはゴールドシップである。ホープフルステークスでジェンティルドンナに敗北を喫した彼女は、次こそは彼女に勝つとトレーニングに打ち込んでいた。ただ、2人は違う路線に進む予定だったので、次戦う時はシニアとの混合戦になるだろうと踏んでいた。

 

「ま~ジェンティルドンナはティアラ路線で自分はクラシック路線だからぶつかることはないだろう」

 

 などと高を括っていたら、彼女と同じチームのホッコータルマエがクラシック路線に殴り込んできたのだ。何かの嫌がらせを疑っても仕方がないのかもしれない。

 

「ふっざけんじゃねーぞDHAが豊富そうな目ぇしやがって!太平洋で泳がせてやろうか!」

「落ち着きなさいなゴールドシップさん!別に他意はないですわよあの人に限って!」

「ンなこと分かってんだよマックちゃん!でも嫌がらせとしか思えねーんだよこちとらぁ!」

 

 ジェンティルドンナに負けたかと思えば、今度は別の刺客としてホッコータルマエを送ってきた。ゴールドシップからしたらそうとしか思えない状況なのである。もっとも、彼の人となりは知っているのでそんなことはないと分かっているのだが、それでも言いたくなる。

 

「フッ、今のアタシはまな板の上の鯉……ピチピチ跳ねることしかできない憐れなフィッシュさ……」

 

 ついには横になって寝込んでしまった。ゴールドシップのトレーナーとメジロマックイーンは顔を見合わせる。

 

「ゴールドシップさん、やさぐれてしまいましたわね……」

「仕方ないと思うよ?私も、こんな展開になるなんて思わなかったからね」

 

 ジェンティルドンナが出走してこないと思えば、まさかダートウマ娘のホッコータルマエが来るとは誰も思わないだろう。彼らは悪くない。悪いのは高村率いるチーム・ミーティアの方だ。

 

「でも、どうしましょう?このままではトレーニングに悪影響ですわ」

「う~ん……できる限り早く立ち直って欲しいんだけど」

 

 そう話していたら、ゴールドシップが急に立ち上がった。2人とも思わず飛び上がって驚く。

 

「クッソ~!あのロウニンアジめ!覚悟しておけよ!ゴルシちゃんがホッキ貝ごと釣りあげてやらぁ!」

 

 そう叫ぶと、先程以上の勢いでトレーニングを始めた。呆然とした表情で眺めるトレーナーとメジロマックイーン。

 

「……ロウニンアジってなんですの?」

「さぁ?でも、やる気になってくれたみたいで良かったよ」

 

 どうやらゴールドシップにも火が点いた?みたいである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お ま け

 

 

〈トゥインクル・シリーズについて語るスレpart××〉

 

 

32:名無しの一般ウマ娘ファン ID:3hmKlM7a0

おい!出てきやがれ>>ID:Vnpz0plt8!テメェのせいでマジでタルマエが皐月賞に出走してくるだろうが!

 

33:名無しの一般ウマ娘ファン ID:38ilG4e/m

スレ民のせいでマジでタルマエが皐月賞に出走してくるの芝。いや笑えないんだが?

 

34:名無しの一般ウマ娘ファン ID:qsl1F+64z

いつものことだけど本当にトチ狂ってんだよあの陣営

 

35:名無しの一般ウマ娘ファン ID:Fh9WnMigD

なんでダートウマ娘が芝のレースに出走すんだよ?適性はどうなってんだ適性は!

 

36:名無しの一般ウマ娘ファン ID:V71KFwNDT

ゆーて赤鬼も出走してたしへーきへーき()

 

37:名無しの一般ウマ娘ファン ID:t0r3HoGr5

流石高村T!俺達にできないことを平然とやってのける!そこに……マジで何してくれてんの?

 

38:名無しの一般ウマ娘ファン ID:d5CNDq2wj

はえ~これが言霊ってヤツですか

 

39:名無しの一般ウマ娘ファン ID:VL5OFoUP2

本当に出走してこなくていいから(良心)

 

40:名無しの一般ウマ娘ファン ID:9tRZAkfdH

>>36

おう何着だったかいうてみぃ

 

41:名無しの一般ウマ娘ファン ID:Vnpz0plt8

良いですか?落ち着いて聞いてください。まさか現実になるとは思わないじゃないですか(後悔)

 

 




こうなったのもスレ民のせいです。あーあ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。