その力は何の為に   作:カニ漁船

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次はデュランダルですか……まぁ多分アホの子。


プレオープンに向けて

 突然僕の下に送られてきたフランスからのメール。内容は、()()()()()()をコーチングして欲しいというもの。

 受ける受けないは別として、まずは秋川理事長に相談することにした。理事長室で事の経緯を説明し、やってもいいかどうかを聞いてみる。

 

「……というわけなのですが、秋川理事長は「許可ッ!勿論構わないぞ!」即答ですね」

 

 理事長は天晴!と書かれたセンスを広げて高笑いしている。大体いつものノリだ。

 

「我々としては、我が学園のトレーナーが評価されているようで非常に嬉しいからなッ!指導の方法は?」

「先方はVRでの指導を提案してくださっています。内容としては日に数時間の指導とトレーニングメニューの提案です」

「それならばよしッ!」

 

 どうやらOKらしいので、早速向こうに返事を書こう……と思ったら、理事長と理事長秘書である駿川たづなさんが鋭く睨んできた。な、なんだろうか?なにか粗相をしたのだろうか?

 

「ただしっ!あまり仕事をし過ぎないように注意したまえッ!ただでさえ君は前科があるからな!」

「そうですよ~?きちんと指導した時間を書いて、こちらに提出してくださいね?嘘はダメですよ。向こうにも確認しますから」

「……当たり前ですけど、僕の信用0ですね」

 

 前科があるから当たり前なんだけども。

 とにかく、これで担当ウマ娘が一人増える……のか?コーチングする子が増えた。

 

「ちなみにだが、誰からの依頼だったのだ?また、担当する子も気になるな」

「差し支えなければ教えていただけますか?高村トレーナー」

 

 依頼主と担当する子か。教えてもいいだろう。別に減るもんじゃないし。

 

モンジューからの依頼です。かつての凱旋門賞ウマ娘ですね。指導して欲しい子はヴェニュスパークという子だそうです」

「ほほう、彼女か!なにはともあれ、頑張ってくれたまえ高村トレーナー!」

「体調第一、無理をなさらないようにお願いしますね?」

「はい。それでは失礼します」

 

 理事長室を後にする。さて、これで指導することが決まったな。

 

「返事を書くとしよう。いつから始められるか?どこを目標にしているのか?後は……」

 

 今後の予定を立てながらトレーナー室に戻る。この後返事を書いて送ったところ、夜には返事が返ってきた。

 

「今後とも良い関係を、か。さて、まずは彼女のトレーニングからだな」

 

 聞くところによると、まだデビューはしていないとのこと。日に数時間ほどのコーチング、トレーニングメニューの改善など、色々とすり合わせをしていった。後は実際に本人に会ってみたり。VRだけど。

 

「『あなたが師匠の言っていた高村さんですね?私はヴェニュスパークです!ご指導お願いします!』」

「『うん。よろしくね。早速だけど……』」

 

 こうして異国の地に担当が1人増えた。担当かどうかは分からないけど。

 

 

 

 

 

 

 フランスのコーチングもそうだけど別のこともある。今はトレーナー室にて都留岐さんと打ち合わせ。それも、かなり重要な会議だ。

 

「さて、もうそろそろ始まりますね……U.A.F.のプレオープンイベントが」

「はい。会場の予約も済みましたし、機材の確保も問題なくできています。後は6月末の開催に向けて、我々が宣伝をするだけですね」

 

 U.A.F.のプレオープンイベントが6月末に開催される。今回はその会議だ。

 

「今回の目的は、みなさんにU.A.F.の存在を知ってもらうことにあります。なので……」

 

 都留岐さん達が用意してくれた企画書を確認する。タイムスケジュールに今回のイベントの目的が事細かに書かれていた。

 

 

 6月末に開催される予定のU.A.F.プレオープンイベント。今回は()()()()()が目的だ。

 U.A.F.は頑張って宣伝しているけど、ウマチューブを中心に発信しているのが現状。ウマチューブは確かにたくさんの人が見るかもしれないけど、それだけだと少し弱い。

 

「現在我々はエルフィー達のチャンネルを介して配信を行っています。ただ、チャンネルを登録をしていない人やウマチューブを見ない人にU.A.F.を宣伝することが難しいのが現状です」

「オススメ欄に表示されることがあるとしても限りがありますしね」

「はい。なので今回はウマチューブでU.A.F.を見たことがない人……そちらにターゲットを絞る予定です」

 

 企画書にはTV局や新聞社、さらには月刊トゥインクルの名前もあった。凄いな。苦労したんじゃないだろうか?

 

「実際に競技をしている姿をみなさんに見てもらうこと、また足を運んでくださった方々に競技を体験してもらう予定です。大会とは違う形での開催ですね」

「……勿論ミーティアも参加を」

「できれば、お願いしたいです。勿論無理なら構いません」

 

 頭を下げる都留岐さんだけど、参加をしないという選択肢はない。U.A.F.の競技を介することでステータスの伸びも良くなっているし、なにより協力するって決めたんだ。断る気なんてさらさらない。

 

「当然、参加します。タルマエはジャパンダートダービーの兼ね合いがあるので少し厳しいかもしれませんが、バクシンオーとタキオンは前向きに検討してくれるはずです」

「そ、そうですか……!ありがとうございますっ!」

「となると、宣伝で我々の存在を周知させる必要がありますね。チラシとか諸々にミーティア協力の……」

 

 こういっちゃアレだけど、バクシンオーとタキオンが参加することでそれなりの数は見に来てくれるはずだ。触れ合いイベントみたいなのはないけど、クラシック四冠ウマ娘と凱旋門賞ウマ娘。ネームバリューは抜群といってもいい。

 

「それに、ウマチューブを見てイベントに来てくれる層に宣伝をお願いしましょう。配信にもより力を……」

「15種の競技の説明動画も作りましたし、次からは企画や歌をメインに動画を作るのも悪くないと思います。まずは……」

「宣伝用のCMを作ることも検討しましょう。エルフィーとタルマエさんを起用して……」

 

 都留岐さんと2人で企画会議をする。まずはイベント成功のために、やれるべきことをやっておかないと。

 

 

 2人でイベントの話し合いをして、時間の方を確認する……気づけばこんな時間か。

 

「都留岐さん。そろそろソノンエルフィーさんが「おはようございますッ!聖さん、涼花さん!」どうやらきたみたいですね」

「エルフィー、丁度良かった。今U.A.F.のCMを作ろうと思ってて……」

 

 大学の講義を終えてこちらにやってきたソノンエルフィーさんに情報を共有。バクシンオー達もすぐに来るだろうし、こっちも説明する準備をしないとな。特にバクシンオーとタキオンはプレオープンイベントに出てもらう予定だし。

 その後すぐにやってきたバクシンオー達と合流して今日のトレーニングへ。外に出向いてのトレーニングだ。というのも。

 

「今日はライクアサブマリンをやりましょうッ!ヘルスイムシュートもありますよッ!」

 

 ライクアサブマリン。簡単に言えば潜水のようなもの。分類的には根性トレーニングになる。プールの底に沈んでいる重りを駆使して浮き上がるのを阻止し、潜水時間を競い合う競技だ。

 ヘルスイムシュートは水球。水に浮かんでいるボールを拾い、ゴールに向かってぶん投げる種目だ。水中ではうまく動くことが難しいので、いかに効率よく動いてゴールに叩き込むかが鍵となる。

 プールでやる種目ということでこの2つ。全員ルールは把握しているので早速実践だ。

 

「委員長のシュートは花丸ですッ!トリャーッ!」

 

 バクシンオーが最初にヘルスイムシュートをやる……が。

 

「わぁっ!?わわっ、きゃあっ!?」

 

 全部ゴールから外れた上にキタサンの方に投げていた……なにやってるの。逆に奇跡でしょ。

 

「す、すいませんキタさんッ!手元が狂いましたッ!委員長猛省ッ!」

「び、ビックリしましたよ!もう!」

「何をやっていますの。お退きなさい、私がやりますわ」

 

 続いてジェンティルの番。ジェンティルは。

 

「フッ!ハァッ!フンッッッ!」

 

 全部綺麗にゴールに叩き込んだ。それにしても、ボールをネットに叩き込んだ時、気持ちいい音が鳴ったね。

 

「おぉ!お見事ですジェンティルさんッ!これは委員長も見習わなければッ!トリャー!」

「危ないねぇ!?」

 

 今度はタキオンに当てそうになっていた。バクシンオーはまずコントロールを鍛える必要がありそうだね。

 

 

 タルマエとドゥラはライクアサブマリン。お互いに水中に潜り、時間を測っている。長いこと潜っている2人だけど、勝敗の結果は。

 

「プハッ!……負け」

 

 ドゥラが先に上がってきた。タルマエの勝ちだね。ドゥラは、目に見えて分かるぐらいにはしょんぼりしている。トレーニングといえど、負けるのは嫌なんだろうね。

 

「お疲れ様、ドゥラ」

「あぁ。次は負けない」

 

 プールから上がってきたドゥラにタオルを渡してタルマエが上がってくるのを待つ。それにしても、結構長い時間潜ってるな。

 

「……プハッ!タイム、どうですか!?」

 

 時計を確認……タルマエの自己ベスト更新だね。

 

「おめでとう。自己ベスト更新だよ」

「や、やった……!よ~し、この調子で頑張るぞ!」

 

 トレーニングは順調である。ジェンティルはオークス、タルマエは日本ダービー。日がないから一日一日を大事にしていかないと。2人が勝てるように、ね。

 

 

 余談だけど、トレーニングの最中にソノンエルフィーさんがとんでもないことを言い出した。

 

「う~ん、涼花さんッ!」

「どうしたの?エルフィー。何か思いついたの?」

 

 閃いた、という表情をする彼女を見て都留岐さんは質問をする。ソノンエルフィーさんは、とても良い笑顔で。

 

「15種の競技の中に水上バクシン理論を入れるのはどうでしょうかッ!とても楽しいと思いますッ!」

「ダメよ」

「即決ッ!?」

 

 こっちを縋るように見るソノンエルフィーさんだけど。ゴメン、さすがに僕もどうかと思う。首を横に振って拒否の意を示しておこう……あ、ソノンエルフィーさんが目に見えてしょんぼりし始めた。

 

「エルフィー。さすがに水上バクシン理論を入れるのはダメよ。普通はやらないものだから」

「そ、そんな~……」

 

 水上バクシン理論はできる方が大概おかしいと思う。だから競技に入れない方がいいだろう。というか、U.A.F.の参加条件に水上を走れることが追加されるのが嫌すぎる。狭き門どころじゃない。いや、別に必須条件になるもんでもないけどさ。

 結論として。水上バクシン理論がU.A.F.の競技に入ることはなかった。当然である。




水上バクシン理論、U.A.F.の競技に入らず……ッ!
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