その力は何の為に   作:カニ漁船

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ドバイに行くぞ。


ドバイ、再会

 ドバイワールドカップミーティング。今回はジェンティルがドバイシーマクラシックに、タルマエがドバイワールドカップに挑むわけだけど。

 

(まさか、モンジューの弟子と当たるとはね)

 

 向こうから教えられた時には驚いたよ。VRトレーニングの休憩中に僕が担当しているウマ娘の次走を口にすると、奇遇だとばかりに教えてくれたのだから。

 

「『ほう?実は、私の弟子の1人もドバイシーマクラシックに出走予定だ。無論私も着いていくし、ヴェニュスパークも後学のためにドバイへ渡る。せっかくだ、一緒にトレーニングはいかがかな?』」

「『早い再会ですね聖!ね、ね?』」

「『構わないよ。じゃあ、ドバイではよろしくね』」

 

 その流れで一緒にトレーニングすることを確約。ドバイではヴェニュスパーク達と合同トレーニングをすることに。

 ジェンティル達にもこの件は伝えておいた。

 

「今回のドバイ遠征だけど、とあるチームと合同でトレーニングをすることになったよ」

「ちょわっ?とあるチーム、ですか?」

「そう。フランスでコーチングしている子が所属しているチームと一緒にトレーニングをすることになってね。色々と学びを得られると思う」

 

 向こうはモンジューを筆頭にレースで名を残したウマ娘達を多数担当している世界屈指の名トレーナーだ。僕にとっても学びの機会になるだろう。

 

「あっちのウマ娘さんと一緒に、ですか……楽しみです!」

「……問題ない。それに、強くなるための良い機会だ。私も最善を尽くそう」

「声が緊張しているよドゥラ君。さてさて、向こうのメンバーと会うのが楽しみだ!」

 

 キタサン達はどこか楽しそうにしている。滅多にトレーニング出来ないウマ娘達とできるわけだからね。それが世界トップレベルと来たもんだ。ま、向こうのウマ娘達と仲良くなれるから、なんて線もあるけどね。

 

「へぇ?対戦相手になるウマ娘と合同トレーニング、ですか。随分な自信ですわね?向こうも」

「一緒に走っても問題はない、と思われているのかもしれないね。()()()()()()

「ほほほ、それはそれは。楽しみですわね?」

 

 ジェンティルは笑っている。モンジューの弟子と戦うことになると彼女は知っている。無論、その相手とも一緒にトレーニングをやることになるだろう。ま、その時はその時だ。併走しても問題はない。

 

「さて、この機会に苫小牧をアピールしておかないと!トレーナーさんも、頼みましたよ!」

「分かったよ」

 

 タルマエはタルマエでいつも通りだ。苫小牧のPRを欠かさない。今回も色々と持ち込むんだろうな。

 都留岐さん達は忙しい身なのでドバイにはこれない。本人達は応援に来たがっていたけど、こればっかりは仕方ないことだ。

 

「日本で聖トレーナー達のことは応援していますよッッ!向こうにも聞こえるぐらい大きな声で応援をッッ!」

「健闘を祈ります、聖トレーナー」

「はい。都留岐さん達も頑張ってください」

 

 諸々の準備を整えていざドバイへ。ジェンティル達の初戦、落とすわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 飛行機での長旅を経てドバイに着いた。初日からトレーニングするわけにはいかないのでホテルでゆっくり過ごす。

 

(モンジュー達もすでに着いているみたいだ。明日から早速合同だね)

「さて、明日が楽し「『いました!聖!』」……どうかしたのかな?ヴェニュスパーク」

 

 共有スペースでゆっくりしていたらヴェニュスパークがやってきた。なお、ここはドバイワールドカップミーティングに出走しているウマ娘とトレーナー達専用のホテルだ。前回来た時もそうだったけど、専用のホテルもあるなんてドバイは豪華だなぁ。

 ヴェニュスパークはというと、僕の隣の席に座ってくる。なにか用があるのだろうか?

 

「『2ヶ月ぶりですね、聖!』」

「『そうだね。それで、僕を見かけるなり飛んできたけどどうしたの?用事でもあったのかな?』」

「むっ、『用事がなかったら来ちゃいけないんですか?』」

 

 ……別にそんなことはないけども。頬を膨らませているヴェニュスパークをどうしたものか。明らかに機嫌を損ねたけど、すぐに緩めた。なんとかなった、のかな?

 

「『ま、いいです。聖も変わらないようで安心しました』」

「『うん。なんかごめんね?』」

「『別に気にしてないから大丈夫ですよ。あ、そうだ。師匠も聖に会えるのを楽しみにしてましたよ』」

 

 モンジューが、か。彼女に関しては僕に会える、というよりも。

 

「『いえ、師匠の場合は違いますね。聖が育てたウマ娘達に会える……どちらかというとそっちを楽しみにしてます』」

「『だろうね。モンジューは前々から興味を持っていたから』」

 

 モンジューの場合は僕の担当ウマ娘に会えることが嬉しいと思う。前々から興味がある、って口にしてたし。

 特にタキオンだ。タキオンは欧州で結果を残したし、モンジューからも度々対戦したい相手として名前を挙げられていた。それが併走とはいえ今回叶う。楽しみにもなるだろうね。

 

「『私は今回お勉強ですけど、いつかはドバイにも出走するつもりです!こちらに滞在している間もよろしく、聖!』」

「『うん。よろしく』」

 

 用件は済んだのか、ヴェニュスパークは戻っていった。さて、作業の続きでも「トレーナーさん、先程の方は?」おっと。

 

「タルマエか。さっきの子が僕がコーチングしているヴェニュスパークだよ」

「あ、あのウマ娘さんがそうなんですね。会ったことはないので驚いちゃいました」

 

 だろうね。ヴェニュスパークに会ったことはないから驚くのも当然だ。

 

「それにしてもしっかりとした子ですよね。さっきすれ違った時も挨拶してくれましたし」

「まぁ……そうだね」

「なんですか今の間は」

 

 知らない方が良いこともあるんだよタルマエ。

 

 

 次の日はいよいよトレーニングだ。モンジュー達と合流して、お互いに高め合う。

 

「『実りのあるものにしよう、高村トレーナー』」

「『はい。よろしくお願いします』」

 

 想像していた通り、ヴェニュスパークのトレーナーが担当しているウマ娘達は凄いの一言に尽きる。

 

「『どう?タイム』」

「『落ちてるよ。まだ乗り物酔い?』」

「『フォームが乱れてるよ!しっかり動かすことを意識して!』」

「『残り20!まだまだ気合入れて頑張れ!』」

 

 全員のレベルが高い。少しの誤差も許さず、ハードなトレーニングを軽々とこなしている。Uランク越えのステータスのウマ娘もチラホラといる。特にモンジューは凄いな。彼女達の中でも飛び抜けている。

 さて、これは良い機会だ。僕達も頑張らないと。

 

「ドバイでもバクシンバクシーーンッッ!委員長のバクシンは世界でも変わりませんよーーーッッ!」

「バクシンワッショーイ!お祭りでーす!」

「ばくしーん」

 

 ……僕達も、うん。

 

「さぁて……健康なモルモットが沢山じゃないか!彼女達のデータを余すことなく取らせてもらおう!実に楽しみだねぇ!」

「あらあら、随分とまぁお揃いで。腕が鳴りますわね……ッ!」

「ジェンティルさん、なにを考えているのか知りませんけど自重してくださいね」

 

 頑張ろう、うん。いつも通りだし問題はないよ。おそらく、きっと、メイビー。向こうのウマ娘の視線は気にしない。気にしたら負けだ。

 

「『バクシンってなんだろう?貴方知ってる?』」

「『知らない。何かの隠語かな?』」

「『私知ってる!ウマチューブで見た!』」

「『なんでも、高村トレーナーのチームの掛け声なんだって!』」

 

 最早バクシンはそう認知されているのか。別に僕のチームの掛け声ってわけじゃないんだけどなぁ……否定はできないんだけど。

 

 

 併走ではジェンティル達が中心に、と思ったんだけどね。

 

「『さて、貴方達の併走を楽しみにしていたよ』」

「『それはこちらも同じだよモンジュー君。是非、楽しませてくれたまえ?』」

「『無論だ。熱い勝負にすることを誓おう。サクラバクシンオーをも、ね』」

「いいですねッ!とても楽しいレースになりそうですッ!」

 

 他のウマ娘達に見て学ばせるために、という名目の下、バクシンオー・タキオン・モンジューによる模擬レースが始まった。条件は2400mのクラシックディスタンス。ちなみに3人の本音は本気で戦ってみたい、という衝動が理由である。

 近くでトレーニングしていたウマ娘達もこのレースを見守っている。まぁかつて欧州で名を馳せたモンジュー、ワールド・ベスト・レースウマ娘・ランキングでレーティング140を獲得したタキオン、そしてそのタキオンが最も得意とする中距離で勝ち負けに絡むことができるスプリンターのバクシンオー。3人の模擬レースなんて見ようと思って見れるもんじゃないからね。

 

「『それにしても高村トレーナー。君のところのバクシンオーは凄いね。なんでスプリンターなのに長距離も走れるんだい?』」

「『頑張りましたので』」

「『いつも通りだね~。君の頑張りどうなってるの?』」

 

 本当に頑張ったとしか言えないので。

 

 

 模擬レースの結果はというと──タキオンの勝利だ。

 

「ハーッハッハッハ!『成程成程、これがモンジュー君の実力か……中々悪くない!とても楽しませてもらったよ!』」

「……『噂に違わぬ実力。それに、サクラバクシンオーも凄まじい実力の持ち主だった。本領の舞台なら、あるいは』」

「ぐ、ぐぬぬ~!委員長として不甲斐なし!次こそは勝ちますともッ!」

 

 タキオンは高笑い、モンジューとバクシンオーは悔しそうにしている。そんな3人にドリンクとタオルを手渡し、休憩を取るように促した。

 今の模擬レースのデータをまとめていると、ヴェニュスパークが横から現れる。

 

「『凄いです、聖が育てたウマ娘。師匠にも勝っちゃうなんて』」

「『まぁね。自慢の担当だよ』」

「『これは……私も楽しみ。彼女達とレースで走るのが』」

 

 さっきの模擬レースに充てられたか、ヴェニュスパークがメラメラと燃えているね。ヴェニュスパークと当たるとしたら……ジェンティルか。まぁタルマエの可能性も無きにしも非ずだけど。

 

「『さぁて、見学の時間は終わりだ!この後は実戦形式でトレーニングをしていくよ!準備を済ませて!』」

「「「D'accord!!」」」

 

 この後はジェンティル達も加わっての併走。とても実りのあるトレーニングになったよ。




ドバイでも会ったなコイツぅ。
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