「……すぅ……すぅ……」
博麗神社の一室に、先ほど倒れていた少年が布団に入りながら静かに寝息を立てていた。
「(ひとまずは良かったわね……体調もあれから悪くなってないし、顔色も戻ってきた。でも熱がちょっとあるわね……まぁとりあえず、この子が目を覚ましたら、この子のことと、なぜあんなところにいたのかを聞かないと……)」
霊夢は寝巻き着から普段着ている巫女服に着替え、その少年が寝ている布団の側に座り込み、回復を待つことにした。
「(……こういうときはお粥とか普通作るんだろうけど……食べさせると食材が……いや……でも………………仕方ないわね……作ってあげるとしましょうか)」
神社の経済状況と今の現状を天秤にかけて葛藤したところ、自分のことよりも少年の方を優先させようとし、立ち上がろうとした。しかし。
「……んっ……ここは……」
「も、もう目が覚めたの⁉︎」
少年のあまりの回復の早さに、霊夢は思わず口から言葉を発してしまった。
「(いくらなんでも早すぎるわ。雪の中に埋まっていたのにほんの数分で目が覚めるなんて……この子……いったい……)」
「あ、あの……」
「……えっ? あ、な、なにかしら?」
考え事をしていて少年の言葉に遅れてしまい、霊夢は若干狼狽した。
「ここは……いったいどこでしょうか……それに……あなたは……?」
「あー……まぁ、お互い聞きたいことだらけでしょうから、ひとまずは自己紹介からいきましょうか。私の名前は博麗霊夢。ここ博麗神社の巫女をやっているわ」
「僕は芥河竜之助と申します。その……半妖です……」
「半妖……まぁそれなら……」
「(あの回復力にも説明がつく……かしらね……)」
「霊夢さん? どうしました……?」
「あ、ごめんなさい。なんでもないの、気にしないで。それよりあなた、いったいどこから来たの?」
「僕は龍谷村という村からやってきました。どうやってここに来たのかは覚えてないのですけど……僕、いったいどうやってここに……?」
「そんなこと私に言われても知らないけど、あなたは私の神社の境内で倒れていたのよ」
「僕が……霊夢さんの神社の境内で……?」
「(……なにも知らないのなら……雪で埋もれてたことは話さない方がいいかしらね……)」
「……あっ⁉︎ そ、そうだ‼︎ 僕の村‼︎」
竜之助は急いで布団から這い出て立ち上がり。
「だ、ダメよ‼︎ あなたはついさっきまで寝込んでいたのよ⁉︎ そんなにすぐに動いたらまた倒れるわよ‼︎」
「大丈夫ですよ? 熱なんてありませんよ」
「そ、そんなはず……」
霊夢は竜之助のデコに手を当てる。
「(熱が……下がってる……⁉︎ あの短時間で⁉︎ 半妖だからってそこまで回復力が高いものなの……⁉︎)」
「れ、霊夢さん……?そろそろ手を離していただけるとありがたいんですけど……」
「あ、ごめんなさい……」
霊夢は言われるとすぐに手を引っ込め。
「僕の村……実は妖怪に襲われたんです……それで、僕が博麗神社に行って、博麗の巫女を連れてこいって……村のみんなが……」
「……それは、いつのことかしら……?」
竜之助はふっと部屋に貼られていた暦に目を向け。
「……三日前……ですね……」
「……そう……」
三日前だともう助からないという思いが二人の頭の中を巡り、部屋に沈黙が訪れる。
「……あ……あの……」
先に竜之助が口を開いた。
「……僕は……いったいどうしたらいいでしょうかね……帰るところも……その……ありませんし……」
「……そうね……近くにある人里に頼んでみようかしら……でも……いきなり人を引き取れなんて……ねぇ……」
「……そう……ですよね……どうしましょう……」
「と、とりあえずは気持ちが落ち着くまでここにいていいわよ。私が今から人里に行って聞いてきてあげるから」
「ほ、本当ですか? ありがとうございます」
「いいわよ。だから今の内はゆっくり体を休めること。いいわね?」
「は、はい。わかりました」
「うん。それじゃあ行ってくるわね」
霊夢はそう言い玄関を開け、人里に向かって飛んで行った。
「…………あっ、お粥作ってあげてない……まぁ……いいわね。うん」
飛びながらそっとそんな独り言を呟きながら人里へと飛んで行った。
いやー、一日に二本は疲れますねー。まぁでも頑張って行きたいと思います♪