チュン、チュン
朝日がまだ登りきってはいない時間に、小鳥のさえずりが響き渡る。その音を聞きながら霊夢は布団の中で上体をを起こした。
「……朝ね」
昨日の夜、あのまま竜之助と霊夢は話をすることなく二人とも自分の自室で眠っていた。否、竜之助の方はどうかは知らないけれど、霊夢は一睡も眠れてはいなかった。
「……さて、朝ごはん作らなきゃね。これが二人で食べる最後の食事なんだから」
霊夢はそう言いながら布団から出て、台所に向かった。すると、
「あ……霊夢……」
「……竜之助……」
霊夢が台所に着くと、そこにはすでに竜之助がいた。時間で言うとまだ6時少し前だ。こんな時間から流石に起きて来ているとは霊夢は思ってはいなかった。
「……今日は早いわね。眠れなかったのかしら?」
「まぁね……おかげで寝不足だよ」
「あら、それは大変ね。少し寝てきた方がいいんじゃないかしら。まだ時間はあるわよ」
「ううん、大丈夫だよ」
「……指、切らないように気をつけなさいよ」
霊夢はそう言いながら竜之助の横に立ち、朝食の準備を始めた。本当ならこうやって隣に並んで食事の準備をすることを望んでいた。しかし、近くにいれば近くにいるほど、親しくすれば親しくするほど、別れが辛くなるのを霊夢は理解していた。二人は無言のまま食事の準備を終え、出来た料理を持って居間に向かった。
「……さ、食べましょうか。あなたとの最後の食事を……」
「……そうだね。早くしないとご飯が冷めちゃうよ」
二人は苦笑しながら箸を取り、食事を進めていった。その間にはお互いがお互い何も言うことなく、ただ黙々と食事を取っていった。それから30分ほど経ち、二人は食事を終え、食器を台所に運び、居間でひと段落ついていた。すると、
「……霊夢さ、その……」
突然竜之助が声をかけてきた。
「……何よ。言いたいことがあるならはっきり言いなさい?」
霊夢は竜之助の顔を見ずに、畳に寝そべりながら答えた。
「……ありがとう。今まで面倒見てくれて」
「……昨日言ったから、私からは何も言わないわよ」
「あはは、霊夢らしいね。でも、本当に感謝してるよ。……新しいところに行っても元気でやるからさ、霊夢も……その……元気でね」
そう言いながら、竜之助はニコリと微笑んだ。
「……言われなくてもそうするつもりよ」
「あはは、そうだよね」
「ええ」
二人がお互いに苦笑していたその時ーーーー
「すみません。お話にあがっていると思いますが、竜之助君を引き取りに来た者です。竜之助君はいらっしゃるでしょうか?」
玄関から、その笑みを消し去るかのような、非情な宣告を告げる声が聞こえた。
はい♪というわけで二十二話終了です♪いやー、とうとう来ちゃいましたねー引き取りに来た方が。これからいったい二人はどうなってしまうのでしょうか。良かったら次回もゆっくりしていってください♪