「な、何言ってるんだよ、霊夢。竜之助だぞ? お前と今朝まで一緒に過ごしてた……」
「だから、誰よ。その竜之助っていうのは。魔理沙の知り合いか何か?」
「ほ、本当に覚えてらっしゃらないのですか……?」
「何回言わせるのよ。覚えてないどころか知らないって言ってるじゃない」
霊夢は布団に入ったまま上体を起こしながら首を傾げた。
「……文、ちょっとこっちに来い。あ、霊夢はそのまま寝てろよ?」
「? なんだかよくわからないけどわかったわ」
魔理沙と文は立ち上がり、霊夢の部屋から離れ縁側に出た。
「おいおい、これはいったいどうなってるんだ? 私達のいなくなってる間に何があったって言うんだ?」
縁側に出るとすぐに魔理沙は尋ねて来た。
「さぁ……少なくとも確実にわかることは、霊夢さんは竜之助さんのことをすっかりと忘れてしまったということですね……」
「……ショックからの記憶喪失か……もしくは」
「誰かに記憶を消されたか……ですかね」
「消すにしても、霊夢から竜之助の記憶を奪うメリットはなんだ? そいつがどんな得をするっていうんだ?」
「それは……わかりませんけど……」
「……まぁいい。今は霊夢の記憶を戻すのが先決だ。文、お前は記憶喪失の治し方とか知らないのか?」
「そうですねぇ……ショック療法とか色々と聞きますけど、確実に戻す方法は知りませんね」
「となると……永遠亭か? あそこなら記憶を治す薬とかでも作れるんじゃないか?」
「かもしれませんね……ちょっと私が行って来ましょうか」
「お、いいのか? 珍しいな。お前がこういうのに自分から関わるのは」
「いやー、先ほどの罪滅ぼしというわけではありませんけど、霊夢さんのお役に立てるならと思いまして」
文は苦笑しながら頭をかく。
「なるほどな。意外と律儀なもんだぜ。じゃあ早速頼めるか? なんでも速いに越したことはない」
「じゃあ、その速さに関して幻想郷一の私が行って来ますので、少々お待ちを‼︎」
文は浮き上がり、ものすごい速さで永遠亭に向かって行った。
「さて、私は……っと」
魔理沙は霊夢の部屋に戻って行った。
「あら、文はどうしたの?」
「あー、ちょっと野暮用だ。お前が気にすることじゃないぜ」
「ふぅん……あ、そうだ。それで竜之助って誰よ?」
「そうだなぁ……お前と短い間だったが、一緒に住んでた半妖の少年だ。覚えてないか?」
「私が……他の人と? しかも異性の少年?」
「あぁ。芥川竜之助。とある理由でお前と一緒に暮らすことになった。なかなか仲が良かったんだぜ?」
「冗談はよしてよ。なんで私が他の人を神社に住まわせなきゃいけないのよ。お金だってかかるじゃない」
「金は慧音が援助してくれてたらしいな。どれもこれも霊夢から聞いた話だぜ?」
霊夢は顎に手をおき考える仕草をした。
「……あんたの話は信用ならないわね」
「私の信頼の無さに対する記憶は消えておいて欲しかったぜ」
魔理沙は苦笑しながら言った。
「まぁ、今文が永遠亭に行って記憶を戻す薬をもらってこようとしてるんだ。だからお前も頑張って思い出そうと」
「しなくていいんじゃないかしら? 前の生活に戻るだけ……まぁ、私からすれば変わらないのだけど、大差ないでしょ」
「いや、ダメだな。なんとしても思い出すんだ」
「なんでよ」
「お前は、竜之助に関しては絶対に思い出さなきゃいけないからだ」
魔理沙は真剣な目で霊夢を見つめた。
「……私とその竜之助っていうのは、そんなにも深い関係ってことなの?」
「まぁ、その辺りは思い出してからのお楽しみだ。知りたかったら思い出そうとするんだな」
魔理沙はニヤリと笑いながらいつもの調子のいい顔に戻った。
「……はぁ、ま、考えておいてあげるわ」
霊夢はそれを見ながら苦笑した。
はい、ということで、今回は竜之助の特徴をおさらいみたいな感じの回になってしまいましたけど、実際竜之助が半妖やら、慧音からの支援やら何やら忘れている方(作者の私も半分忘れてましたし)おられると思うので、一応入れてみたという回です。次からはちゃんと進んでいきますので、よろしければ次回もゆっくり見ていってください♪