「大妖精? 大妖精って確かあの、チルノと一緒にいるおとなしい感じのやつだろう? どこからどう見てもそうは見えない……というか、妖精には見えないぞ?」
慧音の漏らした言葉を聞き、空中から妖獣を眺める。妖獣はこちらをジロッと睨んだまま、長い尻尾を横に薙ぎ払うように振っている。
「だ、だが、あの羽は確かに大妖精の……それにあの怪物から、大妖精の歴史を少し感じるんだ。満月じゃないのが悔やまれるが、確かに感じる」
「というと、なに? あれは大妖精で、なんらかの事情で豹変……というより変身して、あんな姿になって、私を殺そうとしてたわけ? わけがわからないわ」
「私もそれは思うが……だが、今朝寺子屋に行っても、大妖精の姿が見当たらなかったんだ。いつもは誰よりも早く来ているあの真面目な子が……何かあったのだとは思っていたのだが……」
慧音は心配そうに妖獣に目を向ける。その時、妖獣の尻尾が先ほどよりも速く動き出し、回り出す。そして、その尻尾の先についた棘に遠心力が加わり、勢いよく霊夢たちに目掛けて飛び出してきた。
「っ、危ない‼︎」
霊夢は咄嗟に人差し指と中指の間にお札を挟み、自分達の目の前に結界を張った。妖獣の飛ばした針と、霊夢の結界が衝突し、空中で激しく火花を散らす。
「く……」
霊夢は少し顔をしかめ、針の攻撃を防ぎきる。だが、結界にはヒビが入り、その後、音を立てて砕け散った。
「霊夢の結界が、壊された……」
慧音は驚いたように目を見開き、妹紅は無言のまま、しかし油断はできないというような表情で気を引き締める。
「……はぁ、ひとまずはあの大妖精もどきを動けなくしましょう。あんなのが暴れだしたら、大変な被害になるわ」
霊夢は軽く息を吐き出して、慧音と妹紅に語りかける。
「それがいいだろうね。ただ、大妖精かもしれないと思って力を抜いて戦ったら、こっちが危ないかもしれない。それはわかってるよね? ……慧音」
妹紅はスッと目を細めて慧音に軽く視線を移す。生徒である大妖精があんな姿になってしまったのかもしれないと思い、やや萎縮してしまったのではと感じたのだろう。
「……あぁ、もちろんだ妹紅。もし本当に大妖精で、あんな姿になってしまっているのなら、助けてやるのが教師として、あいつらを守ると決めている私の務めだ」
しかし、慧音は妹紅の言葉に頷き、妖獣を見る。それに安心したように妹紅も目を妖獣に向ける。
「……さて、各々準備もできたようだし……いくわよ‼︎」
霊夢の言葉をきっかけに、三人はそれぞれ別々の方向に分かれ、妖獣を取り囲むように地面に降り立った。
はい、ということでね、今回はバトルに入る直前ということでした。できれば今回でバトルまで行きたかったのですが…まぁ、仕方なかったです。もしよろしければ次回もゆっくり見ていってください♪