「ゆ……紫……?」
「何よ霊夢、そんな狐に化かされたような顔をして。藍ならちゃんと家にいるから安心しなさい」
「そんなこと聞いてるんじゃないんだぜ。よくこんな季節にお前が起きてたな。初めて見たぜ」
そう、そこなのだ。今まで霊夢は紫が冬に起きているところなんて見たことが無かった。用があるといつも式の八雲藍に言伝を伝えていたのだ。それが今はまだ冬の最中だというのに紫が起きている。霊夢は疑問に思い魔理沙の後に続いて問いかけた。
「魔理沙の言うとおりよ。なんでこんな時期になっても起きてるのよ。今までのあんたなら寝てたじゃない」
すると紫は目を細め、
「……………………ぐぅ……」
立ったまま寝始めた。
「寝るなー‼︎」
霊夢は中ば半ギレになりながら紫の肩を揺すった。
「れ、霊夢落ち着いて……」
竜之助が霊夢をなだめ、その場はなんとか収まった。
「で?なんで起きてるのよ」
霊夢は再度問いかけた。もちろん今度は紫はちゃんと起きていた。
「それはね……私の大切な霊夢が心配で心配で」
「嘘を着くんじゃないわよ。そう思うなら今までの冬だって良かったじゃない」
「あら、霊夢が大切っていうのは本当よ。まぁ今回はそれはオマケだけどね。私が起きてた理由はこの子よ」
そう言いながら紫は竜之助の頭を撫でた。
「ぼ、僕ですか……?」
「ええ。霊夢のところに新しい住居人が来たと聞いてね。眠いながらも起きて、顔を合わせておこうと思ったのよ」
「あ、そ、そうだ。遅れてすいません。芥河竜之助と申します」
「あら、礼儀正しいのね。私は八雲紫。これからよろしく頼むわね。竜之助」
二人の自己紹介が終わったところで霊夢は再び声をかけた。
「…………さっきの話、本当かしら?」
「あら、疑うの?」
「お前は胡散臭さで言えば幻想郷トップだから仕方ないぜ」
「あー、ゆかりん悲しいわー」
霊夢と魔理沙にそう言われ、紫はふざけながらおよよといった感じで泣き真似をする。
「だ、ダメだよ霊夢、魔理沙さん。紫さんを困らせたら」
「あら、あなたはいい子ね。竜之助」
そう言いながら紫は頭を撫で続けた。
「………………」
霊夢は今までの紫の会話に何処か違和感を感じていた。だが、嘘をついているようには見えなかったし、かと言って本当のことを言っているとも思えなかった。竜之助に会いに来たのは確かだろう。しかし、ただそれだけの理由でわざわざ冬眠を妨げてまでここに来たのかと思うと疑問に感じる。霊夢が一人で考え込んでいると、竜之助が声をあげた。
「紫さん‼︎ ぼ、僕に妖力の使い方を教えてください‼︎」
「……そうねー……竜之助、あなたは妖力を使いこなしても、人を襲わないと言えるかしら?あなたは半妖。妖怪の血も混ざってる故にそれを約束して欲しいわね」
「妖怪のお前が言うとなんだか微妙だな」
「……どうなの?」
魔理沙の言葉を無視し、竜之助に問いかける紫。
「もちろんです‼︎ 絶対に襲いません‼︎」
竜之助は堂々と答えた。すると、紫は、
「………………うに…………のに……」
ぼそりと何かを呟いた。それに気づいた霊夢は問いかけた。
「……紫? 今……なんて言ったの……?」
「何も言ってないわよ?」
いつも通りの口調で紫は眈々と答えた。
「えっ、でも今確かに……」
「そんなことより、早く弾幕を撃ってみたいでしょう? 教えてあげるわ」
「やったぁ‼︎ ありがとうございます‼︎」
「ここだと周りに危なくてやりにくいから別の場所でやりましょう。霊夢、竜之助借りるわよ?」
「え、ええ……」
そう言うと紫はスキマを開き、竜之助を連れて何処かに消えて行った。
「なぁ霊夢、紫ってあんなに面倒見良かったか? 私としてはてっきりもっとそっけない感じになると思ってたぜ」
魔理沙は紫がいなくなったのを確認して霊夢に問いかける。
「……………………」
しかし、霊夢は黙って立ったまま顎に手を置き考える仕草をする。
「お、おい? 霊夢?」
「…………魔理沙……さっきの紫の独り言……聞こえた?」
「独り言? さっき霊夢が気にしてたやつか? 私は何も聞こえなかったぜ?」
「……そう……」
「……あ⁉︎ そ、そうだぜ‼︎ 今日はパチュリーに呼ばれてるんだった‼︎ そ、それじゃあな霊夢‼︎」
魔理沙はそう言うや否や放棄に跨りすぐに飛んで行った。
「……騒がしいやつ……」
霊夢はそう言いながら神社に歩いて行き、玄関の前でピタリと止まり振り返った。
「…………可哀想に……こんなにも良い子なのに……この言葉の意味はなんなの……紫……」
紫がぼそりと呟いた言葉を口にしながら、霊夢は神社の中に入っていった。
ふー、お疲れ様でした‼︎紫の言葉は果たしてどう言う意味なのでしょうか‼︎書いていて楽しいです‼︎良かったら次回もゆっくりして行って下さい‼︎