透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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エデン条約篇 補習授業部篇 最終回!!

え?最終試験?そんなもんはラーメンの汁こぼして捨てました。




第九十六訓 何が起きたとしても目をつぶっていては何もできない

焦げ跡が残る床、ひび割れた壁、硝煙の残り香――戦いの余韻が未だ漂う体育館に、重苦しい沈黙が落ちる。

 

 その空気を破るように、銀時が一歩踏み出し、木刀を手にゆっくりと語りかける。

 

「まさか……先に地獄で待ってろって言った奴と、また会うことになるとはな」

 

 声は静かで、それゆえに深い。怒りとも、驚きともつかぬ色がにじむ。

 

「地獄めぐりはもう飽きたか?」

 

 その視線の先に立つ男――紫紺の着流しに白い外套、口元に嗤みを湛えた鋭い眼差し。

 

 銀時が息を吐くように名を呼んだ。

 

「……高杉」

 

 銀時の声が響くと同時に、キセルに火を灯した音が微かに鳴る。

 赤く染まる煙の向こうから、男――高杉晋助が姿を現した。

 

「クククク。銀時、お前はどの世界でもガキどもと甘っちょっろい先生ごっこを楽しんでいるらしい」

 

 まるで戯れ言のように、口元に煙を含みながら、言葉が宙を滑った。

 

 その姿を見て、アリウスの生徒たちに動揺が走る。

 

「彼は……!」

 

「……ああ、間違いない。なぜここに………」

 

 隊長格の生徒が呟く声は震えを孕み、目には明らかな困惑の色が浮かんでいた。

 

 一方、ヒフミは何が起きているのか分からず、戸惑いのまま隣を見つめる。

 

「誰なんですかあの人は……見た感じ銀さんと知り合いのようですが」

 

 その傍らで、コハルは唇を噛みしめてうつむいている。拳を握り締め、震えているその様子に、ヒフミはそっと声をかけた。

 

「コハルちゃん、どうしたんですか?」

 

 だが、返ってきたのは思わぬ怒号だった。

 

「何よあれ!露出が少ないのにどこか色気がある!」

 

「Hなのはダメ!死刑!!」

 

 ヒフミが思わずずっこけるような声を上げる。

 

「そこですか!? もっと見るところがあるでしょう!! ねぇ、ハナコさん!?」

 

 だが、そちらの援軍も期待できそうになかった。

 

「服を着ながらあれだけの色気を……やはり露出道の道は長いですね」

 

「ハナコさんもですか!?」

 

「もう! みなさん、もっと真面目になってくださいよ!」

 

 混乱と呆れが交錯する中、静かにその名を呟いたのはアズサだった。

 

「……高杉」

 

 その声に、ヒフミが反応する。

 

「アズサちゃん、知っているんですか?」

 

「うん。鬼兵隊総督、高杉晋助。私は会ったことがないけど、彼の仲間がアリウスに何度か来ていたのは知ってる」

 

 事実を告げるその声は冷たく、しかし確信を持っていた。

 

 お妙が険しい顔で言葉を繋ぐ。

 

「でも、彼は死んだって…………どうして」

 

 ヒフミが視線を銀時に向け、問いかける。

 

「銀さん……彼とはどう言うーー」

 

 銀時は木刀を地面に軽く突き立て、鋭く答える。

 

「ただの腐れ縁さ」

 

「高杉、お前だろ。こいつらをけしかけたの」

 

 そう言いながら、ちらりと視線を黒い霧の名残に向ける。

 

「それにあの黒い霧……」

 

 思い出されるのは、アビドスでゲマトリアの黒服が用いた謎の技。

 ホシノが霧に囚われ、銀時が為す術なく見ているしかなかった、あの技。

 

 銀時は、確信する。

 高杉たちは、ゲマトリアと繋がっている。

 

「何を企んでやがる」

 

 高杉は再びキセルを吹かしながら、ゆっくりと嗤う。

 

「クククク。おかしなことを聞くな〜銀時」

 

「お前は俺がエデン条約なんてものを壊すためだけにこいつらをけしかけたと思っているのか?」

 

 足音すらも音楽のように響くその言葉。

 

「こいつらは俺たちの提案に乗ってきた……ただそれだけのこと」

 

「そこで項垂れている女も同様にな」

 

 高杉の視線が、地に膝をつくミカに向けられる。

 

「自分たちが表舞台に立って行動できたんだ。ここで死のうが何だろうが本望だろう」

 

「つまり――」

 

「こいつらは『ただ道具にすぎねぇよ』」

 

 その言葉は、刃よりも鋭く冷たく、空気を切り裂いた。

 

「「「「な!?」」」」

 

 アリウスの生徒たちの顔に、明らかな衝撃と混乱が走る。

 

 隊長も、言葉を飲み込むように呟いた。

 

「…………やはりこうなってしまうか」

 

 そして、ミカの口から漏れたのは、悲鳴に近い呻きだった。

 

「ア、ァァ……ァァァァァ!!」

 

 お妙が駆け寄ろうとする。

 

 銀時が一歩前へ出て言い放った。

 

「お妙、そいつを頼む」

 

「わかりました」

 

お妙は頷き、ミカへと駆け寄る。その背に、銀時の声が続いた。

 

「どうやら俺たちは、何年経とうが、どこに行こうが、」

 

「互いの顔を見たら、歪み合う運命にあるみてぇだな」

 

 その声音は、遠い昔を思い返すようであり、今この瞬間にすべてを託すような決意でもあった。

 

「二百四十六勝、二百四十七敗」

 

 まるで、他愛ない勝負の延長線にあるような、乾いた口調。

 

 だが、次の瞬間――

 

「今度は俺がこいつらのために勝ち星を勝ち取る番だ」

 

 鋭く感情がほとばしり、空気が震える。

 

「高杉ィィィィ!!!」

 

 咆哮と共に地が唸り、高杉が滑るように突進した。

 

「フッ!」

 

 瞬間、空気が裂ける音と共に、ガキィィィィィン!!!!!!!!

 

 木刀と刃が激突した衝撃が、崩れかけた体育館の柱を震わせる。閃光のような火花が一閃、交差するふたりの剣戟の狭間から弾けた。

 

 刃の重みを乗せて振るう高杉の太刀。その力を受け止める銀時の木刀は、しかし一瞬で下へと踏み押さえられた。

 

 高杉がすかさず、その隙を突いて突きを放つ。鋭く、無駄のない刺突――銀時の額を正確に狙った、殺意の一撃。

 

 だが、

 

 銀時は木刀から手を離し、その勢いのまま身体を反らせて、僅か数センチで刃を避ける。そして反動を利用し、すかさず高杉の腕をがっちりと掴む。

 

「お返しだ、」

 

 そう言って高杉の身体を、後ろへと――床に叩きつけるように投げ飛ばした。

 

 だが高杉もただでは転ばない。投げられながらも空中で体勢を捻り、逆手に握った刀を銀時へと薙ぎ払う。

 

 寸でのところで、銀時は地に突き刺さっていた木刀を再び手に取り、その刃を受け止めた。

 

 カン! ガキィン! キィィィン!

 

 止まらない。止められない。

 二人の動きはまるで嵐のように交錯し、周囲に破片と風圧を撒き散らす。木刀と真剣、鋭さとしなやかさ、静と動。

 

 銀時の一太刀が高杉の肩をかすめる。高杉の突きが銀時の頬に風を裂く。

 一撃ごとに、互いの命が削られていく――そんな錯覚を覚えるほどの応酬。

 

 火花が散る。足音が跳ねる。銀時が跳び、高杉が踏み込む。

 銀時の木刀が高杉の刀に巻きつくように絡み、捻じ上げようとするも、高杉が力でねじ伏せようと踏み込んだ

 

銀時と高杉の戦いは、空間そのものを軋ませるような激しい衝突を続けていた。

 

 その最中。

 

「す、すごい……」

 

 ヒフミの小さな声が、まるで息を飲んだ観客のように漏れた。

 

 その瞳は釘付けだった。打ち合う二人の姿がまるで現実のものではないように見える。あれは、人間の速度なのか。あの目の奥に宿る殺意と、守ろうとする意志は本物なのか。

 

「互角……ですね」

 

 ナギサが呟いた声には、理知的な観察を超えた、微かな動揺が滲んでいた。

 

 心の中で、冷静な彼女は言葉を紡ぐ。

 

(実際に強いとは報告を受けていましたが……まさか、これほどとは)

 

(それに……あれだけのことをしたミカさんを、躊躇なく助けるなんてーー)

 

 ふと、視線の先でしゃがみ込んだミカが顔を上げた。その瞳には、涙と疑問が交錯していた。

 

「ねぇ、何で? 何で先生は……あなたたちは私を助けてくれたの?」

 

「こんな私を……人を殺しちゃった私を……どうして見捨てず助けてくれたの?」

 

 震える声。否定を恐れながら、それでも聞かずにはいられなかった問い。

 

「それは、彼が先生である以前に彼が侍だからよ」

 

 そう答えたのは、お妙だった。

 

 その言葉に、ミカの瞳が揺れる。

 

「侍……」

 

「銀さんは、一度護ると決めたものは死んでも護る人……あなたもーー」

 

 お妙は、言葉を切り、まっすぐにミカの心へ刺すように、はっきりと続ける。

 

「その中に入っているからよ」

 

 ミカの息が詰まった。

 

 信じられない。そんなはずがない。自分は――壊した側の人間だ。護られる資格なんて、あるはずがない。それでも、あの男は、自分を見捨てなかった。

 

「………!」

 

 お妙の瞳は、芯の強さと静かな優しさを湛えていた。

 

「まぁ、私は私の代わりとなるゴリラキャラが欲しかっただけですけどね」

 

 口元に浮かぶ、苦笑とも言える柔らかな表情。そこに救いがあった。

 

 

 

「どうしよう……何とか加勢出来ないの?」

 

 コハルが手を握りしめながら言った。悔しさと焦りが滲んでいた。

 

「無理ですね。あのような戦いに私たちが加勢に入ったところで足手まといになるだけです」

 

 ハナコは冷静だったが、どこか言葉が硬い。それは無力感を押し隠すための、仮面のようにも見えた。

 

「じゃあどうしたら……」

 

 コハルの声が震えた。

 

「そうだよ、私が出した戒厳令。ティーパーティーの命令は絶対。こんな状況下で動ける組織なんてーー」

 

 「それは少々、甘い考えですよ、ミカさん」

 

 体育館の入り口から、唐突に、無数の足音が聞こえてくるミカは音が聞こえた方角へと振り向いた。

 

「……歌住、サクラコ」

「えぇ、夜分遅くに、随分と騒がしいではありませんか、」

 

 告げ、

 凛とした姿勢、泰然とした態度、黒と白の制服に身を包んだ幾人もの生徒達。その十字架に酷似したヘイローを輝かせながら、凛々しく立つ彼女達は

 トリニティ総合学園、大聖堂に本部を置く一大派閥――シスターフッド。

 彼女達の登場に

 

「や、やった……!」

 

「増援……! 間に合ったんですねっ!」

 

 ヒフミとコハルが歓喜の声を上げ、涙ぐんだような顔で見つめた。

 

「シスターフッド……なら、まさか」

 

 ミカの視線が、補習授業部へと向けられる。

 

「ハナコちゃん……まさか……」

 

 問いかけに、ハナコは柔らかく微笑んで応えた。

 

「えぇ、ちょっと……いろいろありまして」

 

 

 

「今日も平和と安寧が、皆さんと共にありますように」

 

「すみません、お邪魔します……!」

 

 柔らかな祈りの言葉と共に、サクラコ、ヒナタ、マリーが堂々と前に出た。愛銃を構え、シスターフッドの意志を体現するその姿は、まさに“祈りの戦士”たちの化身だった。

 

「シスターフッド、これまでの慣習に反する事ではありますが……ティーパーティーの内紛に、介入させて頂きます」

 

 そして、百名余りの銃口が、一斉にミカとアリウスへと向けられた。光に照らされる十字架のシルエット。その銃口には殺意ではなく、秩序の意志が込められていた。

 

 その存在感は、正義実現委員会にも匹敵する戦力だった。――だが何よりも重かったのは、「動かない」ことで知られる彼女たちが、動いたという事実。

 

 ミカの胸を、激しい鼓動が叩いた。

 

(どうして……)

 

 あのシスターフッドが、ティーパーティーに背を向けるとは――。

 

「ティーパーティー、聖園ミカさん。他のティーパーティーへの傷害教唆及び傷害未遂で、あなたの身柄を拘束します……と言いたいところですが、それどころではないようですね」

 

 サクラコの冷静な声が空気を切り裂いた。

 

「はい、ちょっと色々ありまして……」

 

 ハナコが相変わらずの調子で苦笑する。

 

「良かった〜これなら……」

 

 ヒフミが胸を撫で下ろす。

 

「あれ? まだ音が聞こえない?」

 

 コハルが、何かに気づいたように顔を上げた。

 

 その直後、床を震わせるような重い足音が迫る。

 

 ザッザッザッ……!!

 

「皆さ〜ん、加勢に入るでござりまする!」

 

「く、栗子ちゃん!?」

 

 ヒフミが驚きと喜びの入り混じった声を上げる。

 

「ってことはーー」

 

 その瞬間、声が轟いた。

 

「御用改めである!」

 

「真選組だァァァァァ!!」

 

 体育館の入り口に、堂々たる影が現れる。腕を組み仁王立ちする近藤。

 

 その隣で、既にバズーカを構えた沖田が不敵な笑みを浮かべる。

 

 背後に並ぶ、黒き隊服の男たち――真選組隊士。彼らの登場に、空気が一変した。

 

「どうして!? 戒厳令が敷かれた状態で動いたら……そんなことしたらーー!」

 

 ミカが叫ぶ。自ら敷いたはずの“絶対”の命令が、あっさりと破られている現実に、目を見開いたまま。

 

 だが、それに応えたのは、まるで居酒屋の雑談のような調子だった。

 

 

 

「ミカくん、俺たちは治安を守る警察である以前に芋の集まりでねぇ」

 

 陽気な声音で近藤が答えた。だがその顔は、ふざけているようでいてどこか真剣だった。

 

「そんな命令、聞く気なんてさらさらなかったのさ」

 

「俺たちは、頭より先に身体の方が動いちまう……そんな集団だ」

 

 信念でもなければ、理屈でもない。

 ただ、人として、あの場所に立つ仲間のために。

 その言葉に、ミカは息を詰めた。自分の命令よりも、“誰かを救いたい”という意志の方が、彼らを動かしたのだと。

 

 

 

 土方が煙草を咥えながら、淡々と吐き捨てる。

 

「残念だったな。俺たちを納められる鞘は、この世に一本だけだ」

 

 

 

「そういうわけで……一気に形勢逆転でさァ」

 

 沖田がバズーカを肩に乗せ、にやりと口角を上げる。明るさの裏に潜む、抑えきれない戦意。

 

 

 

「奴を――高杉の首をあげろォォォ!!」

 

 土方の号令が響いた瞬間、隊士たちが怒涛のように動き出す。

 

「「「「ウォォォォ!!!!!」」」」

 

 熱気が爆発し、体育館が戦場と化した。足音、咆哮、引き絞られる銃の引き金――。

 

 

 

「さて、私たちも行くとしましょうか」

 

 静かに立ち上がるサクラコ。冷静な表情の奥に、確かな怒りが潜んでいる。

 

「え、は、はい!」

 

 マリーは一瞬戸惑いながらも、意を決して銃を構える。

 

 シスターフッドもまた、祈りを銃に込めて戦場へと加わった。

 

 

 

 状況の急転に、高杉が片眉を上げ、口元に皮肉を浮かべる。

 

「ククク……とんだ邪魔が入ったな」

 

「銀時、今回は……お前の勝ちにしといてやらァ」

 

 銀時の目が一瞬、僅かに細められる。視線の先には、未だ燻る因縁と血の匂い。

 

 

 

 高杉の背後に、隊士たちとシスターフッドの生徒たちが殺到する。

 

 だがその直前、再び、黒い霧が高杉の身体を包んだ。

 

 まるでこの世界そのものを拒絶するかのように、異質な闇が渦巻く

 

 

 

 「おい、待ちやがれ!」

 

 「お前は、何を!!」

 

「何を企ててるってか?」

 

「知ってるはずだ、俺ァはただ壊すだけだ。この世界、いや、この腐った輪廻を!!」

 

 

 

 霧が晴れた後には、誰の姿もなかった。

 

 

 

 スッ、と静寂が戻る。

 

「チッ、逃げられたか……」

 

 土方が舌打ちしながら言った。

 

 

 

「どうするおつもりで?」

 

 サクラコが問いかける。声は落ち着いているが、次の一手を見据える鋭さがあった。

 

 

 

「決まってんだろ? 次会ったら、しょっぴいて――」

 

 その直後。

 

 ドカァァァァン!!!!

 

 爆音が響いた。

 

 炎と煙が視界を覆い、体育館の一角が崩れた。

 

 

 

「逃げられたって言うのが聞こえねぇのか!!」

 

 土方が怒鳴った。

 

 爆煙の先で、すっとバズーカを肩から下ろす沖田が、飄々と応える。

 

「いや、すいませーん。突然言われる前に撃ったもんは止められないんでさァ」

 

 

 

 土方の額に、青筋が浮かぶ。

 

「後で撃っただろ!! 絶対に聞いた後に撃っただろ!!!」

 

 

 

土方が沖田にツッコミを入れている間銀時はーー

 

 

 

 

―『あいつ……この世界でも、って言ってたな』

 

 思考の底に沈んでいた言葉が、ふと浮かび上がる。

 あの高杉の、不敵に笑う顔。いつも通りで、どこか決定的に違う。

 

 

 

 『……つまり、俺は他にもいて、同じように依頼を受けたってことなのか?』

 『それに、最後の……』

 

 

 

 ――“この世界、いや、この腐った輪廻を壊すだけだ”

 

 

 

 焼き付いたように脳裏に残る、その声。その言葉。

 

 

 

 『一体、あいつは何を知って……』

 

 問いかけに、答えるものはない。ただ空虚に浮かぶ“可能性”だけが、胸の奥をじわりと蝕んでいた。

 

 

 

 「銀さん」

 

 不意に、現実に引き戻す声。

 銀時は、はっと我に返って振り向いた。

 

 

 

 お妙がこちらを見つめていた。どこか気遣うように、しかし瞳は強く凛としている。

 

 

 

 「……大丈夫ですか?」

 

 「……ああ」

 

 小さく息をついて答える。その声には微かな間があった。

 

 

 

 「何か考え事でも?」

 

 

 

 「別にィ、何でもねぇよ」

 

 肩をすくめ、気だるげに言いながら、お妙の隣で座り込む。そして、ぽつりと――

 

 

 

 「おたくの――」

 

 

 

 ――「お妙さァァァァァん!!」

 

 

 

 突然、空気を割って近藤の絶叫が飛び込んでくる。

 彼は全力疾走からのダイブという、まるで獣のような勢いでお妙に飛びつこうとしていた。

 

 

 

 「フン!」

 

 乾いた音が連続して響いた。拳が、鉄槌のごとく近藤の顔面に降り注ぐ。

 

 「飛びつこうとするなって、何度言ったらわかるようになるんだよ、このゴリラがァァァ!!!」

 

 ドゴォ! バキィ! グシャァ!!

 

 

 

 三拍子揃った破壊音とともに、近藤の顔面が歪む。横で見ていた銀時が、目を細めてぽつり。

 

 

 

 「うん、それ。それ(ストーカーゴリラ)よりは軽い悩みだよ。うん」

 

 

 

 そこへ、また別の声が飛んでくる。

 

 

 

 「ちょっとちょっと! そこまで言ってないから!」

 

 

 

 顔を引きつらせながら割って入ってきたのは、真選組・監察の山崎だった。

 眼鏡が少しズレている。額に汗を浮かべながら、必死で抗議する。

 

 

 

 「俺たちはあくまでこの騒動の件で身柄を確保するだけであって――」

 

 

 

 「身柄を確保ということは、つまり独房行きだろ。殺せ。この世には絶望しかないのだ。殺せ」

 

 

 

 その背後から、何やら極端な思想を携えた黒装束のアリウス生徒(隊長)がボソボソと呟いた。

 その語調はあまりに陰鬱で、まるで葬式の司会のようだ。

 

 

 

 「vanitas vanitatum et omnia vanitas……全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ」

 

 

 

 「オイィィィィ!!!!」山崎が思わず絶叫した。

 

 「どんだけ絶望に浸ってんだよお前らぁぁあ!!」

 

 

 

 手をブンブン振り回しながら、叫ぶ。

 

 

 

 「絶望に浸りすぎだろ!! 絶望先生だってもっとポジティブに生きてるわ!!!」

 

 

 

 銀時がその様子を見ながら、首をひねって問いかけた。

 

 

 

 「おい、どうした? えっと……」

 

 

 

 山崎が振り向いて、勢いよく手を挙げる。

 

 

 

 「山崎ですよ! 監察の山崎! カバディの山崎! そしてあんぱんの山崎です!」

 

 

 

 「へぇ〜、新参者か〜。頑張れ〜。この世は辛いことが多いからなぁ。」

 

 

 

 「いやいやいやいや! 銀魂時代からいますから! 最古参!!」

 

 

 

 銀時が顔をしかめながら、面倒くさそうに眉を下げた。

 

 

 

 「で? 何があった?」

 

重いため息を交えて訊ねると、山崎がどこか歯切れ悪く言葉を続けた。

 

 

 

 「それが……あの人たちの身柄を確保しようとしてるんですけどね……」

 

 

 

 その言葉に呼応するように、沈んだ声が空間を裂いた。

 

 

 

 「……私たちは、今まで……このトリニティを転覆させるために、訓練だけして生きてきた」

 

 

 

 声の主は、アリウスの隊長格と思しき少女。

 年齢に不相応なほど、落ち着いていて、そして虚ろだった。

 

 

 

 「食事は、味のしない乾いたパンが一つ……自由な時間は、もちろんない」

 

 「私たちは……自分という存在の一切を、任務に捧げてきたのに……」

 

 

 

 指を組んで、どこかを見つめたまま、少女は続ける。

 

 

 

 「それが失敗した瞬間、私たちは“道具”だったと気づいた。……はっ、笑えるだろう?」

 

 「結局……私たちには、最初から……何の価値もなかったんだよ」

 

 

 

 その声は怒りでも悲しみでもない。

 ただ、諦めと乾いた皮肉だけが、瓦礫の中に静かにこだましていた。

 

 

 

 山崎が思わず言葉を失いかけたとき、ふいに空気が変わった。

 

 

 

 銀時が、足音もなくその少女に向かって歩き出していた。

 

 スッ、スッ……と音を立てて靴が床を鳴らす。

 

 

 

 「旦那……?」山崎が不安げに呼びかける。

 

 

 

 アリウスの少女はその気配に気づいていた。

 それでも表情は変わらない。何かを覚悟するように、瞳を伏せて呟いた。

 

 

 

 「やはり、教えの通りか……希望を持ったら……絶望するだけ……」

 

 

 

 その瞬間。

 

 

 

 銀時の叫びが、空気を裂いた。

 

 

 

 「――バァァカァヤロォォォ!!!!」

 

 

 

 ドゴォン!!!

 

 

 

 静まり返った体育館に、乾いた音が轟く。

 銀時の拳が、アリウスの少女の頬にクリーンヒットした。

 

 

 

 「「「「「えぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」

 

 

 

 場の全員が、目を丸くして硬直する。

 

 「ちょっ!ちょっと旦那!!」

 山崎が慌てて間に入ろうと手を伸ばすが、銀時は微動だにせず、片手をゆるく横に伸ばして制した。

 

 

 

 静かだった。

 

 

 

 ぶん殴られたアリウスの少女は、目を見開いたまま床に座り込んでいた。

 頬が赤く腫れ始めているのに、それでも怒りも悲しみも見せない。

 感情を押し殺してきた者特有の、鈍く乾いた虚無だけがそこにあった。

 

 

 

 銀時はそんな彼女を、まるで雨に濡れた子猫でも見るように見下ろし、

 静かに、けれども確かな声音で言葉を吐き出した。

 

 

 

 「……何が道具だ。何が“生きる資格がねぇ”だ」

 

 

 

 その声は、嘲りでも諭しでもなく、まるで自分自身に言い聞かせるような響きを持っていた。

 

 

 

 「ただ単に、お前ら自身が空を見上げるのを……諦めただけじゃねぇか」

 

 

 

 体育館に吹き込む風が、瓦礫をコトリと鳴らした。

 どこかから朝を告げる鳥の声が、まだ荒れた空気の隙間を縫うように流れてくる。

 

 

 

 「空にはな、必ず登るもんがある。それはお天道さんだ」

 

 

 

 銀時の目が、天井の破れたその隙間を捉えていた。

 

 

 

 「お天道さんはこの世に生きる全てのもんを、等しく照らしてくれる」

 

 

 

 その言葉に、アリウスの少女たちの視線が、思わず銀時の指差す空を見上げる。

 

 

 

 「お前らは、地面に這いつくばる何かだ」

 

 「多分な……これまで、鳥のクソやら犬のクソを浴び、泥にまみれて、」

 

 「そのうえで見上げりゃ、どんよりした雨模様の空しか知らねぇ口だったんだろうよ」

 

 クスリと誰かが笑いかけそうになるような言い方だが、誰も声を発しない。それどころか

 

 少女の一人が、小さく息を呑んだ。

 思い当たるものが、確かにそこにあった。

 

 

 

 「でもな、それで空を見上げるのをやめる……」

 

 「それこそ“道具”と変わらねぇじゃねぇか」

 

 

 

 その時、体育館の崩れた屋根の隙間から、

 朝日が――一筋の光が差し込んだ。

 

 

 

 「だがな、どんなに雨が降ろうが、風が吹こうが、クソが落ちてこようが――」

 

 

 

 銀時は、背を丸めながらも、その目だけはまっすぐだった。

 

 

 

 「諦めずに空を見上げ続けたやつには、いずれ必ず……お天道さんが顔を見せる」

 

 

 

 朝日が、その言葉に呼応するように、徐々に広がっていく。

 壊れた床、砕けた瓦礫、傷ついた少女たち、そして――銀時の背を照らす。

 

 

 

 「照らされたその先には、今まで見えなかった世界が広がってんだ」

 

 

 

 銀時は拳を引っ込めると、ゆっくりと顎を上げて言った。

 

 

 

 「目ん玉ひん剥いて、上を向いてやがれ」

 

 

 

 光が、まるで命そのもののように、その場を包む。

 

 

 

 「そうすりゃ、自ずと自分の花を咲かせることができるようになるだろうよ」

 

 

 

 その言葉を背に、銀時の髪が朝日に照らされて白く輝いた。

 まるで、汚れたこの世界に咲いた一本の白い花のように。

 

 

 

 「……貴様に私たちの 私たちの何を……何が分かる!」

 

 

 

 怒声と共に、アリウスの一人が一歩踏み出しかける。

 

 

 

 だが――

 

 

 

 スッ、と手が伸びた。

 それは、殴られた少女――隊長格の彼女の手だった。

 

 

 

 「もう、いい」

 

 

 

 その声はか細く、それでいて、これまでのどんな命令よりも強い力を帯びていた。

 

 

「隊長……?」

 

 仲間たちが戸惑いの色を浮かべる。

 

 少女は、銀時を見て、唇の端をかすかに吊り上げた。

 

 

 

 「ふっ……ふっふ。面白い男……いや、“先生”というべきか」

 

 「いきなりぶっ飛ばしたかと思えば、下ネタを混ぜた説教までぶち込んでくる、まさに無法者だな」

 

 破顔するわけでもなく、皮肉を込めたわけでもなく、ただ――素直に口から漏れた言葉だった。

 

 

 

 「だが、そうかもしれない……私たちは空を見上げるのを諦め、自分らしい“花”を咲かせることを捨ててしまったのかもしれない」

 

 

 

 静寂が一瞬場を包んだ。

 その言葉が持つ重さを、誰もが受け止めようとしていた。

 

 

 

 山崎の鼻をすする音だけが場に響く。

 

 「……っく……うわぁぁんっ……」

 だらだらと涙を流しながら、両袖で顔をぬぐう。

 

 

 

 「山崎!」土方の低く鋭い声が飛ぶ。

 

 「はっ、はいっ、副長!」

 

 「……時間だ。連れていくぞ」

 

 土方はタバコに火をつけながらそう呟き、口から白い煙を吐き出す。

 その煙は、かすかに揺らめきながら天井の割れた隙間へと昇っていった。

 

 

 

 「えっ……もうですか? もう少しだけ……」

 

 「ダメだ。俺たちは警察だ。犯罪者は、何人だろうと“しょっぴかなきゃなんねぇ”」

 

 「いいから、やれ」

 

 無骨で冷淡なようで、どこか押しつけがましくない優しさがその背中に宿っていた。

 

 

 

 山崎が歩を進めると、アリウスの少女たちも素直にそれに従う。

 一人がぼそりと呟いた。

 

 

 

 「構わない。別に……帰ろうと、独房と変わらないからな」

 

 

 

 だがその時だった。

 

 

 

 隊長格の少女が一歩、山崎の制止を振り切るように進み出る。

 

 「……少しだけ、いいか」

 

 銀時の方に向き直り、静かに尋ねた。

 

 

 

 「さっき……お前は言った。“お天道さんは必ず昇り、全てを照らす”と。……それは本当か?」

 

 

 

 銀時は鼻の頭を軽く掻きながら、ちょっと肩をすくめた。

 

 

 

 「嘘は言わねぇよ。現に照らしてんじゃねぇか」

 

 「俺も、お前らも、バカどもも、税金泥棒も、ゴリラも。みんなな」

 

 

 

 その言葉に、隊長の少女は目を見開き、そしてふっと微笑んだ。

 

 

 

 「……そうか」

 

 「……なら、いつか私たちの地にも……こんな、お天道さんが昇ることを願おう」

 

 

 

 そして彼女は、背筋を伸ばしたまま山崎の元へ歩いていった。

 

 

 

 土方はそれを一瞥し、くるりと背を向けて歩き出す。

 

 

 

 「山崎、取り調べはお前がやれ」

 

 「え? えぇっ!? いやいやいや……」

 

 

 

 「俺たちゃ取り調べされまくってもううんざりだ。……あとは頼んだぜ」

 

 

 

 山崎の方へ視線を一瞬向ける。

 その視線には、“やることはわかってるな”という、無言の合図が含まれていた。

 

 

 

 山崎はその意味をすぐに悟る。

 「つまり、彼女たちをただの罪人として扱うな」ということだ。

 

 

 

 「……分かりました、副長!」

 

 

 

 土方は振り返らず、片手を上げただけで応じた。

 

 

 

 「よし、帰るぞ近藤さん」

 

 

 

 「……あ、ああ。ふぁあった……(分かった)」

 

 ズタボロになった顔を引きつらせながら、近藤がふらふらと立ち上がる。

 

 

 

「しょれであ、おはえさん、またほぉあいしましょう!(それではお妙さん、またお会いしましょう!)」

 

 

 

 その笑顔は、ゴリラどころかもはや妖怪の域に達していた。

 

 

 

 「――1人でバナナでも食ってな、ゴリラ」

 

 お妙の拳が最後にまた炸裂

 

 

コハルが息をつくように、空気を抜いた。

 

「はぁ……なんとか、ひと段落って感じじゃない?」

 

 

 

 その言葉に、ハナコが静かに首を横に振る。

 

 

 

「いいえ、まだですよ」

 

 

 

 場の空気が、わずかに張り詰めた。

 ヒフミがきょとんと目を丸くする。

 

 

 

「え? まだ、何か……?」

 

 

 

 ハナコの視線はまっすぐに、遠くを見るように真剣だった。

 

 

 

「確かに、トリニティの裏切り者をあぶり出すという目的は達成しました」

 

「しかし、私たちは、もともと“ある目的”のために動いていたはずです」

 

 

 

 コハルが首を傾げる。

 

「……ある目的?」

 

 

 

 銀時が、くたびれたような口調で割って入る。

 

 

 

「……あれだけ俺たちのことを振り回しておいて、何もありませんでした~、じゃ済まねぇよなぁ?」

 

 

 

 ハナコの口元が緩む。

 

「ナギサちゃん♡」

 

 

 

 その名を呼ばれた瞬間、ナギサはビクリと肩を震わせた。

 

 

 

「え、えぇっと……」

 

 

 

 そのとき、奥からヌッと現れる影がひとつ。

 

 

 

沖田「旦那ァ、俺も参加させてくだせぇ」

 

 

 

 コハルの背中に冷たい風が吹く。

 

「ど、ドSキング……」

 

 

 

ヒフミもたじろぐ。

 

「お、沖田さん……」

 

 

 

 銀時と沖田が顔を見合わせる。

 同時に、ニヤァ……と、ろくでもない笑みが咲いた。

 

 

 

銀時「そうか〜お前らも振り回された被害者の1人だもんな〜」

 

沖田「えぇ、このままじゃ引くにも引けないんでね」

 

 

 

 その笑顔に、場の空気が一気に険悪になる。

 

 

 

コハル「その顔やめなさいよッ!」

 

 

 

 だがハナコは真剣なまなざしをナギサに向けた。

 

 

 

「ナギサちゃん。あなたは“他人”だと割り切って、ヒフミさんの心を疑いましたね?」

 

「けれどヒフミさんは、最後まであなたを守り続けた。裏切られても、蔑まれても……」

 

「信じてもらえなかった“他人”の彼女が、それでもあなたを庇っていたんです」

 

 

 

ナギサ「それは……」

 

 

 

ヒフミ「え、えっと……ハナコさん?」

 

 

 

 そこで突如、銀時が叫ぶ。

 

 

 

銀時「うわー、ないわァァァァ!! お前、それはないわァァァ!!」

 

 

 

ナギサ「!?」

 

 

 

 目の前で――

 銀時と沖田が、どこからともなく取り出した一冊の分厚いアルバムをパラパラとめくっていた。

 

 

 

 中には、ヒフミのあらゆる日常が切り取られていた。

 寝顔、食事風景、窓からの盗撮まがいの写真すら――

 

 

 

銀時「ほう……日常の行動から就寝の瞬間まで。これ、沖田くん、警察としてどう思う?」

 

沖田「えぇ、そうですね〜。少なくともストーカー規制法違反。はっきり言って、社会のゴミ」

 

「罰としてーー」

 

「ケツに牙突くもん式……いや、“クズ龍閃”を見舞う必要がありますね」

 

 

 

 刀が、ギラリと光を帯びる。

 

 

 

コハル「お尻にぶっ刺すの!? Hなのはダメ! 死刑!!」

 

 

 

ヒフミ「これ、本当に……本当なんですか?」

 

 

 

ナギサ「ち、違う! そんなことはーー!」

 

 

 

 だが、銀時がアルバムを指でトントン叩きながら言う。

 

 

 

銀時「いやいや、これはお前の部屋から見つかったんだよ。責任から逃げようってのか? それでもティーパンティーの一員ですか? ホストですか? え? うーん?」

 

 

 

ハナコも、一歩前へ出て囁くように言った。

 

 

 

「ナギサちゃん、あなた、こう言ったそうですね」

 

「“トリニティのゴミ”、“あばずれ”、“犬の糞以下”だって」

 

「……今、見てみれば本当のゴミは――」

 

「あなた、なんじゃないですか?」

 

 

 

 その言葉は、耳元で落とされた“呪い”のようだった。

 

ナギサ「っ……!」

 

「あ、ああ……」

 

 

 

銀時「そろそろ堕ちるな……なァ、ヒフミン?」

 

 

 

ヒフミ「は、はい!」

 

「ナギサ様?」

 

 

 

ナギサ「ヒフミ、さ……」

 

 

 

ヒフミ「私、信じてたのに。ナギサ様的には、“お友達ごっこ”だったんですね?」

 

ナギサ「いや、ちが……っ!」

 

 

 

ヒフミ「ですよねー、赤の他人だもん。だから――」

 

「私も、あなたのことも信用できなくなっちゃいました」

 

 

 

ナギサ「あ、ああ、ァァァァ!!!!」

 

 

 

 その瞬間、ナギサの心の防壁は砕けた。

 

 

 

銀時「……堕ちたな」

 

沖田「最近ドSエネルギー不足だったんで、助かりまさぁ」

 

 

 

沖田が手にしたのは――マヨネーズとデスソース。

土方スペシャルである。

 

 

 

沖田「でもまだ足りねぇなぁ……」

 

 そう呟きながら、気絶したナギサの口にマヨソースをどんどん流し込む。

 

 

 

銀時「じゃあ俺も〜」

 

 

 

「………………」

 

 

 

 一同が凍りつく中、銀時がさらに追撃を加える。

 

 

 

 その後、ナギサは“モザイク処理”が必要なほどの有様で発見されたという。

 

 

 

ヒフミ「ぎ、銀さん! これ大丈夫ですよね!? 本当に治るですよね!?」

 

 ヒフミは、手にした台本を見ながら叫ぶ。

 

 

 

銀時「戻るんじゃね? 作者がなんとかする」

 

ヒフミ「結局、人任せですかーーーッ!!」

 

 

 

アズサ「むぅ……」(ᓀ‸ᓂ)

 

 ーーーーーーーーー

 

 ――その頃、晴天の空の下。

 松下村塾の縁側には、暖かな日差しと静寂が漂っていた。

 

 

 

 セイアは、外を静かに見つめていた。

 視線の先には、どこか遠い記憶にあるような、そして今まさに進行中の物語が交差している。

 

 

 

 その隣に佇む影が、声を漏らす。

 

 

 

???「どうですか。私の教え子の導き出した結末は」

 

 

 

 柔らかな声、しかし確信に満ちた響きだった。

 

 

 

セイア「……全く、彼には驚かされっぱなしだよ」

 

 口元には僅かな苦笑が浮かぶ。

 だがその笑みの奥には、困惑と驚愕、そして一抹の期待が混ざっていた。

 

 

 

「まさか、あんな破天荒な人物がこの世に存在するとはね……もしかすると、ミカよりも“はちゃめちゃ”かもしれないよ」

 

 

 

???「ハハハハ……そうかもしれませんね」

 

 

 

 その笑いは、どこか誇らしげで、同時に哀しみすら滲ませていた。

 

 

 

セイア「……だが」

 

 ゆっくりとその視線が下を向く。

 地面ではなく、“物語”という名の未来の地図を見るように。

 

 

 

「あんな彼だからこそ、みんな気楽に学園生活を送れるようになったのだろう」

 

「そんな彼だからこそ、誰一人抜けることなく、ここまでこれたのかもしれない」

 

 

 

???「…………そうですか」

 

 

 

 間の沈黙は、まるでこれまでの時間の重みを思い返すかのようだった。

 

 

 

セイア「私は……未来を見る“予知夢”を持っていた」

 

「幾千もの選択肢と、幾万もの結末。私はそのすべてを見てきた。だが――」

 

 

 

 彼女の声が、わずかに震えた。

 

 

 

「……これが、一番良い終わり方なのかもしれない」

 

 

 

 その言葉は、まるで希望であり、同時に祈りでもあった。

 

 

 

「……ここで“終われば”の話だがね」

 

 

 

???「彼女、ですか? あなたから予知夢の力を奪った存在」

 

 

 

セイア「……そうだよ」

 

 

 

 彼女は手を組み、まるで時間を測るようにゆっくりと視線を巡らせる。

 

 

 

「彼女の動きは、私の見た予知夢よりも早い……速すぎる」

 

「このままでは、最悪の結末を迎えるためのピースが、一つ、はまってしまう」

 

 

 

 語るその言葉は、静かながら、未来を知る者だけが抱く深い焦燥と警告に満ちていた。

 

 

 

「だからこそ、彼は“普通のストーリー”以上の速度で物語を動かさねばならない」

 

 

 

???「“色彩”……ですか」

 

 

 

 その単語に、空気がひとつ重くなった。

 

 

 

セイア「……間違いない」

 

「けれど“ストーリーを早める”という点では、予想外の要素が加わった」

 

 

 

???「晋助のこと、ですね?」

 

 

 

 セイアの目が細くなり、わずかに頷く。

 

 

 

「彼の言葉、彼の行動……あれはまるで、“銀時たちの動きを意図的に早めるため”のもののようだった」

 

「……それに、彼は……」

 

 

 

 セイアは、一拍の沈黙の後、目を細めて続けた。

 

 

 

「私よりも――多くのことを知っているようだった」

 

「まるで、未来さえも……物語の構造さえも、理解しているようなそんな感じだったよ」

 

 

 

 沈黙。

 ただ風の音だけが、ふたりの間を吹き抜ける。

 

 

 

セイア「……???、彼は一体……何者なんだい?」

 

 

 

???「彼は――」

 

 

 

 その声は、あまりにも穏やかで、あまりにも確信に満ちていた。

 

 

 

「――私の教え子の、一人ですよ」

 

 

 

 まるで、あらかじめそう決まっていたかのように。

 

 

 




エデン条約篇 調印式動乱の章

ナレーションマダオ

なんやかんやあって補習授業部全員退学の道は閉ざされることになった。流石銀さん!俺はやれると信じてたよ!!

そして、裏切り者も見つかって無事調印式が終わる………はずだった。

銀時「何だあれ?ブロリーに潰されたポットでも落ちてきてるんですか?」

ヒナタ「いや、あれはーー!」

ドォォォォン!!!!!

銀時「何が起きた?この光景は一体……何だってんだよ」

ついに動き出す怪しい影

ハスミ「攻撃が、あまり効いていない……」

ヒナタ「あれはユスティナ聖徒会!、戒律の守護者なぜここに!?」

ツルギ「調印はゲヘナとトリニティーの生徒会長によって行われたはずだが?」

ハナコ「おそらく乗っ取られたのですーー」

「アリウスに」


銀さんキヴォトス初の危機ィ!!


サオリ「貴様はここで終わりだ。」


銀時「終わらねぇよ」

「残っているのさとっておきの二振りがーー」

神楽「そのもじゃもじゃから!!」

新八「そいつを離せェェェ!!!!」

ーーーーーーーーー
明かされるリーダーの辛さ

ヒナ「私は、ホシノみたいに全然強くない」

「もっと構って欲しかった!!!」

ーーーーーーーーーー
希望はないのか?起きてくれよ!銀さん!!

銀時「言われなくても行ってやるよ。くだらねぇ"約条"をぶっ壊しにな」

サオリ「奴は……何だ?なぜ絶望しない!何故何度でも立ち上がるんだお前たちは!!」

新八&神楽ニヤッ「宇宙いや、この世で一番馬鹿な先生だ!コノヤロー!!」

ーーーーーーーーー
これはーー



あらゆる思いが交差する奇跡の1ページ


???「何をもたもたしている!副長は指揮を取るものだろう!」

土方「お、お前は!」

???「この人たちだよ兄さん。僕たちの花屋を潰したの」

???「花に謝って欲しいですが……時間がありません。ゲンコツ一つで勘弁してもらいましょうか?」


エデン条約篇 調印動乱の章

次回より!

沖田「何やってんですかい土方さん?」

土方「こ、怖いから……ここで待機」

副長ォォォ!!

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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