透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい) 作:時代に遅れている
曇天
鉛の空 重く垂れ込み
真白に澱んだ太陽が砕けて
耳鳴りを尖らせる
ひゅるりひゅるり 低いツバメが
8の字なぞってビルの谷を翔る
もうじきに夕立が来る
曇天の道を傘を忘れて
歩く彼女は雨に怯えてる
ので僕も弱虫ぶら下げて空を仰ぐ
あちらこちらあんよは上手
珈琲屋に寄って一休み極めたら
帰れない帰らない
曇天の道をぶらりぶらぶら
歩く二人は足軽のごとく
危険好きの誰かのふりをする小心物共
曇天の道を傘を忘れて
歩く彼女は雨に怯えてる
ので僕も弱虫ぶら下げて空を仰ぐ
――この世に光などいらない。
光は愚か者が縋る妄執。
恐怖こそが、この世界を動かす絶対の力……
そう、光などーー
いらないのだ。
次の瞬間、ヒエロムニスの口から発せられたのは、言葉ですらない悲鳴だった。
いや、それは悲鳴なのか、あるいは絶望そのものの咆哮だったのか。空気が悲鳴を上げ、空間そのものが波打った。
「ーーーーーーーーーー!!!!」
銀時の表情が一瞬で強張る。
「!?」
光だった。
それまでの全てを塗りつぶすような、純白にして残酷な閃光。
音よりも速く、思考よりも深く、あらゆる存在を巻き込む爆発が、空間の中心から咲き乱れる。
ドォオォォン!!!!
天井が割れ、空気が爆ぜ、空間が裂けた。
それはただの衝撃波ではない。絶望の具現がもたらした、現実を否定する力だった。
「銀さん!!」
「銀ちゃん!!」
「先生!!」
やがて煙が晴れ、視界が戻る。目の前に映ったのは、壁に叩きつけられ、瓦礫に埋もれる坂田銀時の姿だった。
その白銀の髪すら煤にまみれ、身体は見る影もないほど傷ついていた。それでも、彼の右手はなお、木刀を離していなかった。
「……へ?」
誰かの小さな声が聞こえた。
それは、ゆっくりと意識を取り戻したヒヨリだった。
「私……何を……」
目を開けたその瞬間、彼女の瞳に飛び込んできたのは、再び姿を変えたヒエロムニス。
全身から放たれる神々しいまでの光。それは本来、崇拝の対象であるはずのもの。しかし、その光はどこまでも冷たく、重く、息を呑むほどに恐ろしかった。
「ひぇ、ヒェェェェ!!」
恐怖のあまり、叫ぶより先に涙がこぼれた。
そして、ヒエロムニスが伸ばした一筋の赤黒い手が、彼女の胸元をまっすぐに狙う。
「うわァァァァァん!!やっぱりここで◯んじゃうんですね!」
「ヒヨリ!!」
ミサキの叫びが木霊する。
だが、その一撃は、鋼の傘によって阻まれた。
「ホアタ!!」
神楽が、鮮やかな身のこなしで割って入り、赤黒い手を空中で跳ね返した。
続く衝撃音とともに、再び空気が震える。
サオリが、あまりの光景に声を失いながらも、絞り出すように問いかける。
「おい、これは一体どういうことだ……」
マエストロは、陶酔に満ちた微笑を浮かべながら、うっとりとした口調で答えた。
「……ついに。ついに教義が完成したのです!」
「見てください、あの輝き……あの姿……これこそ私が夢にまで見た**“完成形”**!!」
「仲間など必要としない。誰にもすがらず、誰にも頼らず。絶望というたったひとつの道だけを極めた司祭……!」
「見よ!これがあなたたちの理想、辿るべき最終地点なのだ!!」
サオリはその言葉に、胸の奥が冷たく凍るのを感じた。
『これが……私たちの、目指すべき姿……なのか……?』
その間にも、ヒエロムニスは冷徹に動く。
彼の視線は、自らを追い詰めた“ただ一人の男”――坂田銀時に向けられていた。
地を抉るような魔力の奔流が彼の手から伸び、再び銀時へと突き刺さる――
だが、その時。
「ッ!!」
銃声が一発、鋭く響いた。
ヒエロムニスの手が、一瞬わずかに揺らいだ。
その隙を生み出したのは、少女の小さな体から放たれた決意の弾丸。
「先生には……先生には、もう手出しはさせない!!」
アズサだった。
その瞳は恐怖も痛みも超えて、ただ真っすぐに前を見ていた。
「もうこれ以上、お前たちに過ちを犯させない!!」
サオリは、アズサの叫びに目を見開いた。
「!」
神楽が、ヒエロムニスへと突撃する。
「デカブツ!お前の相手はこの私ネ!!」
新八は、定春にミサキを預け、真剣な顔で木刀を握りしめる。
「絶望はこの手で――」
「打ち払う!!」
サオリは、声を失いながらその光景を見ていた。
『なぜだ。なぜ、お前は……理解しようとしない?』
『私たちは共に……地獄のような生活を過ごしてきたじゃないか』
『人生に、光なんてない。そんなもの信じるから人は壊れる』
『私たちはそれを、もう捨てたはずだ……』
『そうすれば、もう……何も失わずに済むと思った……』
『そう、全てを捨てたのは――あの日から……』
サオリの胸を過ぎるのは、遠い過去の記憶。
最初の記憶は、瓦礫の山と黒煙の彼方に佇むマダムの姿だった。
それ以前の記憶は、霧のように曖昧だ。覚えていないというよりも、思い出す余裕すらなかった。飢えた腹を抱え、今日を生きることに必死だった。ただ、瓦礫の隙間で乾パンを探し、靴の底が抜けても気にする暇もなく走り回る。考えることを忘れ、学ぶことを知らず、生きるだけで精一杯だった。
私たちはまだ幼すぎて、内戦が何であったかも、マダムの名前すら知らなかった。耳に馴染んでいた銃声が唐突に止んだあの日。怒号も悲鳴も消え、異様な静寂が辺りを包み込んだ中、突如として現れた大人の女を、群衆に紛れて私はただ見上げていた。
その女――マダムは、堂々とした姿で言った。自らがアリウスの新しい支配者であり、先生であり、主人であると。
内戦の果てに残された子どもたちに、彼女は“教育”を施すと語った。それは慈愛ではない。真理という名の檻だった。
──Vanitas vanitatum, omnia vanitas.すべては虚しい。
そうして教えられたのは、トリニティが私たちに苦痛を与え、ゲヘナとは共存不可能な存在であるという、終わりなき敵意の正当化だった。
どうして私たちがこんな生活をしているのか、知る術はなかった。もともと知識など持ち合わせていない。書庫も書物も全てマダムによって回収され、「過去」など存在しないことになっていた。問いかける言葉すら、私たちには与えられていなかった。
だから信じるしかなかった。教えられたものがすべてだと。真偽を問うすべもなく、選択肢すら与えられなかった私たちは、それが世界の全てだと疑いなく受け入れた。
アリウス自治区――屋内訓練場。その名ばかりの訓練場は、実際には崩れかけた教会を改修しただけの半屋外施設だった。剥き出しの石材には苔が張りつき、柱には蔦が絡まり、放置された聖堂の片鱗が痛々しく残っていた。
その場所で、今日も銃声が響く。ここでは、それは日常の鼓動だった。
ただし、その銃口が「訓練用の的」に向けられていなければの話だ。
「っ、やめろッ!」
乾いた発砲音の直後、サオリの叫びが訓練場に響いた。
銃口を握るのは、サオリたちを“管理”するアリウスの幹部。白いロングコートを羽織り、無機質なガスマスクで顔を隠したその上級生は、まるで人形のような動きでサオリを見下ろしていた。まだ背丈も満足に伸びていないサオリから見れば、まるで巨人のようにさえ映った。
けれどサオリは恐れを飲み込み、両腕をいっぱいに広げて立ちはだかる。
その背後には、白髪の少女が血に塗れたまま倒れていた。砂利まみれの地面に頬を擦りつけながら、か細い呼吸だけがその生を示している。現在のアズサであるが、当時彼女の名はまだ知らなかった。ただ、痛みと怯えに震えるその小さな背を、見過ごすことはできなかった。
「それ以上撃てば、ヘイローが壊れる……!」
サオリの声に幹部は鼻を鳴らし、ゆっくりと銃口を下ろす。だがその動きには一切の譲歩も、慈悲も存在しなかった。
「……どうか、もうやめて……うぅっ……」
壁際で蹲るヒヨリの声が震える。ミサキは能面のような表情で地面を見つめていた。
彼女たちの姿は、見るも無惨だった。 泥と血で汚れた衣服、包帯で覆われた手足、剥き出しの皮膚には無数の痣と切り傷。光を拒む瞳と、冷え切った小さな身体。足首には鉄の枷がはめられ、その鈍い輝きがまるで呪いのように照り返していた。
それでも、ここでは――これが“普通”だった。
「こいつは我々に反抗した。罰を受けて当然だろう。……退け、第八分隊長。退かなければ、お前も同じ目に遭うぞ?」
再び銃口が向けられた時、サオリはその冷たい視線を見返す。
感情の欠片も宿らない瞳。マスク越しでも分かる。 それは、生徒ではなく“道具”を見下ろす大人の目だった。
「ゴホッ……誰が、屈するか……っ」
倒れた白髪の少女が、血混じりの咳と共に笑った。ざらついた声に、確かな怒りと反骨心が滲む。その言葉に幹部の指が、再び引き金にかかる。
「待てッ! 待ってくれ!」
「また貴様も反抗するのか、第八――」
「私がッ!」
叫びは、本能だった。
「私が指導する! この子を、私が……育てる!」
ミサキが呟く。「まただ」と。 自分たちですら必死に生きているのに、サオリはまた苦しみを背負おうとする。
「……ヒヨリも、ミサキも、姫も……私が育てた。皆、成果を出してる。だからあの子も、私に任せてくれ!」
幹部の沈黙が、何よりも重く圧し掛かる。サオリは言葉を尽くし、祈るように見上げた。
やがて幹部は、無感情な仮面の奥で頷く。
「……良いだろう。優秀な駒が増えるのなら構わん。だが忘れるな、我々に逆らうことは……二度と、許されん」
崩れた教室の片隅。乾いた音が壁に跳ね返り、ミサキの頬が赤く染まった。
「二度とそんなことはするな! 絶対に……だッ!」
包帯の滲む左手を押さえながら、ミサキは呟く。
「どうして?」
サオリは息を呑む。
「どうして、生きなきゃいけないの?」
ミサキの瞳は、夜よりも暗く、深かった。
「寒くて、痛くて、誰にも必要とされなくて……何で、それでも生きなきゃいけないの? 姉さんは、どうしてこんな無意味な苦痛を続けさせるの?」
問いは刃だった。答えを持たぬ者に、鋭く深く突き刺さる。
「それは……――」
でも、サオリには言えなかった。
希望がどこにあるのか。光があると信じていいのか。ただ、生きているだけで、塵のように踏み潰される運命なのに。
ベアトリーチェの言葉が、記憶の奥で凍ったように響いた。
「良いですか、サオリ。あなたたちを導けるのは、この私以外にいません。あなたたちを受け入れる場所も、このアリウス以外には存在しないのです」
『――なぁ、アズサ』
薄暗く、冷えた空気が支配する内面世界。世界が色を失い、すべてが鈍く、重く沈むような心の底で、サオリはただ膝を抱えて俯いていた。
その隣に立つのはアズサ――いや、彼女の虚像だ。その瞳は何も語らず、ただ静かにサオリを見下ろしている。
アズサは、希望の象徴だった。どれだけ周囲が絶望に呑まれ、命の灯がひとつ、またひとつと消えていく中でも、ただ一人、何度でも立ち上がり、抗い続けた少女。 薄汚れた泥の中でも、歯を食いしばり、目を逸らさず、手を伸ばし続けてきた。
サオリには、それが理解できなかった。
――どうして、そこまでして抗うんだ。
何度問いかけても、返ってくるのは沈黙。 虚像のアズサは答えない。ただ、その背に灯す光のような意志が、言葉以上に強くサオリの胸を貫く。
サオリの思考が呟く。
『お前が歩んできたすべては、任務のため……与えられた役割を全うするためだった。』
『足掻いたって意味はない。運命は変えられない。日陰に生まれた者は、日陰の中で朽ちていくしかないんだ。』
『だから……諦めろ。』
期待も、希望も、夢も、すべては裏切られるだけだ。 手を伸ばせば、その先には空虚しかない。
それならば――抱かなければいい。
希望を抱かなければ、絶望に沈まずに済む。期待しなければ、傷つかずに済む。夢見なければ、涙を流さずに済む。
そう在り続けることだけが、この地獄の中で“生き延びる術”だった。
だからサオリは、学んだ。背くな、問うな、感じるな。ただ、言われた通りに従い、命じられた通りに動けばいい。自分を殺して、歯車の一部になればいい。それが、生きるということだった――アリウスでは。
それが、唯一許された“希望”だったのに。
なのに――
虚像のアズサは、背を向けた。サオリの隣に立つこともなく、手を差し伸べることもなく。 ただ静かに、光の差す方へ歩き出していた。
その光は、まるでこの心の牢獄に空いた唯一の出口のようだった。サオリは、その光を直視することすらできなかった場所。けれど、アズサは迷いもせず、その中へと足を踏み入れていく。
「アズサ……?」
サオリの声が震える。
『待て、何処へ行く……!?』
『そこは、私たちには……違う。私たちは、まだ此処にいるというのに……!』
『私たちは暗闇の中でしか生きられないんだ。他のどこにも、生きられる場所なんてない……』
『戻ってこい、アズサ……そっちには――!』
サオリの叫びは空を切る。アズサは振り返らない。ただ歩く。真っ直ぐ、まるで答えを知っている者のように。
光が強くなればなるほど、影もまた濃くなる。アズサの影が長く、濃く、サオリの足元へと伸びていた。
その影の中で、サオリは一つの記憶にたどり着く。
――寒くて、空腹で、苦しくて。 毎日殴られて、怒鳴られて、血を流して…… それでもどうして、生きる意味があるの?
――ねぇ、姉さん。 この無意味な苦痛に、どんな意味があるの?
――私たちは、何のために生まれたの?
その問いに、サオリは答えられなかった。ずっと。ずっと。
だが今。 光の中を進むその背を見て、理解してしまった。
『……お前は、知ったのか。』
『お前には……答えが見えたのか?』
震える指先が、思わず伸びる。希望という言葉の形をした幻影に触れるように。
『アズ……サ……!』
光がアズサを包み、その姿を呑み込んでいく。 サオリは手を伸ばす。もう届かないと知りながら、それでも――何度も。必死に。
空が割れた。大気を震わせて降り注ぐ巨大な光の柱。それは神罰のように無慈悲で、逃げ場を許さぬ速さで迫る。
「――うっ!」
アズサの身体が、吹き飛ばされた。 ヒエロムニスの杖が放つ衝撃波。 肉体は無事でも、心が、意思が、疲弊していた。 連戦の果てに残されたのは、鉛のように重い四肢と、血のように濁った視界。
立てない。
意識が霞む。
……なのに。
光の柱は、確実に迫っていた。
(……やだ)
目を見開く。迫る死の気配。逃れられない。 動けない。
なのに――
「っ……!」
砂煙が舞った。
何かがアズサを、庇うように覆った。
(……え?)
煙の向こうに見えたのは、血に濡れ、膝をついたサオリの背中だった。
その身を盾に、彼女は立っていた。
「……サオリ……!?」
アズサの叫びが、裂けるように空に響いた。
「姉さんっ!」
「リーダー!」
ヒヨリとミサキの声も重なる。
サオリの肩が、小刻みに震えていた。
アズサは崩れ落ちたサオリの肩をそっと抱き寄せた。その瞳には、笑みも、涙も、怒りすらもなかった。 ただ、不思議なほど静かな光が宿っていた。まるで、全てを受け入れた者だけが持つ微かな安堵の色――それがアズサの胸を締め付ける。
「なんで……どうして……!」震える声が、喉を擦るように漏れた。 なぜここまでして自分を庇ったのか。あの暗く閉ざされた世界の中で、生きる意味すら見失っていたはずの彼女が――なぜ光の中に飛び込んだのか。
サオリは咳き込み、血の滲む息を吐く。 「ゲホッ、ゴホッ……」
「サオリ!」 アズサの声が、焦燥にかすれる。
サオリはうつろな目を細め、それでも口角をわずかに持ち上げた。「そうか……私は……お前が憎かったわけでも、希望を捨てさせたかったわけでもなく……ただーーアズサ、お前とヒヨリにミサキ、そして(ここにはいない)姫と、離れるのが嫌なだけだったんだな」
遠くで瓦礫が崩れ落ちる音がした。サオリの声は、それに溶けるように低く続く。「仲間など抱えている私が、Vanitas vanitatum, omnia vanitas……全ては虚しいなんて教えを遂行するなんて出来はしなかったんだ。それなら初めから仲間なんて………」
「おい」 その言葉を切るように、低く響く声。
瓦礫の影から、白い着物を纏った男が立ち上がった。 銀時だった。肩から粉塵を払い、ゆらりと歩み出ると、ヒエロムニスの目の前に立ちはだかる。木刀の一閃――乾いた破裂音とともに空気が震え、銀時は剣を床に突き立てた。
「……!」 ヒエロムニスが唸り声を上げる。
「銀さん!」「銀ちゃん!」新八と神楽が同時に叫ぶ。
銀時はヒエロムニスを睨み据え、吐き捨てるように言った。「この世は虚しいもの?そいつを遂行出来ねぇ?何大層なこと抜かしてんだテメェは。そんなもんテメェらがやらなくたって、とっくの昔から虚しいもんなんだよ」
その声は、静かな怒りを孕みながら広がる。「この世の中、未来も希望も、自分で抱いて進んでいくしかねぇんだよ」
彼は一歩、また一歩と前に進む。木刀の切っ先が光を反射し、ヒエロムニスの瞳孔を射抜いた。「上の奴らが腐ってようが、そんな中でもテメェらはテメェの信念を持って進んでいかなきゃ、国も、この世も、何も変わらねぇ……」
銀時は深く息を吸い込み、その言葉を叩きつける。「俺は背負ってるよ。こいつらも、あいつらも、思いも、俺の魂も全部。お前も、背負ってきたんだろうが」
サオリの瞳が揺れた。「!」
「あらゆる絶望の中から、こいつらを背負って戦ってきたんだろうが!」銀時の声が轟き、瓦礫の山がその響きに共鳴するかのように微かに震えた。
「だったら最後まで背負って生きてくしかねぇだろ……」 静かな間。「見とけ、テメェが背負ってるもんがどれだけの力を持ってるか、しかと――」
木刀の剣先が、ヒエロムニスを真っ直ぐに指す。「その目ん玉に焼き付けな!!」
「先生、無茶だ!」アズサの叫びが響く。「銀ちゃん!」神楽も声を張り上げる。
「ウォォォォ!!」銀時が吼えた。
「ーーーー!!!!」 ヒエロムニスも絶叫し、杖を振り下ろす。
木刀と杖が交差した瞬間、衝撃波が床を割り、破片が空中に舞い上がる。 光と影が一閃に交わり――
ドサッ。
静寂の中、立っていたのは――坂田銀時だった。
ヒエロニムスが絶叫と共に崩れ落ち、その巨体は砂のように溶けて消えた。 戦場には何も残らない。煙は風に散り、響き渡っていた轟音は途絶え、世界は不自然なほどの静寂に包まれる。
立ち尽くすマエストロだけが、その場に取り残された。 目の前の光景を呆然と見つめ、何かを言いかけるが、声は出ない。 だが彼女たちは、その存在に一瞥をくれると、まるで価値を見出せないかのように即座に視線を外した。
地上から差し込む陽光が、粉塵を透かして銀時の肩を照らす。 彼の背中は静かに、しかし確かにそこに立っていた。
――サオリは、その光景を見つめながら、遠い記憶へと引き戻される。
ある日のこと。姫が任務から帰ってきた時のことだった。
「これは………花?」アズサの声が小さく震える。
サオリはその手に握られたものを見て、眉をひそめた。「姫……何をしているのかわかっているのか?」
姫は答えない。ただ、両腕いっぱいに抱えた花束を、私たち一人一人へと差し出してきた。
しかし――
「姫、あなたも理解してるはず……ここには希望なんてない」ミサキが低く告げる。「ここでそんな真似をしようものなら、マダムたちに目をつけられる」
その忠告に、姫は静かに首を振る。そして、ためらいなく花を押し付けるように渡してきた。
「なっ、おい!!」サオリが思わず声を上げる。ミサキは沈黙し、ヒヨリは困ったように笑った。「き、綺麗ですね〜」 アズサは黙ったまま、花を見つめる。
――姫は手話で語り始めた。
ミサキへ。『この花はカランコエ。花言葉は「たくさんの小さな思い出」』 小さな星を散りばめたような花弁が、鮮やかなオレンジ色で輝いていた。
ヒヨリへ。『これはクロッサンドラ。花言葉は「友情」「仲良し」』 可憐な花が、太陽の光を吸い込むように咲き誇っていた。
アズサへ。これは『サザンクロス』。花言葉は「願いを叶えて」「まだ見ぬ君へ」「光輝」「遠い思い出」』 薄紅色の花が、そよ風に揺れ、花弁を空へと舞い上げる。
そして――サオリへ。『サルビア』を『花言葉は、「尊敬」「家族愛」「良い家庭」』 深紅の花は、まるで温かな愛情そのもののように揺れていた。
「……」サオリは花を握りしめたまま、何も言えなかった。
「彼女が言っていただろう、Vanitas vanitatum et omnia vanitas……全ては虚しい。私達が……こんな気持ちは……意味がなーーー!」 叫びかけた言葉を、姫の手話が遮る。
『皆、全て虚しいことなんてない』『今回の任務で、私は世界の面白さを、人の温かさを知った』『多分、私たちのいるここは間違った世界なんだよ』『だからこの花を見て、少しでも希望を抱いて』『前を向いて、生きて』
ガスマスク越しでもわかる、確かな笑顔。 その瞬間だけ、皆の胸に静かな安らぎが灯っていた。
サオリはゆっくりと瞼を開き、戦場へと意識を戻す。「そうか……私たちはまだ進んでなどいなかっただけ、だがーー」
そして光を見つめながら呟く。「お前に姫は、わずかながら前に進むことを選んでいたのか」
ゆっくりと立ち上がるサオリを、ミサキとヒヨリが見つめる。「リーダー……」「サオリ姉さん」
「退却だ」サオリは短く告げた。「私たちに、トリニティーにも、ゲヘナはもちろん、アリウスにも居場所はない」
「サオリ!」アズサが駆け寄る。
ふらつく身体を支えようとした瞬間――サオリはその手を、静かに、しかし確かに突き放した。
「なっ!」
視線だけで告げる。『お前は私たちのところにいるべきではない』『お前はあの先生と共に、光の当たる場所で生きることを決めたんだろう?』
その瞳には、拒絶ではなく、切ないほどの慈しみが宿っていた。
サオリはミサキとヒヨリに支えられ、背を向ける。その背中が粉塵の向こうに消えていくまで、アズサはただ立ち尽くしていた。
銀時は新八と神楽に肩を貸され、まだふらつく足で立っていた。 アズサが駆け寄り、短く告げる。 「先生、サオリたちは逃げた。」
「え、逃したんですか!?」新八が思わず声を上げる。 神楽は額に青筋を浮かべて詰め寄った。「何やってるアルか!? その気になれば、アイツらまた銀ちゃん狙ってくるかもしれないネ!」 畳みかけるように胸ぐらを掴み――「それを逃したって、私たちをおちょくってるアルか!! ムキー!!!」
「い、痛い、痛いぞ……」アズサが困惑した声を漏らす。
銀時は、ふっと口元を緩め、飄々とした声を返した。「まぁ、いいんじゃねぇの?」 新八も神楽もアズサも、一斉にこちらを見る。「次会う時、もしかしたら俺たちを頼ってくるかもしれねぇしな」
「「「え?」」」 唐突な言葉に、三人の声が重なった。
その頃――
「――……あぁ」 マエストロの唇から、押し殺したような声が零れた。
それが何の感情によるものなのか、彼女自身にも判然としなかった。 悲しみ、辛さ、虚しさ、苦しさ――その全てがないまぜになり、胸を締め付ける。息をするたび、肺の奥がひどく痛む。けれど、膝を折ることは許されなかった。
あの背中から受け取った善意を、好意を、想いを――そして答えを、無駄にはできない。 それらは鎖のように彼女を縛り、その鎖に積もる罪悪はさらに重くなっていく。 足は地面に縫い付けられたように動かず、ただその場で呼吸を繰り返すしかなかった。
「……心から感謝しよう、坂田銀時」 マエストロの声は低く、しかし確かに響いた。「其方のおかげで、本当の芸術とは何かを考えさせられた」
「ほう、それは良かった」 背後から、別の声が割り込む。刃が鞘走る音と共に、鋭い殺気が空気を切り裂いた。「だが、残念。その新しい芸術とやらを作り出す機会はもうない」「この場で――お前を斬るからな」
背中に突きつけられた刀身から、冷たい圧が伝わる。
マエストロは、ゆっくりと振り返り、口角を上げた。「これはこれは――同じく異世界から現れし桂小太郎」「噂はかねがね。して、この場で持って何を聞きたいのですか?」
地下の空気は、ほんの少しの時間すら止まったように重く澱んでいた。石壁に染みた水と血の匂い、遠くで崩れ落ちる瓦礫の余韻が、静かに伸び縮みする。灯火が揺れるその隙間で、桂はマエストロをただ見据えていた。顔の影が深く落ち、声だけが低く真っ直ぐに差し出される。
桂「貴様、ゲマトリアだろ。銀時から忠告を受けたはずだ。俺たちの生徒たちに手を出すなと」
拳の内側に力を籠めるように、桂の言葉は短く、しかし確かな刃のように空気を切った。相手は動じず、薄く笑みを含んだ声で応える。
「………いささか誤解があるようですね。真に危害を加えているのは私ではない。」
マエストロの口元から零れたその一節は、氷のように冷たかった。だが次の言葉は、更に風景をねじ曲げる。
「"彼女“です。」
桂は目を細める。向こう側にいる「彼女」――その名は、ここに満ちる緊張の実体を指し示していた。
「彼女?」
言葉を受けて、マエストロは静かに頷いた。声は低く、だが確信を帯びていた。
「ええ、そして私は、私たちはーー」
戸惑いを残して、静謐の中に含む音が落ちる。
「"彼女“を止める計画に手を貸しているだけですよ」
マエストロの手のひらは、まるで何か見えない設計図を弄るかのように空中をなぞった。
「他でもないあなたたちの旧友のね」
その言葉は針のように桂の胸を刺した。記憶の糸が一瞬揺れ、桂の眉間に影が走る。
「それはーー」
しかし、マエストロは残された説明を断つように言葉を切り、暗がりから黒いものが湧き上がった。ゆっくりと、油のように、あるいは墨が水に広がるように。
「………どうやら時間のようです。」黒い霧のようなものが現れそれに包まれる。
黒い霧は音を吸い、火の光を薄く霞ませた。空間が粘りつくように遅くなり、桂は反射的に手を伸ばす。
「おい!」
その声は空に割れ、霧を切り裂こうとしたが、薫る嫌な寒気に手がすべっていく。マエストロは一歩も譲らず、静かに、しかし確固たる口調で最後の念を投げた。
「最後に一つだけ、彼女を止めないとこの先、誰も守ることは出来ませんよ。」
「…………」
沈黙が、短く重く落ちた。霧はゆっくりと桂の周りを這い、言葉にならぬ約束を残して拡散していく。
――場面は切り替わり、地上へ向かう一行の足音が湿った通路に響く。瓦礫を踏むたびに小石がころがり、空気の密度が戻り始める。
「よぉ、ヅラ。どうした?そんな辛気臭ぇ面して。」アズサが銀時を支え、新八と神楽が先頭を歩く。
灰色の顔がふっとほぐれる。銀時の軽口に、アズサの肩越しに安堵の影が走る。
「ヅラじゃない桂だ。別に何もない。あの木片男と少し話してただけだ。」
桂は短く、肩の力を抜くように答えた。言葉の端に何かを抱えたまま、それでも表面は穏やかだ。
「そうか、それじゃあ帰るか、地上に」
「そうですね。皆が上で待っていますから」
三人は互いに視線を交わし、崩れた階段を登っていく。上方では、まだ灯りが揺れている。だが、その灯りは薄い約束などではなく、いまは確かな帰路を示していた。
地上に戻ると、そこは戦いの余韻と、微かに吹く風の冷たさが入り混じった空気に包まれていた。足元にはひび割れた舗装と瓦礫、そして遠くでまだくすぶる煙の匂いが漂う。
ホシノは肩で息をしながら、薄く空を見上げた。「……終わったのかな……」その声には、安堵と疲労が入り交じっていた。
アヤネは胸に手を当て、長く息を吐き出す。「なんか、色々ありすぎて……あっという間でしたね。」
視線の先――聖徒会はヘドロ一家の奇襲によってほぼ壊滅し、地に伏している。残っていたアリウスの生徒たちも、抵抗を捨て、静かに降参の意を示していた。
「疲れましたね〜⭐︎」 ノノミがへなへなと腰を落とすと、星のついた髪飾りが揺れた。
「そういえば……銀さん、大丈夫かしら?」セリカが顔を上げ、辺りを見回す。
「そうです!アズサちゃん!!」ヒフミが思わず声を上げると、周囲に緊張が走る。
「「「「あっ!」」」」
その時、 「お〜い! 帰ってきたアルよ!!!」神楽の甲高い声が、風を切って届いた。
新八が両手を大きく振りながら叫ぶ。「万事屋、そしてシャーレの銀ちゃんのご帰還だい!!」
姿を現した銀時は、アズサに肩を支えられ、いつもより足取りが重かった。「痛てて……元気いいな〜、オメェらよ」
「「「銀ちゃんだ!(先生だ)(銀さん!!)」」」 歓声が一斉に弾け、皆が銀時の方へと駆け寄ってくる。
「おいおい! ちょっと待っ……ぐへぇ!!」銀時がよろめき、口から情けない声が漏れる。「ちょっ……離れ……ろ! 痛いんだよ、こちとら大怪我してる中戦って、傷が開いてんだよ!!」
だが、その必死の抗議もむなしく、群がる勢いは一向に衰えない。 まるで戦場から帰還した英雄を祝う群衆のように、彼を手放そうとしなかった。
その熱気を裂くように、聞き慣れた声が割り込む。「おやおや、万事屋さんではないですか? こんなところでお会いするとは思いませんでしたよ。」ヘドロ一家が、瓦礫の影から姿を現した。
「もしかして……万事屋さんも花たちを助けるために?」「アレ……万事屋さん?」
ジロウが銀時をまじまじと見つめ、次いで兄を振り返る。 「ダメだ兄さん、気絶しちゃってるもん」
「……あっ」ヘドロの間抜けな声と同時に、
「ぶくぶくぶくぶく」
銀時は泡を吹く。
「「「銀ちゃァァァァァん!!(先生!!!!!)(銀さん!!!!!)」」」地上に響き渡るその叫びは、戦いの終わりを告げる鐘のようだった。
ーーーーー
祭壇の上階は、いつになく静かだった。ステンドグラス越しに差し込む光は薄く、埃混じりに教会内部を漂う。ベアトリーチェはその光の切れ端を受け止めるように、書籍を何重にも積み上げた簡易の玉座に凭れかかっている。足元の古びた聖典の紙は掌にすれる音すらささやかに吸い取り、鼻腔には乾いたインクと古紙の匂いが残っていた。手にした端末の画面を見つめながら、彼女はゆっくりと息を吐く。その吐息は、敗北という結果に対する淡い苛立ちと、しかしどこか冷めた諦観を帯びていた。
「――そう、敗北しましたか」
声は小さく、しかし室内の石壁に反響し、幾重にも重なるように戻ってきた。言葉は他者への問いかけというより、自分自身への確認のように聞こえる。指先は端末の縁をつまみ、画面の向こうで奏でられた戦況を反芻している。
「あれ程の手駒を揃え、マエストロの助力を得て尚……」
言葉は途切れ、彼女の脳裏にある映像が巻き戻る。銀時のしぶとさ、嵐のような戦場で血と再起を無数に繰り返す姿が、偽りのない現実として襟元に突き刺さった。どれほど入念に嚙み砕こうとも、あの男の在り様は計算の枠を超えている――ベアトリーチェはそう悟っていた。
傍らに立っている男が、ひとつ低い声で応える。朧だ。以前は天道衆の配下として名を馳せ――いまは高杉の一派の名のもと、アリウス内部に滑り込んでいる“橋渡し”である。無駄をそぎ落とした立ち姿、控えめだが冷徹なまなざし。細い唇の端に、常に一抹の含み笑いを宿している。
「は、しかしあの者の戦場に立って天に仇名してきた実力を考えれば決しておかしな話ではないと存じます。」
その声は形式張らず、だが確かな計算が含まれていた。朧の言葉は、ひとつの確証にも似る。銀時という存在を過小評価する愚は犯し得ない――そう朧は静かに告げる。彼の中に生きる過去と、今ここで果たす任務の均衡が、言葉の端々に現れていた。
ベアトリーチェは唇の端を引き上げ、やや嘲るように笑ってみせる。
「やはり、立ち塞がるのですね、あなたは――」
彼女は言葉を噛みしめるように発し、その目は遠景の戦況を見つめていた。通信回線を通じて送られてきた報告が、淡々とした声で断たれる。
「彼女たちは一時戦線を離脱。その後の行方は捉えられておりません。」
言葉は事務的で冷たい。端末の向こう側では、古聖堂の瓦礫、空薬莢、砕けたプラスチック片といった痕跡だけが散在している。その断片群は、スクワッドが交戦の只中で“消えた”ことを物語っていた。痕跡は残るが、もっとも重要な“人”の所在は消え去った――それが意味するところは、容易に想像できる。
ベアトリーチェは顎に指を当て、短く吐息を漏らす。
「……ほう、つまり逃げ出したということですか」
彼女の問いは、針のように鋭い。逃げ出したのか、自ら痕跡を消したのか。いずれにせよ、彼女の胸中にはもう一つの計算式が動き始めていた。失敗の原因、次の一手、そして残る“駒”の処理。すべては冷徹な収支の問題へと還元される。
「もしやすると再起を図ろうと策を講じているやも。いかがいたしましょうか?」
顧問らしき者の問いかけに、ベアトリーチェの目は氷のように澄んだ。
「――なに、彼女秤アツコはここにいます。他のメンバーがどうなろうと私の知ったことではありませんですからーー全員処理で構いません」
言い放たれた命令は、刃のように即断的だ。優情は端々から切り落とされ、残るは合理と自己保存のみ。ベアトリーチェにとって、秤アツコを失えば儀式は狂い、計画は瓦解する。だからこそ、犠牲の名簿には厳しい選別が入る。生贄は厳密に定められるべきものなのだ――彼女の論理は、それをためらわない。
「逃亡者に情けは必要ないでしょう、見つけ次第彼女以外、その場でヘイローを破壊しなさい――あぁ、確かスクワッドのリーダーにはヘイロー破壊爆弾を持たせていましたか、それを奪って使っても構いません、好きな様に処理して下さい」
命令が降りると、朧は微かな沈黙をまとって視線を落とした。彼の顔には内心の不快が薄く滲むが、それを表に出すことはしない。やがて、彼は短く息を吐き、わずかに二つの点を並べたように口を閉じる。
「……………」
その無言は、言葉より重い。朧の瞳――黒曜のような深みを湛えた瞳が、ベアトリーチェを一瞥する。外見は無造作に結われた黒髪と、細身だが節々に堅牢さを感じさせる体躯。服の裾に付いた小さな汚れ一つ、手に薄く残る旧い血の痕。朧は全てを――過去の選択と現在の立場を――その沈黙の中で抱えている。彼はかつて天道衆の冷徹な戦列に組み込まれ、そこで刃と影を学んだ。今は高杉の名代として、別の流れに身を寄せている。そのうちで養われたのは、短い言葉で世界を測る術と、必要な時に沈黙することの美徳である。
朧は視線を上げ、薄く鼻先で笑うようにしながらも、その目には確かな意志が宿っていた。感情を露わにすることの少ない男だが、背後には護るべきものややり場のない苛立ちがちらつく。彼の息遣いは、石造りの室内に溶け込むように静かだった。
「はっ」
小さな短い呼気が、朧の喉から洩れる。――それは承諾の音か、あるいは別の企てに対する予感か。ここから先、ベアトリーチェは更なる賭けに出るだろう。彼女は目を細め、指先で端末の電源を切った。赤く光っていた小さなランプが、暗転と共に消える。
「……さて、私がこの儀式を完遂させるのが先か、それともあなた(銀時)が私の元に辿り着くのが先か」
彼女は独りごちる。それは挑戦であり、約束であり――この地域に敷かれた秩序を賭けた宣言だ。全ては、崇高へ至るための踏み台に過ぎない。彼女の唇がわずかに震える。声は低く、それでいてどこか陶酔にも似た昂りを含んでいた。
「これが、私とあなたの最後の戦いになるでしょう、このアリウスに果たして辿り着く事が出来るのか、いえ、きっと辿り着くのでしょうね……ですが、今度こそ私はあなたを屠って見せる、それこそが私の存在証明、私が崇高へと至る道」
言葉は緩やかに広がり、部屋の空気を揺らす。ベアトリーチェは自らの野望を確信に変えるべく、細心の準備を整えるだろう。彼女にとって、崇高の座は独占すべき王座であり、その座に触れるためには躊躇や情けなど無用である。
「私は、あなたという至高を踏み越え――更なる高みに至る」
彼女の声には、震えるような熱と、不動の冷たさが同居していた。ベアトリーチェは最後に、ゆっくりと瞳を閉じる。石造りの天井に描かれた古い図像が、薄い影となって彼女の背を押す。敗北の塵を拭い去り、――次の戦いへと歩を進めるために。
「――崇高の絶対者が座す椅子は、一つしかないのですから」
短い沈黙の後、扉が静かに閉じられる。石の香りと乾いた紙の匂いが残る室内に、朧の吐息だけがひっそりと混じり込んだ。外では荒れた街が再び夜の帳を被ろうとしている。だがベアトリーチェの眼差しは、既に未来の一点を見据え、動き始めていた。
エデン条約篇最終章 ナレーション マダオ
何とかアリウススクワッドからエデン条約を取り返した銀さんたち。
いやぁ流石。やってくれると信じてたぜ俺は。
これにて一件落着………っていかないの〜!!?
平穏が訪れたかのように思われる日常にも影がある。
皆が安堵な表情を浮かべる中1人だけ得物を強く握る銀さん。
ある日万事屋シャーレに姿を見せたのはーー
サオリ「万事屋シャーレとは……ここのことか?」
今回の敵だったサオリだ!
サオリ「頼む!姫を……アツコを救ってくれ!!」
自分を撃った相手からの突然の依頼に銀さんは?
銀時「承った。つーかまたくたびれたぜ。さっさとぶっ飛ばしに行こうや。子離れできねぇ更年期クソババアに」
「今回はアイツらを頼ることは出来ねぇ……だから俺たちだけでやるんだ。」
神楽「で、そいつはどこにいるアルか?」
ミサキ「アリウスの教会のバシリカってところ」
ヒヨリ「実はこの場所一度も雲が晴れたことがないんです。」
彼らを縛るは曇天の世界を統べる大人 ベアトリーチェ
サオリ「どうやら我々の動きは全て読まれていたようだ。」
新八「そんな………」
銀さんの死!?
「「「先生!!」」」
銀時「……………」
絶対絶命のピンチ、しかし今回は新たな仲間に、あいつらが助けにくる。
???「おやおや、せっかくエリートの私が彼らの手を引いて助太刀に来たというのに………ねぇ。アリウスの隊長どの」
???「全く、お天道さんが昇っていると聞いてきてみればどこにそんなものが昇っていると言うんだ?この大ホラ吹きが!!」
???「私にもやらせてくれない⭐︎」
そして師からの叱責
松陽「銀時、君のような若者が天寿を全うしただなんてーー百年早い。」ゲンコツ!!
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銀時「ガキに夢も持たせられねぇ更年期ババアの鎖なんざ」
「一太刀で締めぇだ。」
エデン条約アリウス曙光篇
近日公開
銀八先生「あの〜すいません。アリウスの隊長の生徒の名前を募集するんで」
「思いついた方はコメント欄によろしくお願いしまぁす」
〜透魂〜第一回キャラクター人気投票
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銀時
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新八
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神楽
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沖田
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土方
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山崎
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高杉
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桂
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定春
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エリザベス
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ホシノ
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シロコ
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ヒナ
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アコ
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ミカ
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ナギサ
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セイア
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ユウカ
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ノア
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近藤