透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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            曇天

鉛の空 重く垂れ込み
真白に澱んだ太陽が砕けて
耳鳴りを尖らせる

ひゅるりひゅるり 低いツバメが
8の字なぞってビルの谷を翔る
もうじきに夕立が来る

曇天の道を傘を忘れて
歩く彼女は雨に怯えてる
ので僕も弱虫ぶら下げて空を仰ぐ

あちらこちらあんよは上手
珈琲屋に寄って一休み極めたら
帰れない帰らない

曇天の道をぶらりぶらぶら
歩く二人は足軽のごとく
危険好きの誰かのふりをする小心物共
曇天の道を傘を忘れて

歩く彼女は雨に怯えてる
ので僕も弱虫ぶら下げて空を仰ぐ


第百十六訓 帰りを待つ人

自ら前へと進み出て、突き立てた木刀を掴み上げる。その背は堂々と張られ、揺るがぬ意志を語っていた。

「逃げねぇよ。どこにも――」

 振り返らず吐き捨てたその言葉は、月光を背負った影のように凛と響いた。

 

「天井に座すのはお前じゃねぇ。お天道様だ」

 

 彼の眼に燃える炎が映る。

 

「陽のあたらねぇ場所なんざ、この世にゃねぇ。ここにも灯りが灯される時が来たんだ」

 銀時は突き立つ木刀を引き抜き、構えを取った。木刀の切っ先は、闇を断つ一条の光のように鋭く伸びる。

「ガキに夢ひとつ持たせられねぇ、更年期ババアの鎖なんざ――一太刀で終ぇだ」 低く唸るように言葉を重ね、最後に吐き捨てた。

 

「日の出と共に闇に沈みやがれ……クソババア!!」

 

「減らず口をッ!」

 

ベアトリーチェが絶叫し、真紅の刃を顕現させる。

 

「はぁァァァァァッ!」

「ウォォォォ!」

 紅と白が激突した瞬間、轟音と共に大聖堂を強風が駆け抜ける。木々を裂く風よりも鋭い衝撃が壁を震わせ、彩られたステンドグラスが細かく鳴った。

 幾度も火花を散らしながら続く鍔迫り合い。

 

「……なるほど。一撃を受け止めたと」

 

ベアトリーチェの声は冷ややかに響く。

 

「チッ……!」

 

銀時は歯噛みした。だがすぐに眼差しを足元へと移し、機を見て蹴りを放つ。重心を崩させ、その隙を突いて木刀を振り下ろした――

 しかし。

「……何ッ!?」

 刹那、標的の姿が霧散した。 背後から響く声に、銀時の全身が粟立つ。

 

「どこに振り下ろしているのですか?」

 

 反射で後退しざま木刀を一閃。辛うじて刃を受け止めるも、ベアトリーチェの連続突きが奔流の如く襲いかかる。鋭さは蛇の牙、速さは稲妻。銀時は必死に木刀で軌跡を捌き切るが、幾度か掠めた突きが胴や腕を抉り、熱い痛みが走った。

(くそっ……なんて速さだ。こんなの、まともに対応できるわけねぇだろ……!) 

 

銀時は心中で吐き捨てる。

 

(コイツがアリウス自治区を支配してきた“マダム”の力ってわけか……!)

 刃を突き合わせる度に、視界が火花で埋まる。

 

「どうしました?」

 

ベアトリーチェの声は余裕を孕み、静かに響いた。

 

「余裕がなくなってきたようですが……冥土に連れていってあげましょうか?」

「……舐めた口叩いてんじゃねぇよ、あばずれ」

銀時は血を吐くように嗤った。

 

「まだ死なねぇよ。そこにいるガキどもに言ったが……俺はガキに囲まれながら天寿全うして死ぬってな」

 

「バカなことを」

ベアトリーチェは刃を構え直す。

 

「あなたの天寿など、とっくに尽きています。この私に、神に抗ったその時から!」

 瞬間、紅の閃光が奔る。さらに速い突きが空を裂き、銀時へと迫る。 だが――銀時の瞳は、確かな閃きを宿していた。

 刃が迫ると同時に、彼はその軌道へ木刀を沿わせ、衝撃を滑らせながら距離を詰めた。踏み込み一閃――木刀の柄がベアトリーチェの顎を叩き上げる。

「ッ……!」

 その隙に銀時は踵を返し、講堂の出口へと駆け出した。

「ぐっ……逃げるつもりですか! 甘いですよ!」 ベアトリーチェは憤怒の声を響かせる。


 

「この私から逃れられるわけが――」

 言葉が途切れた。

 銀時は入口を過ぎた刹那、立ち止まっていたのだ。 呼吸を整え、肩越しに振り返る。

 

「……甘えのは、テメェだ」

 狭き入口――そこを通るしか近づけぬ一点に敵を誘い込み、待ち構えていた。 突進する紅の影に合わせ、銀時は渾身の力で木刀を振り下ろす。

 ――ドガァァァン!

 直撃と共に、砂煙が爆ぜる。大聖堂を震わす衝撃波が奔り、粉塵が天井高くまで立ち上った。

 

 

「!」

 砂煙が晴れた瞬間、そこに立っていたのは――片腕を失い、血に濡れながらもなお凛として睨み据えるベアトリーチェの姿だった。

 

「す、すごいですね……あのマダムを……!」

 

ヒヨリが言葉を詰まらせる。

 

「ボコボコに……!」

 

ミサキは戦慄に目を見張る。

 

「……あんな強者を相手にしていたなんて……」

 

サオリが低く呻いた。

 

 

 しかし、銀時は眉をひそめる。――まだ“止め”を刺せていない。直感が告げる。終わってはいない、と。木刀を振り上げた、その瞬間――

「がァァァァァ!!」

 絶叫が響き渡り、空気が裂けた。崩れ落ちた天井の向こうから注ぐ紅の月光が、失われたはずの肉体を包み込む。その光に照らされ、ベアトリーチェの身体はぐにゃりと歪み、変質し始めた。

 その足は大地に根を張るようにバシリカへと絡みつき、背からは骨の枝が翼のように広がり、蕾のように閉じていた顔が――紅の輝きと共に、怪異の花弁として開いていく。一枚一枚の花弁に貼り付いた無数の眼が、ぎょろりと動き、全方位を睨み据える。その頭上には血を吸い上げるかのように輝く赤の円環――異形のヘイローが顕現した。

 その姿は、大樹か、大輪の華か。だがただ一つ確かなのは――人の姿を棄てた怪物が、そこに存在しているという事実だった。

 

「……っ、これが……!」

 

「マダムの……本当の姿……!」

 

スクワッドの面々が声を震わせる。

 ベアトリーチェは紅に濡れた片腕を高く掲げ、狂気の咆哮を放った。

 

「よくも……よくもこの私の“神の身体”に傷をつけましたね……!!」

 

 その声は空気を震わせ、圧し潰すかのような重圧が押し寄せる。

 

「世界の滅亡と、創世の権限……そう、破壊と創造の絶対者……! その断片を取り込んだ私は、より崇高なる存在へと近付いたッ!」

 

 紅の瞳が銀時を射抜く。 

 

「もう手加減はなし。この力をもって――あなたに審判を下すッ!」

 

 巨大な腕が天を掴まんと振り上げられ、紅の光が集束していく。

 

「おいおい……近づいたって何にだよ」 

 

銀時は木刀を肩に担ぎ、顔をしかめて呟いた。

 

「鬼か? ちょうど鬼滅の◯今“無限城篇”の映画やってるけどよ、まだ早えだろ。だってギョログロ目ん玉お兄様出てきてねぇもん」

 

 その減らず口は、恐怖に呑まれぬための武装だ。

 

「……いや、その大きさだとガンQだな。円谷プロにでも転職してこいよ。怪獣役なら、モブよりはマシな仕事もらえるぜ」

 

「どこまでも舐めた口をッ!」

 

ベアトリーチェが叫び、振り下ろした瞬間――

 轟音と共に、紅の光線が大地を裂いた。床石が弾け飛び、衝撃が壁を揺さぶる。

 銀時は跳ねるように高く飛び、光線を紙一重で回避した。そのまま、紅く爛れた顔へ木刀を振り下ろす――

 しかし。

 真紅の刃が木刀を迎え撃った。ミシッ……ガラガラッ!次の瞬間、木刀が粉々に砕け散る。

 

「「「!!」」」

 

スクワッド全員が絶叫した。銀時の得物が――砕かれた。

 だが銀時は動揺を見せない。砕け散った木刀の欠片を掴み、そのまま逆手に突き出す。


 

 が――眼前に迫る巨大な影。切り落としたはずの片腕が、すでに銀時の頭を掴んでいた。

 

『コイツ……腕が再生してやがる!』

 

反応する間もなく、その手が銀時の頭蓋をわし掴みにする。

 

「ぐぉぉぉぉ!!」

 轟音と共に壁が砕け、銀時の身体が叩きつけられた。粉塵が舞い上がり、石片が飛び散る。
 ベアトリーチェは壁にめり込む銀時を握り潰さんと、圧力を強めていった――。

 

 

「……あ、ああ……」ヒヨリの震える声が漏れ、サオリは思わず叫んだ。「先生!」

 だがベアトリーチェは彼女たちに視線すら向けず、片手で銀時の頭を鷲掴みにしたまま、愉悦に満ちた微笑を浮かべた。

 

「ふふふ……私をここまで追い詰めるとは。なかなかの腕前でしたね。しかし――神の前では、無力であることに変わりはないのです」

 ギリ、ギリリ……。握力が強まり、銀時の頭蓋がきしむ音が響いた。

 

「ぐァァァァァ……!」銀時の呻きが、床に響く。

 

「所詮、この世は弱肉強食。力ある者が、力無き者を蹂躙する。それが必定……」ベアトリーチェの言葉は鋼鉄の刃のように冷ややかだった。

 さらに彼女は銀時の耳元に囁き落とす。

 

「とっくの昔に、あなたは自らの師……育ての親を、この手で斬り捨てたとか」

 その一言に、サオリたちは目を見開く。――銀時が、師を。育ての親を。あの飄々とした男が、そんな重い過去を背負っていたというのか。

「結局、あなたたち侍は何一つ守れず、無様に散った。分かりますか?」「敗者(まけいぬ)は敗者(まけいぬ)らしく……ただ指をくわえて見ていれば良いのです! あなたの生徒が、仲間が――我ら強者に蹂躙される様を!」

 

 銀時の呼吸が荒くなる。「ぐっ……!」

 

 

「もう飽きました。弱者に付き合うのはここまで。あの世で待ちなさい。……安心しなさい、すぐに逢えますから――あなたの生徒や仲間と共に」ニヤリと不気味に笑うベアトリーチェ。

 ――次の瞬間。

 血飛沫が弧を描いた。「なっ……!?」

 ベアトリーチェの身体を、折れた木刀の切っ先が貫いていた。銀時の瞳は、まだ決して死んではいなかった。

 

「……負け犬だと? 無惨に散っただぁ……?」 血を吐きながらも、声は鋭く強い。

「俺のことをどう言おうが勝手だ。コケにしようが、馬鹿にしようが構わねぇ……」 銀時の目が爛々と燃える。「だがな――“アイツら”を……先生を、馬鹿にするんじゃねぇよ!!」

 

「」

 その一撃と共に銀時はベアトリーチェを蹴り飛ばし、異形の身体が轟音と共に吹き飛ぶ。

「先生!!」サオリたちの叫び声が屋敷を揺らす。

 彼女たちは助けに駆け出そうとした。だが、銀時の怒声がそれを遮った。「来るなッ!」

「……何をしてやがる。テメェらはあの姫さんを連れて逃げやがれ……」

 壁にめり込んだまま、血に濡れながらも、銀時は振り絞るように言う。

「……さっさと遠くへ逃げんだよ」

 

「先生、それは無理だ!」サオリが叫ぶ。

 

「置いて逃げるなんて出来ない! 我々の用事に巻き込んでおいて、そんな真似は出来ない!」

 

「巻き込んだ? 冗談よせよ……勝手に首突っ込んだの間違いだろうが……。行け お前らに何かあったら……俺ァ顔向けできねぇんだよ」

 しかし、彼女たちは一歩も引かない。

 

「テメェらは……」 銀時の目が揺らぐ。

 

 ヒヨリが、涙声で言った。「……いやなものは、いやなんです!」

 

「わ、私たちは先生について何も知りません。何も知らないまま……“楽に生きてきた”なんて……上から目線で、襲いました」

 

 ミサキも苦渋をにじませる声で続ける。「……確かに、アンタと一緒にいると気が狂いそうだった。調子を合わせるのも大変で。でも……嫌な気分にはならなかった。アンタが、ちゃんと気にかけてくれたことに気づいたから。調子を合わせるのが大変だけど」

 

 サオリが声を震わせ、必死に言葉を紡いだ。

 

「……先生、私たちは何も返せていない。なのに先生は命を狙った私たちを疑いもせず、姫を救うために力を貸してくれた……希望を与えてくれた……!」

 

「奪おうとした私たちに、先生は与えてくれた。それなのに……“何も返させずに置いて行け”なんて……そんなこと、誰も望んでない! 姫も、望んでいないはずだ!」

 

 彼女の必死の訴えに、血に塗れた銀時はしばし沈黙した。 そして、静かに笑う。

 

「……そいつが聞けただけで、俺ァもう充分だよ」「だから……行け。俺を、負け犬にさせねぇでくれよ……」

 その瞬間。

 ベアトリーチェの手に、紅の刀が生成された。 血に濡れた唇が歪む。

 

 銀時の胸を貫く鋭刃。右胸に突き立てられた刃から、血飛沫が噴き上がり、宙を舞った。

「先生!!!」

 

ベアトリーチェは勝ち誇ったように瞳を細める。

 

「あなたの心臓が右側にあることは、あの一件で知っています。これで命運は尽きた」

 

 

砕けた壁の中、銀時の身体から血が垂れ落ちる。 静寂――その中で、勝ち誇ったベアトリーチェの声だけが残響した。

「あなたたちの信じた“先生”など、この程度。所詮、折れた木刀と同じ……脆く、無力な剣だったのです」

 少女たちは声を失い、ただ呆然と立ち尽くした。

 

「さて、邪魔者がいなくなった後は大掃除と行きましょうかね……」

 

ベアトリーチェは複数の刀を生成し、サオリたちに迫る。

 

銀時の意識は、闇へと沈んでいく。

(……動け。動け……頼む、動いてくれ……)

 必死の叫びは声にならず、ただ意識の奥で反響する。

その瞬間、銀時の意識はぷつりと途切れ、暗黒の底へと引きずり込まれていった。

ーーーーーーー

 

「銀時、銀時、早く起きてくれたまえよ銀時、」

 

 聞き慣れた声が、暗闇を縫うように届く。 目を開けると、そこは何度も夢で訪れた懐かしき場所――村下村塾。 夕暮れ色に染まる木造の教室、机と椅子が整然と並び、柔らかな風が障子を揺らしている。

 その中央に立っていたのは、何度も夢で見てきた顔。 百合園セイア。

「セイア、つーことは俺ぁまた夢の中に迷い込んだわけか……」

 

「ああそうだ。でも今回主に用があるのは私じゃなくてね。」

 そう告げた瞬間、背後から懐かしい声が響く。

 

「銀時、また寝坊していたんですか……全く、いつになってもその癖は変わらないようだ。」

 

 銀時の心臓が跳ねる。振り返った先――そこに立っていたのは、己が生涯を変えた師。

 

「しょ、松陽……先生。」

 銀時の喉から、声が漏れる。 長い夢の果てにようやく触れられたその姿に、胸が締め付けられるようだった。

 

「先生がいるつーことは俺ぁアイツにやられたってことか……」

血の記憶を振り返り、銀時は俯く。

 

「先生、俺ぁ初めて先生なんざやったが上出来だったか?」

 

「先生みたくアイツらを上手く導き天寿を全う出来たかよ……」

 

 沈黙が落ちる。セイアは黙って銀時を見つめ、言葉を探すように眉を寄せた。

 

「銀時……」

 

 だが、その静寂を破ったのは松陽だった。

 

「おや? おかしいなことを言うんですね……誰が君が死んだと言ったんですか?」

 

「は? だってアンタがいるってことはここはーー」

 

「その理屈だと君は訪れた回数だけ死んだことに、セイアも死んだことになりますよ。」

 

 松陽は穏やかに微笑み、しかし真剣な眼差しを向けた。

 

「銀時、ここは夢と近い関係にある精神世界。君はまだ死んでいない。」

 

 銀時は肩の力を抜き、かすかに笑みをこぼす。

 

「………」

 だがすぐに松陽は視線を鋭くした。

 

「銀時、先ほど私に先生として上手くやれたか?と聞きましたね」

 

「そんなの私にも分かりません……先生というのはいつも試行錯誤して生徒に教えを説くもの。」

 

「何が正解で、何が誤っているかなんて簡単な問いではないんですよ」

「そうか……」

 

銀時は呟き、視線を落とした。

 

 しかし、松陽はそこで首を横に振る。

 

「しかし、銀時君の先生としての役目は終わっていないことは確かです。」

 

「銀時、後ろを見てください。」

 

 振り返った銀時の瞳に飛び込んできたのは――彼が出会い、導いてきた数多の生徒たちの姿。笑顔、涙、祈り。その全てが銀時の胸を刺すように迫った。

 

「銀時、彼女たちは先生としての君に助けられ、そしてまだ先生として君にいてほしいと思っている。」

 

 銀時は拳を握り、言葉を詰まらせる。

 

「君を置いて先に逝った私が言える口ではありませんが……そんな彼女たちを置いて、天寿を全うしたなんていうつもりですか?」

 

「銀時、君の剣はそんなもので折れるほど脆いものだったんですか?」

 その問いかけに、銀時は震えた唇を噛み、やがて力強く吐き捨てる。

「…………」

 

「んなわけねぇだろ………」

 

「俺の剣は折れちゃいねぇ……俺の剣はーー」

 

 ぎらりと光る眼差し。

 

「折れはしねぇ!」

 

 その表情を見て、松陽はふっと笑った。

 

「ふっ……ようやくらしい顔になりましたね。ではここにて授業を一つ」

 

「え、今やんの?」

 

「君のような若者が天寿を全うしただなんてーー」

 

松陽は拳を振り上げる。

 

「百年早い」

 

 ゴンッ!

「ウォォォォ!!」

 

 銀時はゲンコツを食らい、視界がぐらりと揺れ、足元から世界が崩れていく。 意識が再び現実へと引き戻されていく感覚。

 

「銀時、私に負けないような先生になってくださいね。」

 

 遠ざかる声に、銀時はにやりと笑った。

 

「へっ、上等だぁ……言われなくても超えてやてやるぜコノヤロ!!」

 

 その叫びを残し、銀時は落下する光の中へと身を投じた――。

ーーーーーーーーーー

 その頃、大聖堂の外。殿を務める神楽たちは、数を増し続ける不死の聖徒会に追い詰められていた。

 覚悟の傘が火を噴き、銃弾が次々と敵を貫き、吹き飛ばす。だが、それすらも焼け石に水だった。倒れた聖徒はすぐさま立ち上がり、死人の群れのように呻きながら再び迫ってくる。

「チッ、キリがないネ!」神楽が歯噛みし、弾の切れた機関銃の傘を振る

「神楽ちゃん!」 新八の声が覚悟に背を預けて問う。背後の壁を打ち破らんばかりに群れが迫る。追い討ちをかけるように、冷たい影が彼らを包囲していた。

 ーーーーーーーー

 同じ頃、大聖堂の内部。血塗られた床を踏みしめながら、ベアトリーチェが紅の刃を掲げ、サオリたちにじりじりと迫る。

 その一歩ごとに、空気がねじ曲がるような重圧が押し寄せる。
 少女たちはそれぞれの愛銃を構えるが圧倒的力の前に、息が喉で詰まった。

 だが、その時――

 ーーーーーー

 外で轟音が響き渡った。聖徒たちの列が突如爆風に呑まれ、悲鳴を上げながら吹き飛ぶ。瓦礫と煙の中、低く響く声が夜を割った。

「すいません、こんな夜遅くに何やってるのかな?」

 その声に、神楽と新八は振り返る。

 瓦礫の向こうから歩み出てきたのは――近藤勲。その背後には、整然と並んだ真選組の隊士たちがずらりと列を成していた。

 月光を浴び、鉄の規律で固められた彼らの影が、不死の群れを一瞬で押し返していく。

 ーーーーーーーーーー

 一方、大聖堂の奥。 紅の光に包まれたベアトリーチェの前に、冷ややかな声が落ちた。

「ここに生徒誘拐の容疑者がいると聞いたんですが……免許証、または身分証を見せてもらえますか?」

 その声の主――佐々木異三郎が、ゲヘナでの会議で殿を務めたはずのエリートが紅に染まる聖堂の中央に姿を現した。その冷酷な眼差しは、一切の冗談を許さぬ裁きの色を帯びていた。

 ーーーーーーー

「こんばんは」 外では近藤が一歩踏み出す。整列した真選組の隊士たちが一斉に抜刀またはバズーカーを構える、鉄の響きが夜を震わせた。

 ーーーーー

 佐々木はベアトリーチェの前で、片手を軽く上げる。「お巡りさんです」

 次の瞬間、真紅の光に対抗するかのように、銃口がベアトリーチェへと向けられた。冷たい銃口が、魔の存在を射抜こうとしていた。

 




次回 火種もってして曙光をもたらさん

絶対絶命の状況下で助太刀に入った真選組!!見廻組!!

たった6人で始めた神降ろし

いよいよ次回クライマックス!!

あの男もついに!

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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