透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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澄んでだ瞳が 呼び醒ます
忘れかけてた 正義感 正義感
酸いも甘いも しゃぶり尽くす
今日のテーマは 勧善懲悪さ

散文的な 口ぶりで
やたら嘯く エイリアン エイリアン
のらりくらりと 罪深き
桃源郷に グッドバイしたんならば

理想に 忠実な
uh 希望は まだ 捨ててはいけないさ

シーソーゲームは 続いてく
そうそう ぼくらも譲れない
真剣勝負に 病み付きで
もうどうしたって やめられ ないやいや

運命論なんて
ぜんぜん関係ない
一所懸命だ だ だ

“Sing the fight song, la la la, sing the fight song.
I just wanna listen to your singing out.
na na na na na na na…”

“何でもあり”の 世の中で
研ぎ澄ますのは 審美眼 審美眼
本音・建前 焼き尽くす
感じたままに 勧善懲悪さ

厚顔無恥な スタイルで
未だ蔓延る エイリアン エイリアン
かつて夢見た 美しき
桃源郷を ゲットバックしたいならば

理想に 忠実な
uh 希望は まだ 捨ててはいけないさ

シーソーゲームの 行く末は
そうそう ぼくにもわからない
真剣勝負の 暁は
もうどうしたって 勝つしか ないやいや

シーソーゲームは 続いてく
そうそう ぼくらも譲れない
真剣勝負に 病み付きで
もうどうしたって やめられ ないやいや

運命論なんて
ぜんぜん関係ない
一所懸命だ !だ! だ!





季節の変わり目は大変だ
第百二十訓 クラフトチェンバーで望んだ家具が来たことほとんどない


ある日の朝。

シャーレの部室では、エデン条約で山のように積み上がった仕事を、銀時たちが嫌々ながら処理していた。

しかし、沈黙は長く続かなかった。

銀時が突然、机に額を打ちつけるようにして叫んだ。

「バァァァァァァ!!もうだめだ!!」

その声は、まるで処刑場に引きずり出された罪人の断末魔のようで、空気を一瞬にして台無しにする。

彼は椅子をぎぃ、と傾けながら、伸ばした指でリモコンをつかむ。

「テレビ見よ」

カチッと音を立て、画面が点く。部室の薄暗さを振り払うように、朝の天気予報が流れ出した。

「ちょっと!!やり始めてまだ30分も経ってないじゃないですか!」

書類を抱えていた新八が、額に青筋を浮かべながら鋭く指摘する。

銀時は気にも留めず、画面に映る美しい女性に身を乗り出した。

「おっ、やっぱキヴォトス放送局より百鬼夜行のやつに限るわ〜。だって結野アナが出てんだもーん」

画面の中で、清らかな声が響く。

『今日の天気は午前午後ともに晴れの模様です』

銀時は両手を胸に当て、恋する少年のようにため息をもらす。

「ああ結野アナ……俺のあなたに対する思いも、いつも晴れ模様だよ〜」

即座に新八の冷ややかな声が飛ぶ。

「僕たちの銀さんに対する今の評価は雨模様ですよ」

神楽が頬を膨らませ、ソファに寝転がりながら吐き捨てる。

「ったく、男って奴はーー嫌なことがあったらすぐに幻想に逃げ出す。そんなんだからいつまでも独身なんだヨ」

「オメーに言われたくねぇんだよドカ食い無職居候娘!!」

新八と銀時が同時に怒鳴り、部室に雷鳴のような言葉が響く。

新八は大きくため息をつき、手に持ったペンを机に置いた。

「はぁ……別にいいです。昔とあんまり変わりませんから。ところで銀さん、あの折れた木刀の代わり、見つかったんですか?」

そう、あのベアトリーチェとの死闘で、銀時の愛刀は無惨に折れてしまっていた。

「いいや」

銀時は気のない返事をしながら、欠けた天井をぼんやりと見上げる。

「大丈夫なんですか? 銀さん、アレがないと戦えないでしょ?」

「とは言ってもなぁ〜。キヴォトス産のは質が悪りぃんだよ」

彼は机に散らばった書類を足で押しのけるようにして続ける。

「銃に当たったら砕けるわ、生徒のツッコミで壊されるわで全然ダメ。もういっそのことアロナとケイに憑依してもらった状態で使おうかなぁって思ってるとこよ」

すると、部室の片隅に置かれたシッテムの箱(iPad)が、青白い光を放ちながら震えた。

アロナの声が飛び出す。

『先生!それは困ります!!先生は知らないでしょうけど、アレ結構痛かったんですよ!!』

場の空気が一瞬で凍り、銀時の脳裏には戦場の光景が蘇る。

ーー回想ーー

ベアトリーチェに向かって木刀を振り下ろす銀時。

その刃に宿るアロナの声は、怯えと苦痛に満ちていた。

『痛い!怖い!痛い!やっぱりこわっ!』

『痛い!!!』

ーー回想終わりーー

『この苦しみが先生に分かりますか!?』

銀時は、めんどくさそうに答える。

「しらねぇよ。逆にお前、俺たち先生がガチャ引いた時に紫が出なかった時の気持ち、紫封筒から被りキャラ、またはすり抜けた時の気持ちが分かりますか〜?」

彼は指を天井に向けて突き上げる。

「こいつは今までの先生にしてきた行いに対する罰だ。潔く受け入れやがれ」

『仕方ないじゃないですか!?そうでもしないと先生たちが大人カード切ってくれないんですから!!』

神楽がちゃぶ台をドンと叩き、胸を張った。

「そうアル!私たち女が無償石で手に入るほど安い女だと思うなヨ!!」

新八が絶叫する。

「オイィィィィ!!小説内で現実の怨みについて語るなって言ってるでしょうがァァァァァ!!」

部室には、仕事の気配よりも漫才じみた喧騒だけが残っていた。

部室の空気は、沈んだかと思えばすぐに漫才のような騒がしさに包まれる。

神楽が頬を膨らませ、ソファの背もたれに腕をかけながら問いかけた。

「とはいえどーするアルか。アロナもダメ、買うのもダメ、だったら他に何があるネ」

銀時は机にだらりと頬杖をつき、うんざりした顔のまま視線をシッテムの箱へと投げる。

「アロナ……やっぱりお前しかーー」

『だから嫌だって言ってるじゃないですか!?』

箱から飛び出す少女の声が、部室の壁に反響した。

「いやいや、嫌とかそういう感情論はいいから……」

銀時は仕方なそうな表情を浮かべながら呟く。

「これからお前は、全世界数千万のキモトスの先生の怨みを背負って生きていくんだよ」

そしてわざとらしく芝居がかった口調で続ける。

「エデン条約の最後でも言っただろ?『テメェらがどんな償いをするかは、テメェ自身で決めるこったな』って」

『それ! サオリさんたちに向けて言ったエール!!』

アロナは半ば悲鳴に近い声をあげた。

『先生、ただ単に私をしばき倒したいだけじゃないですか!!』

銀時は両手を広げて肩をすくめる。

「いいや、そんなことねぇよ」

だが、口元の笑みは明らかに嘘を物語っていた。

「でも武器がねぇんじゃ、この無法地帯で生きていくなんて無理だろ?」

『……っ! そんな先生に朗報です!』

アロナの声が一転し、まるでテレビショッピングの司会者のように張り切った調子へと変わる。

『なんと、その折れた木刀を修理する施設が地下にあるんですよ!』

彼女の台詞に合わせるように、シッテムの箱からパチパチパチパチと乾いた拍手音が流れ出した。

銀時は舌打ちを響かせる。

「チッ!」

『やっぱりただしばき倒したいだけですよね!?』

新八が慌てて会話に割って入った。

「で、その施設ってのはなんなんですか?」

アロナは誇らしげに言葉を放つ。

『それは――「シッテムの箱」の管理者、つまり先生だけが接続・操作できる、ありとあらゆる部室を生成する機械ーー』

彼女の声が部屋いっぱいに広がり、緊張感を煽るように一拍置かれる。

『クラフトチェンバーです!!!!!!』

部室の空気が一瞬張り詰めた。

まるで舞台の幕が上がる直前のように。

アロナの案内に導かれ、銀時たちはシャーレの奥深くへと潜っていった。

薄暗い石造りの階段を下りきると、そこには人の手では到底造り得ぬ、奇妙な空間が広がっていた。

部屋の中央に鎮座するのは、漆黒のブロックのような物体。

下部はまるで何かに噛み砕かれたかのように欠けているが、不思議なことに、その欠片は宙に浮かび、欠けた部分と噛み合うようにゆらゆらと揺れていた。

それは異質でありながら、どこか神聖な雰囲気すら漂わせていた。

銀時は首をかしげ、半眼でその物体を見つめる。

「で、こいつがなんだっけ……マイク◯?」

「銀さんそれ、別ゲーです。クラフト違いです!」

すかさず新八がツッコミを入れる。

アロナの声がシッテムの箱から響いた。

『これは、今も居場所が分からないという連邦生徒会長が残した遺物です。先ほど説明した通り――ありとあらゆるものを生成できるオーパーツ、クラフトチェンバーです』

「だからソレ、マイクーー」

神楽が肩をすくめ、呆れ顔でぼやくが、新八がすぐに制止する。

「アロナちゃん、始めましょう。このままだと色々ヤバイです」

『そ、そうですね……』

アロナが一つ咳払いをする。

『ではまず使い方から。目の前の物体の前に何か物質を置いてください。今回は木刀を直すので、その折れた木刀を置いてくれればOKです』

「ふーん、これでいいわけ?」

銀時は懐から折れた木刀を取り出し、黒いブロックの前へそっと置いた。

『そうです。そして――イメージするんです。出来上がりの姿を。』

アロナの声が少し厳かになる。

『イメージが鮮明であればあるほど、より精巧なものになりますからね』

銀時は木刀を見下ろし、眉をひそめた。

脳裏に浮かぶのは、何度も共に戦場を駆け抜けた相棒の姿。

汗と血にまみれながらも、その手に確かに残っていた感触。

――折れた木刀ではない。あの日々を支えた、あの「最強の木刀」の姿だ。

その瞬間、地下室全体が眩い光に包まれた。

浮遊する黒い欠片が音もなく回転し、光の帯を放ちながら折れた木刀を飲み込んでいく。

まるで時を巻き戻すかのように、折れ目が溶け合い、欠けた部分が埋め合わされていった。

「……!」

銀時は思わず目を細める。新八も神楽も言葉を失い、ただ光景を見守っていた。

やがて光が静かに収束し、部屋に再び闇が戻る。

そこに残されていたのは――

元の姿を取り戻した、一本の木刀。

あの戦いの中で折れたはずの相棒は、何事もなかったかのように、ただそこに凛と立っていた。

 光が収まった瞬間、沈黙を破ったのは新八の叫びだった。

「おぉぉぉ!!」

 その目は子供のように輝き、復活した木刀を食い入るように見つめている。

「マジでか!マジでクラフト出来ちゃったアルか!!」

 神楽までも感嘆の声をあげ、地下室に明るさが広がった。

 アロナは胸を張るように得意げに笑みを浮かべた。

『ふふん!どうですか!? たまには私も役に立つんですよ』

 新八が満足そうに頷き、銀時に向き直る。

「良かったですね。銀さん、これで木刀元通りに――」

「これじゃねぇ!!!!」

 その怒号に、新八とアロナの声が重なる。

「「えぇぇぇぇぇぇ!!!!!?」」

 アロナが慌てふためき、必死に画面越しに弁解する。

『せ、先生!どこが違うんですか!? 私には元通りに見えるんですけど!?』

 しかし銀時は血走った目で首を横に振り、口角を引きつらせながら吠えた。

「違う、違う! 俺が欲しいやつは――」

 その瞬間、銀時の目に異様な光が宿る。

「刀身から水や炎、風が吹き荒れて、鬼を倒せる……そんな刀が欲しかったんだァァァァ!!!」

「ただの日◯刀じゃねぇかァァァ!!?」

 新八の悲鳴じみたツッコミが地下に響き渡る。

「何やってんですかアンタは! ここには鬼も呼吸もないんだよ!! どんだけ鬼滅に乗っかるつもりだ!!」

 堪えきれず、新八は銀時を蹴り飛ばした。

 壁に叩きつけられた銀時は白目をむいたまま、ゆらりと立ち上がる。その手には、いつの間にか数珠。

 そう――彼が真似し始めたのは、『鬼滅の刃』の悲鳴嶼行冥。声優繋がりをこれ見よがしに披露する、銀時流のしょうもない芸だった。

「可哀想に……鬼滅に出られず、波に乗り遅れたメガネ……南無阿弥陀仏……」

 神楽もまた、銀時に倣って白目をむき、手を合わせる。

「あああ……童貞に取り憑かれているのだ……早くこの哀れなメガネを、加藤の鷹に解き放ってあげよう……」

 新八は両手を震わせ、顔を真っ赤に染めて叫んだ。

「悪いのか!? 鬼滅に出てないことがそんなに悪いのか!! 鬼滅スパイどもォォォォ!!!」

 地下室に木刀の復活を祝う空気はもはやなく、残されたのは――声優ネタと理不尽な嘲笑に翻弄される、哀れなメガネの断末魔だけだった。

新八の眼鏡がギラリと光った。

 場の空気が凍りつく。新八の背筋を冷たい汗が伝い落ちる。

 銀時が何を言い出すのか――彼らは知るよしもなかった。ろくでもない未来が、また一つ開かれる瞬間を。

 

新八の眼鏡がギラリと光った。

「もういいです! 銀さんたちのようなくだらないことに使う人に対して、僕が示しをつけます!」

 その気迫に、神楽と銀時は一瞬だけ息を呑む。しかし次に飛び出した言葉は――

「あの……このお通ちゃんの新アルバム『今時のガキは引越し代行』を立体ビデオ版で作ることって……出来ますか?」

 部室に沈黙が落ちた。空気が固まり、銀時の口元がひくりと痙攣する。

「……テメェも人のこと言えねぇぐらいくだらねぇことしようとしてんじゃねぇか!!!」

 銀時の怒号に、神楽も容赦なく追撃する。

「メガネはメガネでもキモメガネアルか!! お前が3Dになってろネ!!」

 新八は机を叩き立ち上がる。頬は赤く、額には汗が滲んでいた。

「別にいいでしょう! 銀さんは鬼滅の波に乗っかって、どうせ神楽ちゃんは酢昆布10年分……僕だって欲望を曝け出しても文句ないじゃないですか!!」

 神楽は冷ややかな目で新八を見下ろし、口の端を歪めて笑う。

「お前が新八だからダメなんだヨ。新八がツッコミ捨ててアイドルに手を出した時、それはただのキモオタク。汗かきながらデュフデュフ言ってるマダオの完成アル」

「おいィィィィ!! オタクを社会のゴミみたいに扱うんじゃねえェェェ!!!」

 新八の声は、どこか悲鳴じみていた。必死の抵抗も虚しく、その姿はすでに“完成品”に近づいているように見える。

 そんな二人を尻目に、銀時は腕を組み、ゆっくりと目を細めた。

「……いや、待て。なんでも作れる。3D……オタク……」

 その瞳に閃光が走る。

「ハッ……思いついたぞ!」

 場の空気が凍りつく。新八の背筋を冷たい汗が伝い落ちる。

 銀時が何を言い出すのか――彼らは知っている。ろくでもない未来が、また一つ開かれる瞬間を。

 

神楽がアロナに向かって手を合わせる。

「今度は私の番ネ、アロナちゃん……私は酢昆布ーー」

 その真剣すぎる声に、クラフトチェンバーは不釣り合いなほど神々しく光を放つ。

 だがその脇で、銀時と新八はこそこそと顔を寄せ合っていた。

「なぁ新八、さっきお前……お通ちゃんが3Dで歌ってくれるやつをクラフトしようとしてたよな?」

「そうですよ。……結局、銀さんたちに止められましたけどね」

 銀時はニヤリと笑い、わざとらしく声を潜める。

「まぁそういうなって。銀さんがもっとすげぇアイディアを思いついたんだから、それを聞いてからでもいいだろ?」

「……で、どんなアイデアなんですか?」

 新八は身を乗り出す。銀時は芝居がかった溜めを作ってから、ゆっくりと告げた。

「お前さぁ、3Dで歌ってるだけなんてもったいねぇだろ」

 新八の眉がぴくりと跳ね上がる。

「ど、どういうことですか!? お通ちゃんの生ライブがオワコンだとでも!? たとえお通ちゃんが下ネタばっかり扱ってる汚いアイドルで、自身の歌のセンスが残念でも……“勿体ない”は言いすぎです!!」

「……いや、そこまで言ってねぇし。つーか今めちゃくちゃ貶してたよなお前?」

 銀時は半眼で睨むが、すぐに口角を吊り上げる。

「俺が言ってんのは歌だけに縛るのは勿体ねぇって話だよ」

「え……それって?」

 銀時は人差し指を天に突き上げた。

「そう! あれが連邦生徒会長の残したオーパーツだとしたら、人一人作るぐらい余裕なんじゃねぇか? つまり――一人に一人リアル推しがついてくる夢の世界を作れるんじゃねぇかって話よ!」

 銀時の目がギラつく。新八の心臓がドクンと跳ねた。

「……お前は永遠にお通ちゃんのおっ◯いをもみ続ける権利を得られるんだ」

「どんな活路見出してんだァァァ!!!」

 銀時は肩を組み、親友に語りかけるように熱弁を続ける。

「安心しろ〜新八。セクハラなんてものは、この世界じゃボケにしてしまえばほぼ合法。心配すんのは――三万回おっ◯いもみ続けてからでいいんだ」

「三万回おっ◯いもみ続けてる時点で心配しかねぇだろ!! おっ◯い取れるわ!!」

 新八は両手で顔を覆いながらも――メガネがギラリと光った。

「……三千回ぐらいにしときます!」

銀時の瞳に、さらに邪悪な光が宿る。

「よし! 俺は結野アナの尻の穴にーー!!」

「ランデブーだァァァァァ!!!」

 二人の絶叫が地下に響き渡った。

 ――その瞬間、クラフトチェンバーが不穏に光を強めたのを、神楽とアロナだけが察知していた。

 

神楽が歓喜の声を上げた。

「やったアル!本当に酢昆布たくさんネ!」

 机の上には山のように積まれた酢昆布。彼女は宝物を抱きしめる子供のように目を輝かせている。

 だが、その隣でアロナは冷や汗を垂らしていた。

『アハハ……そ、そうですね……あれ? なんか、とんでもない勢いで何かが――』

「ウォォォォ!!!!」

銀時と新八の咆哮が、地下室の空気を震わせた。

『うわぁ! 一体何ですか!!』

「どけぇぇ!!」銀時が目を血走らせて叫ぶ。

「これから俺たちは推しのクローンを生成するんだよ! 推しとの新世界にランデブーするんだよ!!」

「どいてください!」新八も必死だ。

「僕にはお通クローンとの新生活が待ってるんです!!」

 アロナは青ざめて手を振った。

『ま、待ってください! クローンの方はまだ――』

 ピカァァァァァァァァン!!

 地下を貫くほどの閃光。

 爆ぜるような音とともにクラフトチェンバーが唸りを上げた。

 煙が晴れる。

 そこに立っていたのは――二人の「推し」ではなかった。

「どうも、人造機動戦士ケツノとーー」

「同じく、人造機動戦士オツウだっふんだ」

「「デス」」

 ドリルとペンチをそれぞれ腕に装備し、ガン◯ムのような装甲に包まれた二体の人造アイドル。

 新八と銀時の脳内に、雷鳴が直撃したかのような衝撃が走った。

「「かーーーーーー!!!!!」」

「おい! ちょっと待て!!」銀時は髪を逆立てて絶叫する。

「これのどこが結野アナ!? ちゃんと想像したよ! 素晴らしいくらいの造形で想像したんだよ俺は!!」

「人造機動戦士って何なんですか!?」新八も喉を潰さんばかりに叫ぶ。

「色々混ぜすぎなんですよ!! 原型なんて“語尾にお通語”が残ってるとこだけなんですけど!!!!」

 アロナは肩を竦め、乾いた笑みを浮かべた。

『あーあ、だから言ったのに……。いくらクラフトチェンバーでも、実在する人物をそのままクローン製造することは不可能なんです。だから彼らの記憶にある要素を勝手に組み合わせて――その結果が、この二人というわけで』

「殺意が高すぎるんだよォォォ!!!」

銀時と新八は同時に地を蹴り、壁に張り付いた。

「返品とか出来ないのかよ!? 今すぐ土に返してあげられねぇの!?」

銀時の叫びに、アロナは無情に首を振る。

『無理ですね。無理にでもやろうとすれば――夜になった時、緑色の化け物が“バァ……ア……ァァ!!”なんて言いながら襲いかかってきます』

「なんでそこだけマイ◯ラのゾンビ!?」

 するとケツノが、ドリルを光らせながら一歩前に出る。

「そういえば坂田さん。尻の穴でランデブーすると言ってましたね?」

「いや、その……勘違いというか……その……」

銀時はじりじりと後ずさる。

 続けてオツウがペンチをカチリと鳴らした。

「三千回揉みたい、と言ってましたねねんねんころりのキンタマ」

「いやぁ〜肩が凝ってから……そういうマッサージでぇぇぇ!!」新八の声は裏返っていた。

「勘違い?」ケツノの目が赤く光る。

「夫婦の間に勘違いなどありません」

「望みがあるなら叶えてあげるのがアイドルの務め」オツウも同じく輝く。

「やるからには半端な仕事は嫌ですから――カラミイラノオソウシキ」

 そして、二体は両腕を掲げた。

「「ではイキマス!!!!!」」

「「ギャァァァァァァ!!!!!!」」

 銀時と新八の断末魔が、地下室に木霊した。

その夜――キヴォトスの街を、不気味な報道が駆け抜けた。

『速報です! 市街地にて、全身がブロックで構成された“緑色のゾンビ”が徘徊しているのが目撃されました!』

 画面には、ガタガタと音を立てながら徘徊する銀時の姿が映る。顔は完全に四角形、口元だけが異様にリアルに「ウボォォ……」と呻いていた。

『さらにもう一件! こちらは“ブロックスケルトン”。メガネをかけ、弓を持ち、時折「アイドルは清楚だァァァ!」と叫びながら矢を乱射している模様です!』

 映像に切り替わったのは、矢筒を背負ったスケルトンの新八。カクカクとした動きで夜道を徘徊し、通りがかった車の窓に「お通ちゃんLOVE」と刻んでいる。

 テレビの前。

 神楽は口に酢昆布を詰め込みながら、じと目で画面を見た。

 隣でアロナは顔を両手で覆い、肩を震わせていた。

 報道画面には、なおも銀時と新八が夜の街でカクカク暴れ回る映像が映し出される。

 そしてナレーションが冷たく告げた。

『市民の皆様は、夜間の外出を控え、ブロック状の人物を見かけても決して近づかないようお願いいたします』

 神楽はテレビを指差し、酢昆布を噛み砕いた。

「うん、やっぱり二人とも……社会のエネーミーアル」

 アロナは涙目で、しかし必死に笑いを堪えながら頷いた。

『ごもっともです……』

 その夜、街の片隅には「ブロックゾンビ銀時」と「ブロックスケルトン新八」の影が、月明かりに照らされながら不気味に揺れていた――。

 




次回予告 

次回、ついにやって来ました。みなさんお待ちかねの――
水着回!!
アビドスにゲヘナ、トリニティーの面々が、真夏の海ではしゃぎまくる!!
お前ら普段どんだけ戦闘してんだよってぐらいテンション爆上がりで、砂浜はもはや戦場。
水しぶきが飛ぶたびに、視聴者の下半身も危険信号点滅中!!
しかし……。
その楽園に、突如現れる新たなマダオ。
そしてこの回で不憫な扱いになるのはーーー
あの御方に他ならなかった。
そう、この物語においてもっとも尊く神とでも呼ぶべき存在。
彼が現れる時、海は荒れ、女の子たちの視線は一瞬で砂粒より冷たくなる!!
銀魂における「サービスシーン」は決して皆さんが期待する爽やかな水着美女ではありません。
サービスされるのは、作者の性癖と、制作時の悪ノリと、読者の寿命です。
というわけで――
一部シーンを特別公開。
果たしてみなさんの心に残るのは、
太陽の眩しさか、それともマダオか!?
では


アビドスの寮の一室。
窓から射し込む午後の陽射しは、夏の名残を惜しむように床を橙色に染めていた。
ノノミはスマホを握りしめ、画面を見つめながら小さく息をつく。
「……銀ちゃんから連絡、ありませんね。」
その声音には、期待と不安とが入り混じった淡い翳りがあった。
対照的に、セリカはじっとしていられない。机に肘を叩きつけ、椅子をきぃと鳴らして立ち上がった。
「もう!あと少しで今年、海に入れる時期が過ぎるじゃない!!」
夏という祭りが終わりかけていることへの苛立ちが、彼女の声をより鋭くした。
一方で、ソファに横たわるホシノは――
「うへぇ〜……」
寝息とも寝言ともつかぬ声を漏らしながら、枕を抱いて微動だにしない。
夏の終わりも、友の焦りも、まるで自分とは無縁の夢の中に逃がしてしまっているようだった。
そんな空気を宥めるように、アヤネが頬をかきながら微笑む。
「アハハ……まぁ仕方ないですよ。銀さんも色々と大変そうでしたし……」
その笑みは、少女らしい柔らかさと、ほんの少しの諦観を滲ませていた。
ノノミはふと辺りを見渡し、声を上げた。
「そういえばシロコちゃんは?」
「……あっ、そういえば――」
セリカとアヤネが同時に振り返り、声が重なった。
その瞬間、扉が軋む音とともに静かに開く。
光の逆さ影を背負いながら、シロコが部屋へと戻ってきた。
「ん、ただいま。みんな大丈夫だよ。」
その声音は淡々としているのに、不思議と場の空気を一変させる強さを持っていた。
「銀ちゃんを海に誘うことに成功した。」
「「「えェェェ!!!」」」
三人の驚きが見事に揃い、部屋の空気は一瞬で波立った。
まるで静かな水面に大石を投げ込んだように。

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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