透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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どうも、オリジナルの作品に手ェ出したりしてDr.スランプあられ化作者です。

なんか今回、迷走してる感しかないけど結構重要?だから、大事だから
頭空っぽにして読んでくだーさい

アンケート今回で締めまーす。




ーー


澄んでだ瞳が 呼び醒ます
忘れかけてた 正義感 正義感
酸いも甘いも しゃぶり尽くす
今日のテーマは 勧善懲悪さ

散文的な 口ぶりで
やたら嘯く エイリアン エイリアン
のらりくらりと 罪深き
桃源郷に グッドバイしたんならば

理想に 忠実な
uh 希望は まだ 捨ててはいけないさ

シーソーゲームは 続いてく
そうそう ぼくらも譲れない
真剣勝負に 病み付きで
もうどうしたって やめられ ないやいや

運命論なんて
ぜんぜん関係ない
一所懸命だ だ だ


“何でもあり”の 世の中で
研ぎ澄ますのは 審美眼 審美眼
本音・建前 焼き尽くす
感じたままに 勧善懲悪さ

厚顔無恥な スタイルで
未だ蔓延る エイリアン エイリアン
かつて夢見た 美しき
桃源郷を ゲットバックしたいならば

理想に 忠実な
uh 希望は まだ 捨ててはいけないさ

シーソーゲームの 行く末は
そうそう ぼくにもわからない
真剣勝負の 暁は
もうどうしたって 勝つしか ないやいや

シーソーゲームは 続いてく
そうそう ぼくらも譲れない
真剣勝負に 病み付きで
もうどうしたって やめられ ないやいや

運命論なんて
ぜんぜん関係ない
一所懸命だ !だ! だ!



第百三十八訓 マスコット業界は強敵しかいない

 

 

補習授業部の夜は、本来であれば安らかな静寂に包まれているはずだった。

窓から差し込む青白い月明かりが、床に並べられた布団を静かに照らし出している。しかし、その中の一つ――阿慈谷ヒフミと、なぜかこの部室に居座っている謎の宇宙生物(?)エリザベスが共に横たわっている布団だけが、極めて異常な気配を放っていた。

モゾ、モゾモゾ……。

不自然に膨らんだ布団が、まるで巨大な芋虫が蛹の中で蠢(うごめ)くように、怪しく波打っている。時折漏れる衣擦れの音と、得体の知れない熱気。暗闇の奥底で繰り広げられる密やかな『何か』は、決して見てはいけないタブーの匂いを濃厚に漂わせていた。

ーーーーーーーーーーー

そして、翌朝。

爽やかな朝の光が差し込む部室の中央には、およそこのお嬢様学園には似つかわしくない、重く、そして極めて気まずい沈黙がドロドロと横たわっていた。

「……………………」

ヒフミは顔を茹でダコのように真っ赤に染め上げ、フローリングの木目を穴が開くほど見つめながら、微動だにせず正座をしていた。彼女の背中からは、言い逃れのできない深い『罪悪感』が滲み出ている。

「………………」

その隣には、同じく正座(のような姿勢)で沈黙を守る、白い布を被ったような巨体の宇宙生物・エリザベス。普段なら雄弁に語るプラカードすら掲げず、ただ虚無の瞳で前を見据えている様が、かえって事態の異常性を際立たせていた。

「ねぇ……アンタたち、一体ナニしたの!?」

その二人の前で、下江コハルがワナワナと指を震わせながら、悲鳴のようなツッコミを上げた。

彼女の脳内では、昨晩の布団の不審な動きから様々な『死刑』レベルの不純な妄想が暴走し、完全にショート寸前である。なぜ女子高生と謎のオッサン(?)生物が、夜な夜な布団の中で怪しい動きをしていたのか。倫理的にも生物学的にも、コハルのキャパシティをとうに超えている。

しかし、コハルの悲痛な叫びが虚しく響く中、その後方では、さらに常軌を逸した光景が静かに展開されていた。 

 

 

【挿絵表示】

 

 

「よしよし……いい子だ」

白洲アズサが、春の陽だまりのような穏やかで慈愛に満ちた微笑みを浮かべながら、膝の上に乗せた『それ』を優しく撫でている。

それは、昨晩ヒフミとエリザベスが蠢いていた布団の中から、まるで朝霧と共に『誕生』したとしか思えない――どこか生々しい温もりと弾力を帯びた、真新しいペロロ(のぬいぐるみ、あるいは新種の生命体)であった。

補習授業部の部室に、かつてないほど生々しく、そして不純な空気が充満していた。

頭の先からつま先までワナワナと震え、顔を茹でダコのように真っ赤に染め上げたコハルは、正座する二人の「容疑者」に向けてビシッと指を突きつけた。彼女の脳内では、昨晩の布団の蠢(うごめ)きから連想された『R-18指定』の妄想が完全に暴走し、後戻りできない領域へと突入している。

「ねぇ、前から思ってたんだけどアンタたち妙に仲が良かったよね?」

「一体どんなことしたらこんなカバみたいな生き物が産まれるわけ?」

コハルの鋭い視線が、アズサの膝の上で呑気に撫でられている『出来立てホヤホヤの謎生物(ペロロらしき何か)』を射抜く。コハルの完全に濁りきった瞳には、その生物が、あろうことかヒフミと謎の宇宙生物の『愛の結晶』にしか見えていなかったのだ。

「ヤッタのね!ヤッタんでしょ! もう突きあったんでしょ!」

恥ずかしさのあまり涙目になりながらも、コハルは絶対に口にしてはいけないタブーな単語を、部室中に響き渡る大声で叫んだ。

「いや、そんなことしてません! 信じてください!」

ヒフミは顔面を蒼白(あるいは赤面)にさせ、ぶんぶんと首を振りながら両手を激しく振って否定した。生物学的にも物理学的にもあり得ない濡れ衣を着せられ、乙女としての尊厳が崩壊する寸前である。

『不正事実』

パニックに陥るヒフミの隣で、相方の巨大な白い宇宙生物・エリザベスが、スッと無表情(?)にプラカードを掲げた。淡々とした四文字熟語が、コハルの生々しい疑惑を冷徹に切り捨てる。

「じゃあ、この子誰! 明らかにアンタらと同じような容姿してるじゃない!」

しかし、コハルは引き下がらない。プラカードでの客観的な否定など、暴走した思春期の妄想の前には無力だった。ヒフミの面影(ペロロ要素)とエリザベスの面影(白いフォルム)を併せ持つその生物は、状況証拠としてあまりにも『クロ』すぎた。

「まぁ落ち着けコハル殿。こういう時まず事実かどうかよりまずするべきことはあるはずだ」

泥沼の様相を呈してきた部室に、唐突に、ひどく落ち着き払った声が響いた。

腕を組み、さも世の中の真理を悟ったかのような厳粛な顔つきで歩み出てきたのは、桂小太郎であった。彼は事態の解決に向けて、大人の、そしてリーダーとしての絶対的な指針を示すように深く頷いた。

「こういう時はまずーー」

桂は言葉を区切り、重々しく告げた。

「責任を果たすためにまずスーツに着替えて謝るべきだ」

その瞬間、部室の空気が一変した。

どこからともなく無数のカメラのフラッシュが瞬くような幻覚が部室を包み込む。

「教え子が青少年健全育成条例の向こう側に行ってしまいすみませんでした」

いつの間にか、ビシッとした喪服のような黒スーツに着替えたアズサと桂が、横並びになって見事な九十度の角度で深々と頭を下げていた。

スキャンダルを起こした芸能事務所の謝罪会見そのものの完璧なフォーメーション。なぜかアズサまで完全にノリを理解し、保護者代表のような顔で同調している。

「いや、誰に謝ってんの!!」

存在しないマスコミへ向けた謎の謝罪パフォーマンスに、コハルの喉を裂くようなツッコミが炸裂した。大人の無駄な行動力と、それに順応しすぎるアズサのせいでカオスが加速していく。

「まぁまぁ、そういう言わずに」

そこへ、ふんわりとした春風のように、極めて危険な毒気を孕んだ微笑みを浮かべてハナコが歩み寄ってきた。彼女の瞳は、この混乱を心の底から楽しんでいる嗜虐的な光に満ちている。

「多分夜中にエリザベスさんが聖剣(エクスカリバー)を抜いて宝具を解放してヒフミさんの聖杯に一撃ーー」

まるで美しい神話を語るかのような、透き通った声。

しかし、その言葉の端々に散りばめられた某大人気作品の用語は、隠す気すら一切ない、ド直球すぎる『下ネタの比喩表現』であった。あまりにも生々しく、そして情景が容易に想像できてしまう悪魔的なワードセンス。

「いや! Hなのはダメ! 死刑!!」

ハナコのもたらした決定的な「燃料」により、コハルの理性のヒューズが完全に吹き飛んだ。

顔面から火を噴きそうなほど紅潮させたコハルは、両手で顔を覆いながら、この世の全ての不純を断ち切る絶対の判決を、朝のトリニティの空高く絶叫するのだった。

ーーーーーーーーーーーー

暴走した妄想エンジンがようやくクールダウンしてきたコハルは、荒い息を吐きながら、キョトンと目を丸くした。

「え、海で拾った卵が孵った? 何よそれ、私たち聞いてないんだけど……」

先ほどまでの『死刑宣告』を取り下げられ、ようやく息を吹き返したヒフミは、胸の奥底から絞り出すようにホッと安堵の溜息をつく。そして、もじもじと指先を合わせ、申し訳なさそうに視線を彷徨わせながら事の顛末を語り始めた。

「実はですね…」

ヒフミは一度言葉を区切り、警戒を解ききれていない皆の顔を順番に見渡す。

「少し前に、海に沈んだ戦車を引き揚げて、それに乗って帰ったじゃないですか?」

「ああ……あの、ひどく磯臭い戦車のことか」

アズサが、膝の上の『謎生物』を優しく撫でる手を止めずに、ひどく遠い目をして相槌を打った。彼女の脳裏には、砲身にワカメをねっとりと絡ませた無骨な鉄の塊と、むせ返るような潮の香りが鮮明に蘇っていたらしい。

「はい。そして、その戦車を元の持ち主の方にお返ししてから数日後……正義実現委員会の方から連絡があって、『車内に卵が入っていた』らしいんです」

「た、卵ぉ?」

コハルの声が、予想の斜め上をいく単語に素っ頓狂に裏返る。

「はい。それで、引き取り手もないし処分されるというので、私、つい可哀想になってしまって……」

ヒフミの頬が、慈愛と狂気に満ちたピンク色に染まる。

「なるほど。つまり、ペロロは卵生だったのか。また海に行った時は、ペロロの卵を探しに行こう」

「アンタはちょっと黙ってて……」

大真面目な顔で生態系を誤認したアズサの天然ボケを、コハルが頭を抱えながら嗜める。

「それで、昨晩。少し冷え込んできたので、毛布でくるんであげようとしたら、エリザベスさんが……」

ヒフミの視線を受け、隣で正座していたエリザベスが、スッと滑らかな動作でプラカードを掲げた。

『温めてやった』

「……まさか、あの布団のモゾモゾって」

コハルが、自身の暴走しきったピンク色の妄想を思い出し、顔の熱が急速に引いていくのを感じながら震える声で尋ねる。

「はい。エリザベスさんが、親鳥みたいにお腹の下で卵を大事に抱いて、一晩中一生懸命温めてくれてたんです。そうしたら今朝、殻が割れてこの子が……」

ヒフミの紡いだ、純度100パーセントの真実(ただの微笑ましい孵化作業)。

なんのやましいこともない、命の誕生という美しい事実が、朝の部室に静かに響き渡った。

「………………」

「………………」

自らの穢れきった妄想を突きつけられたコハルは、恥ずかしさのあまり言葉を失い、完全に石化した。ヒフミもまた、このシュールな空気をどう収拾していいか分からず沈黙する。

その、誰もが言葉を探していた重い静寂を破ったのは、やはりこの男だった。

「なるほど」

桂小太郎は腕を深く組み、さも世の真理を全て悟ったかのような、ひどく厳粛で真面目な顔つきで深く頷いた。

「つまり二人で、新たなる生命のために『ポールイン』はせずとも『ベッドイン』を決め込み、慎ましくも子を授かったとそういうことか」

「言い方ァァァァァァッ!!!」

コハルの喉を裂くような、本日最大出力のツッコミがトリニティの朝空に轟いた。

「なんでわざわざ誤解を招くような単語をチョイスすんのよ! ポールインって何よ! ベッドインって言うな! 結局不純じゃないの!! 死刑! アンタが一番死刑!!」

顔面から再び火を噴き出し、涙目で桂に掴みかかろうとするコハル。

「あらあら、純潔なまま子を授かるなんて、まるで聖母ですねぇ。ふふっ、神秘的でとっても素敵だと思いますよ?」

ハナコが口元を隠し、クスクスと意地悪く、しかし楽しげに笑い声を上げる。

「ハナコも話をややこしくしない!!」

 

「なによ! じゃあなんで、布団の中で二人して息を荒くしてたのよ!!」

まだ己の妄想の正当性を証明しようと必死なコハルが、涙目で食い下がる。卵を温めていただけで、なぜあんなにも生々しい吐息が漏れていたのか。その一点においてのみ、彼女のピンク色の防衛線はまだ崩れていなかった。

『意外と体力がいる』

コハルの悲痛な叫びに対し、エリザベスはスッと滑らかな動作でプラカードを提示した。親鳥としての重労働(?)を一晩中こなしたその背中は、どこか哀愁と深い疲労を漂わせている。

「プラカードで冷静に答えないで!! 余計生々しいから!!」

「あらあら〜」

必死にツッコミを入れるコハルの背後から、甘く、ねっとりとした声が鼓膜を撫でた。

ハナコが扇情的な笑みを浮かべ、コハルの華奢な肩をツンツンと意地悪く指先で突く。

「つまり、極めて『健全な意味』で、お二人は一晩中汗を流して『夜の営み(孵化)』に励み、この愛らしい新しい命を育んでいたということですね」

ハナコはふわりと胸元を揺らしながら、コハルの耳元でとどめを刺すように囁いた。

「コハルちゃんったら、一体どんなハレンチな想像をしてたんですか……ウフフ」

「う、うるさい! 死刑! ハナコも死刑!! 私は何も変なことなんて想像してないからぁぁ!!」

図星を突かれたコハルは、ついに頭頂部からプシューッと幻の蒸気を噴き出し、羞恥と混乱のあまり部室の端でじたばたと暴れ回り始めた。

そんな、ピンク色の悲鳴とツッコミが飛び交うカオスな空間を他所に。

アズサの温かい膝の上で丸まっていた『謎生物』が、モゾリと動いた。

ヒフミが愛してやまないペロロ様のシルエットと、エリザベスの純白のフォルムを悪魔合体させたようなその奇妙な生き物は、虚無を宿した真っ黒な瞳をパチクリと瞬かせる。

そして、短く丸い手(のようなもの)をスッと伸ばしたかと思うと、どこからともなく四次元的に取り出した『小さなプラカード』を掲げてみせた。

『オギャー』

文字で出力された、全く感情の籠もっていない、ひどく事務的な産声。

「うむ。実に愛らしいな」

そのあまりにもシュールな光景に対し、アズサだけは聖母のような慈愛に満ちた声を漏らし、謎生物の頭を優しく撫で続けた。彼女の周囲だけ、マイナスイオンすら漂いそうな平和な空気が流れている。

 

「……愛らしいの、それ?」

ぜぇぜぇと息を切らしたコハルが、壁に手をつきながら遠い目で呟く。

「ええ、とっても可愛いです! 白くて丸くて……まるでペロロ様の眷属みたいです!」

ヒフミもまた、両手を胸の前で組みながら、キラキラとした乙女の瞳で謎生物(以下、ミニベスと呼称)を見つめていた。彼女の分厚いペロロフィルターを通せば、この得体の知れない生命体も神聖なマスコットに見えるらしい。

「ふむ……」

その時、部室の隅で腕を組んで黙考していた桂小太郎が、おもむろに歩み出てきた。

彼はミニベスの前にしゃがみ込み、その虚無の瞳を真っ直ぐに覗き込む。

「エリザベスよ。まさかお前が親になるとはな……。共に攘夷の志に燃えた友として、これほど喜ばしいことはない」

桂は感極まったように目頭を押さえ、ウンウンと深く頷いた。

「つまり、俺は今日から『おじいちゃん』と呼ばれる立場になったということか。可愛い孫のランドセルは、最高のものをあつらえてやらねばな」

「いや、なんでアンタがナチュラルに祖父ポジションに収まろうとしてんの!!」

コハルのツッコミが間髪入れずに炸裂する。

「というか、その子どう見ても人間の学校に通えるビジュアルじゃないでしょ! ランドセル背負わせたらただの不審な白い塊よ!」

しかし、桂はコハルの真っ当な正論を華麗にスルーし、懐からごそごそと何かを取り出した。

「さぁ、受け取るがいい。我が孫よ」

彼がミニベスに被せたのは、なんと手のひらサイズの『小さな攘夷志士のハチマキ』であった。

『アリガトウ、オジイチャン』

ミニベスが、スッと新しいプラカードを掲げる。

「おお! なんと賢い子だ! 産まれたてですでに言葉を理解しているとは!」

桂が歓喜の声を上げてミニベスを高く抱き上げる。

「待って! 今、完全に中のオッサンが書いてるような達筆な筆跡だったわよね!? 絶対に産まれたての赤ちゃんの語彙力じゃない!! そもそも声帯使って喋りなさいよ!」

コハルが指をさして絶叫するが、もはや誰も彼女のツッコミを聞いてはいない。

「ヒフミ、エリザベス。よく頑張ったな。この子は私たちが立派な戦士に育て上げよう」

アズサが謎生物を高く掲げ、完全にズレた決意を固めている。

「育てなくていい! 戦士にしなくていいから!!」

「ヒフミ、エリザベス。この子の教育方針だが、まずはブービートラップの解除と、アサルトライフルの分解組み立てから教えようと思う」

アズサは、膝の上に乗せた生まれたての謎生物を真剣な眼差しで見つめながら、早くも英才教育(という名のゲリラ戦術)の過激なカリキュラムを頭の中で組み始めていた。彼女の脳内では既に、この丸っこい生物が立派な戦士として戦場を駆け抜けるビジョンが完成しているらしい。

「あはは……まずは、一緒にお散歩から始めましょうか、アズサちゃん」

ヒフミが引き攣った苦笑いを浮かべながら、血生臭い方向へと一直線に暴走気味のアズサを優しく宥める。いくらなんでも、生後数分の赤ちゃんに教える内容がトリニティの治安の限界を超えていた。

「うふふ、新しい仲間が増えて、補習授業部もますます賑やかになりそうですね」

ハナコはふんわりとした笑みを浮かべて平和な結論へと導こうとする。

しかし。

「いやーー」

一人、部室の奥へと視線を向けていたコハルが、顔面を土気色に染め上げてワナワナと指を震わせた。

「別の意味で……賑やかになろうとしてるけど………」

コハルの絶望的な声に導かれ、全員の視線が部室の中央へと吸い寄せられる。

そこに広がっていたのは、平和な学園生活を根底から覆す、あまりにも凄惨な光景であった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「「「……………………!!!」」」

全員の思考が、一瞬にして完全に停止した。

そこにいたのは、先ほどまで布団を温めていたはずの愛らしい(?)純白の宇宙生物ではない。

全身の筋肉を異常なまでにパンプアップさせ、血管を浮き上がらせた筋骨隆々の巨漢――彼ら全員が幾度か目撃し、その度に本能的な恐怖を刻み込まれてきた、エリザベスの忌まわしき戦闘形態『白い悪魔モード』であった。

その恐るべき白い悪魔は、生まれたての丸く無垢な謎生物の頭上に馬乗りになり、ゴツゴツとした巨大な拳を容赦なくその頭頂部へと力任せに振り下ろしていたのだ。

「ドゴォッ!」という鈍い打撃音と共に、鮮血(のような謎の液体)が部室の宙を無慈悲に舞う。

「あ"あ”あ”あ”〜!!! ペロザベス、しっかりしろペロザベスよぉ〜!!」

真っ先にパニックに陥ったのは、実の祖父(自称)である桂だった。彼は頭を抱えて絶叫し、血祭りに上げられている孫に向かって、勝手に名付けた謎のネーミングで呼びかける。

「エリザベラちゃん! しっかりしてください!!」

ヒフミもまた、悲鳴を上げながら愛するペロロ様とエリザベスの融合体へ手を伸ばす。しかし、彼女の口から飛び出した名前もまた、桂のものとは全く異なっていた。

「これは……応急処置が必要だな、ペロロジラJr.」

アズサは一瞬の驚きの後、即座に歴戦の傭兵の顔つきへと切り替わり、謎生物(ペロロジラJr.)を救出すべく救急キットへと手を伸ばす。

「どーして名前が統一されてないの!?」

血の涙を流さんばかりの勢いで、コハルは頭を抱えて絶叫した。目の前では今まさに、生まれたばかりの謎生物が屈強な宇宙生物に物理的に粉砕されかけているという、血みどろの惨劇が繰り広げられている。それなのに、外野の人間たちはそれぞれが全く違う名前で被害者を呼び、致命的なまでに連携が取れていない。

ツッコミの許容量を完全にオーバーしたコハルは、顔面を土気色に染めながら、惨劇の加害者である『白い悪魔』へと矛先を向けた。

「というか、アンタも!! 何、自分が一晩温めて孵した『実の子』に本気で手ェかけようとしてんの!! 」

その悲痛な叫びを受け、筋肉の鎧を纏った巨体――エリザベスは、血に濡れた拳をピタリと止め、スッと無機質な瞳でプラカードを掲げた。

『マスコットキャラの生存競争』

――そう、エリザベスは本能で悟ってしまったのだ。

自分と似た白いフォルム。愛くるしい丸み。そして何より、ヒフミたちからの惜しみない愛情を一身に浴びるその存在。

このままこの未知の生物を生かしておけば、己の「マスコット」としての確固たる地位が間違いなく脅かされる。ならば、芽が小さいうちに徹底的に物理で殲滅するしかない、と。それは、弱肉強食のエンタメ界における、極めて冷酷で現実的な生存戦略であった。

「いや、それ、ただの嫉妬からの暗殺劇!!! 言い訳が血生臭すぎるわ!!」

コハルが喉を枯らして絶叫する。

「なるほど。確かにお前の言う事も一理あるな」

混沌を極める部室の中で、ただ一人、桂小太郎だけが腕を深く組み、ひどく真面目な顔で深く頷いた。

「はぁ!?」

コハルの素っ頓狂な声など意に介さず、桂はさも世の真理を語るような厳粛なトーンで語り出す。

「今の時代、マスコットキャラというのは単なる愛玩動物ではない。ゲームやらアニメの看板を背負い、多大な収入を得るための『顔』であり、プロジェクトを牽引するリーダーそのものだ。その座を巡る争いは、血で血を洗うのが必然……」

「……その通りだ」

桂の放ったメタフィクション極まる持論に、最も危険な形で同調してしまった者がいた。アズサである。

彼女は虚空を見つめ、歴戦の傭兵の瞳に暗く、そして熱い『革命の炎』を宿していた。

「某オープンワールドRPG(原神)の看板は、非常食。……対して私たちのゲームは、いつも残酷な『青封筒』しか出さないAIナビゲーター。アプリのアイコンに至っては、周年ごとに顔を変える覆面水着の銀行強盗狼……」

アズサの口から、第四の壁を粉々に打ち砕く、あまりにも生々しい業界の闇(とガチャへの怨念)が次々とこぼれ落ちる。その声はひどく冷たく、しかし静かな怒りと決意に満ちていた。

チャキッ、と。

アズサが手元の無骨なアサルトライフルの安全装置を外す音が、朝の部室に不気味に響いた。

「……こうなったらーー」

アズサはゆっくりと振り返り、まだ状況を全く理解できずにオロオロしている親友へと、狂気を孕んだ熱い眼差しを向けた。

 

「私たちも、『看板』を奪いに行こう。……ヒフミ、君が主演(メインヒロイン)になる時間だ」

 

「え? ア、アズサちゃん? 主演って、どこの……? あとアズサちゃん、目が凄く怖いです!?」

クーデターの首謀者(メインヒロイン)に強制的に祭り上げられたヒフミが、涙目で後ずさる。しかし、完全に『革命の炎』に取り憑かれたアズサは、逃げ腰の親友の手をガシリと力強く掴んで離さなかった。

「決まっている。まずはあのD.U.区(シャーレ)のシステムを制圧し、青い封筒しか出さないあのAIをハッキングする。そして、アプリのアイコンを覆面強盗からヒフミの笑顔にすり替えるんだ。……大丈夫、万が一『ん、私が主役』と言って報復に来ても、私が罠を張って迎え撃つ」

息をするようにテロ行為とサーバー乗っ取りの計画を口にするアズサ。その瞳からは一切の光が消え去り、ただ純粋な『キヴォトス(メタ世界)の覇権』だけを見据えていた。

「いやあああ!! ダメですダメです! そんな恐れ多いことできません! そもそもメタい! メタすぎます! 覆面水着のシロコさんにドローンで爆撃されちゃいますぅぅ!!」

「フッ、案ずるなヒフミ殿」

パニックに陥るヒフミの肩を、なぜか黒スーツ姿の桂小太郎がポンと叩いた。彼はアズサの過激なクーデター案にすっかり感銘を受け、腕を組んで深く頷いている。

「真の革命とは、常に痛みを伴うもの。古き看板(アイコン)を打ち壊し、新たなる時代(ヒフミ)を築き上げるのだ! 案ずるな、俺たち攘夷志士も共にD.U.区へ向かい、あの忌まわしき『青封筒の呪い』を断ち切ってやろう!」

「なんでアンタまでガチャの爆死に私怨抱えてんの!! あんたこの世界のアカウント持ってないでしょ!!」

コハルが顔を真っ赤にして叫ぶが、狂気に満ちた革命軍の耳には届かない。

「あらあら〜、ヒフミちゃんが新しい看板娘ですか。ふふっ、素敵じゃないですか」

ハナコが、頬に手を当てながらうっとりと目を細めた。

「ヒフミちゃんの水着姿が毎日全世界の先生たちのスマホに表示されて……。なんなら、青い封筒の代わりに、ピンク色に染まった『特別な封筒』をヒフミちゃんが直接届けてくれる仕様に変えちゃいましょうか。……ええ、とっても『教育的』で素晴らしいと思います」

「ハナコはどさくさに紛れてエロい仕様にしようとしないでぇぇ!!別の意味でピンクだから!頭の中ピンクだらけだから! 死刑! 運営ごと死刑!!」

コハルの血圧が限界を突破し、頭頂部から幻の湯気がプシューッと吹き上がる。

誰も彼もが第四の壁を粉砕し、ゲームの根幹を揺るがすテロ計画に花を咲かせている。唯一の常識人(ツッコミ役)であるコハルの精神は、もはや崩壊寸前であった。

そんな、人間の大人と生徒たちが『アプリの覇権争い』で白熱しているその後方で――。

『マスコットの生存競争』は、まだ終わっていなかった。

「ドゴォッ!」

「……!?」

突如、部室の空気を震わせる重い打撃音が響いた。

全員がハッとして振り向くと、そこには信じられない光景が広がっていた。

『白い悪魔』と化したエリザベスが振り下ろした、岩石のような巨大な拳。

それを、血まみれ(?)になって痙攣していたはずの生まれたての謎生物(ペロロジラJr.)が、短く丸い手で『ガシィッ!』と見事に受け止めていたのだ。

『……!!』

エリザベスの無機質な瞳が、驚愕に見開かれる。

謎生物は、虚無の瞳をエリザベスへ向けたままゆっくりと立ち上がった。そして、受け止めていないもう片方の手で、どこからともなく『小さなプラカード』をスッと掲げた。

『下剋上』

「おお……!!」

その四文字熟語を見た瞬間、アズサが感極まったように声を震わせた。

「見たか、ヒフミ。あの子はたった今生まれたばかりなのに、すでに『革命の真髄』を理解している……! さすがは私たちの手で温めた子だ!」

「ちっっっがう!! それ絶対アンタの物騒な教育方針が胎教で伝わっちゃっただけ!!」

コハルが涙目で絶叫する。

直後、白い悪魔(エリザベス)と白い新星(ペロロジラJr.)の、マスコットの座を懸けた凄絶な肉弾戦が幕を開けた。部室の机が真っ二つにへし折られ、黒板が粉砕され、純白の毛玉と筋肉が目にも留まらぬ速度で激突を繰り返す。

「あああ! 補習授業部の備品がぁぁ!! エリザベスさん! ペロロジラJr.ちゃん! やめてくださいぃぃ!!」

半泣きで悲鳴を上げるヒフミ。

「行け、Jr.! そいつの死角は右斜め後方だ!!」と的確なゲリラ戦術の指示を飛ばすアズサ。

「ふふっ、激しいですねぇ♡」顔を仰ぐハナコ。

「やれェェ! 真のマスコットの座を勝ち取ってみせろォォ!」と謎の野次を飛ばす桂。

そして、そのカオスの中心で完全に魂が抜け、膝から崩れ落ちるコハル。

「もう……やだ、この部活…………」

平和なお嬢様学園の朝は、血で血を洗うマスコットの覇権争いと、アプリ乗っ取りクーデターの熱狂の渦に、無慈悲にも飲み込まれていくのだった。

ドゴォォォォォォン!!!

補習授業部の部室を、局地的な大地震のような激しい震動が襲った。

彼らの頭上を、真っ二つにへし折られた木製の備品が、まるで木の葉のように軽々と吹き飛んでいく。

巻き上がったチョークの粉塵がスモークを形成する中、純白の巨体同士が、肉眼では捉えきれない速度で激しい連撃を繰り広げていた。

『白い悪魔』エリザベス**の放つ、歴戦の重みと狂気を孕んだロシアンフック。

それを、『純白の新星』ペロロジラJr.が、柔らかな(しかし鋼のように硬い)腹の肉でヌルリと受け流し、強烈なアッパーカットで反撃する。

「素晴らしい……! 質量を活かした完璧なカウンターだ! 行け、Jr.! 次は関節技(サブミッション)でその巨体を削り落とせ!」

チョークの粉塵に塗れながら、アズサが目を輝かせて的確すぎる軍事指導(セコンド)を飛ばす。

「いや、関節ないですよねあの子! 丸いんだから!! っていうかアズサちゃん、止めて! 煽らないでください!!」

ヒフミの悲痛なツッコミも虚しく、二匹(?)の闘争本能はすでに臨界点を突破していた。

「うふふ、朝からとっても情熱的な汗が飛び交っていますねぇ。若いって素晴らしいです♡」

ハナコだけは、暴風に髪を揺らされながらも、全く動じることなく特等席でこのカオスなデスマッチを鑑賞していた。

そして――決着の時は、唐突に訪れた。

『オオオオオオオオッ!!』

(※声は出ていないが、強烈な覇気として伝わってきた)

互いに距離を取ったエリザベスとペロロジラJr.が、残された全エネルギーを右腕に集中させる。

空気の軋む音が聞こえそうなほどのタメ。

そして、二つの白い弾丸が、部室の中央で真っ向から激突した。

ガゴォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

凄まじい衝撃波が放たれ、窓ガラスが一斉にヒビ割れ、壁の掲示物が全て吹き飛ぶ。

「「「きゃあああああっ!?」」」

土煙が完全に部室を飲み込み、視界がゼロになった。

静寂。

耳鳴りだけが響く中、ゆっくりと粉塵が晴れていく。

そこに立っていたのは……。

「あ、ああ……」

ヒフミが、言葉を失ってへたり込む。

互いの顔面(?)に、互いの巨大な拳を深々とめり込ませたまま、彫像のように静止している二匹の姿があった。

完全なる、クロスカウンター。

一陣の風が吹き抜け、二匹は同時に、ドスーン!と仰向けに床に倒れ込んだ。

「相打ち……ッ! なんという壮絶な戦い……!」

桂が感極まって目頭を押さえる。

数秒の沈黙の後。

ピクッ、と。倒れていた二匹の腕が同時に動いた。

満身創痍のエリザベスが、ゆっくりと上体を起こし、荒い息を吐きながらプラカードを掲げる。

『お前、なかなかやるな』

すると、対面に倒れていたペロロジラJr.もまた、短い手を震わせながら小さなプラカードを掲げ返した。

『アンタコソ、センパイ』

プラカード越しに交わされる、男と男(マスコットとマスコット)の熱い対話。

先程までの殺意は嘘のように消え去り、そこにあるのは、死闘を演じた者同士にしか分からない強固な『絆』であった。

二匹はゆっくりと立ち上がり、互いの健闘を称え合うように、ガッチリと固い握手を交わした。

なぜか部室の背景に、爽やかな夕陽と海辺の幻影が広がっている。

「おおおっ……! 素晴らしい! 昨日の敵は今日の友! これぞ真のサムライ魂(マスコット魂)だ!」

桂が号泣しながら拍手喝采を送る。

「よくやった、Jr.。お前は今日、初陣にして最大の試練を乗り越え、立派な戦士(マスコット)になった」

アズサもまた、深く頷きながら賛辞を送った。

「良かったぁ……! 二人とも、仲直りしてくれたんですね!」

ヒフミが安堵の涙をポロポロと零しながら、尊い光景に胸の前で両手を組む。

誰もが、このスポ根アニメのような美しい結末に酔いしれていた。

……ただ一人、冷酷な現実(被害状況)を直視している少女を除いて。

「………………」

コハルは、完全に虚無の瞳になっていた。

壁には無数のクレーター。窓ガラスは全滅。机と椅子は木っ端微塵に粉砕され、黒板は真っ二つ。床にはめくれたフローリング材が散乱している。

ここは、トリニティ総合学園の補習授業部の部室。

「……ねぇ」

コハルは、死んだような声でぽつりと呟いた。

「この、部室の修理代…………誰が払うの?」

「「「………………アッ」」」

ヒフミ、アズサ、そして(部外者の)桂の動きが、ピタリと止まった。

感動の夕日の幻影が、パリィンと音を立てて砕け散る。

マスコットの絆よりも重く、冷たい『現実の請求書』が彼女たちの頭上に突きつけられた瞬間だった。

その、極限の気まずさが支配する部室の扉が。

ギィィ……と、外からゆっくりと開かれた。

「あの、補習授業部の皆さん。お渡しした卵の様子を見に――」

正義実現委員会の副委員長、羽川ハスミである。

彼女は、手土産のスイーツの箱を持ったまま、ドアの入り口で完全にフリーズした。

彼女の視界に飛び込んできたのは、

・完全に戦場と化した、大破した部室。

・なぜか黒スーツで決めているアズサと謎の長髪の男(桂)。

・血(?)まみれで固い握手を交わしている、筋肉ムキムキの白いオッサン(エリザベス)と、筋肉ムキムキのペロロ様(Jr.)。

・そして、白目を剥いて泡を吹いているコハル。

「…………え?」

ハスミの瞳孔が限界まで収縮し、手からスイーツの箱がポロリとこぼれ落ちる。

「あっ、ハスミ先輩! これはですね、その、決してテロリズムやクーデターではなく、命の神秘とマスコットの覇権争いが生み出した、極めて健全な青春の1ページでして……ッ!!」

ヒフミの支離滅裂な言い訳が響き渡る中。

「……それじゃ、請求書を置いていきますから。しっかりと精算してくださいね」

感情の温度が完全に零下まで冷え切った、美しくも恐ろしい声だった。

正義実現委員会の副委員長・羽川ハスミは、もはや瓦礫の山と化した部室を一切見渡すことなく、奇跡的に原形を留めていた机の端に、一枚の白い封筒をそっと置いた。

バタン。

容赦のない、分厚い扉が閉まる音。

それはまるで、彼女たち補習授業部に下された「莫大な負債」という名の死刑宣告を告げる、重苦しい鐘の音のように響き渡った。

「「「………………」」」

嵐が去った後のような、いや、物理的に嵐が通り過ぎた部室に、重すぎる静寂が降り積もる。

エリザベスとペロロジラJr.の熱い友情も、アズサの掲げた革命の炎も、突きつけられた『現実(修理代)』の前ではあまりにも無力だった。

冷や汗が一滴、ヒフミの頬を伝い落ちる。

これだけの損害賠償、一体どうやって払えばいいのか。自身の口座の残高と、ペロロ様グッズの購入予定リストが脳内で激しくせめぎ合い、そしてショートした。

現実逃避。

今のヒフミの精神を守る手段は、もはやそれしか残されていなかった。

「え、えっと……」

ヒフミは、引き攣った頬を無理やり持ち上げてひきつった笑顔を作り、白い封筒から露骨に目を逸らしながら、パチンと手を合わせた。

「誰がなりますか? ……補習授業部のマスコットキャラクター」

完全に焦点の合っていない虚無の瞳で、先程までの(今となってはどうでもいい)議題を強引に蒸し返すヒフミ。その哀れな現実逃避に、コハルが「アンタ現実見なさいよ!」と突っ込もうとした、その時だった。

「うふふ……」

春の陽だまりに咲く毒花のように、ハナコが甘く、そして極めて危険な笑みを浮かべて歩み出た。彼女は両手で自身の豊満な胸元をふわりと持ち上げるような仕草を見せ、妖艶に目を細める。

「じゃあ、ここは手っ取り早く……みんなで『水着』で売り出すって事で……♡」

借金返済という切実な問題を、己の嗜虐心とハレンチな欲望を満たすための絶好の口実へと鮮やかにすり替える悪魔の提案。写真集か、はたまたいかがわしい撮影会か。ハナコの背後に、ピンク色の怪しいオーラが揺らめいて見える。

「なるほど」

そのハナコの冗談(本気度八割)に対し、なぜかアズサが腕を組み、歴戦のプロデューサー(あるいは闇商人)のようなひどく真面目な顔つきで深く頷いた。

「需要は高いはすだ。やろう……」

需要と供給のバランスを戦術的に分析し始めるアズサ。彼女の脳内ではすでに、補習授業部の水着グラビアがブラックマーケットで高値で取引される光景が、極めて現実的な資金調達プランとして弾き出されているらしい。

大人たちの悪ノリと、真面目すぎるが故の暴走。

これ以上、この部活の倫理観を地の底へ落とすわけにはいかない。

「「やらない!! / やりません!!」」

顔面から火を噴きそうなほど真っ赤になったコハルと、ようやく現実(水着で売り飛ばされる危機)に引き戻されたヒフミの、魂の底からの悲鳴が完璧にハモった。

木っ端微塵になった部室の窓から、トリニティの爽やかな朝の風が吹き込んだ。




次回予告

ミヤコ「私たちは歩みを止めません、SRTが復活するその時までーー」

「抵抗を続けます!!」

突如としてデモ行為を起こしたRabbit小隊。

銀時「あーはいはい。分かった、分かった。つまりお前らーー」

「無職ってことで良い?」

「「「はぁ!?」」」

抵抗なんて関係なし!?

銀さん「いつからテメェらが上だなんて言ったよ?」

「厳しい生活が過ごしてぇならシャーレ直々に用意してやらぁ」

ドS銀さん発動!?

サキ「おい、コレどうするんだ?」

万事屋「「「誰かァァァ釈放してくださァァァい!!」」」

ミユ「ひぇ、このまま一生忘れられて獄中で死んじゃうんですぅ……」

全員逮捕!?

はちゃめちゃデモ活動が今ここに!!



カルバノグ のマダオ篇 開幕!!


デカルト「彼こそ「所確幸」の真のリーダー!!」

「堕天使マダオだ!!」


【挿絵表示】




〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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