透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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投稿に時間がかかりました。すいません。
定春との絡め方が難しくて…
変な感じかもしれませんがよろしくお願いします。



第十七訓犬はいつでも狩りの時間

某日、キヴォトスのとある公園。

木枯らしが吹き抜ける寒空の下、そこには似つかわしくない一張りのテントが寂しく佇んでいた。

かつてはビルの一室を構えていたはずの『便利屋68』の仮事務所である。

「はぁ……依頼、来ないわね」

社長の陸八魔アルは、安っぽい折りたたみ椅子に座り、深いため息をついた。

その背中には『ハードボイルド』とは程遠い、悲壮感が漂っている。

「仕方ないよアルちゃん。ハルカちゃんが事務所にお金払えなくなって取り立てに来たおじさんたちごと、事務所を爆発させちゃったんだから」

ムツキが事もなげに言う。

そう、資金難で家賃を滞納していた便利屋に借金取りが押し寄せた際、彼らがアルを侮辱したことに激昂したハルカが、慈悲なきクレイモアを起爆。

結果、借金取りは撃退したが、事務所も木っ端微塵になったのだ。

その張本人は、テントの隅でガタガタと震えていた。

「す、すいません! すいません! 私のせいで……事務所を……! し、死にましょうか? 今すぐ死んだほうがいいですか? はい、死にます! ゴミはゴミらしく帰る場所に帰ります!土に!!」

ショットガンの銃口を自分の喉元に向けようとするハルカを、カヨコが慣れた手つきで制止する。

「待ってハルカ。私たちは何回もこんな事があったでしょ。今更死ななくていいから。……というか、テントが汚れるからやめて」

そんなカオスな空間に、一人の依頼人が現れた。

頭から血を流し、包帯を巻いた犬の獣人だ。

「あ、あの……あなたたちは『便利屋』で合ってますか?」

アルはバッと顔を上げ、コートを翻して立ち上がった(テントの天井に頭を擦りながら)。

「そうよ! 私たちは便利屋68。金さえもらえれば何でもやる、無法の何でも屋よ。……で、依頼内容は?」

「じ、実は……とても大きな『犬』が暴れ回っていて……この頭の怪我も、その犬に噛まれてできた傷なんです。どうか、助けてください!」

「犬の捕獲……?」

普段のアルなら躊躇するところだが、今の彼女は背に腹は代えられない。明日の食事もままならないのだ。

「フッ……わかったわ! どんな猛獣だろうと手なずけてみせる。……みんな、行くわよ!」

「おっ、アルちゃん珍しくやる気だね~♪」

「はい! アル様!」

「はぁ……また面倒なことに……」

          †

場所は移って、隣町の公園。

現場に到着した便利屋の一同は、その対象を見て唖然とした。

砂場の真ん中に鎮座するのは、白くて、モフモフした――

「ねぇ、カヨコ課長? ……あの犬の身長、どれくらいかしら?」

アルが震える声で尋ねる。

カヨコは目測を行い、驚きを隠しつつ答えた。

「え、えっーと……体高だけで170cmくらいじゃないかな。……座った状態で」

巨大すぎる。もはや犬というより、白い巨塔だ。

だが、その愛くるしい顔つきは紛れもなく犬だった。

「アル様、アイツ撃ちますか? 害獣駆除しますか?」

既にショットガンの安全装置を解除しているハルカを、カヨコが止める。

「待って。いくら大きくても犬であることに変わりはないんだから。たぶん、外に出て何らかの刺激を受けて興奮状態になっただけだと思う」

カヨコは懐から、依頼人より預かった高級ドッグフードを取り出した。彼女の動物好きの血が騒いでいるのだ。

「大丈夫……怖くないよー。ほら、ご飯だよー」

カヨコは警戒心を解くように、ゆっくりと白い巨体へと近づいていく。

「落ち着いて……私は餌をあげに来ただけだから。ほら、食べ……」

カヨコが差し出したドッグフード。

巨大犬はそれを愛おしそうに見つめ――そして、大きな口をあ・ん・ぐ・りと開けた。

バクンッ‼︎

鈍く、湿った音が響く。

巨大犬の口の中に、カヨコの頭部がすっぽりと収まった。

「……アルちゃん。カヨコちゃん、食べられたけど」

ムツキが他人事のように実況する。

数秒の静寂の後、アルの悲鳴が公園に轟いた。

「なななな、なっ、何ですってーーーーーーー!!!???」

目玉が飛び出さんばかりの驚愕。お約束のリアクションである。

そして、それを見たハルカの理性が崩壊した。

「課長……? ゆ、許しません……許しません許しません許しません許しません!!」

「ちょっ、待ってハルカちゃん!」

今にもトリガーを引きそうなハルカを、ムツキが笑顔で止める。

「確かに撃ったら面白そうだけど、今撃ったら課長にも当っちゃうかもしれないじゃん? ほら、頭まだ中にあるし」

「で、ですが!」

「だからさ、アルちゃんが課長を助けに行くから、その後でもいいんじゃない? ねぇ〜アルちゃん?」

ムツキが悪魔的な笑みを浮かべてアルを見る。

「え? わ、私がやるの?」

「そうだよ〜。『部下の不始末は上司が、部下の仇は社長が討つ』って、この間のハードボイルド講習会で自分で言ってたじゃん♪」

「そ、そうだけど……いや、でもあのアゴの力は……」

「アルちゃん? まさかビビってるの? 逃げるの?」

「くっ……!」

アルは唇を噛み締め、コートを翻した。

「えぇい! 成せばなる! 便利屋の社長たるもの、これしきのピンチ!!」

アルは「とうっ!」と掛け声を上げ、カヨコを咀嚼(甘噛み)している犬に向かって走り出した。

「離しなさい! 私の大事な課長を――」

アルが犬の首元に手をかけた、その瞬間。

犬は何の躊躇もなくカヨコを吐き出すと、飛んできたアルの頭へとターゲットを変更した。

バクンッ‼︎

「ふがっ!?」

アルの上半身が、白い毛並みの中に消えた。

ドッグフードの袋を持ったままのカヨコが、地面にドサリと落ちる。

それを見たハルカの中で、何かが完全に切れた。

「カヨコちゃんだけでなく……アル様まで……!!」

ハルカの瞳からハイライトが消え、暗黒の炎が宿る。

「許しません……許しません!! 地獄にいけぇぇぇぇぇ‼︎」

ダダダダダダダダダッ!!!

ショットガンの乱射。

しかし、それだけでは飽き足らず、ムツキが鞄から黒い球体を取り出した。

「あはは、おもしろ〜い! じゃあ私も混ぜて」

爆風が吹き荒れ、砂場がクレーターへと変わっていく。

阿鼻叫喚の地獄絵図の中、頭からダラダラと血を流したカヨコ(※甘噛みによる出血)は、冷静にスマホを取り出し、ある人物へメールを打っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【モモトーク】

カヨコ: 銀さん、今大丈夫?

坂田銀時: 今何時だと思ってんだ! 昼寝の時間だろうがァァア! 貴重な糖分補給タイムを邪魔すんじゃねぇ!

カヨコ: それどころじゃないの! 犬が……巨大な犬が社長たちを襲ってるの!

カヨコ: [写真が添付されています]

坂田銀時: !

坂田銀時: ……マジかー!

送られてきた写真には、公園を破壊しながら暴れまわる白い巨体――見覚えしかない巨大犬の姿が写っていた。

          †

【シャーレ】

モモトークを閉じた銀時は、昼寝の気怠さを振り払い、ベッドから跳ね起きた。

愛用の木刀「洞爺湖」を腰に差し、マッハの速度で身支度を整える。

『先生? そんなに急いで、どこへ行くんですか?新台入れ替えですか?』

アロナが不思議そうにタブレットから問いかけるが、銀時は振り返りもせずに答えた。

「ちょっとな。……デカイ落し物を拾いに行ってくる」

外に出て、駐車場に停めてある愛車――「銀」の文字がペイントされたスクーターに跨る。

エンジンを吹かし、砂埃を上げて公園へと向かった。

ヘルメットの中で、銀時は叫んだ。

「さ~だ~は~る~! テメェ、どこで油売ってやがったァァァ!!」

          †

【再び公園】

ダダダダダダダッ!!!

銃声が鳴り響き、砂煙が舞い上がる。

ドカァァァン! ズガァァァン!!

爆発音が轟き、遊具が宙を舞う。

阿鼻叫喚の公園を、白い巨体――定春が、楽しそうに駆け回っていた。

「すごいね! この犬、攻撃仕掛けたのは私たちなのに」

ムツキが鞄から次の爆弾を取り出しながら、ケラケラと笑う。

「今は完全に追われてるよ~♪」

ハルカがショットガンを乱射しながら、血走った目で叫ぶ。

「アル様! 大丈夫ですか!?」

「……頭から血を流して逃げてる人間が、無事だと思うの?」

アルは額から流れる血を拭いながら、息も絶え絶えに逃げ惑う。その姿にハードボイルドの欠片もない。

その時、砂煙を切り裂いて一台のスクーターが乱入してきた。

キキーッ! とドリフトで停止したスクーターから降り立ったのは、木刀を担いだ救世主――坂田銀時だった。

「銀ちゃん!」

「遅いわよ! 待ちくたびれたじゃない!」

便利屋の面々が銀時の背後に隠れる。

「後は飼い主の銀さんに任せな! 大船に乗ったつもりで見てろい!」

銀時はニカッと笑い、定春の前に仁王立ちした。

「アルちゃん、銀ちゃん……大丈夫かな?」

ハルカが不安そうに尋ねる。

「大丈夫よ! 彼は私の認めたアウトローなんだから! きっと華麗に解決してみせるわ!」

アルは自信満々に言い放つ。

「え~、これで食べられたら笑うしかないけどね~」

ムツキは期待に満ちた目でカメラを構える。

銀時は木刀を肩に担ぎ直し、定春を見上げた。

「よぉ、久しぶりだな定春。元気してたか?」

定春は銀時の姿を認めると、嬉しそうに尻尾を振った。

「ワン!」

その咆哮は、もはやライオンのそれである。

「いい感じじゃないですか? アル様。言葉が通じてますよ!」

「流石は銀ちゃんね! さすがは飼い主!」

ハルカとアルが感心する。ムツキは「なんだ、つまんないの」と口を尖らせる。

銀時は懐から、何かを取り出した。

「ほら、腹減ってんだろ? 餌だぞ~、食べろ~」

差し出されたのは、特大のドッグフード……ではなく、なぜかイチゴ牛乳だった。

定春はそれを一瞥すると、次の瞬間――。

バクンッ。

躊躇なく、銀時の上半身を丸呑みにした。

「……」

「……」

「……」

数秒の静寂。

「……アル様。銀ちゃん……食べられましたけど」

「なななな、なっ、何ですってーーーーーーー!!!???」

アルの本日二度目の絶叫が響き渡る。

「あはは! そう来なくっちゃ! 最高!」

ムツキが爆笑しながらシャッターを切る。

数秒後。

スポポンッ! という音と共に、定春の口から銀時が自力で抜け出した。

全身涎まみれだが、本人は至って平然としている。

銀時はニカッと笑い、親指を立ててグッドサインを作った。

「心配すんな、銀さんは噛まれ慣れてっから! これくらい日常茶飯事よ!」

そう言って背中を向ける銀時の後頭部から、鮮血がピューッと噴水のように吹き出していた。

「……いや、銀ちゃん。頭から噴水みたいに血が出てるけど」

カヨコが冷静に指摘する。

「安心しな。これはギャグ回、元の世界じゃ噴水みたいに血が出るなんて普通だから。むしろ健康な証拠だから」

銀時は額の血を拭いもせず、何事も無かったかのように振る舞う。

「いや、どんな世界なのよ! 普通そんなに血が出たら死んじゃうじゃない! 死ぬわよ!?」

アルが真っ当なツッコミを入れる。

その後、銀時と便利屋一同(主にカヨコとアル)は仲良く病院送りとなり、治療を受けた。

そして、暴走の原因が空腹だったと判明した定春は、シャーレで飼われることになり、アロナの新しいペットとして可愛がられることになったのだった。

 




次回

???「おい!トシここはどこだ?」
???「それは俺にも分からなねぇ」
???「しかし変なところでさぁ、みんな天使の輪みたいなのがついてやがりますぜ」
???「おいおい、まさか俺たち死んだんじゃ」

???「仕方ねぇ…じゃあ??さんだけでもあの輪作っときますかい?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゲヘナ

???「ここはどこでしょうかね?信女さん?」
モグモグモグ
???「全くここはエリートとして、ここがどこなのか確認から入るべきでしょうが…メル友との連絡が着きそうですね。」

次回 警察は就職活動は、上手く行かねぇ

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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