透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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銀時「ついにゲーム開発部の話も終わるなぁー」

ミドリ「そうですね。いろいろな事がありました。」

モモイ「廃墟でロボットに襲われたり、メイド部と戦って喧嘩吹っ掛けられたり……大変だったねー」

アリス「それもこれも全てモモイのフラグのせいです!」

モモイ「なんで?」

銀時「おいおいお前ら本文でもその下り使うんだから取っといてくれよ」
「おっと最後に重要な事が知らされるらしいからちゃんと読むんだぞ」

みんな「ではどうぞ!!」



第三十四訓 発表会にはハプニングがつきものだよな

ゲーム開発部の部室には、緊張した空気が漂っていた。モモイたちはミレニアムプライスの発表を待ちわびながらも、期待と不安が入り混じっている様子だ。そんな中、モモイが手に何かを持っているのが目に入った。

 

「おい襲撃フラグ建築士、その手に持ってるのは何だ?」と銀時が声をかける。

 

「これ? これはね〜……って、そのあだ名ひどくない!?」モモイは不満げに返す。

 

「ひどくねぇよ。今回のストーリーで何回襲撃の前にフラグ立ててたと思ってんだ? それより早く手に持ってるやつについて教えやがれ」と銀時は冷静に指摘する。

 

モモイはため息をつきながら、しぶしぶ説明を始めた。「はぁ……分かったよ。見てみてアリス! じゃーん、メイド服~!」

 

彼女が誇らしげに取り出したのは、小さめのメイド服だった。それを見た瞬間、アリスの目が一気に鋭くなった。彼女は一瞬で銀時から木刀を抜き取り、猛然とメイド服に向かって振り下ろした。

 

「ベギラマ!!です」、メイド服は真っ二つに裂けた。

 

「わあっ!?」モモイは驚きの声を上げる。

 

「すごい、メイド服が真っ二つだ」とミドリは冷静に状況を確認する。

 

「――はっ! 瞬間的にやってしまいました」とアリスは我に返る。

 

「あ、あと数センチ前に出てたら私ごと切られてた……ピャァ」とモモイは青ざめながら言った。

 

「自業自得だよお姉ちゃん、私ちゃんと止めたからね」とミドリが冷ややかに指摘する。

 

「身体の方は全部治ったみたいだが、心の方はもうちょっとかかりそうだな……」と銀時がアリスの様子を見ながらつぶやく。

 

「アリス、仲良くはなりたいですが……怖いです!」アリスはネル対する恐れ正直に吐露した。

 

そのとき、部室の扉が開き、ユズが帰ってきた。

 

「あ、あの銀さん……建物を壊しちゃった件についてなんですけど」と申し訳なさそうにユズが言う。

 

「大丈夫。あの後、色々とお話をして、なんとかして部活動中の不慮の事故として処理してもらえたよ」とユズは軽く笑って言った。

 

「そうなのか!? 」銀時は驚きつつも安心した。

 

「ユズちゃんも今日はありがとう。色々と弁解してくれて」と感謝の言葉をかけるモモイ。

 

 

「エリザベスさんと桂さんは用事があるようで何処かに行ってしまいました」

 

「いつものことだ気にするな」

と銀時は軽くあしらった

 

ユズは軽く頭を下げた後、PCの画面を開き、ケーブルで外付けモニターに接続した。「ミレニアムプライス、始まったね」と画面に映し出された映像を指し示す。

 

「もし受賞したらクラッカー鳴らそうよ。お祝いにケーキも買って、さ。でも、もしそうじゃなかったら……」モモイが不安げに言葉を濁す。

 

「……うん。直ぐに荷造りしないと。私達はさておき、ユズちゃんとアリスちゃんは……」ミドリも心配そうな声を漏らすが、銀時は違った。

 

「おいおいまだ発表もされてねぇのにもう弱気になってのか?」と銀時は言った。

 

「銀さん……」モモイは銀時を見つめる。

 

「お前らが積み上げたもんを、信じろ。俺だって信じてんだからよ。」と銀時がしっかりとした声で続けると、モモイも少しずつ笑顔を取り戻した。「……そうだよね、うん! 信じる!」

 

自分達の努力を信じ、画面に集中する部員たち。ミレニアムプライスの発表が始まり、彼女たちは胸を高鳴らせていた。

 

――――――――――――――――――――

 

ミレニアムプライスの会場。D.U.地区の大ホールを貸し切り、盛大に行われるこのイベントは、ミレニアムサイエンススクールでも最大級の催し物の一つだ。学校内外の注目を集め、企業からも注目されている。(ちなみに、銀時らによってトラウマを植え付けられたカイザー系の会社は関与していない)

 

『これより、ミレニアムプライスを始めます! 司会及び進行を担当するのは、こちらの方々です!』

 

その声を聞いた瞬間、ゲーム開発部と銀時は驚愕した。

 

「やあ皆者、ミレニアム最大の祭典ミレニアムプライスによく来た。科学者のMrのカッツーラだ!」

 

「そして、隣りにいるのが」

 

『助手のエリザベスだ』とエリザベスがプラカードで自己紹介を行う。

 

モモイが銀時に問いかける。「ねぇ.....銀さんあれって」

 

銀時は怒り心頭で叫んだ。「アイツら一体なにしてんのぉぉぉぉぉぉおお!!審査員に入って賞の改ざんでもしようとしたんだろうけどさ、あまりにも無防備すぎるだろ!何でほかの奴らもあいつの変装に気付かねぇんだ!」

 

『今回は、これまでのミレニアムプライスの中でも最多の応募数となった。恐らくは生徒会セミナーの方針変更により、部活動維持のための成果が必要となった影響かと思われる!』

とエリザベスはプラカードで紹介を続ける。

 

「へぇ〜……最多か、え、それ結構まずいんじゃ?」モモイが焦りを見せる。

 

「うぅ、確かに困る…」ユズも頷く。

 

応募数が多ければ多いほど、受賞の難易度は高まる。それに気づいたモモイやユズは、ますます不安な表情を浮かべた。

 

「まぁここらで受賞したらセミナーの奴らにガツンとできるわな」と銀時が明るく声をかけると、部員たちははっとして気持ちを立て直した。

 

『昨年の優勝作品である生塩ノアさん著の思い出の詩集は、その形而上的な言葉の羅列がミレニアム最高の不眠症に対する治療法として評価されました。』

 

「ノア先輩すごい」

 

 

 

 

 

『尚、これは本来の意図とは少し違ったようですが……今回も歯磨き粉と見せかけてモッツァレラチーズが出る持ち歩きチーズ入れ、ミサイルが搭載された護身用の傘、ネクタイ型モバイルバッテリー、光学迷彩下着セット、ちょうど缶一個なら入る筆箱型個人用冷蔵庫……』

 

「どれも癖が強いのばかりだね………光学迷彩下着セット?」モモイが怪訝な表情を浮かべながらつぶやいた。

 

「色々大丈夫なのかな…銀さん何考えてるの?」と、ミドリが銀時に目を向けると、銀時はあからさまに顔を背けた。

 

「い……いや〜別に何も」

 

『そして……エンジニア部の作品、こちらも入っていますね!』

 

銀時の表情がピクッと動いた。

 

「なんだよあのジジイもなんか出してんのか?」

 

『これはなんと!頭につけるだけで空を飛べるという夢のような道具です!』

とエリザベスのプラカードに紹介文が出ると

 

銀時は驚きのあまり、椅子から身を乗り出して叫んだ。

 

「お前らもパクリかいぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

「いいかげんしろや頭につけて空を飛ぶだけでも危ねえのに、説明文に夢の道具って完全に0ラえもんのOケコOターじゃねーか!!」

 

モモイやミドリもその言葉に驚き、目を見開いた。テレビの前の状態を知らない桂はさらに続ける。

 

「それに隠し機能もあるらしくてな、根本の赤いボタンを押すと急上昇と下降を繰り返すらしい。これでスピード感やスリルを味わいたい者も楽しめるな。ちなみに一度押すとキャンセルは出来んらしいから気をつけろとのことだ」

と説明されると

 

銀時は顔を真っ赤にしながら叫び続けた。

 

「おいジジイ!お前のカラクリの隠し機能には欠陥物しかねぇのか!誰も止めることのできない装置なんか必要としてねぇんだよ!」

 

そんな銀時の怒りをよそに、発表は続いていく。

 

『そして!今キヴォトスのインターネット上でセンセーショナルを巻き起こしているスマホでマルチプレイが楽しめるレトロ風ゲーム、テイルズサガクロニクル2などなど、今回出品された三桁の応募作品のうち、栄光の座を手にするのはたったの7作品!』

 

銀時たちが緊張の面持ちで耳を傾ける中、発表は佳境へと向かう。

 

「いよいよだ…」とモモイが息を呑んだ。

 

「ゴクッ…」ミドリも緊張で喉を鳴らす。

 

『それでは7位から受賞作品を発表します!………7位はエンジニア部、ウタハさんの光学迷彩下着セットです!』

 

『なぜ!!!?』

 

モモイたちは一斉に驚きの声を上げた。七位に選ばれた光学迷彩下着セット、明らかに問題がありそうな作品が堂々とランクインしていたのだ。

 

『これは身に付けてもその下の素肌が見えてしまうため、着ているのかそうでないのか分からないというエキセントリックな作品ですが………露出症の患者さんが合法的に趣味生活を営めるようになるという点で大変高い評価を………その評価した審査員2人が一体誰なのか気になってしまいますね!とにかく7位!』

 

銀時は興奮を隠せない。「やっぱり素肌の美とは誰でも憧れるよな……よし!元の世界に帰ったらあの時間止め時計を使って結野アナに無理やり着させてその姿を拝むと……」

 

「銀さん!」ミドリがすかさず銀時を制止する。

 

「すんません」

 

「銀さん思っても言っちゃダメです」とアリスもため息交じりに突っ込んだ。

 

その後も続々と受賞作品が発表され、部室内の緊張感は一層高まる。だが、テイルズ・サガ・クロニクル2の名前は一向に呼ばれない。

 

4位、3位、2位と発表が進んでも、ゲーム開発部の名前は上がらない。

 

「えぇー、ここまで来て名前が出ないなんて……嘘でしょ?まだ……まだ終わってないよね?」とモモイが不安げにつぶやく。

 

次の瞬間、司会の桂が大げさな演出で最後の作品の発表に入った。

 

「最後に!今回のミレニアムプライスで、最高の栄誉を受賞した作品でだ!」

 

3桁を超える応募作品の頂点、その発表がいよいよ迫る。

 

「ドキドキ……!」

 

「も、もしかしたら…」

 

「お願い……」

 

「ドキドキドキドキ…」

 

モモイたちは期待と不安の入り混じった表情で画面を見つめた。

 

『1位を受賞した作品は……』

 

『ゴ、ゴクリ………』

 

その瞬間、CMの合図が入り、画面が急に変わった。

 

「――CMの後だッ!」

 

「……アリスッ!銀さん!」と、モモイが怒りを抑えきれず銀時を振り返る。

 

「はい!銀さんいきましょう!」アリスが銀時の袖を引っ張る。

 

「うっし!ヅラ首を洗って待ってやがれ。テメェの首で会場全体を歓声の雨ではなく悲鳴と血の雨に染めてやる!」銀時が勢いよく立ち上がろうとするが、ミドリが慌てて止めに入る。

 

「ストップストップ!襲撃しようとしないの!気持ちはわかるけど……」

 

「分かった……襲撃はやめてやる」

 

「ふぅ…」安堵の声を漏らすミドリ。

 

「だがお話ぐらいはしたいかな」

 

「木刀を持って!?」ミドリが驚きの声を上げた。

 

「と、とりあえず落ちついて、ね?」とユズが必死に場を収めようとする。

 

その時、CMが終わり、再び会場の映像が映し出された。

 

『さぁ! それでは一位の発表だ!』

 

「きた!」モモイが再び息を呑む。

 

「ゴクリッ……」と、ユズも手に汗を握る。

 

「お願いお願いお願い…」

 

『待望の1位は――――』

 

部室内が一瞬にして静まり返り、全員が息を呑む。

 

『新素材開発部――』

 

「うわああああ!!!」

 

その瞬間、モモイの絶望の叫びが部室中に響き渡った。受賞発表が終わったにも関わらず、彼女たちの名前は最後まで呼ばれることはなかった。

 

モモイは顔を歪め、怒りと悲しみが混じった表情でテレビの画面を睨みつけた。彼女の目には悔しさの涙が浮かんでいる。

 

そして――

 

「もう、耐えられない!!」

 

モモイは我慢できずに立ち上がり、リモコンを掴むと全力でテレビに向かって投げつけた。テレビはバチンという音を立てて消え、画面が真っ暗になった。

 

「おいおい、落ち着けよ! テレビ壊したって何も変わらねぇぞ!」と、銀時が慌ててツッコミを入れる。

 

しかし、モモイの怒りは収まらない。「なんでよ! なんで私たちのゲームが選ばれないの!? あんなに頑張ったのに、こんな結果って……!!」

 

モモイは涙ながらに叫び、周りのユズとミドリも呆然とした表情でその場に座り込んでいた。静かに涙を流す二人を見て、銀時は頭を掻きながらため息をつく。

 

「ったく、またこうなるか……でもな、お前ら、結果が全てってわけじゃねぇんだぞ。賞なんか取れなくても、お前らがやったことには意味があるんだよ。ほら、もう一度落ち着いてみろよ。お前らは、自分たちのゲームを作り上げたんだろ?」

 

「いいよ慰めの言葉なんて!どうせ全部持って行かれちゃうんだし、もう関係ない!」モモイはそう叫んで、さらに肩を震わせる。

 

ミレニアムプライスの発表はすべて終わり、結局、ゲーム開発部の名前はどこにも呼ばれることがなかった。ゲーム開発部の未来は――廃部。モモイは悔しさで顔を歪め、泣き崩れてしまう。

 

「うえぇぇん! 今度こそ終わりだぁぁぁぁ!」

 

「うぅ……結局、こうなっちゃうなんて……」と、ミドリも涙声で呟く。

 

ユズも堪えきれず、声を震わせながら静かに涙を流し始めた。

 

「落ち着いて、お姉ちゃん。ユズちゃんも―」と、ミドリが二人をなだめようとするが、彼女自身も涙をこぼしながら言葉を紡ぐのがやっとだった。

 

「分かってるよ!」モモイは涙ながらに腹から声を張り上げ、大きな声で叫んだ。

 

「全部が否定されたわけじゃない、へこたれる必要なんてないって!……ネットでの評判も悪くなかったし、クソゲーランキング1位のあの時から、私達はちゃんと成長した!」

 

モモイの言葉は力強かった。彼女の中にある情熱と誇りを込めて話していた。実際、ネット上では彼女たちのゲームは好評を得ており、少しずつではあるが、その評判は良い方向に向かっていたのだ。

 

しかし――

 

「ユズと、アリスは……ッ!」

 

ゲーム開発部が廃部になる現実は、どうしても変えられない。ユズは寮に帰らなければならず、アリスに至っては帰る場所すらない。確かに他の場所でもゲーム開発はできるが、彼女たちがこの部室で築き上げてきた絆や思い出は、ここにしか存在しない。

 

「………」沈黙が部室を支配する。

 

「……心配しないで、モモイ。ミドリも。私、寮に戻る」とユズが言葉を絞り出した。

 

「えっ……」モモイはその言葉に驚き、涙目のままユズを見つめる。

 

「もう私の事を、クソゲー開発者って呼ぶ人は居ないと思う。ううん、もし仮にいたとしても、大丈夫。今の私には3人と銀さんたちがいるから。もう、怖くないよ」とユズは微笑みながら、銀時に感謝の視線を向けた。

 

「ありがとうございました、銀さん」

 

「待って、まだ終わってないよ……まだ何か方法があるはず…だから!」モモイが声を振り絞り、ユズの言葉に食い下がる。

 

「銀さんがこの部室に来てくれた時から、私達は大きく変わる事が出来ました。ずっと優しく見守ってくれて、信じてくれてありがとうございます。ただ、アリスちゃんは……」

 

ユズがアリスの方を振り返ると、アリスは静かに涙を流していた。

 

「……もう、皆とは一緒にいられないんですね」

 

その言葉を聞いて、モモイは声を詰まらせた。アリスが涙ながらに静かに呟くその姿を見て、モモイは何も言い返せなくなっていた。

 

「ッ……ごめんね……ごめんね、アリスちゃん! 私、絶対毎日会いに行くから! また一緒にゲーム作ろう!」モモイはそう言って、アリスを力いっぱい抱きしめた。

 

「ううぅ……! や、やっぱり嫌!こんなに仲良くなれたのに離れ離れになるなんて寂しいよ!」

 

「わ、私も……皆と一緒が良い……!」ミドリも涙ながらに言葉を絞り出す。

 

モモイ、ミドリ、そしてアリスは、大粒の涙を流しながら、抱き合って泣いていた。その様子を見て、銀時も何とかしてこの状況を打破できないかと、考えを巡らせていた。

 

「……………まだだ、まだ終わってねぇはずだ、まだ…何か……」と銀時は独り言のように呟く。

 

その時、不意に部室のドアが勢いよく開き、満面の笑みを浮かべたユウカが駆け足で部室に入ってきた。

 

「モモイ!ミドリ!アリスちゃん!ユズ!それと銀さん!」ユウカは息を切らせながらも、嬉しそうに叫ぶ。

 

「おいユウカ!コイツらが廃部になるって展開中にー」

 

銀時が反応する間もなく、ユウカは大声で言い放った。

 

「おめでとう!!」

 

「グスッ…おめでとうだなんて……………―?」

 

「は?」

 

突然のユウカの言葉に、銀時たちは頭が混乱し『――どゆこと?』と顔を見合わせた。

 

「……え?何、この反応?結果、見てなかったの?」ユウカが驚いた顔で返す。

 

「……結果?」モモイは戸惑った表情で尋ねた。

 

「……私達、7位以内に入れなくて……」ユズが悔しそうに下を向く。

 

 

「ちゃんと見てなかったの?」ユウカは呆れた様子でスマホを差し出しながら言った。「お姉ちゃんがディスプレイを壊しちゃて……」

 

「本当に何してるのよ……ほら、スマホ貸してあげるからちゃんと見てみて」

 

モモイはユウカの言葉に従い、差し出されたスマホを手に取ると、画面に映し出された結果を確認する。そこには――

 

「ミレニアムプライスはこれまで、生徒達の才能と能力で作られた作品に対し、実用性を軸に授賞を行ってきた。これはより良い未来を求め、実現していくという趣旨に基づくものである。異論は認めん!」

 

『しかし』

 

「今回の作品の中には、新しい角度から実用性を感じさせてくれたものがあった。その作品は懐かしい過去を鮮明に思い出させ、未来への可能性を感じさせてくれた。その名作だ。よって、我々はこの度、異例の選択をする事にした」

 

モモイの手が震える。

 

「それって……」

 

『特別カッツーラ賞、受賞作品……ゲーム開発部、テイルズ・サガ・クロニクル2だ!!』

 

「ええっ、嘘ッ!?」

 

「な、何が起きてるの……」と、ユズも呆然とした表情でその場に立ち尽くす。

 

モモイとユズが何が起きているのか理解できずにいる中、エリザベスがプラカードを掲げ、説明を始めた。

 

 

『レトロ風という時代を超えたコンセプト、常識に縛られず、次々と知っているキャラクターたちが登場し、自分の信念を貫いていくことで想像を超えていく展開。』

 

『一見してそれらとマッチしそうにない不可思議な世界観。最初は困惑の連続でしたが、新しい世界を旅して、一つ一つ新たな絆を結びながら、魔王を倒しに行く……そういったRPGの根本的な楽しさが、しっかり込められた作品だと思う。』

 

『プレイしながら、かつて初めてゲームに夢中になった幼年期の頃を鮮明に思い出す事ができた。そういった点を評価して、この作品に……今回、ミレニアムプライスの特別カッツーラ賞を授与を認める。お前ら良かったな。』

 

モモイ、ユズ、そして他のゲーム開発部のメンバーたちは、信じられないという顔でスマホの向こうでプラカードを掲げるエリザベスを見つめていた。

 

「え……本当に……?」モモイが呟く。

 

「特別カッツーラ賞……」ユズも呆然とした表情で呟き、ミドリも信じられないという表情だった。

 

ゲーム開発部は、一般的なランキングに名前が載らなかった。しかし、予想外の形で特別賞という大きな結果を手に入れることができた。

 

「本当におめでとう!……その、実は私もプレイしてみたの。決して手放しで面白かったとは言えないけど……良い作品に出会えた後の、あの独特な感覚が味わえた」ユウカは微笑みながら言う。

 

プルルルッ…

 

『モモ! ミド! あたしもTSC2やってみたよ! すっごい面白かった! 今ネットでも大騒ぎだよ! ヴェリタスの調べだと、有名アイドルの名前よりTSC2の検索数が多くなってるってさ!』

 

「ほ、ほんとに……?」モモイはその言葉に驚いてスマホを握りしめる。

 

ミドリがすぐに確認し、冷静な声で状況を説明する。

 

「確認しました。3時間前にアップしたテイルズ・サガ・クロニクル2は、先ほどまでダウンロード7705回、計1372個のコメントが付いていましたが……」

 

「ミレニアムプライスの発表以降、約26秒間でダウンロード回数が1万を超えました」

 

「コメントも約500個追加。言葉のニュアンスからして否定的・疑惑的なコメントが242件、肯定的・期待のコメントが191件。残りは不明、もしくは評価を保留にしているコメントです」

 

「こ、これってつまり、廃部にはならないんだよね!?」モモイが目を輝かせながら問いかける。

 

「えぇ、そうよ。ただし、あくまで臨時の猶予だから。正式な授賞ではないし、生徒会セミナーとしてはまた来学期まで、ゲーム開発部の部室の没収及び廃部を保留することにしたの」ユウカが説明する。

 

セミナー側が予定した受賞ではなかったが、後出しで特別賞を無効にすることは筋が通らないため、ゲーム開発部の廃部はひとまず保留という形になった。

 

「えっと、それから……ごめんなさい。此処にあるゲーム機の事、ガラクタって言って……ちょっとキツく言ったりもして、あなた達のおかげで思い出したわ。小さい頃に遊んだゲームのこと……だから、ありがとう」ユウカは笑顔でゲーム開発部にお礼を述べた。

 

「それじゃ、部室の延長申請とか部費の受付処理とかは必要だから、落ち着いたら生徒会室に来てね。じゃ、また後で!――本当におめでとう!」

 

そう言うと、ユウカは息をつき、さっさと部室を後にした。

 

「……ヅラの野郎やりやがったな?」と、銀時がニヤッと笑いながらに言った瞬間、モモイ、ユズ、ミドリの3人が同時に歓喜の声を上げた。

 

「やったぁぁぁぁぁ!」

 

「良かった……! 本当に良かった……!」

 

「やった……嬉しい……!」ミドリは大粒の涙を流しながら、言葉を詰まらせて喜びを表現している。

 

「えっと……え、えっと……?」アリスは未だに状況が掴めず、困惑したままキョロキョロと周りを見回す。

 

そんなアリスの手を、ミドリが涙混じりの笑顔で握りしめた。

 

「アリスちゃん! 私達、特別賞を受賞したんだよ! この場所も、私達の部室のまま!」

 

「えっと、つ、つまり……アリスはこれからも……皆と一緒にいて、良いんですか……?」

 

「うん! 勿論!」モモイが嬉しそうに頷きながら言った。

 

「これからも、よろしくね……!」

 

「そして……銀さん!!」モモイが突然銀時に向かって走り出した。

 

それを見たユズとミドリも、勢いよく銀時に駆け寄り、3人は銀時の胸へと飛び込むように抱きついた。銀時は3人が怪我をしないように、優しく受け止めた。

 

「ありがとう!!銀さんが一緒に廃墟に行ってくれて、鏡の時も頑張ってくれて!」

 

「私達に励みの言葉をずっと投げかけてくれて!」

 

「わ、私たちを……信じてくれた……!」

 

「アリスも!銀さんも!――ありが…とう…!」3人が涙ながらに銀時へ感謝を伝える。

 

銀時は少し照れ臭そうに返す。「……どういたしまして、かな?」

 

その瞬間、アリスも思い切って銀時の方へ飛び込んだ。

 

「アリスも!!銀さん!!」バッ!

 

「おげっ!」銀時はアリスに勢いよく突進されて、思わず声を上げたが、アリスをしっかりと受け止めた。

 

「ハッピーエンドの神様は私達のことを見捨ててなかった!!」モモイが笑顔で叫んだ。

 

「運が味方をしてくれた……ありがとう、神様!」ユズも目を輝かせて空を仰ぐ。

 

「――二人とも、それは違ぇよ」と銀時が優しく声をかける。

 

『?』

 

「幸せってもんは待つ物じゃねぇ、自分の手で掴み取る物だ。だからこの結果は運なんかじゃなくて……テメェら自身で勝ち取った結果だ」

 

その言葉に、モモイたちの顔は驚きから感動へと変わり、さらに強く銀時に抱きついた。

 

「おめでとう。後次からはテメェらだけで掴み取れよな。あんな労働はもう懲り懲りだからよ」銀時は冗談交じりにそう言って、優しく彼女たちを抱きしめた。

 

ゲーム開発部のメンバーたちは、感動の涙を流しながら、銀時に感謝を伝え続ける。

 

「アリスちゃん!」

 

「私達……!」

 

「これからも、ずっと一緒だよ!」

 

「……ッはい! これからも、よろしくお願いします!銀さんも!これからも、いつまでも!」

 

「あぁ」銀時は穏やかに頷き返す。

 

こうしてゲーム開発部の物語は、一つの幕を降ろした――。

 

―――――――――――――――――――――――

 

ミレニアムプライスの終了後

その頃、桂とエリザベスは密かにあの廃墟に向かっていた。

 

 

桂とエリザベスは静かな廃墟の中を歩いていた。廃墟の中は静まり返り、薄暗い空間には冷たい空気が漂っている。桂が足を止め、何かを見つけたように言った。

 

「おぉ!まだ動いている機種もあったのか」

 

エリザベスがそっと近づき、機械に触れると、機械が微かに反応し、スクリーンが光り始めた。

 

「こんばんは─AL-1S……いえ……アリス……のご友人の桂小太郎さん、エリザベスさん、要件をどうぞ」

 

スクリーンには文字が表示され、AIが応答を始めた。桂はその声を聞いて、一瞬驚きを見せたが、すぐに落ち着いて質問を始める。

 

「早速だが、虚という人物に心当たりはないか?」

 

スクリーンに表示される文字が一瞬止まり、次に応答が表示された。

 

「虚……はい。私を作り出した無名の司祭の方々と協力関係にある方で、天導衆の首領です。」

 

その言葉に、桂は目を見開いた。「何!」

 

エリザベスも驚きの表情を浮かべた。彼らはまさか、他の組織とのが関わりがあるとは予想していなかった。

 

「で、その無名の司祭とどの様な事を計画している!」と桂がさらに問い詰める。

 

しかし、AIは淡々と応答する。「我が主人についての機密情報のため開示できませんが、キヴォトス以前に存在していた、『名もなき神』の信奉者達。キヴォトスに残っている巡航ミサイルなどの我々オーパーツは、彼らが生み出したものになります。」

 

桂は焦りながら次の質問をぶつけた。「それじゃどの様に結託したかも教えてくれないというわけか?」

 

AIは一瞬静かになり、次の瞬間、スクリーンに「電源が落ちます。………それでは」という表示が出た直後、プツンと画面が消えた。

 

「いってしまったか……」桂は苛立ちを隠せない様子で呟いた。

 

その時、廃墟の中から低く重い音が響き渡り、何かが近づいてくる気配がした。見回りロボットたちが寄ってくる音だった。

 

『桂さん、ひとまずここを離れましょう』と、エリザベスが文字で注意を促す。

 

「そうだな」桂は頷き、周囲の様子を警戒しながら立ち去ることを決意した。

 

彼らが廃墟を後にした後、再び機械のスイッチが自動的に入り、スクリーンが静かに光り出した。

 

─データ復旧率、98.00%。

 

機械が次々とデータを処理し、システムが再起動する。

 

─システム作動……準備完了。

 

そして、プログラムが起動し始めた。

 

─プログラムをセット……Divi

 

機械が静かに動き出し、最後に一言つぶやくように文字を表示した。

 

─AL-1S……いえ……アリス……。

 

「私の、大事な…… @#$%^&*(!@$!!」

 

その後、スクリーンはノイズに包まれたが、しばらくしてまた新たな文字が浮かび上がった。

 

「坂田銀時……桂小太郎……侍…………イレギュラーな、存在…」

 

「彼らは…危険…すぎる……」

 

「再起不能…並びに……排除を…検討」

 

――――――――――――――――――――――――

 

????

「すいません。臨時の情報が入り遅れてしまいました。」

 

黒服が、謝罪しながら室内に入ってきた。部屋の中では、数名の男たちと女がその報告を待っていた。

 

「全く、高杉様を待たせるとは一体どうゆう了見すか!」と叫んだのは、二丁の銃を手に持ったまた子。怒りに任せて、黒服に銃を向けている。

 

「また子、落ち着くでござる」と、冷静な声が響いたのは、三味線を奏でながら刀を腰に差した男、河上万斉だった。

 

「そうですよ〜また子さん。今はゲマトリアの方々との良い関係を築いていくことが重要です。その銃を降ろしなさい」と、強面のもう一人の男、武市半平太が静かに言った。

 

また子は、不満げに銃を下ろしたが、まだ怒りが収まらない様子だった。

 

「おいそこまでしておけ……で、臨時の情報ってなんだ?」と、片目を包帯で覆い、女物の艶やかな着物を纏った男が、悠然と煙管を咥えながら尋ねる。この男こそ、高杉晋助であった。

 

「はい。先ほどミレニアムサイエンススクールの近くの廃墟で、桂小太郎とエリザベスが虚と無名の司祭についての情報を掴んだそうです」と黒服が報告する。

 

「そうか……なら、近いうちに銀時の耳にも届くだろうな」高杉は冷静に煙を吐きながら返事をした。

 

その時、黒服がふと尋ねた。「あのー兄弟子と呼ばれる方は何処へ?」

 

「アイツならあんたらのババアに交渉に向かったさ」と、高杉が返答する。

 

「そうですか。あの方は少々手に負えないところがあります。気をつけた方が良いですよ。それでは」と黒服は一礼して、すぐにその場を後にした。

 

高杉は、煙管を傍らに置きながら、最後に静かに呟いた。

 

「銀時……お前はこの世界でも囚われの身となるか……それとも」

 

――幕は再び上がり、新たな物語が動き出そうとしていた。




次回予告
神楽「みんな!銀魂のコラボやら2Dシアターであった人はまた会ったアルな。見てない人は久しぶり、または初めましてアル」

新八「皆さん久しぶりです。次回からは銀さんが飛ばされた時に巻き戻って僕らの話になります。」

神楽「おいメガネ。いつからお前が仕切っていいって許可をもらったアルか?」

お妙「そうよ新ちゃん私にも説明させなさい」

新八「姉上!?」

お妙「どうやら私たちの降り立つのは山海経ってところらしいわ
至る所に美味しい食べ物と……私よりも乳が大きい娘ばかり……もぎ取ってやるわ‼︎」

新八「それはダメーー!!山海経での僕らの評判落としたら僕たちどうやって暮らしていくんですか!というか説明と称して単に愚痴を言ってるだけでしょうが!」
次回 万事屋は三人で一つ也

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

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