透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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教えて金八先生

坂田金八「ん?」

坂田金八「あぁ皆さん初めまして坂田金八だ。」

坂田金八「今銀八は放課後にテスト監督やってるから代わりに俺が担当するぜ。」

坂田金八「今日初登場のピー金時。コイツについてはいろいろやりすぎな性能がついていたり、理屈が分からないってなるかも知らねぇがそん時はこの俺坂田金八にしつもんしてれよな」

坂田金八「じゃあまた今度会おう!」
ーーーーーーーーー
作者「金八って金八先生と被ってるけど……名字ついてるからセーフだよね?」


第四十五訓 自制しないと身を滅ぼすよ

裏シャーレにて、銀時は山のように溜まった連邦生徒会の仕事に囲まれていた。

 

提出期限を1ヶ月も過ぎた書類の山。銀時はそれらに向き合うどころか、机の下に潜り込んで隠れることでやり過ごそうとしている。

 

「坂田先生〜、坂田先生〜!」

廊下から、書類の回収に現れたモモカの声が響く。

 

「1月前までに提出すべき書類を受け取りに来たよ〜。いるのは分かっているからねぇ〜」

 

机の下で身を潜める銀時と、その場に居合わせた本日当番のモモイ、ミドリ。

 

モモイが小声でぼやく。「あーあ、だから早く逃げようって言ったのに……」

 

銀時は深呼吸し、悟りでも開くような表情で呟いた。

「し、静かにしろ。宇宙と一体化するんだ」

 

「宇宙と?」モモイが不思議そうに聞き返す。

 

「俺たちは宇宙の一部であり、今抱えている問題なんて小さく感じるから……」

 

しかしミドリは冷静に現実を突きつけた。

「いや、問題が小さく感じても、逃げ切らないと意味ないよね?」

 

銀時は声を潜めながら抗議する。「仕方ねぇだろ! 今、部屋中が書類で埋まってる状態なんだから!」

 

そこへAIアロナの冷静な声が響く。

「でも先生、当番を活用していましたよね?」

 

銀時は一瞬の沈黙の後、呟くように答える。

「あぁ、良く当番の仕事をやってくれたさ……」

 

するとモモイが得意げに胸を張った。

「えっへん!」

 

その瞬間、銀時の拳が炸裂する。

 

ボカッ!

 

「テメェ以外はな!!」

 

モモイが悲鳴を上げる。「えェェェェェェ!!」

 

銀時は怒りを爆発させた。

「えぇじゃねぇよ! ミドリはまだしも、テメェは襲撃フラグ立てて部屋が無茶苦茶になるわ、ゲームで負けたら癇癪起こして書類破るわで、面倒事増やしやがって!! お前何? 自己主張が強くてギャーギャー喚く第一反抗期のガキですか? コノヤロー!!」

 

モモイが涙目で抗議する。「そんなに私を責めないでよぉ〜」

 

ミドリが冷静に横槍を入れる。「銀さんに、お姉ちゃん、そんな声出したら……」

 

その時、背後から声がした。

 

「なんか修学旅行みたいでドキドキするねぇ〜」

 

振り向くと、机の下に潜り込んでいたモモカがニッコリと微笑んでいた。

 

 

「うわァァァァァァァァ!!」

 

銀時、モモイ、ミドリの三人は一斉に飛び出し、モモカを振り切ろうと必死で走り出した。

 

しかし出口には、もう一人待ち構えていた者がいた。

 

「残念でしたね」

連邦生徒会行政官のリンが、腕を組んで立ち塞がる。

 

「モモカはサボるための鍵開けが得意なんですよ」

 

モモカが得意げに微笑む。「それほどでも〜」

 

リンは冷たく告げる。「全然感心はしませんが……」

 

「坂田先生、大人しくお縄に――」

 

しかしその瞬間、何かが飛び出してきた。

 

「バクッ!」

 

巨大な犬・定春が飛びかかり、頭をバクンと食べた。

モモカが驚く。「リ、リン先輩!!」

 

銀時は小躍りしながら叫ぶ。「定春、お手柄だ!」

 

そしてそのまま外へと飛び出していく。

 

 

「銀さん、どうすんの!」

モモイが走りながら叫ぶ。

 

銀時が顔をしかめながら答える。「くそ、このままじゃ一日中逃走中で終わることに……」

 

その時、不意にアロナが言った。

「先生、ヴェリタスから連絡が。表示しますね」

 

タブレットに映し出されたのは、マキからのメッセージだった。

 

『銀さんへ、今世紀の大発見したから今すぐ来て!! 源外さんが改良したスクーターそっちに転送したから。マキより』

 

その瞬間、目の前に改良された銀時のスクーターが出現した。

 

モモイが興奮する。「マキちゃんナイス! 銀さん、これ使って逃げよ!」

 

しかし銀時は眉をひそめて呟く。

「えぇ? あの爺さんが改良したスクーターなんて、事故るから乗りたくねぇんだけど……」

 

ミドリが冷静に背後を指差す。「でもそんなこと言ってる場合じゃないよ。さっさと行こ!」

 

銀時が観念して叫ぶ。「なるようになりやがれ!!」

 

ブウォォォォ!!

 

スクーターは勢い良く走り出す。

 

「すごォォォォォォ!!」

モモイが歓声を上げる一方で、ミドリが冷静に指摘した。

 

「銀さん……これ、止まれるの?」

 

銀時とモモイが一斉に振り向く。「ん?」

 

ミドリが冷静に指差す。「ロケットブースター付いてるけど……」

 

「うあァァァァァァァ!! 止まれねェェェェェ!!」

銀時が悲鳴を上げた瞬間、後方からリンの声が追いかけてくる。

 

「待ちなさァァァァァァァァい!!」

 

「出来ねぇんだよ! 物理的にも!!」

銀時が叫びながら、スクーターは暴走を続ける。

 

 

 

突如、スクーターから通信が入る。

 

ピッピッピ

「銀の字、聞こえるか?」

 

「じ、じじい!?」

 

源外の冷静な声が響く。

「お前さんのことだ、焦ってロケットブースターを起動させちまったかもしれねぇな」

 

モモイが叫ぶ。「予想できてた話なら最初から連絡しなよ!!」

 

「そこでスクーターのボタンを押してみろ」

 

銀時は渋々ボタンを押す。「仕方ねぇ、状況を打破するぞ……」

 

ポチ

 

ヴォォォォォォォォ!!

 

銀時たちを乗せたスクーターは、空を飛び始めた。

 

「うわぁぁぁ〜空を飛んでるよ!!」

モモイが叫び、ミドリはようやく安堵の表情を浮かべる。

 

「これなら逃げられるし、事故もしないね。心配して損した」

 

「な、何とかなったな……」

 

しかし、再び源外の声が響く。

 

「おい銀の字、もし空を飛んでるなら早めにミレニアムまで来た方がいいぞ」

 

「……なんだよ」

 

源外は軽い口調で続けた。

「お前さんのスクーター、エンジンが古すぎて長時間持たねぇ。移動できる時間は10分が限界だ」

 

銀時たちの顔が青ざめる。

 

「そしてエンジンが尽きたら……爆発する」

 

「なぁモモミド? 今、ミレニアムからかなり離れてるんだけど〜」

銀時が震える声で尋ねる。

 

ミドリが冷静に答えた。「全然大丈夫じゃないよ」

 

「加速ゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

銀時が叫び、スクーターは再びスピードを上げる。

 

「うわぁァァァァ!! 息が……出来ないィィィィィィィィ!!」

モモイが悲鳴を上げる。

 

「が、我慢しろォォォォ!! このままじゃ爆発して入院する羽目になって――」

 

銀時は目を閉じ、リンに監視されながら書類整理を続ける地獄の未来を想像した。

 

「永遠にリンに監視されながら仕事なんてしたくねェェェェ!!」

 

「それって普通は大人としての責務なんだけどねェェェ!!」

ミドリが突っ込む。

 

「見えてきたよォォォォ!!」

モモイが叫ぶが、同時に警告音が鳴り響く。

 

ピッピッピッピッピッピ

 

「間に合ェェェェェェ!!!」

 

ドカァァァァァァァァァン!!!!

 

ミレニアム到着――そして……

 

「ヘボッ!!」

「グハッ!」

「イタッ!!」

 

地面に転がる銀時、モモイ、ミドリ。その前に立つのは、マキだった。

 

「あっ、銀さんたち、よく来たね……どうしたのそれ?」

 

地面から立ち上がりながら、銀時は怒りの声を上げる。

「あのジジイ、次に会ったら獄門疆に封印してやる!!」

 

ミレニアム中央区の一角、ヴェリタスの部室がある棟に銀時たちは到着していた。この部室棟は、部員数の多い主要部活が集中して入居しているエリアで、部室自体もフロア全体を占めるほどの広さを誇る。最新設備が揃ったヴェリタスの部室には、彼女たちの探究心と知識欲を満たす環境が整っていた。

 

「へぇ~、源外先生ってそんなことしてたんだ? 次回からは気をつけておかないとね~」

マキが無邪気に笑いながら話す。

 

「まぁそんなことは置いといて、何? 世紀の大発見って?」

モモイが身を乗り出して問いかけると、銀時が深いため息をつきながら口を挟んだ。

 

「おいおい、そんな期待すんなって。どうせあれだろ、TV番組でNH○が『世紀の大発見!』とか見出しだけで煽って、内容はスカスカってやつと一緒だろ?」

 

「そ、そんなことないよ~! 今回は本当にすごいの!」

マキが抗議するように言い返すが、銀時はなおも疑い深い顔を崩さない。

 

廊下を歩いていると、背後から小柄な二人が駆け寄ってくる声が聞こえた。

 

「アリスは銀さんたちを発見しました!」

「こ、こんにちは……」

 

声を掛けてきたのはアリスとユズだった。ゲーム開発部の仲間たちもマキから連絡を受けて、ここに集まったようだった。銀時が二人に視線を向けて言葉を投げかける。

 

「おっ、アリスにユズ、久しぶりだな。テメェらもこいつに呼ばれて来たのか?」

 

アリスが胸を張って答える。

「そうです! 重要なイベントが発生するかもしれません! ストーリー進行のためにも取り逃しは極力避けるべきです!」

 

マキの呼びかけに応じて、ゲーム制作に行き詰まった彼女たちは何かしらのアイディアを得ようと、皆でヴェリタスを訪れることにしたらしい。そんな中、銀時たちが驚いたのは、普段めったに外出しないユズの姿だった。

 

「ユズがここに来るなんて珍しいね、どうしたの?」

ミドリが不思議そうに尋ねる。

 

「が、頑張ろうと思って……ただ、ここまで来るのが、大変で……」

引きつった笑みを浮かべるユズは、慣れない外出に明らかに疲れている様子だった。普段は部室に籠りきりの彼女にとって、人の多いヴェリタスのある部室棟まで来るのは一苦労だったのだろう。

 

「ヴェリタスの部室までもう少しだよ、ユズ!」

「ユズが倒れないように、アリスが支えます!」

「無理しないでね、ユズちゃん。もしダメそうだったらすぐ戻ろう?」

 

モモイ、アリス、ミドリがそれぞれ励ましの声を掛け、ユズの肩や背中を支える。彼女たちの温かい言葉に、ユズは小さく微笑んで頷いた。

 

やがてヴェリタスの部室に到着し、扉を開けると、室内には薄暗い光が広がっていた。モニタの明かりだけがぼんやりと室内を照らし、リラックスした様子のハレとコタマが出迎えた。

 

「やぁ、みんな」

ハレが軽く手を挙げて挨拶するが、銀時はそれにすぐさま噛みついた。

 

「やぁじゃねぇよ! お前らのせいで大変な目に遭ったんだからな!」

 

「? マキ、どういうことだい?」

「気にしないでいいよ~」

マキが軽くあしらうと、モモイがすかさず声を上げた。

 

「それより! それよりィ~! ヴェリタスが見つけたものについて教えてほしいなぁ~!」

 

部屋を見回したモモイの視線が、隅にあるシートを被せられた物体に吸い寄せられた。その大きさに驚いた彼女は、目を輝かせてハレに詰め寄る。

 

「お、何々、モモイちゃんは結構興味津々な感じ?」

「――もちろんだよ!」

 

「取り敢えず例のモノに関しては――ここにあるよ」

 

ハレが指し示す先には、灰色のシートを被った何かがあった。マキは上機嫌にその前に立ち、勢いよくシートを引き剥がした。

 

「じゃーん!」

 

現れたのは奇妙な機械だった。ヴェリタスの整備用ハンガーに吊るされ、その無機質な姿は異様な存在感を放っている。

 

「は? 何これ? 源外のじいさんの失敗作か何か?」

銀時が露骨に眉をしかめる。

 

コタマが軽く咳払いして訂正した。

「いえ、これはミレニアム学区の郊外で発見されたものです。ここにあるのは五体程度ですが、現地には少なくとも二十体以上が廃棄されていました」

 

「アイツら、またあんな気持ち悪りぃとこに行ったのか?」

銀時は思わず頭を掻きむしる。

 

「ええ、実際に運んできたのは桂さんとエリザベスさんですけどね」

「……相変わらずだな、あのバカ二人」

 

ハレが一歩前に出て説明を始めた。

「私たちが見つけた時、この機械には奇妙な違和感がありました。廃棄されていたにしては随分と状態が良いし、何かの目的を果たす途中で力尽きた……そんな感じがするんです」

 

「へぇ……それにしても、何だかホラー映画に出てきそうな見た目だな」

銀時がぶつぶつと文句を言いながら、機械をじっと見つめる。

 

「まぁ、ここまでの話を聞く限り、ただのスクラップってわけでもなさそうだね」

ミドリが思案顔で呟くと、マキがにやりと笑った。

 

「でしょ? これが私たちの『世紀の大発見』なんだから!」

 

奇妙な機械を前にして、ヴェリタスの面々と銀時たちの緊張感が少しずつ高まっていく――これが、ただのガラクタで終わらない予感を感じながら。

 

「な、なにこれ……! なんか想像していたのと全然違うんだけれど!? コメディだと思ったら急にホラーになった感じっていうか……!」

 

「ちょ、ちょっと、フォルムとか、変な感じ……」

 

モモイとユズの両名は想像していた『凄いもの』より奇妙で、禍々しい気配を放つソレに思わず気圧される。マキはそんな二人を視界に捉えながらケラケラと笑い、吊り下げられた追跡者の外装を素手で叩いた。金属特有の硬質的な音が部室に響き、マキは肩を竦める。

 

「あはは、まぁ確かに、なんか深海魚みたいな見た目しているよねぇ、コレ」

 

「深海魚というのは中々的を射ていますね、外装だけ見ればかなり個性的です」

 

「う、うーん、個性的というかなんというか、これってさ、そもそも本当にミレニアムで作られたロボットなの?」

 

ミドリはおっかなびっくりといった様子で機械の周囲を歩き回り、様々な角度で外見を観察する。ハレは手元の端末をスライドさせながら、首を横に緩く振った。

 

「どうだろう、少なくともミレニアムで作ったドローンの中に、こんな形状のヤツはなかったと思うけれど」

 

「えぇ、これだけ特徴的なフォルムをしていれば、どこかで目にした時点で忘れない筈です」

 

「ってなると、やっぱりミレニアム外から流れついた機体って事なのかな~?」

 

「あり得ないとまでは云えないけれど、うーん……」

 

 モモイの問い掛けに頭を指で掻くハレ、彼女からすればコレがミレニアム外で開発・製造されたとは正直信じ難いものがあった。

 というのも、まだ本格的に分析、解析を行った訳ではないが、ハレは目の前の機体から高度な科学技術・テクノロジーの匂いを感じ取っていた。キヴォトスに於いて最先端の技術を持つミレニアム、そのトップに近い場所に座すと自負している彼女からすると、それを凌駕する技術を他所が有しているという現実は聊か認め難いものがあり、ましてやそれについて欠片も知識が無いなど、正しく驚愕に値する事実であった。

 

 確かにあり得ない訳ではない、それこそ最近現れた源外などが作る機械でも解析に膨大な時間を要するテクノロジーを有していた事実をハレは知っている。

 そこまで思考を巡らせ、ハレは静かに視線を銀時へと向けた。当の本人はだらけきった目で捉えただけ、それを他所にミドリ淡々とした口調で問う。

 

「……この機械は今起動出来るの?」

 

「え? あぁ、えっと、その辺りについては私達の方でも一通り調べてはみたけれど……」

 

「まぁこれだけ綺麗に残っていると、まだ動くんじゃないかって思うよね」

 

ハレが言葉を濁すと同時、マキは吊り下げられた主腕を指先で弾きながら頷く。その様子からは、目の前の存在が動く事はないと高を括っている様に見えた。

 

「外装を隈なく探しましたが、電源ボタンはおろか接続ポートすら見つかりませんでした、それどころかこの機体、外装表面に継ぎ目すら存在しないんです」

 

「やっぱりガラクタだろそれ?電源も付かねえし、接続出来ねえなら単なる不良品じゃねぇか。もしもーしクーリングオフ利用したいんですど〜」

 

「銀さん……クーリングオフ制度は利用できないよ。購入してないから……」

 

「そして、継ぎ目もないから外装を取り外す事も出来ないし、内部を見れないから起動しない理由がハードなのかソフトなのか、はたまたそれ以外の理由なのか、それさえも分からなくて……」

 

「中央から覗く黒いケーブルの様なものも、外皮シースを簡単に分析してみたのですが、PVCポリ塩化ビニル、PEポリエチレン、FEPテフロン、VVビニルシース、EV、CV――どれにも該当せず、そもそもケーブルなのかすらどうかも不明なんです」

 

「まるで細長い機械を球体状に纏めて、外装を纏わせたような感じだよね? もしそうなら、この黒い部分の強度や簡易分析結果にも納得がいくし! でもそうすると、何でこんな形状にしたのって疑問も湧いて来るしさ~」

 

 

「装甲強度も高すぎるって程でもないし、開発者の趣味、って事なら考察する必要もないのだけれど」

 

ヴェリタスがこの機械を回収し、内部機構を露出させず簡単に分析した結果は――正体不明。

 そもそもどういう用途で開発されたのか、どのようにして製造されたのかすら見当も付かない。一応エンジニア部の面々にも見せてはみたのだが――興奮した彼女と源外達に外装を分解されそうになり、慌てて回収したという事情がある。「五体も在るのだから、一体位……!」と躍起になる彼女と源外達を説得するのは、大変に骨が折れた。

 ハレは手元の端末をテーブルの上に放ると、当時の事を思い出し額を指先で抑えながら溜息交じりの口調で告げる。

 

「だから銀さんを呼んだんだ〜、一応ミレニアムの工房やエンジニア部の助けを借りれば無理矢理外装を溶断したりする事も可能だったけれど、万が一危険物だったら大変な事になりそうだし今回の銀さんたちが爆発に巻き込まれたようにね。」

 

マキは銀時たち先ほどのスクーターで爆発にあった事を例にあげながら、協力を頼んだ。

 

「そうなる前に、シャーレにご協力を頂けたらと思いまして」

 

「……へいへいとりま……山にでも埋めて自然に還すかみんな〜手伝って〜」

 

 

「待って!銀さん話聞いてたよね?このロボットは――」

 

【―――】

「……ッ!」

 

 目の前の銀時に抱えられた機体、その黒く沈んでいたレンズが唐突に煌めいた。

 

「えッ、何!? 電源が入った!?」

 

「えっ、ホント!?」

 

ギギッ、と錆びた金属の様な音を立て、撓る主腕と六本の操作糸。周囲を風切り音と共に切り裂くそれに、銀時は思わず距離を取った。

 

 

「ぎ、銀さん……!?」

 

「ち、違う断じて! お、俺は何もしてねぇよ!? 担いだだけだしィィィィ!」

 

周囲を見て回っていた為、何かしたのではないかとミドリが銀時に声を掛ければ、当の本人は両手を振りながら否定を叫ぶ。唐突な稼働、それに浮足立つ生徒達。ゲーム開発部とヴェリタスは慌てて機体から距離を取り、驚愕の視線を機械に向ける。

 

 

アリスが機械に向かって動き出した。

 

「アリスちゃんずっと黙ってたのに急に動いてどうしたの?」

 

「―――……」

 

「アリス、これを……これを、知っています」

 

 呆然と、何かに操られるようにして呟くアリス。そう、彼女は目の前の存在を――コレ守護者を知っている。

 床に落ちた紙幣を踏み締め、アリスは一歩、また一歩と歩き出す。

 それは自身を守る盾、障害を排除する矛。

 玉座に座した■■に傅き、主と仰ぎながら全てを捧ぐ終焉の尖兵。

 

 ――私の……。

 

 誰かがアリスに語り掛けていた、それは彼女にしか聞こえない声。優しく、機械的で、包み込む様で、彼女の内側から理解不能な何かを引き出そうとする。

 知っている筈なのに――知らない。

 近い筈なのに遠い、誰か。

 

「まさか、外部ネットワークを経由して侵入したの――ッ!?」

 

ハレは咄嗟に部室全体を見渡す。瞬間ヴェリタスの使用していたモニタ、その全てに紫色の光に包まれた。画面が切り替わり、表示されるのは『Divi:sion』の文字――コントロールを離れた部室内の電灯が落ち、PCを含むあらゆる電子機器が異音を発し始める。

 

「えっ、何……何か、モニタが一斉に、変な――!?」

 

「ま、待って、アリスちゃんの様子がおかしいよ……!」

 

「あ、アリスちゃん?」

 

 ――私の大切な……。

 

 ゲーム開発部が部屋の唐突な変化に身を竦ませ、アリスの様子がおかしい事に気付き声を掛ける。しかし彼女は仲間達の声に意識を向けない、振り向こうとも思わない。ただ何かに誘われるように、一歩、また一歩と進んで行く。

 

アリスへと手を伸ばす。しかし一歩、ほんの一歩遅かった。まるで紫電の様に走る光が、追跡者とアリスを繋ぎ、致命的な命令オーダーがアリスの瞳――その存在本質を貫いた。

 

「――起動開始」

 

先程まで蠢く程度であった追跡者の主腕が整備用ハンガーを叩き壊し、轟音が部屋に鳴り響く。拉げた金属が転がる音、破壊音、六本の操作糸が足の様に機体を支え、五体の追跡者が一斉に息を吹き返す。

 

ヴェリタスの部室内は一瞬で緊張感に包まれていた。奇妙な機械、追跡者が起動し、その中央に立つアリスの瞳が鮮やかな赤に染まる。その様子に銀時たちやヴェリタスの面々は次々と驚きの声を上げた。

 

「うわぁ!? 本格的に動き始めた!? 何で急にっ、コタマ先輩何かした!?」

「違います、私は何も……! そもそもPCの様子がッ……!?」

「アリスもPCも、変だよ…! これって、誰かから攻撃を受けているの――!?」

 

アリスの冷たく無機質な声が響く。

「コードネーム、『AL-1S』起動――プロトコルATRAHASISを実行します」

 

アリスの瞳は青から赤へと変貌し、その表情にはもはや人間らしさが消えていた。その姿を目にした銀時は目を細め、息を呑む。

 

「おいおい、こりゃ洒落にならねぇぞ……」

 

彼がそう呟いた次の瞬間、追跡者が放った紫の光弾が部室の壁を突き破った。破片が部屋中に飛び散り、生徒たちは悲鳴を上げながら身を隠す。

 

「あ、ぶッ……!? 撃ってきたッ!?」

「ちょ、ちょっと、これ本気でヤバいやつだよね!? 逃げないと!」

 

銀時は慌てるゲーム開発部のメンバーを掴み、デスクの後ろに引っ張り込む。

 

「テメェら、アリスとあの鉄クズどもから離れろ!」

 

咄嗟に状況を理解したハレやコタマ、マキも近くにあるデスクやラックを引き倒し、即席の障害物として身を隠す。だが、追跡者たちは止まらない。球体の中心から次々と放たれる光弾が、部室内の機材や遮蔽物を次々と吹き飛ばしていく。

 

「ちょ、ちょっと待って! あいつら急に硬くなったみたいだよ!? 私の銃、弾かれるんだけど!」

「まさか、起動と同時に装甲が強化されたのでは……!? こんな設定、どこに書いてあったの……!」

「弾丸も通らないとか、マジで深海魚が硬質化したみたいじゃん!? 冗談じゃないって!」

 

ヴェリタスの面々が焦る中、銀時は追跡者たちの動きに目を凝らしていた。彼らはアリスを中心に動き、まるで彼女を守るかのように盾となっている。

 

「……違ぇな。これ、アリスが操られてるんじゃねぇ」

 

「え、えっ……? どういうこと?」

 

銀時は拳を握り締め、鋭い目で追跡者とアリスを交互に見据える。

 

「逆だ。あいつらを操ってんのは――アリスだ」

 

その言葉に全員が目を見開いた。

 

アリスは静かに前進を続けていた。その姿はまるで、自分の意志ではないかのように迷いがない。

「光の剣スーパーノヴァ――抜剣起動」

 

背中に背負った巨大な砲――それはヴェリタスの誰もが知る兵器、「光の剣スーパーノヴァ」だった。本来、個人が携行するには規格外の性能を持つその武器を、アリスは軽々と構えた。

 

「こんな閉所で撃ったら……私たち全員、ただじゃ済みませんよ!」

 

「危険すぎる! 阻止しなければ――!」

 

だが、アリスの行動は止まらない。彼女は無言のまま銃口を銀時たちに向けた。その目には明らかな「排除の意志」が宿っている。

 

「アリスちゃん!? 正気に戻ってよ! 私たちは仲間でしょ!?」

「やめて、アリスちゃん! 撃っちゃダメだよ!」

 

銀時はアリスを真正面から睨みつけ、彼女の行動を止めるために動こうとした。

 

「アリス! てめぇ、それ以上動いたらゲームオーバーになるぞ!」

 

その声も届かず、アリスは淡々と冷たい声で言葉を紡ぐ。

 

「解析完了……最優先排除目標、銀時・坂田。排除プロトコルを実行します」

 

「……ったく、そう簡単にやられてたまるかよ!」

 

叫びと共に、銀時はアリスへと飛びかかった。だが、追跡者たちが彼女を守るように立ち塞がり、主腕を振りかざしてきた。銀時は辛うじて攻撃を避けるが、その威力に驚愕する。

 

「……おいおい、どこまで本気なんだよ、このバカ力……!」

 

背後では、ヴェリタスの面々がその様子を見守りながらも、どう動くべきか迷っていた。

 

「銀さん、危険です! 無理しないで!」

「ちょっと待って、この状況どうすればいいの!? 銃じゃどうにもならないし!」

「分析が追いつかない……どうしてこんなことに……!」

 

銀時は振り返り、彼女たちに向かって叫ぶ。

 

「お前ら、考え込む暇があったら手伝え! それともこのまま全員あの化け物に殺されたぇのか!?」

 

その言葉に、ヴェリタスのメンバーが再び銃を構え直す。そして、銀時と共にアリスを止めるための行動を開始した――。

 

緊張感が漲る部室内。アリスは「光の剣スーパーノヴァ」を構えたまま、冷徹な声で排除命令を宣言した。

 

「目標、全生命反応の殲滅――プロトコルATRAHASIS、発動」

 

その言葉と共に、巨大なエネルギーが銃口から迸り始めた。青白い光が砲口に集中し、空気が震える。

 

「まずい……! あのレールガンのエネルギー量、この部屋の防壁じゃ絶対持たない!」

 

「即座に阻止しなければ、ここは――崩壊します!」

 

「待って、何かできないの!? どうにかして止めないと――!」

 

一方、銀時は追跡者の動きを封じるべく立ち回り、次々とその機体を攻撃するが、主腕や六本の操作糸が鋭く反撃してくる。

 

「くそっ、動きが速ぇ……こいつら何なんだよ!」

 

追跡者の一体がその鋭い主腕を振り下ろし、銀時の横をかすめた。だが銀時はその攻撃をギリギリでかわしながら、瓦礫の影に飛び込む。

:「お前ら、まだデータ分析とかやってんじゃねぇだろうな! こんな状況じゃ、やるべきことはただ一つだろうが!」

 

銀時の怒鳴り声に、ハレが息を呑む。

 

:「……確かに、ここで足を止めていたら全滅するだけ。何とかアリスを止めるしかない!」

 

ハレは愛銃を構え直し、仲間たちに指示を飛ばす。

 

「マキ、コタマ、光の剣を撃たせないように狙いを定めて! ミドリとモモイは追跡者を抑えて!」

 

「了解! やるしかないんだよね、これ……!」

 

「支援を開始します! 照準を合わせて……!」

 

ヴェリタスの面々がそれぞれの役割を遂行し始めた。しかし、追跡者たちはアリスを守るように動き続け、攻撃の合間を縫って光弾を放つ。部室の中はさらに混乱を極めていく。

 

「アリスちゃん! 聞こえるなら戻ってきて……!」

 

:「お願い、アリス! 正気に戻ってよ!」

 

銀時はアリスの動きを見極めながら、一瞬の隙を探していた。その瞳には鋭い光が宿り、口元には薄い笑みが浮かぶ。

「……やれやれ、こんな状況でもまだ遊び心を残してくれてるらしいな」

 

彼の視線の先には、追跡者の背面にあるわずかな接続パネル。銀時は深呼吸すると、地面を蹴った。

 

「おらァァァァァッ!!!」

 

銀時の突進が追跡者の背後に迫る。だが、その瞬間、アリスの赤い瞳が銀時を捉えた。

 

:「目標補足――排除を優先します」

 

光の剣スーパーノヴァが銀時に向けられ、砲撃の準備が進む。だが、その時――。

 

 

「銀さん、下がって! 今行く!」

 

ミドリが素早く身を乗り出し、追跡者の一体に狙いを定めて銃撃を開始する。その動きが他のメンバーにも伝染し、ヴェリタス全員が一斉に追跡者を狙った。

 

「撃ち続けて! 防御の穴を作るんだ!」

 

:「狙い撃つよ、アテナ!」

 

:「分析を続けながらサポートを……!」

 

「やるじゃねぇか……! だったら俺も――!」

 

銀時はミドリの支援を受けて追跡者の背後に回り込む。その隙に彼は接続パネルに手を伸ばし、無理やり引き剥がした。

 

「……システム異常発生。リブートプロセスを開始――」

 

その声が響くと同時に、追跡者たちは一瞬だけ動きを止めた。

 

:「今だよ! アリスを止めるチャンス!」

 

:「わかってるよ、行くぞ!」

 

銀時とヴェリタスのメンバーが一斉にアリスに向かって駆け出す。そして――。

 

「目ェ覚ましやがれ!!」

と叫びながら銀時はアリスに一撃お見舞いする。

 

衝撃を受けたからか、アリスの瞳が一瞬だけ青に戻る。

「――銀さん……皆……?」

 

だが、次の瞬間、部室全体が赤い光に包まれた。その光が収束し、アリスを中心に新たな力が解放されようとしている。

 

「……まだ終わっちゃいねぇか」

 

物語はさらに混迷を深め、アリスを救うための戦いは続く――。

 

赤い光が部室全体を染め上げ、まるで不吉な鐘の音が鳴り響いているようだった。ヴェリタスのメンバーも銀時も、その異様な雰囲気に一瞬動きを止める。

 

「……何だよ、この不気味な感じ。まるで最終決戦前のイベントムービーじゃねぇか」

 

「銀さん、そんなこと言ってる場合じゃないってば! これ、完全にヤバいやつじゃない!?」

 

:「あの光……エネルギーの波動が異常です! 今までの何倍も危険な状態に移行しています!」

 

「アリスちゃん、戻って! 私たち、まだゲームの続きをやるって――!」

 

だが、アリスの姿は完全に変貌を遂げつつあった。追跡者たちがさらに防御態勢を強化するような動きを見せる。

 

:「……排除対象の再確認。全反応の殲滅を優先します」

 

銀時は額の汗を拭いながら、アリスを見据える。

 

「おいおい……このままじゃ俺ら全員シャレにならねぇって。手の内を全部使い切る前に何とかしねぇと……」

 

「で、でもどうすればいいの!? こっちは手詰まりだよ!」

 

「もしこのまま暴走が進行したら、ここだけじゃなく学区全体が危険に晒される可能性も……!」

 

銀時が歯を食いしばり、頭を悩ませていたその瞬間、

 

???「電磁気反転……赫」

 

部室の奥から突如響く轟音。電気が激しくひらめき、赤い光が部屋を包み込む。その瞬間、扉が何かに吹き飛ばされたかのように勢いよく開かれ、眩い光と共に現れたのは――。

 

「ギャーギャーギャーギャーうるさいんだけど〜、もしかして君たち発情期の真っ只中ァ?」

 

部室に響くその声に、銀時は振り返り、言葉を発しようとする。

 

「て、テメェは………」と呟く銀時の目が、扉の向こうに現れた人物に釘付けになる。

 

「て、誰ェェェェェェ!」

 

そこに立っていたのは、まるで「呪術廻戦」の五条◯を彷彿とさせる人物。金色の髪を風になびかせ、銀時の服を完璧に模倣しているが、その印象はどこか奇妙で、あり得ない違和感を覚えさせる。

 

「金時だよ、兄弟」と、その人物は目隠しを外しながら堂々と宣言した。

 

「え?もしかして脳みそ小さすぎて忘れちゃったか?俺だよ、俺。パーフェクト坂田銀時……金さんだよ」と、目隠しを軽く外しながらにこやかに言うその人物。その顔に映るのは、間違いなく銀時に似た表情だが、その雰囲気といえばまるで他の誰か――。

 

「ふざけんなァァァァ!!」銀時はその姿に、思わず怒りをあらわにして木刀を振りかざす。

 

金時は肩をすくめ、平然とした様子で言葉を続ける。

 

「なんだよ兄弟?俺に気づくや否や、木刀で斬りかかるとか、そんなに俺との再会が嬉しかったとか?」

 

「んなわけねェェェだろ!!何その髪型!何その話し方!何その目隠し!!」銀時はその顔を真っ赤にして叫ぶ。

 

「完全に呪術廻戦の五◯悟じゃねぇか!」

 

金時は不思議そうな顔をして答える。

 

「何言ってんだ兄弟?見ろよこの服、完全に坂田銀時そのものだろ?」

 

「服だけね?それにしても、よく見ねぇと気が付かねぇけど、下の服も五条のだし、どんだけ呪術廻戦から引っ張って来てんの!!」銀時は呆れたように言うが、同時に金時の全身に目を凝らし、もう一度見直す。

 

そのやりとりを聞き、部室の中にいたヴェリタスのメンバー全員が驚愕の表情を浮かべる。

 

「えっ、どうして呪術廻戦の五条さんが……もしかして源外さんの発明…?」とハレが不安そうに言う。

 

「いくら源外さんの発明品でも、これはちょっと――えぇ?」ミドリは目を大きく見開き、信じられないといった様子。

 

「いやいやいや、説明求む! これどういう状況!?」マキはついに声を上げ、状況が飲み込めない様子だ。

 

その場に歩み寄った源外は、胸を張り、余裕の表情で口を開く。

 

「どうやら間に合った見てえだな」源外はそう言うと、荷台から降り、ゆっくりと部室に足を踏み入れる。

 

「じ、じじい……コイツはどういう」銀時は驚きと戸惑いの入り混じった声で、源外を見つめる。

 

源外は口元を緩め、しばらく黙っていた後、話し始めた。

 

「コイツは俺がここに来る前から改良を重ねてきた……」と語り始める。

 

「だが、どんなに改良を重ねても、納得のいく改良は出来なかった。」

 

「そんな時だった。お前さんがあのカラクリがレールガンを暴走させた時、テメェが止めたあの技を見て思いついたんだ!!」

 

源外はその瞬間、目を輝かせる。

 

「パーフェクトな奴には強さも何もかも最強な奴じゃなきゃ意味がねぇってな」

 

「そこで完成したのが……強さも見た目も剣術も何もかも最強な存在。そう!五条金時の誕生ってわけだ」源外は誇らしげに言う。

 

一同はその言葉に無言のまま沈黙し、目を見開いたままその場に立ち尽くす。

 

「………」銀時は怒りを抑えきれず、全身が震える。

 

「納得できるかァァァァ!!」と銀時は声を荒げる。

 

「テメェ改良スクーターで俺たち吹き飛ばすわ!俺の人気奪うキャラ登場させるわで、一体お前はいつになったら俺にまともな仕事するんだよ、クソじじい!!」

 

金時は銀時をちらりと見てから、ひとしきり笑って言う。

 

「まぁまぁ、喧嘩してる場合じゃねぇだろ? 俺らのターゲットは一つなんだからよ」

 

その言葉に、金時の目が一変、鋭くなった。視線を部室の外、アリスが暴走している場所に向ける。

 

金時の瞳には、明確な戦意が宿っている。

 

「いいか、こっちの役割は明白だ。この暴走したカラクリを止めて、生き残る。それだけだ」金時は冷静に告げる。

 

「おいおい、大人気キャラクターになったからって随分と偉そうじゃねぇか……でもよ、その作戦は賛成だ。やるからにはきっちりやらせてもらうぜ!」銀時は腕を組んで決意を込めた言葉を発する。

 

源外は満足げに笑みを浮かべ、口を開く。

 

「よし、じゃあ金の字、動かす準備はできてるな?」源外が問いかける。

 

「ああ、もちろんだ。全力で暴れるぜ!」金時はその言葉に即座に答え、拳を握りしめる。

 

「銀の字、お前はいつも通りでいい、頼んだぞ」と源外は軽く微笑みながら、銀時に向かって言った。

 

「へっ、命令すんじゃねぇよ。けど……まぁやるけどな!」銀時は気合を入れ、準備を整える。

 

 金時によって吹き飛ばされたアリスは手にした光の剣を構え直すと、赤い瞳で一行を観察し、淡々とした口調で告げる。

 

「――対象の生存確認、リロード後再度プロトコル実行」

 

アリスの光の剣が赤く煌めき、一瞬のうちに薙ぎ払われる。その斬撃はまるで空気を切り裂く音速の刃のようだったが――。

 

:「おいおい、光の剣だかなんだか知らねぇが、そんなモン振り回してどうすんだ?」

 

銀時はまるで散歩でもしているかのようにゆったりと動き、木刀を軽く振るだけでアリスの一撃をいなしていく。その動きは無駄がなく、それでいて悠然としている。

 

光の剣が銀時の頭上から振り下ろされる――が、銀時は一歩下がるだけでその攻撃を紙一重で避け、木刀で軽く刃の側面を叩く。次の瞬間、剣の軌道がわずかにずれ、アリスの体勢が崩れる。

 

「ほらほら、そんな重そうなもん持ってたらバランス崩れるだろ。剣ってのはもっとこう、軽快に扱うもんだろ?」

 

アリスはすぐさま体勢を立て直し、連続して突きを繰り出す。その鋭さはまるで連続する雷光のようだが――銀時の木刀は、それを悉く受け流していく。

 

銀時はそのたびに小さくステップを踏み、木刀で光の剣をほんの少しずつ押し返すだけで、アリスの攻撃を無効化していく。その動きは驚くほど軽やかで、まるで踊っているかのようにすら見える。

 

「おいおい、まだやんのか? そろそろ腕が疲れてきたんじゃねぇの?」

 

「――プロトコル継続、攻撃を実行」

 

アリスは焦りを見せず、再び力強い斬撃を振り下ろす。しかし、そのたびに銀時は木刀を巧みに操り、わずかな力で剣の力を逸らしていく。剣と木刀が交わるたび、金属が鳴るような高い音が部屋に響く。

 

次第に、アリスの動きが鈍くなっていく。銀時はそれを見逃さず、木刀を指一本で回転させるような余裕すら見せた。

 

「さて、そろそろ反撃してもいい頃か?」

 

銀時は木刀を肩に担ぎながら一歩踏み込む。その瞬間、アリスの光の剣が再び振り下ろされるが――。

 

銀時は木刀を軽く振り上げただけで、光の剣の軌道を真横に逸らした。そしてそのまま体勢を崩したアリスの背後に回り込み、背中を木刀の先端で軽く突いた。

 

:「おっと、そこにスキがあったな」

 

アリスは振り返りざまにもう一度剣を振るが、その動きは銀時には通じない。今度は光の剣を木刀の柄で叩き落とすように弾き、そのまま手首を木刀でなぞるように撫でた。

 

:「ほれ、力抜いてやらねぇと、剣なんてすぐ手から落ちちまうぞ」

 

アリスの手から光の剣がするりと滑り落ち、床に突き刺さる。銀時はその隙を見逃さず、木刀をアリスの額すれすれで止めた。

 

:「これで終わりだ。もうやめとけ」

 

アリスは動きを止め、赤い瞳が一瞬だけ揺らめく。しかしその背後から再び光の剣を呼び戻そうとするように手を伸ばした瞬間――金時が横から飛び込み、手刀でその手を押さえつけた。

 

「悪いけど、それ以上はさせないよ」

:「おい、遅ぇんだよ。俺の華麗な勝利を邪魔すんな」

 

:「いやいや、完全に余裕そうだったからさ。つい見とれちゃったよ」

 

銀時は木刀を振り下ろし、肩に担ぎ直すと深く息を吐いた。その顔には、どこか達成感のようなものが滲んでいる。

 

「ま、これで終わりにしてやる。次は手加減してやっからな」

 

金時はその言葉を聞きながら、再び冷静な表情を取り戻し、目を鋭く光らせた。アリスの瞳にはまだ赤い光が宿っているが、金時は静かに手を差し伸べ、最後の一撃に備える。

 

金時が構え、静かに呟く。

「――無量空◯」

 

アリスの視覚内の空間が一変し、すべての光が消える。

 

 

アリスの瞳に宿る赤い光が、徐々に揺らめき始める。金時が展開した領域「無量空◯」は、周囲を何もない虚無の空間で覆い尽くしていた。すべての感覚が停止し、時間すら止まったように錯覚させる異様な空間。その中で唯一、動けるのは金時だけだ。

 

「さぁ、少しだけおとなしくしてもらうよ」

 

彼の声は穏やかでありながら、その背後には確かな圧力が感じられる。無数の金色の光の粒子が空間に浮かび上がり、アリスの周囲を取り囲む。それはまるで、星々が静かに夜空を包むようだった。

 

アリスは動こうとするが、体が言うことを聞かない。意識はあるものの、考える速度すらも遅延させられ、言葉を発することすら叶わない。

 

:「君は強いけど、ちょっとだけ力が余っちまったようだな。だから、その重すぎる荷物、少し軽くしてやるよ」

 

「そんな……王女……まだ」

 

「王女…?」

金時はアリスの言葉に疑問を抱きながらもアリスに手を差し伸べると、光の粒子が次々とアリスに降り注ぐ。彼女の赤い瞳の輝きが少しずつ薄れ、元の青い色が戻り始める。それと同時に、追跡者たちの動きがピタリと止まった。鋭い音を立てていた機械の振動も、まるで嘘のように消え失せる。

 

「おいィィィィ!!なんでお前は領域展開まで使えんの‼︎嘘だと言え!!嘘だと言ってェェェェェェ!!」

 

:「残念ながら、これは嘘じゃない現実さ。それにコイツは元々あった記憶操作の技術を俺が独自に進化させてようやく使えるようになったんだよねぇ。だが安心しな兄弟。コイツは人相手には使えねぇ。使えるのはカラクリ相手にしか使えないってわけだ。」

 

「ケッ、つまんねぇやつだな……。ま、全部終わったならいいか」

 

銀時は木刀を肩に担いで歩き出し、動かなくなった追跡者の一体を軽く蹴り転がした。完全に沈黙した機械を見て、モモイたちもようやく顔を上げる。

 

「……止まった? アリスちゃん、大丈夫……?」

 

「銀さんと、金さんのおかげだよ……ほんとに助かった」

 

ユズが恐る恐るアリスに近寄り、その肩に手を置く。アリスの目は元の青い色を取り戻しており、虚ろな表情ながらも少しずつ意識を取り戻しつつある。

 

「……ユズ……? 私……何を……」

 

:「よかった、アリスちゃん! もう大丈夫だよ!」

 

感極まったユズがアリスを抱きしめ、泣きながら安堵の声を漏らす。それを見て、銀時が肩をすくめながらため息をついた。

 

:「やれやれ、これで一件落着か。ほんと、毎度毎度巻き込まれるこっちの身にもなれってんだよ」

 

:「お前がトラブルを呼び込んでんだろ。もっと感謝されてもいいんじゃねぇか?」

 

:「感謝ってのは、こういう茶番がなくなってからするもんなんだよ」

 

そう言いながらも、銀時の表情はどこか満足そうだった。部室にはようやく平和が戻り、追跡者たちも完全に沈黙している。

 

源外が部屋の奥から歩いてきて、金時の肩を軽く叩いた。

 

:「お疲れさんだ、金の字。さすがに大したもんだな」

 

「まぁ、俺だからな。これくらいは朝飯前だよ」

 

:「調子乗んな、ニセモノが!!」

 

金時と銀時のやり取りに、モモイやミドリたちが思わず笑い声を上げる。その中でアリスだけがぽつりと呟く。

 

:「……皆を危険に巻き込んで……ごめんなさい……」

 

:「ったく、気にすんなって。お前が悪いわけじゃねぇよ」

 

「そうそう。次からは、ちゃんと俺を頼れよな」

 

「いや、頼るのは俺の方!お前は主人公じゃねぇから!!」

 

そう言って笑い合う二人の姿に、アリスはほんの少し微笑みを浮かべた。そして、ヴェリタスの部室にはようやく穏やかな空気が戻ったのだった。しかし、この出来事がさらなる災厄を引き起こすきっかけになる事は誰も知る由もなかった。




次回

リオ「申し訳ないけど……アリスは私が預かってヘイローを壊すわ」

ミドリ「どうして……どうしてそんなこと!!」

リオ「この子が暴走して今回は被害が小さかったかもしれないけど……次どうなるか分からないだから今のうちに始末するの」

銀時「おいおい何俺たちがいない間に物騒な話してんの?」

金時「何それ正論?」

金時「俺正論嫌いなんだよね〜」

銀時「おい!いい加減呪術ネタから離れろってニセ五条!!」

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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