透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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長くなりました。

結末があっさりしてるかもだけど、まぁ読んでみてください。
減らないでください

あと50000UAありがとうございます


第四十七訓 先生って生徒の決断を尊重しながら指導しないといけないから大変なんだよ

「――もう、てめぇに付き合う義理はねぇんだよ、リオ」

 

ネルの冷たい一言が部屋の空気を切り裂くように響いた。

 

「ネル先輩!」

ミドリが歓声とも呼べる声を上げる。

 

タマは微笑みながらネルに向けて箒を軽く振り、さも当然のように口を開いた。

「やはり、心配はありませんでしたね」

 

ネルはタマの方を振り返り、肩をすくめる。

「よく言うぜ……まぁ、あんな戯言吐いてる時点で心配なんかしてなさそうだったがな」

 

ゲーム開発部から、歓声と安堵が入り混じった声が漏れ出した。ミドリとモモイの叫びに近い声、そしてユズの小さな息遣い。それもそのはずだ。彼女たちにとって、ネルほど頼りがいのある味方は存在しない。ネルが味方である限り、不安や恐怖など、何も必要ないように思えた。

 

「そう。この土壇場で裏切るのね……ネル」

リオが静かに、しかし冷徹な声音で告げた。

 

「裏切りだぁ? はっ! そんな大層なモンじゃねぇよ」

ネルは鼻を鳴らしながら愛銃を構え直す。「ただ、てめぇのやり方が気に入らねぇだけだ」

 

タマが穏やかにリオへ視線を向ける。

「その通り。ネル様は己が魂を貫いただけ……あなたが勝手に信用し、利用しただけに過ぎないのです」

 

リオはタマの言葉に応じることなく、額に手を当てる。そして深い溜息と共に口を開いた。

「ネル、貴女はいつもそう。気分次第で容易く命令違反を犯す。その癇癪玉のような性格こそ、貴女の長所であり――一番厄介な点だった」

 

ネルが低く鼻を鳴らす。

「あぁ? てめぇ、何が言いてぇんだ」

 

「だから、この状況も全て想定していたわ」

リオの瞳に、一点の迷いも揺らぎもなかった。

 

ネルの眉間が険しく歪む。その背後でゲーム開発部の面々も、明らかな嫌な予感に背筋を硬直させた。リオがここまで余裕の表情を保つ理由――それは、彼女の手札がまだ尽きていないことを意味していた。

 

「――C&C全員ではなく、貴女単独を呼び出しておいて正解だった」

リオの静かな呟きが、ネルの耳に届く。

 

「――てめぇ、リオ」

ネルの声が低く響いた。

 

「万が一のサブプランだったけれど、用意した甲斐はあったようね」

リオは背筋を正しながら立ち上がり、毅然とした態度でネルを見据える。

 

「自身の手札を知らず計画は立てられない。分析と予測は怠っていないわ。それはネル――そして、隣にいる外から来た貴女に対しても」

 

タマが軽く首をかしげる。

「そうですか。それならなおさら――あなたが間違いだと証明される準備も済んでいます」

 

ネルも鼻を鳴らし、リオを睨みつける。

「ホント、そういうとこが……嫌な奴だな、リオ」

 

「……そう」

 

リオはネルたちの言葉を一切意に介さず、手元のタブレットを指で叩いた。その画面には、一人の名前が記されていた。

 

「トキ、貴女の出番よ」

 

「――イエス・マム」

その声は、ネルの背後から聞こえた。

 

「ネル先輩っ!」

ミドリが叫び、モモイも声にならない悲鳴を上げた。

 

ネルはその場で素早く振り向く――その瞬間、耳元で風を切る音が鳴り響いた。後頭部へと迫る影、その手に握られた何かが振り下ろされる。その一撃は確実にネルを捉えるはずだった――だが。

 

「させません」

タマが瞬時に箒を構え、その攻撃を受け止めた。

「ネル様、油断は禁物です」

 

ネルは即座に後退し、振り返ると同時に銃口を突きつける。

「……誰だテメェ――!?」

 

攻撃者は、ふわりと宙を舞いながら優雅に着地した。その姿を見た瞬間、ネルの目が鋭く光る。襲撃者は、広がるロングスカートを整えながら静かに一礼した。クラシカルなメイド服、手にした独特の銃器。その姿は、確かにどこかC&Cを想起させるものだった。

 

「――はじめまして先輩、C&C所属、コールサイン『ゼロフォー』、御挨拶申し上げます」

 

「ゼロフォー……?」

ネルの目が細まる。

 

「C&C所属って……で、でも、あんな人、今まで見たことも……!」

モモイが驚愕の声を漏らす。

 

ネルは眉間にシワを寄せ、構えた銃口を下げることなく問いかけた。

「先輩に、コールサインゼロフォーだぁ?……可笑しな話だ。あたしの知らねぇ番号じゃねぇか。いつの間に後輩が出来てたんだ、あぁ?」

 

「私は『本来の用途』で運用されておりますので」

 

ネルは銃口を向けたまま、視線で相手を探る。

「『本来の用途』だと? そんな理由で隠れてたヤツが、今になって出てくるってのか……」

 

目の前の少女、ゼロフォーは涼しげな表情のまま微笑む。

「隠れていた訳ではありません。私の運用が必要とされる場面が、たまたま今まで無かっただけです」

彼女はスカートの端を軽く持ち上げるようにして優雅に頭を下げた。

「ですが、リオ様が最適と判断された以上、私は行動を開始します。それだけの話です、先輩」

 

「……最適ねぇ」

ネルは鼻で笑いながら、振り下ろされる銃口をじわりと押し戻すように構え直す。

「なら、その判断がどれだけ最適か――あたしが確かめてやる」

 

リオは背後からゼロフォーの肩越しにネルを見つめ、静かに呟いた。

「ゼロフォーは、ネル……いえ、C&Cの全メンバーを上回る性能を備えているわ。既存のナンバーとは完全に別の運用方針で設計された存在だから」

その言葉には僅かに冷笑が含まれていた。

 

「だから何だってんだ」

ネルは短く吐き捨てる。

 

「言葉で語るより、行動で証明する方が早いわね」

リオの声には迷いがなかった。彼女はタブレットの画面を操作し、ゼロフォーへ短い命令を送る。

「ゼロフォー、作戦を開始して」

 

「イエス・マム」

ゼロフォーは一言で応えた。

 

 

「ネル先輩っ!」

 

 

「わ、私達も……!」

 

 唐突に現れたリオの持つ切り札。尋常ならざる気配を感じ取ったゲーム開発部はネルに加勢すべく愛銃を手に、慌てて廊下へと飛び出す。しかし、その様子を一瞥したネルは大きく息を吸い込み、叫んだ。

 

「手ぇ出すなッ!」

ネルが鋭い声で叫ぶと、モモイ、ミドリ、ユズは反射的に動きを止めた。しかし、戦いに加わりたい衝動を抑えきれない様子で歯を噛み締める彼女たちを、タマが静かに制止する。

 

「皆さん……見ての通り、あれは本気でない状態であれほどの攻撃が出来る強者です」

 

タマは振り返りながら冷静に言葉を続ける。

「彼女の戦いに加勢することは、むしろ邪魔になる可能性が高い。ですから、皆さんはアリス様の護衛に専念してください」

 

「タマ……お前はどうするんだよ」

ネルが低い声で問いかける。タマは箒をくるりと回しながら、彼女に向けて微笑む。

 

「私はネル様をサポートします。ですので――」

タマは箒の柄を軽く肩に乗せて、わざとらしく軽口を叩いた。

 

「この借りは、後でたっぷり返していただきますよ?」

 

「なんだそりゃ?」

 

ネルは鼻を鳴らして笑う。

「ま、借りっぱなしも性に合わねぇ――どうせまた無茶な条件を持ち出すんだろ?」

 

「そうですね」

タマは少し首を傾けながら答える。

「銀時様と戦った際七三分けの極道が言ってました。極道もんとは三借りたら七返すものだと、 なら次回のエンジニア部への訪問時には、高級オイルを持参してきてください。それでこの件はチャラということで」

 

ネルは呆れたように苦笑した。

「おいおい…私極道もんじゃねぇんだけど…」

 

「わかったよ――約束する。エンジニア部にオイル持って行くさ」

ネルは肩を竦めながら短く答えた。

 

「その言葉を信じますよ、ネル様」

タマの言葉には、静かな信頼の響きがあった。

 

「さて……準備は出来てんだろうな、後輩? こっちはいつでも始められるぜ」

ネルは銃口を向けたまま、視線で相手を探る。

 

「もちろんです、先輩」

ゼロフォーは微笑を崩さず、スカートを軽く翻しながら構えを取った。

 

リオがその背後からゼロフォーの肩越しにネルを見つめ、静かに呟いた。

「ゼロフォーは、ネル……いえ、C&Cの全メンバーを上回る性能を備えているわ。既存のナンバーとは完全に別の運用方針で設計された存在だから」

その言葉には僅かに冷笑が含まれていた。

 

「だから何だってんだ」

ネルは短く吐き捨てる。

――『モードⅡ』移行準備、完了」

 

リオの指示により、トキが兵装を解放した瞬間、その動きが消えるように加速した。ネルの目が追いつかない速度でトキが迫り、彼女の頭上に一撃が振り下ろされる。

 

「チッ!」

ネルが反応し、鎖で薙ぎ払ったその刹那――タマが箒を振り上げ、燃え盛る炎を伴った打撃をトキに向けた。

 

「――ッ!」

 

トキの瞳がわずかに驚きを浮かべる。燃え盛る箒の先端が、彼女の直線的な動きを阻むように進路を遮ったのだ。トキは瞬時に動きを修正し、横へ跳んでその攻撃を回避する。

 

「ネル様、これで時間を稼げました」

「へっ! タマ、意外とやるじゃねぇか!」

 

「計算の範疇です」

タマは冷静に言い放つと、箒を軽く回転させ、再び前に構えた。

 

 

トキは冷ややかな視線を二人に向けた。

「二人がかりとは、非効率的……ですが、構いません」

 

そう言いながら、トキは再びレッグギアを駆動させた。高速の加速と共に、彼女はタマに向けて突撃する。

 

「ネル様、お願いします」

「おうよ!」

 

タマは炎をまとった箒を振り下ろし、トキの進路を狭める。一方、ネルはその隙に鎖を振り回し、トキの足元を狙った。

 

トキは一瞬立ち止まり、両者の攻撃を見極める。その判断速度は尋常ではない。即座に後退し、再び距離を取った。

 

「素早いですね」

タマが冷静に評価する中、ネルが笑い声を上げた。

「ちょこまか逃げやがって……だが逃げ場はねぇぞ!」

 

「――おらおらおらァッ!」

ネルが両手の愛銃を構え、廊下全体を覆い尽くすかのように銃弾を放ち始めた。その勢いは凄まじく、マズルフラッシュが廊下を照らし、金属音が絶え間なく響き渡る。

 

トキは素早く動き、壁や天井を蹴り上げながらその弾幕をかわしていく。

「弾幕で視界を制圧し、さらに弾丸で移動先を封じる……理に適っていますね」

トキは淡々とした口調で呟きつつ、次々と弾丸の嵐を潜り抜ける。

 

「うぜぇ……それだけ動き回れるならサーカスでも行ってろ!」

ネルは苛立ちながらも笑みを浮かべ、さらなる弾幕を展開する。彼女の鎖が音を立て、銃口の軌道を補助するように動き、正確にトキの進路を狙い撃っていく。

 

 

「掃除の時間です」

 

ネルの銃弾の隙間を縫って動くトキに向けて、タマが箒を一振り。箒の先端から噴き出す高熱の炎が、ネルの弾幕と交錯するようにして廊下を焼き尽くした。その熱気がトキの進路を一瞬にして狭め、回避を困難にする。

 

「――ッ!」

トキの足元が一瞬、炎に包まれた。その火勢は軽装型ギアを耐熱仕様にしていなければ、大きなダメージを与えかねないものだった。

 

「よし、追い詰めたな……!」

ネルが笑い声を上げ、両銃を再び構え直した。その射線が次第にトキを正面に捉え、弾丸が迫る。

 

 

「追い詰めたつもりですか……」

トキの声にはわずかに焦りが滲むものの、その青い瞳は冷静さを保っていた。

 

弾幕と炎のコンビネーションは完璧に見えた。ネルの銃弾はトキの回避先を次々と潰し、タマの炎は彼女の足元を焼き払い続ける。その挟み撃ちの状況に、ゲーム開発部の面々も息を呑む。

 

「すごい……ネル先輩とタマさん、連携できるんだ……」

ユズが呟き、ミドリとモモイも力強く頷く。

 

「もう逃げられないんじゃない?」

ミドリの声には期待が滲んでいた。

 

 

だが、トキは追い詰められたかに見えた状況で、ゆっくりと深呼吸をした。レッグギアとアームギアが再び駆動音を高め、青白い光が微かにギアから放たれる。

 

「では――次は、私の番です」

 

トキの声が響いた次の瞬間、彼女は一気にその場を離れ、天井を蹴って急加速。狙いは「させるかよッ!」

ネルがトキの横から銃を構え、再び弾幕を展開する。至近距離の射撃は、さしものトキも完全に回避するのは難しい。何発かの銃弾が、トキの装甲に着弾する音が響いた。

 

「……さすがに硬ぇな!」

ネルが不敵に笑うが、その弾丸もやがて切れる。

 

その隙をついたトキは、再びネルに迫った。タマが追撃を試みるも、トキの動きは速すぎた。

 

「くそッ、今度こそ……!」

 

ネルが応戦しようと銃を振り上げたが、すでにトキは彼女の懐へと入り込んでいた。次の瞬間、ネルの腕が捉えられ、関節技で押さえ込まれる。

 

「だぁッ、クソ!? 離しやがれッ!」

 

ネルが激昂する中、タマは再び箒を構え直した。

「暴れないでください、腕があらぬ方向に曲がってしまいます――」

 

地面に押さえつけられたネルが苦しげに呻く中、トキは冷淡な口調で告げた。その手はネルの関節を絶妙な角度で固定し、逃げ出す術を完全に封じている。ネルの額には汗が滲み、歯を食いしばりながら叫んだ。

 

「クソッ 壊れたって知らねえぞ!」

 

「壊れるのは私ではなく、あなたの方ですよ、先輩」

 

トキは全く動じることなく、ネルの動きを封じ続ける。その隙にリオが歩み寄り、冷静に状況を分析するような口調で告げた。

 

「これで終わりね……ネル、タマ。もはや貴女達の抵抗に意味はない」

 

その瞬間――。

 

「ネル様を――お放しください」

 

響き渡る凛とした声。その声が廊下全体に響いた時、突如として高温の熱気がその場を包み込んだ。

 

「タマッ!」

 

ネルが叫ぶよりも早く、炎をまとった箒の先端がトキの腕を弾き飛ばした。その火力は尋常ではなく、トキは一瞬後退を余儀なくされる。ネルの拘束が緩んだ瞬間、タマはネルを抱えて距離をとった。

 

しかし、タマにも限界がきたのかタマも狭間ついてしまった。

 

「そ、そんな……」

「ネル先輩とタマさんが、負けた――?」

 

 本当に一瞬の出来事であった、肉薄から凡そ15秒程度の決着。その余りにも鮮やかな手並みと、自分達の知る中で最強の生徒であるネルと信用出来るタマが敗北した事実に、ゲーム開発部の面々は言葉を失う。

 攻撃の余波に巻き込まれる事を嫌い、廊下の角にて待機していたリオは、破壊跡の散見される廊下を一瞥しながらトキの元へと足を進め、無機質に問いかける。

 

「トキ、特殊武装の具合は」

「問題ありません、良好です」

「……図らずも、今回の戦闘で効果は実証された様ね」

「はい、これならば脱着状態でも大多数相手の鎮圧が可能かと」

「クッソ――っ!」

 

 地面に押し倒されたまま憎々し気にリオとトキを睥睨するネル。しかしリオはそんな彼女に目を向ける事無く、今度こそゲーム開発部へと視線を向ける。リオの赤い瞳に捉えられた彼女達が肩を弾ませ、一歩退いた。

 

「さぁ、これで遮るものはいなくなった、AMAS――アリスを回収しなさい」

「ッ!」

 

 AMAS、彼女がその名を告げると同時、廊下に殺到する複数の戦闘用ドローン。そのロボット群は廊下の前後より彼女達を追い詰め、唐突に現れたそれらに四名は思わず悲鳴を呑み込む。駆動音を鳴らし集合するロボットには銃火器が取り付けられており、その銃口はゲーム開発部へと向けられていた。

 彼女と対抗し得るだけのネルが敗れた今、この場にはもう助けてくれる存在など何処にも居ない。顔を蒼褪めさせ、怯懦に塗れながらも彼女達はアリスを囲んで歯を食い縛る。

 

「ま、待って……!」

「絶対に、アリスは――ッ!」

「下手に動かない方が良いわ、貴女達の戦力で包囲網を突破出来ない事は既に証明されている、無関係な子を傷付けたくはないの」

「ぅ――……」

 

 手にした銃器を構えながら叫ぶユズ、ミドリ、しかしリオは冷徹に、淡々と事実を口にする。部室棟は既に包囲された、そして目の前のAMASと呼ばれる機械群を突破するだけの戦力を彼女達は持たない。

 その演算結果は、既に導き出されているのだ。

 

「ッ、だから、アリスと私達は無関係なんかじゃないって言っているじゃん!」

 

 しかし、それでも尚諦められない者が居た。モモイは矢面に立ち、無数の銃口を突きつけられながらも気丈にリオへと反駁して見せる。

 

「アリスは私達の友達で、ゲーム開発部の大切な仲間で――ッ!」

 

「――いつまでそんな寝言を吐き続けるつもり!?」

 

「ッ……!」

 

 だが、それを呑み込む様なリオの怒声が周囲に響いた。それは彼女らしくない、本気の激昂だった。絞られた瞳が鋭さを増し、刃の様な冷たさを伴ってモモイを射貫く。其処には何か、想像もできない様な重圧を感じさせた。

 

「勘違いしないで頂戴、『ソレ』はそもそも生命体ですらない――貴女達が思う友人でも、ましてや勇者なんて存在でもない、もしそう感じるのであれば、それはエライザ効果に過ぎない」

 

「な、にを――……」

 

「『ソレ』はこの世界を終焉へと至らせる恐るべき兵器なのよ」

 

 リオは力強く断言する。

 アリスは何処までも自分達とは異なる存在なのだと、世界を滅ぼす魔王なのだと。或いはそれは、自分に云い聞かせているのではないかと思ってしまう程、何度も。

 しかし、モモイはそれを受け入れられない、受け入れる事など出来ない。リオが何度説得を口にしようと、彼女は首を横に振る。

 

「兵器、兵器って……! アリスは、そんな存在じゃない……!」

「なら貴女は『ソレ』アリスとキヴォトス全ての生徒を秤に掛けろと問われた時、どう答えるつもりなの?」

 

 リオは尚も云い募るモモイに詰め寄り、問いかける。近い未来、訪れるであろう災厄、それに見舞われた時彼女は何とする? どのような対策を打つ? 何の知識も、対策も、備えも、気構えさえ持たない彼女に、一体どんな行動が起こせる? こんな筈じゃなかったと苦悩するか、こんな事になるならと後悔を零すか。リオはモモイを見下ろしながら、その額を突き合わせんと睨み付ける。

 

「貴女の我儘一つで世界が滅びたとして、貴女はその時どうするつもり? 何万、何十万、何百万という命を前にして貴女は同じ言葉を繰り返すのかしら」

「なっ――!」

「事が起きてからでは手遅れなの、だからアリスのヘイローは私自身の手で破壊する、一人の存在とキヴォトス全土に生きる生命、何方を選ぶべきは明白――既にその準備は整っているわ」

「ち、違う……違う、違うよ! アリスちゃんは絶対に、絶対に兵器なんかじゃないッ!」

 

 ミドリは何も云わず、ただ沈痛な面持ちで黙り込むアリスを抱き締め、必死に叫ぶ。

 

「だってアリスちゃんは、光の剣を――勇者の証であるスーパーノヴァを持っているもん!」

「……光の剣?」

 

 廊下に木霊する声、聞き慣れぬ単語ソレに、リオの眉が顰められる。

 そして彼女の視線がふと、アリスの背負う火器――スーパーノヴァ光の剣へと向けられた。

 

「――あぁ、エンジニア部が作った、あの玩具」

 

 呟きは小さく、同時に冷ややかであった。それは余りにも稚拙な弁護だと思ったからか。

 

「そう、貴女達がそう云うのであれば、それが心の拠り所であるのなら……良いわ」

 

 光の剣、スーパーノヴァを扱う者が主人公である。

 ゲーム開発部の主張するそのロジックに、リオは欠片も賛同出来ない。しかし、それが彼女達にとっての合理道理ならば――リオは真正面からソレを退ける。

 リオは手元のタブレットを二、三操作し、最後にアリスの背負う光の剣に視線を向ける。たったそれだけで、彼女の証明は終了した。

 徐々に低く、唸る様な音を鳴らすスーパーノヴァ。それは稼働する機構が停止する音。

 

「ぇ、ぁ……」

「す、スーパーノヴァの、電源が……」

「き、消えた……?」

 

 常に薄らと青白い光を放っていたアリスの光の剣、そのラインを彩っていた光が消失し、機能の一切が消失する。それを見届けたリオは動かなくなった光の剣勇者の証を見下ろし、一切の感情を排し云い放った。

 

「これで満足かしら? それなら、これで証明は終わりよ」

 

 光の剣はその効力を失った。それを扱える者が勇者であるのならば、今のアリスはその資格を失った事になる。

 ――彼女達ゲーム開発部のロジックは破綻する。

 アリスは自身の背負っていた光の剣を抱え直すと、何の反応も示さなくなった愛銃勇者の証を前に呆然と呟く。自身が初めて手にした武器、皆が用意してくれた武器、彼女にとって一等大事な宝物。

 勇者の持つ――光の剣。

 

「アリスの、光の、剣が――……」

「貴女達の云う光の剣……主人公の証は、もう何処にも存在しない」

「主人公の、あかし――……」

「アリス、貴女はもう主人公などではない」

 

 愕然とするモモイ、ミドリ、ユズを押し退け――遂にリオはアリスの前へと立つ。

 薄暗い廊下の中、赤い眼光がアリスを見下ろしていた。

 アリスは手にした光の剣を力一杯抱きしめ、呆然とした表情のまま、リオを見上げるしかない。

 震えるその身体が、唇が、瞳が、リオにあらゆる感情を訴えかける。

 しかし、リオは揺るがない。

 その正しさ合理を信じるが故に。

 

「――貴女は存在するだけで災厄を振り撒くこの世界から消えるべき、ラスボス役なのよ」

「――………」

 

 アリスのゲーム開発部の心が――砕けようとしていた。

 

 

「っ、ぅ――ッ!」

「………」

トキがその瞳で再びアリスを捉えた瞬間、リオが前に進み出た。

 

「アリスの回収を続行して」

 

「イエス、マム」

 

トキが命令を受け、アリスに向けて一歩を踏み出す。その時――。

タマがトキの前に満身創痍の状態で立ちはだかった。

 

「あなたには、………手を引いていただきます」

 

タマの瞳には冷静さが宿っていたが、箒の先端で揺れる炎は凄まじい怒りを語っているようだった。

 

「……機械が、情を抱いて動くのは非効率的です」

 

トキは低い声で呟きながら再び構え直した。タマの箒が大きく振り抜かれると同時に、炎の軌跡が床を焼き尽くしながらトキを狙う。しかしトキはその場から瞬時に姿を消し、壁を蹴ってタマの後方へ回り込む。

 

「タマさん!」

 

「タマッ、危ねぇ!」

 

ネルたちが警告するが、タマは振り返りざまに箒を大きく回転させ、その先端から高温の熱線を放った。高熱の炎がトキの動きを阻み、再び距離を取らせる。

 

「確かに、情を抱くことは効率的ではないのかもしれません……」

 

タマは肩越しにネルを一瞥しながら言葉を続ける。

 

「ですが、私は………それを捨てる気にはなれません。私は、銀時様や、源外様その他のかぶき町の皆さんに………魂の大切さをメモリーに刻まれました。」

 

「この情を、いや魂を捨てたら私は………私は私で無くなってしまうのです。」

 

 

「それに、ネル様、ゲーム開発部の皆様は、私の大切な仲間ですから」

 

「……タマ」

 

ネルはアリスを庇うように前に立つタマの背中を見つめ、苦々しげに舌打ちをした。しかしその瞳には、どこか安心の色が滲んでいた。

 

「トキ、時間の無駄よ。最速でアリスを回収して」

 

「了解しました、マム」

 

トキが再びアリスを狙って一瞬で距離を詰める。アリスを守るように囲んでいたモモイたちが反応するよりも早く――。

 

「アリス様には――触れさせません」

 

タマが叫び、箒を振るった。炎の刃が広がり、トキの進路を塞ぐ。しかしトキの兵装は高温にも耐える特殊素材で作られており、その動きを止めるには至らない。

 

「非効率的です」

 

トキが箒の隙間を縫って再びアリスに肉薄しようとする。タマはそれを察し、自らトキの進路に飛び込んだ。

 

「どいてください」

 

「どきません」

 

激しい衝突音。トキの蹴りをタマが箒で受け止める。しかし、兵装のパワーを利用したその一撃はタマの内部機構に限界を強いた。

 

ギギギッ――。

 

嫌な音を響かせながら、タマの動きが徐々に鈍くなる。関節部が悲鳴を上げ、ついに彼女の体が崩れるように膝をついた。

 

「タマッ!」

 

ネルが叫び、駆け寄る。だが、タマは懸命に箒を支えたまま、震える声で言葉を紡ぐ。

 

「アリス様……守れて……良かった……」

 

「バカ野郎ッ、誰が無茶しろって言った!」

 

ネルはタマを支えながら、怒りと苦しさに満ちた声を上げた。タマの瞳に僅かに光が宿ったまま、彼女はアリスを守るために最後の力を使い果たした。

 

「……大丈夫です。源外様に修理をお願いしますね……あなたとは三借りたら七返す……と約束しましたから」

 

「お前、ホントに……」

 

ネルの目が僅かに潤む中、トキが再びアリスに向き直る。リオが冷徹な声で命じた。

 

「トキ、引き続き、アリスの回収を続行しなさい」

 

「イエスマム」

 

再びトキがアリスに手を伸ばしたその時

 

突然、廊下を爆音が満たした。

ドアを破壊するように赤い閃光が飛び込んできたのだ。衝撃波で煙が立ち込め、辺りの光景が一瞬で見えなくなる。

 

 

ドアォォォォン!!!

 

「ゲホッゲホッ、何、これ!?」モモイが煙を払いながら叫ぶ。

「煙で何も見えない!」ミドリも混乱した様子だ。

 

そんな中、ネルが目を見開き、驚愕を声に出す。

 

「あれは……あの木刀は……!」

「銀時様……!」タマが震える声で呟いた。

 

煙の中から、軽快な声が響いた。

「ギャーギャーやかましいんだよ。」

「発情期かコノヤロー、メス猫にでもなりやがったか?」

 

煙の向こうから現れたのは――坂田銀時だった。肩に木刀を担ぎ、気だるげな表情でこちらを見回す。

 

「どうも〜、生徒の何でも相談室、坂田銀時で〜す。」

 

「銀さん!」モモイが歓声を上げる。

 

だが、リオの視線は冷徹なままだった。

「……なぜあなたがここに? 事故の件で事情聴取中のはず――」

 

「そいつはタマのおかげさ。」

銀時は気楽に肩をすくめる。

 

「タマさんのおかげって、どういうこと……?」ミドリが首を傾げる。

 

「あれは俺たちが事情聴取受けてた時だった」

ーーーーーー

銀時は面倒くさそうに髪を掻きながら適当に流そうとするが、その時だった。

 

――チリリリリリ……!

 

小さな電子音が彼の耳に飛び込む。源外は眉を顰め、胸ポケットから通信端末を取り出した。

 

「ん、なんだ?」

画面には「タマ」という名前が表示されている。

 

「タマか……?」

呟きながら通話を受けると、端末の向こうから、いつもの冷静な声が――ではなく、掠れた、弱々しい声が聞こえてきた。

 

「源外様……緊急事態です……! アリス様が……!」

 

「――タマ! どうした!?」

それを聞いた銀時の声が急に鋭くなり、セミナー室にいた全員が息を呑んだ。

 

「アリス様が……捕まります……リオ様が……、彼女を……」

通信の音質が途切れがちで、言葉がはっきりしない。だが、その切迫したトーンだけで、状況が尋常でないことは分かった。

 

「おい、どこだ!? タマ、場所を教えろ!」

 

「ゲーム開発部の部室棟……で、……私は……」

 

 

 

ブツッ――。

 

「タマ! おい、タマッ!!」

銀時は端末を何度も叩いたが、応答は途絶えたままだった。

 

「どういうことですか?」

ノアが眉を顰めながら訊く。

 

「……おい兄弟。」

金時が無言で立ち上がり、冷たい視線を銀時に向けた。

 

「ああ……間違いねぇ。アイツらに何かあった。」

銀時は低く呟き、立ち上がる。

 

「まさか、さっきの話と関係してるの?」

ユウカが険しい表情で問いかける。

 

「だろうな。」

銀時は木刀を肩に担ぎ直し、すぐさま出口へと歩き出した。

 

「行くのか?」

源外が銀時を見上げる。

 

「当たり前だろ。俺の生徒だ。」

 

金時も静かに木刀を握り直す。

 

「生徒っていうか……仲間だろ。」

 

セミナー室を後にして

銀時と金時は廊下を駆け抜けながら、言葉を交わした。

 

「おい、五条かぶれテメェも感じたか、。」

銀時が木刀を握りながら呟く。

 

「ああ。タマの声、普段のあいつじゃなかった。」

金時は木刀の柄を叩きながら答える。

 

「妙なノイズも入ってたな……普通の通信妨害じゃねぇ。リオって奴が何か仕掛けてる可能性が高い。」

 

「だろうな。」

 

二人の顔にはいつもの軽薄な笑みはなく、真剣そのものの表情が浮かんでいた。

セミナーでのやり取りは一時中断されたが、今はそれどころではない――タマの声には、単なる緊急では済まない何かが宿っていたのだ。

 

「タマ、無事だといいけどな……」

銀時が呟くと、金時は一度だけ目を伏せてから言った。

 

「無事じゃなくても、俺達でどうにかするだけだ。」

 

「そうだな。」

銀時が木刀を肩に担ぎ直すと、二人は部室棟へと向かう廊下をさらに駆け抜けて行った。

 

部室棟へ向かう決意

背後で小さく聞こえるユウカとノアの声。

 

「銀さん……行ってしまったわね。」

 

「ええ……でも、彼ならきっと何とかしてくれるわ。」

 

廊下には銀時と金時の足音だけが響き続けていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

「なるほど……その子は命にかけて「ソレ」を守ろうとしたのね。人でもない「ソレ」を」

 

廊下に立つ銀時を前に、リオは冷静さを保ちながらもその背筋を正した。彼女の纏う雰囲気が一段と張り詰めたものとなり、鋭い視線を彼に向ける。

 

「――先生、状況は理解しているのかしら?」

 

「……まぁな。」

 

銀時が木刀を肩に担ぎ、軽く頭を掻くような仕草をしながら返事をする。それを聞いて、リオは小さく息を吐き、タブレットを胸元に抱き寄せると、言葉を続けた。

 

「ならば手短に済ませましょう――先生、私は貴方に、シャーレに対して正式に協力を要請するわ。」

 

「………」

 

「これはセミナーではなく、あくまで私個人としての要請だけれど。」

 

リオの言葉に、廊下の空気が一変する。モモイ、ミドリ、ユズ、そしてネルが驚きに目を見開く。だがリオはその視線を意に介さず、ただ冷静に言葉を続ける。

 

ミレニアムサイエンススクールとしてでも、セミナーとしてでもない、調月リオ個人としての協力要請。それはゲーム開発部やネル、さらにはトキにさえ意外な提案だった。

 

「貴方も理解している筈よ、先生。」リオは銀時の顔を真っ直ぐ見据えたまま言葉を続けた。「彼女の存在、その危険性を。」

 

「……アリスの事か?」

 

銀時の問いに、リオは静かに頷いてみせた。その瞬間、彼女の肩越しに見えるアリスの小さな身体が、微かに震えているのが分かった。

 

「えぇ。あれは世界を終焉に導く兵器。『ソレ』を放置すれば必ずキヴォトスに厄災が訪れる――何百、何千と演算を繰り返しても、得られる結果は同じだったわ。これは確定された未来よ。」

 

「………」

 

銀時は答えず、リオをじっと見つめる。その瞳には、どこか探るような光が宿っていた。

 

「だからそうなる前に、私と一緒に彼女を――」

 

リオが続けようとした瞬間、銀時がふいに動いた。壁に突き刺さった木刀の柄をがしっと掴み、力強く握り締める。

 

「それだけか?」

 

「え?」

 

リオが目を丸くする間もなく、銀時は木刀を壁から引き抜き、そのまま一気にリオに向けて振りかざした。鋭い空気が走り、廊下に緊張が満ちる。

 

「っ……!」

トキが咄嗟にリオの前に立ち、銀時の攻撃を受け止めた。トキの軽装ギアが衝撃を吸収し、廊下に火花が散る。

 

「……悪りぃな、話が長すぎて半分以上聞いてなかったわ。」

銀時は木刀を引き戻しながら、気怠そうに言い放った。

 

「何ですって?」

 

リオの声に対し、銀時の声が低く、しかし確かな怒気を孕んで響く。

 

「テメェは目的のためにタマや俺の仲間――ここにいる生徒たちを傷つけた。そんな奴の依頼なんて聞きたくもねぇよ。」

銀時は木刀を肩に乗せ直し、再び言葉を続ける。

 

「後な、依頼を受けたとしてもだ。アリスを連れ出すかどうか、それはアリス自身の問題だ。アリスが自分で行くって決めねぇ限り、俺は誰にも連れて行かせねぇ。」

 

リオは僅かに眉を顰め、冷たい声で反論する。

 

「貴方のその選択がキヴォトス全土の平和を脅かすことになっても? 貴方の選択は“どちらも救う”という理想にすぎ――」

 

その言葉を遮ったのは、新たな声だった。

 

「――それって正論?」

 

冷ややかな響きを持つ声が廊下に響く。リオが言葉を詰まらせる間に、銀時の背後から金時が歩み出てきた。その全身には青白い光が纏わりつき、まるで神秘的なオーラを発している。

 

「俺、正論って嫌いなんだよね。」

金時は冷たく笑いながらリオを見据えた。

 

 

「あなたは?……それにどうしてここにいるの?」

リオが金時に問いかけるが、その声はどこか苛立ちを含んでいる。

 

「そりゃあ俺の仲間が危険だってのに、黙って見てるわけにはいかねぇだろ。」

金時は淡々と答えながら、リオとトキの間に割り込むように歩み寄る。

 

「それで、どうするつもり?」

リオが冷静を装いながら問いかける。

 

金時は肩をすくめた後、リオを真っ直ぐ見据えて宣言する。

 

「どうするって? 簡単さ――アリスには指一本触れさせない。それだけの話だ。」

金時が手を軽く動かすと、廊下全体に青白い光が広がり、微かな振動が空気を震わせた。

 

「トキ、動きなさい!」

リオが叫ぶと同時に、トキが再び金時へと間合いを詰める。しかし――。

 

「遅いよ。」

金時は声共に足に強烈な一撃をお見舞いした。

 

「これは……?」

トキの瞳が驚きに揺れる。

 

「アンタの速い動き、やっぱり足が肝なんだろ? それをちょっと奪っただけさ。」

金時は冷たく笑いながら答えた。

 

「さぁて、リオさんよ。これ以上は……俺らが相手になるぜ?」

金時はその場の全てを見下ろすような余裕を漂わせながら、不敵に微笑んだ。

リオは金時を睨みつけ、タブレットを握る手に力を込めた。その赤い瞳が鋭さを増し、冷ややかな声が響く。

 

「――貴方たちの介入が事態を複雑にしているのは理解しているでしょう。これ以上、無駄な抵抗は――」

 

「無駄かどうかは俺が決めるさ。」

金時が軽く手を振り、青白い光がリオとトキの間を通り抜ける。その光の残像が周囲の空気を歪ませ、リオの言葉を遮るかのように廊下に波紋を生じさせた。

 

「俺が言いたいのはな、リオさんよ――」

金時は笑みを浮かべながら一歩前に出る。

 

「お前が正しいとか、俺にはどうでもいい。けどな、ここにいる俺の兄弟――それと俺の仲間たちを傷つけるなら、正論だろうが合理だろうが、俺らは叩き潰す。」

 

「……叩き潰す?」

リオの眉が微かに動く。その冷静さの中に、一瞬だけ警戒の色が見えた。

 

金時はその様子を見逃さなかった。彼はさらに一歩前へと踏み出し、肩をすくめるような仕草を見せる。

 

「そうさ。お前がどんなに頭を使おうと、計算し尽くした結果を持ってこようと――俺らにゃ無意味なんだよ。」

金時の声が徐々に低くなり、最後には鋭い響きを帯びた。

 

「なぜなら俺たち侍は――力で全部ひっくり返すのが得意だからな。」

 

その言葉と同時に、金時の周囲の光がさらに強く輝き出す。まるで重力そのものを操るかのような圧が廊下全体に広がり、リオがわずかに後退する。

 

リオは一瞬の逡巡を見せたが、再び冷静を取り戻す。タブレットを操作しながら、トキへと命令を下す。

 

「トキ、拘束を解除して、迎撃態勢を整えなさい。」

 

「……了解しました。」

トキの声がかすかに震えながらも、即座に対応を始める。しかし、その動きは金時の攻撃によって鈍らされていた。

 

「無駄だって言っただろ。」

金時が再び笑うと、

 

その瞬間、銀時が木刀を肩に担ぎ直し、不意に口を開いた。

 

「おーい金時、あんまり目立つなよ。お前が目立つと俺の立場がなくなるだろ。」

 

「兄弟、俺が目立つんじゃなくて、お前が普段からだらけすぎなんだよ。」

金時が振り返り、銀時に軽口を叩く。その間にも、リオの目は冷ややかさを失わない。

 

銀時は木刀を片手で持ち上げ、軽く回して見せる。

 

「ったく、お前もリオも難しい話ばっかだな……。」

 

その言葉が終わるや否や、銀時は木刀を構えた。次の瞬間――。

 

「けど俺はシンプルにいくぜ!」

 

銀時の木刀が光を纏い、空を裂くように振り下ろされる。その一撃は、リオの持つタブレットのギリギリ手前で止まり、彼女の周囲の空気を激しく震わせた。

 

リオは一瞬たじろぐも、すぐに冷徹な表情を取り戻す。

 

「貴方の力がどれほどのものか――試してみるしかなさそうね。」

 

リオが再びタブレットを操作し、廊下の奥から無数のドローンが出現する。廊下を埋め尽くすように現れたそれらの機体が、一斉に銀時と金時へと向けて銃口を向けた。

 

「面倒くせぇな。」

銀時がため息をつきながら木刀を構え直す。

 

「俺たちの力を試したいなら――覚悟してもらおうか?」

金時も不敵な笑みを浮かべ、光を全身に纏う。その場の緊張感が最高潮に達する中、両者が激突する瞬間が訪れようとしていた。

 

金時が笑みを浮かべたまま、廊下の中央に立ち尽くしていた。その全身を覆う青白い光は、まるで防御の壁そのものであり、AMASやトキの攻撃を寄せ付けない圧倒的な威圧感を放っている。

 

リオは再びタブレットを操作し、無数のドローンが一斉に金時と銀時を包囲した。

 

「トキ、動ける?」

 

「はい、十分です。」

 

トキは短く答え、金時の背後を狙うべく加速する。しかし、金時は動じなかった。

 

「相変わらず遅いな。」

瞬間――金時が手をかざすと、空間が歪むような感覚と共にトキが吹き飛ぶ。それはまるで磁石反発を身をもって体験しているかのような感覚だった次いで床に倒れ込んだ。

 

「ッ、これは……!」

トキが驚愕の声を漏らす中、銀時が木刀を振りかざしながらドローンを一掃していく。

 

「ったく、次から次へとややこしいの持ち出してきやがって!」

 

「兄弟、遊びすぎだろ。」

 

「うるせぇ!俺にゃこれくらいがちょうどいいんだよ!」

 

ドローンの爆発音が廊下に響き渡る中、リオが冷徹な瞳でその光景を見つめていた。

 

「……先生それに、坂田金時。貴方たちはこの状況の重大さを分かっていない。」

リオの声には冷たい怒りが込められている。

 

「いいや、十分に分かってるさ。」

金時が光を纏ったまま振り返る。

 

「だがな――正しさだけじゃ世界は救えない。」

 

その言葉と同時に、銀時が木刀を振り抜き、最後のドローンを粉砕した。そしてトキに向かって二人揃って木刀を振りかざしたその時。

 

 

「――もうやめて下さいッ!」

 

アリスの涙混じりの絶叫が、廊下全体に木霊した。

 

「アリス、ちゃん……?」

ミドリが震えた声を漏らす。

 

それまで身を竦ませ、一歩一歩後退していたアリス。その小さな身体が震えながらも、光を失ったスーパーノヴァを掻き抱き、涙を零していた。

 

彼女の姿に全員が動きを止める。その視線は一心にアリスへと注がれていた。

 

半ば暗闇に沈むような廊下の中、アリスの輪郭はぼやけている。その姿は、見ているだけで痛々しさを感じさせた。

 

「アリスは――……アリスは、全てを理解しました。」

アリスは震える声でぽつりと呟く。

 

「アリス?」

モモイが一歩踏み出そうとするが、アリスは顔を伏せたまま首を横に振る。

 

その声には力がなかった。しかし、その奥底にある感情は揺ぎなく、全てを決意しているようだった。

 

「こうやって、皆が争って、傷付いて、それを見ている事しか出来なくて……そんな状態で、アリスだけ逃げるなんて出来ません。」

 

アリスは顔を上げた。その小さな顔には涙が伝い、唇を震わせながら続ける。

 

「俯いてばかりだったアリスに、皆はたくさんのものを教えてくれました。でも――でも、そのアリスが原因で、こんな風に皆が傷付いてしまうなんて……!」

 

廊下に集う全員がアリスを見つめる。銀時や金時でさえ、静かに彼女の言葉を聞いていた。

 

「だからアリスが――アリスが、此処ゲーム開発部から消えます。」

 

その言葉に、ネルが悲しみを忘れて叫ぶ。

 

「なっ、チビ……ッ! テメェッ!」

「だ、駄目だよアリスちゃんッ!」

モモイも声を荒らげるが、アリスは首を振った。

 

「いいえ――ッ!」

 

強くかぶりを振り、アリスは全員の声を掻き消すように叫んだ。

 

「これで良いんです、アリスは……アリスはもう、誰も怪我をさせたくありません!」

 

その声に宿る決意に、誰も言葉を返すことができない。銀時も口を閉ざし、目を細めた。

 

アリスは泣き笑いの表情を浮かべ、スーパーノヴァをぎゅっと抱き締めた。その涙が剣を伝い、床に滴る。

 

「ミドリも、ユズも、モモイも、ネル先輩も、他の皆も……怪我、させたくないです。痛い思いを、して欲しくありません。」

 

震える手を胸元に当て、アリスは小さな声で吐露する。

 

「こんな風にまた、皆が苦しい思いをしてしまう……アリスにその意思が無くても、いつか、そうなってしまうかもしれない。」

 

それは、彼女が心の奥底で抱き続けた恐怖だった。そして、その恐怖が彼女に決断を強いた。

 

アリスは自らの手を見つめた。震える小さな手。その手が持つ可能性――誰かを傷付ける力を。

 

「こんな手で、皆を傷付けるなんて……嫌です。」

 

その言葉には誰も反論できなかった。

 

「アリスは……皆の前から消えます。」

 

その言葉が響いた時、廊下の空気が凍りついた。全員が息を呑み、ただアリスの姿を見つめるだけだった。

「だ、駄目だよアリス……! だ、だって……っ!」

 

モモイが力なく手を伸ばす。その目には涙が滲んでいた。声は震え、掠れ、届かないと分かっていてもなお、必死に言葉を募らせる。

 

「だって、アリスは――……ッ!」

 

しかし、その声を遮るように、銀時の低い声が響いた。

 

「いいんじゃね。」

 

モモイが目を見開く。

 

「――!?」

 

廊下全体が一瞬凍り付いたかのように静まり返る。ネルやミドリ、ユズ、そしてタマでさえ、銀時を見つめていた。

 

「アリス、テメェがそう決めたんなら、俺は止めねぇよ。」

 

銀時は木刀を肩に担ぎながら、どこか遠くを見つめるような視線で続けた。

 

「天国でも地獄でも、行きたいとこに行けばいいさ。」

 

「兄弟……」

金時が口を開くが、言葉を続けることができない。

 

「そうだよ銀さん!アリスを止めないと!」

モモイが必死に叫ぶが、銀時はそれを軽く制した。

 

「金時、それにお前ら、聞けよ。」

 

銀時の瞳が静かに光を宿す。

 

「俺はここでの立場、あくまでお前らの先生だ。」

 

「先生は、生徒の決断を認めてやることだと思ってる。だから……俺はアリスの決断を止めはしねぇ。」

 

銀時の言葉は穏やかで、それでいて重く響いた。その一言一言が、ゲーム開発部の胸に刺さる。

 

「そ、そんな……!」

モモイの頬を涙が伝う。

 

銀時は、リオとトキに視線を向ける。

 

「良かったな、リオ……トキ。アリスのおかげで、お前らの手間も命も救われたぜ?」

 

リオの目が僅かに揺れる。アリスの決断に、銀時の言葉に、何か言いたげな様子だったが、彼女は何も言わなかった。

 

トキもまた銀時を一瞥し、冷静な表情の裏で僅かに眉を寄せた。

「……リオ様。」

静かに後ろに控えていたトキが、アリスの言葉を受けてリオに問いかけた。

 

「これで、任務完了と見なしますか?」

 

リオはタブレットを軽く操作し、画面を一瞥した後、静かに頷いた。

 

「えぇ、これで良いわ。計画通り、アリスを回収する。」

 

リオの声は冷徹そのもので、決して揺らぐことはなかった。

 

「アリス。」

リオが前に進み出て、アリスへと冷たい瞳を向ける。

 

「これで貴女も理解した筈よね。貴女が此処にいるだけで周りを傷つけてしまう。……貴女が望むなら、私は誰も傷つけず、貴女を回収してあげるわ。」

 

アリスはその言葉に、小さく頷いた。

 

「はい……お願いします。」

 

「ちょ、ちょっと待ってよッ!」

モモイが立ち上がり、アリスとリオの間に割って入ろうとする。

 

アリスの静かな微笑みが、廊下に重苦しい空気を引き裂くように浮かんでいた。その表情には覚悟があり、誰もがそれを止めるべき言葉を失っていた。

 

「アリス……!」

モモイが再び叫ぼうとするが、今度はその言葉をアリス自身が遮った。

 

「大丈夫です、モモイさん。」

アリスは震える手で涙を拭い、俯きかけた顔をしっかりと上げる。

 

「アリスは……皆さんの事が大好きです。でも、このままここに居続ける事で、皆さんを傷つけてしまうのが何よりも怖い。」

 

「そ、そんな……私達はっ! 私達はアリスちゃんが居てくれるだけで幸せだったのに!」

ミドリの声が涙で震える。

 

「そうだよ! アリスがいなくなったらゲーム開発部はどうなるの!? 一緒に沖田くんたちと遊ぶ約束は!?」

ユズもまた声を荒げるが、アリスは首を横に振る。

 

「アリスは、皆さんの邪魔をしたくありません。……どうか、アリスの事は忘れて下さい。」

 

その言葉にゲーム開発部の全員が凍り付くように沈黙する。アリスが、自分たちの前から消えると――その言葉が現実味を帯びて彼女達を締め付けていた。

「トキ。」

リオが静かに命じる。

 

「了解しました。」

トキは短く答えると、アリスに歩み寄り、その小さな肩に手を置いた。

 

「さぁ、行きましょう。」

アリスは一度だけ振り返り、モモイ、ミドリ、ユズ、そして動けなくなったタマへと視線を送った。

 

「皆さん、ありがとうございました。アリスの事を忘れないでくれて、とても嬉しかったです……さようなら。」

 

その言葉を最後に、アリスは再び前を向き、トキに連れられて歩き出す。

 

モモイが涙を溜めたまま叫ぼうとするが、銀時が木刀を軽く肩に担ぎ、ゆっくりと前に出て小声で語りかける。

 

「……リオ、」

 

リオが立ち止まり、振り返る。

 

「何かしら? 先生。」

 

銀時の瞳には静かな怒りの炎が灯っていた。

 

「言っとくけどな――このまま帰れるとは思うなよ。」

 

リオは軽く眉を上げた。その様子を見て、銀時はさらに木刀を構えながら低く呟いた。

 

「お前がどれだけ正論を吐こうが……俺にとっちゃ関係ねぇからな」

 

「……やれやれ。」

リオは肩をすくめ、冷たく笑った。

 

 

「まだ分からないのかしら。貴方達が何をしようと、結果は変わらないわ。」

 

「そいつはどうかな。」

 

銀時がニヤリと笑う。

 

銀時たちのやりとりを知らないミドリたちの視線の先で、アリスは静かに微笑んでいた。

 

その微笑みは泣き笑いのようで、どこか切なく、それでも決意に満ちていた。

 

「大丈夫ですよ、皆さん。アリスは――皆さんこと忘れないので。」

 

彼女の言葉が響いた瞬間、誰も声を発することができなかった。

 

……そっか、結局アリスは会長に――」

「ねぇ、これって結構……ヤバいんじゃない?」

「はい、ヤバい所か、ハッキリ云って非常事態ですね」

 

部室棟ヴェリタス、サブルームにて。ゲーム開発部襲撃から十二時間が経過し、青白いモニタの光に照らされた中、ハレ、マキ、コタマが顔を突き合わせたまま深刻そうに言葉を交わしていた。

 

 

以前の騒動でメインルームが破壊され、ヴェリタスは機器の大部分をサブルームへ移動させていた。その部屋にはヴェリタスの三人に加え、モモイを除くゲーム開発部、そしてC&Cのメンバーも集まっていた。室内に漂う重苦しい気配は、まるで部屋そのものを押し潰してしまいそうだった。

 

壁に背を預け、アカネとカリンはネルの方を窺う。椅子に逆向きで座る彼女の表情は険しく、普段の冷静さは失われている。

 

「では、以前の任務で会長が部長を呼び出したのは、最初から……」

「えぇ、リーダーの離反を想定していたのでしょうね。……何とも会長らしい」

 

アカネは額に手を当てながら呟き、続けてアスナを一瞥する。普段溌剌としている彼女は現在、顔を伏せたまま冷たい雰囲気を纏っていた。

 

「……会長、アリスちゃんを連れて行った上に、リーダーとタマを虐めたんですか?」

「……あぁ、リオの奴がリーダーやタマを滅茶苦茶にして、アリスを無理矢理連れて行きやがった」

 

ネルの答えにアスナの瞳が僅かに揺れる。

 

「――そう」

 

その言葉は端的で寒々しかった。普段のアスナからは考えられない冷淡な態度に、カリンは恐る恐る声を掛ける。

 

「……アスナ先輩、えっと、怒っているのですか?」

 

「タマちゃんやリーダーに手をあげるなんて、あり得ないから」

 

短い言葉だが、彼女の内側で燃え盛る怒りを如実に伝えていた。

 

一方、ミドリとユズは俯きながらお互いを窺い合っていた。

 

「それより、銀さんだよね……あんな事を言うなんて」

「うん……私も全然、想像出来なかった……」

 

ミドリの声にユズが小さく頷く。ゲーム開発部として一緒に過ごしてきた銀さんが、アリスを連れて行くという選択を認めた――それがどうにも信じられない。

 

「銀さんって……こんなに、冷たかったっけ?」

 

「そ、そうだよね。いつもはもっと、私たちのことを……」

 

モモイの声はどこか震えている。銀さんはいつも自分たちの味方だった。それが彼女たちにとって唯一の信頼であり、どんな困難でも乗り越えられる支えだった。それなのに、今回ばかりは――。

 

「銀さんが、本当にアリスちゃんを守ってくれないなんて……そんなの、あり得ないよ……」

 

ミドリの呟きが沈黙に吸い込まれる。その沈黙は重く、全員の胸を締め付けるようだった。

 

 

 ぴしゃりと、叩きつける様な云い方。その言葉にC&Cの全員が思わず口を噤み、カリンも口に出掛けていた言葉を呑み込む。

ヴェリタスのサブルームには重苦しい空気が漂っていた。ネルが苛立ちを露わにし、アスナが静かな怒りを胸に秘める中、ミドリとユズは俯き、ミレニアムの生徒達も一様に沈黙していた。

その時、部屋の扉が軽い音を立てて開いた。

 

「よぉ、何か深刻そうな顔してんな?」

 

突如聞こえたその声に、全員が反射的に顔を上げる。そこに立っていたのは木刀を腰に挿した銀時だった。

 

「銀さん……!」

ミドリが驚きに目を見開くと、銀時の後ろから金時も姿を現した。彼は淡々とした表情を浮かべながら、部屋を見渡す。

 

「なんだよ、この葬式みてぇな空気。せっかくの青春が泣いてるぞ?」

 

銀時の軽口に反応する者はおらず、ネルが疲れたように呟く。

 

「何しに来た……」

 

「何ってお前、お前らが集まってるって話聞いたら案の定、めちゃくちゃじゃねぇか。」

銀時は軽く鼻を鳴らし、椅子に腰掛ける。

 

「テメェあんな事した後で良くあたしたちの前に来れたよな?」

と言ってネルは銃口を銀時に向ける。

 

「まぁ、待てって。俺が何も考えずにあんなこと言ったと思うか?」

 

「――銀さん、それは……」

 

アカネが眉を顰める。銀時は背もたれに体を預けながら話を続けた。

 

「確かに俺は先生ってもんは、生徒の意見を尊重して、それをさせてやるべきだと思ってる。だから、アリスが『行く』って決めた時も止めなかった。」

 

「だが、それはタマのやつの働きが無駄に終わったってことになるんだぞ!!」

ネルが思わず声を荒げる。

 

「――だがな、生徒の決断が間違ってる時は、それを正すのが先生の仕事だとも思ってんだよ。」

 

銀時の声色が僅かに低くなる。部屋全体がその一言で静まり返る中、彼は木刀を手に立ち上がった。

 

「だから、救いに行くぞ。あの勘違い野郎を。」

 

金時が銀時に目を向け、淡々とした口調で付け加える。

 

「言っただろう。侍は力で覆すのが好きだって」

 

銀時は振り返り、集まった全員を見渡した。

 

「どうすんだよ、お前ら。こっからは一人でも多い方がいい。行くか、行かねぇか。それはテメェら次第だ。」

 

「――そんなの、決まってるよ!」

最初に声を上げたのはアスナだった。彼女は勢いよく立ち上がると、拳を握り締めて答える。

 

「友達を助けに行くなんて、当たり前じゃない!」

 

「アスナ先輩……」

アカネが僅かに目を見開くが、その表情にすぐ決意が宿る。

 

「リーダー、当然我々も同行する。あの様な非道を許す訳にはいかない。」

 

カリンも頷きながらネルを見る。

 

「部長……我々も力を貸します。」

 

ネルは短く息を吐き、掻き上げた髪を下ろす。

 

「……行かねぇ訳ねぇだろ。あいつら、絶対にぶっ飛ばしてやる。」

 

モモイにミドリとユズも顔を見合わせると、小さく頷き、互いに笑みを浮かべた。

 

「よし、決まりだな。」

銀時は木刀を肩に担ぎ直し、扉の方へ向き直る。

 

「だったらまずは作戦を立てねぇとな、アリスが無事なうちにな。」

 

金時も静かに後を追い、ヴェリタスのサブルームは闘志に満ちた生徒達の気迫で再び活気を取り戻したのだった。




次回

ユウカ「銀さん!アリスちゃんのいるところがわかりました!」

銀時「え、ほんと?一体どこなの?」

ユウカ「アリスちゃんを監禁するためだけに作らせた要塞都市です」

銀時「へぇ〜アイツ難しいことばっか話してたけど……要するにロリコンだってことね〜〜分かった分かった」

一同「何も分かってないでしょ!!」

次回「監禁するならコソコソするより堂々とした方がバレないけどバレた時は大変だからしない方がいいよ」

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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