透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい) 作:時代に遅れている
ゲーム開発部 銀時『明けましておめでとうございます!』
モモイ「いやぁ〜2025年始まったね。」
ユズ「まだアリスちゃん戻ってきてない設定だから明けましてって言っちゃいけないと思うけど……」
ミドリ「ユズちゃん……設定とか言わないで」
モモイ「それはそれこれはこれって事で銀さん!」
ゲーム開発部『お年玉ちょーだい!』
銀時「………はい」
銀時はゴソゴソと探して何かを手渡した。
モモイ「わぁ!って何これ?」
ミドリ「銀の玉?」
ユズ「もしかして……パチンコ玉?」
銀時「さぁテメェら!パチンコ打って一攫千金……」
ユウカ「いけませェェェェェェん!!」
ドカァァンと壁に練り込む銀時
ユウカ「全くこの子達なんて遊びを教えるんですか!!」
ユウカ「そんなことするくらいならさっさと本編始めてください!」
銀時「は、はい分かりました。」
ノア『そんなこと言って……本当は銀さんと早く絡みたいユウカちゃん……可愛いですねぇ』
「なら取れるもんなら取ってみやがれ……」
銀時が木刀を軽く構えた瞬間、アビ・エシュフのブースターが轟音を上げ、トキの巨体が一瞬で銀時との距離を詰めた。その速度はまるで音を置き去りにするかのよう。銀時の前に迫る巨大な装甲の腕が、唸りを上げて振り下ろされる。
「ッ――!」
瞬間、地面が大きく震え、衝撃波が周囲を駆け抜ける。空気が歪み、瓦礫が舞い上がる中、銀時はわずかに後退しながら木刀を振り上げ、その一撃を真正面から受け止めた。
「おいおい、どうした? 横領都市ひとつじゃ鬼さん一人捕まえられないってか?」
軽口を叩く銀時の手に握られた木刀が、アビ・エシュフの巨大な腕をしっかりと弾いている。その異様な光景に、トキの瞳が一瞬揺れる。
「……くっ……!」
トキは素早く距離を取る。巨大なブースターの出力を調整し、アビ・エシュフを後退させながら内部で計算を行った。
(近距離では予想を超える動きに翻弄される――次は中距離で攻める。)
次の瞬間、トキの両腕に装備されたガトリングが展開される。無数の銃弾が弾倉から送り込まれ、機械音と共に砲身が高速回転を始めた。
「これで終わりです――。」
轟音と共に銃弾の嵐が銀時に襲い掛かる。地面を抉り、瓦礫を砕き、凄まじい速さであらゆる方向から飛び交う銃弾。
だが、銀時はまるで弾幕など存在しないかのように動き続ける。
「おいおい、銃弾の連射なんてなぁ……それより早く動いちまえば、こっちのもんだ!」
銀時の姿が掻き消えたように見えた瞬間、トキの背後に砂煙が舞い上がる。その中から銀時が飛び出し、木刀を逆手に構えると、一気にトキの胸部装甲に突きを叩き込んだ。
「くらいやがれ!」
ゴォン!
木刀がアビ・エシュフの装甲を叩き、凄まじい衝撃音が周囲に響き渡る。トキの巨体はその勢いで後方へ吹き飛び、地面を何度も転がった。その衝撃で舞い上がった砂煙が戦場を覆い尽くす。
――遠くでその光景を見守るゲーム開発部、エンジニア部、そしてC&Cのメンバーたちは、息を呑んでその場に立ち尽くしていた。
「お、お姉ちゃん……」
ミドリが震える声で呟く。彼女の隣でモモイが思わず唾を飲み込んだ。
「あ、改めて思うけど………すごいね。」
ミドリは頷きながら、目を丸くしている。
「うん……すごい。」
ユズも同じく、銀時の戦いを呆然と見つめていた。
少し離れた場所では、ウタハが腕を組みながら軽くため息をついていた。
「かなりの戦闘能力があるなとは思っていたが……まさかここまでとはねぇ。」
その言葉に、カリンが険しい顔で同意する。
「あの時、あの男が本気でなくてよかった。でないと……」
アスナが軽く肩をすくめながら、気楽そうに続けた。
「手も足もでないどころか、学園一つ破壊されてたかもね〜。」
その余裕のある態度に、アカネが思わず声を荒げた。
「皆さんどうしてそんな落ち着いた感じで話せるんですか!?」
彼女の焦りが伝わると、チヒロが不安げな声で答える。
「そうよ!……さっきも言った通り、あの戦闘スーツにはこの都市の全てが詰まってるようなものなの。」
彼女は銀時の様子をモニター越しから見ながら言葉を続ける。
「つまり、この都市と生身の人間が戦っているようなものなの!普通ならそんな事……」
「起きちまうんだよ。」
チヒロの言葉を遮るように、どこか低く響く声が聞こえた。全員が振り返ると、そこには血の滲んだ額を拭いながら、なお毅然と立つネルの姿があった。
「部長……!」
アカネが驚いて駆け寄ろうとするが、ネルは静かに手を上げて制する。
「ネル……」
チヒロもその姿を見つめ、声を震わせていた。ネルは体の痛みを堪えながら、前に一歩踏み出す。
「銀時は、以前言った……『俺たち侍は護るもんのためなら、誰が相手だろうと剣を握る』ってな。」
その言葉を口にしながら、ネルの瞳には強い確信が宿っていた。
「銀時には、どんだけ戦力差があろうと諦めねぇし、逃げたりもしねぇ。それに、それを拒ませようとするもんが現れねぇくらいにアイツは強い。」
その言葉に、一同は黙り込んだ。それぞれが銀時の背中を思い浮かべ、その信念を感じ取る。
金時が静かに前に出て、腕を組みながら口を開く。
「だから……アイツが俺たちを頼るその時まで、黙って守ろうぜ。」
金時の言葉は落ち着いていたが、その中には確かな覚悟が込められていた。
「今、俺たちに出来るのはそれだけなんだからな……。」
ネルは小さく頷くと、少しだけ笑みを浮かべた。
「ああ……それだけで十分だ。」
彼らの決意が、砂煙の中で戦い続ける銀時の背中に届いているようだっ砂煙の中から低く響くトキの声が聞こえた。
「確かに驚きました。ですが……それは、あなたの攻撃が届くという証明にはなりません。」
煙の向こうから立ち上がるアビ・エシュフのシルエット。その装甲には、銀時の攻撃の跡と呼べるような損傷は一つも見られなかった。
銀時は木刀を構え直し、軽く舌打ちをする。
「おいおい……パヴァーヌ篇って。呪術◯戦の五条◯能力大集合か?金時が虚式と術式と反転術式で、そっちは無限……これじゃただの泥沼じゃねぇか。」
その言葉に応えるように、リオの声が上空から響いた。ホログラムの映像が空間に浮かび上がる。
『そうよ……』
銀時が目を細め、軽く鼻を鳴らす。
「これはこれは、高みの見物とは。ずいぶん余裕そうだなぁ、横領娘のリオちゃんよ。」
リオのホログラムが薄く微笑む。
『先生……あなたの戦闘能力が現実離れしており、演算を超える存在であることは認めるわ。でも……今の戦闘でわかったはずよ。あなたの攻撃でも、アビ・エシュフには傷一つつけられないことを。』
銀時はリオを見据えたまま無言で木刀を肩に担ぐ。
『ここまで戦っても無駄なこと……持久戦では、さすがのあなたでも勝ち目はない。降参の旗を挙げる以外に選択肢はないのではなくて?』
その冷たい言葉に銀時は口元を歪める。
「そうか? まだ俺は諦めるには早ぇと思うんだけどよ。」
言い終わると同時に、銀時はトキへと瞬時に距離を詰め、一撃を叩き込んだ。木刀の衝撃に一瞬だけトキの巨体がぐらつく。
その隙に銀時はネルの元へ駆け寄った。
「銀時……どうした?」
ネルは体を支えながら息を整えている。トキとの戦闘で負った傷がまだ癒えきっていない様子だった。
「こりゃあまずいなぁ……あれだけ言っときながら、あの野郎には傷一つつけられる気がしねぇ……。」
ネルは顔を上げ、銀時の言葉を遮るように口を開く。
「……そんなことはどうだっていい。要件を言え。何か案があるんだろ?」
銀時は少し戸惑いながらネルを見た。
「安心しな……私はもう大丈夫だ。」
ネルは小さく笑って銀時を促した。
「一つ聞いていいか? お前らのヘイローってやつ……それがあるなら、ある程度の衝撃には耐えられるんだろ?」
「ああ……まぁな。」
銀時が木刀を握り直しながら小声で言葉を続ける。
「地上での戦闘で傷をつけられねぇなら……空中なら攻撃が入るかもしれねぇって思ったわけでよ。あのビルから落ちても、お前は大丈夫か?」
ネルは一瞬だけ目を細めて銀時を見つめる。
「……。」
銀時は軽く首を振りながら続けた。
「無理は言わねぇよ。お前が無理だってんなら、俺がやる。この身一つで――。」
「やるさ。」
ネルが静かに言葉を返す。その瞳には迷いのない光が宿っていた。
「いけません部長!その体で……」
その言葉にアカネが止めようと迫るが、
「アカネ少し黙ってくれねぇか?」
とアカネを睨み返し止めた。
「私にやらせな……まだ私にもアイツに一撃喰らわせることができるんだろ?」
銀時は一瞬だけ驚いたような顔を見せるが、すぐに苦笑いを浮かべる。
「本当に大丈夫なんだよな?」
ネルは口元を歪めながら、銀時の問いに笑い混じりで返す。
「あんたから言い出したくせに何言ってんだよ? それに、あんたは私を信じるって言っただろ? 最後まで信じな。それが銀時、あんたの先生としての考えなんじゃねぇのか?」
銀時は一瞬だけ目を閉じると、大きく息を吐いた。そして、口角を上げて木刀を構える。
「じゃあ行くぞ――!」
砂煙の中、二人が決意を胸に戦場へ飛び出した。
そして一目散に近くのビルに走り出した。
「………っ!」
トキが驚き、すぐに追撃の準備をするが、銀時は振り返りもせず叫ぶ。
「攻撃が効かねぇなら……逃げるんだよォォォ──────ッ!」
その挑発めいた声に、リオのホログラムが冷静に指示を出す。
『ここで逃げるなんて……トキ、行きなさい!』
「イエス、マム。」
トキの巨体が再び加速し、銀時を追う。
屋上
「ターゲットを追撃、屋上に到着しました。」
トキが無機質な声で報告すると、リオのホログラムが銀時の意図を推測するように呟く。
『よりによって建物の屋上だなんて――狭いところでネルと一緒に戦えば、トキとまともに戦える、と。』
『そう判断したのね、先生。』
銀時は屋上の端で余裕たっぷりの表情を浮かべながら指を左右に振る。
「チッチッチッ……違うんだなぁこれが。」
「ネル!」
銀時の声に応えるように、別方向からネルが飛び出す。
「おうよ!」
トキがすぐさま上空を警戒し、冷静な声で言い放つ。
「……頭上。」
ネルは屋上の壁を蹴り、宙を舞いながらトキを見下ろす。
「ハッ!」
トキはそのままネルを狙ってガトリングを向けるが、ネルは涼しい顔で言い返す。
「お前のバカでかいおもちゃなら、銀時の攻撃を無力化しながら私の攻撃も捌けるかもしれねぇな……でも――。」
ネルは勢いよくトキの装甲に向けてツインドラゴンを発射するが、トキが身を翻してかわす。その隙にネルはトキの間合いをさらに詰める。
「それは地上での話だろ?」
トキの動きが一瞬止まり、ネルの攻撃が装甲をかすめる。
「じゃあ空中でならどうだ?」
その瞬間、銀時が動き出し、手にした不発弾をトキへ向けて投げつけた。
「それじゃあ空中での楽しいパーティーに行ってらっしゃ〜い!」
ドカァァァン!
不発弾が爆発し、トキの巨体が揺れる。衝撃でトキは建物の外に弾き出され、地上と空中の狭間に放り出された。
「クッ……建物の外に弾き出された……?」
ネルはその様子を見て、挑発的な笑みを浮かべる。
「おいおい、まさか空まで飛べるとか言わねぇよなぁ?」
ネルは一瞬の間を置いて、さらに加速しながら空中でトキに狙いを定める。
「来いよ! 落下中でも私の攻撃、避けられるかどうか見てやるよ!」
地上
一方で地上にいるモモイたちは、銀時とネルの行方を追って周囲を探していた。
「はぁはぁ……! 二人とも、一体どこ行っちゃったの!?」
ミドリが額の汗を拭きながら、モモイに続く。
「二人が向かった方向的に、この辺なんだけど……。」
ユズが空を見上げて何かを見つけ、慌てて叫ぶ。
「……!! あ、あそこ! モモイ、上………!」
ネルは落下するトキを追いながら、ツインドラゴンを連射する。
「ありゃああっ!」
トキの装甲に弾丸が何発も命中するが、その声には余裕があった。
「被弾……ダメージ、軽微。」
トキは冷静に状況を分析し、重力加速に合わせて演算補正を行う。
「重力加速に対する演算補正開始。エリドゥのバックアップがある以上……空中であっても、行動に支障はありません。」
トキはすぐにネルに向き直り、ガトリングを連射する。
「対応を再開します。」
ネルは宙を舞いながらガトリングの弾をかわしつつ、叫ぶ。
「いってぇな!! クソ、マジで何なんだよ!」
銀時とネルの作戦は想定外の成功を収めたが、トキの性能はその先をも見越していた。
「ネル先輩……これで終わりです。」
トキがすべての砲門を解放し、一斉掃射を準備する。その瞬間――。
「させるかァァァァ!!」
銀時の声が響いた。
ビルの途中の階に身を潜めていた銀時が、不意打ちで木刀をトキに向かって投げつける。その木刀がトキの左腕に命中し、損傷を与える。
「ッ!」
トキの視線が銀時へと逸れる。
「……左腕軽度損傷……問題なし。」
その一瞬の隙をネルは逃さなかった。
「おい……横なんて向いてる暇なんてあるのかよ?」
ネルは追撃を仕掛けるが――。
「一斉掃射………!」
トキの砲撃がネルの攻撃を押し返し、ネルの身体に直撃する。
「ぐッ……!」
ネルの身体が落下中の空中で大きく弾かれる。その光景を見た銀時が歯を食いしばる。
「くそッ……!」
空中でトキの砲撃をまともに受けたネルの身体が弾かれ、制御を失ったまま落下していく。
「ぐ……ッ!」
傷だらけのネルが必死に意識を保とうとするも、全身に広がる痛みが彼女の動きを鈍らせる。
「ネル先輩が……!」
モモイが地上から空を見上げ、恐怖に震える声を漏らす。
「ど、どうしよう……落ちたら……!」
ミドリは目をぎゅっと閉じながら言葉を詰まらせた。ユズも同様に唇を噛みしめながら空を見上げる。
「……!! あれじゃ、絶対に無事じゃ済みません……!」
アカネが前に飛び出そうとするが、その場で足がすくむ。
「くっ……!」
ウタハは焦りと無力感を噛みしめながら立ち尽くしていた。
「誰か――!」
その時だった。ネルの落下する身体の下から、一つの影が疾風のように現れた。
「!」
影はネルの身体を軽々と抱きかかえ、そのまま柔らかな動きで地上に降り立つ。ネルは何が起きたのか分からず、ぼんやりと助けられた相手の顔を見上げた。
「……!」
それは、長い髪を揺らしながら、凛とした表情で彼女を抱える桂だった。
桂は無言でネルの傷を確認すると、優しく地面に彼女を横たえ、すぐに振り返る。手にしていた爆弾を取り出し、狙いを定めると、トキに向かって力強く投げつけた。
ドカァァァァン!
爆発音と共に、トキの巨体が火と煙に包まれ、一瞬だけ揺れる。
「クッ……爆風により一時的に視界喪失……演算を再起動します。」
トキの無機質な声が煙の向こうから響く。
一方、ネルは抱きかかえられた衝撃で息を乱しながらも、傷だらけの身体を無理やり起こそうとしていた。
「お前……桂……だろ?」
桂はネルの問いかけには答えず、代わりにそっとネルを支えながら、後ろから降りてきた銀時の方を見やった。
その時、上空から銀時が大きな声を上げながら降りてきた。
「ネルッ! 無事かよ……!」
地面に着地した銀時が駆け寄り、ネルの様子を確認する。しかし、桂の姿に気づいた瞬間、顔を歪める。
「……お前、ヅラじゃねぇか。」
桂は銀時に向き直り、腕を広げて堂々と答える。
「ヅラじゃない桂だ!」
銀時は呆れたように肩をすくめる。
「いや、こんな状況でお前が出てくるとか、相変わらずタイミングがおかしいんだよ。」
桂は真剣な表情を保ちながらも、少し得意げに胸を張った。
「副顧問として生徒の危機に駆けつけるのは当然だ。それに、困っている仲間を見捨てるような真似はせん。」
ネルを助けた桂が、銀時の隣に立ちながら軽く首をかしげて呟いた。
「それにしても、あれだけの高さから落ち、ネル殿の猛攻を受けてもピンピンしているとは……彼女はマリオの姉妹か何かか?」
銀時は呆れたように額に手を当てる。
「おい!今ここでマリオネタはいいから!ツッコミに困るだろうが!」
そんなやり取りを遮るように、金時が険しい表情で二人に声をかける。
「……銀時! ヅラ!」
「ヅラじゃない、桂だ!」
金時は桂の返答を無視して続ける。
「源外の爺さんから連絡が入った。作戦会議を開くと共にネルのケガを看病する。砂煙で周囲が見えていないうちにここを移動するぞ!」
銀時や桂、金時、そして他のメンバーもそれぞれ気配を消しながら移動を開始した。
一方、砂煙が晴れると共に、トキが戦闘態勢を整えつつ再びリオのホログラムに報告を始める。
「……逃げられました。」
リオは冷静な口調で指示を出す。
『トキ、今度こそ追い詰めなさい。』
トキが動き出そうとした瞬間、内部センサーに異変が表示された。
「ッ!?これは……機体にダメージが……?」
リオのホログラムが一瞬眉をひそめた後、静かに頷く。
『……仕方ない。今回は追わなくていいわ。』
トキは一瞬だけ躊躇するも、指示に従い動きを止める。
「承知しました。」
リオは冷静さを取り戻しながら指摘する。
『私たちの目的は、あくまで刻限までここを防衛することだから。無理をしては計画が崩れるわ。』
トキが背筋を伸ばし、静かに答える。
「了解です。」
ホログラムが薄れ始める中、リオは遠くを見つめるように声を落とす。
『でも……またやって来るでしょうね。』
トキの瞳が冷たく光を宿す。そしてリオの冷徹な声が砂煙の中に響いた。
『その時こそ――すべてを終わらせましょう。』
どこかのビル内。
近くの建物にて
チヒロのホログラムが建物の内部を映しながら、周囲の状況を確認している。
『とりあえず近くの建物に逃げたけど……。』
疲れ切った様子のメンバーを見て、チヒロは不安げに呟く。
銀時は瓦礫に腰掛けながら、木刀を軽く肩に担ぎ、金時に視線を向ける。
「で、金時なんだよ? 源外のジジイからの連絡ってやつは。」
金時が腕を組みながら答える。
「源外の爺さんからの連絡だと……あのトキとかいう奴が装備していたエビノシェフだっけ?」
『アビ・エシェフね。それはただのエビの料理人じゃない?』
金時は話を続けた。
「それでだ。そいつは俺たちの攻撃を避ける、もしくは銀時みたいに避けられない攻撃や衝撃にはバリアを展開して攻撃を無力化しているってのは知ってるよな?」
「ああ。」
「うん。」
周囲が頷く中、金時が少し間を置いて告げる。
「そこでだ――源外の爺さんが、そのバリアを貫通してダメージを与えられる代物を開発したらしいんだ。」
モモイが目を輝かせる。
「それすごいじゃん!」
金時は苦笑しながら付け加える。
「ただな、問題がある。その装置は俺の虚式と、銀時、お前のタブレットから供給される虚式が必要なんだ。それも、かなりの時間チャージした状態でなきゃ使えないらしい。」
モモイがすぐさま手を振りながら笑う。
「なぁんだ。発動に時間がかかるだけでしょ? なら時間稼げば……」
その言葉に、ミドリが疲れた表情の仲間たちを見て言葉を遮る。
「お姉ちゃん……みんな、様子を見て……。」
銀時、桂、金時を除いたメンバーの顔には疲労が滲み出ていた。戦闘の連続に加え、精神的な緊張も限界に達している。
チヒロが静かに付け加える。
『万一、そのバリアを貫通できる装置が遅れてやって来たとしても……このメンバーじゃ無理そうだし、それに……あのトキの動きを止めないと意味がない。』
モモイが頭を抱えながら桂を見つめた。
「桂さんだけでも……!」
桂が静かに首を振る。
「モモイ殿……いくら俺が銀時と同じく攘夷四天王の一人だったとはいえ、あれの動きを封じることは難しい。」
その答えにモモイは肩を落とす。
「そんなぁ〜……。」
ウタハが冷静に状況を分析しながら呟く。
「銀さんが初めに攻撃を当てたみたいな、不意打ちみたいなことができれば話は別なんだけどなぁ〜。」
その言葉が響いた瞬間、静かに考え込んでいたユズが顔を上げた。
「……私。」
全員がユズに注目する。
「私……攻撃を与えられる方法、知ってるかも……。」
その言葉に部屋の空気が張り詰める。銀時が、ユズを見つめながら口を開いた。銀時が木刀を軽く肩に担ぎ、ニヤリと笑いながらユズに声をかけた。
「続けてみろよ、プロゲーマー・ユズ? お前の目に何が映ったか知らねぇが……情報共有は大事だからな。」
その言葉にユズは深く頷き、一同の視線を集めながら静かに話し始める。
「はい……。あの時、本当に一瞬……刹那の瞬間だったんですが。」
ユズが見たのは、空中での戦闘直後、桂が投げた爆弾がトキに直撃した瞬間だった。その攻撃は、バリアによって防がれることなく、トキにモロにダメージを与えていた。
「桂さんの攻撃が通っているのを見ました。」
その言葉に桂が誇らしげな表情を浮かべ、胸を張る。
「あの短時間の間にそれを見極めるとは……流石はゲロゲーマスターだ!」
「桂さん……それ、褒め言葉のつもりかもしれないけど……全然嬉しくないよ。」
ミドリが苦笑しながら、ため息をつく。
チヒロが画面を操作しながら分析結果を共有する。
『そうか……トキの装甲とバリアは、あくまでも演算によって攻撃を避け、無効化しているだけ……。』
一同が頷く中、チヒロはさらに説明を続ける。
『確かにどんな攻撃も防いできたトキだけど……二つの違う攻撃には対応できないのかもしれない。』
銀時が片眉を上げながら問いかける。
「どういうこった?」
チヒロが指で画面に表示されたデータを指し示しながら、理論を語る。
『例えばユズが見たように――落下の衝撃と爆撃の衝撃、その両方が重なったとき、トキは両方を完全に防ぎきれていなかった。』
ウタハがすかさず手を挙げて補足する。
「つまり、一種類の衝撃や攻撃は完璧に防げても、二種類同時に発生した場合には演算が追いつかないってことだね」
金時が腕を組みながら頷いた。
「確かに……それならいけるかもしれない。」
その時、ユズが小さく手を挙げ、思い切ったように口を開く。
「私……エレベーターを使えばいけると思います。」
一同が驚いたようにユズに注目する。
ユズがチヒロのホログラムの隣に立ち、建物の見取り図を指し示しながら説明を始める。
「トキは基本的に高度な演算で、あらゆる攻撃を予測して避けたり、バリアで防いでいます。でも、エレベーターなら――。」
ユズは図面を指しながら、トキが戦場にいる場所と建物の構造を示し「エレベーターは、地面に着いた地上の状態と、落下する状態を同時に発生させることで、トキの演算を狂わせることができると思うんです。」
その言葉に一瞬希望が浮かんだが、チヒロのホログラムが無情な現実を告げる。
『残念だけど……リオ会長はそこまで読んでいたらしいわね。』
「え?」
モモイが目を丸くする。
『この都市のすべてのエレベーター……機能停止されてる。多分、いずれこの方法が読まれることを分かっていたんでしょうね。さすがリオ会長……。』
その言葉に部屋の空気が一気に沈む。
「そんな……もう無理なのかな。」
モモイが呟くと、ミドリが涙を堪えるように震えた声で続ける。
「私たちだけじゃ……アリスちゃんを助けられないの……? アリスちゃんも、私たちも……誰も悪いことなんかしてないのに……。」
モモイは俯きながら拳を握り締めた。
「こんな、こんなバッドエンドしか……私たちには……。」
その時、静かだった銀時が木刀を床に突き立て、軽く笑いながら口を開いた。
「……全く、テメェらは一体何回諦めたら気が済むんだよ。なぁ、告白ランデブー?」
ネルがその言葉に反応し、飛び起きて銀時に飛び蹴りを放つ。
「誰が告白ランデブーじゃゴラァァァァァ!!」
銀時はその蹴りをまともに喰らい、壁際まで吹き飛ばされる。
「お断り!」
「うわぁ!」 モモイが驚きの声を上げる。
アスナがネルに駆け寄りながら呟いた。
「あっ、部長!」
カリンがネルを支えつつ安堵の表情を浮かべる。
「気がついたんだな。」
しかし、立ち上がったネルの身体はまだ傷の痛みに耐えきれておらず、ふらついていた。
アカネが焦りながら注意する。
「無茶しないでください、部長。傷がかなり深いんですから……!」
ネルはそんな言葉を一蹴するように、立ち上がったまま鋭い声を放った。
「さっきから聞いてりゃ、ピーピー泣きごとばっかり言いやがって……生まれたての赤ん坊か? てめぇら。」
一同が言葉を失う中、ネルは周囲を見渡しながら声を張り上げた。
「いいか? 何回も言うし、もう言われたかもしれねぇけど――私たちはアリスを救い出すためにここに来たんだ。」
ネルは倒れている銀時を指さしながら続ける。
「あそこで気絶してるバカは、まだ諦めてねぇ。それどころか、あいつは戦ってるんだ。」
ネルは疲れ切った仲間たちに向き直り、力強い瞳で続けた。
「だったら、あいつに力を貸してもらってる私たちが――仲間の私たちが諦めたら、そこで終わっちまうだろうが。」
「だから最後まで諦めずに押し通れっての。」
ネルの言葉に、沈んでいた仲間たちの瞳に再び小さな光が灯る。だが、モモイはなおも悔しそうに呟いた。
「私たちだって、諦めたくないけど……どうやって勝てば……。」
その言葉に、桂が静かに前に出て口を開いた。
その言葉が部屋の空気を一変させた。
「一つ、エレベーターと同じことができる代物を――俺は知っている。」
その場にいた全員の視線が一斉に桂へと向けられる。
「ヅラ……それはマジか?」
銀時が立ち上がり、頭をかきながら桂に尋ねる。桂は無言で頷き、すぐに外の様子を確認するように窓際へ向かった。
「ヅラじゃない桂だ」
「可能性はある。俺の案を試す価値は十分にあるはずだ。」
金時が険しい表情で桂を見据え、静かに問いかける。
「本当にいけるのか?」
桂が振り返り、堂々とした態度で答える。
「俺に任せろ。全員の力を合わせれば、必ず突破口を開ける。」
ネルが苦しそうに息を吐きながら立ち上がり、声を上げる。
「だったらさっさと行こうぜ。……グズグズしてる暇なんかねぇ。」
アカネが慌ててネルを支えながら制止しようとする。
「部長! 無茶しないでください! まだ傷が――」
「いいんだよ!」
ネルは鋭い声でアカネを振り払い、仲間たちを見渡した。
「ここで私が止まったら、何も始まらねぇだろうが!」
その言葉に全員が押し黙る。銀時は木刀を握り直し、桂の方を見て笑った。
「よし、じゃあその代物ってのを試しに行こうぜ。」
桂が再び頷き、全員が動き出す。疲れ切っていたメンバーも、ネルの言葉と桂の提案に希望を見出し、再び戦う意志を取り戻していた。
「よし、行くぞ。」
銀時の号令と共に、全員が緊張の面持ちで建物を出る。
外ではトキの巨体が静かに待機していた。その背後にはリオのホログラムが浮かび上がり、冷ややかな視線で彼らを見下ろしている。
『戻ってきたのね……愚かにも。』
銀時が鼻で笑い、金時の横に並ぶ。
「おいおい、歓迎されてねぇな。でもいいぜ――ここからが本番だ。」
桂が刀を抜き、冷静に前に進む。
「すべてを終わらせるための戦いだ。覚悟はいいか?」
金時と銀時が虚式を準備しながら頷く。
「ああ、行こうぜ。」
ネルは傷ついた身体を引きずりながらも、ツインドラゴンを握りしめ、前に進み出る。
「やるしかねぇんだよ。」
全員がトキに向かって突き進む中、リオのホログラムが静かに言葉を残す。
『何を企んでいるかは知らないけど無駄よ』
桂が刀を握りしめながら、一歩前に出る。
「無駄かどうかは……」
ネルがその言葉に続けるように、ツインドラゴンを構え、声を張り上げた。
「やってみてから言いな!」
その力強い言葉に、全員の士気が一気に高まる。
その声を合図に、戦闘の幕が切って落とされた――。
次回
「全くこんなガラクタ共に遅れを取るとは……堕ちたものだなぁ万事屋」
「何やってんですか〜旦那ぁガキ一つ片付けたくらいでその辺のガラクタも倒せねぇなんて……俺たちの知ってる旦那じゃねぇですぜ」
「全くだ。あれだけ無駄口叩いたんだ。最後まで大暴れしてこい。腐れ天パ」
銀時「テメェら……」
危機に訪れるはライバルか
〜透魂〜第一回キャラクター人気投票
-
銀時
-
新八
-
神楽
-
沖田
-
土方
-
山崎
-
高杉
-
桂
-
定春
-
エリザベス
-
ホシノ
-
シロコ
-
ヒナ
-
アコ
-
ミカ
-
ナギサ
-
セイア
-
ユウカ
-
ノア
-
近藤