透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい) 作:時代に遅れている
好きなオープニング曲流せェェェ!!
逃走の果て、たどり着いた“祭りの都”
荒れ果てた道を、銀時は全速力で駆け抜けていた。
「はぁ……はぁ……ここまでくれば……もう大丈夫だよな?」
息を整えながら、背負っていたワカモの様子を確認する。
「おい、お前大丈夫……」
だが、その心配は全くの無駄だった。
ワカモの顔は上気し、瞳はまるで夢見る乙女そのもの。
「あなた様に……抱き抱えられてる……」
「抱き抱えられてる……キャ〜! もう私死んでもいいです!」
銀時は無言で彼女の体をズルッと地面に降ろした。
「……うん。バカは健在みたいだから無事だな」
心底呆れたように吐き捨てる。
「面倒ごとはごめんだ。さっさと帰って自宅の修復を——」
——だが、次の瞬間。
「銀さん………ここ」
さっちゃんが静かに呟く。
「目的の百鬼夜行連合学院よ。」
銀時の思考が一瞬止まった。
「……え?」
そして、目の前の景色を見渡し——
「はァァァァァ!!」
叫んだ。
“百鬼夜行連合学院”——それはまるで別世界の歌舞伎町
銀時たちの目の前には、壮大な祭りの喧騒が広がっていた。
灯籠の灯りが無数に瞬き、赤や金の色鮮やかな提灯が揺れる。屋台の煙が空へと立ち昇り、香ばしい匂いが鼻をくすぐった。
どこまでも続く商店街には、浴衣姿の客たちが楽しげに歩き、ゲームの掛け声や笑い声が四方八方から響いてくる。
まさに、祭りの都。
しかし、それだけではなかった。
ふと、視線を横に向けると——
「……おい、ちょっと待て」
銀時はゴシゴシと目をこすり、もう一度確認する。
そこには、まるでかつての歌舞伎町を思わせる光景が広がっていた。
煌びやかなネオンが瞬くホストクラブ。
ギラギラとした看板のオカマバー。
妖しげな雰囲気を醸し出す風俗店。
そして、その店先には見慣れた風貌のオカマたちが客を引き込み、ホストたちがシャンパン片手に微笑み、妖艶な美女が艶やかに踊っていた。
……いや、美女かどうかは微妙なラインだが。
「なんで学園にオカマバーがあんだよォォォ!?」
銀時のツッコミが空へとこだまする。
“異世界の歌舞伎町”——ここに極まれり
百鬼夜行連合学院。
そこは、ただの学園ではない。
——グルメ、温泉、観光といった娯楽が盛んな“学園都市”。
——生徒たちが独自のルールを持ち、部活や委員会が自治を司る特殊な空間。
そして何よりも——
——歌舞伎町と寸分違わぬ“カオス”が渦巻く、もう一つの街。
変わりゆく学園、そして火花散る女の戦い
祭りの喧騒が響く中、ワカモはゆったりと辺りを見渡しながら、どこか懐かしそうに微笑んだ。
「私がいた頃とはだいぶ変わりましたね。」
朱色の灯籠が風に揺れ、遠くから太鼓の音が響く。活気に満ちた学園は、まるで小さな都市のような賑わいを見せていた。
——しかし、その平穏をぶち壊すような言葉がすぐに飛び出す。
「ねぇ、一応アンタ指名手配されてるわよね?」
さっちゃんが腕を組みながらジト目でワカモを睨む。
「こんな堂々としてていいの?」
しかし、ワカモは余裕たっぷりに笑みを浮かべる。
「指名手配書には、お面をつけた状態での私しか載っていないので大丈夫です。」
「それよりいいんですか?」
さっちゃんの眉がぴくりと動く。
「……何が?」
ワカモはくすっと笑い、ゆっくりと髪をかき上げる。
「私は面が取れてケモ耳美少女となっていますが——」
ぷッ。
突然、ワカモは口元を押さえ、肩を震わせる。
「何ですかその顔!!」
「明らかにシワが増えた顔にドM気質っていう変態。」
「そんなあなたが私から銀時様を奪う?」
ワカモは嘲笑するようにニヤリと笑う。
「バカもここまでくると清々しいものですね!!」
——次の瞬間、血管がぶち切れた音が聞こえた。
「ああ!?」
さっちゃんの額には怒りのマークが浮かび、拳が震えていた。
「一生ド汚い地べたと結婚させてやるわ女狐ェェェ!!」
ワカモも負けじと挑発的に笑う。
「上等です!あなたが死ねば少なくとも邪魔なライバルは減りますからね!!」
「「うおぉぉぉぉ!!」」
——ドンパチ開始。
二人の間でクナイと銃が激しく交錯し、火花が散る。
行き交う人々が、彼女たちの壮絶な戦いを横目に避けて通るが、祭りの喧騒に紛れて特に騒ぎにもなっていなかった。
——だが、そんな喧嘩にもう関わっていられない男が一人。
銀時の静かな撤退計画
喧嘩を遠目に見つつ、銀時は静かに歩き出した。
銀時は一人そっとその場を離れようとしていた。
さっちゃんとワカモがまだドンパチを繰り広げている中、銀時は喧嘩の喧騒を背に受けながらゆっくりと歩を進める。
「もう……いいよね。」
「銀さん帰って次回のオンシアター○Dの打ち合わせに出ないといけねぇし……」
「そうと決まれば……」
「逃げるんだよォォォォォォォォォ!!!」
そう叫ぶと同時に、銀時は全力疾走を開始した。
己の運命から逃げるように、夜の学園都市を駆け抜ける。
——だが、運命は彼を逃がしてはくれなかった。
「あ、危ないです!!」
どこからか飛んできた少女の声。
「へ?」
反応する間もなく——
ドカァァァァァ!!
銀時の視界が一瞬で揺れ、重い衝撃が身体に突き刺さる。
空気が弾け、爆発的な衝撃が銀時の身体を吹き飛ばした。
彼の足が宙を舞い、背中から地面に激突する。
星が瞬くように視界が乱れ、頭の中で鐘が鳴り響く。
「……はっ!」
銀時が目を開けると、目の前には見知らぬ少女が座り込んでいた。
現れた狐の忍び
少女は顔を押さえながら、慌てて立ち上がる。
彼女の姿は、夜の光に照らされて鮮やかだった。
ノースリーブのセーラー服の上に、片肌脱ぎに着た暖色の花柄の着物。
赤いマフラーが、風もないのにふわりと揺れる。
太腿には、鋭く光るクナイがホルスターに収められていた。
頭には、狐のようにピンと立つ耳、腰にはふさふさとした尻尾——まるで化け狐の化身のようだった。
少女は銀時の顔を見て、驚いたように口を開いた。
「ああっ、すみません!」
「えっと、大丈夫ですか!? お怪我はありませんか!?」
銀時は顔をしかめ、ゆっくりと上体を起こす。
「アアアアアア!!」
絶叫が響いた。
少女の顔が青ざめる。
「ほ、本当に大丈夫ですか!?」
「さっきの……さっきの激突で全身粉砕骨折にィィィィ!!」
銀時は地面を転がりながら苦悶の表情を浮かべる。
「えぇっ!?」
少女——イズナは、焦った様子で銀時の体を覗き込む。
「そ、そんなに強くぶつかりましたか!? ど、どうしましょ……!」
銀時はニヤリと笑う。
「いや〜困ったわ。これじゃあ一歩も動けねぇや俺。人生詰んだわこれ。」
——まるで死に際の演技をするかのように、儚げな声で言う。
イズナの表情が一気に歪む。
「ぶ、ぶつかってしまってすみません……!」
「こちらも急いでいたもので……! このイズナ、何か要望があればなんでもします!!」
「ですから……どうかお慈悲を……!」
吹っかけられる慰謝料
銀時はじっくりと考える素振りを見せる。
「……そうだな〜慰謝料として……」
イズナがごくりと息を飲む。
「俺の家建て直す金。」
「12億円払えや〜。」
「じゅ、12億!?」
イズナの顔が真っ青になる。
「そ、そんなお金ないです!!!」
銀時は淡々とした表情で肩をすくめる。
「大丈夫、大丈夫。近くにあるドリーム○ャンボ宝くじで一発当てればいいから。一等当てれば大丈夫だから。」
「いやいやいや!! そんな簡単に当たるわけないでしょ!?」
「何言ってんだよ、夢くらい見させろや。」
「現実見たら俺の全身の骨折が痛み出すんだからよぉ。」
イズナは完全に困惑し、頭を抱える。
「そ、そんなこと言われても……!」
——だが、そのやりとりに銀時はふっと息をついた。
「…………はぁ。」
「まぁ冗談はこれくらいにしておくとしてだ。」
イズナの顔が一瞬で緩む。
「冗談だったんですか!?」
銀時は軽く頭をかきながら、薄く笑う。
「俺はただツッコミしかけてくんのを待ってたんだよ。」
「というかお前、どうしてそんな急いでたんだよ。」
彼の問いに、イズナの耳がぴくりと動いた。
「そ、それは……」
彼女が何かを言いかけたその時——
「あ、いた!!」
鋭い声が遠くから響く。
「ヒャウ!?」
少女——イズナは肩をびくりと震わせる。
「待てー! 逃がさないんだから!」
一人目の追跡者が声を張り上げ、こちらへと猛然と走ってくる。
「か、カエデちゃん、ちょっと待ってください……はあ、はあ……は、速すぎます……」
もう一人、息を切らせながらその後を追っている。
イズナの耳と尻尾がピンと立ち、目はオロオロと揺れていた。
「あわわわわわ! もうあんなところにまで!」
「えっと、ええっと! ど、どうすれば!?」
その姿はまるで、狩られる寸前の小動物のように震えていた。
銀時はそんな彼女を冷めた目で見ながら、呆れたように口を開く。
「見た感じお前はお尋ね者ってわけか……」
——遠くから迫る追跡者たち。
その姿を見た瞬間、イズナの表情はさらに引きつる。
焦りで涙目になりながら、あたふたと辺りを見回す。
銀時は深いため息をついた後、肩をすくめ——
「しゃーねぇな、こういう時は——」
「逃げるが勝ちよ!!」
——ダッシュ。
銀時は即座に駆け出した。
「わわわわっ!?」
突然の展開にイズナは混乱し、足元がもつれる。
銀時は彼女を振り返りながら、苛立ち混じりに叫ぶ。
「おいお前何してやがる。さっさとしねぇと捕まんだろうがっ!」
「え、え——きゃ!?」
逃亡、そしてゴミ箱という隠れ家
イズナの手を引き、銀時は周囲を見渡す。
祭りの喧騒の中、人混みに紛れるのも手だが、それ以上に確実な手段がある。
目に留まったのは、道端に放置された大きなゴミ箱。
「——ここしかねぇな。」
躊躇なくその中へと飛び込む。
「え、えぇ!? こんなとこに——」
「黙ってろ!」
イズナの手を引き込み、彼女の体を無理やり中へ押し込む。
ゴミ箱の蓋が閉まり、外からの視線が遮断される。
その瞬間——
「ね、ねぇ気のせいだったらいいんだけどさ……」
「あの狐女……なんかすごい天パ頭の男と一緒にいなかった?」
——まさかの目撃情報。
ゴミ箱の中で銀時の顔が青ざめる。
「……ヤベェ、マジでバレたか?」
「いた、ような気もします…が」
「とにかく逃げられちゃったねぇ……ふぁ……眠い……」
「ここでねちゃダメだからね!? 兎にも角にも…次こそは絶対に捕まえてやるんだから!」
そう叫ぶと、追跡者たちは足音を響かせながら去っていった。
——気配が完全に消えるまで数秒。
銀時はそっと蓋を開け、周囲を確認する。
「……行ったか?」
逃走劇の終焉、そして新たな誤解
ゴミ箱の蓋が静かに開かれる。
銀時は慎重に周囲を見回した。祭りの喧騒は続いているが、先ほどの追跡者たちの姿はどこにもなかった。
「……行ったか?」
しばらく様子を伺った後、銀時は大きく息を吐きながら、ゴミ箱の中から這い出す。
狭苦しい空間に押し込められていたせいで、背中がバキバキと音を立てた。
「……まったく、なんで俺がこんなことに巻き込まれんだよ。」
夜の空を見上げながら、ぼやく。
「というか、この章に入ってからずっと何かから逃げてる気がするぜ。」
「ヅラの気持ちなんて味わいたくねぇつーの。」
肩を回しながら、ため息交じりに文句を垂れる。
一人で達成感に浸る狐娘
そんな銀時の横で、イズナは大きく息をつきながら、ふぅっと胸を撫で下ろした。
「ここまで来れば、大丈夫そうですね。」
彼女の表情には、どこかやり切った感が滲んでいる。
それを見た銀時は、すかさずツッコミを入れた。
「おーい、何1人でやり切った感出してんの?」
「頑張ったのは銀さん。逃げ切ったのも銀さんのおかげなんだけど〜?」
その言葉に、イズナの目が見開かれる。
「はっ!!」
まるで忘れていたかのような反応だった。
「えっと、イズナを助けてくれてありがとうございました!」
慌ててぺこりと頭を下げる。
そして、ふと銀時の顔をまじまじと見つめた。
「ところで、あなたは……。」
「俺か?」
銀時はポケットに手を突っ込みながら、気だるげに名乗る。
「俺はシャーレという名の何でも屋の旦那。坂田銀時だ。」
その瞬間、イズナの耳がぴくりと動いた。
「シャーレ、何でも屋……?」
彼女は何かを思い出したように呟く。
「あ、もしかして……!」
銀時は眉をひそめる。
「なんだ? 俺のこと知ってんのか?」
イズナはぱっと顔を上げ、興奮気味に口を開いた。
「イズナ、聞いたことがあります!」
「シャーレには、キヴォトスの色々な事件をズバッと解決してくれる、すごい大人がいるって!」
銀時はその言葉に、苦笑混じりに肩をすくめる。
「あーね、初めて会ったらこの会話から入んのね。お約束ってやつね。」
何やら妙に持ち上げられていることに、面倒な展開の予感を覚えつつ、彼は肩をすくめる。
だが、次の瞬間、イズナの目がキラキラと輝き始めた。
「どこにでも現れて即座に解決……!」
「おまけに先程の逃走で見せた隠れ技……まるで忍者みたいです!」
銀時はドヤ顔をしかけたが、途中で違和感を覚えた。
「そうだろ、そうだろ。え? 忍者?」
聞き慣れないワードに目を丸くする。
しかし、イズナはそのまま感激したように手を合わせ、うっとりとした表情で続ける。
「まさか噂の御方にお会いできるだなんて……!」
「すごい、本物なんですね!」
彼女の目は完全に尊敬の色に染まっていた。
銀時、誤解を正そうとするも……
イズナは熱っぽい眼差しで銀時を見つめながら、さらに言葉を紡ぐ。
「ところで、どうしてシャーレの先生がここに?」
銀時はイズナの瞳をじっと見つめた後、大きく息を吸い込んだ。
そして——
「えっとねー。ストーカー狐女と女に家を爆破させられて、その後強面のクソジジイのロケランから逃げてたら……ここにたどり着いた。」
少女の尊敬の眼差しが、困惑へと変わる瞬間
イズナはしばし沈黙した。
「……え?」
何かの聞き間違いかと、狐耳がぴくりと揺れる。
しかし、銀時はどこ吹く風。
「いやー、人生何が起こるかわかんねぇよな。銀さんもまさか、ロケットランチャーから逃げながらここに来るとは思ってなかったぜ。」
イズナは微妙な表情で銀時を見つめた後、静かに口を開く。
そして、ぽつりと呟く。
「……あの、何がどうなったらそんな展開になるんですか?」
銀時は静かに目を逸らした。
「俺の方が知りてぇよ。」
銀時の理不尽な逃走劇もひと段落し、ようやく落ち着くーーわけもなく
目の前の狐耳少女・イズナは、何やら気を取り直したようにピンと背筋を伸ばし、両手を握りしめた。
「せ、せっかくですし!」
彼女は勢いよく言葉を発し、銀時をまっすぐに見つめる。
「落ち込みの気分を吹き飛ばすためにも!」
「……いや、誰が落ち込んでるって?」
銀時は半眼になりながらぼそりとツッコむが、イズナは聞く耳を持たない。
「よろしければ、イズナにこの桜花祭を案内させてください!」
その言葉と同時に、彼女の瞳が輝いた。
まるで、子犬が尻尾を振りながら「遊ぼう!」とせがむかのような、純粋な期待感が溢れていた。
銀時は疲れた顔をしながら祭りの方をちらりと見る。
色鮮やかな提灯が風に揺れ、焼き鳥やたこ焼きの香ばしい匂いが漂う。太鼓の音がどこか遠くで鳴り響き、浴衣姿の人々が笑顔で行き交っている。
正直、こんな爆発や追跡に巻き込まれた後で、のんびり祭りを楽しむ気分ではなかったが——
(……まぁ、帰る家もねぇしな)
崩壊したシャーレの残骸を思い出し、銀時は内心でため息をつく。
「……まぁ、いいけどよ。」
銀時が肩をすくめながらそう言うと、イズナの耳がピクンと動いた。
「本当ですか!? ではでは、さっそく行きましょう!」
彼女は嬉しそうに銀時の腕を引っ張り、祭りの賑わいへと足を踏み入れる。
祭りの賑わい、そして侍の糖分補給
提灯の灯りが揺れ、屋台から漂う香ばしい匂いが空気を満たしている。
百鬼夜行連合学院の桜花祭は、平日でもなお活気に溢れ、歓声や笑い声が至るところから響いていた。
そんな中、イズナは目を輝かせながら、あちこちの屋台を指差して銀時に案内する。
「見てください、あそこ!」
「あの屋台では、百鬼夜行の名物、キツネせんべいを売っています!」
視線の先では、大きな狐の顔の形をしたせんべいが次々と焼き上がり、甘じょっぱい香ばしい香りを放っていた。
「あっちには、桜花祭と言えば外せない、タヌキ印のお好み焼きも売っていますし!」
ふと目を向けると、ソースとマヨネーズがたっぷりとかかったお好み焼きが鉄板の上でジュウジュウと音を立てている。
「あとは、桜の花びらで作ったサクラ大福もとっても美味しいんですよ! って——」
彼女が言い終わるよりも先に、ふと銀時の手元に目をやると——
「……大福もう買ってる!?」
銀時はすでに、桜の花びらを練り込んだふわふわの大福を手に持ち、もっちりとした皮に歯を沈めていた。
「糖分だよ。」
もぐもぐと咀嚼しながら、銀時は真顔で答える。
「やっぱ糖分取らねぇとやっていけねぇよ。」
彼の手には、すでに三つほど追加で買われた大福があった。
「……いつの間に!?」
イズナは呆気に取られながらも、銀時の異様な糖分摂取能力に圧倒されるのだった。
祭りの喧騒が続く中、イズナが突然思い出したように顔を輝かせる。
「そうだ! 百夜ノ桜花祭といえば、あれを見に行かなくては!」
そう言うや否や、彼女は銀時の手を引っ張り、軽やかに駆け出す。
「こっち、こっちです!」
——そしてたどり着いたのは、学園の展望台。
桜の御神木、広がる絶景
銀時は息を整えながら、目の前の光景に目を奪われる。
「すげぇなこりゃ……」
目の前にそびえ立つのは、まるで空を覆うかのような巨大な桜の木。
枝はどこまでも広がり、無数の淡い花弁が風に舞う。
「あんなデケェ桜の木があるなんて……花見の席で飲む酒が美味そうだ。」
そんな呟きに、イズナは得意げに微笑む。
「えへへっ、ですよね? ちょうどこの時期に一番綺麗に咲く、百鬼夜行の自慢です!」
彼女の声には誇らしさが滲んでいる。
「イズナは、御神木と百鬼夜行の街並みを同時に見渡せるこの場所が、大好きなんです!」
目の前には、祭りで賑わう百鬼夜行の街が一望できた。
「ここでこうしていると、イズナも夢のためにまだまだ頑張らなきゃって気持ちになります。」
少女の夢、侍の憂鬱
銀時はちらりとイズナを見やる。
「夢?」
彼の問いに、イズナは嬉しそうに頷く。
「はい! イズナには夢があるんです!」
「キヴォトス一の忍者になるという夢が……!」
誇らしげに胸を張るイズナ。
「今日も今日とて、そのために日々……!」
——しかし、その言葉が銀時の脳内に妙なスイッチを入れる。
「忍者……」
その単語が脳内でリフレインする。
そして、銀時の頭の中に次々と**“忍者”たち**の顔が浮かぶ。
ツッコミと同時にクナイを飛ばしてくる月詠。
すぐさま結婚してこようとするストーカー忍者・さっちゃん。
気づけば毎回ケツを負傷している全蔵。
(……忍者にロクな思い出ねぇ)
銀時は静かに顔をしかめる。
「す、すみません、その、こんな夢を持っているなんて今時いないことは知っているのですが……」
そんなイズナの言葉を遮るように——
ガシッ!
銀時は彼女の肩を両手でガッチリと掴んだ。
「や、辞めとけ……」
「マジで辞めとけ。お前はまだ無垢な少女……忍者なんかになったらーー」
「ツッコミ入れるたびにクナイを飛ばしたり、すぐさま結婚申し込みしてきたりするゴリラ女になっちまーー」
——シュッ!!
ザクッ!!
銀時の額にクナイが突き刺さる。
——頭から血が吹き出る。
銀時「……え?」
銀時、出血多量の危機
イズナは顔を青ざめさせ、慌てふためく。
「だ、大丈夫ですか!?」
「イズナ、治療に必要な物をすぐに買ってくるので待っててください!」
——ドロン!
煙と共に、一瞬でその場から消えるイズナ。
その直後——
「久々に会ったと思ったら、会って早々ゴリラ扱いされるとは思っておらんかった。」
銀時はゆっくりと首を動かす。
頭にクナイを刺したまま、冷や汗を流しながら振り向くと、そこには見覚えのある女の姿。
月詠。
銀時は眉間に皺を寄せながら、苦笑する。
「おいおい、こっちも会って早々クナイで頭突かれるとは思ってなかったよ。」
——昼下がりの展望台。
桜の花びらが風に舞う中、銀時と月詠の再会は血の気が引くような形で幕を開けたのだった
百夜堂への道、そして奇妙な出迎え
桜花祭の喧騒の中、銀時は眉をひそめながら月詠に問いかけた。
「ところでなんでお前もここに?」
彼女は歩を進めながら、何気なく答える。
「まぁなんじゃ、作者の都合という理由でここにおる。」
——あまりにもメタい発言。
銀時は一瞬足を止め、目を細めた。
「俺が聞いてんのは、そんなことじゃねぇの。作品中ではどういう風にここに来たのかって聞いてんだよ。」
「それは後々話す。わっちについてきなんし。」
月詠はそう言って、さらに先へと歩を進める。
「へいへい。」
銀時は肩をすくめながら、彼女の後を追った。
謎の喫茶店・百夜堂
しばらく歩いた後、銀時はふと疑問を口にする。
「で、俺は今どこに連れて行かれてんの?」
月詠はほんの少し考えた後、静かに言った。
「……わっちの口からは、喫茶店ということしか言えん。」
「それ以上のことを知りたいなら、道端の者たちに聞くといい。」
——めんどくせぇ。
そう思いながらも、銀時は仕方なく街の人々に声をかけることにした。
ロボの社会人 「百夜堂っていえば、あの有名な喫茶店だね。」
獣人 「百夜堂のイチゴ餡蜜が最高でねえ。」
「色々美味しいものがあるんだけど──」
——そして、次の瞬間。
三人 『何より最高なのは、シズコたんの可愛い笑顔!』
銀時「………」
(……いや、そういう情報が欲しいんじゃねぇんだけど。)
街の人々に何度聞いても、出てくるのは店の感想ばかり。
道案内の答えが、ことごとく役に立たねぇ。
しかし、めげずに何度も聞き込みを続けた結果、ようやく目的の場所に辿り着いた。
百夜堂・そして熱烈すぎる歓迎
「すみませ〜ん……」
銀時は月詠と共に店の扉を開け、中へと足を踏み入れる。
すると——
「お頭ラァ!! ようこそいらっしゃいマシタッ!」
突如、店内に響き渡る熱烈すぎる歓迎の声。
銀時は思わずビクリと肩を跳ね上げた。
(……なんだこのテンション。)
目の前には、気合いの入った少女が勢いよく銀時たちを迎えていた。
「わざわざシャーレ組からいらっしゃると聞いて、このフィーナ! 心よりお待ちしてマシタッ!!」
銀時は困惑しながら首をかしげる。
「シャーレ組……?」
そこへ、別の少女が慌てて割って入る。
「ちょっとフィーナ! 先生が困ってるでしょ!?」
「エ、でも…先生が来たらびっくりするぐらい盛大な挨拶でって、さっき委員長が……」
「いやいやいや! それはあくまで、百夜堂の従業員としての、第一印象的な話だから! ……そう、第一印象!」
——そして、少女は一度目を閉じた。
次に目を開けた瞬間——
まるでキャラが変わったかのような態度で、銀時に向き直る。
猫をかぶる委員長・河和シズコ
「……テヘペロ♪ 先生初めまして!♪」
「私は河和シズコ。百鬼夜行連合学院所属、お祭り運営委員会の委員長であり、」
「この百鬼夜行自慢の伝統的な喫茶店『百夜堂』のオーナーです! ニャンニャン♪」
銀時「………」
「……コイツ、二重人格か?」
そんな銀時の呟きに、先ほどの少女——フィーナがすかさず訂正を入れる。
「違うますよ先生、これは猫被りってヤツです。」
銀時は「あぁ、なるほど」と頷く。
「へぇ〜なるほど、つまりコイツの中は腹が黒く煮えたぎってそうだな。」
「余計なこと言わないのフィーナ!」
慌てるシズコを横目に、フィーナは堂々と自己紹介を始める。
「あ、ワタシは百夜堂の従業員で、任侠の道を究めんとする、朝比奈フィーナと申しマス!」
「お頭、よろしくお願いシマス!」
銀時はやれやれとため息をつきながら、目の前の二人を見比べた。
「(……めんどくせぇ奴らに捕まっちまったな。)」
銀時は腕を組みながら目の前の二人を見やる。
「で、コイツらか? 祭りの運営で困ってるからって俺に依頼してきたのは……」
月詠は静かに首を振る。
「いや、他にもおる。少し待てば、来るじゃろう。それまでーー」
その言葉を遮るように、シズコが満面の笑みを浮かべて声を張り上げた。
「百夜堂へようこそ! にゃんにゃん!」
彼女の元気な挨拶が店内に響く。
「えへっ、では中へご案内いたします!」
「フィーナ、一名様!」
「はいっ! 不肖フィーナ! お頭を全力でおもてなしいたしマスッッッ!!」
その場で背筋をピンと伸ばし、勢いよく胸を張るフィーナ。
しかし、次の瞬間——
「だからそういうんじゃなくって!!」
シズコが素早くフィーナの頭をペシンッと叩いた。
銀時はそんなやりとりを眺めながら、肩をすくめる。
「しまんねぇな〜」
その言葉に、シズコの顔が一瞬ピクリと引きつる。
「はぉ………」
しかし、すぐに気を取り直し、再びにこやかに微笑む。
「気を取り直して!」
改めての自己紹介
シズコは軽く咳払いをしながら、改めて口を開いた。
「本当に来てくださるとはーー」
銀時は眉をひそめる。
「ああ、本当だよ。あんなもてなし受けて来るなんて思ってもなかったよ。」
何とも言えない表情で言う銀時に、シズコは首を傾げる。
「……何があったのか知りませんがーー」
「改めて自己紹介を!」
彼女は胸を張り、堂々と語り始める。
「私は河和シズコ。」
「百鬼夜行連合学院所属、お祭り運営委員会の委員長であり、」
「この百鬼夜行自慢の伝統的な喫茶店『百夜堂』のオーナー!」
そして、さらに声を弾ませ——
「それと同時に看板娘でもあって、つまりはみんなのアイドルみたいなものでーー」
だが、その言葉を遮るように、銀時がふいに口を挟んだ。
「なぁ、ここのイチゴ餡蜜が美味しいって聞いたんだけど……頼める?」
——沈黙。
一瞬、シズコの口元が微妙に引きつる。
(……この人、話聞いてました!?)
しかし、そんな彼女をよそに、フィーナはすぐさま反応する。
「もちろんデス!」
元気よく返事をしながら、すぐさま注文を取りに向かうフィーナ。
シズコは呆れながらも、「もういいや」といった表情でため息をついた。
続々と集まる異色の面々
百夜堂の扉がゆっくりと開く。
桜花祭の喧騒が遠くに響く中、店内の空気が一瞬張り詰めた。
「来たわ」
——大柄なオカマが、堂々とした足取りで店に入る。
その体格は並みの男よりも一回り大きく、ゴツゴツとした筋肉が服の上からでもはっきりとわかる。
赤く塗られた唇が妖艶に歪み、長い指がゆっくりと顎を撫でた。
続いて——
「本当に解決の糸口が見つかったんだろうな?」
「もう火消しの出番がありすぎてこっちも困ってんだ」
肩に巨大なホースを担いだ女性が、少し苛立ちを滲ませながら足を踏み入れる。
日焼けした肌と、鋭い目つき。彼女の腕には力強い筋が浮かび、まさに火を操る者の風格を漂わせていた。
その横で、不敵に笑う影があった。
「ほう。そんなに困ってんなら、うちがここら一帯の建物を全て鉄の街に叩き直してやろうか?」
——大きな鉄のハンマーを肩に担ぐ女性。
鉄屑を打ち直して作ったかのような頑丈な防具を纏い、その足取りはまるで地面を揺らすかのように重々しい。
その発言に、軽やかな笑いが重なった。
「ハハハ。そんなことしたら百鬼夜行連合学院ならではの良さがなくなってしまいますよ?」
——ホスト風の男が、優雅な仕草でグラスを傾ける。
黒髪に整えられた髪型、細身ながらも引き締まった体つき。そして何より、微笑むだけで空間の温度が二度は上がるような魅力を放つその表情。
「あら! 狂四郎さん、いいこと言うじゃない!」
オカマがにっこりと微笑み、彼の肩をバシンと叩いた。
「ハ……ハハ。」
苦笑いを浮かべるホスト。
そんな彼らを諫めるように、一人の女性がゆっくりと前に出る。
「皆さん、落ち着いてください。せっかく解決策の見つかりそうな大事な会合だと言うのに……」
黒髪ロングに姫カットを施した、柔和な顔立ちの美少女。
一見すると礼儀正しく、お淑やかな姫君のように見えるが、その瞳にはどこか鋭い光が宿っていた。
そして、最後にもう一人——
「すまないね〜月詠。 1人で案内役を任せちまって」
松葉杖をつきながら、ゆっくりと歩いてくる女性。
どこか気だるげながらも、その視線は鋭く、長年の経験を積んだ者の落ち着きがあった。
「いいや。何も困ってなんかおらん。それよりーー」
月詠が口を開きかけた、その時——
銀時、ひたすら甘味を貪る
「おーい、ジャンジャン持ってこーい!」
「俺の腹は甘いのは別腹なんだよ!」
場の空気をぶち壊すように、銀時の声が店内に響いた。
「はいッッッ!!」
フィーナが即座に反応し、威勢よく厨房へと駆けていく。
その様子を見ていたシズコの顔が、みるみるうちに引きつる。
「どんだけ食べるのよこの人ォォォ!!」
テーブルにはすでに三皿分のイチゴ餡蜜が積み上げられ、銀時はその一つをスプーンで豪快にすくっていた。
「うわぁ銀さん、またやってるよ。糖尿にならないのかな?」
少年の呆れた声が聞こえる。
月詠は、彼をちらりと見てから、淡々と呟いた。
「あやつらの方が頑張った。」
——こうして、場の空気を読まずに甘味を貪る銀時と、奇妙な面々が一堂に会する形で、百鬼夜行の祭りの運営に関わる話がようやく始まるのであった。
遅れてすいません。なかなか思いつかなくて……最近頭にアイディアが浮かばないスランプに陥っておりまして、更新が遅くなるかもしれません。
あと新しく書いた小説が上手くいってそっちに蔵替えしそうになっています。
あとあと、パンちゃんパンデミック先にやっちゃったんですけどォォォ!?他にもケイちゃん復活も先にやっちゃったし!!
なんですかこれ。予言書ですか!?銀魂作者空知の未来者説出てましたけど……銀魂関係に関わると未来予知でも出来るようになるって言うんですかァァァァァ!!
〜透魂〜第一回キャラクター人気投票
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銀時
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新八
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神楽
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沖田
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土方
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山崎
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高杉
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桂
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定春
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エリザベス
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ホシノ
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シロコ
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ヒナ
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アコ
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ミカ
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ナギサ
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セイア
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ユウカ
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ノア
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近藤