透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい) 作:時代に遅れている
百夜堂の奥、重厚な木製のテーブルを囲むようにして、百鬼夜行連合学院の幹部たちが集まっていた。
張り詰めた空気の中、自信なさげな男性が震えながら口を開く。
「えぇっと……本日皆さんにお越しいただいたのは、他でもありません。」
彼の額には汗が滲み、手に持つ書類が微かに震えていた。
「今回は、百夜ノ桜花祭実行委員会の……その、魑魅一座との交渉での解決について……」
しかし、次の瞬間——
「あの、悪いんじゃが……」
月詠が静かに口を開いた瞬間、周囲の空気が一気に変わる。
「「「「ゴミは消えな!」」」」
全員が声を揃えて怒号を放つ。
「ヒッ」
自信なさげな男性は目を見開き、反射的に椅子から跳び上がった。
「あっじゃましましたッ!!」
そう叫びながら、彼は風のように部屋を飛び出していった。
交渉よりも拳——歌舞伎町流のやり方
「何よ。あの仮面つけた悪ガキたちを交渉で解決しようなんて……」
ふと、椅子の背もたれに肘をつきながら、大柄なオカマ——マドマーゼル西郷が妖艶に笑う。
「私たちがいるのは、情も不条も全てを受け入れ、不満は喧嘩で語る街……キヴォトスの歌舞伎町じゃない。」
「あの悪ガキどもとは、拳で指導しないと。ねぇ、狂四郎さん?」
その視線を向けられたホスト風の男——狂四郎は、微妙に顔を引きつらせながら、ぎこちなく笑う。
「え、……えぇ、そうですね。」
そんな雰囲気を宥めるように、車椅子に座る女性——日輪が静かに手を上げる。
「まぁまぁ、落ち着こうじゃないか。私たちは、一応大人なんだよ?」
彼女は穏やかな笑みを浮かべながら、周囲を見渡した。
「ここは大人の対応ってもんを見せる番じゃないかい?」
しかし、その言葉にすぐさま異論が飛ぶ。
「それはそうかもしれないが……」
鉄のハンマーを肩に担ぐ鉄子が、渋い顔で腕を組む。
「あいつらは、鉄のように頭が堅い連中だ。ここはーー」
「この金床で頭を打ち直さないといけない。」
言いながら、自分の持つ巨大なハンマーをポンと叩く。
「おい、お前ら!」
その場の温度が一気に上がった瞬間、火消しの辰巳が立ち上がる。
「みんな頭に血が昇りすぎて、会議に火がついてんじゃねぇか!」
「あたしがいるのは、騒動が起きた時の火消しの担当なのに、お前らの火消しまでするつもりはねぇぞ!」
「ガヤガヤガヤ……」
それでも収まらない会議室の騒がしさに、月詠はこめかみを押さえながらため息をつく。
「全く。これでは埒が空かんではないか……」
「おい! 銀時はどうした!?」
月詠が銀時の姿を探すと、シズコが静かに指を差した。
「……そこ。」
月詠が視線を向けた先——
銀時、百夜堂で何かを語る
「先生! このカフェに足りないモノとは!!」
フィーナが銀時に問いかける。
「うーん。そうだなぁ……やっぱパンチラとかじゃないかな?」
「ここはすでに風俗に溢れてる。大胆な可愛さで客を取るより、見えそうで見えない男のハラハラドキドキを味わえるエロさがーー」
——シュッ!!
——ザクッ!!
銀時の頭にクナイが突き刺さる。
彼は一瞬無言のまま固まり、ゆっくりとクナイを引き抜いた。
額からじわりと血が滲むが、特に気にする素振りもなく、淡々とした声で問いかける。
「で? 俺は何をすればいいんだ?」
そんな銀時の適当な態度を気にも留めず、フィーナが勢いよく声を張る。
「そして、今回先生に来てもらったのは——魑魅一座・路上流を何とかしてほしいからデス!」
「へ?」
銀時は耳をほじりながら、呆けた顔で聞き返す。
「あいつらは昔から百鬼夜行で、しょっちゅう問題を起こしているやつらデス!」
フィーナの声には苛立ちが滲んでいた。
「ただ、以前から問題児だったとはいえ、こんなに組織的に動くようになったのは最近になってからな気が……」
シズコが腕を組みながら、眉をひそめる。
「まるで、組織立って『百夜ノ春ノ桜花祭』を台無しにさせようとしてるっていうか……」
銀時は片眉を上げ、軽く肩をすくめた。
「で? それの何が問題なんだよ。」
「聞いたところによると、そいつらは前から問題児だったみてぇじゃねぇか。」
「それならそこの月詠が率いている百華でも動かして止めればいいだろ?」
銀時の言葉に、月詠は少し困ったように視線を落とし、静かに言った。
「それもそうだが、我々が動くのは毎回ことが起きてからなのじゃ……」
銀時は鼻を鳴らす。
「はいはい。つまりテメーらが俺にやってほしいのは、裏でこの祭りを壊そうとしている奴を探しだしてほしいってことか?」
「全く意味がわかんねぇな……わざわざ祭をぶっ壊すだけの輩なんて、あのサカ壊高杉ぐらいしかいねーだろ……」
彼の言葉に、シズコは拳を握りしめる。
「ああもうっ! 本当に何なのよっ!」
「今までは何とか私たちだけで止められたけど、なんか頻度も数も増えてる気がするし……」
「このまま桜花祭がダメになったら、私たちがあちこちから責められるじゃない! たまったもんじゃないわよ!」
彼女の声には、責任感と焦りが滲んでいた。
その様子を見て、フィーナが呟く。
「……でも、フィーナ、理解できマセン。どうして桜花祭を邪魔しようとするんデショウ?」
その言葉に、誰もが考え込んだ。
しかし——
「知ったこっちゃあないが、色々と気に食わないんじゃないかい」
不意に、第三者の声が響いた。
銀時たちが声の方を振り向くと、そこには一匹の猫がいた。
いや、ただの猫ではない。
——二足歩行の袴姿の猫。
茶色と黒の混じった毛並みが艶やかに光り、凛とした立ち姿はまるで武士のよう。
細めた目の奥には鋭い知性が宿り、長い尻尾がゆらりと揺れる。
「どうも、百鬼夜行の商店街の会長だよ。」
「ミケ会長?」
フィーナが首を傾げる。
「誰がミケ会長だ、儂は——」
「ケモ?……いやタマの可能性も」
銀時が腕を組みながら真面目な顔で言う。
「……二足歩行のネコっていえば、デキる猫がいいよなぁ。 帰ったら何でもしてくれてーー」
「聞けよ人の話!」
猫は憤慨しながら毛を逆立てた。
「ニャン天丸、儂の名はニャン天丸だ!!」
「うるせ〜な〜、人気な二足歩行ネコはもうほとんどグッズ化されてんだよ。」
銀時は冷めた目で言い放つ。
「それがされてねぇってことは、大したキャラでもねーんだろ?」
「ふ、ふざけやがって——おい、どうなってんだ君らの先生は!!」
ニャン天丸がフィーナたちを見やるが、フィーナは困惑した表情で肩をすくめる。
「ワタシ達に言われマシテも……」
シズコは気を取り直し、猫——ニャン天丸に向き直る。
「え、えっと! 会長? いったい桜花祭の何が気に食わないんでしょうか……?」
「……今回はひとつ大きく変わったことがあるだろう?」
ニャン天丸は低く唸るような声で言った。
「昔からこの『百夜ノ春ノ桜花祭』の最後には、伝統的に花火が打ち上げられていた。」
「でも今回はちょっと違うんだろう? 新たな試みだとかなんとか。」
シズコは頷く。
「……はい。今回の桜花祭のために、特別に準備したものが……」
「今回のお祭りのフィナーレのために、ミレニアムにお願いした特別な装置です。」
フィーナが補足するように言う。
「ホログラムで花火を再現する、天気も煙も関係ない、specialでniceな機械だと聞きマシタ!」
「お金のかかってそうな機械だな……」
銀時が大福を頬張りながら呟く。
ニャン天丸は尾を揺らしながら、静かにため息をつく。
「まあ何にせよ、何かが変わるということを、誰しもが簡単に受け入れられるわけじゃない。」
「学生がこんなに金を使って……ってな。」
銀時だけは、そんなニャン天丸を静かに見ていた。
彼の目の奥には、どこかただの反発ではない何かが見え隠れしていた——。
ニャン天丸は、袴の裾を翻しながら、ゆっくりと背を向ける。
「…んじゃ、儂はそろそろお暇するよ……それじゃあ。」
手をひらひらと振りながら、店の出口へと向かう。
「サヨウナラ〜!」
その姿が消えた後も、しばらく店内には微妙な沈黙が漂っていた。
銀時は椅子にもたれながら、イチゴ餡蜜のスプーンをくわえたまま、遠くを見るような目をする。
「……じゃあ、探しに行くか。」
スプーンを置き、ゆっくりと立ち上がる。
「その何とか一座とかいう奴。」
彼の言葉に、シズコやフィーナが目を見開く。
「先生、本当にやる気になったんデスカ!?」
フィーナが驚いたように尋ねるが、銀時はポケットに手を突っ込みながら、ダルそうに肩をすくめた。
「やる気っていうか、こういうのはさっさと片付けちまった方が楽なんだよ。」
「後回しにしても、どうせまた厄介ごとに巻き込まれるんだからな。」
月詠が腕を組みながら、ふっと笑う。
「全く、どうせ逃げると思っていたがの。」
銀時は面倒くさそうに頭を掻く。
「いや逃げられるもんなら逃げてぇよ。けどな、あいにく俺はそういう星の下に生まれちまってんのさ。」
彼の言葉に、シズコが少し驚いた表情を見せる。
「先生って、意外と義理堅いんですね……」
「誰が義理堅いって? ただの何でも屋の店長さ。」
銀時はため息をつきながら、ゆっくりと歩き出した。
静寂の中、銀時はふと何かを思い出したように顔を上げる。
「そういえばアイツら(西郷たち)どうした?」
ほんの数十分前まで大騒ぎしていたマドマーゼル西郷、狂四郎、辰巳、鉄子、日輪といった面々。
影も形も見当たらない。
フィーナは平然とした顔で答える。
「あの人たちは……」
「もう出番無さそうデスし、作者さんが疲れたと言ったので今回は休みデス!!」
「あっそ。」
銀時は和服に手を突っ込みながら、あっさりとした返事をする。
「……つーか、そんなメタい理由で消えるのかよ。」
フィーナは肩をすくめる。
「作者さんが『もうこの人数管理できねぇ』って言ってたデス。」
「俺たち、フィクションの住人であることを受け入れすぎだろ。」
「仕方ないデス、これも運命デス。」
「いや、もうちょっとこう……物語的に消える理由作ってやれよ。」
フィーナが冷静に補足する。
「ちなみに、後でちゃんと活躍するから安心してって作者さんが言ってマシタ。」
シズコはため息をつく
「……どういうことよ。」
——こうして、一部の登場人物が強制的にフェードアウトし、物語は次の展開へと進んでいくのだった。
百鬼夜行を歩き回り、銀時たちはしばらく魑魅一座の姿を探していた。
路路裏空き地など、
さらには、月詠が百華を総員動かしての徹底的な捜索を試みたが——
「見つかりまセンネ。」
フィーナが腕を組みながら、眉をひそめる。
「おかしいな……いつもなら、いくつかの部隊は見つかるというのに……」
月詠の声にも困惑が滲んでいた。
「どこに行ったんでしょう……」
シズコは頬を膨らませ、ふてくされたように言う。
「ほんっと、出なくていい時に出てくるんだから……」
静かになった路地を見回しながら、彼女たちはため息をつく。
——その時、ふと気づく。
「そういえば先生は?」
フィーナが周囲を見渡すと、そこには銀時の姿がなかった。
「……ん?」
皆が不審に思い、辺りを探し始めたその時——
近くの賭場の扉が勢いよく開く。
薄暗い路地に、ふらふらと出てきた影。
そこにいたのは——
パンツ一枚になった銀時。
「あーあ、また当てが外れちまった……」
彼は額に汗を滲ませながら、無念そうにぼやく。
「次は丁だ……何と言われようとーー」
——ドカッ!!
飛び蹴り炸裂。
銀時のセリフが途中で途切れる。
「ぶぼぉっ!!?」
飛び蹴りを受けた銀時は、見事な放物線を描きながら宙を舞い、**バシィン!**という音と共に近くの壁に激突した。
その場にズルズルと崩れ落ちながら、彼は目を白黒させる。
「な、なんだよ……人が真剣に運試ししてるってのに……」
銀時はパンツ一枚のまま、口元から血を拭いながら文句を垂れる。
しかし——
月詠の目は完全に据わっていた。
「お主は何をやっとるんじゃ!!」
怒りのオーラを全開にしながら、彼女は銀時の襟首をつかみ、ぐいっと引き寄せる。
「祭りを守るための捜索中に、なぜ賭場でパンツ一丁になっとるんじゃ!?」
「いや、これは違うんだよ。これは情報収集なんだよ。決して俺がギャンブル狂ってわけじゃなくてな、こう……何というか、潜入調査的な?」
銀時は苦し紛れに弁明するが、月詠の顔はさらに険しくなる。
「お主のどこに潜入の意識があったんじゃ!!」
「いや、だからさ……ほら、魑魅一座って裏社会とつながってるかもしれねぇじゃん? 賭場ってのは情報が集まる場所だからさ、俺も探りを入れたってワケよ。な?、俺ってば意外と仕事熱心だろ?」
「ただ負け続けてすっからかんになっただけじゃろうが!!」
月詠のツッコミが炸裂する。
フィーナとシズコは、目の前で繰り広げられる**「侍 vs 女忍」**の乱闘劇を、呆然と眺めていた。
「あ、あの……先生、大丈夫……?」
「さぁ……でも、先生ならいつものことなんじゃないデスか?」
フィーナがどこか諦めたように肩をすくめる。
「いやいやいや!! 祭りの捜索中にギャンブルで全財産失ってパンツ一枚になって帰ってくる奴なんて普通いないから!!」
シズコが全力でツッコむ。
一方、そんな騒ぎの中で、月詠は銀時を容赦なくシメ続けていた。
「お主がふざけたことしてる間に、わっちは百華総員動かしておるんじゃ!」
「……え、俺だって動いてたよ? ほら、パンツ一丁になったし。」
「何の実績じゃそれはァァァ!!」
ドゴォッ!!
銀時がまたしても吹っ飛び、地面に転がる。
ドォォォォォォン!!!
突如として響く爆発音。
百鬼夜行に、煙と怒号が立ち込める。
銀時が地面に転がったまま、ぼんやりと空を見上げながら呟く。
「何だ?」
月詠の表情が険しくなる。
「あれは……!」
シズコはすぐに立ち上がり、拳を握る。
「私たちも行くわよ!」
「ハイ! ガッテン承知!!」
フィーナが気合いを入れながら頷く。
月詠たちは物陰に身を潜め、騒ぎの方向を見やる。
そして、そこにいたのは——
「魑魅一座、路上流」
日の光に照らされながら暴れまわるのは、奇妙な面々だった。
金髪の狐耳を持ち、丈の短い着物を着て天狗のお面を被る生徒。
青みがかった黒の二つ結びに、女袴とおかめのお面をつけた生徒。
彼らは通行人を威嚇しながら、屋台を荒らし、祭りの雰囲気を破壊していた。
「ふはははっ! あたしらは百鬼夜行の路上に屯する魑魅魍魎! その名も——」
「魑魅一座、路上流っす!」
「さあみんな、ご要望通りに荒らして荒らして荒らしまくりな!」
さらに、狐面の生徒が手に持った得体の知れない装置を掲げ、狂気じみた笑みを浮かべる。
「この新しくもらったコイツで大暴れしてやるぜ。玉を打って打って打ちまくりな!!」
——何かを装填し始める。
一気に戦闘態勢へと移行しようとする月詠たち。
「やっぱり……アイツらでしたか。」
フィーナが冷静に呟く。
「ようやく見つけたわよ。」
シズコの目が鋭く光る。
「うん。玉を装填している今がチャンスじゃ……銀時、一気に攻めて——」
振り向いた瞬間、月詠の表情が固まる。
銀時がいない。
「……は?」
「ちょいとそこのお姉さん方?」
突然の間延びした声が響く。
魑魅一座の面々が顔を上げると、そこには——
銀時。
——パンツ一枚のまま立っていた。
「あ? 何だよアンタ。」
狐面の生徒が訝しげに目を細める。
銀時はポケット(がないので腰のゴム部分)に手を突っ込みながら、ニヤリと笑う。
「あなたが打ちたいのはこっちの玉って〜お金が増やしたい時に打つアレですか?」
「だからアレって何だよ!?」
銀時は一歩踏み出し、ドヤ顔で答える。
「パチンコ玉。」
——ズゥゥゥゥ……
まるで静電気のような奇妙な緊張が、辺りに漂う。
「あの先生、何やってんの!?」
物陰からシズコが小声で叫ぶ。
「敵だよね!? 目の前にいるの敵だよ!! 何であんなに冷静なの!?」
フィーナは腕を組みながら、しみじみと言う。
「アレは……敵を交渉で解決するワギ(和議)って奴デス!!」
「いや……どうみても違うでしょ!!」
シズコが全力で否定する。
広場では、魑魅一座の面々が銀時を睨みつけていた。
「はぁ!? 何言ってんだよアンタ?」
銀時はすっと指を立て、語りモードに入る。
「いやー、お前らも金がなくて祭楽しめねぇから、祭りぶっ壊そうとしてんだろ?」
狐面の生徒がため息をつく。
「いやアンタよりはあると思うよ……パンツ一枚のアンタよりはあると思うよ。」
「というか服着な……」
銀時は無視して続ける。
「同じ玉でも、可能性がある方を打たねーと意味がねぇ。」
「つーことでーー」
「お前ら、数打ちゃ当たる精神で俺と同じとこまで堕ちろ〜。」
「引っ張んてんじゃねーよ!!」
——ドゴッ! ドカッ! ズシャァッ!!
銀時、蹴られまくる。
「おぉぉぉぉ!!? 痛い痛いって!!!」
彼は一瞬で地面に転がり、暴れ回る。
物陰から見守っていたシズコが、白目を剥く。
「ほらぁぁぁ!! 和議じゃないじゃん!!」
「やっぱりただのバカでしたネ……」
フィーナはしみじみと頷いた。
銀時が蹴られながら、もがき苦しむ中、突如響き渡る声。
「そこまでだよ! 魑魅一座!」
「……ん?」
月詠が物陰から目を細める。
「何じゃ? また何か……」
シズコはその声にピクリと反応し、驚いたように顔を上げる。
「あ、あの声は……!?」
全員が注目する中、光の下に飛び出したのは——
「派手に!」
「可憐に……」
「う、美しく……! で、合ってます……?」
「ばっちり!」
「街の平和を守るため、美少女三人組の修行部……ここに参上!!」
「参上一……」
「えと、参上、です……」
——微妙にタイミングのずれた掛け声。
中央でポーズを決めているのは、元気いっぱいの少女・勇美カエデ。
その隣で、恥ずかしそうにモジモジしているピンク髪の少女・ミモリ。
さらにその横で、あくびを噛み殺しながら微妙にフラついている少女・ツバキ。
彼女らは揃って巫女装束を身にまとっていた。
ただし——
(ひとりだけ危険すぎる格好をしている。)
ツバキの服装は、既視感的にはヨコチチハミデヤンでお馴染みのアコの服装に酷似している……が、正直言ってアコ以上に胸が目立っている。
(……どこ見てデザイン決めたんだyoster。)
と、思わず銀時が心の中でツッコんでいると——
「大丈夫! 私たちがきーー」
カエデが堂々と口を開こうとした瞬間、ミモリが不安そうに囁いた。
「ねぇ、カエデちゃん?」
「ん? どうしたミモリ?」
「あの人……パンツ一枚なんだけど……」
「え、えぇぇぇぇ!!?」
カエデの驚きの声が響き渡る。
シズコ「そりゃ驚くよね。」
フィーナ「当然な反応デス。」
物陰から二人が冷静に見守る中、銀時はムスッとした表情でカエデを見下ろす。
「おいおい、人を変質者扱いするんじゃねぇよ。失礼だろうが。」
「いや、どっからどう見ても変質者でしょ!!」
カエデが思いっきり叫ぶ。
しかし、銀時はどこ吹く風。
「というかお前ら修行部? だっけ? 何の修行してんの?」
「かめは◯波とか界王拳とか使えるようになるやつとか?」
「それはドラゴ◯ボール!!」
「まぁ、変質者に語る必要なんてないんだけど……聞かれたら答えてあげるのが大人のレディーってもの。」
銀時はニヤリと笑い、皮肉げに言う。
「何だ体だけ大人の厨二病か……早く大人になったほうがいいよ〜。恥ずかしくなるから。」
「違うわ!! というか聞きなさい!!」
カエデは咳払いをして、堂々と宣言する。
「コホン! 私は勇美カエデ、大人のレディーになる修行をしてるの!」
「そして恥ずかしそうにしてるのが……ミモリ先輩。大和撫子に憧れて修行をしてるの!」
ミモリ「よ、よろしくお願いします……。」
「そして、そこで寝てるのが……名は『眠り姫』とちまたで噂のツバキ先輩! いつでもどこでも寝るのを修行してる先輩!!」
ツバキ「ど、……どうも〜。」
「どう! これで修行部の偉大さが——」
「そうかそうか……」
銀時は腕を組み、ニヤリと笑う。
「つまりお二人さんは夜の玉打ち修行をしたいってことだろ? 仕方ない、ここは銀さんが人肌剥いでーー」
「ギンギンさんになるか……」
「物陰から、そして敵からの総ツッコミ」
シズコ「ちょっとほんとに何言ってんの!? あの先生本当に大丈夫なの!?」
魑魅一座「なぁ、ほんっとにアンタは大丈夫か?」
銀時「大丈夫大丈夫。ちょっとあそこのホテルで泊まるだけだから……」
そう言って、彼は近くのラブホを指差す。
——シーン。
「大丈夫じゃねぇだろ!! この小説、上から止めさせるつもりか!?」
魑魅一座のメンバーが絶叫する。
「え? ホテルって?」
カエデが純粋な瞳で首を傾げる。
「ほらみろ……そこ、よくわからんこと言ってたガキも……」
「無料で泊まれるって!! 先輩も行こうよ!!」
「ガキだァァァァァ!! ただのガキだ!! 危ないネタもよく知らないガキだァァァァァ!!」
魑魅一座の一人が叫びながら頭を抱える。
「なぁ……マジでやめないか?」
銀時はどこまでも冷静に言い放つ。
「この俺はもう止められねぇ。青少年保護条例の向こう側で待ってるよ。」
「誰も待ってねぇよ!! 待ってんのはただのサツ(警察)だけだ!!」
魑魅一座の絶叫が、百鬼夜行の空に響き渡る——。
——ボフッ!!
銀時の額に、月詠のクナイが容赦なく突き刺さる。
「いい加減にせんか!!」
その怒号が街に響き渡った。
銀時はクナイを揺らしながら呻く。
「いやここは無血開城させるために相手の気を逸らそうと……」
月詠は呆れた顔でため息をつく。
「相手の気を逸らすどころか釘付けじゃが、主のバカさ加減に釘を刺されてあるが?」
「おい! さっきからそいつだけで話が進んでんだが、こっちにも目を向けろ!!」
魑魅一座のメンバーが痺れを切らし、怒鳴り声を上げる。
しかし、月詠は冷静に言い放った。
「安心せい。目を向けるどころか……」
ジャキジャキ……
無数の刃が日の明かりを反射しながら煌めく。
「百華がお主らを囲んで刃を向けておる……観念するがいい。」
魑魅一座の面々が一斉に顔を青ざめる。
そんな中、シズコはふと呟く。
「もしかして先生……百華の人たちを囲ませるのを気づかれないように気を引いて……?」
銀時は鼻をすすりながら、和服(がないのでパンツのゴム部分)に手を突っ込む。
「さぁな。」
それだけ言って、深く息を吐いた。
月詠は鋭い目を魑魅一座に向ける。
「さぁどうする? この戦力差の中でも抗うか?」
魑魅一座の一人が震えながら声を上げる。
「クソやっぱダメだった」
「だから無理だって言ったのに!!何なら初めは簡単な仕事だって言ってたのに!!」
(仕事だぁ…?)
銀時はその言葉に眉をひそめる。
しかし、次の瞬間——
「こ……こうなったら…! ——おい! 助けてくれ!!」
「……!」
その叫び声と同時に、銀時たちの足元に何かが飛んできた。
——シュッ!!
素早く飛び退く銀時。
地面に突き刺さったのは、鋭い手裏剣。
銀時が飛んできた方向へと目を向けると、そこには——
「忍者イズナ、参上!! これから先はこのイズナが………って、え、主人殿!?」
銀時「あっ、火影を目指してる狐。どうしてここにいるんだよ? もしかして……」
「螺旋丸でも習得した?」
イズナ「してません……っていうか! それはイズナの台詞です!」
「どうして先生が私たちの邪魔を!?」
銀時は面倒くさそうに首を傾げる。
「いやいや、祭りをぶっ壊す悪ガキは指導対象に決まってんだろうが。」
すると、イズナの瞳が揺らぐ。
「はっ! もしかして先生は、最初からイズナを誘い出すために近づいてきたのですか!? まさか、すべては仕組まれていた……!?」
「イズナの夢を応援してくれたのに……! 本当は悪い人だったんですか!?」
銀時は目を細める。
「……もしもーし、話聞いてる?」
「騙された……! 先生に騙された……!」
銀時「だから話聞けって!!」
そんな銀時のツッコミも虚しく、イズナは揺れる瞳のまま拳を握る。
「イズナ、なんでその子達の味方をしてんだよ?」
銀時が静かに問いかける。
イズナは一瞬だけ言葉に詰まる。
「い、イズナは忍びとして命令に従っているだけです!」
「……はぁ?」
その場の空気が張り詰めた瞬間——
「っイズナ殿! 一旦戦略的撤退だ!」
魑魅一座の一人が叫ぶ。
「せ、戦略的撤退……? ですがイズナは……」
「立派な忍者は引き際を弁えてるものだよ! 何かの本で読んだ気がする!」
「なるほど! そういうことであれば!」
イズナは懐から小さな球を取り出し、それを地面に叩きつけた。
——ボンッ!!
煙幕が辺りを包み込み、視界が奪われる。
「先生……まさかイズナの夢を応援してくれた先生が立ちはだかるだなんて、何という運命の悪戯……!」
銀時「2時間ドラマの見過ぎだろ。」
「望まぬ戦いに巻き込まれてしまうのもまた、忍者の宿命! 先生、イズナは諦めません! 次に相まみえる時はイズナ、今の三倍くらい強くなっているはずですので!」
「では、ニンニン!!」
煙が晴れた時——
そこにはもう、誰もいなかった。
魑魅一座と共に、イズナの姿も消えていた。
静寂が訪れ、ほんの少しの風が吹き抜ける。
「あーあ……まためんどくせえことに……」
銀時は頭を掻きながら、煙の消えた空間を見つめる。
月詠は腕を組み、冷静な表情で呟く。
「どうやら、単なる祭り荒らしではなさそうじゃな……」
銀時はしばらく黙ったまま、静かにため息をついた。
、銀時は再び戦いの渦へと足を踏み入れるのだった。
次回
シズコ「ねぇ今ってまだ問題解決してないんだよね?」
フィーナ「そうデスね」
シズコ「じゃあ何で酒を飲んでんのよ!!」
にゃん天丸「まぁまあみんなお疲れだろうと私が呼んだんですよ。」
銀時「ジャンジャン飲むぞ〜」
お酒は計画的に飲まないと離婚を詰められる
〜透魂〜第一回キャラクター人気投票
-
銀時
-
新八
-
神楽
-
沖田
-
土方
-
山崎
-
高杉
-
桂
-
定春
-
エリザベス
-
ホシノ
-
シロコ
-
ヒナ
-
アコ
-
ミカ
-
ナギサ
-
セイア
-
ユウカ
-
ノア
-
近藤