透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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銀さんからのお願い 部屋を明るくして画面から目を離して読むんだぞォォォォォォォォォ!!





第七十訓 夢は掴もうが掴めまいが持つこと自体に意味がある

「……あれ?」

 

——どこだ、ここは?

 

ふと意識を取り戻すと、周囲には見慣れない柱や壁。

木の温もりを感じる立派な屋敷の一室。

 

そして——

 

「……いや……マジでどこ?ここォォォ!!」

 

銀時は、両腕を柱に縛り付けられていた。

 

「おい! 誰か説明しろォォォ!! 俺はどこにいるんだァァァ!!」

 

「そんな叫ばんでも説明してあげるさーー」

 

ゆっくりと歩み寄ってきたのは、見覚えのある二足歩行の猫。

 

にゃん天丸。

 

「お前はーー!」

 

「グッズ化されない哀れな猫。」

 

「ち◯かす丸!」

 

「誰がち◯かす丸だ!!」

 

「てめぇ、俺をどうするつもりだ!? まさか……売られるのか!? 銀さんついに身売りするのか!?」

 

にゃん天丸 「……確かに良さそうでありますね……」

 

「いやいいよ、身売りされても……銀さん人気だからね〜売れると思うよ〜。」

 

「でもそれじゃダメだよ〜。俺が売れてもお前は売れないから……哀れな猫キャラとして格が下がる一方だよ。」

 

「余計なお世話だ!!」

 

 

にゃん天丸は呆れたように首を振る。

 

「……寝てる間に運ばれてきた分際で」

 

銀時は一瞬黙り込む。

 

「……おい。つまり俺、寝てる間に誘拐されたってこと?」

 

にゃん天丸は静かに頷いた。

 

「その通りであります。」

 

「お前、宴会に乗じて泥酔した状態で運びやすくなるのを待っていたな!?」

 

「まぁ、そういうことです。」

 

「てめぇ……百鬼夜行の狸寝入り戦法か!? 俺もよくやるからわかるが、それはなかなかエグい手口だぞ!?」

 

にゃん天丸 「狸ではなく猫ですが?」

 

「細けぇよ!! で、俺をこんなとこに連れてきて、何しようってんだ!」

 

にゃん天丸は少し目を細め、意味深に微笑んだ。

 

「それはですね……シャーレの先生。」

 

「あなたが邪魔だからですよ」

 

「……邪魔だぁ?」

 

にゃん天丸——いや、**「ニャテ・マサムニェ」**が高らかに名乗りを上げた。

 

「この儂こそが魑魅一座に命を出し、この祭りを中止にしようと計画し実行した張本人……ニャテ・マサム――」

 

「オボボボ!!」

 

——ゲロォォォォ!!

 

『ええぇぇぇぇぇっ!!?』

 

突如、銀時が盛大に嘔吐した。

 

「ア…ブッ―― き、貴様! なんのつもりだ!!?」

 

「ああ、気持ち悪い……二日酔いだコレ。」

 

「せめて人の話を聞くぐらいはしろ!!聞いたことないぞ! 二日酔いでゲロを吐く先生なんて!!」

 

一応、魑魅一座のメンバーは黙々と床に広がる銀時のゲロを処理する。

いくら不良とはいえ、掃除だけはキチンとするらしい。

 

「ま、まぁいい。今のおぬしは逃げることも助けを乞うこともできない……孤独無援——いや? 飛んで火に入る夏の虫と言うところかな?」

 

「ああ、本当に火の中に入っちまったよ。二日酔いで吐ちまうぐらいにはな。」

「うまくねぇんだよ! お屋敷汚されたこっちの身になれ!!」

 

 

にゃん天丸——もとい、ニャテ・マサムニェは勝ち誇ったように口元を歪める。

 

(——うぅ、主人殿……ど、どうしてそんな簡単に捕まってしまったのですか? 主人殿が負けるはずなど無いのに……)

 

その様子を、忍びらしく気配を消し見つめていたのはイズナだった。

彼女の拳は悔しさに震えていた。

 

 

銀時は深く息を吐き、ゆっくりと顔を上げる。

 

「……ふぅ、なんとか気持ち悪さも取れてきたところで本題に入ろうぜ?」

 

「厨二病心を唆られる武将の威を借りても、結局人気がない猫さんよ。」

 

「どうしてこんなことしたんだよ。」

 

「儂の目的は至ってシンプル——金さ。」

 

「金だ?」

 

「百夜ノ春ノ桜花祭……このお祭りが一度開かれるたびに、一体どれくらいの金が動くと思う?」

 

「莫大な金だ!!」

 

「なのにその金をお祭り運営委員会……あんなチビどもが握っとる。儂はそれが気に食わんのだ。」

 

銀時は冷めた目でニャテ・マサムニェを見つめる。

 

「お祭りを素敵なものに? そのためならミレニアムに依頼してもいいと?——はっ! 儂に任せた方が何倍も稼げたというのに!」

 

 

銀時は少し考えた後、ふと魑魅一座の方に目を向けた。

 

「ちょっといいか? そこのテメーら。」

「……?」

 

「お前らはなんて言われて、コイツの仕事を手伝った?」

 

魑魅一座の一人が気まずそうに口を開く。

 

「……そいつに言われちゃったんです、『君達みたいな不良は祭りなんて楽しめない、自分たちが楽しめない祭りを黙って見ていて何が楽しいんだ?』って。」

 

「そうかい。」

 

「お前にも一つ質問だ。」

 

「あの忍者のキツネはお前がけしかけたのか?」

 

ニャテ・マサムニェは、意地の悪い笑みを浮かべながら、しれっと答える。

 

「……ああ、あと自称忍者のちびっ子か——そうだな、あいつはまぁ、よく役立ってくれたよ。」

 

「大した金をかけていないのに……本当によく働いてくれた。」

 

「ちょっとお遊びに付き合っただけであれだ、本当に扱いやすかったよ……」

 

「全力だけなら魑魅一座十人分はあったからな。」

 

その言葉に、隠れていたイズナの体がピクリと震える。

 

「……」

 

彼女は何も言わなかったが、その拳はギュッと握りしめられ、爪が食い込むほどだった。

 

ニャテ・マサムニェ(にゃん天丸)は、愉快そうに笑いながら、傲然と語り続けた。

 

「大した金をかけていないのに……本当によく働いてくれた。」

 

「ちょっとお遊びに付き合っただけであれだ、本当に扱いやすかったよ……。」

 

「全力だけなら魑魅一座十人分はあったからな。」

 

「…………」

 

銀時は無言でじっと、ニャテ・マサムニェを見つめる。

その表情には、怒りもなければ驚きもない。

ただ、静かに、冷たく、まるで相手の本質を見抜いたような眼差しだった。

 

それを無視するように、ニャテ・マサムニェは高笑いを続けた。

 

「『雇い主としてご命令を』だとか、『ご命令とあればなんでもこなすのが忍びの道』だとか……」

 

「プッ、ふはははっ!! 思い出すだけでも笑ってしまうわ。」

 

「本当に便利な奴だ。『お前の夢を応援する』『お前には忍者として活躍してほしい』こんな言葉でアイツは動くんだからな!」

 

「実に経済的で、馬鹿で、こちとら大助かりだよ…ふはははははっ!」

 

——嘲笑と侮蔑に満ちた声。

 

ニャテ・マサムニェは、イズナの純粋な願いを、信じる心を、まるで道具のように扱ったことを、誇らしげに語った。

 

だが、その場にいた全員が彼に賛同していたわけではなかった。

 

むしろ、魑魅一座の面々は普通にドン引きしていた。

 

「お前は、人の夢を使ってアイツを道具として使ってただけってのか!?」

 

いつもは祭りを荒らしていた彼らでさえ、さすがにこれには眉をひそめた。

 

しかし、ニャテ・マサムニェはまるで意に介さない様子で肩をすくめる。

 

「……夢? 何を言っているんだ? あんな夢想とすら言えないバカな妄言を……夢だと?」

 

「馬鹿馬鹿しいにもほどがある。それにただの不良共に説教される筋合いはこちらにはないと思うが?」

 

「うるせぇ! 不良にも通す筋ってもんぐらいあるんだ!」

 

魑魅一座の一人が拳を握りしめ、歯ぎしりしながら叫ぶ。

いくら彼らが「荒らし」だったとしても、夢を馬鹿にされて平然としていられるほど腐ってはいなかった。

 

それでも、ニャテ・マサムニェはやれやれと言わんばかりに首を振ると、ゆっくりと銀時の方へ向き直る。

 

「愚かなる選択?」

ニャテ・マサムニェは銀時を見下ろしながら、余裕たっぷりに言い放った。

 

「それにしてもお主……少し脳が足りていないんじゃないか?」

 

「儂に騙されていると知っていたのなら、儂が雇っているあのイズナや不良と共に行動するなどと……愚かにも程があるな。」

 

まるで「俺の掌の上で踊らされている」と言わんばかりの態度だった。

 

しかし——

 

その時、銀時は初めて「ニヤリ」と笑った。

 

それは、ニャテ・マサムニェが今まで見たことのない、底知れない笑みだった。

 

「へぇ……なるほどな。」

 

ニャテ・マサムニェ 「なんだ? 何か言いたいことでもあるのか?」

 

銀時はわざとらしく、大きなため息をつく。

 

「おい、猫。」

 

「てめぇ、人生で一回もモテたことねぇだろ?」

 

ニャテ・マサムニェ 「はァ!? 突然何を言い出す!!」

 

「いや、だってよ? ここまで性格悪いと、猫界でも絶対嫌われてるだろ。」

 

「金しか頭にねぇ、ダサい小物がリーダー気取ってイキってるとか、モテる要素ゼロじゃねぇか。」

 

「き、きさーー!」

 

しかし、銀時はニヤリと笑いながら言葉を続ける。

 

「おい、いいか? 俺が今から大事な授業を無料で受講させてやる。」

 

「耳の穴かっぽじって、よぉく聞きな。」

 

 

「夢ってもんは、誰もが持つことができるいいもんだ。」

 

「泣きべそ垂れるガキも、ヨボヨボになって足腰が悪くなったジジイやババアも——」

 

「みんな持つことができる。それが夢だ。」

 

「叶えられねぇ夢、普通なら望まねぇ馬鹿みたいな夢、普通に過ごせば叶えられる夢——人はさまざまな夢を持つ。」

 

「そして、人はその夢に向かって努力する。いくら手に届かなかろうと。」

 

「叶えられない夢だと分かっていようと、人はひたすらに努力する。」

 

「でも別にいいじゃねぇか。叶えられなくても。」

 

「別にいいじゃねぇか、諦めなかったなら。」

 

「今までの努力、夢に向かって走り出した道ってもんは——」

 

「必ず己を前に進ませてくれるから。」

 

「…………!」

 

銀時の言葉が、まるで一本の糸のように、イズナの心の中に絡まり、引かれていく。

 

彼女の中で、今までの努力の日々が思い出される。

 

——幼い頃から忍者になる夢を笑われた日々。

——それでも努力し、泥臭く鍛錬を続けた時間。

——何度転んでも立ち上がり、自分の信じた道を進み続けた瞬間。

 

銀時の言葉が、それが決して無駄ではなかったことを証明してくれたような気がした。

 

彼女の目には、今までの努力の道が確かに繋がっているように見えた。

 

 

「貴様、何を言って——」

 

「テメーには」

 

「テメーにはもう一つおまけに授業してやら。」

 

「夢はいいもんだが、己のために他人の夢を馬鹿にする権利なんて誰にもねぇ。」

 

「夢を使って他人を道具みてぇに使う権利も、誰にもねぇ!!」

 

「グッ……!」

 

「それと、テメーは忍者は馬鹿馬鹿しいとか言ってたが——」

 

「こっちの忍者は馬鹿に出来ねぇぞ?」

 

「貴様、それはどういう——」

 

——突然、静寂が訪れた。

 

そして、次の瞬間——

 

シュルシュル……

 

突如、トイレットペーパーが宙に舞い、不穏な気配が漂う。

 

ニャテ・マサムニェ 「な、なんだこれは!?」

 

ふいに、低く響く声が夜を切り裂いた。

 

「祇園精舎の鐘の声——」

 

スッ……スッ……

 

静かな足音が、確実に近づいてくる。

 

「諸行無常の響きあり。」

 

その声は、まるで運命の終焉を告げる鐘の音のように重く、静かに響いた。

 

「娑羅双樹の花の色——」

 

そして、闇の中から静かに立つ影。

 

——次の瞬間。

 

ニャテ・マサムニェ「グハッ!!」

 

トイレットペーパーが怒涛の勢いで巻き付き、がんじがらめにされる。

 

彼が抵抗する暇すらなかった。

 

「外道畜生、必殺の理をあらはす——!」

 

その言葉と共に、指をボキボキと鳴らしながら現れたのは、一人の女。

 

「始末屋——さっちゃん、見参!!」

 

——夜が静まり返った。

 

そこに現れたのは、狂気と愛情が入り混じった目をした「始末屋」。

 

「……やれやれ、よぉやく来やがったか。」

 

「銀さん!会いたかったわ〜!!」

 

突如、場の空気を読まずに飛びついてきたのは、愛と狂気が入り混じった忍者——猿飛あやめ。

 

「引っ付くんじゃねーよ、ストーカー女。」

 

さっちゃん 「もう、銀さんったら♡ 私が来るタイミングまで分かっていたなんて、私たち運命共同体ってことにーー」

 

「俺たちがいつルルーシュとC.C.みたいな関係性になったよ!」

 

「おい!貴様らこんなことしていいと思っているのか!?」

 

「知らねぇよ」

 

さっちゃんが手際よく銀時の縄を解き、彼はゆっくりと立ち上がる。

 

「とにかく今言えることはーー」

 

銀時の目がニャテ・マサムニェを鋭く射抜く。

 

「テメーみたいなクズは、二度と表舞台には出られないってだけだ。」

 

ニャテ・マサムニェ 「クソッ!」

 

 

「——魑魅一座!こ、こいつをなんとかしろ!」

 

ニャテ・マサムニェは焦りを隠せず、先ほどまで従順だったはずの不良たちに命令を下した。

 

しかし——

 

「いや無理っす。」

 

「……なに!?」

 

魑魅一座の面々は、まるで汚いものを見るような目でニャテ・マサムニェを見下ろしていた。

 

「まさかお前がここまでのクズだとはな……」

 

一人がポツリと呟く。

 

彼らは銀時に向かって、木刀を放る。

 

銀時はそれを軽々と掴んだ。

 

そして、魑魅一座のメンバーは、意を決したように拳を握る。

 

「あたしたちはーー」

 

「「「この大人についていく!!」」」

 

「な、ふ、ふざけるなよ!! お前達にいくら払ったと!」

 

「まだ払われてないし。」

 

「そもそも払われるのかどうかすら怪しい……ので。」

 

「それに、あたいらはとんでもねぇことをしちまったんだ。」

 

「その咎は負わないといけねぇ。」

 

「三借りたら七返す。不良の掟にのっとりーー」

 

『寝返る!!』

 

ニャテ・マサムニェ 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「だそうだ。で、どうするよ? アンタ」

 

「このままじゃ集団リンチ中にすいませんって感じになっちゃうけど?」

 

ニャテ・マサムニェは息を荒げ、歯ぎしりしながら肩を震わせた。

 

しかし、次の瞬間——

 

「クフフ、ブハハハ!!」

 

まるで発狂したように笑い出した。

 

「何がおかしい!!」

 

魑魅一座の一人が苛立ちを滲ませて問いただす。

 

ニャテ・マサムニェ 「おかしいのは貴様らだ! 今、外で何が起こっていると思う?」

 

「!?」

「……そうか……あの指示は」

 

「おい、なんの話だ?」

 

「火をつけろって言ったんだよ。あたしらに、」

 

「な!」

 

ニャテ・マサムニェ 「私がなぜ、宴会にお前たち主要なメンバーを集めたと思っている?」

 

「私の計画は、あの忌まわしい祭りを終わらせること。お前たちリーダー格がいられては、上手くことが運ばない。」

 

「だから酒や睡眠薬でお前らを寝かせたのだ。最後のフィナーレを飾るためにな。」

 

「テメェ!」

 

「おっと、キレるなよ。」

 

彼はポケットから何かを取り出し、ゆっくりと銀時たちに向けて掲げる。

 

——それは、爆弾のスイッチらしきものだった。

 

「貴様が動けばこれを爆発させ、百鬼夜行の街を再び火の海に変えてーー」

 

「じゃあ押しちゃえば?」

 

ニャテ・マサムニェ 「な!?」

 

思いがけない一言に、場が凍りつく。

 

「おい、お前……」

 

さっちゃんは余裕たっぷりの笑みを浮かべ、ニャテ・マサムニェを挑発するように肩をすくめた。

 

「それが切り札なんでしょ? どうせアンタは金でも持ち出して逃げ切る予定なんでしょうけどーー」

 

「な、舐めやがって!」

 

彼はスイッチを力強く押し込んだ。

 

しかし——

 

何も起こらなかった。

 

「な、何故だ!?」

 

さっちゃん 「何故ですって?」

 

「そんなの………」

 

「ぶっ壊したからに決まってんじゃないクソ猫。」

 

ニャテ・マサムニェ 「な!?」

 

「それに街に火をつけたって話もーー」

 

さっちゃんはゆっくりと、遠くを見やった。

 

夜の空に、赤く燃え上がるはずだった炎はなかった。

 

「もう終わってるから。」

 

ニャテ・マサムニェ 「バ、バカな!!」

 

「そんなはずはない! 火をつけた者たちは確実に動いていたはず……!」

 

——しかし、現実は彼の思惑通りにはいかなかった。

 

数刻前ーー

 

 

「ひ、火をつけろォォォ!!」

「アイツの指示だ! 今なら邪魔する輩もいない! 今のうちにーー」

 

しかし、その瞬間。

 

「うわァァァァァ!!」

 

仲間の絶叫が響き渡る。

 

「どうした!?」

 

焦った様子で振り返ると、そこには——

 

「どうしたじゃないわよ……」

 

「私たちのママの動きを封じたからって、慢心しすぎじゃないの?」

 

アゴ美を先頭に、不気味な笑みを浮かべるオカマ軍団が立ちはだかっていた。

どこからともなくキラキラと輝くエフェクトが舞い、まるで戦隊ヒーローの登場シーンのような雰囲気を醸し出している。

 

「私たちオカマの力——」

 

「みくびらないでちょうだい!!」

 

次の瞬間、魑魅一座のメンバーは一斉に襲いかかろうとするが——

 

「お黙りぃぃぃぃ!!!」

 

豪快なビンタが炸裂した。

まるで音速を超えたかのような破壊力で、魑魅一座の一人が吹っ飛び、屋台を貫通して地面にめり込む。

 

「ひ、一撃で……!?」

 

その場にいた全員が、戦慄した。

 

 

 

一方、別の場所では——

 

 

「全く、月詠ねぇたちがいないからって好き勝手してくれちゃってさ〜」

 

「オイラももうガキじゃないんだ。ねぇ、そよ姫さ——」

 

「確かにその通りです。」

 

そよ姫(ヒナと同じ声優ネタ)は、落ち着いた声で頷く。

 

「私たちも成長したんです。もう守られる側じゃない——」

 

「守る側なんだって!!」

 

——ゴゴゴゴゴゴ……!!!

 

そよ姫が構えたのは、どう見ても場違いな武器だった。

 

デストロイヤー(ごっついマシンガン)。

 

「ちょっと!! 1人だけ武器のレベルが違うんだけどォォォ!!!」

 

「そよ姫さん!? 何その武器!? なんで1人だけマシンガン!?」

 

そよ姫は冷静なまま、ガチャリと銃を構える。

 

「面倒事はいや。さっさと終わらせて帰ろう。」

 

「キャラ変わってるよ!? なんかどっかのシナシナシロモップに似た感じになっちゃってるよ!!」

 

「逃げることはできない。」

 

「ちょっと待って!! それ以上すると同一人物がーー」

 

——ドドドドドドド!!!

 

圧倒的な火力が、魑魅一座のメンバーを次々となぎ倒していく。

 

「全く……これじゃあ街を守りにきたのか。壊しにきたのかわかりゃしねぇな。バカヤロー」

 

「頭ァァ!! 火消しの準備整いました!!」

 

「そうか。」

 

彼は煙草をふかし、静かに命じる。

 

「お前ら! 一刻も早く街中に広がった火を消せ!!」

 

「辰巳の奴がーー起きた時に後悔しねぇようにな。」

 

「おォォォォォォ!!」

 

掛け声と共に、彼らは一斉に動き出した。

手にしたホースの水が火を消し、空を覆っていた黒煙が次第に晴れていく。

 

 

 

さらに別の路地裏では——

 

「なんだ? どんどん火がーー」

 

「報告! 他の部隊は鎮圧されたと!!」

 

「な!?」

 

焦ったように周囲を見渡す魑魅一座のメンバー。

 

すると、視線の先に——

 

狸耳にツインテールの髪、尻尾を持った女性と、もう一人の高身長の女性が、逃げ遅れていた。

 

「アイツらを狙うとしよう。」

 

「いけェェェ!!」

 

その瞬間——

 

ドドドドドド!!!

 

突如として空から大量のクナイが降り注ぐ。

 

「く、クナイ!?」

 

魑魅一座が驚いて見上げると——

 

「あっ、スイマセーンクナイ落としちゃった。」

 

闇の中から、皮肉げな声が響いた。

 

「俺ぁなんも知りませんよ。」

 

「何にも見てませんよ、ずっとジャンプ読んでたから。」

 

「決して加勢に入ったワケじゃありませんよ。」

 

「決して狐の面かけた女や、どっかのバカ侍のケツを追いかけてる女に脅されたわけでもありませんよ。」

 

「…………」

 

彼らが言葉を失ったのも無理はない。

 

闇に潜むその影は、静かにクナイを弄びながら、月明かりに照らされていた。

 

——全蔵、登場。

 

全蔵が軽やかに着地すると、空気が張り詰めた。

 

彼の鋭い眼光が魑魅一座を射抜き、まるで次の瞬間には全員が地面に沈むことを暗示しているかのようだった。

 

「やれやれ、俺は醜女が趣味なんだが、住処まで燃やされちゃ困るんでな……」

 

そして、ちらりと目線を向ける。

 

「おい、そこの。」

 

尻尾と耳を震わせながら怯える二人に、全蔵は口元に不敵な笑みを浮かべた。

 

「さっさとこの場から逃げな、ここが地獄に変わる前にな。」

 

——彼の言葉は、圧倒的な説得力を持っていた。

 

魑魅一座の連中ですら、彼の気迫に飲み込まれ、後ずさる。

 

「か、かっこいい……!」

 

ツインテールの少女と高身長の女性が思わず目をキラキラと輝かせる。

 

しかし——

 

「おいおい、そんなことしてる場合じゃーー」

 

全蔵は肩をすくめながら言いかけたが、フッと笑い直した。

 

「……まぁいいか。見てたいなら見続けな。」

 

この場が、どれほどの修羅場になるのか、それを見届けるのもまた一興かもしれない。

 

 

「私、言いましたわよね? 邪魔者は消しといてって。」

 

その声は、どこか楽しげで、それでいて血の匂いを孕んでいた。

 

全蔵は気だるげに振り返る。

 

「別にいいだろ? どうせお前は邪魔がいようがいまいが暴れ回るだけなんだろ。」

 

ワカモは手で画面を押さえながら、クスッと笑う。

 

「あら? 意外と分かってるじゃないですか……」

 

その場の誰もが、彼女の笑みの裏に潜む狂気に気づいていた。

 

「もしや、そいつって!! 災厄の狐ワカモ!!」

 

魑魅一座の一人が、震えながら叫ぶ。

 

「あんな奴がいたらーー」

 

しかし、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。

 

 

全蔵がすっと右手を伸ばし、クナイの刃を月光に煌めかせる。

 

「おいおい、そっちばかりに気を取られていいのか?」

 

「!?」

 

全蔵の声が響いた瞬間、魑魅一座の全員が背筋を凍らせた。

 

「見せてやるよ、てめーらに本物の忍者の恐ろしさを。」

 

影が蠢く。

 

それは音もなく、速さも感じさせず、それでいて圧倒的な気配を持った「何か」だった。

 

まるでそこに忍びの神が降臨したかのような静寂が訪れる。

 

「目ん玉ひんむいて見ときな。俺の技は刹那に終わるぞ。」

 

ジャキン——!

 

静寂を切り裂く金属音。

 

全蔵が構えたのは、彼の名を世に知らしめた暗殺術の象徴——。

 

その刃が、夜の闇の中で淡く輝く。

 

そして——

 

 

「摩利支天服部全蔵。」

 

「災厄の狐、銀時様の嫁! ワカモ。」

 

二人は、同時に構える。

 

全蔵の目には冷静な闘志が宿り、ワカモの目には血塗られた狂気が宿る。

 

「「いざ参らん!!」」

 

——その瞬間、夜の闇が切り裂かれた。

 

二人の姿が、次の瞬間には魑魅一座の懐に潜り込んでいた。

 

クナイが閃き、銃剣(短刀)が跳ねる。

 

一瞬のうちに、何人もの魑魅一座のメンバーが地に伏した。

 

全蔵は冷酷に、一撃(峰打ち)で敵を沈めていく。

 

ワカモは笑いながら、美しく、華麗に、そして獣のように敵を屠っていく。

 

銀の月の下、忍と災厄が舞う。

 

魑魅一座の面々は、己の「死」を初めて自覚し、逃げることすら許されない絶望を味わった。

 

まるで——

 

夜の獣に喉元を狙われた哀れな獲物のように。

 

 

「——地獄にようこそ。」

 

ワカモが、血の滴る銃剣(短刀)を掲げながら、妖艶に微笑んだ。

 

魑魅一座の叫び声が、夜の闇に消えていった。

 

ーーーーーーーーーーーー

「というわけで、あなたの計画は水泡に帰っしたってわけよ。」

 

「く、クソッ!」

 

事態が完全に崩壊したことを悟ると、ニャテマサムニェは反射的に走り出した。

 

「ここは逃げてーー」

 

だが、その瞬間。

 

ガシッ。

 

鋭い指が襟元を掴み、動きを完全に封じた。

 

「え?」

 

静かに振り返ると——

 

そこには、酒気を帯びた紅い瞳が、不敵に光っていた。

 

「おい。どこに行くんだよ〜ヒック。」

 

「えっと……あなた酔い潰れたんじゃ……?」

 

その問いに、月詠は薄く笑った。

 

「どこに行くんだってーー」

 

「聞いてんじゃコラァァァァァ!!」

 

バゴォォォォッ!!!

 

——轟音。

 

次の瞬間、ニャテマサムニェは地面にめり込んでいた。

 

「グハッ!!!」

 

月詠は、ひとしきり笑うと、ガツンと酒瓶を地面に置き、肩を回す。

 

「ギャハハハハ!!」

 

「おい、月詠のやつ。また酒に酔ってバーサーカになってんじゃねぇか」

 

 

ニャテマサムニェは目を回しながら、何とか立ち上がる。

 

「は、早く………逃げなければ……こんな化け物どもからーー」

 

——ドドドドドッ!!

 

突如として、宙を舞う無数の影。

 

「しゅ、手裏剣!?」

 

手裏剣の嵐が彼を取り囲む。

 

そして、その中央に、ふわりと一人の少女が着地した。

 

「へい、イズナちゃん、やっちゃいな!」

 

「―――はい!主人殿!」

 

イズナは静かに歩み出し、手にクナイを構える。

 

「んなっ、お、お主、いつのまに!」

 

「さっきからずっっっっと見てました……忍者として主人を裏切るのはいけない事――しかし!」

 

彼女の目が、鋭く、そして決意に満ちたものへと変わる。

 

「その主人が悪人ならば、イズナは従う気はありません!」

 

「ぬ、ぬぅぅ!」

 

「イズナの夢を応援してくれた……怒ってくれてくれた……そんな主人殿こそ、イズナの真の主人……!」

 

「よって!」

 

イズナは懐から封筒を取り出し、勢いよくニャテマサムニェに投げつける。

 

その表紙には、大きく、こう書かれていた。

 

『辞表』

 

静寂。

 

ニャテマサムニェは、封筒を手に取ると、顔を青ざめながらそれを凝視する。

 

「今までお世話になりました…!―イズナは、転職します!」

 

「なんだその転職宣言……まぁいいけどよ。」

 

「こ、この、恩知らずめ!!」

 

「恩知らず?」

 

イズナは静かに、だが確かに笑った。

 

「恩を売る資格のない者が、それを言ってはいけませんよ。」

 

彼女は、銀時から受け取った言葉を胸に、もう迷うことはなかった。

 

銀時は木刀を肩に担ぎながら、一歩、また一歩とゆっくり前に進む。

 

その目は、まるで獲物を狩る前の捕食者のように冷たかった。

 

「さぁて、今度はテメーが地獄を見る番だ。」

 

ニャテマサムニェ 「ヒッ!」

 

体が震え、足元がおぼつかなくなる。

 

かつては金と権力に溺れ、好き放題に振る舞ってきた彼が、今やただの小物に成り下がる。

 

「お、お助けを!!」

 

銀時は、その言葉を聞いた途端、鼻で笑った。

 

「助けを求めんのならーー」

 

その瞬間——

 

「「「「「てめぇが好きな金に懇願しやがれェェェ!!(してなさい!!)(してください!!)」」」」」

 

銀時、イズナ、さっちゃん、そして魑魅一座の面々までが、一斉に声を揃えた。

 

「ギャァァァァァ!!!」

 

 

ドゴォォォォ!!

 

銀時の木刀、イズナの忍び刀(峰打ち)が、一閃。

 

それは、ニャテマサムニェの腹にめり込み、彼の体を宙に弾き飛ばした。

 

次の瞬間——

 

ガッシャァァァン!!!

 

派手な音とともに、彼の体は壁をぶち抜き、屋敷の奥へと吹っ飛んでいった。

 

そして、ピクリとも動かなくなる。

 

静寂。

 

 

 

「ふん!銀さんを監禁した時点で結果は決まっていたわ」

 

魑魅一座の面々も、苦々しい表情でニャテマサムニェを見下ろす。

 

「……なんであんな奴の言うこと聞いてたんだろうな。」

 

銀時は木刀を肩に担ぎ、静かに呟いた。

 

「まぁ……金に頼ってるヤツなんて、結局こんなもんよ。」

 

そして、夜が明けて日が街を照らし始めた。

 

「さてと……祭りの続きを楽しもうぜ?」

 

こうして、百夜ノ春ノ桜花祭の闇は消え去り、再び、光が戻った。

 




次回予告 祭りの時くらい金なんか気にせず楽しもう

「「「「「フィナーレだァァァァァ!!」」」」」

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

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