透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい)   作:時代に遅れている

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すいません。ゴリラ13などは後で必ず出すんで、内容の変更をお許しください。

今回あんま面白くないかも………

やっぱ補習授業部難しい。

シリアスは簡単なんだけどな〜


第七十六訓 プライド高いのもいいが、時には折らねば前に進めない

新設された補習授業部の初集合――その教室内に漂う空気は、宛ら生温い地獄のごとき雰囲気を醸し出していた。

 

 静まり返った空間の中、机と椅子が整然と並べられ、窓から差し込む夕陽がその場を僅かに朱に染める。そこに集ったのは、各々が何かしらの問題を抱えた者たち――いや、問題そのもののような面々であった。

 

 教室の一角では、ヒフミが愛しげにエリザベスを抱きしめ、その顔には至福の笑みが浮かんでいる。彼女の腕の中で動かぬエリザベスは、まるで神の寵愛を一身に受けた偶像のように、ただそこに鎮座していた。

 

 その傍らでは、ハナコが場の空気など一切意に介さず、満面の笑みを浮かべながら周囲を見渡していた。その様子は、これから始まる狂宴に心躍らせる道化師のごとし。

 

 さらにその隣では、アズサがガスマスク越しに「シュコー……」という独特の呼吸音を響かせながら、ヒフミ同様にエリザベスへと抱きついていた。その姿は、まるで酸素ボンベを手放せぬ深海の住人か、あるいは己の愛を示すためならば如何なる手段も辞さぬ求道者のようにも見える。

 

 対照的に、コハルの顔色は白磁のごとく蒼白であり、瞳には深い絶望の色が滲んでいた。まるで、この場に自らの意思とは無関係に引きずり込まれた哀れな囚人のように、彼女の肩は小刻みに震えている。

 

 そんな異色の面々を前に、教卓に立つ二人の男――坂田銀時と桂小太郎。

 

 銀時の表情は相変わらず死んだ魚のようであり、まるで人生そのものを諦めたかのような虚無を湛えている。対して桂は、そんな状況にありながらも変わらぬ笑顔を浮かべていた。その顔は、確固たる信念と根拠のない自信を持つ者特有のものだった。

 

「……なんとか揃ったな、補習授業部……」

 

 桂が静かに口を開く。

 

「いや、何自分がやり切りました感出してんだよ……集めたの俺!お前はただテロ活動してだけ!!」

 

 銀時が深くため息をつきながら応じる。

 

「見ろ、エリザベスのやつ、嬉しそうだぞ!」

 

「いや、あいつ表情なんて変わんねーから、喜んでるかなんて――」

 

 しかし、その瞬間。

 

 エリザベスが手にした札を静かに掲げる。そこには――

 

『ウハウハペロ』

 

「……………」

 

 二人の間に沈黙が落ちた。桂は「ほらな」とでも言いたげに満足気に頷き、銀時は「マジかよ……」という表情で僅かに顔を歪める。

 

 傍から見れば、この場はまさに混沌そのものだった。しかし、少なくともエリザベスにとっては天国のようなひとときなのかもしれない。何せ、女の子二人に抱きつかれているのだから。

 

 そんな中、ハナコがふと笑顔を深め、一人一人の顔を見渡しながら口を開いた。

 

「ふふ、それで何をすれば良いのでしょうか? 阿慈谷部長? 銀時先生? 放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生と大人が集まって……ふふっ、始まってしまいそうですね」

 

 彼女の言葉に、アズサがゆっくりと顔を上げる。

 

「始まる……? まぁ、エリザベスが居てくれれば何だって構わない。因みに私は本気を出せばこの教室で一ヶ月は立てこもれる」

 

 唐突に明かされたサバイバル宣言に誰もが一瞬沈黙するが、桂だけはすぐに口を挟んだ。

 

「女の子が『始まる』とか『やっちゃう』とか言うもんじゃない」

 

「ヘ? いや、そこまで言ってはいないんですが……?」

 

 ハナコが少し戸惑った表情を見せるが、桂はさらに続ける。

 

「女の子が『イク』とか『イッちゃう』とか言うもんじゃない」

 

「えっと……それもう、親父ギャグの領域では……?」

 

 微妙な空気が流れる中、銀時が半ば呆れたように口を挟んだ。

 

 「まぁ、ひとまず学校生活初めての活動とは自己紹介って相場が決まっているから」

 

 彼はチョークを軽く回しながら、黒板に書かれた**『自己紹介!!』**を指差す。

 

「自己紹介を始めようと思いまーす」

 

 場の空気が微妙に硬直する中、桂が勢いよく手を叩いた。

 

「拍手ぅ!」

 

 ……しかし、静寂。

 

 誰も動かず、誰も反応しない。

 

 桂は一瞬硬直したが、すぐに気を取り直し、再度叫ぶ。

 

「拍手ぅ!!」

 

 すると、気まずそうにパチパチと控えめな拍手が響く。最初に手を叩いたのはハナコ、続いてヒフミ、アズサも「仕方ない」といった様子で手を叩いた。

 

 アズサは腕を組みながら呟く。

 

「む、自分から素性を明かすのか?」

 

 ヒフミが苦笑しながら応じる。

 

「まぁ、一応同じ補習授業部のメンバーですし……」

 

 アズサは少し考えた後、「それもそうか」と呟いた。そして、ゆっくりと手を上げると、ずっと顔を覆っていたガスマスクに手をかけた。

 

 カチャリ、と留め具が外れる音。

 

 彼女の手がゆっくりとマスクを外し、前髪を軽く払う。

 

 そこに現れたのは、あどけなさの残る顔立ち。それでいて、どこか鋭い光を孕んだ瞳。

 

 まるで鋭利な刃を秘めた少年のような面差しを持つ彼女は、静かに口を開いた。

 

「――私は白洲アズサ、二年だ。宜しく頼む」

 

 彼女の簡潔な自己紹介に、ハナコは楽しげに微笑み、コハルは渋々といった様子で応じた。

 

「私は浦和ハナコです、二年生です、よろしくお願いしますね」

 

「……下江コハル、一年」

 

「えっと、阿慈谷ヒフミです。一応、この部活の部長……って事になっています」

 

 ヒフミが少し居心地悪そうにしながらも自己紹介を終えると、今度は銀時が手を挙げた。

 

「どうも、担任の坂田銀時で〜す。呼び方は銀さんでも銀ちゃんでも好きにどうぞ〜」

 

 適当な笑みを浮かべながら手をひらひらさせる。

 

「まぁ、授業は……テキトーにやるんでよろしく」

 

 そこへ、桂が勢いよく前に出た。

 

「俺はMr.カッツーラだ! 貴様らを立派な攘夷志士に仕上げてやろう!!」

 

 場が微妙な空気に包まれる中、銀時が冷静に突っ込む。

 

「いや、ここそういうんじゃないんだけど、前回も言ったよね? 攘夷関係ねぇって」

 

 そして、何かを思い出したように眉をひそめる。

 

「というかMr.カッツーラって何?また分かりやすい格好でもしてんのか?」

 

 桂は銀時のツッコミをスルーし、誇らしげに腕を広げた。

 

「そしてそのマスコットが――」

 

 桂がビシッと指を差す。

 

「エリザベスだ!」

 

 沈黙。

 

 エリザベスがゆっくりと手を掲げ、札を見せる。

 

『よろしくペロ』

 

 そのシュールな光景に、誰もが何かを言うべきか迷う。

 

 アズサが不思議そうに銀時へと視線を向ける。

 

「担任……というのは、つまりこの部活の顧問という事だろうか?」

 

「うん、そうだね〜。お前らバカどものお世話係ってとこだね〜うん。」

 

 銀時が気だるげに答えると、コハルが忌々しそうな目で周囲を睨みつけながら、絞り出すように口を開いた。

 

「……そもそも、この補習授業部って何なのよ」

 

 コハルの言葉に、場が静まる。

 

 彼女は「正義実現委員会」の一員として、トリニティ内の部活動は大体把握している。もちろん、全てを網羅しているわけではないが、それでも「補習授業部」などという部が存在する話は、一度も聞いたことがなかった。

 

 そんな彼女に、桂が堂々とした口調で説明する。

 

「ある時、ティーパーティーからシャーレに依頼があった。ここは成績の振るわない生徒の落第を回避するために、例外的に設けられた部活だ」

 

 エリザベスが再び札を掲げる。

 

『すごく簡単に言うと、放課後に補習授業をするクラスって感じかなペロ?』

 

 その瞬間、メンバーの反応は様々だった。

 

「あら」

 

「うぅ……」

 

「ほう」

 

ヒフミは慌てたように手を挙げ、努めて明るい口調で話し始めた。

 

「え、えっと、一応私も事前に説明を受けていまして、何か分からない点とか気になる点がありましたら――」

 

 彼女がそう言いかけたところで、アズサが淡々とした口調で遮る。

 

「大丈夫、大方は理解した。これからは普通の授業に加えて、毎日放課後に特殊訓練があるってだけだ」

 

 その単語に、銀時が眉をひそめた。

 

「……ヅラ、また何か吹き込んだろ?」

 

「ヅラじゃない桂だ。何、攘夷志士となれるてほど気をーー」

 

 バシッ

 

 桂の言葉を遮るように、銀時のチョークが彼の額を直撃する。

 

「だからいらねぇってんだろうが」

 

 銀時の冷めたツッコミを受けながら、桂は小さく呻く。しかし、当のヒフミはそんなやり取りには気付かず、改めて真剣な表情で説明を続けた。

 

「え、えっと、訓練と云って良いのかは分かりませんが、凡そはその通りです! 私達が目指すのはこれから行われる特別学力試験で、『全員が合格』することですので……!」

 

 彼女はそう言って拳をぎゅっと握り締める。

 

 特別学力試験。

 

 個別の合格ではなく、「全員合格」。その条件が少し引っかかるものの、そもそもこの「補習授業部」自体が特殊な成り立ちなのだから、普通の尺度では測れない。けれど、頑張れば、きっと皆で乗り越えられるはず。

 

 ヒフミはそんな希望を胸に、さらに言葉を続ける。

 

「特別学力試験は三次まで、つまり三回あるようですが……その内一度でも全員同時に合格すれば、それで補習授業も終了、皆さんは晴れて落第回避、との事です!」

 

 それを聞いたアズサが小さく頷き、淡々とした口調で確認する。

 

「……成程、理解した。三回のミッションの内、一度でも良いから全員で成功を収める。そのために、ここに毎日集って訓練を重ねる……それ程難しい任務じゃない」

 

 彼女は自分なりに一つ一つ解釈し、頷いてみせる。試験の難易度がどの程度かは分からないが、不可能なことではない。そのための準備期間も、環境も与えられているのだから。

 

「この集まりはつまり、各自のリタイアを防ぐための措置……私としては特にサボタージュする気も理由もない」

 

 そんなアズサの言葉に、ヒフミは思わず顔を輝かせる。

 

「そ、そうですよね、頑張りましょう! えっと、アズサちゃんは転校してからあまり時間が経っていないんですよね? きっと以前の試験は学園に慣れていなかったせいもあるでしょうし、皆で頑張ればすぐに何とかなると思います!」

 

 ヒフミが明るく励ますと、ハナコが興味深げに身を乗り出す。

 

「あら、白洲さんはこちらに転校されて来たのですか? トリニティに転校とは、また珍しいですね。」

 

 その言葉に、エリザベスも札を掲げる。

 

『そうなのかペロ?』

 

 しかし、その瞬間、アズサの表情が僅かに曇る。

 

 それを見たヒフミは、まさか拙いことを言ってしまったのではと不安になり、恐る恐る問いかける。

 

「あ、その、書類上はそう書いてあって……もしかして私、余計な事を……?」

 

 アズサは一瞬の沈黙の後、ゆっくりと首を横に振った。

 

「いや……別に隠すことでもないから気にしないで良い。それに事実だ。こう言われるのは慣れるべきだし、そのための努力もする」

 

 その、真っ直ぐすぎるほどの姿勢に、ハナコは目を瞬かせる。それから、ふっと柔らかな笑みを零し、ひとつ頷いた。

 

 そして、ふと思い付いたように問いかける。

 

「成程……それでは私も、アズサちゃんっ、銀ちゃん、エリちゃん、ヅラちゃんって呼んでも良いですか?」

 

 エリザベスは即座に札を掲げる。

 

『いいペロよ』

 

 銀時は半目になりながら呆れたように肩をすくめる。

 

「こっちはいいってさっき言っただろうが……」

 

 アズサは僅かに首を傾げる。

 

「? 別に良いけれど……呼び方に、拘りはないし」

 

 しかし、桂だけは違った。

 

「ヅラちゃんじゃない桂だ! あっ、カッツーラだ!!」

 

 場に響く桂の訂正。だが、それを無視するように、ハナコは満足気に頷く。

 

「では、アズサちゃん、ヒフミちゃん、それからコハルちゃん、エリちゃん、カッツーラさん、それに銀ちゃん――うふふ、何だか良い響きですね。私達はこれから補習授業部の仲間ということで!」

 

 楽しげに言うハナコ。そして、彼女はくすりと微笑みながら、アズサをじっと見つめる。

 

「アズサちゃんは一見冷たそうに見えますが、何だか可愛らしいですし……ふふっ」

 

「……?」

 

 アズサはその言葉の意図が理解できない様子で首を傾げる。

 

 そんな二人のやり取りを、どこか怨念すら籠った視線で見つめる生徒が一人。

 

 コハルだった。

 

 彼女の睨むような視線に、ハナコはふと気付き、小首を傾げる。

 

「あら、そんなに憎悪に満ちた目で、どうしたんですかコハルちゃん?」

 

 その何気ない問いかけに、コハルの顔がさらに険しくなる。

 

「言っておくけど、私は認めないから……!」

 

 彼女は椅子を蹴り飛ばすような勢いで立ち上がり、叫んだ。

 

 その突発的な動きに、ヒフミは驚いたように目を白黒させ、ハナコはどこか微笑ましげに眺める。そしてアズサは――まったくの無反応。興味すらないといった様子で視線を動かさない。

 

 コハルはそんな彼女たちを睨みつけ、改めて語気を強める。

 

「わ、私は正義実現委員会のエリートだし! 私の方が年下だからって、あんた達を先輩だなんて呼ぶつもりはないから!」

 

 そう宣言しながら、彼女は両手で机を軽く叩いた。

 

 そもそも、この場にいるメンバー――露出狂の変態(ハナコ)、ガスマスクの校則違反者(アズサ)、そして顔がイッてる鳥だかペンギンだか分からない謎のマスコット(エリザベス)――と、同じ括りにされること自体が我慢ならなかった。

 

 私は違う。ここにいる連中とは違う。

 

 そう自分に言い聞かせ、叫ぶ。

 

「それにそもそも、こんな部活さっさと抜けてやるんだからっ! あんまり馴れ馴れしくしないで貰える!?」

 

 すると、銀時が呆れたように頬杖をつきながらぼそっと言った。

 

「と、言ってるけどお前――」

 

 彼はゆっくりとコハルの方を見やり、肩をすくめる。

 

「唯一、普通に補習授業の生徒になったバカだろ?」

 

 ズバァン!!

 

 見事なまでの痛恨の一撃がコハルの心に突き刺さる。

 

「そ、それは……!」

 

 動揺する彼女の言葉を遮るように言葉を続けた。

 

「そう! 私が試験に落ちたのは、あくまで……あくまで! 飛び級のために、一つ上の二年生用のテストを受けたせいだからっ!」

 

 彼の口調には若干の茶化しが混ざっているが、事実は事実である。

 

 しかし、それを聞いていたアズサは、興味なさげに一言。

 

「飛び級の試験を受けて、落ちたのか」

 

 コハルは歯を食いしばりながら拳を握る。

 

「そ、そうよ! それに、一回じゃないわ! 何度も言うけど、私は三回、二年生用の試験に挑戦したの!」

 

 そこで銀時が、思い切り溜息をついた。

 

「いや、やっぱバカだろお前。バカだろ?」

 

 コハルがぎょっとして顔を上げるが、銀時は淡々と続ける。

 

「なんで一度ならず二度も落第してんのに、最後までそれを受け続けたんだよ」

 

 コハルはギクリとする。銀時はさらに肩をすくめながら言い放つ。

 

「やっぱ頭が――」

 

「うぐっ……う、うるさいうるさい!」

 

 コハルは顔を真っ赤にして地団駄を踏む。そして、怒りの矛先をハナコに向けた。

 

 そのまま、睨みつけるように叫ぶ。

 

「つまり私は、今まで本当の力を隠してたってこと!」

 

 ドン!!

 

 彼女の言葉と同時に、補習授業部の教室に響く謎の効果音。

 

 しかし、コハルの威勢の良い宣言にも関わらず、ハナコは穏やかな笑みを崩さず、ふんわりとした声で問いかけた。

 

「あら? ではつまり、わざと落第していたと?」

 

「そ、そうよ! もし本気を出していれば、こんな補習授業なんか受ける必要もなかったんだから!」

 

 そう言い切った瞬間、教室の空気が一瞬静まり返る。

 

 そして――

 

 銀時、アズサ、ヒフミ、桂、エリザベスが、無言で彼女を見つめた。

 

 全員の視線が、まるで「こいつ何言ってんだ……?」とでも言いたげな色を帯びる。

 

「……?」

 

 違和感に気づいたコハルは、一歩後ずさる。

 

「な、何よ……?」

 

 すると、アズサが冷静なトーンで告げた。

 

「つまり、お前は本気を出さずに落ちた、ということか?」

 

「ち、違う! それは……その……!」

 

「本気を出していれば受かっていた、はずだったのに?」

 

「う……」

 

「それで、結果は?」

 

「…………落ちた……」

 

「ふむ」

 

 アズサは、まるで実験結果を確認するかのように頷いた。

 

 「それ、普通に学力が足りてなかっただけでは?」

 

 コハル「!!!」

 

 ぐはぁっ……!!!

 

 彼女の中の何かが砕け散った。

 

 ハナコはその様子を見て、くすくすと笑いながら言う。

 

「まぁまぁ、コハルちゃん。これから皆で勉強すれば良いんですよ。ね?」

 

 優雅な微笑みと共に、彼女はそっと手を差し伸べる。

 

 コハルは真っ赤な顔のまま、それを睨みつけ――

 

 勢いよく振り払った。

 

「うるさいうるさいうるさい!! もういい!!」

 

 そう叫ぶと、彼女はぷいっと背を向け、腕を組む。

 

 それを見て、銀時はニヤリと笑いながら肩をすくめた。

 

「ま、何だかんだ言っても……結局は補習受けるしかねーんだから、諦めて勉強しろよ、おバカさん。」

 

「う、うるさぁぁぁぁい!!!」

 

 コハルの叫びが教室に響いたかと思うと、そのまま彼女は勢いよく部屋を飛び出していった。

 

 教室の扉がバタンと音を立てて閉まり、静寂が訪れる。

 

 残されたヒフミは、「あぅぅぅ……」としょげるように肩を落とし、そっと椅子に座り込んだ。その様子を見て、エリザベスが静かに近づき、札を掲げる。

 

『ドンマイペロ』

 

 慰めるようにポンポンとヒフミの肩を叩くエリザベス。ヒフミは「ありがとうござります…」と小さく呟くが、その表情にはまだどこか不安が滲んでいた。

 

 そんな空気の中、ハナコがふと微笑みながら口を開いた。

 

「カッツーラさん、銀ちゃん。コハルちゃんを嫌いにならないであげてください。ほんとは……」

 

 その言葉に、銀時は軽く鼻を鳴らして答える。

 

「嫌いになんてならねぇよ。」

 

 桂も腕を組みながら静かに頷く。

 

「おそらくコハル殿は自分のプライドの高さで生きているのだろう。」

 

 そして、ゆっくりと言葉を続ける。

 

「そういう者は、それが傷つけられた時、どうしても誰かに当たることでしか自分を保つことができない。」

 

 銀時は苦笑しながら肩をすくめた。

 

「詰まるところ、他人に頼るってことを知らねぇんだよ。」

 

 それに対して、桂も再び頷く。

 

「だが、そういう問題児でも見捨てないのが――」

 

 二人は同時に、ふっと笑いながら言葉を揃えた。

 

「先生ってもんだろうが(ものだろう)。」

 

 ハナコはその言葉に小さく目を瞬かせ、それから、ゆるりと笑みを浮かべる。

 

「あら。」

 

 その場の空気が少し和らいだところで、エリザベスがまた新たな札を掲げた。

 

『ひと段落ついたなら授業を始めようペロ』

 

『ヒフミ、号令をお願いするペロ』

 

 その言葉に、ヒフミはびくっと肩を震わせた。

 

「わ、私ですかっ!?」

 

 彼女が戸惑うのを見て、銀時は面倒くさそうに手をひらひらと振る。

 

「ったりめーだろ。部長はお前なんだからな。 つーことで号令をどうぞ。」

 

 アズサも無表情ながら、小さく頷いた。

 

「よろしく頼む。」

 

 ハナコは相変わらず楽しげな笑みを浮かべながら、手を頬に添えた。

 

「フフフッ、これから楽しみですね❤️」

 

 そんな周囲の視線を一身に浴びながら、ヒフミはテンパりながらも、意を決して立ち上がる。

 

 そして、大きく息を吸い込んで――

 

「そ、それでは……! 補習授業部、第一回レクリエーションを開始します!」

 

 こうして、補習授業部と銀時たちの物語が正式に幕を開けたのだった。

 

 




エリザベスとペロロ

エリザベス『やぁ』

ペロロ「……………」

エリザベス『……………』

ペロロ「………………」

「………………」

銀時「何この空間………」

〜透魂〜第一回キャラクター人気投票

  • 銀時
  • 新八
  • 神楽
  • 沖田
  • 土方
  • 山崎
  • 高杉
  • 定春
  • エリザベス
  • ホシノ
  • シロコ
  • ヒナ
  • アコ
  • ミカ
  • ナギサ
  • セイア
  • ユウカ
  • ノア
  • 近藤
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