透き通る世界を照らす銀魂(ぎんのたましい) 作:時代に遅れている
ゲームなどでも構いません。
「……信じられない。いや、予想なんてつくはずないじゃないか……だって、だってーー」
「誰があんな口からかめはめ波出す白い化け物がいるって想像つくよ!?」
風紀委員の一人は、震える手で銃を握りしめ、壊れた蓄音機のように同じ言葉を繰り返していた。視界の先では、先ほどまで整然と進軍していた一個中隊が、正体不明のエネルギー砲によって「もぐら叩き」のモグラのようにボコボコにされている。
『――ね、ねぇ! いま! エネルギー砲で砲弾を全弾撃墜されたんだけど!? 迎撃システムとか積んでるのあの白いナニカ!?』
『こっちにもさっきから飛んでき――きゃぁ!? ちょっと! 逃げ道に正確に置いてかないで!ーこれ完全に『ボンバーマン』のハメ技ー!』
『イオリ先輩! 指示を――びぎゃぁぁ!?』
阿鼻叫喚の通信が混線し、ゲヘナの誇る風紀委員会の威厳は、今や砂漠の砂より軽く吹き飛んでいた。
「―――なんで、こんなことに。私たちはただ、不法占拠してる便利屋をちょっとお仕置きしに来ただけなのに」
「だから言ったんですよ……撤退しましょうって。アビドスにはおそらく「あの人」がいる。なのにイオリが勝手に推し進めるからーー」
「なっ、仕方ないだろ!私だってアコちゃんに頼まれただけでーー」
予想通りとため息をついたチナツの言葉は、もはや正論を通り越して預言者のそれだった。風紀委員の精鋭たちが、一発の銃弾も届かぬまま、空から降るエネルギーの雨に打たれて「ひでぶっ!」と弾け飛んでいく。
ドォォン!!
ドォォン!!
ドォォォォォォン!!!
無情にも降り注ぐエネルギー砲。それはもはや攻撃というより、掃除だった。
――――――――――――――――――――――
「ハハハハ!! いいぞエリザベス、次は最大出力だ! さぁ、天誅の華を咲かせてやれ!!」
「桂さん! ちょっとストップ!ストォォォォォップ!! 」
アルが全力の形相で割って入った。
「アル殿、どうしたのだ? 敵はまだ倒れていないぞ」
「いや、確かに倒れていないけど倒れてるから! 相手側のメンタルはもう十分すぎるくらい全壊してるから! もう止めましょう、相手側のライフはもうゼロよ! オーバーキルって言葉知ってる!?」
【何で?】
エリザベスが冷静にプラカードを掲げる。
「いや、だからもう敵の心はブレイクされちゃってるから! 物理より先に精神を破壊(デストロイ)されちゃってるから! ほら見て! すでに地獄絵図みたくなってるわよ!燃えてるトラックが『世界の終わり』みたいな配置で散乱してるわよ!」
「うわー……ホントだ。ゲヘナの風紀委員が、道端のゴミみたいに転がってるね〜」
「あ、ああ、あの、桂さんたちは戦ってもいいんでしょうか……というか、銀ちゃんの助手なんですよね?」
「助手っていうか、類は友を呼ぶっていうか……。とりあえず一度止めましょう? ね? とにかくもう大丈夫だから、立ち直れないくらいの打撃は与えたからそれでよしにしましょう!?ね?」
桂が渋々と頷き、エリザベスも攻撃を止めた。砂煙の向こうから、一人の人影が猛然とこちらへ駆けてくる。
「お前らぁぁぁぁ!! よくも私の部下たちをポテトチップスみたいに粉々にしてくれたなァ!!」
風紀委員の切り込み隊長、銀鏡イオリ。彼女は怒髪天を突く勢いで、愛銃『クラックショット』を乱射しながら突撃してきた。
「わわわわ! 来ちゃいましたよ! 怒れる褐色ツインテールが!怒れる小悪魔が来ましたよぉぉ!!」
「だ、誰だお前は!! 変な白い着ぐるみなんか連れて散々暴れやがって!」
「相手に名を問う前に、まずは貴様が名を名乗れ! 礼儀を知らんのか、この足舐めポニーテール!」
「誰が足舐めポニーテールだ! それはどっかの先生との不本意なアクシデントだろ! 私はゲヘナ学園二年、銀鏡イオリだ!」
「いいだろう! 俺は桂小太郎。あだ名はヅラ、口癖は『ヅラじゃない桂だ』、好きな食べ物はそばだ。テストに出るから赤ペンでアンダーラインを引いておくように」
「しらねぇよ、あんたの履歴書なんて!」
【俺はエリザベス! 趣味は看板書きと、たまに実写化】
「しらねぇって言ってるでしょ! 何なのこの一団、新学期の自己紹介カードでも読み上げてるの!? いちいち豆知識的なポイントいれなくていいから! 誰もアンタらのワンポイントアドバイスに興味ないから!!」
イオリが鋭いツッコミを入れ終わると同時に銃を構え直そうとした瞬間、エリザベスの白い手が音もなく伸びた。
ガシッ。
「なっ……! 放せ!」
エリザベスはその銃をひょいと取り上げた。まるで子供からおもちゃを没収する親のような手際である。
「か、返せ! 私の武器だぞ!」
【ヤダ、これ危ないから没収】
「かえせぇぇぇ〜〜! この、白饅頭ゥゥゥ!!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて銃を取り返そうとするイオリ。その姿は、切り込み隊長というよりは、高いところにあるお菓子に手が届かない幼稚園児のそれだった。エリザベスは渋い顔(無表情)でプラカードを掲げる。
【だが断る】
「遊ばれてるゥゥゥ!あの切り込み隊長が完全に遊ばれてるゥゥゥ……」
「遊ばれてない! ――この、ナメやがって!!」
イオリが怒りに任せ、エリザベスの腹に向かって渾身の蹴りを放つ!
その瞬間――エリザベスの腹部がバキバキと音を立て、鉄よりも硬い「鋼の腹筋」に変貌した。
ゴキッッ!!
「イ"ッッッッダァァァァァ!!!?」
夜の闇に響き渡る、生々しい骨の音。イオリは己の蹴った感触に絶叫し、足を押さえながら砂の上をのたうち回った。
(イッタァァァ!!完全にイッタよアレ!今明らかになってはいけない音なったよ!)
(間違いないよねアレ、しっかり『ポッキリ』と骨ヤッタ時の音なったよね!?)
そこへ、ボロボロになった風紀委員の残党と、事態を聞きつけたアビドスの生徒たちが合流した。
「……なにこの状況。ゲヘナの精鋭たちが、一匹の怪鳥に『わからせ』られてるんだけど」
「ん……でも、なんか」
『……泣いてませんか? ゲヘナの皆さん』
風紀委員たちは、半泣きで銃をエリザベスに向けていた。
「イオリ……見せてください」
「チナツ……あいつおかしい! 絶対おかしい! ヒナ委員長と同じくらい、いや、別の意味で頭おかしい!! 銃は取られるし、腹筋は鋼鉄だし、もう嫌だこの職場! 給料とリスクが全然合ってない! もう家に帰りたい!!家に帰って花◯香菜の出てるアニメぶっ通しで観るんだ!」
「はいよしよ〜し。怖すぎてもう中の人が飛び出ちゃってますよイオリ、仕方ありませんね後でアコ行政官に報告しましょうね〜」
火宮チナツが、折れたイオリの心(と足)を手際よく処置していく。
「ちょっと! なんでゲヘナがアビドスに攻撃仕掛けて来てるのよ!」
セリカが怒鳴るが、チナツは冷静に返した。
「……そこにいる便利屋を渡していただければ、即座に撤退します。……と言いたいところですが、今の被害状況を考えると、はいそうですかと終わらせることはできませんね」
「……あっちの被害は、全部エリザベスさんがやりました」
「エリザベスが?」
桂が金棒(どこから出した)を肩に担ぎ、ドヤ顔で頷く。
「うう……抵抗するなら、お前たちも敵とみなす!というか、もうお前ら敵だから!アレだけのことしでかしたんだからもうお前ら敵だからな!!」
イオリが強がったその時、煙の中から死んだ魚のような目をした男がヌッと現れた。
「ギャーギャーギャーギャー、やかましいんだよ。発情期ですか、コノヤロー。近所迷惑って言葉を知らねーのか」
「銀ちゃん!」
「せっかくの昼寝が台無しだ。ただの生活指導じゃ済まねーぞ。クソガキども……まとめてケツの穴から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わしてやろうか」
銀時がマジギレのオーラを放ち始めたその瞬間、チナツの通信端末からホログラムが投影された。
『チナツ、状況を報告しなさい。……あら、その銀髪は……』
「あ、アコ行政官! これは…その――」
ホログラムに現れたのは、ゲヘナ風紀委員会のNo.2、天雨アコ。彼女の冷静な瞳が、キレ散らかしている銀時と、満足げな桂、そして無表情なエリザベスを捉えた。
「アコちゃん!!」
『誰がアコちゃんですか…どうしたんです?そんな泣きそうな顔になって、私が少し離れている間に何かトラブルでも?』
「端役じゃない! 怪物だよ!! 襲撃しろって命令があったからやってみれば、何だよアレ! 白い化け物に返り討ちされてボロボロだよ! ドラゴンボールで言うところの、意気揚々と戦いに挑んだベジータが、全然力足りなくてフリーザに蹂躙されたような気分だよ!!」
『……? 何を言っているのですか? 例えが全然例えになってないし、作品が混ざってますよ。』
「とにかくあったんだよ信じられないんだろうけど!!」
ゲヘナの大部隊が、砂塵の舞うアビドス自治区を包囲していた。
天雨アコが描いたシナリオは完璧だった。職権を乱用し、不法占拠者を捕らえるという大義名分を掲げ、その裏でアビドスの「先生」を確保する。条約締結を控えた今のキヴォトスにおいて、あまりにも不確定な「シャーレ」という変数を自らの手中に収めておくことは、彼女にとって至極合理的な判断であった。
しかし、彼女は知らなかった。自分が少し目を離している間に、誇り高き風紀委員の精鋭たちが、一匹の「白いUMA」によって精神の臨界点まで追い詰められていたことを。
ホログラムの中で、アコは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、優雅に言葉を紡ぐ。
『さて、アビドス対策委員会の皆様。用件は簡潔に。校則違反者である便利屋68を我々に引き渡しなさい。協力いただけるのであれば、これ以上の戦闘行為は行わないと約束しましょう』
『……他学園の自治区での戦闘は明確な違法です。それに、彼女たちは今、私たちの「客人」です。勝手な真似をされては困ります』
アヤネの理路整然とした反論を、アコはフフッと鼻で笑って受け流した。その視線は、初めからアビドスの生徒たちなど見ていない。
『……先生。私の目的は、最初から貴方なんです』
「え、何? 逆ナン? いい趣味してるぜあんた。でも悪いな、俺ァもっとこう、心にイチゴ牛乳くらいの甘さを持った女がタイプなんだわ」
『してません! 誰もあなたのような天パに興味ありませんから!』
アコは不快そうに顔を歪め、咳払いを一つ。
『シャーレの先生……貴方、あまりにも不気味です。条約締結という繊細な時期に現れ、おまけにあの連邦生徒会長と繋がりを持つ。変数が多すぎる貴方を監視し続ける余裕はありません。ならば――我々の手元で飼い慣らした方が「楽」でしょう?』
「何よ、つまり私たちはついでなわけ!? なら何で攻撃なんてしたのよ!」
アルの絶叫に、アコは事務的な冷たさで返す。
『あわよくばそのまま撃退しようかと。合理的、でしょう?』
あまりにも傲慢な独白。アコは職権を盾に、アビドスを戦場に変え、先生を拉致しようと画策していたのだ。
『さて、先生。私の話が……って、え!?』
アコの瞳が驚愕に見開かれた。いつの間にか、ホログラムの背後に、死んだ魚のような目をした男が音もなく回り込んでいたのだ。
「あぁ? わりぃな。話長くて、半分以上聞いてなかったわ。校長先生の朝礼かと思ったぜ」
『き、聞いてなかった? 貴方、先生ですよね!? 何で生徒の話を真面目に聞かな――』
アコがヒステリックに叫ぼうとしたその瞬間。銀時はアコの耳元で、カラスの鳴き声よりも低い、けれど確実なボリュームで囁いた。
「あのさぁ……風紀委員なんですよね? 横乳丸出しですよ、あんた。隠した方がいいですよ。まだ俺しか気づいてないようなんで」
『――――ッ!!?』
(い……いったぁぁぁぁぁ!!? 気になってたこと、核弾頭レベルのストレートで言ったァァァ!!)
アルとイオリの叫びが、心の内でシンクロする。
そう、アコの服装は、風紀を正す者とは思えないほどの大胆な「ヨコチチ」露出。おまけに手枷やカウベルという、もはや何のプレイか問いたくなるような、キヴォトスの倫理観を試すような格好だったのだ。
「何を言っているんだ! それはアコ行政官のアイデンティティだぞ!」
「そうだそうだ! 誇り高きファッションだ!」
ボロボロの風紀委員たちが、プライドを守るために騒ぎ出す。
「え? これが風紀委員のファッションなんですか!? お前ら、気づいてて黙認してたの? 風紀の乱れをセンター街のゴミ箱みたいに放置してたんですか!?」
「黙認してねぇよ!! ヨコチチを出すのが、アコ行政官の『正装』なんだよォ!!」
「正装って、え? まさか自分でそこだけハサミで切り取ったんですか? 何でそこまでして曝け出す必要があるんですかねぇ。もしかして自慢? 『私の横乳は、お前らの貧相な体つきより価値がある』っていう、貧相な体つきのモブに向けた無言のメッセージなんですか? 」
「ねぇ、何で?何でヨコチチ曝け出してんですか?僕の質問に答えてくださいよ。」
「おいやめないか!それ以上はそっとしておいてやれ!これ以上行政官を刺激するな!」
銀時の、純粋な疑問を装った精神攻撃がアコを抉る。
『―――べ……別に〜!? 可愛いとか、大人らしいとか、そんな邪なこと思ってないですし!? こんな格好、私だって、私だって本当はいやですしぃぃ!!?』
パッ!!
ホログラムの向こうで、アコがパニックになりながら上着を羽織り、鉄壁のガードでその身を隠した。
「アコちゃんんんん!? 照れちゃってるよ! 威厳がそのままドブ川に捨てられちゃったよ!!」
イオリが絶望の叫びを上げる。
『……とにかく!! 先生には黙ってこちらへ来てもらいます。抵抗するなら、武力行使あるのみです!』
上着を握りしめ、顔を真っ赤にしたアコが最後通告を突きつける。しかし、背後のイオリやチナツ、そして満身創痍のモブたちは一斉に首を横に振った。
「嫌だ! この人たちとは、もう戦いたくない!!」
「UMAはもう勘弁だ!!」
「反対! 絶対反対!!」
『な、何を言っているんですか! 命令ですよ! ヘイローも持たないただの人間に、何をそこまで怯えているんですか!』
「アコ行政官は知らないんだよ……あの白髪の男が、どれだけ理不尽で、どれだけ情緒がバグった化け物なのかを……!」
アコは「何を言っているんだか……」と呆れ果て、温存していた第二陣――精鋭五百名に対して、非情な号令を下した。
アコは通信越しに、後方に控えていた風紀委員の増援部隊――その数およそ500人に、冷徹なまでの「合理的判断」を突きつけました。
『……いいですか、皆さんはゲヘナの誇る風紀委員です。あのような、どこぞの教育委員会に突き出されたら即日解雇されそうな不潔な銀髪一人に、怯える必要などありません。数で圧倒し、先生を速やかに確保しなさい。……抵抗するなら、少々手荒にいっても構いません』
「オイィィィィィ!! 聞こえてるからね!? 本人の目の前でマッハで不名誉な解剖してんじゃねーよ! しかも『手荒に』ってなんだよ! 俺のガラスのハートが粉砕骨折したらどうしてくれんだよ!」
銀時が激しいツッコミを入れますが、アコはフンと鼻で笑い、画面の向こうで優雅に(厚手のコートを羽織った状態で)お茶をすすります。
『安心してください。貴方を確保した後は、ゲヘナの特別室でたっぷりと「更生」さしていただきますから。……さあ、突撃なさい!』
イオリたち、対策委員会、便利屋の全員があーあって顔をしている。
アコの号令とともに、500人の風紀委員が一斉に銃を構え、アビドスの校庭へと雪崩れ込もうとした、その時。
「待て」
静かな、だが腹の底に響くような声が、砂塵の舞う校庭に響き渡りました。
声の主は、桂小太郎。
「アコ行政官と言ったか。貴殿は大きな間違いを犯している」
『……間違い?』
「いかにも。銀時を連れて行くというのなら、まずはこの俺……ブラックマーケットの特攻隊長にして、エリザベス親衛隊名誉総裁の桂小太郎を倒してからにしてもらおうか」
【あと俺も】
エリザベスが「やる気満々」と書かれたプラカードを掲げ、口の砲身からまたパチパチと火花を散らし始めました。
『……な、何なんですかなんですかその白い塊は! イオリ、さっさとそれを排除しなさい!』
「無理だよアコちゃん! さっき言ったでしょ、あいつの腹筋に私の脛が負けたんだよ! 物理法則が仕事してないんだよあいつら!」
戦場が再び混乱に包まれようとしたその瞬間、銀時が一歩前に出ました。その背中には、いつもの気だるげな空気とは違う、どこか「戦士」の冷たさが宿っています。
「おい、ヨコチチ行政官。……お前さ、もう一つ大事なこと忘れてるぜ」
『……何です?(イラッ)』
「俺を捕まえるのに500人? ……ハッ、舐められたもんだな。俺を本気で捕まえたいならな……」
銀時は木刀を無造作に肩に担ぎ、死んだ魚のような目をギラリと光らせました。
「ジャンプの連載を10年分持ってこい。あと、いちご牛乳一年持ってから出直してきな」
「かっこいいこと言ってるようで、中身がただのクズだよ!いい年した大人が要求する内容じゃないよ銀ちゃん!」
セリカのツッコミが炸裂する中、銀時は木刀を無造作に肩へ担ぎ直し、その死んだ魚のような目に、一筋の鋭利な光を宿した。
「……あのアホみたいに長い話をする行政官殿に、本当の『自由』ってやつを教えてやろうぜ。……教育の時間だ」
『……くっ! 総員、攻撃開始! 教育が必要なのはそちらの方です!!』
アコの悲鳴のような号令が響き渡る。それを合図に、銀時はニヤリと口角を吊り上げ、五百の銃口を真っ向から見据えた。
「さぁさぁ皆さんご覧ください! これより三人の侍による、五百人の風紀委員の『大掃除』を行います! 特別ルールは……大将戦だ。俺を討ち取ればお前らの勝ち。……もっとも、その前に全員叩き潰されるだろうけどな」
「「「かかってこいよ!!」」」
挑発に火がついた風紀委員たちが、怒号とともに一斉に引き金を引いた。
「ようこそ! 侍の戦場へ!!」
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【白い悪魔:エリザベス】
フンッフンッフンッフンッ!!
鼻息も荒く(鼻があるのかは不明だが)、エリザベスは戦場を蹂躙していた。
右手の金棒が唸りを上げ、フルスイング一閃で数人の風紀委員を空の彼方へとホームランし、左手のプラカードを物理的な盾、あるいは鈍器として使い分け、襲い来る弾丸を弾き飛ばしながら敵を沈めていく。
その無慈悲なまでの「白」の暴力に、風紀委員たちは恐怖を込めてこう呼んだ。
――「白い悪魔」と。
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【狂乱の貴公子:桂小太郎】
「ハハハハ! 遅い! それでよく学園の風紀を守ってこれたものだな!」
桂は高笑いしながら、懐から際限なく取り出される球状爆弾を、全方位へと正確に投擲し続けた。
爆炎が夜の砂漠を赤く染め上げる。やがて爆弾の雨が止み、弾切れと踏んだ風紀委員たちが一斉に抜刀して襲いかかるが――。
「うわぁぁぁあああ!!」
「残念だったな。……侍の真の武器は、刀だ!」
銀光が走り、桂の抜き放った一閃が敵を薙ぎ払う。爆弾魔の皮を剥いだその下には、紛れもない剣鬼の姿があった。
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【万事屋、シャーレ:坂田銀時】
「何なのあの人!? 私たちの射撃が、かすりもしないなんて!!」
叫ぶ風紀委員に対し、銀時は影のようにその懐へ潜り込んだ。
「当たってないわけじゃねぇ。おめぇらが『撃ててねぇ』んだよ!」
ブゥン!! ガシャーーーン!!
「一つ教えてやらぁ。近接が得意な奴が、銃を持った奴に勝つ方法……それは、撃たれる前に敵を撃(う)つことだってなァ!!」
木刀「洞爺湖」が風を切るたび、銃身はひしゃげ、鋼のヘルメットが凹み、少女たちはなす術もなく砂の上に伏していく。
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【観覧者たちの戦慄】
五百もの精鋭部隊が、まるで刈り取られる稲穂のようにバッタバッタと倒されていく様を見て、アコのホログラムは激しくノイズを走らせた。
《vib:1》『な――ななななななななっ!?!?!?』
「だ、だから言ったんだ……あいつらは普通じゃないって」
イオリがガタガタと震えながら、もはや乾いた笑いを漏らす。
『まさか、五百人の風紀委員をあんなに簡単に……』
アコが絶望に染まる中、戦場に残されたのは、一台の無骨な主力戦車のみとなった。銀時はその砲塔を拳でトントンと叩く。
「おい、中にいる奴出てこい。この戦車ごと、まとめてかっ飛ばすからよ」
その一言に、戦車兵たちは一目散にハッチを開けて逃げ出していった。邪魔者はいなくなった。
「よし! これで邪魔はいねぇな! おい、ヨコチチ・ハミデヤン!」
銀時がホログラムに向けて木刀を突きつける。
「その目にしかと焼き付けな、俺たち侍の……」
【恐ろしさってやつをな!!】
エリザベスのプラカードとシンクロするように、銀時と桂が「突きの構え」を、エリザベスは大砲をチャージし始める。
ズガァァァァァァァン!!!
空気を引き裂くような轟音と爆風が吹き荒れ、砂漠の地平線を一変させた。
『―――――――』
ホログラム越しに映るアコは、もはや言葉を失っていた。白目を剥き、口はあんぐりと開いたまま。その身体から全ての力が抜け、膝から崩れ落ちる。
「あ、アコ行政官が……完全に『あしたのジョー』の最後みたいになってる!」
「完全に体から色素が抜け落ちちゃってるよ!」
『燃え尽きました……真っ白にね』
「断言しちゃったよ!自分の口で燃え尽きたって断言しちゃったよ!!」
ゲヘナの風紀委員たちは、もはや戦う意志など塵一つ残っておらず、武器を落としてその場にへたり込んだ。アビドスの生徒も便利屋も、あまりの光景に顔のパーツが点になるほど驚愕していた。
「さっき、俺を確保しておくとか、飼い慣らすとかほざいてたが……」
銀時はゆらりとホログラムに近づき、その「死んだ魚の目」をアップで映し出した。
「俺たちの『魂』は、飼うことなんざ誰にも出来やしねぇんだよ」
アコの顔がみるみるうちに青ざめていく。もしこの「化け物」が今すぐゲヘナの本校へ来たら、自分は確実に「奥歯ガタガタ」にされる――。そう言い訳を必死に探そうとした、その時だった。
「……なに、これ。なに? なんでみんな倒れてるの? なんで瓦礫が、砂になってるの?」
その声が響いた瞬間、空気が凍りついた。
「――嘘でしょ? な、なんでここに……風紀委員長が!?」
「委員長……。じゃあ、こいつらのトップ?」
シロコの声に、一人の少女がゆっくりと歩み寄る。
ホシノと似た小柄な体躯。しかし、それを覆い隠すほどに長く、ふわふわともこもこした銀髪。そして、これまでのどんな生徒よりも巨大な――まるで王冠のように神聖で禍々しいヘイロー。
ゲヘナ最強の守護者、『空崎ヒナ』が、静寂に包まれた戦場へと姿を現した。
「……アコ、説明して」
『ひ……ヒナ委員長……』
アコの震える声が、最悪の「第二ラウンド」の始まりを告げていた。
次回
ヒナ「これはどう言うこと?」
アコ「こ、これはその」
銀時「ヒナって言ったか?このヨコチチハミデヤンが俺を逆ナンしようと兵を動かしたからなんですよ!」
ヒナ「アーコー!」
次回嵐は過ぎた後が大変だ!
〜透魂〜第一回キャラクター人気投票
-
銀時
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新八
-
神楽
-
沖田
-
土方
-
山崎
-
高杉
-
桂
-
定春
-
エリザベス
-
ホシノ
-
シロコ
-
ヒナ
-
アコ
-
ミカ
-
ナギサ
-
セイア
-
ユウカ
-
ノア
-
近藤