「師匠を探さねえとならねえ・・・・」
非常時になって、改めて無様に本になった事に気落ちするポップだが、アバンが力を振り絞りながら告げた事を実行するしかないとした。
時間が凍ってしまったアバンは留守中のマリンに代わり国の守りを固めていたアポロが事情を聞いたので地下にでも安置するしか無いとして運んだ。嘗てハドラーと共に凍れる時間の秘宝により時間が凍った時にアバンの実家であるジニュアール家でそうしていたように。
本になったポップは持っているメルルの身体を介してベホマをレオナにかけた。声帯のダメージは癒えたが、やはり声は戻らないし書いた文字が全て聞いてしまうので伝達手段を講じなければならない。
「師匠を・・・・俺、は」
マァムはポップの本を手に取って開いた後に強めに閉じた。衝撃があったようで何事かとマァムを見つめるポップに告げる。
「気にしないでポップ、ヒドい言い方だけど私は貴方がこうなって安全だと思うのよ」
「な、何でだよ?」
「レオナと先生に起きた事は真相を調べるしかない、先生がああなる前に言った通りにするならマトリフおじさんのとこに行く。その為には今はどこにいるかわからないおじさんを探してアバン先生が凍る前に【彼の故郷】と言っていた事について相談するしかない」
「そ、そりゃそうだけど。シャトー本人もだけど、天界や魔界が何かしてるとして・・・・そのせいで先生と姫さんがああなっちまったとした場合【それよ】・・・・へ?」
「シャトーが何をするか、シャトー以外の実力者が魔界や天界から来ているとしたら、次は貴方を真っ先に狙うか警戒すると思うのよ、だから今の状態はかえって好都合ね。無力化してると間違えられるかもしれない。シャトーの言葉を応用したら前の戦いでバーンがアバン先生やバランが驚異から外れたと思ってた時のように」
一理あるが、一部が何処かで聞いた物言いだとレオナは既視感がした後に納得し始めた。
「バーンとの戦いで私達が真っ先に瞳にされた時とはかなり違うけどね、残酷だけど謎を幾つか最低でも一つでも良いから解明するまでは貴方がこうなっていた方が安全と思うの」
やはりとすべき言い分、この場ではマァムが一番クールであった。かなり強引で賛否ある形に変換しているが、マァムなりに思考を働かせようとしているのはわかる。今はシャトーと友人になれたのが本当だと信じるかどうか迄を含め、マァムが上手く立ち回れるか否かに掛かっているのだ。
(ぬ、抜けてるとこだらけかもで強引過ぎるのはわかるわ、だけど私は何か悪い予感がするのよ・・・・強さ関係無しにシャトーを敵にしたら良い方向に行く気がしないの・・・・)
そして、アバンを地下に安置し終えたアポロからも提案があった。
「姫様、デルムリン島に事態を伝えましょう。ルーラが使えなくなった事態の相談だけでも、彼処にいるクロコダイン殿とヒム殿に【例の調査】を中断して来てもらう理由になります。案外、もう動き出しているかもしれませんが、調査に集中している可能性があります」
アポロの案にレオナが頷いて全員が賛成した。以前、レオナが洗礼を受けた場の調査は関係者だけの秘密だが、マァムだけが安定して戦える戦力では心許ないのだ。マリンがまだ帰らないのはルーラが使えなくなって戸惑っているのだろうとしつつ有るだけの手を打ち始める。
そして、次なる当面の為にメルルは以前にダイの武器を探す為にランカークスを目的地に導き出した占いを行う事にした。ルーラが使えなくなった今、すれ違いや入れ違いは厳禁故に。
【古代占布術】
台の上に敷いた布に小さな炎を落とすものだが、一度的中した故の方法に頼る。母であるレイラを頼るのも考えたが、ルーラが使えないい状況ではマトリフかシャトーを頼るしかないとして双方に縁があるのと万全な状態を考慮してマァムが炎を落とす役になった。
「では、マァムさん。マトリフさんとシャトーさん関連を思い浮かべながら・・・・どうぞ!」
落とした火が布の上で文字を型どりながら燃える。出た言葉にメルルは身体を震わせた。
「・・・・そ、そんな」
「ど、どうしたのメルル?」
「・・・・ドです」
ギクッとした反応を全員がしてしまった。そこはシャトーが現れる前から最大級の難関とされていた。小声になっていたのでメルルは改めて告げた。
「アルキードと出ました」
【アルキード】
知っている。嘗て、突如陸地毎消滅した国として世界で語り草になっていた国にして?
【ダイの母親の祖国】
今、地上を救った勇者の逸話が広まっている中では最も避けたい場であるが、ある意味で答えが出る場として一番相応しかったのかもしれないとマァムは意を決した。
「メルルにポップ、行きましょう!どの道、私達が二人に会わなければならないわ」
「ならば船の準備をさせよう・・・・ところで、マァムさん。君はシャトーさんと友達になったと言ったが、何か彼女の事で気付いた事はあるか?例えば今何をしてそうとかイメージ出来んか?」
注目が集まった。確かに聞かざるを得ないだろう、シャトーがこの状況を仕組んでいるか否かまで少しでも情報を手にしたい。
「シャトーは・・・・本人は無関係だと思う、そもそも口封じしたいのなら姿を見せたりはしていないハズ」
「うむ、それは一理ある。裏があるにしてもやる必要があるかどうか懐疑的なのだ。例えば世界規模の結界について話すのはレオナ姫に遠回しに存在を伝えるのではなく、アバン様に真っ先に会って用件を伝えれば話が速いのではないかと私は考えたのだよ、姫とアバン様の窮状にしてもどう考えてもシャトーさんの仕業とするにはどこかしっくり来ない」
確かにとした。伊達に三賢者の一角ではないので平時では若者達より知力は明らかに上だと示した。パプニカを奪還した直後に起きた一件で大人達に頼る大切さを学んだ件をダイが学んだ件をその場の者が思い出した。
「じゃあ、マァムよ・・・・お前からしたら、シャトーさんが本当にアルキード辺りにいたら何してると思う?」
「そ、そうね・・・・」
思案してみたら、汗を流したが危機感からのではない。マァムは正直に話した。
「どうアルキードに行くかはわからない。今は近くの海岸辺りにいるか、船を探したりしてるとしたら・・・・案外、マトリフおじさんと真っ先に顔を合わせて・・・・マイペースにご飯食べてるかも、そもそもロン・ベルクさんすら何の警戒心持ってなかったからあっと言う間に意気投合してるなんてヲチがあるかもね」
レオナとアポロはまさか・・・・としたが、ポップとメルルは実際に手料理を振る舞われた身なのでどうにも否定できない。マァムも友達になって欲しいと言われただけでなく何処か違うのだ・・・・あの少女にはバーンの娘にあるまじき要素が有り余っていると感じていた。
そして、マァム達が覚悟を決めたその頃。アルキードだった場がその先にある海辺では?
しゃっしゃ・・・・っと、鱗と内臓を取って腹を海水で洗っただけの魚を鍋に放り込む図に外見に似合わず料理もそこそこにこなす巨漢が目を丸くした。
「ま、丸ごと入れちまうんか?」
「はい、ぶつ切りにしといたのや野菜類も入れて、味噌味を思いっきり効かせて・・・・出来ました」
煮上がった物の豊穣な香りに喉と腹を鳴らす者達が食事を開始した。
「は、はふっ・・・・う、うんめえ!こりゃ驚いたぜ!小さい魚ばかりだけど、深い味だ!」
「んぐっ、汁一滴も無駄に残せねえ!おぉ、米で出来た酒に最高かもしれねえ」
「いやね、お酒よりご飯よコレ・・・・炊いといて良かったわ!熱くて、美味しいぃぃ~~っ」
「喜んで頂いて何よりです」
シャトーは、海辺で取った磯の小魚を丁寧に下拵えしてぶつ切りどころか丸ごと予め購入した野菜と一緒にふんだんに鍋で煮て酒と味噌で整えた料理である浜鍋を。
【六名で堪能していた】
「ああ・・・・身体に染みるわい、出汁を飯にかけて食うと年寄りにはたまらん!」
「んっ、確かに!綺麗な嬢ちゃんの手作りにしても料理くらいもっと真面目に覚えといた方が良かったと思ったぜ!何者だかはさておき、金だけじゃなくて飯と旅先の良い知恵までとはありがてえんじゃねえか【まぞっほ】よ?」
メルルの目的であるシャトーとマトリフは勇者ダイとは奇縁である【偽勇者四人組】と一緒にいてマァムの予測通りになっていた。
時間は少し遡る。
「お、おい大丈夫なのかまぞっほの兄弟子さんよ」
実は勇者パーティーとしては正統派たるべき服装で表情に気を付ければそれなりな四人組が歩を進めている。偽などを付けるべきだが?
【勇者でろりん♂】
【戦士へろへろ♂】
【僧侶ずるぼん♀】
【魔法使いまぞっほ♂】
その内、屈強そうな外見のへろへろが担ぐ背負子に座る者こそが、弟子にその座を暗黙の内に譲ったが人間界最強の大魔道士と名乗っていた【マトリフ】である。
まぞっほがマトリフの弟弟子と知って以来は妙な縁となってしまっていて各地を回っていたが、最近は様子がおかしいのだ。例えば、この状況ではせめて背負うのはずるぼんが良いとか言うような性格のハズがそれを言わない、厳格と言える雰囲気すら出ている。
「な、なあ兄者よ・・・・この辺り、コソドロとかやってた頃に来た事があるけど、何て言うか全然違うな・・・・近くに来ると聖なる力と言うか安らぎみたいなのは前もしたが、それが【過剰】になってるぜ」
「おぉ、おめえもその歳で一皮剥けたようだなあ、そうだ。この辺りには【ギュータ】出身か修行した連中ならではな身なら辛うじて感知できる結界がある。しかしおかしいなあ?」
マトリフは戸惑っていた。聖なる結界にしてはムラがある。急造等が理由ではない何かがとしながらアルゴ岬の方に歩を進めていた時。
♪♪~♪♪
引き寄せられるような楽器の音がした。音の発生源に向かう、五名の目に移ったのは浜辺で小型の船の準備や野外調理の整った場で一息付いている少女の姿だった。
「な、何だあのお嬢ちゃん?」
「レオナ姫・・・・じゃねえな」
「あら、レオナ姫を知ると言う事は関係者ですか?」
お互い自己紹介をした。シャトーはマリンの時以来の修行中な魔法使い見習いとして名乗ったが、実は間違いではない。これからの為には魔法使いとして振る舞う必要があるからだ。
でろりん達は、マトリフに修行し直しを受けているパーティーと説明したが正解にはこき使われている集まりである。火事場泥棒をして集めた宝を返還から寄付をさせられたりして以来の縁であるのだ。
「しかし、何をやろうってのよ?この辺りから自作の船で出ようなんて」
「行く必要があるのですよ、私には」
「報酬くれるなら、ボディーガードやってあげたいとこだけどね」
「これでどうですか?」
ずるぼんの台詞に対してシャトーが何気なく出したのは【ドラゴンキラー】だ。強力だが扱い方も使い時も難しいが、売ればかなりの額となる。魔界では諸事情で幾つか保管されていたものの一つだった。
大喜びするでろりん達だが、マトリフはシャトーをじっと見詰めて素直な感想を述べた。
「お嬢ちゃん、只者じゃねえな・・・・知っているのと同じなくらい怖い善人なんて初めてだよ」
妙な言い回しに首をかしげるでろりん達だがシャトーからしたら大層な言い分だ。該当するのはアバンになりかねないのだから。
そして、でろりん達にマトリフはこれから逃げ出すのは勝手な事が起きると忠告しつつ夜を待つ事にした。
ーーーーーーー。
「では、一発行きますか・・・・しっかり掴まって下さいね」
諸事情で夜が都合良いのでと六人で船に乗った。でろりん達が以前にパプニカに向かおうとした船をしっかりかつ大き目にした系統な型。六人乗ってまだ余裕がある船は製法から違うのだが、これからやる事には都合が良い。船の上で両手に集中させた魔法力を片方は浮かせるのに使い、片方は後方に推力代わりに飛ばして一直線に目的地に飛ぶ、説明を受けていたが悲鳴をあげるでろりん達であった。
「この辺りですかね」
ずるぼんにバギでブレーキを掛けてもらいながら着水した船は、今度はへろへろが櫓を漕ぎながら微調整をして止まる。そして今回の必須アイテムを取り出した。
【マーメイドハープ】
何をするのかはこれからわかるとして、シャトーはハープを弾いた。
「き、綺麗な音ね・・・・けど」
魔法力のようなそうでないようや感覚が走って、どこからか出た泡に包まれた船は海底に沈んで行った。
「こ、こりゃスゲえ!まるでおとぎ話のようだぜ!」
「おぉ、そうだ・・・・お、おいどうした。まぞっほ?」
はしゃぐ側なハズのまぞっほの顔色が悪かった。マトリフも何やら神妙だ。
「はあ、こりゃスゲーな【怨念】の溜まり場とかってレベルじゃねえ」
シャトーは、だからこそ都合が良いとしている。これからやる事は、怨念と迄されるレベルでの念が必要なのだ。
「目的地はこの辺りで間違いありません。マトリフさんは最初からで、まぞっほさんにも近くに来たから感じられるようですが・・・・帰りますか?」
「わ、ワシは・・・・残るよ、思い出したよ。若い頃に初めて【仲間を見殺しにした時】を・・・・あの時も、こんな風に渦巻いたものから逃げ出してズルズル行っちまったしな、今更かもしれんが今回は逃げない事にするよ」
でろりん達は感じるものがあった。自分達とて最初から小悪党として生きていたワケではない故に。
「お嬢ちゃん、こいつらはやる気になったようだ。目的を教えな」
「ここはアルキードだった国の残骸が沈んでいる場なんです」
マトリフは知っていたがシャトーから出たのは目を丸くする程に平然とした声色だ。推測した通りで冷徹に振る舞う時のアバンに近いレベルの怖さがあるとした。
「私達は、ここから過去への旅に出ます。勇者ダイの母と父を見に行くのです!」
シャトーから出た純白の光が泡を一瞬で満たした。内部にいた者達を言葉通りの場に運ぶ為に。
アルキードがアバン漫画の先生編ではどう出るかはさておきな内容開始回でした。