「ワケわからないけど、調査の為にね」
マァムは正直やりたいワケでは無い。しかし調査の内として割り切る事にして【ひみこから譲られたすごろくけん】を渡し、高さ1メートル程のスタートの台に上がった。ひみこも地上の情勢には詳しいし本になったポップの存在すら感知して気にしない辺りただ者ではないので警戒はしている。
何故か手の上に現れたサイコロを適当に投げて、出た目の数だけ進む。マス一つが三メートル四方程の大きさだが?
「えっ?」
森の絵が描かれたマスで止まると故郷の村の傍にある魔の森の一角のようになった。初めてダイにポップと出会った場程度の広さであろうかとして唖然とした。
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「何か、妙な空間措置ですねえ」
「魔王軍の罠みたいなのでもねえぜ」
スタート地点辺りから上空にマァムのいる場の映像が出ている。マァムのいる場の上空には何やら【足元を調べますか?】と文字が出ているが?
「ありゃあ、ダイじゃ全部読めなかったかもしれねえ・・・・」
「呑気に語ってますが、キル・・・・キルバーンにダイが難しい文字を読めないってバレて、そこを突かれたらどうする気だったんです。アレはその類いの罠を使えたんですよ?」
「うげっ!あ、アバン先生に感謝だってとこだな、バーンパレスで先生が来てくれた後に片っ端から潰してくれから・・・・」
「お主ら、少々恥ずかしい内容と自覚せぬか。私も身内はいるが、話しに聞いたダイは12であろう、あのレベルが読めんとするのは恥ずかしいと思え」
ひみこの釘刺しにメルルすらも苦笑いを浮かべている。確かに戦闘力以外の弱点を突かれたら何度命を落としていたか今でも冷や汗もの。ポップもザボエラやキルバーンにしてやられた失態がある。
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すごろくを進めるマァムには仲間達の雑談が聞こえるが、シャトーが何やら馴染んでいるのは嬉しいと感じていた。兎に角、足元を調べてみる事にしたが?
「これは・・・・」
【満月草】
玉葱に葉が生えたような見た目をした植物であるが、食べると麻痺が消える。しかし、戦闘中には効率が悪いとしている。玉葱を丸かじりするような事は大人でも経験が無い場合が多いハズだ。
『非効率的ですよね、キアリクを使う方が楽ですが魔法使えない場合だけにしたいです・・・・玉葱は料理において、カレーのように基本になるように使うのが美味ですよ』
『シャトーさん、野営した時にカレー作る気になってますね?』
『いや、ダイがクロコダインのおっさんのヒートブレスでマヒさせられてやられる寸前だった事あるからバカに出来ねえよ』
聞こえる会話で思うが、何やら基礎のおさらいになっている気がするとしながらいつの間にか消えたり現れたりのサイコロの目通りに進むマァムは、岩山の目に入った時。
「・・・・キラーマシーンっ!?」
凄まじい速度とパワーで襲い掛かって来る。聞いた限りの比では無く、マァムは思わず魔甲拳を纏って何とか攻撃を凌いでいた。途中に左腕のビッグボウガンを放たれたが、髪一重で回避をしたが左肩が風圧でバギマ程度のダメージを受ける。
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「何だよアレ、威力もすげえけど機械のハズがノヴァに近い剣の腕じゃねえか?」
「ふむ、魔界にいるレベル寄りなキラーマシーンのようじゃな。このすごろく場では来訪したパーティの平均レベルより下くらいしかモンスターは出ぬハズだが・・・・お主らの中には、あのマァムかどうかは知らぬが、余程に頭抜けた強さのがいるようだのう?」
メルルと、本になったままのポップは目線をシャトーに向けるのを堪えた次の瞬間、マァムは自分達は見たことが無い構えを取っていた。そこを狙ってキラーマシーンが思い切り剣を振りかぶった時、纏った闘気を爆発させていた。
『猛虎破砕拳!』
マァムは父とアバンから聞いたキラーマシーンの弱点である目の部分にカウンター気味に名を叫んだ技を入れたのだ。衝撃が突き抜けて後頭部にヒビが入り、そのまま一瞬だが衝撃波が虎の顔のように象られてキラーマシーンを粉砕した。
「すっ、すげえ・・・・物理攻撃であんなのがあるとは聞いたけど・・・・」
「いや、アレは多用は駄目ですよ。二発目以降は身がもちません、乱発するとヒュンケルのようになります。つまり、マァムさんは序盤で身体の限界に近付く技をやってしまったんです」
ヒュンケルの名を出されてポップは畏怖しつつも浮かれた気分が吹き飛んだ。知ってておかしくない事で、オリハルコン戦士を素手で砕き続けたヒュンケルは戦士として再起不能とされるダメージを負った。マァムがそうなってはと思って不安になるが、次のマスは?
『タンス?』
何故か調べてみるか表示が出た。開けてみると【すごろくけん】が出て、お得なようで複雑である。ポップ達はリタイアを進めたくなっていたが?
『ようこそ、ここは【よろず屋】じゃよ』
店の絵が出た場で、老人が開いていたよろず屋に着いた。何事かとして、店内を見た時である。
「マァム、その杖を!杖を買って下さい」
「え?・・・・わ、わかったわ」
シャトーに促されて購入した。今の自分達には高値だったが、それだけの価値があるのだろうとした次の目は?
『えっ?きゃあああっ!』
【落とし穴】
古典的なトラップだが、薄々感じていたように正統派のダンジョンに潜った経験が浅いマァムは不意を突かれ、見ていた側も虚を突かれていた。
「ま、マァム!どこに落ちたんだ!?」
「地下に落ちたハズ。階段は向こうじゃ!」
弾かれたように駆け出したシャトーは真っ先にマァムを発見したが、地下室に虚を突かれた形に落ちたので、足をくじく形で着地をしてしまったと見て【ベホイミ】を使用した。
「あ、ありがとう。でも凄いわ。回復魔法まで使えるなんて・・・・」
「まあ、それなりに・・・・少し安静にしてて下さいね」
「ええ、そう言えばこの杖がどうしたの?」
「ある効果のある杖ですよ、少し不備があるようですが手入れすば使えますね。マァム、先ほどのすごろくけんを頂けますか、次は私がやってみます」
そう言って、元の階にあがるシャトーをひみこは驚愕の目で見ていた。マァムに施した回復呪文から感じた気が決め手だった。
(馬鹿な、あの娘・・・・半分は魔族だが、もう半分は・・・・)
シャトーすら見抜かれたと思わない感知能力を持つ存在がいたのは各界の誤算であった。そして、シャトーがすごろくをやり始めて残りの回数が半分になった時。
「・・・・【?】のマークですか、何やら。次は自分の望む目の数進めるようですね、見たことが無い【泉】みたいのがあるから、それにしますか」
【旅の扉】
この世界では古文書すら無いが、これは特定の場に移動できる泉である。そして、マァムではなくシャトーがそのマスに入った事で事態は急転した。何やら観客とすべき側から見ても周囲が揺らいで移動した先。
「熱っ、魔界とは違いますが。ここ火山か何かの洞窟じゃないですか・・・・周りは、マグマの海で・・・・あの祭壇はっ?」
近付いて見ると、周囲には人骨が散らばっていた。しかも焼き殺されたりして残ったものではないとした時。
「ホォ・・・・コタビの【生け贄】ハ、これ迄に喰うタ女子以上の・・・・極上の贄のようじゃ!」
静かに背後から近付いた物体は、巨体な胴体から複数の首を生やした巨大な龍種であった。ヒドラに似ているが、それとまるで違う妖気を纏っている。
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「なっ、何なのアレ。只の龍種じゃないわ!」
「あ、ああ・・・・っ」
「お、おいメルル・・・・しっかりしろ!あのヒドラみてえのがどうしたよ?」
「・・・・やまたのおろち」
ひみこが先程迄とは一変した気を纏って重々しく口を開いた。
「嘗て、わらわが治めていた国において度々生け贄として捧げた娘を喰らっていた化け物、原因不明な歪みの中で奴のいた場に繋がったようじゃのう、何故かわからぬが知るのより、遥かに強力じゃ」
「知ってんのか、なら能力とか詳しく教えてくれよ。俺から見てシャトーさんでも危ねえかもしれない!」
「はははは、それは駄目じゃ・・・・何故なら、あやつは、このわらわなのじゃからな」
聞き捨てならない発言。映像の中では現在に地上にいる者の中で最強の存在であるシャトーが初めての強敵と向き合っていた。
おさらいやアクシデントの後は、ドラクエでの中ボスと言ったらこれな魔物。