ドラゴンクエスト 継承者の冒険   作:くまたいよう

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 シャトーの名前は飲酒シーン多目なバーンが一因でシャトー・デュケムってワインから取ってます。


シャトーの確信

「疑う迄も無いわね・・・・」

 

 パプニカ王女レオナはテムジン達は後回しにして、ダイの捜索から一時帰還してたポップにマァムにメルルを会議室に呼び出して再度マリンが持ち帰った物を確認していた。ダイの次に大魔王と交戦した時間が長いポップが特に言葉に窮していた。

 

「少なくとも、これは間違い無くあの場に居合わせた全員が一目でわかるわ、メルルも見てわかってるんでしょ?」

 

「はい・・・・この宝玉に残った魔力の質は遠くから感じたバーンと瓜二つです」

 

「あ、あの大魔王に娘がいたなんて・・・・」

 

 青ざめながら肯定するメルルだが、やはり聞くまでも無かった。マァムのように真っ先に瞳に閉じ込められた者も内部で見ていたのだ。

 

「も、申し訳ありません・・・・私が【マホステ】を使わなければ・・・・」

 

「いや、気にすんなよマリンさん・・・・その娘がマホステを習得しちまったらとか言いたいんだろうけど、まだ戦いになると決まったワケじゃない。けど戦いになったとして、本当に老人姿のバーン以上なら【マホカンタ】を使えると見て間違いないだろうから、関係ねえさ」

 

「それに若い身なら【フェニックスウイング】で弾かれるなんて展開があるかもで・・・・【天地魔闘の構え】やれるなんて展開もあると考えるべきよ・・・・ね」

 

 ポップとマァムは、マリンのせめてもの言葉に自分達の体験からの考えを青くなった顔で言わざるを得ない。確かに当たれば倒せるハズなメドローアですら通じなくなるキッカケになったかもしれないが、並べ立てた事項で意味が無いとした方が良い。

 

 何より、確かにまだ戦うと決まったワケでないが悟っているのだ。わざわざマホステを使った状態を確認しに来るような勤勉さを考えれば相手はバーンが蘇り再戦を挑んで来たレベルとまで仮定すべきかもしれない。その場合は飽くまで竜魔人と化したダイを直接接目の当たりにしてない故であるが、ポップ達はこう結論付けている。

 

【ダイがいたとしても勝ち目が薄い】

 

 悪く言えば【傲り高ぶり】が無くなったと仮定するバーンに近いかもしれない敵は想像を絶する驚異だと恐怖を押し殺していた。

 

 マリンには言葉が無かった。弱気な発言や思考ばかりだが、メルルのような感知能力は無いし大魔王バーンを目の当たりにすらしていないのでは立ち入れない。

 

「マリン、率直に聞くわ。そのシャトーと言う娘を目の当たりにした感想を素直に言って」

 

「いつの間にか、テムジン達を魔法の筒に封じ込めに来た迄は・・・・【普通】でした。」

 

 冷静さを取り戻したレオナからの質問に素直に答えたマリンは本音しか言えなかったが、それを信じるべきか否かでも緊迫は続いた。即座に接触も危険で唯一つのミスも許されない理由がある。バーンの血縁とする実力者ならば最悪の場合。

 

【今すぐにでも地上を消し飛ばす事が可能かもしれない状況なのだ】

 

「けど、何かバルジ島に残った黒の核晶には気を使ってくれた。それも真意がどうかわからないわね、私達はどうするべきか?」

 

 動こうにも近い内に訪ねると言われては内容次第でパプニカから動けはしない、そもそもバーンがハドラーのように先陣を切って動かなかった理由を知っているのだから、シャトーのようにわざわざ名乗り出るような相手には対処法が思い付かないと、思考が袋小路に陥っていた。

 

 尤も、それがシャトーの【策】でもある。

 

 

 

 

 その頃、仮定でも新たな驚異とされつつあるシャトーは想定はしたが予想以上であった事態に見舞われていた。

 

 

 

 

「うぅ・・・・せめて【曇りの日】じゃないと駄目なようです」

 

 巨大な力を持て余す自分はマリンに見せた力を不用意に振るわないよう周りの一般魔族=人間とそうは変わらないレベルにセーブしながら生活する技術はお手のものとして過ごして来たのだが、想定以上な事が起きた。シャトーがいた場所は魔界ではマシな部類の場、劣悪でも魔界のマグマ等の害は魔力で防げたりするが、未経験なものには勝てなかった。

 

【日射病】

 

 人間界に来て間も無いが、セーブした状態で太陽をある程度浴びていた結果、普通の人間が二週間程日の当たらない病院施設で療養した後に退外に出て不用意に太陽の光を浴びたのに近い状態となったのだ。

 

 無理も無茶もしたくないのでルーラの修行ついでに森で薬草類や食材となるものを集めてる最中に軽い日射病になってしまったとして、近くの村に一応は事実である事情を話して世話になり、ベッドで休ませてもらっていた。

 

「魔界に太陽・・・・【お母様にお義母様】・・・・それは本当に良い事でしたか?」

 

 シャトーは実の母の顔を知らない、レオナ似なのは最近知ったばかりだ。育ての義母から聞いていた父は。

 

【魔界の神であり、救世主たらんとした存在】

 

【人間を滅ぼし、魔界の民に太陽の降り注ぐ地を与えんとした存在】

 

 そう聞かされて幼少期を過ごした。後に目の当たりにした父も良く言えばだがそう語られるに足る男としていた。

 

 要は父より先に地上を我が物にしようとしていた【ハドラー】をスケールアップしたようなものだとも聞いていた。

 

(・・・・流石に地上を消し飛ばすような事を伝えられてはいなかった。まあ、ヴェルザーのように天界に介入されての負けを喫するのを避ける為なら、部下達すら欺いて。異界の者基準では普通に侵略しつつ、機を見て一気に地上を消すのは戦略的に有りです。けど、いきなり魔界からしたら【蓋】な地上消したら・・・・私の周りにいたようなのは危険でしたよ)

 

「お姉ちゃ~ん、ご飯出来たけど起きれる?」

 

「は~い、今行きます」

 

 呼び掛けに答えるように起きれはするので、世話になってる場での食事をご馳走になる事にした。しかし、一般人の食事とやらでボロを出さないかと半ば挑戦である。

 

「日射病とは気の毒でしたね【オーザム】の方から来た方には厳しい環境だったのですね、粗食ではありますがどうぞ」

 

「この【ネイル村】では一番栄養ある食材使ってあるよ」

 

「で、では遠慮なくご馳走になります」

 

 そう、ここはネイル村。

 

 シャトーはオーザム出身の者と偽りながら近辺を歩いていた。人間の基準からしたら極寒の地で育っていた故に普通の気温の場で歩いていたら日射病に近い症状が出たと映る範囲なので休ませてもらっていた。気の良い大人の女性の住む家を紹介され、そして良く訪ねる少女と知り合えたのを幸いとした。

 

【嘗て、勇者アバンのパーティーの僧侶として戦っていた女性、レイラ】

 

【そしてレイラの娘であるマァムを姉のように慕う故に良く訪ねているミーナ】

 

 意図せずに最適な人達と巡り合えたとしながら村の野菜と森の中で取れた食材を使ったスープを【スッ】と音も立てずに飲んだ。滋養に満ちた味だと気に入って、続けてパンを小さく千切って食べる。

 

「あら、お上手な食べ方ですわね」

 

「うん、お姫様みたい・・・・全然村に帰って来ないマァムお姉ちゃんよりずっと上手」

 

「いえ、周りが厳しかったものでして・・・・しかし、帰って来ないとは?」

 

 謙遜する母と、姉と慕う女性を自慢気に語るミーナの説明を聞いた。勇者パーティーの一員とは言え・・・・と、すべき内容だった。

 

「そのマァムさんは、例えばロモスの武術会が終わった後とかに顔を見せてあげるべきでしたね、この後にもし来たらミーナさんは注意してあげなさい」

 

「するする!」

 

 マァムを姉のように慕うミーナが同意していたし、レイラは苦笑しながらもシャトーに感謝してしまった。レオナ達が見たら驚愕すべき図であろう、見る目があるレイラからしてもマリン同様に力を使わない時は普通の善良な娘にしか映らないのだ。

 

 その翌日、外を歩けるようになったのでレイラからもらった白い日よけのフードを被りながら案内されていた村の広場ではのどかにチェスが行われていた時だった。

 

「おお、元気になったかい・・・・どうだね。お嬢さんもやってみるか?」

 

「では」

 

 多少、思うとこがあるが自分なりにやる事にした。飽くまで【父は関係ない】としながらで二回打った。

 

「チェックメイト」

 

「ま、参った・・・・」

 

「凄~い」

 

「一回目が残り五つで・・・・二回目が、七つね」

 

 ミーナは普通に見ているが、レイラは打ち方の特徴に気付いてる。相手をした男はシャトーが強いので真剣な顔で秘訣を訪ねた。

 

「チェスは【王】を先に仕留めれば勝ちですけど、無傷は無理です。ならば割り切って、どうやって王を仕留めるではなく、どれだけ被害を出せば勝てるかに集中する。まあ、やり方によれば【人道】に反するとやらです」

 

 兵士の数とプロモーション。

 

 騎士の跳躍力。

 

 僧侶の切れ味。

 

 城兵のキャスリング。

 

 最強であるが故に使い所が難しい女王。

 

 警戒すべき点を頭に入れて、打つ。実際の戦いでは駒に当たる者達が良くも悪くも駒かそれとは無縁とすべき、とした時。

 

「な、何か【戦争】やってたような思考じゃないのか?」

 

「私は故郷が滅ぼされましたし」

 

 うっかりと言い出した事だが、故郷オーザムは滅ぼされていると偽っているのでミーナですら深入りはしなかった。多分、それなりの経験をしたのだと見られたようで割と運が良いとした時。

 

「魔物だああっ!」

 

「え、まだ残ってるのですか?」

 

「ワケありでね、避難してなさい。私と長老が戦います!」

 

 レイラの瞳に宿る強さは本物だとシャトーは感じた。流石は勇者パーティーの僧侶だった女性だと思いながら他の村人達と一緒に避難したが、入り口に近付いて来た巨体の力も正確に感じていた。

 

「止まりなさい!・・・・って、何じゃこいつはああっ!」

 

「こ、これは只のモンスターではありません」

 

 ただならぬ気配を感じたレイラ達は現れた巨大モンスターの正体を知らないが、実際目の当たりにした者が見たら戦慄しながら理解したただろう、姿は瓜二つなのだ。

 

【超魔生物ザムザ】

 

 このモンスターは、ザムザが試作していた試作品を処分し損なったものであり、自我すら殆ど失ったまま彷徨っていたところをネイル村に迷い込んだのだ。

 

「グガアアアッ!」

 

「ギ、ギラ!」

 

 溢れる殺気と雄叫びで戦闘を避けられないとした長老が閃熱呪文を放つが、まるで効き目が無く。次はレイラが攻撃を仕掛けた。

 

「バギマっ!」

 

 マァムの留守中に村を守っていたレイラは若き日のように攻撃系呪文を使えるようになっていた。真空系魔法として中級のものだが年季が違う為に威力は他者より勝るが、超魔生物相手では僅かに傷つけるのがやっとであり、その傷もたちまち再生してしまっているのを二人は見た。ハドラーと直接戦った事もあるレイラですら戦慄させられる光景に不利を悟った。

 

「【ピオラ】!」

 

 以前のように無意識に【ピオリム】を発動出来ていた時期とは違う故に、アバンとロカの仲間になって間も無くな時期に覚えた仲間用のすばやさ強化魔法を自分用に改良したものを使って長老を抱えて思い切り距離を取った。あのモンスター相手にはこのままでは決め手が無いと悟り・・・・ならば、とした時。

 

「待って下さい。私がやります」

 

「シャ、シャトーさん・・・・?」

 

「ぐおおおっ!」

 

 いつの間にかモンスターに近付いたシャトーにレイラが驚いたが、驚きの種類が振り下ろされた拳を自然に飛んで回避する動きに対してのものに変わる。

 

 シャトーは空中で身を翻し、怪物の背後に着地する前に背中に微かに光る右手を当て勝負は決まった。

 

 手を当てられた場が一瞬光り、崩れ落ちた。背中の中枢が内部で破壊されてしまったが、超魔生物特有の再生が始まらない故の苦痛にモンスターは倒れ付した。

 

「~~っぐ、が・・・・ぅ」

 

 シャトー達はそのまま苦痛に耐えていたモンスターに目を丸くした。

 

【せめて無様な姿を見せまいとする意地】

 

 微かに押し殺し切れない声が漏れる。それを理解したシャトーは心臓に左手、脳の部分に右手を当てた。間も無くモンスターが黒い灰となり散っていった。

 

 シャトーなりの敬意でこれ以上は苦しまないよう【介錯】をしたのだ。そして聞いた事がある技に酷似しているとしたレイラは内心を漏らした。

 

「まさか・・・・【閃華裂光拳】・・・・いえ、違うようね。貴女、それをどこで覚えたの?」

 

「レイラさん、これは【マホイミ】です。古の僧侶や賢者の切り札である呪文で、特に再生能力が売りの相手には良く効きます。再生能力が仇になって、より生体組織を破壊出来ますからね」

 

 戦友である【拳聖ブロキーナ】の話をマトリフを通じて聞いていたレイラは理解した。確かに閃華裂光拳は、元々はマホイミと呼ばれた呪文と同じ効果を出せるようにブロキーナが編み出した技だ。生命活動を魔法力で促進させて回復させるのがホイミを初歩とする回復呪文であるが、植物に水をやり過ぎると逆効果になるように、過度の回復魔法は生体組織を破壊してしまう。それと同じ効果をホイミと併用した拳で生む技。

 

 マホイミの使い手が失われていった原因はホイミと拳法を併用する故に魔法力は殆ど消費しない裂光拳とは違い、マホイミはベホイミの何倍も消費する故だが、魔法力関連が規格外と理解せざるを得ない存在には使えてもおかしくない、寧ろ戦い方によっては最適な手段に近いのだ。

 

 シャトーは唖然とする長老はまだしも、見抜いたレイラには感嘆した。人間を甘く見てはいけませんと笑いながら告げた【キル】の見識はやはり正しいと確信した。

 

 

 その夜。

 

 

「やっぱり、貴女は【魔族】なのね。マホイミを三発も使って顔色一つ変えないのは私が知る存在でも有り得ないわ」

 

 それ迄も見抜いていたのは流石とシャトーは思っていた。含む所が無いので実際は最近に地上を破滅寸前に追い込む災厄を招いた大魔王の血と肉を継承した存在であるとはまだ言えないが、自分を魔族と見抜いていた事から気になり始めた事を聞いた。村に来た時のダイには先代勇者パーティーとしてどう思っていたのか質問したが、それに対しての答えは少し意外であった。

 

「勇者ダイは、この村に来たばかりの頃は【メラ】も小さな火を出すのがやっとでしか使えなかったから長老に頼み込んで魔法の師事をしてもらったとは・・・・長老が後に調べたり外からの情報で、今は行方不明な勇者ダイは【伝説の竜の騎士】と判明ですか・・・・しかし、純粋な人間ではない勇者だったとは・・・・魔族が言える事ではありませんが、帰って来たら大変では?」

 

 レイラは確かにとせざるを得ない、ある事情で一時的に世界が一つになったが。その際に後になって賛否の流れがある要素があるのはかなりの人間が薄々気付いていたのも問題だ。

 

「後が大変ですけど、レオナ姫と・・・・今はカールの国王となっているアバン様もいますから決して・・・・な、何です?」

 

「このまま聞いて下さい、アバン様を宛にするままではいけません。今すぐ貴女がカールに行くなり他に信用出来そうなのを探すなりでアバン様に協力するのです」

 

 手で制止されたレイラは目を見開いていた。若い時からそれなりに見てきた中でも図抜けた威厳を感じる。そして、シャトーはレイラが本能的に避けていた部分を突いた。

 

「貴女は知っているのでしょ、アバン様が人間界に残った古文書で得た知識で【凍れる時間の秘宝】を使ってしまった事とその後の流れをね、代償は甘くありませんよ。アバンは・・・・【近い内に死にます】」

 

 それは世界を揺るがす事だった。そうなるならば勇者ダイが帰って来てもどうにもならないと危惧される問題が幾つかあるが、それに対する希望が失われてしまうからだ。




 経緯はともかく、シャトーは太陽を克服する地道な事から始めました。
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