ポップは出会った時に話してくれたとしたマァムの亡き父については口を出せなかった。
恐らく妻にすら聞かせてはいない過去を唐突に聞かされた怒りからの暴発をしてしまい、頭を冷やしたが次はどうするかの答えは?
【動かない】
敢えて動かない事が有効だとした。あのベンガーナの一団らしき者達はどこか違和感があるので仮に問題に発展させるならシャトーには考えがあるとした。
そもそも、親子に渡り世界を救った勇者パーティーの一員だった相手に侮辱紛いな事を不用意にやるのはおかしいからだ。話題をバランとアルキード関係に戻すのをポップは提案した。
この家が駆け落ちをして此処で暮らしていてダイが生まれた場だとはわかっているがシャトーが確認したい事があるとした。メルルが二杯目のハーブティーを淹れてくれたので一息入れて、シャトーは話を一気に進めるべく本命を理解してもらう為の言葉を発した。
「私はシャトー、大魔王バーンと竜の騎士であった女の間に生まれた女」
「え、シャトーさんの枷が効いてない?」
「やはり、この家に掛けられた結界は場所に籠められたレベルからして並ではないです。馴染んだからにしても・・・・謎は解けました。バランがアルキ―ドから遠くない場で暮らしていた理由は結界に最適な場だったからですね、人間達でわかりやすく極端に言うと神々が作った破邪の洞窟のようにやるなら此処って場所だったのでしょう。灯台下暗しってのも兼ねられてます」
「・・・・も、もしかしてシャトーさんが此処を話す場に選んだのは?」
「一応は推測はしてました。尤もヒミコさん絡みで自分の出生を語れたのは計算外でした。これで【マァムの最初の要望であるアルキードが消えた瞬間を見てきた事についてと、何故この場で話すのか】を聞かせて欲しい要望に応えました。次は何かありますか?」
ハーブティーを飲み干して次の話題を促してくれるシャトーにポップは甘えることにしマァムはあんな事があって自分は本になり。メルルは周りの気に影響されないようにするのがやっとだ。此処は甘えるしかない。
「確かにポップさん達には耐え時ですからそうしますか。気付いた事についてならコレです。バランとソアラはどうやって暮らしていたかな点」
ハッとした。シャトーが言うには、話題に出ているようにバラン達が暮らしていたのは良いが、どうやってと。
「マァム、あんな事があったばかりな貴女には先にお詫びをしておきます。この場の三人は親って大変だとわかってますね。それを参考に考えて下さい。私もアナタ達も基本的かつ重大な事を考えてなかったのではないかな話題です。ソアラ姫はどうやって【自分の息子を産んだか】?」
ギクッとした。確かにソアラがどうやっては考えてなかったと。
「私の母は知らずに私を身籠ってました。そして後に私の義母となってくれた御方に世話になって出産をしたと聞きましたが、出産の苦痛は甘く無い。ヒミコさんも最悪の結果に繋がったのです。お腹を痛めて産む苦痛を耐えるのは隣で愛する旦那様が励ますだけでは王女様なソアラは先ず無理ですね、バランが余程勉強してたのか苦痛を耐える魔法や技術知ってたか・・・・でなければ。経験ある人からお医者様に協力をしてもらったとか?」
「え、と。後者の方が現実的ね、聞く限りバランって子供を授かるなんて完全に想定外だったようだし」
「では・・・・その協力者さんはその後にどうなったのか?」
それから嫌な予測が急速に立てられた。
例えば、話のわかる医者に協力してもらって出産を無事に終えた後とした辺り。
「ま、まさか。調べられていた?」
つまり、仮説によるとその協力者を調べられて居場所を特定した。来る前に感じた聖なる結界に対する措置を念入りに張って包囲した後に最大級の疑問について。
「話を飛ばして、バランが逃げなかった理由は協力者を人質に取られていたとしたら?」
仮説ではあるが話の筋が多少は繋がった。バランの義理堅さを考えたらと、ラーハルトに聞かせなかったのは人間絡みなので省いたかとり
「一理あるわね。聞いただけな私に言わせても今の地上に残った全員が万全でもバランと向き合ったら気圧されるわ」
「はい、率直に言いますが例えばポップさん、貴方は今でも元の姿で万全で決闘したとしてもバランに勝てますか?」
「無理だ。メドローアが当てりゃとか考えた事あるけど、マホカンタされたり回避されたりタイマンでなんて・・・・まあ、そう言う事だろ」
仮説とすべき事は幾つか用意できた。この場に用はとした時。
ドスン、ドスンッとやや重い。足音が聞こえて今度は何か怪物し染みた気配がとしてシャトー以外が外に出た。先程のベンガーナ兵とは違う。マルモのいた場で倒した超魔生物かしたが現れたのはポップが良く知る顔だ。
「人間が何故此処にいる・・・・?」
「あ、あいつは!?」
本になったままなポップは勿論、水晶玉越しに見たメルルも覚えている。トドマンと言われる種類の巨体は死んだハズなのだ。
「我が名は竜騎衆が一人【海戦騎ボラホーン】!我が主に縁のある場に何故人間がおるか答えてもらおうか!」
「わ、私達は行方不明のお友達を探しているの。貴方は何故此処に、主とは何の事?」
「ふん、我は伝説の竜の騎士に代々お仕えする三界の覇者の一角。今の代におき・・・・オキ~〜っ、~~っ!」
何かがおかしい。マァムとて不用意な話題を避けながら探ったが、ボラホーンには自身もノイズ混じりになったとした後に漸く話を再開した。
「テランに住む者ならば知っていよう、竜の騎士であるバラン様は人間こそが滅ぼすべき対象とご判断されたのだ。恐れ多くも古代の邪法を用い、アルキードという国が天界からの裁きにより大陸毎抹消された!この上は神々の怒りに触れた報いを受け入れるが良い!」
タイミングが良いのかどうなのかだが、相手は戦意が並ではない。メルルはポップに何か魔法をとしたが駄目だとされた。
「しまっ・・・・っ!」
【凍てつく息(コールドブレス)・・・・】
「ぐふふ、我が息はマヒャド級だ。知っている鎧を咄嗟に着て防いだが、範囲が狭いので防ぎ切れなかったな」
「ギラ!」
「あ、ぐ・・・・ベホイミ!」
ポップが咄嗟に放ったメラは以前にノヴァがマヒャドを跳ね返された際にクロコダインが使った手段だ。凍った身体を急に熱すると身体の負荷が掛かるので回復呪文でな流れだが、ボラホーンは何処か既視感がある。ポップの気配を感じていたのだ。
そのポップは戦慄していた。ボラホーンはヒュンケルに敢えなく敗れたが、当時の鎧の魔剣に加えてヒュンケル自体がマァムと言うより並の人間とは比較にならない程のタフさだ。魔甲拳で防ぎきれない範囲の冷気すら通じない。
今の自分達には相性からして不味い。広範囲な
冷気を併用されてはと思っていたら、マァムはシャトーのいる家に向けて首を横に振ったが、ポップとメルルは意味がわかった。
マァムはシャトーが竜の騎士に縁がある相手と関わったら何が起きるかわからないと恐れているのだ。極端に言えば記憶を無くした時なダイがバランに会うのを恐れてたようにだが、少なくともボラホーンも様子おかしい。
続けて振り回した鎖鎌の攻撃が連続で来たのでマァムは回避に専念したが、何かおかしいとしたマァムは気付いた。
「待ちなさい、貴方。バランの家を守りながら戦ってるわね」
「当然だ。我が主の大切な思い出の場だ!貴様らこそ、何故此処にいるのだ?」
嫌な予感。そもそも何故と言うなら戦う理由をとしてマァムはハッとなる。
「主の大切な・・・・私は聞いた事があるわ!確かバランの過去を知っているのは竜騎衆でもラーハルトだけと聞いたわ!何故、知らずに死んだ貴方がそれを知っているの?」
空気が変わった。地雷だったにしても聞かねばならないのだ。
「そ、そうか。知っているか・・・・娘よ。人間でも首を切られた後に僅かだが死んではいないと知らぬか?その中で聞こえたのだ。曖昧だが一つ覚えている事がある!」
泣いている。ボラホーンは両目から涙を流して語る。
「俺達は人間を見下しながら生きていた。名を出したラーハルトは、その人間を人質に取る愚行を犯した俺に最後の力で粛清したのだ。俺は正に竜騎衆の面汚しよ・・・・【その場の都合でな新参】とは言え。愚かな事をしてしまった」
「新参?」
「そうだ。嘗て、バラン様は恐るべき敵を当時の竜騎衆と共に打ち倒された。その後にラーハルトが語った事の後、人間を制裁対象として新規に人間嫌いな者ばかりを集めた竜騎衆を結成された。その中の一人が俺だ・・・・死した後に、バラン様から竜の血を頂いていた俺は、甦ったが記憶は曖昧なのだ。バラン様もラーハルトしか甦る事は無いとしていたようだがな」
確かにラーハルトもそうやって復活したとマァムとポップも聞いた。バランにはラーハルトしか恐らく助からないとしていたと。
「だが、俺には唯一つ確かな事がある!もしも復活出来たなら・・・・俺はやり直したい。誇り高き竜騎衆の一角として生きたい・・・・それだけは真実なのだ!」
マァムは戦意を無くし掛けたが、それはいけないとした。それに、何故かわかる。この場でやるべき事はとして構え直して告げる。
「ボラホーン、勝負よ。貴方は望み以外な何かに突き動かされているのが明らかね、私はこう見えて貴方と戦ったアバンの使途達と同じ!その証拠の技を貴方に今から使うから、その後に話を聞きなさい!メルルさん、手出しはしないでね!」
やるしかない。
話によると【クロコダインも既に】感じるのだと。何故か見えた唯一つの解決策をとしてボラホーンも感じるものがあり、直接鎌を叩きつけるべく迫る。
「ぬ、ぬおお!」
「(見えた。今だ・・・・っ!)アバン流・・・・【牙】殺法【空の拳】」
ボラホーンの胸中心にある核になる部分がマァムのメタルフィストが付いた右拳の突きから発した光で撃ち抜かれた。黒い霧がボラホーンの身体から広がって散る。
「み、見事。何となくだがわかった。俺の中の何かを霧散させてくれたか」
「ボラホーン、約束通り良く聞いてね」
マァムは話した。ボラホーンが一度死んだ後のバランとラーハルトの事、そしてダイの事も。自分達が戦う理由は無いとバランすら思っているハズと。
「そうか、だが俺の命は長くはあるまい。人間基準では長いかもしれんな域でもな、それに。正に図体だけよ・・・・並のトドマン程度しか、これでは竜騎衆としてやっていけぬ。最早生きていても意味は『気にするな』・・・・あ、貴方は!?」
手でマァム達を制してボラホーンに近付くのは忘れようが無い。ボラホーンの主であるバランだった。
「化けて出たと言うべきかな。ボラホーンよ、自分を責めるな。私が一番愚かだったのだ・・・・竜の騎士が与えられた【人の心】を捨てたからこそ、お前達を間違った道に引き込んでしまったのだ。私の方こそ竜の騎士の面汚しよ」
「ば、バラン様。違います!私は人間を見下していたからこそ魔王軍に・・・・っ」
「正直だな、だからこそだ。ボラホーンよ、私の最後の頼みだ。先ずは此処で身体を休めた後、竜騎衆としてやっていけないにしても。一時的にでも竜騎衆であった誇りを持って人間界でやり直すのだ!いずれ地獄で会えるだろう。それ迄にやり直して来たものを私に聞かせて欲しい」
「は、ははああ~~っ!確かに承りました!」
「さらばだ。私は息子の知り合いを案内せねばならんのでな」
去り行くバラン達を見送るボラホーンが流すのは自分の心が救われた事からの涙であった。
ボンっ!
暫く歩いた後にバランから魔力が弾けて現れたのはシャトーだった。
【変化の杖】
シャトーがすごろく場でマァムに買うように催促したのはシャトーのレベルならある程度コントロール出来る域な完成度な【変身呪文モシャス】の効果を持つ、ボラホーンを見たシャトーなりな茶番で偽善で詐欺だった。
「・・・・横っ面をひっぱたいて良いんですよ?」
「いえ、良いのよ・・・・貴女はボラホーンを救ってくれたわ」
実を言うとボラホーン復活について知ってはいた。仮にマァムに会わないままなら有無を言わずに始末してしまっただろうともシャトーは正直に話したがマァムはシャトーを正面から見据えて嬉しそうにして告げた。
「竜の騎士に与えられたのは、竜の力と魔族の魔力、そして人の心・・・・」
「まあ、そう聞きましたね?」
「シャトー、貴女。ワケありな生い立ちなだけで人間よ・・・・人間の心を持っているわよ・・・・!ねえ。今の状況が落ち着いて戦わないで済むなら、私達と一緒に人間として生きましょう!」
「考えときましょう・・・・」
マァムは、正面から自分に対する確信に笑顔となり見詰めてくる。一言だけ発したシャトーは、自分と違う誘い方に悔しいとすら思えないし両目からは暫く涙が止まらなかった。
マァムの技は獄炎漫画でまだだったので技名は未定。
果たして、シャトーはマァムに人間にされてしまうのか?な展開。