「大魔王の娘・・・・ですか」
シャトーがデルムリン島に向かっていた時、パプニカに招かれたアバンが読んだ親書の中身は示し合わせた暗号のみな文だったが、改めて状況を聞くアバンは真剣そのものな表情であった。
シャトーの目的はまだわからないが、レオナ達が危惧するのはピラァ・オブ・バーンだ。
地上にほぼ六角形となるように落とされたものは内部に黒の核晶が仕込まれた兵器、動き自体は止まったが、黒の核晶についての対応策が進まずに撤去の目処が立たないせいで、監視が精々なのが実情。
もしも、シャトーが凍結させている黒の核晶を甦らせて同時に爆破させる事が可能だとしたら、この瞬間にでも地上が消し飛ばされてしまうであろう、それではバーンを倒した意味すら無くなってしまう。
「近い内に訪ねるとマリンを通して言われて、けどいつ訪ねてくるか・・・・【ミストが育てた人間に宜しく】つまり、ヒュンケルを指しているハズなのでマリンに探しにも行かせました。我々は次はどうするべきなのか、アバン先生のお知恵を貸して頂きたいのです」
「そこなのですが・・・・近々とやらの概念が違うかもしれません、魔族にとっての近々は人間で言うところの数十年単位だったというヲチがあるかもしれませんよ」
「ぬがっ!」
「いけませんねぇ、ポップ・・・・私以上の切れ者となれるのは追い込まれた戦いの時だけと来てはこれから大変ですよ」
ポップは鼻水を出した間抜けな顔をしてしまう、緊張感をほぐしてくれたのは流石は自分達の師であるとするポップは言われたように土壇場以外では引き出しの多さで到底アバンに及ばないと理解した。
「ですが、ポップ達がパプニカにいる必要はありませんねえ。今がギリギリかもだから、私はシャトーさんを知っているかもしれない御方の元を訪ねるのが良いかと」
アバンの提案内容を聞く内に行動方針が決められ始めたが、ポップ達には地上においてシャトーしか気付いてない事態が起きつつあるのを痛感する旅の始まりだった。
ーーーーーーー。
「では、お世話になりました」
「いえ、此方こそ大したおもてなしも出来ずに失礼ですじゃ、それからあの洞窟には・・・・」
「わかってます。ルーラ使えるからって密かに入りに来るなんてやりません。私も例えば不用意に入ってマグマに落ちたなんてゴメン被りたいです・・・・では」
シャトーは礼儀正しく一礼してルーラで飛んで行く、それを合流したばかりのチウが名残惜しくして口を開いた。
「言っちゃいましたねえ、レオナ姫をおしとやかにしたような女性なんて、マァムさんの次くらいにゆっくりお話してお近づきになりたかったな・・・・」
「隊長さんみたいな人間より人間らしい大ねずみには彼方も感心したろうな」
「わははは、それは失礼をしたかな。美しいお嬢さんに貴重な体験をさせてあげる機会を逃させてしまった」
相変わらず色々デカいとしながらヒムは【今日は自分達の番】なのでクロコダインと共に目的地に向かった。
「ブラスさんが、説明した事以外に何故あの洞窟に立ち入らせないようにしていたかは、まあ知らねえ方が良いかな?」
「うむ、また会う事もあろう・・・・それに、あの場には我々が用があるからな」
含むところがお互いあったにしてもシャトーのデルムリン島行きは有意義に終わった。
そして?
ドオオッン
「ありゃ、まだ着地が上手くいきませんが。この辺りからだと徒歩で直ぐですか・・・・今回は当たりな可能性は前より薄めかもですし」
【実は、シャトーには悪い事から嫌な事をある程度予知から感知は出来る能力もある。パプニカの近くからネイル村付近の魔の森に出向いたのは高めな確率に従ったからである】
そして、シャトーが選んだ次の目的地は?
【ベンガーナ】
地上では世界一の国力を誇る国であり、都会と言うべき場だと感じた。店の種類も何も凄いとしながら各所の屋台の食べ物、ホットドッグやクレープ等を買っては歩きながらの食事を満喫しながら、予感が外れならそれで良いと街中を観光気分で楽しんでいたシャトーだが?
(逆効果かもしれませんね)
所々に設けられた立て札や張り紙を見てある事に気付いていた。張り出されているのは?
【行方不明の勇者ダイを目撃した者、情報を知る者は王宮に申し出よ。有益な情報を持って来た者は王自らの報償を与える】
王の言葉とキリッとした顔に描かれたダイの似顔絵が張られていた。
シャトーが知る限りで、パプニカにて鬼岩城をデルムリン島にあった剣で一刀両断にした時の勇姿に見惚れた王自らがその時の顔を再現させながら描かせたと聞いた。事前にと街中で得た情報によると現ベンガーナ王は、パプニカにおいて秘密裏に開かれたサミットにおいて派手に自国の軍艦や戦車を持ち込み、当初はそれ等さえあれば魔王軍等は恐るるに足りないと主張していたとも聞いた。良く言えば勇者1人に世界の命運を任せる必要は無いと主張していたとも聞いてシャトーは一理あるとした。
(それは正解と言えば正解ですね、20にならない若者なアバンでも本来はアウトだったのに12の子供が勇者なパーティーに世界規模で頼るのは駄目駄目です。大人達の仕事場な軍の活躍で侵略者達の撃退に成功するならそれも又良し・・・・ですが鬼岩城を倒した勇姿に素直に感動したのを機に勇者支持思考となり尽力してダイが1回大魔王に敗退した後も勝利を疑わずに信じ続けた王・・・・中々ですが?)
何名かが顔を背けているのも半日掛けて町を見回ったシャトーは見逃さずに何やら不穏な気配を感じる。それは正しい、ベンガーナの市民には勇者ダイに対して、ある負い目があったのだ。そして、次は何を食べようかと店を探そうとした時であった。
「きゃっ!」
「おや・・・・大丈夫ですか?」
「あ、ありが・・・・」
慌てて走り始めて転んだ少女に手を差し伸べた。その少女はお礼を言いながら手を取ろうとしたシャトーの顔を見て固まってしまい、何事かと思った時。
「い・・・・っ、いやああっ!」
「あ、あれ。どうしたんです?」
「む、どうしたのだ?」
近くにいた兵達までもが掛けよって来た。少女は兵達になだめられていたが、シャトーは何かやったとして事情を聞かれる事となった。
「先ずはフードを取りなさい・・・・っ!れ、レオナ姫でありますか?」
「いえ・・・・私は旅の魔法使い見習いですよ、ほら髪の色も違うでしょう?」
「む、そう言えば・・・・それに、貴女はレオナ姫とは違い、おし・・・・いや、学者顔と言うかな御方であります・・・・」
何やら周りも何となく事態を察したのか騒ぎが収まって来た。怪訝に思いながらも兵士達の待機場所とでも言うべき場に案内されたシャトーはお茶を出されながら説明を受ける事となる。
「私はベンガーナ戦車部隊の隊長を勤めている【アキーム】と申します。この状況を何とぞお許し下さいであります」
「そ、それはご丁寧にであります・・・・です・・・・私があの娘だけじゃなくて、周りにいた市民の何名かに怖がられたようですが、その辺りに心当たりは?」
「お恥ずかしい話ですが」
アキームは話した。超竜軍団のドラゴン五頭とヒドラ一頭がシャトーのいた辺りに襲って来た時の事。武器探しに訪れていた勇者ダイと魔法使いポップにパプニカ王女レオナが迎撃した時の戦いだった。
シャトーが手を差し伸べた少女の母が瓦礫の下敷きとなり、助ける間にヒドラを引き付けていたが苦戦を強いられたダイの元に別の場所でポップが仕留め損なったドラゴン二頭が現れて絶体絶命となった時だ。
ダイが竜の紋章の力を解放して、ヒドラ達を圧倒的な力で倒したのは良いが、その際にポップですら尻込みした程な力を目の当たりにした少女は泣き叫んでしまった。
【怖い、お兄ちゃん。怖いよぉっ!】
周りにいて、目撃した大人達も恐怖を抑えられない目をダイに向けてしまっていた。
救い出された母がどうなったかは知らない。
その後、魔王軍との戦いで勇者ダイの知名度が上がるに連れ、最後はある力で世界が一時的に一つになる程の決着で真の勇者と誰もが認める存在となったダイな反面で少女がどうなったかは、アキームは言い淀んでいたがレオナに似た顔を見るだけでああなるような経験をしたのだと推測は出来る。
「その先は何となくわかるから良いです。しかし、それは気の毒でしたね・・・・その場にいた者は大変だったでしょうし」
「はい・・・・何名か、特にダイ殿にオークションでご購入した【ドラゴンキラー】をヒドラや魔王軍の死神キルバーンなる強者に使われて、台無しにされたゴッポルと言う商人が、あの後に酒場等で酔いながら不平不満を漏らしてしまったらしく、魔王軍が消えてからも・・・・市民達の間で悪い記憶として残ってしまい・・・・」
「王は何と?」
「それが、この件に関してはお咎め無しですが何やら不穏な噂が広まってしまっているのですよ、我々はその時の教訓で有事の際に軍や兵士が即座に対応出来るよう警備を強化し、海岸等に砲台や戦車を配備し直しているのです。シャトーさんには真に申し訳無く思っております」
アキームからの謝罪を受け、その夜はデパートから離れた場の宿を紹介してもらった。此方が心苦しいが、受けた方が良いだろうとして宿泊したシャトーは父の性格上で、その時を連想させる形にダイを勧誘したのだろうとわかる。皮肉な事に?
【ダイがもしも無事に地上に残っていたら父の言葉がダイとレオナに対する有難い忠告となってしまっただろうとしていた】
翌日、チェックアウトをしてこの国では城の内部を探るかどうかをシャトーが考えていた時だった。
『襲撃だああっ!』
『海岸にモンスターが近付いてるぞおっ!』
退避する人々、宿内にも危機を知らせる人が入って来て指示に従って逃げるように促して来た。
「何が起きたんです?」
「お、おお・・・・そろそろと思ってたんだが今日のは桁が違うぜ」
そう言って来たので、シャトーは【リリルーラ】を使ってデパートの近くに移動した。昨日の内にベンガーナの各所にルラムーン草を原料の一つにした魔法石を目立たない場所に転がして置いた。アバンが使った手段に似ているが、次元の超越迄は出来ない代わりに街中くらいの距離なら自由に行き来が可能だ。
そして、海岸に近付く相手を確認した。
【アイアンタートルの群れ】
(やはり、此方の意味で当たりでしたか・・・・厄介なのが来ました)
此処に来る前はベンガーナ方面に感じた予感は、昨日の少女の件だと半ば思っていたが、あれはいけないとシャトーは思った。大砲で撃退出来れば良いが、陸に上がられて近付かれたら生半可な剣は通じないしマホカンタを使えるので魔法は危険、ドラゴン並に厄介だろうから街は只では済まない。
ダイの苦い経験を聞いたのが幸いだったかもしれないと皮肉であった。実はシャトーは鬼眼による瞳化の力は1日に1名相手にしかまだ使えないので、団体で来られてしまったのが不運である。
(別に私が片付けて、ダイみたいに市民から怖がられたりしても構わないのですが・・・・後に響くかもしれない、ならば逆効果かもしれないし偽善かもにしても、アレやりますか・・・・【ガンガディア】でしたね、見てて下さい!)
デパートの屋上にトベルーラで移動したシャトーは集中をした。嘗てはハドラーの部下でも屈指の実力者であり異端者であった男の話は聞いた・・・・その男の生き様と最期には勇気付けてもらえて敬意を抱いたのだ。
「かなり違う形になるけど・・・・目覚めよ、私の中の【血肉の半分から来る力】・・・・」
何名かが見た。デパートの屋上から立ち上る白い光、それが徐々に太くなる。必要な力が最高点に達したのと、先日の女の子の存在を確認したシャトーは空高く昇って仕上げを行った。
「・・・・見てますね、では・・・・余興とやらの始まりです。我流ですが、行きますよ・・・・竜変化呪文・・・・ド・ラ・ゴ・ラ・ム!」
現れたのは、通常のドラゴラムとは違う効果の賜物である純白のドラゴンであった。その姿は勇者ダイの逸話を聞き、テランに行った事もある者が聞いた姿に酷似していた存在の名を呟いた。
「聖母竜・・・・マザー・ドラゴン」
鬼眼に当たる部分は、額にある宝玉のようになっていた。そこからシャトーはアイアンタートルの群れに向けて電撃を照射し始めた。アイアンタートル達は咄嗟にマホカンタを唱えはしたが、これは電撃系呪文ではない。稲妻を呼ぶモンスターのもの寄りなので効果は無いのだ。但し、威力はギガデインに近いレベルであるので瞬く間に薙ぎ払われたのだ。
その姿は伝説を知る者ならマザー・ドラゴンと言うより【雷龍ボリクス】に近いものだったとして語り継がれた。
そして、天高くに去る竜を目の当たりにした者はダイと超竜軍団の戦いとは違った反応をしていた。
【竜の神が自分達を救いに舞い降りた】
特に恐怖症を患っていた少女は後にテランに移住する程に竜の神に対する信仰心を持ったのだ。
ーーーーーー。
「つ、疲れました。やはりセーブしたままでは私流ドラゴラムはきつい・・・・」
シャトーは近くの山中に移動していた。例えばあの後にアバンやメルルが来たら見抜かれる可能性がある程にドラゴラムを使った代償として本来の気が僅かに漏れていた。やはり街巡りだけを目的にしたかったとして、早急に次の目的地に向かう事にしたが?
グゥゥ・・・・っ。
(朝軽めにしたからでも、お腹空いた。途中で野生の果物とかで栄養取らないと・・・・)
多少、贅沢になってしまった気がするとしながらも次の目的地の前に食べ物を求めて森の中に歩を進めた。
アニメでもやはりなタイミングに回想で登場した少女があの後どうなってたか、私作はハード路線。
おまけ。
前回のみたいな。
「・・ハドラーよ、今一度言う・・面をあげよ」
「・・・・!?」
「余は寛大な男だ。失敗も三度までは許そうしかし、お前は」
~~~略。
「・・・・だが・・・・あのレオナ姫が天使のレオタードを着たように、フローラ王女が触手プレイ未遂だったように、規制が厳しくなったならではか、アバン外伝の恩恵があり得るだろうと予感しておった功績を余は忘れてはおらん・・・・」
「・・・・(く、苦し紛れだったが・・・・っ)」
「ハドラーよ、これが最後のチャンスだ。もしも、この世界線において余の逆鱗と触れる事になり得る対象のみな【お風呂シーン】があるに終わった場合、余はこの三本目の指を折る・・・・良いな?」
「はっ、ははあー!!そのような対象のみがお風呂シーンを担当する結末は断じてあり得ません!(よ、よし・・・・流石にお風呂にいちいち入る機会があるキャラはおらぬハズだ)」