「むんっ!」
集めて舞い上がらせた落ち葉に次々と突きや斬撃を振るう。落ちた葉は中心に小さな穴が空き、三角、四角の形に整えられて落ちた。
「少しはマシになりましたか、よし次は・・・・って、しまった!」
ある事に気付いた。もしも義母に見られたら面倒だとしながら、その前に近くの川を指差して背後にも指を何度も差しながら確認した後に服を脱ぎ捨てて川に飛び込んだ。汗を流すのを忘れてたのは不覚だった。
しかし、汗をかいた後の水浴びは格別であると顔を綻ばせた。尤も、魔族間には不用意に言えない理由がある。古来、清らかな水に弱い怪物や魔族でさえいたとされたのは事実。
【聖水(せいすい)】
(・・・・光の神アウラの恩恵が働く形に清めたアイテムが船旅の間、海に流し続ける事が可能に大量生産されてますからねえ)
天敵と鳴り得る水を自分達の力の源となる水で染め上げようとした種族もいたと聞く。
【死せる水】
魔界でも残る水であるが、案外バーンが地上を消そうとした理由は程度が多少考えものだが?
【蓋として見ていた大地もだが『水』を排除しようとしていた疑惑がある】
縁が無いとしたいが、シャトーがバーンに気に入られた理由と矛盾する考案でもある。今頃は太陽の方向に飛んでいるかもしれない遺体からは聞き出す術が無い、クエストとすべき課題に数えるや否だ。
「さて、この後に普通のお風呂にも入った方が良いのですが、その前に?」
シャトーは予備の服に着替えて当面の問題に当たる為に森の中に魔法を撃ち込んだ。
「む、これは・・・・身体がっ」
「対象のすばやさを下げる魔法【ボミオス】です。余波だけで多少鈍らせる程度の効き目はありますよ」
シャトーが見た相手は降参の意を示そうとしたが、元から手を上げるのも難儀な状態であったので手で制した。容姿で相手が誰かを確認したので言うべき事を言った。
「貴方は・・・・【ロン・ベルク】さんですか・・・・大したものじゃないにしても、若い人を差し置いて、場合によっては役得な目を見ていたとは何事ですか?」
「そこなのか?」
ロンは真顔でズレた事を言われて唖然としてしまう、魔族の中では色香に欠けるとしていても人間の中ではバランス的には完璧に近い身体であるとはお互い知らないが、確かに良い歳をして剣を振るう姿に注目をして、一区切りつけたのを機に声を掛けようとしたが、剣を振るいぱなしな状況でどうなるかは考えられなかったのも事実として気まずくなった。
「用件の前に、普通のお風呂と洗濯道具を使わせて貰えませんか・・・・水浴びだけではいけないので」
「わかった。淑女に対する無礼の代償には安いものだ」
そして、シャトーはロン・ベルクの住まいに案内された。
「あ、先生・・・・っ!?」
そこには彼の弟子であり嘗ては北の勇者とまで唄われた【ノヴァ】がいたが、レオナ似の美少女を連れ込んだ師に驚いていた。それを尻目に要求を叶えてもらった。実はノヴァの父であるバウスンが息子がお世話になるからと、かなりの設備を用意したのだ。石鹸やシャンプーもある一人用のお風呂でシャトーは身を清めた。
「魔界のとかと違って良い。人間界の温泉とかは肌に良いしその後にお酒や食べ物が格別らしいですね・・・・次なる旅は天然の温泉ありそうなとこを探しますか」
外では経緯不明な洗濯機で汗を吸った服と予備の一つをまとめて洗濯している。やはり、それなりに色々ある方が良いと考えざるを得ない。
「とにかく、そろそろなハズ・・・・」
『ロ、ロン・ベルクのおっさああん!』
近くで予想の範囲通りな内容を告げる声がしたが、シャトーはマイペースに身体を拭いたりで身支度を整えていた。
「ポ、ポップか?」
「ノヴァ!ロ、ロン・ベルクさんは・・・・いた。良かった至急相談に乗って欲しいんだ!」
「ま、待て!先生は怪我がまだ・・・・」
「そうよ、慌てちゃ駄目よ!」
「まあ落ち着け、客人もいるんだ。今は風呂に入ってるがな」
「客人、こんなとこ・・・・に来るって事は?」
「騒がしいですね、パプニカの方から来たようですが、慌て過ぎはいけませんよ?」
ポップ達は目当ての対象がいた事に身構えてしまった。それに対する目はまるで場違いである。
「っ!確かに・・・・ひ、姫さんに似てる」
「まさか、貴女がシャトーさん?」
「はい、聞いているようですね。ロン・ベルクさんに聞きに来たのは正解でしたね」
これがアバンの案だ。
シャトーの年齢が不明だが、魔界でバーンと顔を合わせていたロン・ベルクならその時期に産まれてバーンの近くで過ごしていた場合は面識はあるかもしれないし本人を知らなくても関連する何かを知っているかもしれない。
だが?
「俺は聞いた事は無いな、お前さんは俺が魔界にいた頃は産まれてなかったか、近くにはいなかったってとこか?」
「はい、では改めて皆様に紹介しましょう。私はシャトー、大魔王バーンの娘です」
「身構えるんじゃないぞ、わかってんだろ。この娘には戦意はねえし、それにだ。お前等に敵う相手じゃねえ」
知らなかったノヴァも釘を刺されつつ自分達も実力たを知る男からの断言に唖然とするポップ達と平然とするシャトー、しかし出るのは別に気にする風でもない声色だ。
「買い被りでは?」
「お前さんの剣の修行を見てわかった。技術だけで戦うなら俺が万全じゃねえと怪しいよ、その上でバーン並な魔力あるとしたらダイでも厳しいぜってのはともかく、そこのメルルとかいう娘が何も感じて無いようだが?」
「そ、そうなのかよ?」
「はい、その御方からは邪気どころか普通に善良な気しか感じません。私から見たら初対面の時のレオナ姫やマァムさん以上な暖かさを感じます」
「そりゃマァムに比べたら大抵は女らしい【バゴッ】・・・・」
ポップの余計な一言や行動に対するマァムからの制裁。ダイのパーティでは度々見掛けたか聞いたりしていた図である。予備知識が無い為に顔を青くしているシャトーが一番まともに見える。
「では、対話と行こう」
大きめなテーブルが用意され、シャトーに向かい合う三名。ロン・ベルクとノヴァは中立として控えてるとした中、ノヴァが全員分のお茶を出した。
「ふむ、良いお茶ですね」
「リンガイア産です。時折と言うか頻繁に様子を見に来てくれる僕の父が差し入れにと・・・・」
「おや、旅やお役目にしても身内に顔を見せてあげる事もしないのの多いご時勢では良いお話ですね」
ポップとマァムは痛いところを指摘された気分であった。それなりに事情があったのは事実だが、機会が無かったワケでは無いのだ。シャトーの作戦ではあるが、それすらもメルルにすら何も感じられない自然さである。
「そ、率直に聞くぜ。地上に何の用だ?」
「はい、魔界のバーン派を大人しくさせる為に来ました」
全員が目を丸くした。それについての説明を聞く気になったのを確認したシャトーは事情を話した。
「私の周りにいる者が、父が討ち死にしたと聞いた時、私が大魔王バーンの娘としてバーン派の旗頭となり、地上に攻め込むのを提案して来ました。勇者ダイが行方不明な今が絶好の機会ですからね、有りがちな話ですが反対したんです。大魔王の策略がバレた今、変に動いて天界に出向かれたら厄介じゃないですか」
【天界】
【大魔王の策略】
それ等の言葉に全員が納得した。
「成る程、竜の騎士に神の涙・・・・神々の恩恵を受けた側に負け、地上消滅の企みすらバレた側の身内や残党に当たる立場としたら天界から神を警戒するか・・・・」
「はい、地上に来てわかりました。やはり天界や神はその件で警戒態勢を整えていた。現にこの世界では人間の都合度外視にした何かが動いてます。ルーラの練習しながら各地を周ってる内に徐々に効果が出て来てるとわかりました。ポップさん達も見たところ実感しましたね」
確かに言う通りなら、邪悪な力が働いている気配を感じないのにルーラが使えなくなり始めた事態が証拠と成り得るが、その考えは向き合ったシャトーが邪悪とは無縁に思えるので懐疑的になってしまう、それは後にしてロンが続きを促した。
「だが、魔界側はそれ言って納得する奴等なばかりじゃないな?」
「はい、そんなの関係無いから私に陣頭立って貰おうとかで・・・・一応、私は老いたりと言えど父よりは強いと一部が知ってますので、様子見して来る。足手纏いは要らないので大人しくしてなさいと言い残して出向きました」
対話にしてはロンとシャトーばかりが進めている。だが、経験に乏しいポップ達はある事も考えていた。
マリンが見たイオがバーンのメラのようだったと聞いたり【瞳】を実際見たり・・・・だが、本当にこの娘は老人のバーンより強いのか?最悪のケースを考えれば、場合によっては此処で一思いに・・・・と考えた瞬間。
「三人共、試して見ますか?」
「え、いや・・・・その?」
ポップとマァムにノヴァが見抜かれたのを動揺したが、それをシャトーは気にしなかった。
「有りがちですね、超魔生物となって一皮剥けたハドラーが父の顔を初めて見た時に同じ事を思ってたようですが、まあ良いです。わざわざ会いに来た理由はやっぱり私が地上に残る黒の核晶を起爆させたりしたら地上が消されると恐れてるからですね?」
言い当てられた。確かにそれをされては終わりだ。倒すのも視野に入れざるを得ない、もしもそれを今やれるなら?
「まあ、私もそれくらいは理解しなければなりません。ならばやはり戦って倒すしか安心する手段は無いですか・・・・ここはスッキリさせる為にボディ・トーク?と行きましょう。三人共、表に出なさい・・・・私を殺しても良い、私が貴方の一人でも殺したら失格負けな条件で勝ったら自由にして良い、負けたら貴方達は今日の事を反省するように・・・・どうです?」
バーンの娘にしてはあまりにポップ達に得のある条件だと思わされた。返って不安になるレベルなのでマァムが一言掛けた。
「わ、私達は戦いは避けたい・・・・第一に貴女を無力化しても魔界の残るバーン派が攻め込んで来るかもしれないんでしょ?」
「そこまでの気概あるなら、とっくに私無しでやってますよ。今は私に集中なさい・・・・私は父に似てるとは言われてます。立場に相応しい振る舞いをするなら・・・・無礼は三度迄許しましょう、一人なら父のように【試してみるか?】で済ませましたが・・・・」
シャトーは指を三本立てた右手を出して、一つ一つ述べた。
「勇者ダイのパーティーの内、幾ら気骨があれど普通の人間の家の生まれでありながら大魔王すら恐れた男となった大魔道士」
一本目の指を折る。真の姿となったバーンにすら引かなかったポップは未知の力を感じる存在に気圧された。
「勇者アバンの共をした二名の間に生まれ、武闘家となる際に両親同様にアバンと共に戦った男の師事を受けた女性」
二本目、ポップ同様に何故知っているか聞く余裕すらない。
「そして、リンガイア屈指の猛将の息子でありロン・ベルクに弟子入りを認められた男以前にアバンの師事を受けていれば立派にアバンの使徒となり得た男」
三本目、正当な評価だ。確かに最初はともかく、性根を入れ替えてからのノヴァに掛けるべき言葉。
「本来なら、私はややこしい事をやったし大魔王を知るのでやむを得ずとしたところですが仲介してくれる者のいる場で余計な事を考えて悟られてしまう態度は頂けません、三人にはお灸を据えてあげます」
三本目を戻して、また折る。購入した剣を取りつつ、ゆっくり立ち上がってサークレットを外したが、その下にあるのは忘れようが無い。
【バーンに付いていた鬼眼】
三人が思わず臨戦態勢を取る。ノヴァも鍛練は続けていたので剣を咄嗟に手にした。
「まあ、待てこの辺りだと被害がだな・・・・」
「ああ、そうですね・・・・では?」
ロン・ベルクの言葉に対してシャトーから放たれた黒い霧、それが広がったと思った瞬間に三人は何やら漆黒の空間に来ていた。
「こ、ここは?」
「異次元・・・・貴方達にわかりやすく言えば、キルが使ったような決闘用の空間です」
覚えている。アバンを付け狙うキルバーンが決闘用の場に引きずり込んだのをポップとマァムは目撃した。となれば?
「負けた相手はジャッジに首を跳ねられるなんてのはありません、周りにある光の弾は只の照明代わりです。私は仇なんて言いませんが、勇者ダイと手合わせくらいは考えた身でしてね」
「ま、待って!私も確かに場違いな事を考えたけど・・・・貴女の真意は何なの?」
「そ、そうだ。僕から見ても君から感じるのは暗黒闘気とかと全く縁が無い類いだ」
「お、おぉ・・・・怖いって言えば怖いけど、俺が親父やマァムに怒られる時に感じるような類いな気だ!鬼眼見てもお前さんが本当にバーンの娘なのか疑わしくなって来たぜ」
「おや、それは結構。真意云々は関係がありません・・・・どのみち貴方達は魔界を初めとした異世界の住人に狙われるのは避けられません、かつて勇者アバンがハドラーを倒した後のようにね」
初めて聞いた話だ。アバンは確かに全て語りながら修行を付けてくれたワケでは無いが、そのような事態を考えると、ここで取るべき道は?
「ポップ、ボディー・トークと言われただろ?戦士や騎士は言葉より手合わせする方が理解し合える場合もある。その類いでシャトーさんと戦ってみて、彼女の事を理解する機会かもしれない」
「そ、そうかもな・・・・シグマみたいな奴かわからないけど、どのみちダイが帰らない間、強敵の一人二人来てもおかしくはなかったしな!おし、シャトーさんよ・・・・確かに親父さんの事があっても話し合いの場で無礼な事を考えちまった御詫びはしないとならねえ、あんたと一戦する事で御詫とする!」
「ポ、ポップ・・・・そうね、私も武闘家として礼儀を欠いていたからね」
「同意と言う事ですね、それでは・・・・相手をさせて頂きます。ああ、ノヴァさんに言っておきます。貴方の剣は気に入りましたから、機会があったら私の剣を打って下さいませ・・・・」
抜いた剣を右手にただ持ってるだけのように垂れさせる無形の位と呼ばれる形に構えたシャトー相手にポップは『輝きの杖』を手に、マァムも魔甲拳を纏って身構えた。ロン・ベルクが認める程の剣とは一体・・・・と、三名が三メートル程の間隔を開けて横一列になり身構えた瞬間。
ドガッ
「ぐ、あ・・・・っ!」
いきなり、中央にいたポップが目の前に現れたシャトーに右肩を蹴られた後方に吹き飛んだ。右側にいたマァムがポップに目が向けてしまった瞬間、顎に左手刀が軽く振り抜かれた。掠める程度でも脳を揺らされた衝撃で膝から崩れてしまう。ポップも蹴られたと理解した時には骨に罅が入る寸前な衝撃からの激痛に襲われて直ぐには立ち上がれなかった。意識外からピンポイントで急所や骨を狙われたらこうなってしまうのだ。
追撃を阻むべく放たれたノヴァのオーラ・ブレードの斬撃をシャトーは舞うような足さばきで二回、三回と回避しつつ、やや大振りに振り下ろされた一撃を横に弾くように繰り出した剣により体勢を崩した。そこに追撃を掛けようとした時、後退して距離を取った。
シャトーのいた場に飛んで来たのは速射砲のようなギラの連撃、ポップが回復よりノヴァの援護を優先させた結果だ。体勢を整えるべく三名は合流したが違和感があった。
「強い・・・・けど、バーンとは戦い方が全然違うわ」
「お、おぉ・・・・技術戦主体で、まるでアバン先生に体術の修行であしらわれた時みたいだ」
「僕は、アバン先生とは関係無いにしても何か既視感がある・・・・」
ノヴァの既視感は気になるが、シャトーはこの場の戦いについて既に結論を出した。そもそもにして、自分はポップ達に狙われる理由はあるが仲良くする理由は無い。
ガキン
左肩を狙った剣を何とか防いだノヴァ、そのままシャトーは僅かに身体を剃らしては斬り掛かりるが、二人は援護が出来ない。受け止めたノヴァの影に重なる形に移動して、二手に別れたが、次はマァムの左肩が狙われて何とか魔甲拳のガードで防ぐも、他が援護し辛い位置に持ち込まれている。マァムは相討ち覚悟で有効なハズの拳を放った。
「閃華裂光拳!」
生物ならばダメージを与えられる拳を左胸を狙うが、事も無げにバックステップで回避され、そのまま思い切り後退される。マァムはノヴァが感じた事が何となくわかって来た。一連の攻防がアバンではなくブロキーナのものに近い、恐らく殺したら負けと断言しているので当たっても致命傷は避けようとしているようだ。だから何となく次が読める・・・・先輩が後輩に稽古をつける時に度々ある図だが、向こうの戦意が高まっては太刀打ちが出来ない予感があるので、ポップが戦術の変更を決意した。
「にゃろう、トベルーラ!」
漆黒の上空に飛ぶ、意識を剃らすのが目的だと理解して後退したシャトーの次の手に注目したが?
「バギクロス」
空を飛ぶ物には余波だけで有効として無造作に真空呪文を放たれた。セーブしている状態でも得意な方なので通常よりは上、地上にいる二人以上に凄まじい流れを堪えつつポップがそのまま久し振りに放つ呪文で反撃に出た。
「ベタン!」
凄まじい重圧を掛けるマトリフ直伝の魔法、伝授されたばかりの頃にドラゴン三体をまとめて倒せたが、あの頃の比ではない威力となっているのでこれでシャトーの総合的な身体能力はわかるとして、身構えながら重圧で陥没する中心にいるシャトーを見据えるが、そのまま。
【押し潰された】
原型を留めない形に潰れて、クレーターの底で潰れて血の海を広げる死体を見てポップは青ざめていた。
「な、何だよ・・・・一対一じゃ瞬殺されたくらい強かったけど・・・・よ。呆気なかったな、ほ、ほほ本当にバーンの娘なんか?」
「ポ、ポップ・・・・落ち着くんだ。確かにレオナ姫に似てる女性を魔族なようで、青い血の・・・・その?」
「え、私には瓦礫に埋まったままに見・・・・?」
三名は違和感に気付いた。見てるものがそれぞれ違うと気付いた時に膝から崩れた。近くに小石が転がっていたので、これを鳩尾や顎に命中させられたと理解した。そしてクレーターのある場、シャトーがいた場から何かの魔力が立ち上ぼり、困り顔のシャトーが浮遊していた。そのまま三名の前に降りて、一人一人の首に剣を当てた。
「その気になれば首を落とせていた。勝負ありで良いですね。トベルーラをした辺りで三人にはマヌーサを掛けておいて、ベタンを敢えて受けながら姿を消してたんですよ【レムオル】は見た事無いんですか?」
【レムオル】
魔導書に載っている事は載っているが、魔王軍ではいつの間にかハドラーに礼を言おうとしたアバンに対してキルバーンが使っていたかどうかくらいだ。戦闘力に頼らない技術戦で盲点を突かれる戦いだった。
「三人共、特にポップさんは・・・・何と言いますか、余程の時じゃないと戦意も底力も出せないタイプに近いようですね、私が父みたいに戦意をわかりやすくしないとやる気出ませんか・・・・それだと、魔界の剣豪みたいに相手が女の子だからって油断したとこを騙し討ちに遇ったり、戦い以外で言うとダイの探索に各地を周る際に地図の見方とか基本的な知識や学力が実は足りないとこ露呈して苦労してたり・・・・図星みたいですね、ダイも読めない字が多かったり契約済ましたのに使えない呪文多かったりで苦労どころではない事態招いていたようですが?」
ポップは図星を突かれた。女絡みで騙し討ちをされた事はあるし、細部をある程度知られているの理由はわからないが魔王軍との戦いは自分なりに歯を食い縛って仲間と共に切り抜けたが、その後はマァムとメルルがいてくれないと録に細かい事をやれないでマァムに叱られる場面が多い日々、それからダイにしてもアバンの書を全て自分で読めてもヒュンケルのように暗記する程に読み尽くす程に意欲があったのかと懐疑的であった。そもそもデルムリン島で初めてレオナと会った時にキアリーを使えていたらと魔法が不得手なコンプレックスがあったが、逆を言えばそれくらいの事が無ければ苦手分野に対する気概を出せないのではと。
「まあ、危機感を煽られないと駄目じゃわかりやすく攻める類いじゃない天界に何かされたら苦労しますよってとこですね、今の情勢じゃノヴァさんが一番頼りになるくらいです」
「ほ、誉めて頂いて光栄ですが・・・・やはり、貴女は魔王軍とは全然違いますね、僕がハドラー親衛騎団に・・・・いや、あの後に一喝され・・・・」
ノヴァが一瞬マァムを見そうになった。シャトーからは、ハドラー親衛騎団に敗北して落ち込んだ時にマァムに言われた台詞をメルルから言われているような感じがある。
「じゃあ、この場は収めるとしましょうか・・・・この空間から出るには内か外から消し飛ばす必要あるから一発派手なのを」
「ま、まさか・・・・フィンガー・フレア・ボムズか!?」
【フィンガー・フレア・ボムズ】
メラゾーマを五発同時に放つ禁呪法に近い呪文である。実際にポップが二度も使っている。
左手を突き出し、親指にメラ系の魔力が宿らせたシャトーの図からポップはこの後に来ると予想した技を思わず叫んだ。確かにやれてもおかしくはないと他の二人も予想したが、予想は外れた。
親指のそれは一つ目である。次の人差し指に宿ったのはイオ系、そして次々と残った各指に魔力が宿る。
「ヒャド系、バギ系、ギラ系・・・・ご、五種類を一度に?」
「外に被害出ない程度にしますから、少しは危機感持ちなさい・・・・では、これを以て私が大魔王バーンの娘と信じる証になさい」
五指それぞれに宿る異なりつつも力が同じに調整して同時に放つ魔法・・・・その名は?
その名は・・・・! その名は・・・・!
その名は・・・・! その名は・・・・!
「・・・・考えてなかった」
自己流なので、拘りはなかったのだ。生まれから来る恩恵故なので、他に威張るような事ではないともしていた。
放たれた五つの魔法は上空で掌からも飛び出したものを合わせて六芒星となり、増幅し合って・・・・メドローアとは異なる【反応】を起こした。
ーーーーーー。
三名はロン・ベルクとメルルが待つ場に戻って座りながら机に突っ伏しが、エネルギーの第一波を浴びただけだが昏倒としていた。慌ててメルルが回復呪文を施すが、ロン・ベルクは割れ関せずでシャトーは何事も無かったように平然とサークレットを被り直していた。
おまけ。
例の爆発はどうした?な若バーン様のセリフを変更。
「ハドラーのバカはどこだああっ!」
「俺だって困惑しとるわあ!大魔王っ!」
寄りによってお風呂シーン一発目が自分の娘となったのに怒り狂う真バーンと、恐れ多いにも程がある人選で開き直るハドラーの戦いに意外な救世主が現れた。
「黙りなさい!良い歳をした大人が子供のお風呂なんかにいちいち騒がないで下さい!」
「「げぇ゛え゛え゛え゛っ!」」
現れたのは我流ドラゴラムによりマザードラゴンをより巨大にしたような姿のシャトー、目の当たりにした二人は【ある理由】により死を覚悟した。
「って、誰ですかそのハイテンションが似合いそうな声の若いのは?」
「ま、待て娘よ・・・・余はお前の父だ」
「そ、そうです!この御方は・・・・」
「はあ、若返ったとしても・・・・様子が違いますね。外見や力がどうとかではなく、老人姿な父から感じられた威厳が下がってます。正直、そこは残念ですね」
実際、ファンから指摘されているバーンに999のダメージ。
3流魔王呼ばわりされるくらい一時転落していたハドラーに999のダメージ。
「お、お待ち下さい。私も経験しましたが威厳と言うものは・・・・その?」
「言い訳は許さ~んっ!!」
「「う゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」」
ぐじゃ゛っと嫌な音が響いたその日、地上の魔王と魔界の神が仲良く踏み潰された。
ーーーーーー。
「ハドラー・・・・娘とは、恐るべきもの・・・・アルビナスもあのような強さ・・・・であったのか?」
「は、ははあ~・・・・厳しくはありましたが・・・・マァムしか本気、の姿は見ておりま・・・・せぬ」
生きていた二人の今後や如何に。