ウルトラマンガイア&ティガ-光を紡ぐもの-THE SHINING ODYSSEY   作:星乃 望夢

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 頭の中で湧いて出てきて光を形にしたらこんなん出来ました。


プロローグ

 

 特に何という理由もなく、ただ喉が渇いたのと、暑かったからアイスを買いに自転車でスーパーに買い物に出て、脇の道から飛び出してきた車に跳ね飛ばされた先で別の車にまた轢かれてというピタゴラスイッチみたいな事故に遭って、身体の感覚なんて一瞬で抜けたというか、強く打ち付けたのだろう頭が痛すぎてぼーっとして、目も開けているのも億劫になって、そのまま目を閉じた。

 

 次に目を覚ましたら身体が思うように動かなくて、眩しい光に照らされながら、顔も知らない女性に抱かれていた。

 

 よかったよかったと安堵する男性の声が聞こえて、辛うじて動く手はとてつもなく小さくて、そして自分が転生というものをしたんだと理解するのに時間は掛からなかった。

 

 前世の生まれは1992年、しかし今世は1980年と、12年も前に生まれた意味はわからないものの、10年程度は誤差だと思う。

 

 幸いにもまた日本に生まれて、これから日本は昭和バブルに突入する。

 

 1991年にバブルは崩壊して、1992年に生まれている前世からすると、バブル絶頂期の日本の姿や空気を楽しめるというのは少し、いや、とても、かなり、ワクワクする。

 

 ただバブルは自分が9歳の頃には弾けるから、どれくらい楽しめるかは不明だ。

 

 しかし、そんな夢のある未来を楽しむ気持ちは転生してから5年過ぎた頃には見事に吹き飛んだ。

 

 それは俺が5歳の誕生日を迎えた時、何故か部屋に転がっていたんですよ。

 

 ブラックスパークレンスが──。

 

 スパークレンスではなくて、ブラックスパークレンスだ。

 

 ただのおもちゃという見方は最初から否定した。

 

 何故なら不思議なことに、この世界にはウルトラマンという存在が無い。

 

 それこそ年代的には昭和ウルトラマンが放送しているはずなのに、ウルトラマンだけが存在していない。

 

 その他の特撮はちゃんと存在しているのにも関わらずである。

 

 だからブラックスパークレンスを見つけた時、この世界はウルトラマンティガの世界で、いずれ闇との戦いが起こるのではないかと思った。

 

 しかし自分の手元にブラックスパークレンスがあるのが不思議でならなかった。

 

 何故ならブラックスパークレンスは、3000万年前の超古代の闇の巨人であるカミーラが、ウルトラマンティガとなったダイゴに渡して、闇の力を封じるルルイエの結界を解き放つ為に、再び闇のティガを蘇らせる為に、ティガダークへと変身させる為のアイテムであるからだ。

 

 だからブラックスパークレンスが有るということは、カミーラが居るはず。

 

 しかし自分の周囲にそうした気配の人間が現れた覚えはない。

 

 本当に、気づいたらブラックスパークレンスが部屋に落ちていたのだ。

 

 3000万年前に超古代の文明があり、闇の力が世界を滅ぼそうとして、超古代人と光の巨人が一体となって戦い、そして巨人同士が互いに争い始め、闇の巨人が生まれて、闇の巨人が全ては滅ぼそうとした時、闇の巨人のリーダーだったティガが、ユザレと交流し、光の巨人となって闇の巨人を封印したのがティガというウルトラマンの概要である。

 

 とにかくブラックスパークレンスを誰かの手に渡すわけにはいかなかった。

 

 もし誰かがブラックスパークレンスを使い、ティガダークとなってしまった時、ルルイエに封印されている超古代の闇が解き放たれでもしたらと考えると、頭の痛い話だ。

 

 放っておいても、TPCが古代遺跡ルルイエの封印を解いてしまう。

 

 ユザレが闇の力を封じる結界を張っても、100年が経てばその結界も効力を無くして闇の力は世界に解き放たれる。

 

 だからダイゴは、闇の力であるティガダークへなろうとも、人は、自分自身で光になれるんだと、ティガダークへと変身し、そして闇のパワーを光に変えて、闇の巨人たちを倒した。

 

 なら、その時に、俺がこのブラックスパークレンスをダイゴに渡すのが務めだろう。

 

 そうなれば、いずれ結成されるTPCに所属し、GUTS隊員としてダイゴをサポート出来る立場に居れば、ブラックスパークレンスを渡すことも出来るだろう。

 

 あと超個人的な目的として、ガッツウイングに乗りたいです、アートデッセイ号にも乗りたいです。

 

 ガッツウイングやアートデッセイ号大好きなんです。

 

 ダイナでガッツウイングが出るだけでも興奮するし、トリガーでガッツウイングが出た時は「俺たちのガッツウイングだ!」って感動してました。

 

 だからTPCに、ひいてはGUTSに所属する為に何か出来ることはないかと色々と模索する合間に気づいた事がある。

 

 それはこの身体の頭脳はめちゃくちゃ天才的に頭が良いという事である。

 

 幼稚園での絵描きの時間でガッツウイングを描いていた時、気づけばウィングの変形プロセスの細かい部分までを描いていて先生に褒められたのが切っ掛けだ。

 

 それは無意識で描いていたもので、意識して本腰を入れて描いてみたら、出来上がったのはガッツウイング1号機の設計図。

 

 ガッツウイングの設計図が描けた自分にもびっくりしながら、そこから将来的に、TPCに所属する為の技術を造る為の勉強を始めた。

 

 量子物理学とか、前世だとちんぷんかんぷんだろうものまで、この身体は読み解いて覚えてくれる。

 

 そして研究テーマとして始めたのはマキシマ・オーバードライブ航法だ。

 

 陽子と反陽子をぶつけて光を推進力に変換することで、既存のロケットエンジンを遥かに上回る性能を獲得するこの技術。

 

 転用すればマキシマ砲から小惑星を破壊し、怪獣すら一撃で葬るネオ・マキシマ砲に発展する。

 

 マキシマ・オーバードライブの実用化は、人類が宇宙への進出という新たなステージへと登る一助となる夢のある機関でもある。

 

 さらにはそれ程までのパワーを生み出せるこの機関が実用化できれば、火力発電による大気汚染、さらには放射能汚染のリスクもある原子力発電に代わる新たなエネルギー源として、人類の生活を変えることができるだろう。

 

 だからこそ、その夢、そして、人の心の光を信じて、俺はマキシマ・オーバードライブの研究を始めた。

 

 とはいえ、概要を理解していれば、あとは数式を当て嵌めるだけで済む。

 

 しかしそれを実験するとなると大掛かりな設備が必要となる。

 

 そんなもの、まだ5歳児には逆立ちをしても用意することなど出来ない。

 

 マキシマ・オーバードライブを20年掛けて研究して実用化したヤオ・ナバン博士には悪い気もするが、概要が解っていれば理論を組み立ててしまえるこの頭脳は、自分でも化け物だなと思ってしまう。

 

 とはいえ子供ではどうしょうもないのだから、やはり生みの親のヤオ博士を訪ねようと思い色々と調べてみたのだが、ヤオ博士の存在を見つけることができない。

 

 名前からして中華系の人だろうから、日本で探すのは一苦労だろう。

 

 さらにまだ一般用インターネットも整備されていないのだから、著名な科学者でもないと国外の科学者ともなればさらに見つけることはかなり難易度が高い。

 

 だから向こうに見つけて貰おうと、俺は日本科学学会にマキシマ・オーバードライブ機関を発表する為に動いた。

 

 先ず両親へ説明した。

 

 ただ両親には陽子と反陽子をぶつけてうんぬんはちんぷんかんぷんなので、宇宙戦艦ヤマトのワープ航法が出来る様になる装置だと説明すると、2人とも理解してくれた。

 

 やっぱり宇宙戦艦ヤマトは偉大である。

 

 まだ5歳児がそんなものを書いたと言われて両親が気持ち悪いと俺を思わないのは、実は1980年代から、天才的な頭脳を持った子供たちが世界各地で次々と産まれているのだ。

 

 それこそまだ5歳児程度なのに高校や大学レベルの問題を解いてしまうという超天才児が世界各地で話題となっているから、こうしてマキシマ・オーバードライブを提示しても両親は俺のことを気持ち悪いと否定しない。

 

 そして次にしたことは、俺と同じように超天才的な頭脳を持っている子供を訪ねることだ。

 

 子供一人で学会に提出しても鼻で笑われるだけだろう。

 

 なら仲間を増やしてみることにした。

 

 そして調べて引っ掛かった子供の名前に頭を抱えたくなった。

 

 まさか過ぎて頭がこんがらがって混乱の極みとなったのだ。

 

 しかし彼ならば話が通じるだろうと思って、接触することにした。

 

 取り敢えず手紙を出して、会うことに関してはOKが貰えた。

 

 話し掛けた手前、こちらから出向こうと思ったものの、向こうから出向いてくれるということだった。

 

 それでもこちらも可能な限り出向くことにして、東京駅で待ち合わせることにした。

 

 あちらは千葉、こちらは埼玉となれば、東京駅はどちらにもアクセスが利く駅だ。

 

 有名な銀の鈴の前で待ち合わせ、令和程の迷宮ではないため、迷わずに待ち合わせ場所には到着出来た。

 

 右を見ても左を見ても、待ち合わせているのはカップルばかり。

 

 日曜日ともなればそうだろう。

 

 中にはサラリーマンの装いの人も居る、休日出勤ご苦労さまです。

 

 5歳児程度の子供は親御さんと手を繋いで待っているから、ひとりで佇んでいる俺は却って目立つだろう。

 

 さらに待ち合わせ人が来るまでの暇つぶしに文庫本を肩から下げているバッグから取り出す。

 

 文庫本を読む5歳児なんて普通に居るわけがないからこれでさらに目立ち、当日先に到着していた場合に、何の本を持っていくかも手紙に書いた為、間違われることもないだろう。

 

 懐から出した懐中時計を見れば、待ち合わせまであと30分程度はある。

 

 ケータイもスマホもノートPCも無い時代。

 

 外での待ち合わせで暇をつぶすとなると、本を読むか、ウォークマンで音楽を聴くか、人によったらMr.ゲーム&ウォッチで遊ぶか、何もせずに待つか、一緒に来た友達や家族と話して待つかである。

 

 なにしろファミコンが出て2年しか経っていないのだ。

 

 ゲームボーイが発売されるのはまだ少し先だ。

 

 もちろんファミコンは買った。

 

 令和でも充分面白くて遊べるゲームがたくさんあるのだから買わないのは損である。

 

 次のゲームはスーファミとゲームボーイまで我慢だ。

 

 普段我儘を言わず、本当に欲しい物を欲しいと言っているので、父さんも母さんも買ってくれる。

 

 その分学校のテストとかの点数は頑張ってるからね。

 

 早くプレステとか64とかプレ2とかゲームキューブの時代にならないかなぁ。

 

 とりあえずポケモンもまた赤緑からやりたい、金銀クリスタル、ルビサファエメラルド、ファイヤーレッドリーフグリーン、ポケモンだけでもやりたい物があり過ぎる。

 

 ただ、それも、この地球が無事に平和に時を重ねられればの話である。

 

 文庫本のページを捲っていると、視界の先に小さな両足の靴が映り込んだ。

 

 顔を上げてみると、こちらを観る、大人になっても約束されたイケメンだと理解出来るイケメン男児がキャリーケースを伴って立っていた。

 

 ウォークマンの再生を停止して、ヘッドホンを外す。

 

「お前が、俺を呼んだ奴か」

 

「ああ。はじめまして、藤宮博也」

 

 そう、超天才少年──藤宮博也。

 

 彼の存在が、俺の想定していた全てを根底からひっくり返した。

 

 とりあえず互いに朝食もまだだろうということで、少し遅めの朝食に、東京駅を出て喫茶店に入り、ピザトーストとブレンドコーヒーを頼んだ。

 

 まだ小学校1年生と5歳児が2人だけでお店に現れ、片方はそれなりに大きなキャリーケースを押してきたのもあって店員さんに親御さんはどちら?と聞かれたが、子供だけだと言った。

 

 それに少々怪訝な顔はされたものの、お金は持っていると現金を見せて、ボックス席に案内してもらった。

 

 80年代昭和レトロ、それをいつでも体感できるノスタルジックに、良い時代に転生出来たと思いながら、運ばれてきたコーヒーを飲みつつ、ピザトーストも大変美味、クリームソーダも注文して飲みつつ、俺は目の前の藤宮博也の手荷物が気になった。

 

 今日会うためにそんな大掛かりな荷物をどうして持ってきたのだろうかと。

 

「訊きたいんだけどさ。その荷物はなんなの?」

 

「今日の為に纏めてきた資料だ。手紙にあった通りのことをお前がしているのなら、こちらもそれ相応の物を持ってこようと思っただけだ」

 

 まだ小学校1年生だろうに、なんというか普通の子供とは教養の違いが解るというか、もっと無邪気で子供っぽくてもバチは当たらないだろうに、そんな雰囲気は目の前の藤宮からは一切感じられない。

 

 人のことを言えた義理じゃないが、コレで藤宮に友達が出来るのだろうかと心配になる。

 

 ただ飲み物がオレンジジュースな辺り、舌はまだまだ子供らしい。

 

「じゃあ、俺の手紙を信じてくれるって事で良いの?」

 

「陽子と反陽子をぶつけた光を推進力に変える。基礎理論を添えて説明されたら疑う余地はない。俺の予測が正しいのなら、あとはその理論を実際に証明する為の実験施設さえあれば、実用化も直ぐそこだろう」

 

 藤宮の言葉は、マキシマ・オーバードライブを絵空事ではなく、実用化出来る物であると証明してくれた。

 

 理解者が居るというだけで、とても心強いと思う。

 

「じゃあ、その中身は君の?」

 

「ああ。俺の目指すもの──量子コンピューターの基礎理論だ」

 

 藤宮と聞いて思い当たるのはウルトラマンアグルだが、その他にあるのは量子コンピューター「クリシス」だろう。

 

「量子コンピューター。これまた大きく出るね」

 

「光を使ったワープ航法よりはまだ現実的だぜ?」

 

「確かに」

 

 量子コンピューターは目の前の藤宮が完成させるのだから、それと比べて宇宙空間での戦闘が殆ど無く、ワープ航法なんて夢のまた夢であるガイア世界からすると、どちらも夢物語のような技術だ。

 

 並行世界へ行くことの出来る「アドベンチャー」なんていうぶっ飛んだメカはあるけどね。

 

 腹拵えも済ませて、会計をしたあと、電車で埼玉まで戻る。

 

 駅から公衆電話で家に電話して、迎えに来てもらう。

 

 迎えに来たのは日曜日でお休みの父さんだった。

 

 俺の実家は両親と俺の3人家族で、木造2階建ての普通の家だ。

 

 玄関から真正面に2階への階段とトイレがあり、右の廊下でリビングや台所、風呂場と和室があり、左手に仏壇と俺の部屋の和室が2つある。

 

 母さんが藤宮を温かく迎い入れてくれた、というより、初めて友達を連れてきたと喜んでいる。

 

 ボッチですみませんね、ホント。

 

 俺の部屋は8畳間の和室で、勉強机や箪笥、本棚が置かれている。

 

 ただ押し入れがないから布団は畳んで出しっぱなしである。

 

 勉強机とは別の低いテーブルの周りには研究の為に色々と書いた紙がホチキスで留めて、積み重なっている。

 

「これは…」

 

「ああ。それは、マキシマ・オーバードライブを運用する万能戦闘母艦、アートデッセイ号だ」

 

 テーブルの上に置いてあるのは、ちょうど書いていたアートデッセイ号のラフ画だ。

 

「万能戦闘母艦──何と戦う気だ?」

 

「神秘で広大な宇宙。そこには地球人以外の知的生命体が必ず居る。そして、その全てが地球人類に味方であるなんていう夢物語は持っちゃいない。それに、単純に航路上のアステロイドを排除する為にも武装は載せておいて損はない」

 

 ここがウルトラマンガイアの世界であるから、宇宙人というのは出てこない可能性もある。

 

 しかし根源的破滅招来体と戦うのならば、アートデッセイ号は必ず人類を守る力になるはずだ。

 

 並大抵の怪獣なら、アートデッセイ号のデラック砲やマキシマ砲を直撃させれば倒せる。

 

 ただ問題は、マキシマ・オーバードライブを実用化したら、アレが地球にやって来ないかという懸念があるくらいだ。

 

 エリアル・ベースは空中基地としての側面が大きく、リパルサーリフトで浮いている関係上、赤道上から動くと墜落するという制限、そして武装も迫撃砲と機関砲。

 

 ウルトラマンガイアのメカはティガやダイナと比べると攻撃性能がいまいち。

 

 ガッツウイング2号機の時点で怪獣を倒せる大型砲を内蔵し、ガッツイーグルなら合体してアートデッセイ号のデラック砲以上の威力を持つトルネードサンダーを放てる。

 

 ウルトラ特捜チームとして科学力がトップクラスと言われているTPC製だからか、ガイアのXIG製メカが控え目なのか、ティガとダイナのメカの攻撃性能はとてつもなく高い印象がある。

 

 ネオ・マキシマ砲はその最たる物だろう。

 

「これは?」

 

「ああ。それは、まぁ、妄想みたいなものだよ」

 

 藤宮が次に興味を持ったもの。

 

 それは3000万年前の超古代文明と、それを滅ぼそうとした「闇」、そして超古代人と融合した別の星雲からやって来た光の巨人。

 

 巨人たちは闇の勢力と戦い、しかし巨人同士が争い始め、そして光の巨人の中から現れた闇の巨人たち、それによって超古代文明は滅び、闇の巨人たちは封印され、残った光の巨人たちも自らを封印した。

 

 ウルトラマンティガのTHE FINAL ODYSSEYで明かされたティガの真実。

 

 ブラックスパークレンスと共にダイゴに渡そうと思っていて書き上げた資料だ。

 

 ただそれも、ここがガイアの世界なら必要無いのかもしれない。

 

 では、どうして俺の手元にブラックスパークレンスがあるのか。

 

 その謎と疑問は、未だに明かすことの出来るヒントは何処にも無い。

 

 その超古代文明の資料を、藤宮は食い入るように読み込んで行く。

 

 妄想の類の、痛い黒歴史の様な物語をお出しされているようなものなのに、藤宮はアートデッセイ号の時よりも真剣な眼差しで資料を読んでいた。

 

 やっぱり将来はウルトラマンになるから気になるんだろうか。

 

「これは、どうやって書いたんだ?」

 

「た、ただの夢だよ夢。夢に見たから書いただけ」

 

「夢にしたら、えらく細かく書いてあるように見えるけどな」

 

 そう藤宮に指定される。

 

 ダイゴが困らないように事細かく書いたから、夢物語ですって言うには少し厳しいくらいには書いてある。

 

「や、実は小説書くのが趣味なんだ。だからなんかのネタにつかえないかなぁって」

 

 小説を書くのが趣味なのは本当だ。

 

 ただしそれは前世の趣味で、こちらではまだ書いていないというか、やりたいことが多すぎてそうした趣味はやっていないだけだ。

 

 小説を書く暇よりも、今はマキシマ・オーバードライブやアートデッセイ号に時間を割きたい。

 

 超古代文明の資料を読み終わった藤宮から、量子コンピューターに関する資料を見せてもらった。

 

 量子コンピューターが完成することのメリットは、量子通信が使えるようになり、広大な宇宙へ進出するのにも使うことが出来る点だ。

 

 基礎理論に関しては俺があーだこーだ言う余地も無い程に仕上げられている。

 

 こちらも施設さえあれば実用化にそう遠く無い。

 

 ガイアの劇中が確か2000年前後、つまりあと15年もすれば「クリシス」は完成する。

 

 そう考えると、量子コンピューターがあと15年程度で完成するなんて信られないものの、夢のある話だ。

 

「量子コンピューター。量子通信ネットワークが完成すれば、人類の通信手段は根底からひっくり返るだろうね」

 

「ワープ航法が実現すれば、人類は新たなステージに登ることとなる。だが、宇宙だけじゃない。この星の海も、まだまだ未知なる世界は多い」

 

「水圧という大きな壁があるから、海の中もまだまだ未知の世界は広がっていて、人間の知らない何かがあるよね」

 

 それこそ、地球の海には光を発する生命体が居て、その生命体の光で、再び我夢はガイアへと変身する。

 

 宇宙のロマンもある、でも海の中だってまだまだたくさんのロマンが眠っている。

 

 宇宙の海や地球の海、違うが同じ海へロマンを馳せる俺と藤宮は、気が合うのかもしれない。

 

 話し込んでいたらあっという間に夕方となる。

 

 藤宮は電話を借りて何処かに電話する。

 

 なんか泊まっていくとか聞こえたけど、明日月曜日だよ? 始発で帰るのかな?

 

 夕飯は母さんが腕に頼りを掛けて作った。

 

 ご飯にお味噌汁は普通だろう。

 

 だし巻き玉子に麻婆豆腐、中身は手作りで手包みの餃子、ロールキャベツにゴーヤチャンプル。

 

 ちょっち作り過ぎではないだろうか?

 

 藤宮が何れ程食べるかはわからないが、残ったら明日の朝ごはんだから別に構わないかと思いながら箸を伸ばす。

 

 黙々と食べ進む藤宮だが、心做しか顔が柔らかく見える。

 

 まぁ、舌に合ってくれたようで助かる。

 

 お袋の味──という物を、実は母さんは持っていない。

 

 父さんも料理は出来るものの、それは学生時代のアルバイトで培った中華系の味でお袋の味とは言い難い。

 

 だから我が家のお袋味は、前世の俺が食べて学んで物にした前世のお袋の味だ。

 

 それを3歳頃から母さんに教えている。

 

 なんせそれまでインスタントや冷食で済ませる生活で、日曜日の休日に父さんが手料理を振る舞っていた。

 

 だから買い物に行く母さんについて行って、あれやこれやを買わせて、事細かに作り方を伝授した。

 

 目分量のところは俺が直接味付けをしたから、煮るなり焼くなりは時間を守れば素人でも出来る。

 

 焦げないように見張り、ひっくり返したりかき混ぜたりも素人でも出来る。

 

 包丁も慌てず騒がず、ゆっくりやれば下手な大きさに切れることはない。

 

 そもそも汁物は焦げるような物を作らない。

 

 味噌汁やお吸い物、ミネストローネで回せば良い。

 

 カレーやシチューは簡単であるものの、それは作っている最中に焦がさない火加減や鍋の中身をかき混ぜるという事が出来る腕がなければ鍋底を焦がして悲惨な事になるから素人は手を出すのならレトルトパックのカレーを食え、それなら失敗しないから。

 

 夕食を食べ終えて、皿は全て綺麗さっぱり。

 

 食べ切ったというか、父さんは結構食べる人で、俺も結構食べる方、そして藤宮も結構食べる方だったから料理は余ることは無かった。

 

 風呂に入って歯磨きをして、ファミコンを起動してスーパーマリオブラザーズを起動。

 

 藤宮はテレビゲームをするのも初めてらしい。

 

 藤宮の性格的にゲームするより研究とかするよなぁと思いながら、俺は手本を見せて1面をクリアすると、コントローラを藤宮に手渡した。

 

 操作なんて簡単だから藤宮も直ぐに対応してステージをクリアした。

 

暁美(あけみ) 望輝(まどか)

 

「ん?」

 

 テレビ画面に視線は向け、手元を動かしてステージを攻略しながら、藤宮は俺の名前を呼んだ。

 

 そしてゴールするとコントローラを置いて、俺の方に顔を向けた。

 

「俺と来い」

 

「へ?」

 

「お前の夢を手伝ってやる。だから俺の夢を手伝え」

 

 いきなりそんな事を言われて、俺は呆けてしまった。

 

 今、藤宮はなんと言った?

 

 俺の夢を手伝うから、俺の夢を手伝え? だから俺と来い?

 

 あの藤宮がデレた!?

 

 え? 今日まだ会って12時間程度しか過ごしてないのに何があったし!?

 

「人類の宇宙進出。マキシマ・オーバードライブが実用化すれば、人は自然を破壊する火力発電を辞められる。この地球の自然を壊して住む土地を確保せず、宇宙という新しい開拓地へと旅立ち、地球は静かな星になる。その為に、お前の夢が必要だ。だから、その夢の為に俺の夢を使わせてやる。量子通信ネットワークは宇宙進出に必要だ。互いの夢の為に、互いの夢を利用する。俺とお前の利害は一致する」

 

 そう、まだ小学1年生とは思えない語彙力の高さと思想に舌を巻く。

 

 もうこの頃から人間に対して色々と思うところを抱えてるとか闇深過ぎませんかねこの子。

 

 だから俺は、右手を藤宮に差し出した。

 

「なんだ」

 

「互いに名前を呼び合ったら、それはもう友だちなんだ。友だちの夢を助けるためなら、喜んで協力する」

 

「暴論だな」

 

 いやコミュ下手か!って思われそうだけど、多分藤宮には多少強引に行かないと難しいだろう。

 

 なんせ俺は我夢じゃない。

 

 同じウルトラマンじゃないから、ライバルになれない。

 

 だから夢を手伝う仲間──友だちに無理矢理にでもなる。

 

 なんで友だちになろうとしてるのか?

 

 だって、恩師を喪って、戦う誇りはそもそも根源的破滅招来体に歪められたもので。

 

 あんなに踏んだり蹴ったりな未来が待ち受けていると思うと、助けたくなるじゃないか。

 

 それに、ボッチなんで話の通じる相手が欲しいんです、切実に。

 

 ただ藤宮は俺の差し出した手を握る事はなく、俺の右手を藤宮は自分の右手で叩いた。

 

「藤宮…」

 

「手を組むだけだ。互いの夢の為にな」

 

 その時の藤宮は、見間違いじゃなければ、軽く笑っていたと思う。

 

 翌日からはてんてこ舞いの毎日だ。

 

 藤宮は一つ上の学年だ。

 

 藤宮の言った俺と来いって言うのは本気と書いてマジでガチであった。

 

 藤宮は城南大学附属小学校に通っていて、そこに俺は飛び級で飛び込む事になった。

 

 本当に藤宮と同級生になるというか、同級生にさせられる為に足りない学力を上げる為に冬休みは勉強漬けだった。

 

 そして藤宮とルームシェアして都内に住むことになった。

 

 小学生2人だけのルームシェアなんて聞いたことないが、俺は前世持ちで、藤宮もしっかり者。

 

 家賃や学費は何故か藤宮持ち。

 

 ウチからも出そうとしたものの、藤宮には要らないと言われてしまった。

 

 それだと申し訳ないから炊事洗濯掃除は俺が受け持っている。

 

 ウチの母さんが様子を見に来るけれど、藤宮の両親は顔を出さない。

 

 そもそも会ったこともないから挨拶に行こうかと思ったものの、不要だと藤宮は言う。

 

 なんというか、藤宮は両親の事に対してあまり触れられたくないらしい。

 

 だから俺も最初の挨拶うんぬん以外に藤宮の家庭に関しては触れない事にした。

 

 しかしこの俺があの城南大学に通うことになるなんて、人生わからないものだ。

 

 探せば仮面ライダーとか居ませんかね?

 

 時は1986年、城南大学附属小学校2年生になる為に飛び級し、将来はとりあえずガッツウイングとアートデッセイ号を造って、根源的破滅招来体に対抗できる様に頑張るとします。

 

 ただやっぱりアレの存在が恐いから、マキシマ・オーバードライブの実用化は慎重に進めないとならない。

 

 マキシマ・エネルギーを感知すると、それを禁じられた力として実用化した文明に攻撃する傍迷惑な、或いはマキシマ・エネルギーを得ることで発展する文明を攻撃することで自分達の優位性を保とうとする薄汚いやり方をする何処かの異文明の保障装置。

 

 機械人形ゴブニュと機械島。

 

 ウルトラマンの居ない今の人類に、それらに抵抗する力は無い。

 

「…………」

 

 制服の内側に隠していつも持ち歩いているブラックスパークレンスを取り出して、見つめる。

 

 ウルトラマンの力──ティガの力。

 

「人が、自分自身で光になれるのなら。俺も、光になれるのかな」

 

 ブラックスパークレンスは何も答えてはくれない。

 

 当たり前だ。

 

 闇の巨人であるティガダーク。

 

 光のことを問い掛けても返事が返ってくるわけがない。

 

「え?」

 

 そう思っていたら、ブラックスパークレンスからキラリと光が確かに光った。

 

 それはとても暖かかった。

 

 そして気づいたら俺は、滅び去った石造りの町並みを見渡すことの出来る何処かに立っていた。

 

「これは……」

 

「光は、いつもそこにある」

 

 女性の声が聞こえ、俺は振り向いた。

 

「ユザレ……」

 

 そこには3000万年前、闇の巨人であったティガに、再び光を齎した女性が立っていた。

 

「教えてくれユザレ! この世界は、いや、どうして俺の所にこのスパークレンスがあるんだ」

 

 これは幻かもしれない。

 

 でも問わずには居られなかった。

 

 安心したかったのもある。

 

 この先に訪れる不安、不確定な未来を確かめたくて。

 

「破滅が訪れようとしている。そして、「闇」もまた。でも人は、希望を、光を失わない。危機が訪れる時、この星の光は目覚め、そして、人の光もまた」

 

 そう言いながら、ユザレは俺に歩み寄ってくる。

 

「「闇」の力は強大でも、人は己自身の光を忘れない限り、光は何度でも立ち上がる。その心に光がある限り」

 

「待ってくれ、ユザレ! 俺の質問に答えてくれ!」

 

 ユザレの姿が薄くなっていく、いや、周りの景色も薄れていく。

 

「気をつけて。闇は、貴方を──」

 

 その言葉は遠くなりながら最後まで聞くことは出来なかった。

 

「マドカ!」

 

「はっ!? な、なに、博也?」

 

「何度呼びかけても反応しなかった。どうかしたのか?」

 

「あやや、な、なんでもないなんでもない。ちょっちぼーっとしてただけだから」

 

「そうか。それと、オモチャを校内に持ち込むな。取り上げられても知らないぞ」

 

「お、オモチャじゃないって!」

 

 藤宮に指定されて、俺はブラックスパークレンスを懐にしまった。

 

 さっきのあれは、幻なのか。

 

 それとも──。

 

「そろそろ帰るぞ。今夜はなんだ?」

 

「母さんが置いてってくれたきゅうりのぬか漬けと、あとは商店街とにらめっこかなぁ」

 

「ならさっさと行くぞ。この時間になると夕飯の買い出しに来る主婦とかち合う」

 

「あ、待ってよ!」

 

 先に行く藤宮を追って、俺も教室から出て行く。

 

 本格的にどう動くのかの身の振りは高校とか大学になってからだろう。

 

 だから小学生と中学生の間だけは、2度目の学生の青春を平和に送るくらい許して欲しい。

 

「暁美 マドカ──同じ過ちは繰り返さない」

 

 

 

 

 

 




 
 あらためてティガを観たんですけど、やっぱりイルマ隊長美人ですね。

 ウルトラマンには色んな女性隊員が出てきますが、女性隊長はイルマ隊長だけだし、美人で綺麗な人となるとイルマ隊長以外には知らないおっさんです。

物語りの方向性がまだちょっと定まらないので、アンケートを実施したいと思います。よろしければ皆さんの意見を聞かせてください。なおアンケートに無い意見がありましたら直接メッセージを送ってくださっても大歓迎です。

  • 他人の過去の愛憎をぶつけられる
  • ループを繰り返した激重感情をぶつけられる
  • 光となって果てしない戦いに身を投じる
  • 人として、自分に出来ることをする
  • 希望の光となった先輩が助けてくれる
  • ヤンデレとヤンデレにヤンヤンに愛される
  • 闇ヤンデレと愛を育む
  • マイフレンドと殴り合いする
  • モヒカンヤンキーと悪さをする
  • ツンデレと親友以上恋人未満みたいになる
  • ↑のこと全部やって光になるんだよ!!
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