ウルトラマンガイア&ティガ-光を紡ぐもの-THE SHINING ODYSSEY 作:星乃 望夢
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1991年。
昭和バブルが弾け、日本経済の闇の時代の始まりの年。
両親にはバブルが弾けたあとに苦労しないようにと貯金を奨めておいた。
なにしろこれから平成の大不況の時代となり、貧富の差は激しくなり、色々とお金は出ていくのに入って来るのは少いという時代がやって来る。
だから母さんに再就職を奨めて、さらにはパソコンを触れる様に鍛えた。
なにしろパソコンは需要が消えることはない。
社会インフラの一つとなるのだから覚えておいて損になることなどなにもない。
そのお陰で母さんもバリバリ働いて、父さんも合わせてかなり稼ぎながらも貯金はしてもらった。
あ、86ことパンダトレノ買って貰いました。
ファミリーカーとして良し、さらにイニDで大人気になる86をいずれ自分で乗りたいからと言って買って貰いました。
いやー、バブルでお金がウハウハだとちょっとしたワガママで車がポンっと買って貰えるのって、バブルが弾けた後の平成大不況続く一般家庭の金銭感覚を持つ身とすると有り得ない話である。
話は変わるが、藤宮は凄い。
この5年の付き合いでわかったのは、色々と発明をして着実に量子コンピューターを造るための道筋と資金繰りをしていること。
あとめっちゃツンツンツンデレ、大事なことだからツンを3回入れた。
それ程、他人を懐に入れたがらない。
だから俺が藤宮の隣で友だちをやっているのが、周りからすると信じられないという目を向けられる。
外面はイケメンだから女子人気は高いし、成績は常に学年1位であるからさらに倍率ドンである。
俺はそんな藤宮と比べて、成績は2位のシルバーコレクターだ。
それが藤宮からすると不満らしい。
や、仕方ないでしょ。
常に完璧な藤宮と違って、俺は偶にポカやって98点とか取るんだから、常にオール100点の藤宮の次点に甘んじるのは寧ろ当然だろう。
「なんかさぁ。不思議だよねぇ」
「何がだ」
「卒業証書を貰って卒業したのに、来月には入学式やってまた同じ所に通うの。普通は進学したら通う校舎というか、学校は変わるものだし」
「小、中、高、大のエスカレーター式だ。余程のヘマをやらかさなければそのまま大学に行ける。俺とお前なら問題はない」
「まぁ、お金出して貰ってるのに進学できませんでした、は、格好つかないからね」
廊下を歩きながらそんな他愛のない話をする。
今日は卒業式で、来月になれば中等部に進学する。
中等部を卒業したらいよいよ量子コンピューター開発が忙しくなるだろう。
確か藤宮は17歳で博士号を取った筈だから、クリシスもその頃に開発していると思う。
博士号を取ったからクリシスを開発出来たのか、クリシスを開発したから博士号を取ったのかは判らないが、その次はいよいよマキシマ・オーバードライブの開発となる。
今からさらに5年後、1996年。
マキシマ・オーバードライブの開発に着手出来るのは早くて1997年ともなれば、奇しくもティガの放送年と被る。
何が因果めいた物を感じながら、俺はこの春休みを利用して行きたいところがあった。
少し大掛かりな準備をする。
登山バッグにキャンプ用品を詰め込んで、数日は滞在出来る準備をする。
そして、白地と赤のジャケットを着る。
胸にはGUTSの文字とマーク。
コミケに参加するのに特注で作ったGUTS隊員服を身に纏う、登山バッグの中にはヘルメットも入っている。
ウルトラマンが存在しないこの世界でGUTS隊員服を着ても何のコスプレだか不明だが、ただの参加ではなく、同人誌を出しての参加をした。
それは3000万年前の超古代文明を滅ぼそうとする「闇」と戦った光の巨人の物語り。
現代に蘇ったその闇の尖兵の怪獣と戦う光の巨人と、人間の物語り。
つまりはウルトラマンティガの本編を描いた同人誌を出した。
同人誌を通してガッツウイングとマキシマ・オーバードライブの宣伝をする。
俺は藤宮の様に賢くないから、俺は俺なりに、俺らしい方法で挑む事にした。
取り敢えず用意した10冊は無事完売する事が出来た。
たったの10冊程度で宣伝になるのかと言われたら、初参加なので経験者が居ないかと訪ねた大学部の漫研サークルの先輩方から、取り敢えず10冊から始めて、それが捌けたら次は20冊に挑戦してみると良いという意見を頂いた。
なにしろウルトラマンの存在しない世界で、ウルトラマンティガというまったく未知のテーマをお出しするのだから、10冊でも売れれば御の字だと言われたものの、漫研にサンプルとして提出した同人誌はティガの世界観とティガの過去の一部、そして第一話にガッツウイングの設定画を載せてある。
それがウケて部員全員、30人程の先輩方に買って貰えた。
まぁ、それでコミケに挑んだから40冊は売れたと考えても良いだろう。
そのコミケの時に着たのがGUTS隊員服とヘルメットのセットだ。
写真も撮って貰ったから初動としては充分だろう。
そんなGUTS隊員服を着て向かうのは、青森と秋田の県境、十和田湖の南の山中だ。
ゴルザもメルバも出現して居ないのにこの場所へと来た理由。
それはなんとなくではあるものの、来なければいけない気がしたからだ。
1人用のテントを張って野営地を作ると、ヘルメットを被って、さらにGUTSハイパーが収まったホルスターを右脚の太腿辺りに巻く。
このGUTSハイパーも、ちゃんと造った物だ。
特殊な機材なんかは持ち込めなかったから脚で探すしかない。
まだ中学生になる小6ボディに大掛かりな荷物を運ぶパワーは無い。
早く成長期が来ないだろうか。
藤宮は順調に背が大きくなっているのに、俺はてんで背が伸びない。
まだまだ小柄で、同年代の女子と同じくらいの背丈しかない。
それはおいて置いて、足場の悪い川を歩いていく。
「ここに、有れば有ったで大変だけど、無ければ無いで一先ず安心──出来ればなぁ」
少し疲れたから手頃な岩に座って、懐からブラックスパークレンスを取り出す。
ここに来た理由はティガの手掛かりを見つけられればと思ったから。
ティガのピラミッドを見つけられれば、この世界は3000万年前、「闇」によって、闇の巨人によって、滅ぼされたという証拠となる。
そして、それが確定したのならば、根源的破滅招来体の他に、この世界には「闇」が眠っていて、時を待っているということになる。
ガイアとアグル。
2人のウルトラマン。
地球の光の巨人が、根源的破滅招来体を退ける。
けれども、「闇」を退けるには、きっと、ティガの、人の光が必要になる。
だからこそ、ティガに成れる人を探さないとならない。
ここが、ガイアとティガが交差した世界だと言うのならば、ダイゴを探して、このブラックスパークレンスを渡さなければならない。
それが、俺の役目だと思う。
その時まで、このブラックスパークレンスを守ることが、俺の、この世界に生きる意味だと思う。
手の中にあるブラックスパークレンスが、一瞬光った。
それは、あの温かい光。
それが、「光」であると、俺は確信していた。
ティガは、光から闇へ、そして闇から光へとなった巨人。
闇であっても光を宿す、それがティガダークであり、光であっても間違った心を持ってしまえば闇となる。
光と闇は表裏一体の存在。
だから、このブラックスパークレンスにも光は宿っていると、俺は信じている。
「な、何!?」
ブラックスパークレンスから放たれる光が強くなって、光に呑み込まれていく。
周りは光で何も見えない。
音も聴こえない。
光が晴れて、でもそこは、砂が風に舞う、色彩を失った世界。
朽ちて、破壊された街並み。
そこを闊歩するのは──。
「怪獣!?」
怪獣たちが街を破壊していた。
そして、佇む巨人。
「ウルトラマン……ティガ!」
佇むティガ、そして、その背後に空から降りてくる他の7体のウルトラマン。
そのティガの足元に居る、ひとりの人間。
「ダイゴ……」
黒いビジネススーツ姿のダイゴ。
「まさか……これも幻? いったい、何が起こってるんだ。教えてくれ、ユザレ!!」
だが周囲を見渡してもユザレは居ない。
その時、耳にチリンっと、鐘か鈴か、トライアングルかチャイムの音が入る。
その音の聴こえた方を向くと、そこには赤い靴を履いた女の子が立っていた。
「君は……」
「お願い。この世界の彼らを助けて」
「助けてって。俺には特別な力なんて何も無い」
少女の言う彼ら、それは考えずとも誰なのか理解出来る。
でも、ただの人間である自分には何も手助けが出来る力なんて無い。
それに、彼らが居れば、世界の危機も退けられる。
「お願い。光を信じて──」
そう言って、少女から放たれる光に俺は包まれた。
その光が晴れると、俺は山の中に居たはずなのに、まったく別の場所に居た。
「ここは──横浜の赤レンガ倉庫?」
いや、青森に居たはずなのになんでいきなり、俺は横浜に居るんだ?
まさかあの子の?
そう考えていると、わいわいがやがやと絡まれている青年が視界に入る。
黄色と白とグレーのジャケットを着た青年。
もう何も考えたく無かった。
「ねーねー、その服って、どこで買ったの?」
「え? や、これは、その…」
「すごくかっこいいー! まるでウルトラマンみたい!」
と思っていたら、俺の方にも絡みに来てしまった。
俺の格好は忠実に再現したGUTS隊員服で、ヘルメットも被っていれば、それはウルトラマンの特捜チームの一員の格好そのままだ。
「ちょ、ごめん、ごめんね!」
絡まれている子供たちに謝りながら後ずさる青年は傍からみても困っている。
とはいえ、俺もどうしたら良いのかまったく判らない。
「これって本物なの?」
「あ、触っちゃダメだって!」
俺は慌てて子供の手が触れそうだった、自分の手に握っていたブラックスパークレンスを懐に戻した。
ホントにどうしよう。
「ごめんね! 君もこっちに来て!」
「あ!」
困っていると、青年の手を引っ張って来たダイゴが俺の手も引いて助けてくれた。
山下公園の、横浜の海が見えるベンチに座る。
取り敢えずヘルメットを取って、膝の上に乗せる。
ダイゴは立ったまま、そして俺と同じ様に特捜チームのジャケットを着る青年もベンチに座って居た。
「ありがとうございます。助かりました」
そう、俺は助けてくれたダイゴに礼を言う。
「良いんだ。それに、君も、彼と同じなのかい?」
ダイゴにそう問い掛けられて、心のアグネスデジタルが尊死している。
あの憧れのダイゴと話せるなんて思うと、この言葉に言い表せない限界ヲタクの心境を誰か察してくれ!
胸にGUTSのマークを付けているジャケット。
隣の彼もGUYSのマークを付けていれば、そう取られてもおかしくはない。
ただ、自分の出身をどう説明したら良いのか。
推定ガイアの世界に転生した自分がコスプレでGUTSの格好をしているなんて言っても意味不明だ。
「俺は、GUTSの特別隊員、アケミ・マドカと言います」
調べても判らないだろうから、自分はGUTSのメンバーだとちょっとしたウソを吐く事にした。
「GUTS、GUYSみたいな組織かな?」
「国際平和維持組織、TPCの対怪獣災害のエキスパート部隊。それがGUTSです」
「なら、君もウルトラマンなのかい?」
そう、ダイゴは俺に質問を投げかけるものの、俺は首を横に振った。
「俺は、ウルトラマンじゃない。ウルトラマンは──ティガは……」
目の前に居る、別の世界のダイゴだ。
「…不思議なことかもしれないけど、僕はさっき、怪獣と、彼が変身したウルトラマンと戦う世界に居た。ややこしいけど、今度は君たちが、僕の住む世界に紛れ込んだ。怪獣もウルトラマンも、空想の存在で、物語りの中にしか居ない世界に」
「そんな…」
ウルトラマンが架空の存在だと言われて、軽くショックを受けたらしい彼──ヒビノ・ミライ。
しかしふと、何か思い至った様な顔を浮かべた。
「何か思い出した?」
そのミライの様子に、ダイゴが訊ねた。
「謎の反応を探知して、僕は横浜をパトロールしていたんです」
その時、赤い靴の女の子と出逢ったのだという。
「赤い靴の少女?」
「はい。その不思議な少女が、僕に言いました。ある世界が、侵略者に狙われている。その世界に、ウルトラマンは居ない。7人の勇者を目覚めさせ、共に、侵略者を倒してと」
「7人の勇者……」
ミライの言葉を聞いて、思案するダイゴがハッと何かに思い至った顔を浮かべる。
「一緒に来てくれ! 7人の勇者、その内の4人を、僕は知っているかもしれない」
「え、あ、はい。あ、でも、この子は」
「俺も行きます。俺も、その赤い靴の女の子に頼まれました。彼らを──ウルトラマンを助けて欲しいと。ただの人間でしかない俺に、何も出来ることは無いですけど、行く宛もないですから、一緒に行かせてください」
何の為に、俺はこの場に居るのか本当に判らない。
でも、ダイゴやミライと離れても何もすることが出来ないから、一緒に行動する以外の選択肢はそもそも初めから無いのだ。
「よし、それじゃあ行こう」
そうして、ミライと一緒に俺はダイゴの案内で横浜の街を周る事となった。
行く先々でミライがマン兄さんとかエース兄さんとかセブン兄さんとかジャック兄さんとか言うけれども、ウルトラマンでは無いあの人達にはナンノコッチャという話である。
ちなみに俺の周りだとジャックというより帰マンと言わないと通じない。
ダイゴに携帯を借りて調べてみたら、この世界は昭和ウルトラマンは放送されていて、そしてティガ以降の平成ウルトラマンは放送されていない世界だった。
自分の事が判らないウルトラ兄弟たちに落ち込みを隠せないミライ。
折角だから買ってきたパンを食べながら、さてどうしたもんかと考える。
俺がこの世界で出来ることなんて何も無い。
赤い靴の女の子が何を思って俺をこの世界へ連れてきたのか判らない。
判らないことばかりで、何をしたら良いのか皆目見当もつけられない。
「あの4人は、勇敢なウルトラ兄弟です。……でも、この世界では違うみたいです」
「まだ、諦めることもないよ。……だって、あの4人は、この世界でもヒーローだから。幾つになっても、夢を忘れないっていうか。カッコよくて、小さい頃と同じように憧れられる、特別な人達。だから、きっと思い出すと思うんだ。自分達が、別の世界ではウルトラマンだってことを」
「……はい!」
ダイゴの言葉に励まされて、ミライの顔も明るくなる。
やっぱり、ダイゴは光なんだ。
「もう少し、頑張ってみよう」
「…G.I.G!」
「なにそれ?」
「あ、僕らの合言葉で、わかりましたって意味です」
「へぇ」
うん、いきなり言われたらTKGみたいにナンノコッチャってなるよね。
「……来る」
「え?」
「なにが、来るって」
俺はそう、無意識に呟いて駆け出す。
横浜の海を竜巻が移動していた。
その竜巻は湾岸部に上陸すると、中から頭が2つある赤い二足歩行の人型に近い怪獣が現れた。
「怪獣!?」
怪獣が現れたのをみて、ダイゴが驚愕の言葉を発する。
この世界には、怪獣なんて現れないはず。
空想の中の怪物が実際に現れたら、そういう反応になるだろう。
現れた怪獣──キングパンドンは、港湾部の施設やコンテナを破壊しながら侵攻してくる。
「あれは、確か…パンドン! でも、どうして。僕の住む世界に、本物の怪獣は居ないはずなのに」
「きっと、何者かが呼び寄せたんです」
動揺するダイゴと違い、ウルトラマンであるミライはキングパンドンを真剣な眼差しで見据えて、そう口にした。
「ダイゴさん!」
「行くんだね、戦いに…」
戦う者の顔をするミライと、それをわかっていても不安気に見るダイゴ。
ティガとしてのダイゴ、ネオフロンティアスペースのGUTSとしてのダイゴでは見ることの出来ない、普通の人間のダイゴの姿。
ミライは頷いて前に出ると、左腕に出現する「メビウスブレス」の球体部「クリスタルサークル」に右手をかざして、それを払うと、光の溢れるメビウスブレスの左腕を掲げた。
「メビウゥゥゥス!!!!!」
そしてミライは本来の姿、ウルトラマンメビウスへと変身した。
キングパンドンはその2つの頭の口から火炎弾を次々に放ってメビウスを攻撃する。
それを両腕の手刀で弾くメビウスだが、それだと弾いた火炎弾で周囲が危険だと判断したのか、バリアを張って火炎弾を受け止めに掛かる。
だがそれも、受け止めるだけで負荷が掛かり、バリアが灼熱化してもキングパンドンの勢いは止まらない。
このままだとバリアが破れると判断したのか、メビウスはバリアを解除してキングパンドンに向かっていくが、キングパンドンは今度は火炎放射を吐き出してメビウスを襲う。
それをキングパンドンに向かっていたメビウスは、一度は避けられたが、続けて2度目の火炎放射を受けて地面に倒れてしまう。
倒れたメビウスには目もくれず、キングパンドンは横浜の街へ火炎弾を吐き出して攻撃を開始する。
まるでウルトラマンは眼中に無く、この世界を滅ぼそうとしているかの様だった。
「っ、このままじゃ、街が。みんなが…!」
俺は懐にあるブラックスパークレンスに意識を向ける。
世界は違えども、ダイゴなら、ティガに変身出来るはずだ。
でも、今のダイゴに闇の巨人であるティガダークを御せるかどうか。
THE FINAL ODYSSEYでは、ティガとして苦悩しながら光として戦ったダイゴだからこそ、闇の巨人であるティガダークに変身しても、心は光のままで居られた。
でも、それと同じ事がこの世界のダイゴに出来るのか。
この世界のダイゴは、夢を諦めて今がある。
夢を、光を、今は失ってしまっているダイゴに、ブラックスパークレンスを渡してティガに変身しても、闇の力に呑まれてしまうかもしれない。
でも、このまま見ていたら横浜の街が破壊されてしまう。
「っ、くっそおおおおおっ!!」
「!? マドカ君!」
俺は右脚のホルスターからGUTSハイパーを抜いて、両手で構えると、その銃口をキングパンドンに向ける。
そしてトリガーを引くと、GUTSハイパーから放たれたレーザーが、街を攻撃するキングパンドンの左側の頭の目元付近に命中して火花を散らす。
怪獣ともいえど、目の周りとかは生物共通の弱点だ。
堪らず、キングパンドンは悲鳴を上げてたたらを踏んだ。
続けてGUTSハイパーの銃爪を引く。
このGUTSハイパーは、俺と藤宮で造った、本物の光線銃だ。
俺には特別な力なんて何も無い。
でも、今は、怪獣に対して少しでも有効な武器を持っている。
なら、人として出来ることをする。
それは、ダイゴが言った言葉だから。
だから、今はまだ、ウルトラマンとしての記憶が無いダイゴの代わりに戦おう。
横へと走りながらGUTSハイパーを連射する。
とにかくメビウスが体勢を立て直すまで注意を引き付ける。
恐くて恐くて堪らない。
生身で怪獣と戦うなんて普通に死ぬ。
怪獣を前にして戦える勇気なんて持っていない普通の一般人なのに。
ダイゴが居るから、勇気が、今、足りなくても、それを振り絞っていた。
男なら、誰かの為に強くなって、歯を食い縛って、思いっ切り守り抜け。
GUTSハイパーの攻撃はキングパンドンの頭に集中させているのが効果があったのだろう。
キングパンドンは街への攻撃を止めた。
でもそれは、注意を引きつけたこちらへ攻撃されることの裏返しだ。
「うわっっっ」
キングパンドンの吐き出す火炎弾が俺の周りに次々と着弾して、爆風に身体が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「マドカ君!!」
ダイゴの叫び声が遠く聴こえる。
ヘルメットが無ければ鼓膜が死んでいたかもしれない。
「うっ、あ……」
幸い五体満足であるものの、小6の小柄な身体は爆風に揉まれるだけでも身動きが難しくなる程の痛みを訴えてくる。
でも、その甲斐あってメビウスが立ち上がった。
メビウスがキングパンドンに取り付いて投げ飛ばしてくれた事で、キングパンドンに追撃される危機は脱した。
立ち上がろうとするキングパンドンに駆け寄るメビウスだが、キングパンドンは立ち上がりながらタックルでメビウスを迎え撃った。
それをモロに受けてしまったメビウスに、キングパンドンは右腕を振り下ろすが、それを掻い潜って背後に周ったメビウスは、蹴りで大きくキングパンドンを吹き飛ばす。
メビウスの、胸のカラータイマーが点滅して鳴る。
立ち上がったキングパンドンはメビウスに向けて火炎弾を放つが、メビウスブレスに右手を翳して、両手に光を宿した手刀で切り払いながら駆け寄り、そのまま擦れ違い様にキングパンドンの胴体を斬りつけた。
大ダメージを負って、ヨロヨロとメビウスに振り向くキングパンドン。
メビウスは右手をメビウスブレスに手を翳す。
クリスタルサークルを回転させ、メビウスブレスのエネルギーを開放しながら手を大きく水平に開き、開いた手で弧を描きながら、頭上で合わせ、腕を十字にクロスして必殺光線メビュームシュートを放つ。
それを受けたキングパンドンは地面に倒れて大爆発した。
「やった…。怪獣を倒した」
ダイゴに抱え起こされながら、俺はキングパンドンを倒したメビウスを見る。
「だめ、だ…まだ、おわって…、にげ、て、メビウ、ス…」
「え?」
そのままではいけないと知っている俺は声を出そうにも、まだ頭がクラクラして上手く言葉を紡げない。
その様子にダイゴが俺を覗き込んでくる。
メビウスが光のシリンダーの様な物に閉じ込められた。
メビウスはそのシリンダーを内側から叩くもののビクともしない。
そしてメビウスを閉じ込めたシリンダーは中に浮かびながら中にガスを放つ。
メビウスは苦しそうに悶える。
そして空の上から一筋の黒い煙が舞い降りて、市街地の中で実体化するのはヒッポリト星人。
「かかったな、ウルトラマンメビウス! 貴様は生きたまま死ぬ。フッフッフッフッ、ハッハッハッハッハッ」
勝利を確信する様に笑うヒッポリト星人。
シリンダーに閉じ込められたままメビウスは港湾部の海の上に置かれ、シリンダーが消えると煙で見えなかったメビウスはブロンズ像へと姿を変えられていた。
「メビウスが…っ」
「ウルトラマンメビウスは、このヒッポリト星人が倒した! もうこの世界に我らの邪魔者は居ない。人類は滅亡の時を待て。ハッハッハッハッハッ」
勝利を宣言し、人類に絶望を与え、滅亡を待てと言ってヒッポリト星人は、また煙となって消えていった。
「ヒッポリト星人……。ウルトラマンが居ないこの世界で、あんなやつをどうやって倒せば良いんだ」
「あきらめ、ない、で、ダイゴ…」
「え…?」
「ウルトラマンが、居なくても、諦めちゃ、ダメだ。人間が、頑張らなくちゃ。人は、人が、希望を、光を絶やさない限り、光は消えない。ウルトラマンは、負けない。いつでもそこにある光を忘れなければ、人は、光になれる。人は、自分自身で、光になれる」
「光……」
そう呟いて、ダイゴはブロンズ像となったメビウスを見つめる。
「っ、とにかく、病院に行こう」
そう言うダイゴが俺を横抱きにして抱えると、地面が物凄い勢いで揺れ始めた。
「じ、地震!?」
片膝を着いて揺れに耐えるダイゴ。
そして市街地の地面を割って、現れた存在。
「見たことの無い怪獣だ…」
「っ、なんで、ゴルザが……」
地を割って現れたのは超古代怪獣ゴルザ。
ウルトラマンティガの第一話に登場し、その後も度々ティガや他のウルトラマン作品にも登場する平成怪獣の顔の様な存在だ。
ゴルザ再び銀幕デビューおめでとうと、画面の向こうに居れば祝福出来るのだが、この世界にゴルザが登場するという事は無い。
そんな知らない展開。
これが、あの子が俺をこの世界に呼んだ理由なのか?
メビウスがブロンズ像に変えられた今、ウルトラマンは居ない今、核兵器でも使わないとゴルザは倒せない。
どうしたら良いんだ。
ゴルザを見ても、ダイゴに変わった様子はない。
ダイゴは、ティガは、闇の力と切っても切り離せない。
闇の力の尖兵であるゴルザを見ても、ダイゴはまだ、思い出せない様子だ。
きっとまだ、ダイゴが思い出す時じゃないからなのか。
街を破壊するゴルザ。
ウルトラマンが居ないから、誰もゴルザを止められない。
「どうしたら良いんだ。このまま人類は、滅びるしかないというのか…っ」
「そんなこと、ないっ」
「マドカ君…」
「人は決して、滅びて良い存在じゃない。希望を、光を、絶望に負けないで、信じてっ。ウルトラマンは、光は、みんなの中に居る!」
ジャケットのジッパーを降ろして、懐からブラックスパークレンスを取り出す。
「それは……っ」
ブラックスパークレンスの奥、温かな光が輝いている。
俺の身体から、光が溢れてくる。
教えてくれ、ユザレ。
本当に、これで良いのか。
「マドカ君!」
俺はダイゴの腕の中から抜け出して立ち上がる。
身体から、温かな光が溢れてくる。
人は、光になれる。
自分自身で、光になれる。
ガタノゾーアにティガが負けてしまった時も、クイーンモネラにダイナが負けてしまった時も。
それでも子どもたちは諦めなかった。
最後まで、希望を捨てなかった。
その希望が光となった。
その光が、ティガを蘇らせた。
あの時、俺もテレビの前で一緒に、ティガと戦っていた。
だから俺も、光になりたい!
「思い出して、ダイゴ。ウルトラマンを信じていたあの時のことを」
「ウルトラマンを信じていた、あの時」
子供の時、俺も信じていた。
ウルトラマンは、本当に居るって。
子供の頃の夢は、ウルトラマンになりたいと思っていた。
ティガ、ダイナ、ガイア。
俺にとって、今も胸に光り続けるウルトラマン。
光である彼らは、希望を失わない限り、きっと、応えてくれる。
シズマ会長の中にも、光となって、ティガと共に戦った時の光がまだ残っていた様に。
温かな光を発するブラックスパークレンスを見つめる。
光と闇は表裏一体。
光の中に闇はあって、でも、闇の中にも光はある。
ブラックスパークレンスを俺は右手で握り締め、身体の前に突き出す。
子供の頃、何度も見て、真似をした。
拳を握り締めた左腕と、ブラックスパークレンスを握る右腕をクロスさせ、右腕を大きく回してブラックスパークレンスを空へと掲げる。
「光よおおおおおおおお!!!!!」
物語りの方向性がまだちょっと定まらないので、アンケートを実施したいと思います。よろしければ皆さんの意見を聞かせてください。なおアンケートに無い意見がありましたら直接メッセージを送ってくださっても大歓迎です。
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他人の過去の愛憎をぶつけられる
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ループを繰り返した激重感情をぶつけられる
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光となって果てしない戦いに身を投じる
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人として、自分に出来ることをする
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希望の光となった先輩が助けてくれる
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ヤンデレとヤンデレにヤンヤンに愛される
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闇ヤンデレと愛を育む
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マイフレンドと殴り合いする
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モヒカンヤンキーと悪さをする
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ツンデレと親友以上恋人未満みたいになる
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↑のこと全部やって光になるんだよ!!