支配されぬ王と青春物語 作:キメラ生物というより雑種らしい
ではどうぞ~
古聖堂跡地の地下。広々としたその場所にインドミナスは居た。
無警戒にスヤスヤと寝ているのは強者ゆえの余裕か能天気なのか、はたまたその両方か...
などと考えていれば、インドミナスの瞼が上がる。ゆっくりとその大きな身体を持ち上げ、軽く首を振る。
はっきりと意識を得たインドミナスは周囲を見渡し、何かへ向かって動き出す。
トリニティの地下、そこはカタコンベと呼ばれ正しいルートでいかなければ迷い続けてしまう迷宮だというのに、その足取りには一切の迷いが無く、ただひたすらに目的地へと進んでいた。
そしてついに到着する。古く、補修も碌にされていない建物が立ち並び、明かりもほどんど存在しない。
アリウス自治区だ。その闇に紛れインドミナスは歩み続ける。
本来ならば何人もの警備がいるはずだが先客によりそのほとんどが倒され、残った一部はインドミナス相手に立ち回れるほど肝が据わっていないらしい。
復活しようとしているミメシスを踏みつぶしながら奥へ奥へと進む。
進み続けていると幾つもの人影が見える。一方はミメシスの大群であり、巨大な重火器を両手に携えたバルバラが先頭に立っている。
対するは純白の衣装に身を包んだ少女、ミカだた一人であった。
状況だけ見れば絶望的だ。だがそれでも逃げることは無く、ミカは敵を見据える。
自身を悪役と嘲り先生たちを主人公と称賛し、あちらは似合わないと言い、ミメシスの行く手を阻む。
慈悲を求める歌───Kyrie Eleisonを口ずさんで。
その様子にインドミナスは思わず足を止め、魅入っていた。
一連の流れが終わると、その姿を褒め称えるかのように咆哮を上げる。
突然の爆音にミメシスとミカは発生源の方へ視線を向けた。これ幸いとその一瞬の隙を突き、ミメシスの大群を蹴散らして行く。
潰し、刺し、投げ捨て、噛み殺していく。
アンブロジウスと呼ばれる巨大な個体も例外ではない。禄に抵抗も出来ず倒される。
「私も負けてられないや!」
ミカもミメシスの大群へ突撃する。
正に蹂躙、地獄絵図と言ったところだ。インドミナスはミカを味方と判断し互いにサポートを入れつつ倒していく。
一人、また一人と倒されてゆき、大量に居たミメシスは全て塵となる。
そして最後の1人となったバルバラが銃を乱射する。
だがそれは無意味であった。インドミナスへダメージを与えることが出来ても致命傷を与えることはできない。
インドミナスが盾となり、ミカが矛となる。
完封されたバルバラはとうとう倒れた。復活するとはいえその速度にも限度があるだろうとミカは腰を降ろす。
「あ~疲れた!」
インドミナスはと言えば、少しずつ復活するミメシスを横目に満足げに鳴き、奥へと進んでいった。
奥は儀式のための場所であり、戦い終えた先生と少女たち、そしてボロボロの赤い貴婦人が居た。
少女たちは磔にされている少女を救出し介抱する。磔にされていた少女は無事なようで意識を取り戻したことに他の少女たちは歓喜している。
そんな彼女らの様子を見ると先生は倒れている貴婦人へ近づく。
「"終わりだよ。ベアトリーチェ"」
「まだです...まだ!高々儀式を妨害された程度!」
貴婦人、いやベアトリーチェは顔を上げる。
そこで気付いた。出入口に居るのだ、ここには来ないだろうと高をくくっていた不安要素が。
大人でも、子供でもない。契約や戒律でも力ですら排除することの出来ない強力な不確定要素。
今相手にする気などなかった存在だ。
ベアトリーチェは取り乱す。ボロボロの体に鞭を撃ち逃げようと動く。
それを見た先生は何があるのかと振り向いた。それと同時にインドミナスは動き出す。
先生を飛び越え、ベアトリーチェの先に着地するとその大きな口を広げ、パクリ。
ベアトリーチェは死にたくないと叫ぶが意味が無い。いたぶるように何度も何度も噛んでいく。
床はベアトリーチェの血にまみれ、口から飛び出ている脚は今にも取れそうだ。
先生が唖然としてそれを見ていると聞き覚えの無い声がする。
音にした方にはトレンチコートを着た首のない男が男の後頭部の写真を持って立っていた。
ゴルコンダとデカルコマニーと名乗った男は言う。
「彼女は舞台装置へとなり下がりました。故に怪物の恐ろしさを伝えるための
「そういうこった!」
男が喋っている間もインドミナスは咀嚼を続ける。足元には千切れた脚が落ちていた。
ベアトリーチェの悲鳴はもう聞こえない。
それを確認した男は先生に挨拶をし、何処かへ去っていく。
インドミナスはグチャグチャになったベアトリーチェだったものを吐き捨てると、満足げに去って行った。
その後は先生の尽力により、ゲヘナ、トリニティ、アリウスを巻き込んだ大事件は収束の一途をたどった。
わ~スッキリ。反省のしないロクデナシは大抵こんな最期を迎えるんだ。
ネドリーやラドロー然り、ホスキンスやミルズ然り。それが鉄則だ。