『東方再生録』〜アバッキオの幻想入り〜 作:ディオ・フランドー(ル)
アバッキオはボスを倒すために、サルディニア島のエメラルダ海岸へと向かい、ボスの過去を自身のスタンド『ムーディー・ブルース』で調べていた。
アバッキオ「畜生、…タイマーはもう25日だ、6月も終わっちまう…」
その時、近くでは複数の少年がサッカーをサッカーで遊んでいた。
アバッキオは多少「うるせぇ…」と思いながら調査を続けている時、少年達の方から騒ぎ声が聞こえてきた。
どうやら、木の上にボールが乗っかってしまったらしい。
アバッキオは最初は無視してやろうかと思ったものの、警官の頃から残り続けている良心がはたらき、結局ボールを取ってやることにした。
しかし、この判断がアバッキオの直後の運命を分けることになった。
アバッキオがボールを取る。
ボールを少年達に渡す。
アバッキオ「ほれ、ここじゃあボールが海に落ちちまうぜ、もっと陸の方でやりな」
サッカー少年達「ありがとー」
「サンキュー」
「助かりましたー」
少年たちは口々に言う中、ある『一人の少年』も一言発した。
「ありがとう」
その少年が通り過ぎた瞬間―――
ズドッ
―――アバッキオの腹部を、『スタンドの腕』が突き抜けた。
アバッキオ「ッ!?」
???「…やはり生まれ故郷はいい…、ついてる」
アバッキオ(スタンド使い…だと…!?)
目の前の少年の名はヴィネガー・ドッピオ。
―――二重人格である。
二つ目の人格の名は、『ディアボロ』。
パッショーネのボスである。
アバッキオはリプレイ中のスタンドを戻し攻撃する間もなく、意識が遠のいていった。
声が出ない。
体が動かない。
スタンドの像が崩れていく。
目の色が失われていく。
―――レオーネ・アバッキオ 死亡
アバッキオはディアボロに殺された。
ボスを倒すことなく。
しかし、自分のチームに残すことのできる『最後のもの』を残した。
最後の力を振り絞り、リプレイしたスタンドの顔を石碑に強く打ち付け、ボスの顔の『デスマスク』を残したのだ。
アバッキオ「…」
気付くと、アバッキオはどこかのオープンカフェで食事をしていた。
自分がなぜここにいるのか、理由は分からなかった。
周りは不自然なほどに静かで、人っ子一人通らない。
周りで目立つのは、一台の交通バスのみだ。
アバッキオが不思議に思う中、どこかからカチャカチャという、ガラスのような音が聞こえてきた。
音のする方向は―――、自分のテーブルの下ではないか。
テーブルの下へ目をやると、一人の警官が大量のガラス瓶の欠片を調べていた。
アバッキオは気になった。
気になるに決まっている。
アバッキオ「あんた…、一体ここで何をやっているんだい?」
警官「強盗事件の犯人の指紋を探しているんだ」
しかしその行動は、アバッキオにとって疑問でしかなかった。
アバッキオ「もし見つからなかったらどうするんだい?「指紋」なんて取れないかも…、いや、…それよりも見つけたとして、犯人がずる賢い弁護士とかつけて無罪になったとしたら、あんたはどう思って…、そんな苦労をしょいこんでいるんだ?」
それは、自分が過去に味わった絶望ゆえの問いかけだった。
警官はほとんど迷うことなく答える。
警官「そうだな…、私は結果だけを求めてはいないよ、結果だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ…、近道した時、真実を見失うかもしれない、やる気もしだいに失せていく…、大切なのは、『真実に向かおうとする意志』だと思っている」
警官は、落ち着いた、それでいて確かな自身がこもった口調で答えた。
アバッキオは思った。
かつては自分も、この警官のように高潔な意思を持ち、警官としての職務を全うしようとしていた。
だが今は違う。
アバッキオ「俺は…いつも努力を中途半端な状態でダメにしちまう…」
警官「そんなことはないよ、アバッキオ」
アバッキオ「ッ!」
警官が自身の名を知っていることに驚く。
警官「お前は立派にやっているじゃあないか…」
この瞬間、アバッキオは自分がさっきまで何をしていたかを思い出した。
アバッキオ「…あのバスに乗るんだ、…そうだッ、だんだん思い出してきた…、もう行かなくては、…俺は仲間の下へ戻らなくては…!」
アバッキオはバスの乗ろうとする。
しかし足が動かない。
動けない。
警官「お前はあれに乗ってここに来たのだ、ここは終点なんだ…、もう…戻ることは出来ない」
この一言が、『戻ることは出来ない』という一言が、自身が死んだという真実に繋がってしまった。
自分が死んだ―――なら今、目の前にいるのは誰か。
アバッキオ「あんたは…、そうだ、あんたはッ!あんたは俺がワイロを受け取ったせいで殉職した…!」
そう、その警官は、かつての『相棒』だった。
それを理解した瞬間、アバッキオは涙を抑えられなくなった。
この警官は、アバッキオの同僚は、自分が死してなお、アバッキオを見守り続けていた。
警官「アバッキオ、…お前は立派にやったのだよ、…そう、私が誇りに思うくらい立派にね…」
その光景を知るのは、―――アバッキオと警官だけではなかった。
もう一人、怪しく笑い、『境界』越しに眺める者がいた。
???「…彼にしましょう、フフ…」
To Be Continued.
アバッキオはこれからです。
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